JPH09277088A - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

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JPH09277088A
JPH09277088A JP11710196A JP11710196A JPH09277088A JP H09277088 A JPH09277088 A JP H09277088A JP 11710196 A JP11710196 A JP 11710196A JP 11710196 A JP11710196 A JP 11710196A JP H09277088 A JPH09277088 A JP H09277088A
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welding
low temperature
flux
less
temperature toughness
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JP11710196A
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Hirotoshi Ishide
博俊 石出
Kazushi Suda
一師 須田
Toshihiro Miura
利宏 三浦
Ryuichi Shimura
竜一 志村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全姿勢溶接が可能で良好な溶接作業性が得ら
れ、かつ低温靱性をより低温域まで確保し、さらに溶接
後熱処理による低温靱性の脆化を改善したガスシールド
アーク溶接用フラックス入りワイヤを提供する。 【解決手段】 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガ
スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて
ワイヤ中にBa、Mg、Srの弗化物の2種または3種
を合計1.5%以下、弗化物/酸化物:0.2以下、酸
化物:4.0〜8.0%、TiO2:4.0〜6.0
%、C:0.1%以下、Nb:0.08%以下、V:
0.10%以下、Mg:0.2〜1.0%、Ni:2.
7〜5.0%、B:0.004〜0.010%の範囲に
規定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極低温域において
全姿勢溶接が可能で、良好な溶接作業性が得られ、低温
靱性が確保でき、さらに残留応力の緩和を目的として行
われる溶接後熱処理(以下 PWHT(post−we
ld heat treatment)という)によっ
ても低温靱性が劣化しないガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】チタニヤ系フラックスを充填材として使
用したフラックス入りワイヤは、シールドガスとしてC
2 またはAr−CO2 混合ガスを使用する全姿勢溶接
が可能で、優れたビード外観、ビード形状を与えると共
に良好な溶接作業性が得られ、また作業能率の向上が得
られ、海洋構造物、造船等の溶接に広く用いられる。し
かしチタニヤ系フラックスの欠点は、溶接金属中の酸素
量が低下しないため極低温域での低温靱性の確保が難し
く、下記の改善方法が開示されている。
【0003】(1)特公昭56−6840号公報では、
チタニヤ系フラックスにTi、Bを添加して低温靱性の
改善を図った発明が開示されているが、極低温域では良
好な低温靱性が得られなかった。
【0004】(2)特公昭59−44159号公報で
は、チタニヤ系フラックスにTi、B、Mgを複合添加
して低温靱性の改善を図った発明が開示されているが、
極低温域では良好な低温靱性が得られなかった。
【0005】(3)特公平2−15320号公報では、
チタニヤ系フラックスにおいてAl、Nを限定すること
により低温靱性の改善が図られたが、極低温域では良好
な低温靱性が得られなかった。
【0006】(4)特開平5−329684号公報で
は、ガスシールド溶接用塩基性フラックス入りワイヤの
技術が開示されているが、塩基性フラックスでは溶接金
属中の酸素量が低いため極低温域での低温靱性は良好で
あるが、全姿勢溶接が不可能であり溶接作業性が悪く、
さらにPWHTによって低温靱性が劣化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、極低温域
(−100℃〜−70℃)において全姿勢溶接が可能で
良好な溶接作業性が得られ、かつ低温靱性をより低温域
まで確保し、さらにPWHTによる低温靱性の劣化を改
善し、従来ワイヤの欠点を解消し、適用分野を拡大する
ことのできるガスシールドアーク溶接用フラックス入り
ワイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するためスラグ剤を従来のチタニヤ−弗化物(Ba
2 、MgF2 、SrF2 の2種または3種を合計1.
5%以下)系とし、TiO2 、弗化物/酸化物、酸化
物、C、Nb、V、Si、Mn、Mg、Ni、B、C
u、Al、Tiを規定することによりチタニヤ系フラッ
クスの最大の欠点であった溶接金属中の酸素量を低減し
た。また金属組織を粒内フェライト、粒界フェライト混
合組織化し、フェライトを固溶強化し、PWHTによる
炭化物の析出を抑制するようにした。これらにより全姿
勢溶接が可能で、良好な溶接作業性を維持しつつ低温靱
性を確保し、さらにPWHTによる低温靱性の劣化を改
善したことを特徴とする。
【0009】すなわち本発明の要旨とするところは、鋼
製外皮にフラックスを充填してなるガスシールドアーク
溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全重量に
対して重量%で、TiO2 :4.0〜6.0%、前記T
iO2 を含む酸化物:4.0〜8.0%、Ba、Mg、
Srの弗化物の2種または3種の合計:1.5%以下を
含有し、かつ、弗化物/酸化物:0.2以下とし、さら
に、C:0.10%以下、Nb:0.08%以下、V:
0.10%以下、Si:0.1〜0.8%、Mn:0.
3〜1.5%、Mg:0.2〜1.0%、B:0.00
4〜0.010%、Ni:2.7〜5.0%、Cu:
0.1〜0.3%を含有し、必要に応じてさらにAl:
0.01〜0.03%、Ti:0.05〜0.10%の
1種または2種を含有し、残部は鉄粉および不可避的不
純物からなるフラックスが充填されていることを特徴と
する極低温域において良好な溶接作業性が得られるガス
シールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は以下のような検討結果に
もとづいてなされたものである。すなわち上述したごと
く、チタニヤ系フラックス入りワイヤは全姿勢溶接可能
で、溶接作業性が優れているが、溶接金属中の酸素量が
高く、500ppm以下には低減できないため低温靱性
が確保できない。一方、弗化物系フラックス入りワイヤ
では溶接金属中の酸素量を400ppm以下に低減で
き、低温靱性の確保はできるが、溶接作業性が悪く、全
姿勢溶接は不可能である。さらに、PWHTによって炭
化物が析出し、低温靱性が劣化した。そこで、本発明者
等はさらに実験を重ね以下の事実を見出した。
【0011】(1)スラグ剤をチタニヤ系からチタニヤ
−弗化物系とし、さらに弗化物/酸化物、酸化物量、M
g量を規定することにより、良好な溶接作業性を持ちつ
つ、全姿勢溶接は可能で、溶接金属中の酸素量を350
ppm以下に低減できた。
【0012】(2)Bを一定範囲で添加することによ
り、フリ−Bが低温靱性を劣化させる粒界フェライトの
生成を抑制する。
【0013】(3)ワイヤ中のC、Nb、V量を制限す
ることによりPWHTにより炭化物の生成が抑制され、
PWHTによる低温靱性の劣化を防止できることがわか
った。
【0014】(4)ワイヤ中にNiを一定範囲で添加す
ることにより、フェライトのマトリックスが強化され、
低温靱性を確保し、さらにPWHTによる低温靱性の劣
化を防止する。
【0015】そこで、全姿勢溶接可能で、良好な溶接作
業性を維持し、低温靱性改善のため溶接金属中の酸素量
を低減し、金属組織中の粒界フェライトを抑制し、さら
にPWHTによる低温靱性の劣化を防止するには、スラ
グ剤をチタニヤ−弗化物系にし、酸素源となる酸化物量
および弗化物/酸化物を規定すること、さらに脱酸剤と
してMgを制限範囲で添加すること、さらにC、Nb、
V、Ni、Bを一定範囲で添加することが重要であるこ
とがわかった。それによって全姿勢溶接が可能で、良好
な溶接作業性を維持しつつ溶接金属中の酸素量を低減
し、PWHTにより炭化物の析出を抑制し、フェライト
のマトリックスを強化し、金属組織中の粒界フェライト
を抑制することに成功し、極低温域での低温靱性を改善
し、さらにPWHTによる低温靱性の劣化を防止するこ
とに成功した。以下に本発明における成分限定理由につ
いて述べる。
【0016】TiO2 :4.0〜6.0% TiO2 は溶接ビードを整えるスラグ形成剤としての性
質を示し、全姿勢溶接を可能にすると共にアーク安定剤
としても作用する。また、金属組織上で高靱性の得られ
る粒内フェライトの生成核となるTi酸化物を生成す
る。これは溶融プール形成時にTiO2 が還元され、生
成したTiが凝固過程で酸化物となり残留している脱酸
剤と複合酸化物を形成する。TiO2 がワイヤ全重量に
対して4.0%未満では、立向溶接でのビード形成が困
難になる。一方、6.0%超では、溶接金属中の酸素量
が増加し、低温靱性が劣化するため、TiO2 は4.0
〜6.0%とした。
【0017】酸化物:4.0〜8.0%(TiO2 を含
む) 本発明では、スラグ形成剤としてTiO2 の他にSiO
2 、FeO、Al23 、ZrO2 また、CaCO3
どの炭酸塩での酸化物を併用することができるが、酸化
物の添加量が8.0%超では、スラグ巻き込みを起こし
易く、かつ溶接金属中の酸素量を増加させ、低温靱性を
劣化させるため酸化物の添加量を8.0%以下とした。
なお酸化物量の下限は前記TiO2 の下限である4.0
%になる。
【0018】弗化物:Ba、Mg、Sr弗化物の2種ま
たは3種の合計1.5%以下 Ba、Mg、Sr弗化物は、スラグ剤として溶接金属を
被包し、ビード形状を良好にすると共に溶融金属内の不
純物を浮上させて溶接金属を清浄化し低温靱性を向上さ
せる。Ba、Mg、Sr弗化物の2種または3種がワイ
ヤ全重量に対して、0.3%程度以上であれば効果があ
るが、1.5%超になると立向溶接時に溶融金属が垂れ
下がりビード形成が不可能になるので、その範囲を1.
5%以下とした。
【0019】弗化物/酸化物:0.2以下 弗化物/酸化物が0.2超では立向溶接において溶融金
属が垂れ下がりビード形成が困難になり、さらにスパッ
タが多く、アーク安定性、ビード形状、スラグ剥離性が
悪くなる。したがって弗化物/酸化物を0.2以下にし
た。なお、弗化物としては前記において規定したBaF
2 、MgF2 、SrF2 の他に、CaF2 、MnF2
アルカリ金属弗化物としてK2 SiF6 、NaF、Na
2 SiF6 、Na3 AlF6 等が併用できる。またここ
での酸化物は前記において規定したTiO2 を含むすべ
て酸化物量である。
【0020】C:0.1%以下 Cは脱酸剤としての効果があり、さらに溶接金属の強度
を改善する上で効果がある。しかしながらCが多過ぎる
とPWHTにより溶接金属中に炭化物が析出し低温靱性
を劣化させるため、ワイヤ全重量に対して0.1%以下
とした。
【0021】Nb:0.08%以下 Nbは脱酸補助作用としての効果があり、さらに溶接金
属の強度を改善する上で効果があり、0.01%程度以
上添加される。しかしながらワイヤ全重量に対して0.
08%超では、PWHTよってNb炭化物を析出し、図
1のグラフに実験結果を示したように低温靱性を劣化さ
せるため、0.08%以下とした。
【0022】V:0.1%以下 Vは脱酸補助作用があり、オ−ステナイト結晶粒を微細
化するとともに結晶粒の成長を抑制し、さらに強度を改
善させる効果があり、0.01%程度以上添加される。
しかしながらワイヤ全重量に対して、0.1%超ではP
WHTによってV炭化物が析出し、図2のグラフに実験
結果を示すように低温靱性を劣化させるため0.1%以
下とした。
【0023】Si:0.1〜0.8% Siは脱酸剤として溶接金属中の酸素量を低減させる効
果がある。しかしながら0.1%未満ではその効果が不
十分で、0.8%超では低温靱性を劣化させるので、そ
の範囲を0.1〜0.8%とした。
【0024】Mn:0.3〜1.5% Mnは脱酸作用を促進させ、溶融金属の流動性を改善す
る上で効果があり、また強度を改善する上でも効果があ
る。さらに、金属組織の上で粒内フェライト生成の補助
作用がある。しかし0.3%未満では脱酸効果が不十分
であり、また粒界フェライトが多量に生成し低温靱性を
劣化させる。一方1.5%超では、組織中にラス状ベイ
ナイトが多量に生成し低温靱性を劣化させるため、その
範囲を0.3〜1.5%とした。
【0025】Mg:0.2〜1.0% Mgは高温のアーク中において酸素と反応し、ワイヤ先
端の溶滴の段階で脱酸反応が行われる。その結果、脱酸
生成物が溶融池内に残留せず、さらに溶融池内で反応す
るSi、Mnの脱酸反応を助け、溶接金属中の酸素量を
減少させる効果がある。しかし、0.2%未満では上記
の効果が不十分であり、また1.0%超では立向溶接で
は溶融金属の粘性が上がり、スパッタが多く、ビード形
状、スラグ剥離性が悪く、その範囲を0.2〜1.0%
とした。
【0026】B:0.004〜0.010% Bはオーステナイト粒界のフリ−Bが粒界の変態を遅ら
せて、金属組織中の粒界フェライトの生成を抑制し、ま
たBNとしてNを固定させる効果がある。その量が0.
004%未満では、粒界フェライト抑制効果が不十分
で、一方、0.010%超ではベイナイト組織となるの
でその範囲を0.004〜0.010%とした。
【0027】Ni:2.7〜5.0% Niは金属中のフェライトのマトリックスを固溶強化す
る効果があり、低温靱性を確保し、PWHTによる低温
靱性の劣化を防止する効果がある。さらにCuと共に添
加することにより局部電池の形成を抑制し、耐蝕性向上
効果が得られる。その量が2.7%未満ではPWHTに
より低温靱性が劣化し、5.0%超では高温割れが起こ
るためその範囲を2.7〜5.0%とした。
【0028】Cu:0.1〜0.3% CuはNiとともに添加することにより局部電池の形成
を抑制し、耐蝕性向上効果が得られるが0.1%未満で
は効果が少なく、0.3%超では高温割れが起こるため
その範囲を0.1〜0.3%とした。
【0029】Al:0.01〜0.03% Alは必要に応じて添加するが、強脱酸剤としての効果
がある。さらに金属組織において粒内フェライトを生成
させる効果がある。その量で0.01%未満では上記の
効果が不十分で、一方0.03%超では溶接金属中の酸
素量が逆に増加し、金属組織はベイナイトとなり低温靱
性を劣化するので、その範囲を0.01〜0.03%と
した。
【0030】Ti:0.05〜0.10% Tiは必要に応じて添加するが、強脱酸剤としての効果
があり、さらにBの酸化消耗を抑制し、高温域でTiN
を形成しNを固定するため冷却過程でBがBNとなるこ
とを妨げ、オーステナイト粒界でのフリ−Bを確保する
効果がある。その量で0.05%未満では上記の効果が
不十分で、0.10%超では炭化物を形成し、低温靱性
を劣化させるためその範囲を0.05〜0.10%とし
た。
【0031】鋼製外皮としては、充填加工性の点から深
絞り性の良好な冷間圧延鋼材または熱間圧延鋼材が用い
られる。また、フラックスの充填率は特に限定されない
が、製造上伸線性を考慮してワイヤ重量に対して10〜
30%の範囲が最も適当である。なお、ワイヤの断面形
状には何ら制限がなく、2.0mm以下の細径の場合は
比較的単純な円筒状のものがよく、また2.4〜3.2
mm程度の太径ワイヤの場合は、フープを内部へ複雑に
折り込んだ構造のものが一般的である。また、シームレ
スワイヤにおいては、Cuメッキ処理を施すことも通電
性に対して有効である。さらに、溶接対象鋼種としては
低温用鋼の溶接に適用することも可能である。
【0032】
【実施例】実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明
する。鋼製外皮を用い、外皮の中空部にフラックスを充
填後伸線し、1.2mm径に仕上げてフラックス入りワ
イヤを作成した。ワイヤの成分組成を表1ないし表5
に、実験結果を表6および表7に示す。これらの表にお
いて、No.1〜8は比較例であり、No.9〜24は
本発明の実施例である。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】上記のワイヤを用いて、以下の溶接条件で
溶接を行った。 (溶接作業性試験の溶接条件) 溶接姿勢 :下向、立向 溶接電流 :直流逆極性 270A(下向)、220A(立向) アーク電圧 :27V(下向)、20V(立向) シールドガス :Ar−20%CO2 (流量:25リットル/分) チップ−母材間距離:20mm 母材 :板厚:12.5mm、鋼種:SM−490B 溶接形態 :平板突合せ溶接(下向)、すみ肉溶接(立向)
【0041】 (性能試験の溶接条件) 溶接姿勢 :下向 溶接電流 :直流逆極性 270A アーク電圧 :27V 溶接速度 :25cm/分 シールドガス :Ar−20%CO2 (流量:25リットル/分) チップ−母材間距離:20mm 母材 :板厚:35mm、鋼種:TiO鋼
【0042】溶接作業性試験は立向上進性、溶滴移行
性、スパッタ、スラグ被包性、ビード形状等を総合判定
し、良好なものを○、いずれかが劣るものを×とした
(表6、表7)。また性能試験における溶接後の熱処理
温度は、炉内温度を580℃に設定し、保持時間を3時
間、昇温速度を50℃/h、降温速度:−50℃/hで
実施した(JIS Z3700に準拠)。
【0043】(機械的性能)機械的性能は常温引張試験
で評価した。引張試験片は各試験体について図3の開先
断面図における1st側の表面下6mmより採取した
(JIS Z3111に準拠)。なお、引張試験の試験
温度は室温(20℃)で実施した。
【0044】(低温靱性)低温靱性は、−70℃での衝
撃試験(表6、表7のvE-70 )および−50℃でのC
TOD試験(表6、表7のδc-50 )で評価した。衝撃
試験片は1st側の表面下6mmより採取した(JIS
Z3111に準拠)。またCTOD試験片は溶接部中
央部に疲労ノッチを入れた(BS 5762に準拠)。
【0045】(耐蝕性試験)耐蝕性試験は上記の溶接条
件で作成した溶接金属の表面下1mmから厚さ5mmの
試験片を採取し、3%食塩水中で3箇月間の回転浸漬試
験を行った。耐蝕性試験後の測定部溶接金属の最低厚さ
を測定し、試験前の厚さ(5mm)の差を求め、0.2
mm以下を○、0.2mmを超えるものを×とした(表
6、表7)。
【0046】表6および表7の試験結果から明らかなよ
うに、比較例であるNo.1はTiO2 量が少なく、弗
化物/酸化物が大きいため溶接作業性が悪く、立向上進
溶接が不可能であった。またNo.2はMg量が多いた
めスラグの粘性が大きくなり溶接作業性が悪く、さらに
TiO2 量が多く酸化物量が多いため、低温靱性が劣化
した。
【0047】No.3は弗化物/酸化物が大きいため溶
接作業性が悪く、Ni量が多くB量が少ないためPWH
Tにより低温靱性が劣化した。またNo.4はB量が少
ないためPWHTにより低温靱性が劣化した。
【0048】No.5はTiO2 量が少なく、弗化物/
酸化物が大きいため溶接作業性が悪く、C、Si、M
n、Vが多く金属組織がベイナイト組織となり、Ni量
が少なくマトリックスが弱いため低温靱性が劣化した。
またNo.6はTiO2 が多く、Mg量が少ないため溶
接金属中の酸素量が多く、低温靱性が劣化した。
【0049】No.7は弗化物/酸化物が大きく、Mn
が添加されていないため溶接作業性が悪く、Ni添加が
ないためマトリックスが弱く、Cu量が少ないため耐蝕
性が悪い。またNo.8は弗化物/酸化物が多く溶接作
業性が悪く、Ni量が多いため溶接金属に高温割れが発
生した。
【0050】一方、本発明例であるNo.9〜24のワ
イヤでは全姿勢溶接が可能で、良好な溶接作業性を維持
しつつ溶接金属中の酸素量が350ppm以下となり、
金属組織が粒内フェライト、粒界フェライト混合組織に
なり、マトリックスが強化され、PWHTよる炭化物の
析出が抑制された。この結果−70℃での衝撃値および
−50℃でのCTOD値に優れていることが確認され
た。さらに、PWHT後の溶接金属に対しても、−70
℃での衝撃値および−50℃でのCTOD値について劣
化が起こらず優れていることが確認された。また、耐蝕
性にも優れていることが確認された。
【0051】
【発明の効果】本発明のガスシールドア−ク溶接用フラ
ックス入りワイヤは前記のように構成されており、全姿
勢溶接が可能で溶接作業性が優れている。また、スラグ
剤をチタニヤ−弗化物系とし弗化物および弗化物量/酸
化物量を規定すること、合金成分の組み合わせおよび添
加量を規定することにより、低温靱性を改善し、PWH
Tによる低温靱性の劣化を防止することが可能になっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワイヤ中のNb量とvE-70 との関係を示すグ
ラフ
【図2】ワイヤ中のV量とvE-70 との関係を示すグラ
【図3】実施例の溶接における母材の開先形状を示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志村 竜一 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガ
    スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
    て、ワイヤ全重量に対して重量%で、 TiO2 :4.0〜6.0%、 前記TiO2 を含む酸化物:4.0〜8.0%、 Ba、Mg、Srの弗化物の2種または3種の合計:
    1.5%以下を含有し、かつ、 弗化物/酸化物:0.2以下 とし、さらに、 C :0.10%以下、 Nb:0.08%以下、 V :0.10%以下、 Si:0.1〜0.8%、 Mn:0.3〜1.5%、 Mg:0.2〜1.0%、 B :0.004〜0.010%、 Ni:2.7〜5.0%、 Cu:0.1〜0.3% を含有し、残部は鉄粉および不可避的不純物からなるフ
    ラックスが充填されていることを特徴とする極低温域に
    おいて良好な溶接作業性が得られるガスシールドアーク
    溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 ワイヤ全重量に対してさらに、 Al:0.01〜0.03%、 Ti:0.05〜0.10% の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1
    に記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイ
    ヤ。
JP11710196A 1996-04-16 1996-04-16 ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ Withdrawn JPH09277088A (ja)

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