JPH09275927A - きのこ類の酵素による完全分解方法 - Google Patents

きのこ類の酵素による完全分解方法

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JPH09275927A
JPH09275927A JP8088077A JP8807796A JPH09275927A JP H09275927 A JPH09275927 A JP H09275927A JP 8088077 A JP8088077 A JP 8088077A JP 8807796 A JP8807796 A JP 8807796A JP H09275927 A JPH09275927 A JP H09275927A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】きのこ類の子実体をほぼ完全に分解して、これ
を容易に各種食品等に有効利用するための方法を提供す
ること。 【解決手段】きのこ類に、Rhizopus属糸状菌よ
り生産される、プロトペクチン分解酵素を主体とする細
胞間物質分解酵素剤と、Trichoderma属糸状
菌より生産される、セルロース分解酵素を主体とする繊
維分解酵素剤またはAspergillus nige
r糸状菌より生産される、セルロース分解酵素およびヘ
ミセルロース分解酵素を主体とする繊維分解酵素剤とを
併用して作用させて、きのこ類の子実体をほぼ完全に分
解して粥状化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、担子菌類(同担子
菌類、異担子菌類及び原生担子菌類を含む)や一部の子
嚢菌類(西洋ショウロ、チャワンタケ類)の所謂きのこ
類の子実体を、酵素剤の併用によってほぼ完全に分解す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】きのこ類の子実体は、糸状菌と同様の菌
糸から形成されており、その構成成分にはα−セルロー
スは殆ど存在せず、主にキチン質と不溶性のβ−1,3
グルカンからなり、現在では広義の食物繊維に属してお
り、これを分解する一般に認知された酵素は開発されて
いない。したがって、酵素剤により分解して全体を利用
しようとする研究や工業的方法は開発されてなく、乾燥
したきのこ、または生きのこを加熱して調味し食用化し
ている程度の利用方法しか現在までにおこなわれていな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにきのこに
ついては、従来、加熱調味して食用化する方法のような
単一の利用方法しかおこなわれておらず、したがって夫
々特有の風味を有するきのこ全体を有効に利用すること
において十分ではなかった。さらに、近年にいたり、き
のこの繊維質多糖体について、抗がん作用、がんの転移
抑制作用、がんの発生率低下作用等が報告されており、
また、低分子成分としてのエルゴステロール、クマリ
ン、糖アルコール、糖、アミノ酸、その他旨味成分とし
てのイボテン酸、トリコロミン酸、核酸(グアニル酸)
等多くの有用成分が含有されていることが判明している
ので、きのこを容易に各種食品に有効利用するための方
法が必要となる。
【0004】本発明においては、上記の問題点を解決
し、きのこ類の子実体をほぼ完全に分解して、これを容
易に各種食品等に有効利用するための方法を提供するこ
とを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のきのこ類の酵素
による完全分解方法は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、きのこに、Rhizopus属糸
状菌の生産する、プロトペクチン分解酵素を主体として
含有する細胞間物質分解酵素剤(細胞分離酵素剤)と、
Trichoderma属糸状菌の生産する、セルロー
ス分解酵素を主体として含有する繊維分解酵素剤(セル
ラーゼ剤)とを併用して作用させ、きのこ類の子実体を
ほぼ完全に分解して粥状化することを特徴とする。
【0006】また、本発明の方法においては、上記のT
richoderma属糸状菌の生産する、セルロース
分解酵素を主体として含有する繊維分解酵素剤の代わり
に、Aspergillus niger糸状菌の生産
する、セルロース分解酵素およびヘミセルロース分解酵
素を主体として含有する繊維分解酵素剤を使用すること
ができる。
【0007】きのこ類は、キチン質と不溶性のβ−1,
3グルカンから構成され、公知の分解酵素は未だ一般に
は認知されていないので、本発明者は、きのこ類の子実
体が糸状菌の菌糸の集合体である事実から、糸状菌のな
かに菌糸体の特定部分を分解して崩壊させる酵素を分泌
する菌株のあることを想定し、種々の糸状菌、特に植物
組織を崩壊させる酵素を生産するRhizopus属、
Aspergillus属、Trichoderma
属、Botrytis属等の糸状菌の固体培養抽出酵素
によりきのこ類の子実体の完全分解を試験した。その結
果、何れの酵素も単一菌株では分解作用が不十分で分解
液の収率が低く、工業的に採算がとれないことが判明し
た。しかしながら、さらに考究した結果、2菌種の酵
素、すなわち、Rhizopus属糸状菌の生産する細
胞間物質分解酵素剤と、Trichoderma属糸状
菌またはAspergillus niger糸状菌の
生産する繊維分解酵素剤とを併用すると子実体の分解作
用が著しく向上することを見出したので、異なる菌株の
生産酵素を併用してきのこに作用させる方法で本発明に
おける課題を解決した。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において併用して用いられ
る酵素剤は、細胞間物質分解酵素剤(細胞分離酵素剤)
と繊維分解酵素剤(セルラーゼ剤)とである。前者の細
胞間物質分解酵素剤は、土壌中より分離したRhizo
pus属糸状菌の麸を主とする固体培養で生産される、
プロトペクチン分解酵素(プロトペクチナーゼ)を主体
とし、他に少量のヘミセルロース分解酵素(ヘミセルラ
ーゼ)および蛋白質分解酵素[プロテアーゼ(酸
性)]、ならびに微量のキチン分解酵素(キチナー
ゼ)、グルカン分解酵素(β−1,3グルカナーゼ)お
よび核酸分解酵素(ニュークレアーゼおよびデアミナー
ゼ)を含有する酵素剤である。上記のプロトペクチン分
解酵素(プロトペクチナーゼ)は、高等植物の細胞間接
着物質である複雑な構造のプロトペクチンを無作為に分
解する酵素である。上記のヘミセルロース分解酵素(ヘ
ミセルラーゼ)は、細胞間接着物質中に含有されるヘミ
セルロースのうちキシランその他の各種植物多糖類を分
解するとともに、細胞壁を構成する一成分であるヘミセ
ルロースを分解する酵素である。上記の蛋白質分解酵素
[プロテアーゼ(酸性)]は、細胞内および細胞間に存
在する蛋白質に作用して呈味栄養成分であるアミノ酸等
に分解する酵素である。上記のキチン分解酵素(キチナ
ーゼ)およびグルカン分解酵素(β−1,3グルカナー
ゼ)は、夫々きのこ菌体を構成する主成分であり、かつ
細胞壁を構成する一成分であるキチンおよびβ−1,3
グルカン(いずれも複雑な高分子多糖類)を分解する酵
素である。さらに、上記の核酸分解酵素(ニュークレア
ーゼおよびデアミナーゼ)は、細胞内および細胞間に存
在する核酸(ポリヌクレオチド)に作用して呈味栄養成
分であるイノシン酸やグアニル酸等に分解する酵素であ
る。
【0009】後者の繊維分解酵素剤(セルラーゼ剤)
は、Trichoderma属糸状菌の麸を主とする固
体培養で生産される、セルロース分解酵素(セルラー
ゼ)を主体とし、他に少量のヘミセルロース分解酵素
(ヘミセルラーゼ)およびキチン分解酵素(キチナー
ゼ)、ならびに微量のグルカン分解酵素(β−1,3グ
ルカナーゼ)および核酸分解酵素(ニュークレアーゼお
よびデアミナーゼ)を含有する酵素剤(以下、Tセルラ
ーゼ剤と記す)である。かかるTセルラーゼ剤の代り
に、Aspergillus niger糸状菌の麸を
主とする固体培養で生産される、セルロース分解酵素
(セルラーゼ)およびヘミセルロース分解酵素(ヘミセ
ルラーゼ)を主体とし、他に少量のプロトペクチン分解
酵素(プロトペクチナゼ)、キチン分解酵素(キチナー
ゼ)、グルカン分解酵素(β−1,3グルカナーゼ)お
よび核酸分解酵素(ニュークレアーゼおよびデアミナー
ゼ)を含有する酵素剤(以下、Aセルラーゼ剤と記す)
を繊維分解酵素剤(セルラーゼ剤)として用いることも
できる。なお、上記のセルロース分解酵素(セルラー
ゼ)は、細胞壁等を構成する成分の一つであるセルロー
スを分解する酵素である。
【0010】きのこ類の組織を崩壊し、さらに細胞壁も
分解して細胞内の呈味栄養成分(核酸、アミノ酸、ビタ
ミン類、蛋白質等)をも利用するためには、きのこの細
胞間接着物質である複雑な構造のプロトペクチンや表層
にある粘着物質であるペクチン様物質とヘミセルロース
の複合体を分解するとともに、セルロース、ヘミセルロ
ース、キチン、グルカンからなる細胞壁を分解して細胞
内容物である核酸、アミノ酸、ビタミン類、蛋白質等の
呈味栄養成分を溶出させ、さらに、この溶出した核酸、
蛋白質等を細胞間に存在する核酸、蛋白質等とともに分
解して旨味成分であるイノシン酸、グアニール酸、アミ
ノ酸等に変換する必要がある。このために本発明におい
ては、上記の細胞間物質分解酵素剤(細胞分離酵素剤)
と繊維分解酵素剤(セルラーゼ剤)とを併用することに
より、両酵素剤の中に含有される上記の各種酵素、すな
わちプロトペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラー
ゼ、キチナーゼ、グルカナーゼ等を作用させてきのこの
組織を崩壊させるとともに、細胞壁を分解して細胞内の
呈味栄養成分である核酸、蛋白質、アミノ酸、ビタミン
類等を溶出させ、さらにニュークレアーゼ、デアミナー
ゼ、プロテアーゼ等を作用させて、呈味栄養成分である
イノシン酸、グアニール酸、アミノ酸等に変換させると
ともに、細胞内外に含有されるビタミン類を細胞間物質
や細胞壁を分解することにより完全に分解液に溶出させ
るのである。
【0011】上記のような細胞間物質分解酵素剤(細胞
分離酵素剤)と繊維分解酵素剤(セルラーゼ剤)とを種
々の配合割合できのこに添加し常温で撹拌下に作用させ
て分解(マセレーション)し、27メッシュ篩(孔直径
ほぼ0.6mm)で未分解の残渣を篩別して得られた分
解液(マセレーション液)について、その収率と溶出成
分との関係等について検討し、その結果を分解条件とと
もに下記の表1〜表6に示す。なお、きのことして、表
1および表2の場合は、きのこの中で最も生産量、消費
量の大きい椎茸を用い、表3、表4、表5および表6の
場合は、夫々、新舞茸、えのきたけ、なめこ、およびし
めじを用いた。
【0012】表1に示すように、Rhizopus属糸
状菌の生産する細胞分離酵素剤、またはAspergi
llus niger糸状菌の生産するセルラーゼ剤
(Aセルラーゼ剤)を単独で使用した場合は、生椎茸に
ついて酵素濃度3%で4時間の分解作用で74〜75%
しか分解液の収率(歩留)がなく、また分解液の成分
も、ブリックス度、滴定酸度等低く、その他ビタミンB
群や核酸関連物質の含量も共に低く、これらのことか
ら、夫々単独の酵素剤を使用した場合には、椎茸細胞質
や細胞間物質が完全に溶出されていないものと推察され
る。これに対して、細胞分離酵素剤およびAセルラーゼ
剤の両酵素剤を併用した場合には、酵素濃度2.5%〜
3.75%(Aセルラーゼ剤の使用量のほうが多い)で
4時間の分解作用にて分解液の収率(歩留)は78〜7
9%と単用の場合にくらべて3〜4%程度高くなり、ま
た分解液の成分も単用の場合に比べて、pH以外は一般
に高く、溶出成分が濃厚となり、細胞のすみずみまで分
解して成分の溶出が行われたことを示す。さらに、両酵
素剤を併用した場合、酵素濃度を高くすると、分解液の
溶出成分が多くなる傾向がある。
【0013】また、表2においては、細胞分離酵素剤お
よびTrichoderma属糸状菌の生産するセルラ
ーゼ剤(Tセルラーゼ剤)を併用し、または各酵素剤を
単用し、かつ酵素濃度を4%として4時間生椎茸を分解
した場合につき示したが、細胞分離酵素剤またはTセル
ラーゼ剤を単独で使用した場合には、分解液の収率(歩
留)が共に約78%であるが、両酵素剤を種々の配合割
合で併用し、合計4%の酵素濃度で4時間分解した場合
には79〜80%の収率(歩留)となり、単用の場合に
くらべて収率が1〜2%向上する。表1に示すような細
胞分離酵素剤とAセルラーゼ剤との併用の場合には、単
用の場合にくらべて収率が3〜4%向上したのに比較し
て、細胞分離酵素剤とTセルラーゼ剤との併用の場合に
は併用効果が若干低い。また、分解液の溶出成分につい
ては、両酵素剤の併用の場合が単用の場合にくらべて多
くなる。なお、表1および表2から明らかのように、細
胞分離酵素剤とAセルラーゼ剤またはTセルラーゼ剤と
の併用の何れの場合も、その配合割合の違いによる収率
の差はあまり生じない。
【0014】きのことして新舞茸を用いたときには、表
3に示すように、細胞分離酵素剤またはAセルラーゼ剤
を酵素濃度3%で単用した場合、分解液の収率(歩留)
は、78〜79%(細胞分離酵素剤の単用のほうがAセ
ルラーゼ剤単用よりも収率が高い)であるが、両酵素剤
を種々の配合割合で併用し、合計1.5〜3%の酵素濃
度で分解した場合には80〜84%の収率(歩留)とな
り、単用の場合にくらべて収率が2〜5%向上する。ま
た、酵素剤単用の場合、得られた分解液は、細胞分離酵
素剤を用いたほうがAセルラーゼ剤を用いたときよりも
成分的に若干濃厚であり、併用の場合は、収率が最も高
い併用酵素剤濃度3%の場合が最も濃厚で、単用の場合
にくらべて何れも成分が濃厚である。なお、両酵素剤併
用の場合、酵素濃度を1.5%としたときには、酵素濃
度を2〜3%としたときにくらべて分解液の収率が2〜
4%低く、細胞分離酵素剤を単独で酵素濃度3%で使用
した場合の収率と同程度となる。また、溶出される成分
も、両酵素剤を酵素濃度1.5%で併用した場合には酵
素濃度を2〜3%としたときにくらべて低く、両酵素剤
の夫々を酵素濃度3%で単用した場合とほぼ同等の値と
なる。
【0015】結局、新舞茸の場合においては、両酵素剤
を併用し、酵素濃度を2〜3%とした場合には、残渣が
10%程度で80%以上は分解液として回収することが
できる。
【0016】きのことしてえのきたけを用いたときに
は、表4に示すように、細胞分離酵素剤またはAセルラ
ーゼ剤の夫々を酵素濃度3%で単用した場合には、7時
間作用させたのちも、24%程度の残渣があり、分解液
が約66%の収率(歩留)でしか得られない。両酵素剤
を種々の配合割合で併用し、合計3〜4%の酵素濃度で
7時間分解した場合には約72%の収率(歩留)とな
り、単用の場合にくらべて約6%も収率が向上する。分
解液の成分は、両酵素剤を併用した場合は、夫々の酵素
剤を単用した場合に比して濃厚である。また、併用の場
合、細胞分離酵素剤3%とAセルラーゼ剤1%の配合割
合の場合に分解液が成分的に最も濃厚となる。なお、え
のきたけの場合は、上記の椎茸、新舞茸の場合に比べて
分解液の収率が低いが、えのきたけはその組織が硬いた
めと考えられ、きのこの組織により分解液の収率に差が
当然表れるものと思われる。
【0017】きのことしてなめこを用いたときには、何
れも酵素濃度4%で、細胞分離酵素剤とAセルラーゼ剤
またはTセルラーゼ剤とを併用した場合、Aセルラーゼ
剤とTセルラーゼ剤とを併用した場合、および夫々の酵
素剤を単用した場合について表5に示す。夫々の酵素剤
を単用した場合、4時間の作用で72〜75%の収率で
分解液が得られ、残渣は16〜19%である。酵素剤単
用のうち、細胞分離酵素剤単用の場合が、他の二種のセ
ルラーゼ剤単用の場合に比べて分解液の収率が1〜3%
高く、残渣も少ないが、成分的には大差がない。Aセル
ラーゼ剤とTセルラーゼ剤とを併用した場合には、酵素
剤を単用した場合と比べて収率においてさほど差がな
く、また成分的にも僅かしか差がない。
【0018】これに対して、本発明におけるように、細
胞分離酵素剤とAセルラーゼ剤またはTセルラーゼ剤と
を酵素濃度4%で併用した場合には、分解液の収率(歩
留)が80〜81%で、Aセルラーゼ剤とTセルラーゼ
剤とを併用した場合の収率71%および夫々の酵素剤を
単用した場合の収率72〜75%に比べて、5〜10%
程度向上する。さらに、分解液の成分も細胞分離酵素剤
とAセルラーゼ剤またはTセルラーゼ剤とを併用した場
合には、各酵素剤単用の場合および両セルラーゼ剤を併
用した場合にくらべて濃厚となる。
【0019】きのことしてしめじを用いたときには、酵
素剤を全く使用しないで、切断したしめじを同重量の水
と撹拌した場合、および細胞分離酵素剤とAセルラーゼ
剤とを同量で併用し、酵素濃度を1〜5%と順次高くし
た場合について表6に示す。酵素剤を全く使用しないで
しめじを水と撹拌した場合は、切断したしめじが5時間
の撹拌中に吸水して膨脹はするが、殆ど分解はされてい
ないので、分解液を回収することは不可能で、14%程
機械的に破砕されて、水中に溶出した液が回収できる
が、残渣は79%にも達する。勿論、液中の成分は極め
て微量である。一方両酵素剤を併用した場合は、酵素濃
度が1%のときは分解液の収率が60%と低いが、1
%、2%、3%、4%および5%と酵素濃度が高くなる
につれて、分解液の収率は60%、71%、75%、7
7%および81%と増加し、また残渣は33%から14
%へと減少する。また、分解液の成分も当然のことなが
ら、酵素濃度が高くなるほど増加していく。
【0020】以上からして、きのこに、酵素剤を添加す
ることなく水とともに撹拌しても、きのこが吸水膨潤す
るのみで殆どきのこは分解されることなく、極僅かな成
分が溶出されるのみであることが明らかである。また、
きのこの椎茸、新舞茸、えのきたけ、なめこおよびしめ
じに、細胞分離酵素剤、Aセルラーゼ剤またはTセルラ
ーゼ剤をそれぞれ単独で添加して分解しても、分解作用
が不十分で分解液の収率が低い。これに対して、細胞分
離酵素剤とAセルラーゼ剤またはTセルラーゼ剤とを併
用したときには、えのきたけを除いた他の4種のきのこ
(椎茸、新舞茸、なめこおよびしめじ)の場合は、80
%前後のほぼ同様な収率(歩留)で分解液が得られる。
えのきたけの場合には、その組織が硬いため、細胞分離
酵素剤とAセルラーゼ剤とを併用した場合、72%程度
の収率(歩留)で分解液が得られ、他の4種のきのこに
くらべて10%近く収率が低い。なおAセルラーゼ剤と
Tセルラーゼ剤とを併用しても、各酵素剤を単用した場
合と同様に低い収率でしか分解液が得られない。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】
【実施例】
実施例1 生椎茸1562gにつき、そのつぼ(石付き)等を除
き、1405gの調整椎茸を得、十分水洗後、切断して
2435gを得た。これに同重量の2435gの水を加
え、さらにRhizopus属糸状菌の生産する細胞間
物質分解酵素剤(細胞分離酵素剤)の1.5%およびA
spergillus niger糸状菌の生産する繊
維分解酵素剤(Aセルラーゼ剤)の2.5%、合計4%
を添加し、プラネタリー回転方式採用の卓上型万能ミキ
サーにて、常温で4時間撹拌混合して生椎茸を分解し
た。椎茸の組織は、酵素作用により完全に崩壊し粥状
(泥状)となったので、これを27メッシュ篩(孔直径
ほぼ0.6mm)にてゴムヘラを補助として濾過し、全
重量の80%に相当する重量の分解液と11%に相当す
る重量の残渣を得た。得られた分解液のpHは5.44
で、屈折計指度(ブリックス度)は5.2度を示した。
この懸濁液の10mlを3000rpmで10分遠心分
離して得られた沈殿物量は、0.7mlで、同様に、そ
の液10mlを中和するに要した0.1規定NaOH液
の量は3.5mlでこれを滴定酸度として示した。ま
た、得られた分解液中のアミノ態窒素量は0.0388
%で、アミノ酸として0.243%に相当する。同じく
直接還元糖(ブドウ糖、果糖等)の量は1.95%であ
り、全糖分量も同一数値を示した。粘度は37CPで僅
かに粘性を示した。分解液100g中のビタミンB1
0.029mg、ビタミンB2 は0.68mg、ナイア
ミンは0.75mgであって、核酸関連物質は、分解液
1g中、UMP(ウリジン5´−リン酸)が0.79μ
mol、CMP(シチジン5´−リン酸)が0.67μ
mol、AMP(アデノシン5´−リン酸)が0.73
μmolおよびGMP(グアノシン5´−リン酸)が
0.66μmol含有されていた。この分解液は、椎茸
独特の風味を示す旨味液であった。
【0028】実施例2 えのきたけ1204gを水洗、水切後切断し、1262
gを得、その75%に相当する947gの水を加え、R
hizopus属糸状菌の生産する細胞分離酵素剤1%
とTrichoderma属糸状菌の生産するセルラー
ゼ剤(Tセルラーゼ剤)2%、合計3%を加え、プラネ
タリー回転方式の卓上型万能ミキサーにて、常温で7時
間撹拌混合して殆ど粥状に分解した。得られた粥状液を
27メッシュ篩にてゴムヘラを補助として濾過し全重量
の70%に相当する重量の分解液と、20%に相当する
重量の残渣を得た。実施例1の生椎茸の場合に比して残
渣量が約10%多く酵素分解がやや困難であった。得ら
れた分解液は、pH4.77、屈折計指度(ブリックス
度)4.2度、10ml中の遠心沈殿量0.5ml、1
0ml中の滴定酸度4.0ml、アミノ態窒素0.04
57%、アミノ酸として0.286%、直接還元糖0.
78%、全糖分0.79%、蔗糖分0.01%、固形分
4%を示し、143CPの粘度を有する粘稠液であっ
た。また、分解液100g中のビタミンB1 は0.08
3mg、ビタミンB2 は0.31mg、ナイアミンは
0.67mgであって、核酸関連物質は、分解液1g
中、CMPが0.7μmol、AMPが0.75μmo
l、UMPが0.78μmolおよびGMPが0.60
μmol含有されていた。この分解液は、えのきたけ独
特の風味と旨味を有する液であった。
【0029】実施例3 新舞茸1500gを十分水洗、水切後切断して1935
gを得、これに同重量の1935gの水を加え、Rhi
zopus属糸状菌の生産する細胞分離酵素剤1%とA
spergillus niger糸状菌の生産するセ
ルラーゼ剤(Aセルラーゼ剤)2%、合計3%を加え、
プラネタリー回転方式の卓上型万能ミキサーにて常温で
7時間撹拌混合して新舞茸を分解した。新舞茸の組織は
酵素作用にて完全崩壊して粥状になったので、これを2
7メッシュ篩で、ゴムヘラを補助として濾過し全重量の
82%に相当する重量の分解液と、9%に相当する重量
の残渣を得た。得られた分解液は、pH5.13、屈折
計指度(ブリックス度)4.95度、10ml中の遠心
沈殿量2.8ml、10ml中の滴定酸度4.0ml、
アミノ態窒素0.0537%、直接還元糖1.72%、
全糖分1.73%、蔗糖分0.01%、固形分4.83
%を示し、266CPの粘度を有する粘稠液であった。
また分解液100g中のビタミンB1 は0.031m
g、ビタミンB2 は0.078mg、ナイアミンは0.
82mgであって、核酸関連物質は、分解液1g中、C
MPが0.78μmol、AMPが0.81μmol、
UMPが0.84μmolおよびGMPが0.70μm
ol含有されていた。この分解液の風味は新舞茸独特の
新鮮さを示し、旨味も強く風味調味液として有望であっ
た。
【0030】
【発明の効果】きのこに、酵素剤を添加することなく水
とともに撹拌すると、前記したように、きのこは全く分
解されることなく、極僅かな成分が溶出されるのみであ
り、また、きのこに、Rhizopus属糸状菌の生産
する細胞間物質分解酵素剤(細胞分離酵素剤)、または
Aspergillus niger糸状菌もしくはT
richoderma属糸状菌の生産する繊維分解酵素
剤(Aセルラーゼ剤もしくはTセルラーゼ剤)をそれぞ
れ単独で添加するか、上記2種のセルラーゼ剤を併用し
て添加しても、前記したように、きのこを十分に分解す
ることはできない。
【0031】本発明においては、上記の細胞分離酵素剤
とAセルラーゼ剤もしくはTセルラーゼ剤とを併用する
ことによって、きのこの子実体を殆ど分解させて粥状化
させ、高い収率で分解液(マセレーション液)を得るこ
とができる。すなわち、本発明においては、きのこの組
織を崩壊し、さらに細胞間接着物質や表層にある粘着物
質を分解するとともに細胞壁を分解して細胞内容物質を
溶出させ、さらに細胞内および細胞間に存在する蛋白
質、核酸物質を分解して呈味栄養成分である各種アミノ
酸やイノシン酸、グアニル酸等のポリヌクレオチドとな
し、きのこ類のもつ細胞内外のすべての呈味栄養成分を
含有する分解液を得ることができ、これを各種食品等に
容易に有効利用することが可能となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 きのこ類に、Rhizopus属糸状菌
    の生産する、プロトペクチン分解酵素を主体として含有
    する細胞間物質分解酵素剤と、Trichoderma
    属糸状菌の生産する、セルロース分解酵素を主体として
    含有する繊維分解酵素剤とを併用して作用させ、きのこ
    類の子実体をほぼ完全に分解して粥状化することを特徴
    とするきのこ類の酵素による完全分解方法。
  2. 【請求項2】 きのこ類に、Rhizopus属糸状菌
    の生産する、プロトペクチン分解酵素を主体として含有
    する細胞間物質分解酵素剤と、Aspergillus
    niger糸状菌の生産する、セルロース分解酵素お
    よびヘミセルロース分解酵素を主体として含有する繊維
    分解酵素剤とを併用して作用させ、きのこ類の子実体を
    ほぼ完全に分解して粥状化することを特徴とするきのこ
    類の酵素による完全分解方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009044538A1 (ja) * 2007-10-02 2009-04-09 En Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. 咀嚼・嚥下困難者に適した食材
CN103190632A (zh) * 2013-03-12 2013-07-10 内蒙古宇航人高技术产业有限责任公司 一种可食用沙棘膳食纤维的制备方法
WO2022107388A1 (ja) * 2020-11-20 2022-05-27 カゴメ株式会社 エノキタケ属キノコ含有加工品、及びその製造方法

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