JPH09279501A - レール用継目板 - Google Patents

レール用継目板

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JPH09279501A
JPH09279501A JP8836596A JP8836596A JPH09279501A JP H09279501 A JPH09279501 A JP H09279501A JP 8836596 A JP8836596 A JP 8836596A JP 8836596 A JP8836596 A JP 8836596A JP H09279501 A JPH09279501 A JP H09279501A
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JP
Japan
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thermosetting resin
fiber
rail
joint plate
lower layer
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JP8836596A
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English (en)
Inventor
Michihiko Watanabe
充彦 渡辺
Tomohiro Nakamura
知広 中村
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐疲労特性に優れ、繰り返し列車が通過しても
物性低下やクラックの発生を起こさないレール用継目板
を提供することを目的としている。 【解決手段】熱硬化性樹脂中に補強繊維が配設された繊
維強化熱硬化性樹脂材料で形成され、隣接するレールの
端部側面間に跨がって配置されるレール用継目板におい
て、レールの下部でレールと接し、弾性率1GPa以上
3GPa以下、引張最大伸び率8%以上の熱硬化性樹脂
と補強繊維とからなる厚み1〜10mmの低弾性の下部層
と、この下部層に積層され、熱硬化性樹脂と補強繊維と
からなる高弾性の上部層とから形成されている構成とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レール用継目板に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、鉄道用のレールは、隣接するレ
ールとレールとの接続箇所に、両方のレールの端部側面
に跨がって継目板と呼ばれる部材を配設し、この継目板
をボルトを介して各レールに緊締することによって、隣
り合うレールが連結されるようになっている。
【0003】ところで、従来の継目板は、一般に鋼鉄製
であるため、信号機や踏切警報機の設置箇所に使用され
るレールの接続に用いることができない。
【0004】すなわち、信号機や踏切警報機の設置箇所
に使用されるレールは、ある区間毎に区切って電気回路
を形成する必要があり、その区間以外のレールとは絶縁
しなければならない。そこで、上記のように隣接するレ
ール間で絶縁が要求される場合、図5に示すように、鋼
鉄製の継目板100とレール200との間に絶縁プレー
ト300、絶縁チューブ400などの絶縁部材を介在さ
せて、レール200間の絶縁を図るようにしていた。な
お、図中、500はボルトである。
【0005】しかし、上記のように絶縁部材を現場で併
用すると、現場での作業工数が多くかかるため、作業性
が悪い。しかも、鋼鉄製の継目板が重いため、より作業
性の悪いものになっている。また、絶縁部材も熱可塑性
樹脂を用いたものがほとんどで、レールとの摩耗で破壊
し、絶縁不良のトラブルを招くことも多い。
【0006】このような問題を解決するために、全体を
繊維強化熱硬化性樹脂で形成し、軽量で作業性が良く、
かつ絶縁部材を必要としないで絶縁性を確保できるよう
な継目板が提案されている(特開昭50−47302号
公報など参照)。
【0007】この継目板は、通常、弾性率が3〜5GP
a、引張最大伸び率が2〜5%程度の不飽和ポリエステ
ル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬
化性樹脂を、ガラス繊維などの補強繊維に含浸した繊維
強化熱硬化性樹脂材料を継目板形状に成形し、硬化させ
て得られるようになっていて、かなりの弾性率・強度を
もち、継目板として用いる場合の静的な荷重(列車通過
の輪重による曲げ荷重やレールの熱伸縮による引張・圧
縮荷重など)に耐えうるには充分な剛性や強度を持たす
ことができるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記継
目板には、繰り返し荷重がかかった時の疲労性能に問題
がある。すなわち、レール上を列車が繰り返し通過する
ため、継目板には、何度も繰り返し曲げ荷重がかかるの
であるが、1回の荷重では弾性変形のみであっても、繰
り返しかかることにより物性が低下したり、クラックの
発生やそれが成長することにより破壊が生じてしまうと
いう問題がある。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みて、耐疲
労特性に優れ、繰り返し列車が通過しても物性低下やク
ラックの発生を起こさないレール用継目板を提供するこ
とを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、請求項1に記載の発明かかるレール用継目板
(以下、「請求項1の継目板」と記す)は、熱硬化性樹
脂中に補強繊維が配設された繊維強化熱硬化性樹脂材料
で形成され、隣接するレールの端部側面間に跨がって配
置されるレール用継目板において、レールの下部でレー
ルと接し、弾性率1GPa以上3GPa以下、引張最大
伸び率8%以上の熱硬化性樹脂と補強繊維とからなる低
弾性の下部層と、この下部層に積層され、熱硬化性樹脂
と補強繊維とからなる高弾性の上部層とから形成されて
いる構成とした。
【0011】請求項1の継目板の構成において、弾性率
1GPa以上3GPa以下、引張最大伸び率8%以上の
熱硬化性樹脂としては、ビニルエステル樹脂やエポキシ
樹脂の低弾性率・高伸び率グレードのものが挙げられ
る。弾性率3GPa以上5GPa以下、引張最大伸び率
2〜5%の熱硬化性樹脂としては、ビニルエステル樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂などが挙げられるが、継目板に用いられる樹脂と
して強度もあり成形性も良好なビニルエステル樹脂が最
も好適に用いられる。
【0012】補強繊維としては、特に限定されないが、
通常ガラス繊維が用いられる。繊維の形態としては、ガ
ラスロービングに代表される連続繊維、ガラスクロス、
ロービングクロス、すだれ織りクロスなどの織布、チョ
ップドストランドマット、コンティニアスマットなどの
不織布等が挙げられ、これらを併用することにより目的
の剛性・強度を発現させることができる。なお、連続繊
維とは少なくとも継目板の長さの約1/5以上の長さを
有するもの、具体的には約100mm以上のものを意味
する。
【0013】請求項2に記載の発明かかるレール用継目
板(以下、「請求項2の継目板」と記す)は、熱硬化性
樹脂中に補強繊維が配設された繊維強化熱硬化性樹脂材
料で形成され、隣接するレールの端部側面間に跨がって
配置されるレール用継目板において、レールの下部でレ
ールと接し、熱硬化性樹脂と弾性率15GPa以上40
GPa以下、引張最大伸び率6%以上の補強繊維とから
なる低弾性の下部層と、この下部層に積層され、熱硬化
性樹脂と補強繊維とからなる繊維強化熱硬化性樹脂材料
で形成された高弾性の上部層とから形成されている構成
とした。
【0014】請求項2の継目板の構成において、弾性率
15GPa以上40GPa以下、引張最大伸び率6%以
上の補強繊維としては、ビニロン繊維、ポリエステル繊
維などの有機繊維が挙げられるが、耐熱性などの点から
ビニロン繊維が好適に用いられる。その他の部分を構成
する補強繊維としては特に限定されないが、通常ガラス
繊維が用いられる。
【0015】弾性率15GPa以上40GPa以下、引
張最大伸び率6%以上の補強繊維およびガラス繊維の形
態としては、ロービングに代表される連続繊維、クロ
ス、ロービングクロス、すだれ織りクロスなどの織布、
チョップドストランドマット、コンティニアスマットな
どの不織布等が挙げられ、これらを併用することにより
目的の剛性・強度を発現させることができる。なお、連
続繊維とは少なくとも継目板の長さの約1/5以上の長
さを有するもの、具体的には約100mm以上のものを
意味する。
【0016】熱硬化性樹脂としては、ビニルエステル樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂などが挙げられるが、継目板に用いられる樹脂と
して耐疲労強度、伸び、耐熱性などが要求されるため、
成形性も良好なビニルエステル樹脂が最も好適に用いら
れる。また、請求項1および請求項2の継目板の構成に
おいて、下部層の厚みは、1〜10mm程度が好ましい。
【0017】すなわち、下部層の厚みが薄過ぎると下部
層を設ける効果がなく、厚過ぎるとレール用継目全体の
強度が落ちる恐れがある。さらに、請求項1〜請求項3
の継目板を製造する方法としては、引抜成形法、プレス
成形法、反応射出成形法などの従来公知の繊維強化合成
樹脂成形方法が採用できるが、このなかでも生産性、積
層性、高繊維含有率の実現などの点で引抜成形法が有利
である。
【0018】すわなち、引抜成形法によれば、熱硬化性
樹脂を含浸させた補強繊維を引き揃えて、継目板の横断
面形状に適合した内面形状を有する金型の中に、連続的
に移送しつつ加熱硬化させ、引き抜いた後に所定寸法に
切断し、ドリル、ホールカッター等の手段でボルト挿通
孔を設けることで容易に継目板を連続的に製造すること
ができる。
【0019】さらに、請求項1〜請求項3の継目板は従
来の絶縁継目板の用途に好適に用いられるが、勿論、普
通継目板として用いることも可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
図面を参照しつつ詳しく説明する。図1〜図3は請求項
1の継目板の実施の形態をあらわしている。図1〜図3
に示すように、この継目板1は、レール2の側面に設け
られた凹部21に嵌まり込む形状をしていて、下部層1
1と上部層12の2つの層が積層されており、ボルト孔
13,13,13,13が穿設されている。
【0021】下部層11は、弾性率1GPa以上3GP
a以下、引張最大伸び率8%以上の低弾性率の熱硬化性
樹脂とガラス繊維とから形成され、1〜10mmの厚み、
好ましく2〜5mmの厚みを有し、レール2とレール2と
を連結する際にレール2の下部でレール2に接するよう
になっている。上部層12は、下部層11上に積層され
この継目板1の大部分を占めるとともに、弾性率3GP
a以上5GPa以下、引張最大伸び率2〜5%の高弾性
率の熱硬化性樹脂とガラス繊維とから形成されている。
【0022】そして、この継目板1は、図2および図3
に示すように、下部層11側を下側にして、隣接するレ
ール2,2の端部両側面でレール2,2間に跨がって配
置され、ボルト孔13およびこのボルト孔13に対応す
る位置に設けられたレール2のボルト孔21にボルト3
を挿通し、ワッシャ31を介してナット32をボルト3
と螺合させることによって、レール1の側面に設けられ
た凹部22に嵌まり込み、下部層11がレール2の下部
でレール2の凹部22の壁面に接した状態で両レール
2,2を連結することができる。
【0023】以上のように、この継目板1は、全体が補
強繊維によって強化された熱硬化性樹脂で形成されてい
るため、軽量(鋼の約1/3〜1/5)であり、また絶
縁継目板として用いる場合も、絶縁部材を必要としない
ため作業性がよい。しかも、列車の通過などによりレー
ル上に荷重のかかったとき、最も引張応力の生じる継目
板1の下部層11が弾性率が小さく比較的伸び率の大き
い熱硬化性樹脂とガラス繊維とから形成されているの
で、繰り返し疲労荷重がかかっても樹脂の破断が少な
く、クラックなどの発生を防止することができる。すな
わち、破壊の起点となるクラックがなくなるため、継目
板1自体の破壊を防ぐことができる。
【0024】また、下部層11以外の大部分を占める上
部層12が、高弾性率、高強度の熱硬化性樹脂とガラス
繊維から形成されているので、継目板1全体としては、
充分な剛性、静的強度を備えている。すなわち、継目板
を構成する全ての熱硬化性樹脂を弾性率が低いものにす
ると、同じ荷重が負荷されたとき、発生する歪みが大き
くなってしまい、いくら引張最大伸び率が高い熱硬化性
樹脂でも破断するおそれがある。そこでクラックの発生
の起点となる継目板下部のレール接触部分およびその近
傍である下部層11のみを弾性率が小さく比較的伸び率
の大きい熱硬化性樹脂とガラス繊維とによって形成し
て、歪みをあまり大きくすることなく、クラック発生起
点を無くすようにしている。
【0025】なお、1GPa未満の柔らかい熱硬化性樹
脂を用いると、ボルトを締め込み継目板をレールに取り
付ける際に継目板とレールとの接触部に発生する圧縮応
力に耐えられない恐れがある。
【0026】図4は請求項2の継目板の実施の形態をあ
らわしている。図4に示すように、この継目板5は、下
部層51と上部層52の2つのが積層されて形成されて
いる。
【0027】下部層51は、熱硬化性樹脂と、弾性率1
5GPa以上40GPa以下、引張最大伸び率6%以上
の低弾性率の補強繊維とから形成され、1〜10mmの厚
み、好ましく2〜5mmの厚みを有し、上記継目板1の下
部層11と同様にレール2とレール2とを連結する際に
レール2の下部でレール2に接するようになっている。
【0028】また、上部層52は、下部層51上に積層
され、継目板5の大部分を占めるとともに、通常の熱硬
化性樹脂とガラス繊維とから形成されている。
【0029】また、この継目板5は、上記以外の構成が
上述の継目板1と同様になっている。この継目板5は、
全体が補強繊維によって強化された熱硬化性樹脂で形成
されているため、軽量(鋼の約1/3〜1/5)であ
り、また絶縁継目板として用いる場合も、絶縁部材を必
要としないため作業性がよい。
【0030】また、列車の通過などによりレール上に荷
重のかかったとき、最も引張応力の生じる下端部分51
が、熱硬化性樹脂と弾性率が小さく比較的伸び率の大き
い補強繊維とから形成されているので、繰り返し疲労荷
重がかかっても樹脂の破断が少なく、クラックなどの継
目板の破壊を防ぐことができ、耐久性の良い継目板を得
ることができる。もちろん、継目板5の大部分を占める
上部層52が高弾性率、高強度の熱硬化性樹脂を用いた
繊維強化熱硬化性樹脂で形成されているため、剛性、静
的強度に優れている。
【0031】
【実施例】以下に、本発明の実施例をより詳しく説明す
る。
【0032】(実施例1)補強繊維として、以下に示す
形状のEガラス(弾性率約75GPa 引張最大伸び率
約4%)製ガラス繊維、ビニルエステル樹脂(日本ユピ
カ社製、硬化物弾性率約4GPa、引張最大伸び率約3
%のもの)とt−ブチルパーオキシベンゾエート(硬化
剤)とを含む上部層用液状熱硬化性樹脂(以下、「樹脂
A」と記す)、ビニルエステル樹脂(昭和高分子社製、
硬化物弾性率約2GPa、引張最大伸び率約10%)と
t−ブチルパーオキシベンゾエート(硬化剤)とを含む
下部層用液状熱硬化性樹脂(以下、「樹脂C」と記す)
を用意した。
【0033】 補強繊維:ガラスロービング(旭ファイバー社製 ♯4450) コンティニアスストランドマット(旭ファイバー社製 ♯450) ガラスクロス(日本板硝子社製 ♯580) すだれ状クロス(日本板硝子社製 ♯350) チョップドストランドマット(日本板硝子社製 ♯600)
【0034】そして、樹脂Aと樹脂Cとを別々の槽に入
れ、上記の補強繊維のうち、ロービング以外の補強繊維
を数枚適当な種類を重ね、それを1層としてロービング
層の間に複数層挿入し、樹脂Aと樹脂Cとにそれぞれ浸
漬して、樹脂Aまたは樹脂Cを含浸させたのち、得よう
とする下部層と上部層の層構成通りに重ねながら継目板
の断面形状に適合した内面形状を備えた金型に導きつつ
加熱し、金型の長手方向に引き抜いて硬化させて定尺に
切断したのち、ホールカッターにより規定の位置にボル
ト孔を穿設することによって成形した。
【0035】このようにして得られた継目板は、長さが
560mm、高さが約105mm、最大厚みが約55mmで、
従来から用いられている鋼鉄製の50kgN型レール用継
目板とほぼ同形状であった。また、下部層の厚みは3mm
であった。
【0036】(実施例2)上部層用液状熱硬化性樹脂と
して樹脂Aに代えて、ビニルエステル樹脂(日本ユピカ
社製、硬化物弾性率約3.5GPa、引張最大伸び率約
6%のもの)とt−ブチルパーオキシベンゾエート(硬
化剤)とを含む上部層用液状熱硬化性樹脂(以下、「樹
脂B」と記す)を用いた以外は、実施例1と同様にして
継目板を得た。
【0037】(実施例3)下部層の厚みを7mmとした以
外は、実施例1と同様にし継目板を得た。
【0038】(比較例1)樹脂Cを用いず、樹脂Aのみ
で継目板を得るようにした以外は、実施例1と同様にし
て継目板を得た。 (比較例2)樹脂Cに代えて、樹脂Bを用いた以外は、
実施例1と同様にして継目板を得た。
【0039】(比較例3)下部層の厚みを12mmとした
以外は、実施例1と同様にし継目板を得た。 (比較例4)樹脂Aを用いず、樹脂Cのみで継目板を得
るようにした以外は、実施例1と同様にして継目板を得
た。
【0040】上記実施例1〜3および比較例1〜4で得
られた継目板ト、ボルト、ナットおよび座金を用いて図
2および図3に示すようにしてレールを連結した。な
お、ボルトの締め付けトルクは、5toncmのトルク
を限度にした。そして、連結部の中央部に5tonの繰
り返し片振り曲げ荷重を2×106 回を限度にかけた。
つぎに、この繰り返し荷重負荷終了後、そのまま5to
nの静的な曲げ荷重をかけ、継目板の中央部の変位を測
定した。また取り外してから、継目板自体の損傷の度合
いを目視にて観察した。その結果を上部層、下部層の各
熱硬化性樹脂の種類および下部層の厚みと合わせて表1
に示した。
【0041】
【表1】
【0042】表1から、弾性率が低く引張最大伸び率が
大きい熱硬化性樹脂を用いた繊維強化熱硬化性樹脂で構
成した下部層をレールの下部でレールと接する部分に設
けることにより、クラックが発生せずまた曲げ性能(変
位)の低下も少なくなり、耐久性に優れた継目板を得る
ことができることがわかる。
【0043】(実施例4)Eガラス(弾性率約75GP
a 引張最大伸び率約4%)製ガラスロービング(旭フ
ァイバー社製 ♯4450)、コンティニアスストラン
ドマット(旭ファイバー社製 ♯450)、ガラスクロ
ス(日本板硝子社製 ♯580)、すだれ状クロス(日
本板硝子社製 ♯350)、チョップドストランドマッ
トを、(日本板硝子社製 ♯600)のうち、ロービン
グ以外を数枚適当な種類を重ね、それを1層としてロー
ビング層の間に複数層挿入した上部層用補強繊維D(以
下、「繊維D」と記す)と、ビニロンロービング(クラ
レ社製、弾性率約20GPa引張最大伸び率約16%の
もの)からなる下部層用補強繊維(以下、繊維E」と記
す)をそれぞれ上記樹脂Aの入った槽に浸漬して、樹脂
Aを含浸させたのち、得ようとする下部層と上部層の層
構成通りに重ねながら継目板の断面形状に適合した内面
形状を備えた金型に導きつつ加熱し、金型の長手方向に
引き抜いて硬化させて定尺に切断したのち、ホールカッ
ターにより規定の位置にボルト孔を穿設することによっ
て成形した。
【0044】このようにして得られた継目板は、長さが
560mm、高さが約105mm、最大厚みが約55mmで、
従来から用いられている鋼鉄製の50kgN型レール用継
目板とほぼ同形状であった。また、下部層の厚みは3mm
であった。
【0045】(実施例5)繊維Eに代えて、ビニロンロ
ービング(クラレ社製 弾性率約36GPa 引張最大
伸び率約7%のもの、以下、「繊維F」と記す)を用い
た以外は、実施例4と同様にして継目板を得た。 (実施例6)下部層の厚みを7mmとした以外は、実施例
4と同様にして継目板を得た。
【0046】(比較例5)繊維Eに代えて、ビニロンロ
ービング(クラレ社製 弾性率約53GPa 引張最大
伸び率約5%のもの、以下、「繊維G」と記す)を用い
た以外は、実施例4と同様にして継目板を得た。 (比較例6)下部層の厚みを12mmとした以外は、実施
例4と同様にして継目板を得た。
【0047】(比較例7)繊維Dを用いず、全て繊維E
とした以外は実施例4同様にして継目板を得た。実施例
4〜6および比較例5〜7で得た継目板について、上述
の実施例1〜3および比較例1〜4の場合と同様にして
継目板の中央部の変位および継目板自体の損傷の度合い
を調べ、その結果を上部層、下部層の各繊維の種類およ
び下部層の厚みと合わせて表2に示した。
【0048】
【表2】
【0049】表2から、弾性率が低く引張最大伸び率が
大きい補強繊維で補強した下部層をレールの下部でレー
ルと接する部分に設けることにより、クラックが発生せ
ずまた曲げ性能(変位)の低下も少なくなり、耐久性に
優れた継目板を得ることができることがわかる。
【0050】
【発明の効果】本発明にかかるレール用継目板は、以上
のように構成されているので、耐疲労特性に優れ、繰り
返し列車が通過しても物性低下やクラックの発生を起こ
さない。しかも、軽量で作業性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の継目板の実施の形態をあらわし、そ
の斜視図である。
【図2】図1の継目板を用いてレールとレールとを連結
した状態の正面図である。
【図3】図2のX−X線断面図である。
【図4】請求項2の継目板の実施の形態をあらわし、そ
の断面図である。
【図5】従来の継目板のレールとの接続状態をあらわす
断面図である。
【符号の説明】
1 継目板 11 低弾性繊維強化熱硬化性樹脂層 12 高弾性繊維強化熱硬化性樹脂層 2 レール 5 継目板 51 低弾性繊維強化熱硬化性樹脂層 52 高弾性繊維強化熱硬化性樹脂層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱硬化性樹脂中に補強繊維が配設された繊
    維強化熱硬化性樹脂材料で形成され、隣接するレールの
    端部側面間に跨がって配置されるレール用継目板におい
    て、レールの下部でレールと接し、弾性率1GPa以上
    3GPa以下、引張最大伸び率8%以上の熱硬化性樹脂
    と補強繊維とからなる低弾性の下部層と、この下部層に
    積層され、熱硬化性樹脂と補強繊維とからなる高弾性の
    上部層とから形成されていることを特徴とするレール用
    継目板。
  2. 【請求項2】熱硬化性樹脂中に補強繊維が配設された繊
    維強化熱硬化性樹脂材料で形成され、隣接するレールの
    端部側面間に跨がって配置されるレール用継目板におい
    て、レールの下部でレールと接し、熱硬化性樹脂と弾性
    率15GPa以上40GPa以下、引張最大伸び率6%
    以上の補強繊維とからなる低弾性の下部層と、この下部
    層に積層され、熱硬化性樹脂と補強繊維とからなる繊維
    強化熱硬化性樹脂材料で形成された高弾性の上部層とか
    ら形成されていることを特徴とするレール用継目板。
  3. 【請求項3】下部層の厚みが1〜10mmである請求項1
    または請求項2に記載のレール用継目板。
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