JPH09271942A - パルスmagアーク溶接方法及び溶接装置 - Google Patents

パルスmagアーク溶接方法及び溶接装置

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JPH09271942A
JPH09271942A JP11025896A JP11025896A JPH09271942A JP H09271942 A JPH09271942 A JP H09271942A JP 11025896 A JP11025896 A JP 11025896A JP 11025896 A JP11025896 A JP 11025896A JP H09271942 A JPH09271942 A JP H09271942A
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welding
pulse
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JP11025896A
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Shoji Harada
章二 原田
Hiroyoshi Shiyuu
大慶 周
Toshimitsu Doi
敏光 土井
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Daihen Corp
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Daihen Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 種々の溶接条件に対して、最適な直流電流値
を簡単に選定するために、溶接電流値を制御するワイヤ
送給速度設定信号Wsと対応させた直流電流値制御信号
Icで定まる直流電流値を通電して溶接するパルスMA
Gアーク溶接方法及び溶接装置の提供。 【解決手段】 定電流特性のピーク電流及びベース電流
とから成るパルス電流と定電流特性の直流電流とを繰り
返し通電して溶接するパルスMAGアーク溶接方法及び
装置において、種々の溶接条件に対して、最適な直流電
流値を簡単に選定するために、溶接電流値を制御するワ
イヤ送給速度設定信号Ws と対応させた直流電流値制御
信号Ic で定まる直流電流値を通電して溶接するパルス
MAGアーク溶接方法及び溶接装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消耗電極(以下、
ワイヤという)に、定電流特性のパルス・ベース電流
(以下、パルス電流という)と定電流特性の直流電流
(以下直流電流という)とを繰り返し通電して溶接する
パルスMIGアーク溶接及びパルスMAGアーク溶接
(以下、パルスMAGアーク溶接という)方法及び溶接
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、アルミニウム及びその合金の薄板
から厚板までMIG溶接方法が普及している。特に薄板
の溶接においても、従来のTIG溶接方法に代わり、定
電流特性の直流電流と定電流特性のパルス電流とを低周
波(1〜30Hz)で切り換えて溶接するウェーブ・パ
ルスMAGアーク方法が本出願人によって開発され実施
されている。
【0003】しかし、従来のパルスMAG溶接方法及び
本出願人が開発したウェーブ・パルスMAG溶接方法の
いずれにおいても、ワイヤを予め定めた定速度で送給す
る定速度送給方式が採用されている。
【0004】図1(A)は、従来技術のピーク電流Ip
及びベース電流Ib とから成るパルス電流Ipcと直流電
流Idcとを繰り返し通電して溶接するパルスMAGアー
ク溶接方法の溶接電流(波形)であり、図1(B)は、
図1(A)の溶接電流波形に対応した溶滴移行の時間的
経過を示す図である。
【0005】以下、図1を参照して、パルスMAG溶接
方法について説明する。図1(A)に示された溶接電流
は、経過時間t1〜t2に通電する直流電流期間Tdcの
直流電流Idcと経過時間t2〜t3のパルス電流期間T
pcに通電するパルス電流Ipcとの繰り返しの電流であっ
て、直流電流期間Tdcの直流電流Idcとパルス電流期間
Tpcに通電するパルス電流平均値Ipaは、ワイヤ先端の
溶融金属が離脱して溶滴となって移行(以下、溶滴移行
という)する臨界電流値よりも大になるように設定され
ている。同図において、Iwaは、パルス電流期間Tpcの
パルス電流Ipcと直流電流期間Tdcの直流電流Idcとの
平均の出力電流値(以下、溶接電流平均値という。)で
ある。
【0006】経過時間t1〜t2(直流電流期間Tdc)
の間は、直流電流値Idcを臨界電流値よりも低く設定し
ているために、溶融金属は、溶滴移行しないで成長しな
がら被溶接物に近付く。経過時間t2〜t3(パルス電
流期間Tpc)の間に、成長した溶融金属が被溶接物に接
触短絡する直前に、溶融金属は、一つのピーク電流Ip
のピンチ力によって離脱して一粒の溶滴となって、経過
時間t3まの間に被溶接物に移行する。
【0010】図2は、従来のパルス電流と直流電流とを
繰り返し通電して溶接するパルスMAGアーク溶接方法
に使用する溶接装置のブロック図である。以下、同図を
参照して動作を説明する。パルス溶接電源PSは、商用
電源ACを入力して溶接用電力をワイヤと被溶接物とに
出力する。
【0012】ワイヤ送給速度設定回路WSは、設定した
ワイヤ送給速度に対応したワイヤ送給速度設定信号Ws
を、ワイヤ送給モータWMに出力する。溶接電圧回路V
Dは、アーク電圧を検出して溶接電圧検出信号Vd を出
力する。溶接電圧設定回路VSは、溶接電圧設定信号V
s を出力する。設定・検出電圧比較回路CM2は、溶接
電圧検出信号Vd と溶接電圧設定信号Vs とを入力とし
て、設定・検出電圧比較信号Cm2を出力する。
【0013】電圧・周波数変換回路VFは、設定・検出
電圧比較信号Cm2を入力して、パルス周波数に対応した
周波数制御信号Vf を出力する。図3(A)は、パルス
周波数に対応した周波数制御信号Vf を示す図である。
パルス幅設定回路TPは、入力された周波数制御信号V
f のパルス周波数に同期して予め設定したパルス幅のパ
ルス周波数・幅信号Tp を出力する。図3(B)は、周
波数制御信号Vf に対応したパルス周波数・幅信号Tp
を示す図である。パルス・直流切換周波数設定回路PD
は、直流電流期間Tdcとパルス電流期間Tpcとの繰り返
し周波数(1〜30Hz)のパルス・直流切換信号Pd
を出力する。
【0014】ベース電流値設定回路IBSは、ベース電
流値設定信号Ibsを出力する。ピーク電流値設定回路I
PSは、ピーク電流値設定信号Ipsを出力する。ピーク
・ベース電流値切換回路SW2は、ピーク電流値設定信
号Ipsとベース電流値設定信号Ibsとを、入力されたパ
ルス周波数・幅信号Tp の周波数に同期して切換えて、
ピーク・ベース電流値切換信号Sw2を出力する。ピーク
・ベース電流値切換信号Sw2は、図1の経過時間t2〜
t3の間で、パルス電流Ipcを通電する信号であって、
パルス電流期間Tpc のときはパルス電流値設定信号I
psとなり、ベース期間Tb のときはベース電流値設定信
号Ibsとなる。
【0015】直流電流値設定回路IDSは、図1の経過
期間t1〜t2(直流電流期間Tdc)の直流電流値に対
応した直流電流値設定信号Idsを出力する。パルス・直
流切換回路SW1は、入力されたパルス・直流切換信号
Pd の周波数に同期して、入力端子をa側又はb側に切
換えて、パルス・直流電流制御信号Sw1を出力する。パ
ルス・直流電流制御信号Sw1は、入力端子がa側に切換
えられたとき、直流電流値設定信号Idsとなり、入力端
子がb側に切り換えられたとき、ピーク電流値設定信号
Ipsとベース電流値設定信号Ibsとを繰り返すパルス電
流となる。パルス・直流切換回路SW1は、パルス・直
流電流制御信号Sw1を出力する。設定・検出電流比較回
路CM1は、溶接電流検出信号Id とパルス・直流電流
制御信号Sw1とを入力して、その差の出力電流制御信号
Cm1を出力してPWM制御のインバータ回路を含むパル
ス溶接電源PSに入力して溶接電流を出力する。
【0016】以下、従来技術のパルスMAGアーク溶接
方法及び溶接装置(以下、パルスMAGアーク溶接とい
う)の動作について説明する。溶接電圧設定回路VS
は、出力電圧を設定してアーク電圧値を制御し、パルス
幅設定回路TPは、パルス幅を設定し、ピーク電流値設
定回路IPSは、ピーク電流値を設定し、ベース電流値
設定回路IBSは、ベース電流値を設定する。
【0017】従来技術及び後述する本発明のパルスMA
Gアーク溶接において、パルス電流の電源及び直流電流
の電源は、定電流特性であるので、広く普及している定
電圧特性の電源のように、直ちに電源の自己制御作用に
よって、ワイヤ送給速度設定回路WSで設定したワイヤ
送給速度に対応させた溶接電流値にならない。
【0018】この定電流特性の電源のパルス電流期間に
おいては、ワイヤ送給速度を増加させると、ワイヤ送給
速度がワイヤ溶融速度よりも大になり、アーク長が短く
なって溶接電圧検出信号Vd が減少し、設定・検出電圧
比較信号Cm2が増加し、周波数制御信号Vf が増加し、
パルス周波数が増加する。その結果、パルス電流平均値
が増加し、ワイヤ溶融速度が増加してアーク長を増加さ
せて復帰する。また逆に、ワイヤ送給速度を減少させる
と、上記と逆の現象によってワイヤ溶融速度が減少して
アーク長を減少させて復帰する。
【0019】他方、この定電流特性の電源の直流電流期
間においては、パルス周波数が関係しないので、ワイヤ
送給速度を増加させると、ワイヤ送給速度がワイヤ溶融
速度よりも大になり、アーク長が短くなってアーク電圧
が減少した状態が継続してアーク長を復帰させることが
できない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術にお
いて、パルス電流平均値Ipaを増加させるために、ワイ
ヤ送給速度を増加すると、直流電流期間においては、パ
ルス周波数が関係しないので、ワイヤ送給速度がワイヤ
溶融速度よりも大になり、アーク長が短くなってアーク
電圧が減少した状態が継続し、アーク長を復帰させるこ
とができないために、短絡が発生し易くアークが不安定
になる。したがつて、ワイヤ送給速度を設定すると同時
に、直流電流期間の直流電流値も設定しなければならな
い。
【0022】この直流電流値Idcは、被溶接物への入熱
を左右するので、特に、薄板の突き合わせ・重ね合わせ
の隙間の大きい被溶接物の溶接、傾斜姿勢・立向姿勢の
溶接等の種々の溶接条件にあわせて、適正な直流電流値
Idcを設定することが非常に重要である。この直流電流
値を高く設定ると、被溶接物への入熱が多くなって溶け
落ち又は重力による垂れ下がりが生じる。逆に、直流電
流値を低く設定すると、直流電流期間中に短絡が発生し
てアークが不安定になる。このように、パルス電流平均
値によって、直流電流の適正値が異なる。
【0024】しかし、従来のパルスMAGアーク溶接に
おいては、パルス電流平均値Ipaを設定するためのワイ
ヤ送給速度の設定値と直流電流の設定値とは関係がな
く、ワイヤ送給速度の設定値を変化させても、直流電流
の設定値は変化しない。そのために、ワイヤ送給速度を
設定してパルス電流平均値Ipaを変化させるごとに、直
流電流値も設定する必要があり、通常の溶接の溶接電流
値と溶接電圧値との設定以外に、直流電流値及び直流電
流期間も適正値に設定しなければならないので、これら
4つの適正な設定値の組み合わせが複雑であった。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明は、定電流特性の
ピーク電流及びベース電流から成るパルス電流と定電流
特性の直流電流とを繰り返し通電して溶接するパルスM
AGアーク溶接方法及び溶接装置において、種々の溶接
条件に対して、最適な直流電流値を簡単に選定するため
に、溶接電流値を制御するワイヤ送給速度設定信号Ws
と対応させた直流電流値制御信号Ic で定まる直流電流
値を通電して溶接するパルスMAGアーク溶接方法及び
溶接装置である。このワイヤ送給速度設定信号Ws に対
応させた直流電流値設定信号Idsは、(1)ワイヤ送給
速度の設定値から直流電流値制御信号Ic を、機械的又
は電気的に一元調整によって発生させた信号、(2)ワ
イヤ送給速度の設定信号Ws から直流電流値制御信号I
c を、予め記憶させた関数から直流電流値のデータを読
み出した信号、(3)溶接電流平均値Iwa又はパルス電
流平均値Ipa又はピーク電流平均値Ipに応じて、予め
記憶させた関数から直流電流値のデータを読み出した信
号等である。
【0031】請求項1の溶接方法は、定電流特性のパル
ス電流と定電流特性の直流電流とを繰り返し通電して溶
接するパルスMAGアーク溶接方法において、ワイヤ送
給速度の設定値に対応させた直流電流値を通電して溶接
するパルスMAGアーク溶接方法である。
【0032】請求項2の溶接方法は、請求項1のワイヤ
送給速度の設定値に対応させた直流電流値が、ワイヤ送
給速度の設定値と直流電流の設定値とを一元調整によっ
て設定した電流値であるパルスMAGアーク溶接方法で
ある。
【0033】請求項3の溶接方法は、請求項1のワイヤ
送給速度の設定値に対応させた直流電流値が、ワイヤ送
給速度設定信号Ws を予め記憶させた関数が変換した直
流電流値制御信号Ic によって定まる電流値であるパル
スMAGアーク溶接方法である。
【0034】請求項4の溶接方法は、請求項1のワイヤ
送給速度の設定値に対応させた直流電流値が、ワイヤ送
給速度設定信号Ws を予め記憶させた関数が変換した信
号をレベル調整した直流電流値制御信号Ic によって定
まる電流値であるパルスMAGアーク溶接方法である。
【0035】請求項5の溶接方法は、請求項1のワイヤ
送給速度の設定値に対応させた直流電流値が、ワイヤ送
給速度設定信号Ws を複数個の予め記憶させた関数が変
換した直流電流値制御信号Ic によって定まる電流値で
あるパルスMAGアーク溶接方法である。
【0036】請求項6の溶接方法は、請求項1のワイヤ
送給速度の設定値に対応させた直流電流値が、ワイヤ送
給速度設定信号Ws を増減させることによって変化した
溶接電流検出値で定まる電流値であるパルスMAGアー
ク溶接方法である。
【0037】請求項7の溶接方法は、請求項6の溶接電
流検出値が溶接電流平均値又はパルス電流平均値又はピ
ーク電流平均値であるパルスMAGアーク溶接方法であ
る。
【0038】請求項8の溶接方法は、定電流特性のパル
ス電流と定電流特性の直流電流とを繰り返し通電して溶
接するパルスMAGアーク溶接方法において、ワイヤ送
給速度の設定値に対応させた直流電流値を、ワイヤ送給
速度の設定値に対応させた直流電流期間Tdcに通電して
溶接するパルスMAGアーク溶接方法である。
【0039】請求項9の溶接装置は、定電流特性のパル
ス電流と定電流特性の直流電流とを繰り返し通電して溶
接するパルスMAGアーク溶接装置において、ワイヤ送
給速度を設定してワイヤ送給速度設定信号Ws を出力す
るワイヤ送給速度設定回路WSと、ワイヤ送給速度設定
信号Ws に対応させた直流電流値制御信号Ic を出力す
る直流電流値制御回路IC又は直流電流値設定信号Ids
を出力する直流電流値設定回路IDSとから成る速度設
定・直流制御回路WDCとを備え、定電流特性の直流電
流値を制御するパルスMAGアーク溶接装置である。
【0040】請求項10の溶接装置は、請求項9の直流
電流値設定信号Idsが、ワイヤ送給速度設定回路WSと
直流電流値設定回路IDSとを機械的に連動させた設定
器又は電気信号で同時に設定する設定器の一元調整によ
って、ワイヤ送給速度の設定と同時に設定する直流電流
値設定信号であるパルスMAGアーク溶接装置である。
【0041】請求項11の溶接装置は、請求項9の直流
電流値制御信号Ic が、ワイヤ送給速度設定信号Ws を
予め記憶させた関数を備えた直流電流値制御回路ICに
よって変換して出力する直流電流値制御信号であるパル
スMAGアーク溶接装置である。
【0042】請求項12の溶接装置は、請求項9の直流
電流値制御信号Ic が、入力したワイヤ送給速度設定信
号Ws を予め記憶させた関数によって変換し、この変換
した信号をレベル調整する直流制御信号シフト回路DC
Sが出力する直流電流値制御信号Ic3であるパルスMA
Gアーク溶接装置である。
【0043】請求項13の溶接装置は、請求項9の直流
電流値制御信号Ic が、入力したワイヤ送給速度設定信
号Ws を予め記憶させた複数個の関数を備えた直流電流
値制御回路ICによって変換して出力する直流電流値制
御信号(Ic1,Ic2)であるパルスMAGアーク溶接装
置である。
【0044】請求項14の溶接装置は、請求項9の直流
電流値制御信号Ic が、ワイヤ送給速度設定信号Ws を
増減させることによって変化した溶接電流値を溶接電流
検出回路IDが検出し、この検出した溶接電流検出信号
Id を、予め記憶させた関数を備えた直流電流値制御回
路ICによって変換して出力する直流電流値制御信号で
あるパルスMAGアーク溶接装置である。
【0045】請求項15の溶接装置は、請求項9の直流
電流値制御信号Ic が、ワイヤ送給速度設定信号Ws を
増減させることによって変化した出力電流の瞬時値を溶
接電流検出回路IDが検出し、この検出した溶接電流検
出信号Id の溶接電流平均値又はパルス電流平均値又は
ピーク電流平均値の検出電流平均値出力信号Ie を、検
出電流平均値出力回路IEが出力する直流電流値制御信
号Ic4であるパルスMAGアーク溶接装置である。
【0046】請求項16の溶接装置は、定電流特性のパ
ルス電流と定電流特性の直流電流とを繰り返し通電して
溶接するパルスMAGアーク溶接装置において、ワイヤ
送給速度を設定してワイヤ送給速度設定信号Ws を出力
するワイヤ送給速度設定回路WSと、ワイヤ送給速度設
定信号Ws に対応させた直流電流値制御信号Ic を出力
する直流電流値制御回路ICと、ワイヤ送給速度設定信
号Ws に対応させた周波数でパルス電流と直流電流とを
切り換えるパルス・直流切換信号Pd を出力するパルス
・直流切換周波数設定回路PDとを備え、定電流特性の
直流電流値Idc及び直流電流期間Tdcを制御するパルス
MAGアーク溶接装置である。
【0050】
【発明の実施の形態】図5は、本発明のパルスMAGア
ーク溶接方法を実施する溶接装置の第2の実施例のブロ
ック図である。破線の枠に囲まれる部分は、図2に示し
た従来の溶接装置に、本発明を実施するために付加した
速度設定・直流制御回路WDCである。
【0051】ワイヤ送給速度設定回路WSは、図2に示
した従来の溶接装置と同じで、設定したワイヤ送給速度
に対応したワイヤ送給速度設定信号Ws を、ワイヤ送給
モータWMに出力する。
【0052】上記の速度設定・直流制御回路WDCは、
ワイヤ送給速度を設定してワイヤ送給速度設定信号Ws
を出力するワイヤ送給速度設定回路WSと、ワイヤ送給
速度設定信号Ws を入力として予め記憶させた関数によ
って変換して、直流電流値制御信号Ic を出力する直流
電流値制御回路ICとから構成される。
【0053】この速度設定・直流制御回路WDCによっ
て、ワイヤ送給速度設定回路WSが出力するワイヤ送給
速度設定信号Ws に対応させて予め記憶させた関数によ
って変換した直流電流値制御信号Ic の適正値を選定す
ることができる。
【0054】図5の上記以外の回路は、従来のパルスM
AGアーク溶接方法に使用する図2の溶接装置のブロッ
ク図と同じであるので説明を省略する。
【0060】
【実施例】図4乃至図14を参照して、本発明の実施例
について説明する。図4は、ワイヤ送給速度設定回路W
Sと直流電流値設定回路IDSとを、機械的に連動又は
電気信号によって同時に設定(以下、一元調整という)
する本発明のパルスMAGアーク溶接装置の第1の実施
例のブロック図である。同図において、ワイヤ送給速度
設定回路WSと直流電流値設定回路IDSとを、機械的
に連動させた2軸連動可変抵抗器、電気信号によって2
つの設定値を同時に設定するディジタル設定器等によっ
て一元調整して、ワイヤ送給速度の設定と同時に直流電
流値の設定をして直流電流値設定信号Idsを出力し、直
流電流値を制御するパルスMAGアーク溶接装置であ
る。
【0061】図6は、図5の本発明のパルスMAGアー
ク溶接装置の直流電流値制御回路ICの実施例を示す。
ワイヤ送給速度設定信号Ws を入力端子a側から入力し
て、オペアンプA乃至オペアンプCを含む直流電流値制
御回路ICから、出力端子b側に直流電流値制御信号I
c を出力する。Ws はワイヤ送給速度設定信号の設定値
であり、Idhは直流電流値の上限の設定値であり、Idj
は直流電流値の下限の設定値である。
【0062】次に、直流電流値制御回路ICの入力信号
(ワイヤ送給速度設定信号Ws )と、出力信号(直流電
流値制御信号Ic )との関係について説明する。ワイヤ
送給速度設定信号Ws の調整範囲は、0〜5Vである。
またV1は直流電流値制御回路ICの出力電圧であり、
V2及びV3は、それぞれオペアンプB及びCの入力端
子電圧である。
【0064】(1)ワイヤ送給速度設定信号の設定値W
s と直流電流値上限設定値Idhと直流電流値下限設定値
Idjとの関係がIdj<Ws <Idhの場合 Ws =V1であるので、V2=V1<Idhとなり、オペ
アンプBの出力電圧が“+”となり、ダイオードDR1
と逆方向であるために、オペアンプBから成る上限電圧
設定回路は動作しない。また、V3=V1>Idjとな
り、オペアンプCの出力電圧が“−”となり、ダイオー
ドDR2と逆の方向であるために、オペアンプCから成
る上限電圧設定回路が動作しない。したがって、出力信
号の設定値(直流電流値制御信号の設定値Ic )はワイ
ヤ送給速度設定信号の設定値Ws と同じ値になる。
【0066】(2)ワイヤ送給速度設定信号の設定値W
s と直流電流値上限設定値Idhとの関係がWs >Idhの
場合 V2>Idhとなり、オペアンプBの出力電圧が“−”と
なり、ダイオードDR1と同方向であるので、オペアン
プBは出力電圧V1がIdhと同じ値になるまで動作し
て、出力信号の設定値(直流電流値制御信号の設定値I
c )はIdhと同じ値になる。
【0068】(3)ワイヤ送給速度設定信号の設定値W
s と直流電流値下限設定値Idjとの関係がWs <Idjの
場合 V3<Idjとなり、オペアンプCの出力電圧が“+”と
なり、ダイオードDR2と同方向であるので、オペアン
プCは出力電圧V1がIdjと同じ値になるまで動作し
て、出力信号の設定値(直流電流値制御信号の設定値I
c )はIdjと同じ値になる。
【0070】図7は、上記の図6の直流電流値制御回路
ICの入力信号のワイヤ送給速度設定信号Ws と出力信
号の直流電流値制御信号Ic との関係を示す関数の特性
図である。同図において、出力信号の直流電流値制御信
号Ic は、入力信号のワイヤ送給速度設定信号Ws が予
め設定した値Wsjまでは、直流電流値下限設定信号Idj
の一定値であり、予め設定した値Wsjから予め設定した
値Wshまでの間は、直流電流値下限設定値Idjから直流
電流値上限設定値Idhまで増加し、予め設定した値Wsh
以上は直流電流値上限設定値Idhの一定値の関数の実施
例を示す。図6の直流電流値制御回路ICは、ワイヤ送
給速度設定信号Ws を入力して直流電流値制御信号Ic
を出力する。
【0072】図8(A)及び(B)は、本発明の実施例
の図6の直流電流値制御回路ICを備えた溶接装置によ
って溶接したときに、溶接電流値が大のときの溶接電流
波形図及び溶接電流値が小のときの溶接電流波形図を示
す。溶接電流が大のとき、直流電流値を大にすることに
よって直流電流期間の短絡を防ぐことができる。溶接電
流値が小のとき、直流電流値を小さくすることによっ
て、入熱を抑えると共にアークの安定性を維持すること
ができる。
【0073】図9は、図5の直流電流値制御回路ICが
第1の直流電流値制御回路IC1及び第2の直流電流値
制御回路IC2である本発明のパルスMAGアーク溶接
装置の第3の実施例のブロック図である。破線の枠に囲
まれる部分は、図1に示した従来の溶接装置に、本発明
を実施するために、付加した速度設定・直流制御回路W
DCである。
【0074】ワイヤ送給速度制御回路WSは、ワイヤ送
給速度設定信号Ws を第1の直流電流値制御回路IC1
及び第2の直流電流値制御回路IC2に入力して、それ
ぞれの信号を変換して、第1の直流電流値制御信号Ic1
及び第2の直流電流値制御信号Ic2を出力する。直流電
流値切換回路SW3は、入力された2種類の直流電流値
制御信号を切り換えて直流電流値切換信号Sw3を出力す
る。図9の上記以外の回路は、従来のパルスMAGアー
ク溶接方法に使用する図2の溶接装置のブロック図と同
じであるので説明を省略する。
【0076】図10は、図9に示す溶接装置の第1の直
流電流値制御回路IC1及び第2の直流電流値制御回路
IC2の実施例を示す図である。同図の破線の枠に囲ま
れた回路は、前述した図6の直流電流値制御回路ICに
付加された直流制御信号シフト回路DCSの実施例であ
る。
【0080】図10において、図6と同じ部分は説明を
省略する。前述した図6の出力信号V1を中間端子a側
から入力して、オペアンプDの出力端子に出力電圧V4
を出力する。この出力電圧V4は、直流制御信号シフト
電圧Vssの設定値によって変化させることができる。し
かし、この出力電圧V4が“−”であるために、この出
力電圧V4の極性を変えるオペアンプEを使用する。オ
ペアンプEの出力端子b側に直流電流値制御信号Ic3が
出力され、その直流電流値制御信号の値Ic3は、直流制
御信号シフト電圧Vssの調整によって変化させることが
できる。
【0081】したがって、前述した図6の直流電流値制
御信号Ic の出力特性を上下にシフトすることが可能と
なった。第2の直流電流値制御回路IC2は、第1の直
流電流値制御回路IC1と同じ機能であるので、説明を
省略する。第1の直流電流値制御回路IC1と第2の直
流電流値制御回路IC2とは、機能は同一であるが、直
流制御信号シフト電圧Vssの調整値が異なるので、直流
電流値制御信号Ic の出力特性を上下にシフトした値が
異なる。
【0082】図11は、上記の図10の第1の直流電流
値制御回路IC1及び第2の直流電流値制御回路IC2
に入力されるワイヤ送給速度設定信号Ws と出力信号の
直流電流値制御信号Ic との関係を示す関数の特性図で
ある。被溶接物の種類によって溶接条件が異なり、溶接
電流値が同じでも適切な直流電流値が異なる。したがっ
て、この第3の実施例では、同じ送給速度のワイヤ送給
速度設定信号に対して、異なる2種類の直流電流値制御
信号を出力させている。
【0084】図12は、図5のワイヤ送給速度設定信号
Ws の代わりに、溶接電流検出信号Id を直流電流値制
御回路IC3に入力した本発明のパルスMAGアーク溶
接装置の第4の実施例のブロック図である。直流電流値
制御回路IC3は、入力された溶接電流検出信号Id
を、直流電流値制御回路IC3に予め記憶させた関数に
よって変換して、直流電流値制御信号Ic を出力する。
【0085】図12において、検出電流平均値出力回路
IEは、前述したワイヤ送給速度設定信号Ws を増減さ
せることによって変化した出力電流の瞬時値を溶接電流
検出回路IDが検出し、この検出した溶接電流検出信号
Id を入力して、溶接電流平均値又はパルス電流平均値
又はピーク電流平均値の検出電流平均値出力信号Ieを
出力する。上記の溶接電流平均値は、ワイヤ送給速度設
定信号Ws を増減させることによって変化した出力電流
の瞬時値の平均値である。他方、本出願の実施例の定電
流特性の溶接電源の直流電流期間は、パルス周波数が関
係しないので、上記の溶接電流平均値には、電流値が変
化しない直流電流期間の直流電流が含まれている。した
がって、図12の溶接装置は、直流電流を含まないパル
ス電流の平均値に相当する検出電流平均値出力信号Ie
を、直流電流値制御回路IC3に入力することによっ
て、ワイヤ送給速度設定信号Ws を増減させたとき、出
力電流の変化を正確に判別することができる。
【0086】また、本出願の実施例の溶接電源は、検出
した溶接電流検出信号Id によって、パルス周波数を変
化させているので、ワイヤ送給速度設定信号Ws を増減
させることによって出力電流の瞬時値が変化しても、パ
ルス幅は設定した一定値であるために、ピーク電流の平
均値は変化しない。しかし、本発明は、検出した溶接電
流検出信号Id によって、パルス幅を増減させて出力電
流の瞬時値を変化させる方式にも適用することができ
る。このパルス幅を増減させる方式の溶接電源は、パル
ス幅が増減することによってピーク電流平均値も変化す
るので、ベース電流を含まないピーク電流平均値に相当
する検出電流平均値出力信号Ie を、直流電流値制御回
路IC3に入力することによって、ワイヤ送給速度設定
信号Ws を増減させたとき、出力電流の変化を正確に判
別することができる。他の回路は前述した図2と同一の
機能であるので、説明を省略する。
【0087】図13は、図12の溶接装置によってアル
ミニウムのパルスMAGアーク溶接をするときの溶接電
流平均値Iwa と直流電流値Idcとの関係の実施例を示す
図である。同図において、被溶接物の材質はアルミニウ
ム又はアルミニウム合金で、ワイヤの直径は1. 6[m
m]を使用した。また、同図の縦軸に示す直流電流値
は、横軸に示す溶接電流平均値の変化に対応して、図1
2の溶接装置の直流電流値制御回路IC3に予め記憶せ
た関数によって定まる。
【0088】溶接電流値を定めるワイヤ送給速度の設定
と直流電流値の設定とを対応させることによって、本発
明の溶接方法及び溶接装置は、通常のアーク溶接と同じ
ように溶接電流値と溶接電圧値との2つを設定するだけ
で、溶接条件を簡単に設定することができる。
【0090】図14は、後述する本発明のパルスMAG
アーク溶接方法の効果と対比するために、従来技術のパ
ルス電流と直流電流とを繰り返し通電して溶接するパル
スMAGアーク溶接方法の溶接電流波形及び溶滴移行の
時間的経過を示す図である。
【0092】図15は、本発明のパルス電流と直流電流
とを繰り返し通電して溶接するパルスMAGアーク溶接
方法の溶接電流波形及び溶滴移行の時間的経過を示す図
である。
【0093】図14の従来技術において、パルス電流平
均値Ipaを増加させるためにワイヤ送給速度を増加させ
ても、直流電流期間Tdc=Td1の直流電流値Idc=Id1
は、ワイヤ送給速度に対応するパルス周波数に関係なく
一定値であるので、ワイヤ送給速度がワイヤ溶融速度よ
りも大になり、アーク長が短くなってアーク電圧が減少
した状態が継続し、アーク長を復帰させることができな
いために、短絡が発生し易くアークが不安定になる。し
たがつて、ワイヤ送給速度を設定すると同時に、直流電
流期間の直流電流値も設定しなければならない。
【0094】これに対して、図15の本発明では、パル
ス電流平均値Ipaを増加させるためにワイヤ送給速度を
増加させたときに、直流電流期間Tdc=Td2の直流電流
値Idc=Id2を、ワイヤ送給速度に対応させて増加させ
ているので、ワイヤ送給速度とワイヤ溶融速度との平衡
が維持され、従来技術のように、アーク長が短くなって
アーク電圧が減少しないので、安定したアークを維持す
ることができる。同図の本発明では、直流電流期間Tdc
の直流電流値IdcをId1からId2に増加させているの
で、ワイヤ先端の溶融金属の成長が図14の従来技術よ
りも速くなる。したがつて、図12のパルス・直流切換
周波数設定回路PDによって、直流電流期間TdcをTd1
からTd2に減少させて、図14の従来技術よりも速くパ
ルス電流を通電させて、ワイヤ先端の溶融金属をピンチ
力で離脱させ溶滴移行をさせている。
【0095】図16は、図12の溶接電流検出信号Id
をパルス・直流切換周波数設定回路PD1に入力して、
直流電流値Idc及び直流電流期間Tdcを自動的に設定す
る本発明のパルスMAGアーク溶接装置の第5の実施例
のブロック図である。図4、図5、図9及び図12の各
実施例の溶接装置は、前述したとおり、ワイヤ送給速度
を設定すると、自動的に直流電流期間の直流電流値も設
定して、直流電流期間Tdcの直流電流値IdcをId1から
Id2に増加させているので、ワイヤ先端の溶融金属の成
長が図14の従来技術よりも速くなる。
【0096】したがって、図4、図5、図9及び図12
のパルス・直流切換周波数設定回路PDを手動で設定し
て、直流電流期間TdcをTd1からTd2に減少させ、図1
4の従来技術よりも速くパルス電流を通電させ、ワイヤ
先端の溶融金属をピンチ力で離脱させて溶滴移行をさせ
ている。図16の溶接装置は、図5、図9及び図12の
ワイヤ送給速度設定信号Ws をパルス・直流切換周波数
設定回路PD1に入力して、直流電流値Idc及び直流電
流期間Tdcを自動的に設定している。同様に、図16の
溶接装置は、図12の溶接電流検出信号Id をパルス・
直流切換周波数設定回路PD1に入力して、直流電流値
Idc及び直流電流期間Tdcを自動的に設定してもよい。
また、図4の溶接装置において、ワイヤ送給速度設定回
路WS及び直流電流値設定回路IDSの連動に加えて、
パルス・直流切換周波数設定回路PDも機械的に連動さ
せた3軸連動可変抵抗器、電気信号によって3つの設定
値を同時に設定するディジタル設定器等によって一元調
整してもよい。このように、図16及び上記の図4の変
形例の溶接装置は、通常の溶接電流の設定及び溶接電圧
の設定をするだけで、直流電流値Idc及び直流電流期間
Tdcも自動的に設定しているので、通常の溶接と同じ簡
単な操作で、各種の溶接条件に対して、適切な直流電流
値Idc及び直流電流期間Tdcを設定することができる。
【0098】図17は、図示した重ね隅肉溶接におい
て、被溶接物の材質及びワイヤの種類が、アルミニウム
であり、上板及び下板の板厚[mm](横軸)と溶接可能
な上下の被溶接物の隙間(以下、ギャップ裕度という)
[mm](縦軸)との関係を示す図である。同図におい
て、曲線Pは、本出願人によって開発された従来技術の
ウェーブ・パルスMAGアーク溶接をしたときの板厚と
ギャップ裕度との関係を示し、板厚1. 5[mm]のとき
はギャップ裕度が1. 0[mm]であり、板厚が1. 5
[mm]から増加するにしたがって、ギャップ裕度も1.
0[mm]から増加し、板厚が3. 0[mm]では、ギャッ
プ裕度は3. 2[mm]まで増加している。
【0099】それに対して、曲線Nは、本発明のパルス
MAGアーク溶接をしたときの板厚とギャップ裕度との
関係を示し、ギャップ裕度が略0[mm]のとき溶接可能
な板厚を0. 8[mm]まで低下させることができ、板厚
が0. 8[mm]から増加するにしたがって、ギャップ裕
度も増加し、板厚が3. 0[mm]では、ギャップ裕度は
3. 8[mm]まで増加させることができる。
【0100】
【本発明の効果】本発明のパルスMAGアーク溶接方法
及び溶接装置は、次の効果を有する。 (1)本発明のパルスMAGアーク溶接方法及び溶接装
置の効果は、溶接電流値を定めるワイヤ送給速度設定信
号Ws を設定し、この設定したワイヤ送給速度設定信号
Ws と対応させた直流電流値制御信号Ic が制御する電
流値又は図4の実施例では直流電流値設定信号Idsが出
力する電流値の直流電流を通電することによって、直流
電流期間中に、ワイヤ送給速度の増加又は減少に対応し
てワイヤ溶融速度も増加又は減少するので、従来技術の
ように、直流電流期間中にアーク長が短くなって短絡が
発生してアークが一時的に消滅することがなく、アーク
が安定する。
【0101】(2)また、本発明のパルスMAGアーク
溶接方法及び溶接装置の効果は、パルス電流平均値Ipa
を定めるためのワイヤ送給速度の設定値に対応させて直
流電流値も自動的に設定しているので、種々の溶接条件
に対して、従来技術と同様の通常の溶接電流値及び溶接
電圧値の設定以外に、直流電流値の設定も加えたこれら
3つの複雑な組み合わせの設定を、短時間に精度よく設
定することができる。
【0103】(3)請求項3乃至請求項8の溶接方法及
び請求項11乃至請求項16の溶接装置の効果は、上記
の(1)及び(2)に記載した効果の他に、ワイヤ送給
速度設定信号Ws を予め記憶させた関数によって変換し
て直流電流値制御信号Ic を出力しているので、ワイヤ
送給速度の設定値と直流電流の設定値との関係を、特
に、薄板の突き合わせ・重ね合わせの隙間の大きい被溶
接物の溶接、傾斜姿勢・立向姿勢の溶接等の種々の溶接
条件にあわせて、自由に選定することができる。
【0104】(4)請求項4の溶接方法及び請求項12
の溶接装置の効果は、上記の(1)乃至(3)に記載し
た効果の他に、ワイヤ送給速度設定信号Ws を予め記憶
させた関数によって変換し、この関数変換した信号をレ
ベル調整しているので、ワイヤ送給速度の設定値と直流
電流の設定値との関係を、特に、薄板の突き合わせ・重
ね合わせの隙間の大きい被溶接物の溶接、傾斜姿勢・立
向姿勢の溶接等の種々の溶接条件にあわせて、簡単に変
更することができる。
【0105】(5)請求項5の溶接方法及び請求項13
の溶接装置の効果は、上記の(1)乃至(3)に記載し
た効果の他に、ワイヤ送給速度設定信号Ws を予め記憶
させた複数個の関数によって変換し、ワイヤ送給速度の
設定値と直流電流の設定値との関係を、特に、薄板の突
き合わせ・重ね合わせの隙間の大きい被溶接物の溶接、
傾斜姿勢・立向姿勢の溶接等の種々の溶接条件にあわせ
て、簡単に切り換えるだけでよいので、選定、変更等よ
りも迅速にかつ適切に設定することができる。
【0106】(6)請求項6の溶接方法及び請求項14
の溶接装置の効果は、上記の(1)乃至(3)に記載し
た効果の他に、ワイヤ送給速度設定信号Ws を変化させ
て、実際に変化した出力電流を検出して直流電流値を制
御しているので、溶接電流値に影響する電源電圧、溶接
ケーブルのインビーダンス等の外部条件を補償した直流
電流値を通電することができる。
【0107】(7)請求項7の溶接方法及び請求項15
の溶接装置の効果は、上記の(1)乃至(3)に記載し
た効果の他に、直流電流期間の直流電流を含まないパル
ス電流の平均値又はピーク電流の平均値に相当する検出
電流平均値出力信号Ie を溶接電流検出信号Id とする
ことによって、ワイヤ送給速度設定信号Ws を変化させ
たとき、出力電流の変化を正確に判別することができ
る。
【0108】(8)また、請求項7の溶接方法及び請求
項15の溶接装置の効果は、上記の(1)乃至(3)に
記載した効果の他に、パルス幅を変化させる方式の溶接
電源を使用したとき、直流電流期間の直流電流及びベー
ス電流を含まないピーク電流の平均値に相当する検出電
流平均値出力信号Ie を溶接電流検出信号Id とするこ
とによって、ワイヤ送給速度設定信号Ws を変化させた
とき、出力電流の変化を正確に判別することができる。
【0109】(9)請求項8の溶接方法及び請求項16
の溶接装置の効果は、上記の(1)乃至(3)に記載し
た効果の他に、通常の溶接電流値の設定及び溶接電圧値
の設定をするだけで、直流電流値Idcに加えて直流電流
期間Tdcも自動的に設定されているので、通常の溶接と
同じ簡単な操作で、各種の溶接条件に対して、適切な直
流電流値Idc及び直流電流期間Tdcを設定することがで
きる。
【0110】(10)本発明のパルスMAGアーク溶接
方法及び溶接装置の効果は、上記の(1)及び(2)に
記載した効果の他に、薄板の溶接可能な板厚の下限値を
下げるることができ、また溶接可能なギャップ裕度を増
加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来技術のパルス電流と直流電流とを
繰り返し通電して溶接するパルスMAGアーク溶接方法
の溶接電流(波形)及び溶滴移行の時間的経過を示す図
である。
【図2】図2は、従来のパルス電流と直流電流とを繰り
返し通電して溶接するパルスMAGアーク溶接方法に使
用する溶接装置のブロック図である。
【図3】図3(A)は、パルス周波数に対応した周波数
制御信号Vf を示す図であり、図3(B)は、周波数制
御信号Vf に対応したパルス周波数・幅信号Tp を示す
図である。
【図4】図4は、ワイヤ送給速度設定回路WSと直流電
流設定回路IDSとを、機械的に連動又は電気信号によ
って同時に設定(一元調整)する本発明のパルスMAG
アーク溶接装置の第1の実施例のブロック図である。
【図5】図5は、本発明のパルスMAGアーク溶接方法
を実施する溶接装置の第2の実施例のブロック図であ
る。
【図6】図6は、図5の本発明のパルスMAGアーク溶
接装置の直流電流値制御回路ICの実施例を示す。
【図7】図7は、図6の直流電流値制御回路ICの入力
信号のワイヤ送給速度設定信号Ws と出力信号の直流電
流値制御信号Ic との関係を示す関数の特性図である。
【図8】図8(A)及び(B)は、本発明の実施例の図
6の直流電流値制御回路ICを備えた溶接装置によって
溶接するときに、溶接電流値が大のときの溶接電流波形
図及び溶接電流値が小のときの溶接電流波形図を示す。
【図9】図9は、図5の直流電流値制御回路ICが第1
の直流電流値制御回路IC1及び第2の直流電流値制御
回路IC2である本発明のパルスMAGアーク溶接装置
の第3の実施例のブロック図である。
【図10】図10は、図9に示す溶接装置の第1の直流
電流値制御回路IC1及び第2の直流電流値制御回路I
C2の実施例を示す図である。
【図11】図11は、図10の第1の直流電流値制御回
路IC1及び第2の直流電流値制御回路IC2に入力さ
れるワイヤ送給速度設定信号Ws と出力信号の直流電流
値制御信号Ic との関係を示す関数の特性図である。
【図12】図12は、図5のワイヤ送給速度設定信号W
s の代わりに、溶接電流検出信号Id を直流電流値制御
回路IC3に入力した本発明のパルスMAGアーク溶接
装置の第4の実施例のブロック図である。
【図13】図13は、図12の溶接装置によってアルミ
ニウムのパルスMAGアーク溶接をするときの溶接電流
平均値Iwaと直流電流値Idcとの関係の実施例を示す図
である。
【図14】図14は、本発明のパルスMAGアーク溶接
方法の効果と対比するために、従来技術のパルス電流と
直流電流とを繰り返し通電して溶接するパルスMAGア
ーク溶接方法の溶接電流波形及び溶滴移行の時間的経過
を示す図である。
【図15】図15は、本発明のパルス電流と直流電流と
を繰り返し通電して溶接するパルスMAGアーク溶接方
法の溶接電流波形及び溶滴移行の時間的経過を示す図で
ある。
【図16】図16は、図12の溶接電流検出信号をパル
ス・直流切換周波数設定回路に入力して、直流電流値及
び直流電流期間を自動的に設定する本発明のパルスMA
Gアーク溶接装置の第5の実施例のブロック図である。
【図17】図17は、重ね隅肉溶接において、板厚と溶
接可能な隙間(ギャップ裕度)との関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
CM1…設定・検出電流比較回路 CM2…設定・検出電圧比較回路 DCS…直流制御信号シフト回路 IBS…ベース電流値設定回路 IC, IC3…直流電流値制御回路 IC1…第1の直流電流値制御回路 IC2…第2の直流電流値制御回路 ID…溶接電流検出回路 IDS…直流電流値設定回路 IE…検出電流平均値出力回路 IPS…ピーク電流値設定回路 PD…パルス・直流切換周波数設定回路 PS…パルス溶接電源 SW1…パルス・直流切換回路 SW2…ピーク・ベース電流値切換回路 SW3…直流電流値切換回路 TP…パルス幅設定回路 VD…溶接電圧検出回路 VF…電圧・周波数変換回路 VS…溶接電圧設定回路 WDC…速度設定・直流制御回路 WS…ワイヤ送給速度設定回路 Cm1…出力電流制御信号 Cm2…設定・検出電圧比較信号 Ib …ベース電流 Ibs…ベース電流値設定信号 Ic ,Ic3…直流電流値制御信号 Ic1…第1の直流電値流制御信号 Ic2…第2の直流電値流制御信号 Id …溶接電流検出信号 Id1…第1の直流電流値 Id2…第2の直流電流値 Idc…直流電流/直流電流値 Idh…直流電流値上限設定値 Idj…直流電流値下限設定値 Ids…直流電流値設定信号 Ie …検出電流平均値出力信号 Ip …ピーク電流 Ipa…パルス電流平均値 Ipc…パルス電流 Ips…ピーク電流値設定信号 Iwa…溶接電流平均値 Pd …パルス・直流切換信号 Sw1…パルス・直流電流制御信号 Sw2…ピーク・ベース電流値切換信号 Sw3…直流電流値切換信号 Tdc…直流電流期間 Tb …ベース期間 Tp …パルス周波数・幅信号/パルス期間 Tpc…パルス電流期間 V4…オペアンプDの出力電圧 Vd …溶接電圧検出信号 Vf …周波数制御信号 Vs …溶接電圧設定信号 Vss…直流制御信号シフト電圧 Ws …ワイヤ送給速度設定信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H02M 9/00 H02M 9/00 B

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定電流特性のパルス・ベース電流と定電
    流特性の直流電流とを繰り返し通電して溶接するパルス
    MIGアーク溶接及びパルスMAGアーク溶接方法にお
    いて、ワイヤ送給速度の設定値に対応させた直流電流値
    を通電して溶接するパルスMAGアーク溶接方法。
  2. 【請求項2】 請求項1のワイヤ送給速度の設定値に対
    応させた直流電流値が、ワイヤ送給速度の設定値と直流
    電流の設定値とを一元調整によって設定した電流値であ
    るパルスMAGアーク溶接方法。
  3. 【請求項3】 請求項1のワイヤ送給速度の設定値に対
    応させた直流電流値が、ワイヤ送給速度設定信号を予め
    記憶させた関数が変換した直流電流値制御信号によって
    定まる電流値であるパルスMAGアーク溶接方法。
  4. 【請求項4】 請求項1のワイヤ送給速度の設定値に対
    応させた直流電流値が、ワイヤ送給速度設定信号を予め
    記憶させた関数が変換した信号をレベル調整した直流電
    流値制御信号によって定まる電流値であるパルスMAG
    アーク溶接方法。
  5. 【請求項5】 請求項1のワイヤ送給速度の設定値に対
    応させた直流電流値が、ワイヤ送給速度設定信号を複数
    個の予め記憶させた関数が変換した直流電流値制御信号
    によって定まる電流値であるパルスMAGアーク溶接方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1のワイヤ送給速度の設定値に対
    応させた直流電流値が、ワイヤ送給速度設定信号を増減
    させることによって変化した溶接電流検出値で定まる電
    流値であるパルスMAGアーク溶接方法。
  7. 【請求項7】 請求項6の溶接電流検出値が溶接電流平
    均値又はパルス電流平均値又はピーク電流平均値である
    パルスMAGアーク溶接方法。
  8. 【請求項8】 定電流特性のパルス電流と定電流特性の
    直流電流とを繰り返し通電して溶接するパルスMAGア
    ーク溶接方法において、ワイヤ送給速度の設定値に対応
    させた直流電流値を、ワイヤ送給速度の設定値に対応さ
    せた直流電流期間に通電して溶接するパルスMAGアー
    ク溶接方法。
  9. 【請求項9】 定電流特性のパルス電流と定電流特性の
    直流電流とを繰り返し通電して溶接するパルスMAGア
    ーク溶接装置において、ワイヤ送給速度を設定してワイ
    ヤ送給速度設定信号を出力するワイヤ送給速度設定回路
    と、ワイヤ送給速度設定信号に対応させた直流電流値制
    御信号を出力する直流電流値制御回路又は直流電流値設
    定信号を出力する直流電流値設定回路とから成る速度設
    定・直流制御回路とを備え、定電流特性の直流電流値を
    制御するパルスMAGアーク溶接装置。
  10. 【請求項10】 請求項9の直流電流値設定信号が、ワ
    イヤ送給速度設定回路と直流電流値設定回路とを機械的
    に連動させた設定器又は電気信号で同時に設定する設定
    器の一元調整によって、ワイヤ送給速度の設定と同時に
    設定する直流電流値設定信号であるパルスMAGアーク
    溶接装置。
  11. 【請求項11】 請求項9の直流電流値制御信号が、ワ
    イヤ送給速度設定信号を予め記憶させた関数を備えた直
    流電流値制御回路によって変換して出力する直流電流値
    制御信号であるパルスMAGアーク溶接装置。
  12. 【請求項12】 請求項9の直流電流値制御信号が、入
    力したワイヤ送給速度設定信号を予め記憶させた関数に
    よって変換し、この変換した信号をレベル調整する直流
    制御信号シフト回路が出力する直流電流値制御信号であ
    るパルスMAGアーク溶接装置。
  13. 【請求項13】 請求項9の直流電流値制御信号が、入
    力したワイヤ送給速度設定信号を予め記憶させた複数個
    の関数を備えた直流電流値制御回路によって変換して出
    力する直流電流値制御信号であるパルスMAGアーク溶
    接装置。
  14. 【請求項14】 請求項9の直流電流値制御信号が、ワ
    イヤ送給速度設定信号を増減させることによって変化し
    た溶接電流値を溶接電流検出回路が検出し、この検出し
    た溶接電流検出信号を、予め記憶させた関数を備えた直
    流電流値制御回路によって変換して出力する直流電流値
    制御信号であるパルスMAGアーク溶接装置。
  15. 【請求項15】 請求項9の直流電流値制御信号が、ワ
    イヤ送給速度設定信号を増減させることによって変化し
    た出力電流の瞬時値を溶接電流検出回路が検出し、この
    検出した溶接電流検出信号の溶接電流平均値又はパルス
    電流平均値又はピーク電流平均値の検出電流平均値出力
    信号を、検出電流平均値出力回路が出力する直流電流値
    制御信号であるパルスMAGアーク溶接装置。
  16. 【請求項16】 定電流特性のパルス電流と定電流特性
    の直流電流とを繰り返し通電して溶接するパルスMAG
    アーク溶接装置において、ワイヤ送給速度を設定してワ
    イヤ送給速度設定信号を出力するワイヤ送給速度設定回
    路と、ワイヤ送給速度設定信号に対応させた直流電流値
    制御信号を出力する直流電流値制御回路と、ワイヤ送給
    速度設定信号に対応させた周波数でパルス電流と直流電
    流とを切り換えるパルス・直流切換信号を出力するパル
    ス・直流切換周波数設定回路とを備え、定電流特性の直
    流電流値及び直流電流期間を制御するパルスMAGアー
    ク溶接装置。
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