JPH09276673A - 高透過性複合逆浸透膜 - Google Patents

高透過性複合逆浸透膜

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JPH09276673A
JPH09276673A JP8093732A JP9373296A JPH09276673A JP H09276673 A JPH09276673 A JP H09276673A JP 8093732 A JP8093732 A JP 8093732A JP 9373296 A JP9373296 A JP 9373296A JP H09276673 A JPH09276673 A JP H09276673A
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JP
Japan
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reverse osmosis
osmosis membrane
composite reverse
thin film
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JP8093732A
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Masahiko Hirose
雅彦 廣瀬
Hiroyoshi Ito
弘喜 伊藤
Tomoumi Obara
知海 小原
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】芳香族ポリアミド系の逆浸透膜において、超低
圧での運転が可能で、かつ溶存シリカ阻止性能が低いた
め高回収率運転が可能で経済性にも安価で、家庭で用い
る浄水器などに適用できる複合逆浸透膜を提供する。 【解決手段】2つ以上の反応性のアミノ基を有する多官
能性アミン化合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基
を有する多官能性酸ハロゲン化合物とを界面重縮合反応
させる際に、たとえば沸点73〜140℃程度の溶媒を
用いて、5秒以下の数秒間というきわめて短時間の反応
をさせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状混合物中の成
分を選択的に分離するための複合逆浸透膜に関し、詳し
くは、微多孔性支持体上にポリアミドを主成分とする活
性層あるいは薄膜とも呼ばれるスキン層を備えた高塩阻
止率と高透過流束を併せ有する複合逆浸透膜に関する。
【0002】
【従来の技術】複合逆浸透膜は、超純水の製造、海水ま
たはかん水の脱塩などに好適に用いられ、また染色排水
や電着塗料排水などの公害発生原因である汚れ等から、
その中に含まれる汚染源あるいは有効物質を除去回収
し、ひいては排水のクローズ化に寄与することができ
る。また食品用途等での有効成分の濃縮等や、浄水や下
水用途等での有害成分の除去などの高度処理に用いるこ
とができる。
【0003】従来より、非対称逆浸透膜とは構造が異な
る逆浸透膜として、微多孔性支持体上に実質的に選択分
離性を有する活性なスキン層を形成してなる複合逆浸透
膜が知られている。
【0004】現在かかる複合逆浸透膜として、多官能芳
香族アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重合
によって得られるポリアミドからなるスキン層が、支持
体上に形成されたものが多く知られている(例えば特開
昭55−147106号公報、特開昭62−12160
3号公報、特開昭63−218208号公報、特公平6
−73617号公報)。
【0005】前記複合逆浸透膜は、高い脱塩性能及び水
透過性能を有するが、さらに水透過性を向上させること
が、運転コストや設備コストの低減や効率面などの点か
ら望まれている。また透過水が供給水に対しどのくらい
回収できるかということを示す回収率を、できるだけ上
げることが望まれている。しかし例えば浄水用途などの
高回収率運転で、あまりイオン性成分を除去する必要が
なく、有害な物質だけを除去する必要がある場合、供給
水のシリカイオン濃度が高い場合、高イオン阻止率の逆
浸透膜を使用すると、濃縮水中のシリカイオン濃度が高
くなり、シリカスケールとして析出し、逆浸透膜を詰ま
らせるという問題がある。また低イオン阻止率の逆浸透
膜を使用すると、シリカによるスケールは生じないが、
有害物質そのものも除去し得ない。これらの問題に対
し、pH等の調整による運転方法でシリカの析出を抑制
する方法が提案されている(例えば特開平7−1639
79号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平7−163979号公報等の提案は、pH調整に必
要な設備や薬品のコストがかかり、日々のメンテナンス
が必要である。そのため通常の運転条件で、低圧でかつ
高回収率で運転できる逆浸透膜が望まれている。
【0007】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、高い水透過性能を有し、かつ高回収率で運転できる
複合逆浸透膜を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の高透過性複合逆浸透膜は、薄膜とこれを支
持する微多孔性支持体とからなる複合逆浸透膜におい
て、上記薄膜が、2つ以上の反応性のアミノ基を有する
化合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド基を有する多
官能性酸ハロゲン化合物を界面重縮合反応させて得られ
たポリアミド系スキン層であり、操作圧力5kgf/c
2 、温度25℃、pH6.5の運転条件下において、
塩化ナトリウム500ppmを含有する水溶液で評価し
たときの性能が塩化ナトリウム阻止率が40%以上80
%以下、透過流束が0.8m3 /m2・日以上であり、
イソプロピルアルコール500ppmを含有する水溶液
で評価したときの性能がイソプロピルアルコール阻止率
が20%以上であり、かつ溶存シリカ50ppmを含有
する水溶液で評価したときの性能が溶存シリカ阻止率が
60%以下であることを特徴とする高透過性複合逆浸透
膜であることを特徴とする。
【0009】前記複合逆浸透膜は、操作圧力5kgf/
cm2 、温度25℃にて塩化ナトリウム500ppmを
含有するpH6.5の水溶液で評価したときの性能が塩
の阻止率が40%以上80%以下、透過流束が0.8m
3 /m2 ・日以上でなければならない。好ましくは透過
流束が1m3 /m2 ・日以上である。
【0010】前記複合逆浸透膜は、操作圧力5kgf/
cm2 、温度25℃にてイソプロピルアルコール500
ppmを含有するpH6.5の水溶液で評価したときの
性能がイソプロピルアルコールの阻止率が20%以上で
なければならない。好ましくは25%以上である。
【0011】前記複合逆浸透膜は、操作圧力5kgf/
cm2 、温度25℃にて溶存シリカ50ppmを含有す
るpH6.5の水溶液で評価したときの性能が溶存シリ
カ阻止率が60%以下でなければならない。好ましくは
55%以下である。
【0012】前記複合逆浸透膜のポリアミド系スキン層
が芳香族架橋ポリアミドであることが好ましい。脂肪族
などのポリアミドの場合、芳香族ポリアミドと比べて耐
薬品性等の化学的耐性が劣るため、長期使用時などに生
じるスライムやスケールなどの化学洗浄後の性能が低下
する。また線状ポリアミドよりも架橋ポリアミドの方が
耐性面で優れている。好ましくは、全芳香族架橋ポリア
ミドである。
【0013】かかる複合逆浸透膜は、従来の複合逆浸透
膜では実用上運転ができなかった超低圧での運転が可能
で、かつ溶存シリカ阻止性能が低いため高回収率運転が
可能で経済性に極めて優れており、例えば家庭で用いる
ことができる複合逆浸透膜を利用した浄水器などにも用
いることができる。またシリカを含んだ供給水を高回収
率で運転することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の高透過性逆浸透膜は、上
記性能を満足する複合逆浸透膜が得られる製法であれば
特に限定されない。
【0015】例えば本発明の複合逆浸透膜は、たとえば
2つ以上の反応性のアミノ基を有する化合物と、2つ以
上の反応性の酸ハライド基を有する多官能性酸ハロゲン
化合物との界面重縮合反応時に、溶解度パラメーターが
8〜14(cal/cm3 )1/2 の化合物、例えばアルコール
類、エーテル類、ケトン類、エステル類、ハロゲン化炭
化水素類、及び含硫黄化合物類などから選ばれる少なく
とも一つの化合物の存在させることにより製造すること
ができる。かかるアルコール類としては、例えば、エタ
ノール、プロパノール、ブタノール、ブチルアルコー
ル、1−ペンタノール、2−ペンタノール、t−アミル
アルコール、イソアミルアルコール、イソブチルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、ウンデカノール、2−
エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノ
ール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルア
ルコール、ネオペンチルグリコール、t−ブタノール、
ベンジルアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、
3−メチル−2−ブタノール、ペンチルアルコール、ア
リルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリ
コール等が挙げられる。
【0016】またエーテル類としては例えば、アニソー
ル、エチルイソアミルエーテル、エチル−t−ブチルエ
ーテル、エチルベンジルエーテル、クラウンエーテル、
クレジルメチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジイ
ソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、
ジグリシジルエーテル、シネオール、ジフェニルエーテ
ル、ジブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジベンジ
ルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドロピラン、
テトラヒドロフラン、トリオキサン、ジクロロエチルエ
ーテル、ブチルフェニルエーテル、フラン、メチル−t
−ブチルエーテル、モノジクロロジエチルエーテル、エ
チレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコー
ルジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエー
テル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエ
チレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレンクロロヒドリン等が挙げられる。
【0017】またケトン類としては例えば、エチルブチ
イルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブ
チルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサ
ン等が挙げられる。
【0018】またエステル類としては例えば、ギ酸メチ
ル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソ
ブチル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル
等が挙げられる。またハロゲン化炭化水素類としては例
えば、アリルクロライド、塩化アミル、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン等が挙げられる。
【0019】また含硫黄化合物類としては例えば、ジメ
チルスルホキシド、スルホラン、チオラン等が挙げられ
る。これらの中でも特にアルコール類、エーテル類が好
ましい。これらの化合物は単独であるいは複数で存在さ
せることができる。
【0020】本発明で用いられるアミン成分は、2つ以
上の反応性のアミノ基を有する多官能アミンであれば特
に限定されず、芳香族、脂肪族、または脂環式の多官能
アミンが挙げられる。
【0021】かかる芳香族多官能アミンとしては、例え
ば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、1,3,5-トリアミノベンゼン、1,2,4-トリアミノベン
ゼン、8,5-ジアミノ安息香酸、2,4-ジアミノトルエン、
2,4-ジアミノアニソール、アミドール、キシリレンジア
ミン等が挙げられる。また脂肪族多官能アミンとして
は、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、
トリス(2−アミノエチル)アミン等が挙げられる。ま
た、脂環式多官能アミンとしては、例えば、1,3-ジアミ
ノシクロヘキサン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,4-
ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、2,5-ジメチルピ
ペラジン、4-アミノメチルピペラジン等が挙げられる。
これらのアミンは、単独として用いられてもよく、混合
物として用いられてもよい。好ましくは芳香族アミンで
ある。
【0022】また本発明で用いられる多官能性酸ハロゲ
ン化物は、特に限定されず、芳香族、脂肪族、脂環式等
の多官能性酸ハロゲン化物が挙げられる。かかる芳香族
多官能性酸ハロゲン化物としては、例えば、トリメシン
酸クロライド、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸
クロライド、ビフェニルジカルボン酸クロライド、ナフ
タレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホ
ン酸クロライド、ベンゼンジスルホン酸クロライド、ク
ロロスルホニルベンゼンジカルボン酸クロライド等が挙
げられる。
【0023】また脂肪族多官能性酸ハロゲン化物として
は、例えば、プロパントリカルボン酸クロライド、ブタ
ントリカルボン酸クロライド、ペンタントリカルボン酸
クロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライド
等が挙げられる。
【0024】また脂環式多官能性酸ハロゲン化物として
は、例えば、シクロプロパントリカルボン酸クロライ
ド、シクロブタンテトラカルボン酸クロライド、シクロ
ペンタントリカルボン酸クロライド、シクロペンタンテ
トラカルボン酸クロライド、シクロヘキサントリカルボ
ン酸クロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン
酸クロライド、シクロペンタンジカルボン酸クロライ
ド、シクロブタンジカルボン酸クロライド、シクロヘキ
サンジカルボン酸クロライド、テトラハイドロフランジ
カルボン酸クロライド等が挙げられる。これらの酸ハラ
イド単独で用いてもよく、混合物として用いてもよい。
好ましくは芳香族多官能酸ハロゲン化物である。
【0025】また、アミン化合物、酸ハロゲン化物の一
方もしくは両方共が、3官能以上の化合物である方が架
橋する為好ましい。本発明においては、前記アミン成分
と、前記酸ハライド成分とを、界面重合させることによ
り、多孔性支持体上に架橋ポリアミドを主成分とする薄
膜が形成された複合逆浸透膜が得られる。
【0026】本発明において前記薄膜を支持する多孔性
支持体は、薄膜を支持し得る物であれば特に限定され
ず、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンのよ
うなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリ
フッ化ビニリデンなど種々のものを挙げることができる
が、特に、化学的、機械的、熱的に安定である点から、
ポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホンからなる
多孔性支持膜が好ましく用いられる。かかる多孔性支持
体は、通常、約25〜125μm、好ましくは約40〜
75μmの厚みを有するが、必ずしもこれらに限定され
るものではない。
【0027】より詳細には、多孔性支持体上に、前記ア
ミン成分を含有する溶液からなる第1の層を形成し、次
いで前記酸ハライド成分を含有する溶液からなる層を前
記第1の層上に形成し、界面重縮合を行って、架橋ポリ
アミドからなる薄膜を多孔性支持体上に形成させること
によって得ることができる。
【0028】多官能アミンを含有する溶液は、製膜を容
易にし、あるいは得られる複合逆浸透膜の性能を向上さ
せるために、さらに、例えば、ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸等の重合体や、
ソルビトール、グリセリン等のような多価アルコールを
少量含有させることもできる。
【0029】また、特開平2−187135号公報に記
載のアミン塩、例えばテトラアルキルアンモニウムハラ
イドやトリアルキルアミンと有機酸とによる塩等も、製
膜を容易にする、アミン溶液の支持体への吸収性を良く
する、縮合反応を促進する等の点で好適に用いられる。
【0030】また、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウ
ム等の界面活性剤を含有させることもできる。これらの
界面活性剤は、多官能アミンを含有する溶液の多孔性支
持体への濡れ性を改善するのに効果がある。
【0031】さらに、前記界面での重縮合反応を促進す
るために、界面反応にて生成するハロゲン化水素を除去
し得る水酸化ナトリウムやリン酸三ナトリウムを用い、
あるいは触媒として、アシル化触媒等を用いることも有
益である。
【0032】前記酸ハライドを含有する溶液及び多官能
アミンを含有する溶液において、酸ハライド及び多官能
アミンの濃度は、特に限定されるものではないが、酸ハ
ライドは、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.0
5〜1重量%であり、多官能アミンは、通常0.1〜1
0重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0033】このようにして、多孔性支持体上に多官能
アミンを含有する溶液を被覆し、次いでその上に多官能
酸ハライド化合物を含有する溶液を被覆した後、それぞ
れ余分の溶液を除去し、次いで、通常約20〜150
℃、好ましくは約70〜130℃で、約1〜10分間、
好ましくは約2〜8分間加熱乾燥して、架橋ポリアミド
からなる水透過性の薄膜を形成させる。この薄膜は、そ
の厚さが、通常約0.05〜2μm、好ましくは約0.
1〜1μmの範囲にある。
【0034】前記した本発明の薄膜は、2つ以上の反応
性のアミノ基を有する多官能性アミン化合物と、2つ以
上の反応性の酸ハライド基を有する多官能性酸ハロゲン
化合物とを界面重縮合反応させる際に、たとえば沸点7
3〜140℃程度の溶媒を用いて、5秒以下、好ましく
は1〜2秒間というきわめて短時間反応させることによ
り得ることができる。従来は概ね10秒前後もしくはそ
れ以上の時間反応させていた。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0036】なお、微多孔性支持体としては、ポリスル
ホン系限外濾過膜を用いた。
【0037】
【実施例1】m−フェニレンジアミン3.0重量%、ラ
ウリル硫酸ナトリウム0.15重量%、トリエチルアミ
ン3.0重量%、カンファースルホン酸6.0重量%、
イソプロピルアルコール9重量%を含有した水溶液を、
多孔性ポリスルホン支持膜に数秒間接触させて、余分の
溶液を除去して支持膜上に上記溶液の層を形成した。
【0038】次いで、かかる支持膜の表面に、トリメシ
ン酸クロライド0.15重量%、イソプロピルアルコー
ル0.06重量%を含むIP1016(出光化学(株)
製イソパラフィン系炭化水素油:沸点73〜140℃)
溶液を5秒以下の数秒間接触させ、風乾して溶媒を除去
し、その後120℃の熱風乾燥機の中で3分間保持し
て、支持膜上に重合体薄膜を形成させ、複合逆浸透膜を
得た。得られた複合逆浸透膜の性能は、500ppmの
塩化ナトリウムを含むpH6.5の食塩水を、5kgf
/cm2 の圧力で評価したところ、透過液電導度による
塩阻止率は75%、透過流束は1.2m3 /m2 ・日で
あった。また500ppmのイソプロピルアルコールを
含むpH6.5の液を、5kgf/cm2 の圧力で評価
したところ、イソプロピルアルコール阻止率は30%以
上であった。また50ppmの溶存シリカを含むpH
6.5の液を、5kgf/cm2 の圧力で評価したとこ
ろ、溶存シリカ阻止率は33%であった。
【0039】この膜をスパイラルエレメントにし、溶存
シリカ40ppmを含む井戸水を供給液として回収率を
90%にし3kgf/cm2 の圧力で連続運転を実施し
たところ、初期の透過水量は4m3 /日で、2週間後の
透過水量も4m3 /日と透過水量の低下は見られなかっ
た。
【0040】この様に本実施例の複合逆浸透膜は、従来
のものに比べ3kgf/cm2 という超低圧でも運転可
能で、しかも高回収率運転が可能であることが確認でき
た。
【0041】
【比較例1】実施例1において、アミン水溶液、酸クロ
ライド有機溶液にイソプロピルアルコールを添加しない
以外は、実施例1と同様にして複合逆浸透膜を得た。得
られた複合逆浸透膜の性能は、500ppmの塩化ナト
リウムを含むpH6.5の食塩水を、5kgf/cm2
の圧力で評価したところ、塩阻止率は99%、透過流束
は0.4m3 /m2 ・日で透過流束が低く、実用的でな
かった。またイソプロピルアルコール阻止率は90%、
溶存シリカ阻止率は99%であった。
【0042】この膜を実施例1と同様スパイラルエレメ
ントにし、90%回収で8kgf/cm2 の圧力で連続
運転を実施したところ、初期の透過水量は4m3 /日で
あったが、2週間後の透過水量は0m3 /日に大幅に低
下した。
【0043】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
薄膜とこれを支持する微多孔性支持体とからなる複合逆
浸透膜において、前記薄膜が、2つ以上の反応性のアミ
ノ基を有する化合物と、2つ以上の反応性の酸ハライド
基を有する多官能性酸ハロゲン化合物を反応させて得ら
れたポリアミド系スキン層であり、操作圧力5kgf/
cm2 、温度25℃、pH6.5の運転条件下におい
て、塩化ナトリウム500ppmを含有する水溶液で評
価したときの性能が塩化ナトリウム阻止率が40%以上
80%以下、透過流束が0.8m3 /m2 ・日以上であ
り、イソプロピルアルコール500ppmを含有する水
溶液で評価したときの性能がイソプロピルアルコール阻
止率が20%以上であり、かつ溶存シリカ50ppmを
含有する水溶液で評価したときの性能が溶存シリカ阻止
率が60%以下であることにより、高い水透過性能を有
し、かつ高回収率で運転できる複合逆浸透膜を実現する
ことができた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜とこれを支持する微多孔性支持体と
    からなる複合逆浸透膜において、前記薄膜が、2つ以上
    の反応性のアミノ基を有する化合物と、2つ以上の反応
    性の酸ハライド基を有する多官能性酸ハロゲン化合物を
    反応させて得られたポリアミド系スキン層であり、操作
    圧力5kgf/cm2 、温度25℃、pH6.5の運転
    条件下において、塩化ナトリウム500ppmを含有す
    る水溶液で評価したときの性能が塩化ナトリウム阻止率
    が40%以上80%以下、透過流束が0.8m3 /m2
    ・日以上であり、イソプロピルアルコール500ppm
    を含有する水溶液で評価したときの性能がイソプロピル
    アルコール阻止率が20%以上であり、かつ溶存シリカ
    50ppmを含有する水溶液で評価したときの性能が溶
    存シリカ阻止率が60%以下であることを特徴とする高
    透過性複合逆浸透膜。
  2. 【請求項2】 薄膜ポリアミド系スキン層を有し、前記
    スキン層が芳香族架橋ポリアミドである請求項1に記載
    の高透過性複合逆浸透膜。
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