JPH09277533A - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその製造方法

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JPH09277533A
JPH09277533A JP8527396A JP8527396A JPH09277533A JP H09277533 A JPH09277533 A JP H09277533A JP 8527396 A JP8527396 A JP 8527396A JP 8527396 A JP8527396 A JP 8527396A JP H09277533 A JPH09277533 A JP H09277533A
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heat
ink
acting portion
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JP8527396A
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Keiichi Murakami
圭一 村上
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Canon Inc
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム基板を使用した場合の蓄熱層の
剥離や亀裂を防止して、良好な印字特性を有するインク
ジェットヘッド及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 エネルギー発生素子(発熱抵抗層10
3)と、蓄熱層(102)と、支持基板(101)とを
有するインクジェットヘッドにおいて、支持基板(10
1)はアルミニウム基板であり、熱作用部(201)の
蓄熱層(202)はアルミニウムの陽極酸化膜であり、
熱作用部(201)の蓄熱層(202)の膜厚は他の部
分の蓄熱層の膜厚よりも厚い事を特徴とするインクジェ
ットヘッド、及びその蓄熱層を形成する工程を含むイン
クジェットヘッドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方式等に用いる記録液滴を発生するためのインクジェ
ットヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば特開昭54−51837号公報に
記載されるインクジェット記録方式は、熱エネルギーを
インクに作用させてインク液滴吐出の原動力を得るとい
う点において、他のインクジェット記録方法とは異なる
特徴を有する。即ち、この公報に開示されている記録方
法は、熱エネルギーの作用を受けたインクが加熱されて
気泡を発生し、インク液滴が被記録部材に付着して情報
の記録が行われるということを特徴としている。
【0003】この記録方法に適用されるインクジェット
ヘッドは、一般にインク液滴を吐出するために設けられ
たインク吐出口と、インク液滴を吐出するための熱エネ
ルギーがインクに作用する熱作用部を有してインク吐出
口に連通する液路と、熱エネルギーの発生手段である電
気熱変換体としての発熱抵抗層と、該発熱抵抗層をイン
クから保護する上部保護層並びに熱エネルギーを蓄熱す
るための蓄熱層と、ヘッド全体を支持する支持基板とを
具備している。なお、場合によっては、上部保護層は省
略される。上記支持基板を構成する材料としては、熱伝
導率が大きく、表面性が良好なものが好ましい。この様
な点から、従来はシリコン基板が用いられていた。しか
し、シリコン基板は高価であり、工業経済的には不利で
ある。
【0004】そこで、シリコン基板に代わる安価な代替
え材料が数多く検討されており、特に、熱伝導率が大き
く表面性が良好であり、しかも安価である金属基板が注
目されている。中でも、アルミニウム基板は安価で熱伝
導率が大きいので、特に注目されている。
【0005】この金属基板をインクジェットヘッドの支
持基板として用いるためには、基板表面を絶縁処理する
必要があり、一般的には、絶縁物により基板表面を被膜
する。この際、発熱抵抗層側の基板面に形成する絶縁膜
は、同時にインク発泡に必要な熱エネルギーを蓄熱する
ための層として機能するので、一般に蓄熱層と称され、
熱伝導率が低いことが要求される。更に、この蓄熱層
は、発熱抵抗層に隣接して支持基板への放熱を防ぐ層と
しても機能するので、通電時の発熱抵抗層の温度である
600℃以上の高温に耐えるものでなければならない。
更に、この蓄熱層は、インク発泡を生じさせる熱作用部
の表面性に影響を与えるので、表面性が良いことが要求
される。そこで、従来技術においては、これらの要求が
満たせる様に、CVD等の気相化学反応やPVD等の真
空成膜法等により、基板表面に絶縁膜を成膜し、これを
蓄熱層としていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
様な従来技術に従い、CVDやPVD等によって1μm
以上の蓄熱層を基板上に成膜する場合、基板からの蓄熱
層の剥離がしばしば発生する。一方、膜厚が1μmより
薄い場合には蓄熱層の剥離は生じ難いが、蓄熱機能が不
十分になる。このため、比較的厚い膜厚の蓄熱層におい
て、剥離を生じない構成が求められていた。
【0007】なお、本発明者等の鋭意研究の結果、蓄熱
層形成時の基板温度が蓄熱層の剥離に影響することが判
明した。即ち、CVDやPVD等で無機絶縁物をアルミ
ニウム基板上に成膜する場合、成膜時の基板温度は20
0〜600℃程度の高温であり、この状態から室温まで
降温する際に、基板と無機絶縁物の蓄熱層との熱膨張率
の差による応力が発生する。この応力が支持基板と蓄熱
層との密着力よりも大きくなったとき、蓄熱層の剥離が
発生する。特に蓄熱層の膜厚が大きいほど、この応力も
大きくなる。この問題を解決する方法として、蓄熱層形
成時の基板温度を低下させる方法が考えられるが、低温
で成膜した場合は絶縁耐圧が低下したり、耐熱性が低下
する等の膜質の低下が起きるので好ましくない。
【0008】そこで、基板としてアルミニウムを使用
し、常温で絶縁膜を形成できる陽極酸化法を用いて、蓄
熱層を形成する方法が有効である。陽極酸化膜(アルマ
イト膜)は付着したゴミ等によるピンホール欠陥がな
く、CVD、PVD膜に比べて欠陥の少ない膜が得られ
る。また、工業的にも習熟した技術であり信頼度が高
い。図4は、従来のインクジェットヘッドのヒーターボ
ード付近の一構成例を示す模式図であり、(a)は拡大
平面図、(b)はそのX−Y切断線に沿った切断断面図
である。図中、101は支持基板、102は蓄熱層、1
03は発熱抵抗層、104は電極層、105は第1の保
護層、106は第2の保護層、107は第3の保護層、
201は熱作用部である。図4に示す様な従来の構成に
おいては、アルミニウムの陽極酸化膜の熱伝導性が前記
の絶縁膜に比べ高いので、十分な蓄熱機能を発揮させる
ためには3μm以上の厚い膜厚の蓄熱層が望ましい。し
かしながら、基板101全面に陽極酸化処理を施して一
様に厚い蓄熱層102を形成すると、亀裂を発生するこ
とがしばしば見られた。
【0009】本発明の目的は、これら従来技術の課題を
解決すること、すなわちアルミニウム基板を用いた場
合、支持基板と蓄熱層との剥離や蓄熱層の亀裂を防止し
て、良好な印字特性を有するインクジェットヘッド及び
その製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成できる。
【0011】すなわち本発明は、吐出のための熱エネル
ギーをインクに与えるエネルギー発生素子と、該エネル
ギー発生素子に隣接して該熱エネルギーを蓄熱する絶縁
性の蓄熱層と、該蓄熱層を支持する支持基板とを有する
インクジェットヘッドにおいて、前記支持基板はアルミ
ニウムを主成分とする基板であり、少なくとも前記熱エ
ネルギーがインクに付与される熱作用部の蓄熱層はアル
ミニウムの陽極酸化膜(アルマイト膜)であり、該熱作
用部の蓄熱層の膜厚は他の部分の蓄熱層の膜厚よりも厚
い事を特徴とするインクジェットヘッドである。
【0012】また本発明は、吐出のための熱エネルギー
をインクに与えるエネルギー発生素子と、該エネルギー
発生素子に隣接して該熱エネルギーを蓄熱する絶縁性の
蓄熱層と、該蓄熱層を支持する支持基板とを有するイン
クジェットヘッドの製造方法において、前記熱エネルギ
ーがインクに付与される熱作用部の蓄熱層の膜厚は他の
部分の蓄熱層の膜厚よりも厚く、かつアルミニウムを主
成分とする支持基板を陽極酸化することにより少なくと
も前記熱作用部の蓄熱層を形成する工程を含む事を特徴
とするインクジェットヘッドの製造方法である。
【0013】本発明においては、従来技術の様に亀裂
(クラック)が入り易い一様に厚い膜を形成するのでな
く、熱作用部の蓄熱層を他の部分より厚くしてあるの
で、必要な領域のみ(すなわち主として蓄熱機能を発揮
すべき領域のみ)を島状に厚くし(すなわち厚膜部分の
面積を小さくし)、陽極酸化時に発生した内部応力また
はその後の熱ストレスにより発生する膜応力を四方に分
散する作用を奏し、これにより剥離や亀裂を防止でき
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
説明する。
【0015】図1は本発明のインクジェットヘッドのヒ
ーターボード付近の一構成例を示す模式図であり、
(a)は拡大平面図、(b)はそのX−Y切断線に沿っ
た切断断面図である。図中、101は支持基板、102
は蓄熱層、103は発熱抵抗層、104は電極層、10
5は第1の保護層、106は第2の保護層、107は第
3の保護層、201は熱作用部、202は熱作用部の厚
い蓄熱層である。
【0016】この図に示す例においては、支持基板10
1はアルミニウムを主成分とする基板であり、蓄熱層1
02も含めヘッド全体を支持するものである。この支持
基板101の上には、熱作用部201の蓄熱層202の
膜厚が他の部分の膜厚よりも厚い蓄熱層102が積層さ
れている。この熱作用部201とは、エネルギー発生素
子からの吐出のための熱エネルギーがインクに付与され
る領域部分であり、本例では特に、電極層104により
電気エネルギーが印加された発熱抵抗層103が発熱す
る領域部分(インク中に気泡が形成される領域に対応)
である。なお、熱作用部201の形状、大きさは本発明
において特に制限はなく、従来のインクジェットヘッド
と同様の構成を適宜採用すれば良い。
【0017】この蓄熱層102は、導電性の支持基板1
01を絶縁する機能と、インクの発泡等、吐出に必要な
熱エネルギーを蓄熱する機能を有し、また発熱抵抗層1
03から支持基板101への放熱を防ぐ機能、発熱抵抗
層103をインクから保護する機能も有する。そして本
発明においては、主として蓄熱機能が要求される領域で
ある熱作用部201では、十分な蓄熱機能を奏する様に
厚い蓄熱層202を設け、熱作用部以外の蓄熱層の膜厚
は他の機能(特に絶縁性)を確保できる程度に薄くして
おくことにより、剥離や亀裂等の防止を図っている。蓄
熱層の具体的な各膜厚は、要求特性や各種条件に応じて
適宜決定すれば良いが、熱作用部の厚い蓄熱層202の
膜厚は、1μm以上が望ましく、更に3μm以上が好ま
しく、一方、熱作用部以外の部分の薄い蓄熱層の膜厚
は、1μm未満が望ましい。また厚い蓄熱層202の形
状は、所望の蓄熱機能を奏するのであれば特に制限され
ないが、図1に示す様に熱作用部201よりも若干広く
形成しいておくことが望ましい。
【0018】蓄熱層102は、例えば、支持基板101
であるアルミニウムを処理液の中に浸漬し、電流を流し
陽極酸化して形成できる。この陽極酸化においては、例
えばメッキ等で一般的に用いられているフォトレジスト
を用いて、熱作用部201を開口部とするパターンを形
成し、開口部を陽極酸化することにより、選択的に蓄熱
に必要な膜厚(好ましくは3μm以上)の厚い蓄熱層2
02を形成できる。一方、熱作用部以外の部分の薄い蓄
熱層102は、フォトレジストを除去した後、例えば再
度陽極酸化を行うことにより、絶縁性を確保し得る程度
の薄い陽極酸化膜として形成できる。この場合、例えば
厚い蓄熱層202を形成するための陽極酸化は成長速度
の大きい硫酸法(電解浴として硫酸を用いる)で行えば
よい。ただし、この陽極酸化膜は成長速度が早いが絶縁
性がやや劣るので、熱作用部以外の部分の薄い蓄熱層1
02を形成するための陽極酸化を行うとき、絶縁性の優
れた陽極酸化で蓄熱層202の絶縁性の補強を行うこと
が望ましい。この陽極酸化としては、例えば酒石酸浴を
用いた方法をとる。
【0019】熱作用部以外の部分の薄い蓄熱層102
は、陽極酸化以外の方法でも形成できる。例えば、厚い
蓄熱層202上及び他の領域全面に、他の絶縁膜(例え
ばスパッタSiO2 等)を剥離しない程度にかつ絶縁性
が保てる程度に形成して、薄い蓄熱層102としてもよ
い。
【0020】図1に示す例においては、更に蓄熱層10
2の上に、熱エネルギーの発生手段である電気熱変換体
(エネルギー発生素子)として機能する発熱抵抗層10
3、電極層104、第1〜第3の保護層105〜107
が順次設けられている。これら各部に関しては、本発明
において特に制限は無く、従来と同様の構成を適宜採用
すれば良い。
【0021】インクジェットヘッドを製造するには、例
えば図1に示したヒーターボードを用い、通常の方法
で、インク液滴を吐出するためのインク吐出口、インク
液滴を吐出するための熱エネルギーがインクに作用する
熱作用部に面しかつインク吐出口に連通する液路、及
び、インクを液路に供給するインク供給口等を形成し、
例えば図2に示す様なインクジェットヘッドを製造でき
る。なお、図2において、301はインク吐出口、30
2はインク供給口である。ヒーターボード以外の各部に
関しても本発明において特に制限は無く、従来と同様の
構成を適宜採用すれば良い。
【0022】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギ−を利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0023】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行なうものが好ましい。この記録方
式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれ
にも適用可能である。この記録方式を簡単に説明する
と、液体(インク)が保持されているシートや液路に対
応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応
して液体(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を
生じる様な急速な温度上昇を与えるための少なくとも一
つの駆動信号を印加することによって、熱エネルギーを
発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせ
る。この様に液体(インク)から電気熱変換体に付与す
る駆動信号に一対一対応した気泡を形成出来るため、特
にオンデマンド型の記録法には有効である。この気泡の
成長、収縮により吐出孔を介して液体(インク)を吐出
させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号
をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行
なわれるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書、同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発
明の米国特許第4313124号明細書に記載されてい
る条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことがで
きる。
【0024】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出孔、液流路、電気熱変換
体の組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流路)
の他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書に開示されている様に、熱作
用部が屈曲する領域に配置された構成を持つものも本発
明に含まれる。
【0025】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出孔とする構成を開
示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギー
の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開
示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成
においても本発明は有効である。更に、本発明が有効に
利用される記録ヘッドとしては、記録装置が記録できる
記録媒体の最大幅に対応した長さのフルラインタイプの
記録ヘッドがある。このフルラインヘッドは、上述した
明細書に開示されているような記録ヘッドを複数組み合
わせることによってフルライン構成にしたものや、一体
的に形成された一個のフルライン記録ヘッドであっても
良い。加えて、装置本体に装着されることで、装置本体
との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能
になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは
記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイ
プの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0026】又、本発明の記録装置に、記録ヘッドに対
する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別
の加熱素子、或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
手段を付加することも安定した記録を行なうために有効
である。
【0027】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせて
構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色カ
ラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0028】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0029】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いることも出来る。いずれにし
ても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイン
クが液化してインク液状として吐出するものや記録媒体
に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。このよ
うなインクは、特開昭54−56847号公報あるいは
特開昭60−71260号公報に記載されているよう
な、多孔質シートの凹部又は貫通孔に液状又は固形物と
して保持された状態で、電気熱変換体に対して対向する
ような形態としても良い。本発明において、上述した各
インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式
を実行するものである。
【0030】図3は本発明により得られた記録ヘッドを
インクジェットヘッドカートリッジ(IJC) として装着し
たインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示す外観斜視
図である。
【0031】図において、20はプラテン24上に送紙
されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を行な
うノズル群を備えたインクジェットヘッドカートリッジ
(IJC) である。16はIJC 20を保持するキャリッジH
Cであり、駆動モータ17の駆動力を伝達する駆動ベル
ト18の一部と連結し、互いに平行に配設された2本の
ガイドシャフト19Aおよび19Bと摺動可能とするこ
とにより、IJC 20の記録紙の全幅にわたる往復移動が
可能となる。
【0032】26はヘッド回復装置でありIJC 20の移
動経路の一端、例えばホームポジションと対向する位置
に配設される。伝動機構23を介したモータ22の駆動
力によって、ヘッド回復装置26を動作せしめ、IJC 2
0のキャッピングを行なう。このヘッド回復装置26の
キャップ部26AによるIJC 20のキャッピングに関連
させて、ヘッド回復装置26内に設けた適宜の吸引手段
によるインク吸引もしくはIJC 20へのインク供給経路
に設けた適宜の加圧手段によるインク圧送を行ない、イ
ンクを吐出口より強制的に排出させることによりノズル
内の増粘インクを除去する等の吐出回復処理を行なう。
また、記録終了時等にキャッピングを施すことによりIJ
C が保護される。
【0033】30はヘッド回復装置26の側面に配置さ
れ、シリコンゴムで形成されるワイピング部材としての
ブレードである。ブレード30は、ブレード保持部材3
0Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置2
6と同様、モータ22および伝導機構23によって動作
し、IJC 20の吐出面との係合が可能となる。これによ
り、IJC 20の記録動作における適切なタイミングで、
あるいはヘッド回復装置26を用いた吐出回復処理後
に、ブレード30をIJC 20の移動経路中に突出させ、
IJC 20の移動動作に伴ってIJC 20の吐出面における
結露、濡れあるいは塵埃等をふきとるものである。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0035】<実施例1>図1に示した構成のインクジ
ェットヘッドを、以下の様にして作製した。
【0036】まず、支持基板101としてアルミニウム
(99.9%)基板を用意した。この基板上に熱作用部
201を除きフォトレジストで被覆される様にパターニ
ングを行った(熱作用部から20μm離れている)。こ
の時、フォトレジストとしてAR−900(商品名、東
京応化工業製)を用い、膜厚は10μmとした。
【0037】次に、電解液=硫酸15%、電流密度=
1.5A/dm2 、電圧=15V、温度=25℃の条件
で、熱作用部の蓄熱層を陽極酸化で5μm形成した。陽
極酸化膜形成後、レジストをアセトンで剥離することに
より、熱作用部の厚い蓄熱層202を形成した。
【0038】次に、電解液=酒石酸アンモニウム1重量
%/水29.3重量%/エチレングリコール69.7重
量%、電流密度=0.5A/dm2 、電圧=250V、
温度=25℃の条件で、再度陽極酸化(未処理部膜厚
0.5μm)を行うことにより、熱作用部以外の部分の
薄い蓄熱層を形成した。
【0039】次に、発熱抵抗層103としてHfB2
スパッタ法で0.1μm成膜した。この時のシート抵抗
は18Ω/□であった。次に、電極層104としてA1
を蒸着法によって成膜した。次いで、フォトリソグラフ
ィーにより図1に示す構成の回路パターンを形成し、3
0μm×150μmの熱作用部201を形成した。更
に、第1の保護膜105としてSiO2 をスパッタ法に
より1μm成膜し、第2の保護膜106としてTaを
0.5μmスパッタ法により成膜した。更に、第3の保
護膜107として感光性ポリイミド(商品名フォトニー
ス、東レ社製)を塗布しパターニングした後キュアし
た。
【0040】上記の如く作製したヒーターボードを用い
て通常の方法で液路及びインク吐出口等を形成し、図2
に示す様なインクジェットヘッドを完成した。本実施例
で作製したヘッドは、蓄熱層と支持基板とからの剥離は
無くまた蓄熱層のクラックも発生しなかった。
【0041】<実施例2>実施例2においては、熱作用
部以外の部分の薄い蓄熱層を、陽極酸化の代りにスパッ
タ法により0.5μm形成すること以外は実施例1と同
様にインクジェット記録ヘッドを作製した。本実施例で
作製したヘッドも、同様に、蓄熱層と支持基板とからの
剥離は無くまた蓄熱層のクラックも発生しなかった。
【0042】<比較例1>比較例1においては、全ての
部分の蓄熱層を、スパッタ法により一様に2μm形成し
た以外は実施例1の工程に従い、図4に示した構成のイ
ンクジェットヘッドを作製した。本比較例では、蓄熱層
と支持基板とからの剥離及びクラックの発生が見られ
た。
【0043】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明のインクジェ
ットヘッドによれば、アルミニウム基板からなり蓄熱層
を少なくとも熱作用部を陽極酸化膜で蓄熱に必要な膜厚
を確保しそれ以外の領域は絶縁を確保できる比較的薄い
膜を形成し、しかも常温で絶縁膜を形成できる陽極酸化
法を用いるので、支持基板と蓄熱層との剥離や蓄熱層の
亀裂を防止できる。
【0044】また、本発明の製造方法によれば、安価な
アルミニウム基板を使用して、印字性能の優れたインク
ジェットヘッドを歩留まり良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェットヘッドのヒーターボー
ド付近の一構成例を示す模式図であり、(a)は拡大平
面図、(b)はそのX−Y切断線に沿った切断断面図で
ある。
【図2】本発明のインクジェットヘッドの一構成例を示
す模式的斜視図である。
【図3】本発明のインクジェット記録装置の一構成例を
示す模式的斜視図である。
【図4】従来のインクジェットヘッドのヒーターボード
付近の一構成例を示す模式図であり、(a)は拡大平面
図、(b)はそのX−Y切断線に沿った切断断面図であ
る。
【符号の説明】
101 支持基板 102 蓄熱層 103 発熱抵抗層 104 電極層 105 第1の保護層 106 第2の保護層 107 第3の保護層 201 熱作用部 202 熱作用部の厚い蓄熱層 301 インク吐出口 302 インク供給口

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出のための熱エネルギーをインクに与
    えるエネルギー発生素子と、該エネルギー発生素子に隣
    接して該熱エネルギーを蓄熱する絶縁性の蓄熱層と、該
    蓄熱層を支持する支持基板とを有するインクジェットヘ
    ッドにおいて、前記支持基板はアルミニウムを主成分と
    する基板であり、少なくとも前記熱エネルギーがインク
    に付与される熱作用部の蓄熱層はアルミニウムの陽極酸
    化膜であり、該熱作用部の蓄熱層の膜厚は他の部分の蓄
    熱層の膜厚よりも厚い事を特徴とするインクジェットヘ
    ッド。
  2. 【請求項2】 熱作用部の蓄熱層の膜厚が1μm以上で
    ある請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 吐出のための熱エネルギーをインクに与
    えるエネルギー発生素子と、該エネルギー発生素子に隣
    接して該熱エネルギーを蓄熱する絶縁性の蓄熱層と、該
    蓄熱層を支持する支持基板とを有するインクジェットヘ
    ッドの製造方法において、前記熱エネルギーがインクに
    付与される熱作用部の蓄熱層の膜厚は他の部分の蓄熱層
    の膜厚よりも厚く、かつアルミニウムを主成分とする支
    持基板を陽極酸化することにより少なくとも前記熱作用
    部の蓄熱層を形成する工程を含む事を特徴とするインク
    ジェットヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 アルミニウムを主成分とする支持基板上
    に、フォトレジストを用いて熱作用部を開口部とするパ
    ターンを形成し、該開口部を陽極酸化することにより該
    熱作用部の蓄熱層を形成し、該フォトレジストを除去し
    た後、該熱作用部の他の部分の蓄熱層を形成する請求項
    3記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 記録媒体の被記録面に対向してインクを
    吐出するインク吐出口が設けられている請求項1記載の
    インクジェットヘッドと、該ヘッドを載置するための部
    材とを少なくとも具備する事を特徴とする記録装置。
JP8527396A 1996-04-08 1996-04-08 インクジェットヘッド及びその製造方法 Pending JPH09277533A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011025548A (ja) * 2009-07-27 2011-02-10 Kyocera Corp 配線基板およびその製造方法、ならびに記録ヘッドおよび記録装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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