JPH09270623A - アンテナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低背化が可能となり、安定したアンテナ特性
を得ることができ、さらに、部品点数が減り、組立ての
作業工数も少なくなるアンテナ装置を提供する。 【解決手段】 アンテナ装置１０は、アンテナ本体１１
と電力放射用導体１２で構成される。アンテナ本体１１
は、インダクタンス成分１３ａ、抵抗成分１４ａ及び容
量成分１５ａが、給電用端子１６とグランドとの間に直
列に接続された等価回路となる。また、電力放射用導体
１２は、アンテナ本体１１が搭載された車両の車体（図
示せず）であり、インダクタンス成分１３ｂ、抵抗成分
１４ｂ及び容量成分１５ｂが、グランド間に直列に接続
された等価回路となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、アンテナ装置に関
し、特に、自動車、オートバイなどの移動体に搭載して
使用される移動体通信用のアンテナ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ＧＰＳ(Global Positioning Sy
stem) 受信システムに用いられるアンテナは、自動車な
どの移動体に搭載するために、コンパクトかつ薄い形態
のものが必要とされる。図６は、その一例を示すもので
あり、平面アンテナ５０は、アンテナエレメント５１と
アンテナモジュール５２で構成されている。アンテナエ
レメント５１は、一方主面にパッチアンテナ素子層５３
を、他方主面に第１グランドパターン層５４を設けた誘
電体基板５５で形成され、アンテナモジュール５２は、
一方主面に第２グランドパターン層５６を、他方主面に
回路パターン層５７を設けたガラスエポキシ基板５８で
形成されている。この際、アンテナエレメント５１の第
１グランドパターン層５４と、アンテナモジュール５２
の第２グランドパターン層５６とを接合している。ま
た、誘電体基板５５の一方主面（パッチアンテナ素子層
５３が形成されている主面）とガラスエポキシ基板５８
の他方主面（回路パターン層５７が形成されている主
面）との間に、誘電体基板５５とガラスエポキシ基板５
８を貫通するように給電ピン５９を設け、第２グランド
パターン層５６と回路パターン層５７とを導通接続し、
ガラスエポキシ基板５８を貫通するようにビアホール６
０を設け、回路パターン層５７に回路部品６１を搭載す
る。

【０００３】このように構成された平面アンテナ５０
は、パッチ型平面アンテナ構造となるアンテナエレメン
ト５１が電波信号を受信し、アンテナモジュール５２の
回路部品６１によって電波信号を増幅する。また、アン
テナモジュール５２の第２グランドパターン層５６は回
路部品６１のグランドとなると共に、アンテナエレメン
ト５１が回路部品６１からでる不要電波を受信すること
により、アンテナエレメント５１と回路部品６１間でル
ープを形成し、正帰還して発振することを防ぐために、
アンテナエレメント５１と回路部品６１を絶縁してい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の従来
の平面アンテナにおいては、アンテナエレメントの誘電
体基板と、アンテナモジュールのガラスエポキシ基板の
線膨脹係数の差が大きいため、信頼性が劣化するという
問題点があった。また、構造が複雑であるため、組立て
の作業工数が多くなるという問題点もあった。

【０００５】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、低背化が可能となり、安定し
たアンテナ特性を得ることができ、さらに、部品点数が
減り、組立ての作業工数も少なくなるアンテナ装置を提
供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述する問題点を解決す
るため本発明は、誘電材料及び磁性材料の少なくとも一
方からなる基体と、該基体の表面及び内部の少なくとも
一方に形成された少なくとも１つの電力供給用導体と、
前記基体の表面に形成され、前記電力供給用導体に電圧
を印加するための少なくとも１つの給電用端子とを備え
た少なくとも１つのアンテナ本体と、該アンテナ本体を
搭載した車両の車体からなる電力放射用導体とで構成さ
れることを特徴とする。

【０００７】また、前記アンテナ本体が、複数個、車両
の車体に搭載されることを特徴とする。

【０００８】また、前記アンテナ本体を、前記車両の車
体のグランドであるバッテリーから離れた箇所に搭載す
ることを特徴とする。

【０００９】本発明のアンテナ装置によれば、アンテナ
本体が備える電力供給用導体を励起子、車両の車体から
なる電力放射用導体を放射板として動作させることが可
能となる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例を説明する。なお、実施例中において、第１の実施
例と同一もしくは同等の部分には同一番号を付し、詳細
な説明は省略する。

【００１１】図１に、本発明に係るアンテナ装置の第１
の実施例の等価回路図を示す。アンテナ装置１０は、ア
ンテナ本体１１と電力放射用導体１２で構成される。

【００１２】アンテナ本体１１は、インダクタンス成分
１３ａ、抵抗成分１４ａ及び容量成分１５ａが、給電用
端子１６とグランドとの間に直列に接続された等価回路
となる。また、電力放射用導体１２は、アンテナ本体１
１が搭載された車両の車体（図示せず）であり、インダ
クタンス成分１３ｂ、抵抗成分１４ｂ及び容量成分１５
ｂが、グランド間に直列に接続された等価回路となる。

【００１３】そして、図２に示すように、アンテナ本体
１１は、電力放射用導体１２を形成している車両の車体
１７、例えばシャーシに搭載され、アンテナ本体１１の
インダクタンス成分１３ａと、電力放射用導体１２のイ
ンダクタンス成分１３ｂとが電磁結合し、アンテナ本体
１１の給電用端子１６から給電された電力が、電力放射
用導体１２、すなわち車両の車体１７から電波として放
射される。

【００１４】実際に、第１の実施例であるアンテナ装置
１０と従来例である平面アンテナ５０について、反射係
数を測定した結果、比帯域幅が約３倍広くなり、利得が
約７ｄＢ改善された。

【００１５】図３及び図４に、第１の実施例のアンテナ
装置１０を構成するアンテナ本体１１の一例の斜視図及
び分解斜視図を示す。

【００１６】アンテナ本体１１は、直方体状で実装面１
ａを有する基体１の内部に、巻回軸Ｃが実装面１ａと垂
直な方向、すなわち基体１の高さ方向に螺旋状に巻回さ
れる電力供給用導体２を備えてなる。ここで、基体１
は、酸化バリウム、酸化アルミニウム、シリカを主成分
とする誘電材料（比誘電率：約６．１）からなる矩形状
のシート層３ａ〜３ｊを積層してなる。

【００１７】このうち、シート層３ａ、３ｃ、３ｅ、３
ｇ及び３ｉの表面には、銅あるいは銅合金よりなり、略
Ｌ字状あるいは略コ字状をなす導電パターン４ａ〜４ｅ
が、印刷、蒸着、貼り合わせ、あるいはメッキによって
設けられる。さらに、シート層３ｂ〜３ｉの所定の位置
（導電パターン４ａ〜４ｅの一端及びその対応部）に
は、厚み方向にビアホール５が設けられる。

【００１８】そして、シート層３ａ〜３ｊを積層焼結
し、導電パターン４ａ〜４ｅをビアホール５で接続する
ことにより、基体１の内部に、巻回断面が矩形状をな
し、基体１の高さ方向に螺旋状に巻回される電力供給用
導体２が形成される。

【００１９】この際、電力供給用導体２の一端（導電パ
ターン４ａの一端）は、基体１の表面に引き出され給電
部６を形成し、電力供給用導体２に電圧を印加するため
に基体１の表面に形成された給電用端子１６に接続され
る。一方、電力供給用導体２の他端（導電パターン４ｅ
の一端）は、基体１の内部において自由端７を形成す
る。

【００２０】このようなアンテナ本体１１において、図
１に示すように、電力供給用導体２はインダクタンス成
分１３ａ及び抵抗成分１４ａで構成され、容量成分１５
ａは電力供給用導体２の自由端７とグランドとの間に形
成される。

【００２１】上述したように、第１の実施例であるアン
テナ装置では、アンテナ本体に電力供給用導体を設け、
アンテナ本体を搭載する車両の車体を電力放射用導体と
して用いるため、比帯域幅を３倍以上広くし、利得を７
ｄＢ以上改善することができる。

【００２２】また、車両の車体を電力放射用導体として
用いるため、電波の落ち込む領域を低減することができ
る。

【００２３】さらに、アンテナ装置をアンテナ本体と車
両の車体だけで構成し、ガラスエポキシ基板を用いる必
要がないため、部品点数が減り、組立ての作業工数も少
なく製造することができ、低コスト化が可能となる。

【００２４】また、低背化が可能となり、自動車、オー
トバイなどの移動体に搭載するのに最適なアンテナ装置
となる。

【００２５】なお、図２に示すように、車両の車体１７
のグランドであるバッテリー１８から離れた箇所に、ア
ンテナ本体１１を搭載すれば、電力放射用導体１２のイ
ンダクタンスが大きくなるためアンテナ装置１０の特性
がさらに良くなる。

【００２６】図５に、本発明に係るアンテナ装置の第２
の実施例の等価回路図を示す。アンテナ装置２０は、ア
ンテナ装置１０と比較して、アンテナ本体２１が複数個
（本実施例では３個）搭載される点で異なる。

【００２７】上述したように、第２の実施例であるアン
テナ装置では、アンテナ本体を複数搭載し、個々のアン
テナ本体のインダクタンス成分と車両の車体である電力
放射用導体のインダクタンスが磁気結合しているため、
テレビ、ラジオ、自動車電話など、複数の周波数のシス
テムに対応することができる。

【００２８】なお、第１及び第２の実施例においては、
アンテナ本体の基体が酸化バリウム、酸化アルミニウ
ム、シリカを主成分とする誘電材料により構成される場
合について説明したが、基体としてはこの誘電材料に限
定されるものではなく、酸化チタン、酸化ネオジウムを
主成分とする誘電材料、ニッケル、コバルト、鉄を主成
分とする磁性材料、あるいは誘電材料と磁性材料の組み
合わせでもよい。

【００２９】また、アンテナ本体の基体の形状が直方体
状である場合について説明したが、他の形状、例えば立
方体状、円柱状、角錐状、円錐状、球状等でもよい。

【００３０】さらに、アンテナ本体の電力供給用導体が
基体の実装面と直交する方向に螺旋状に巻回されている
場合について説明したが、基体の実装面と平行な方向に
螺旋状に巻回されていてもよい。

【００３１】また、アンテナ本体の電力供給用導体の巻
回軸と直交する巻回断面の形状が略矩形の場合について
説明したが、巻回断面の形状は少なくとも一部に直線部
を有していればよい。

【００３２】さらに、アンテナ本体の電力供給用導体は
螺旋状に巻回されている場合について説明したが、ミア
ンダ状に形成されていてもよい。

【００３３】また、アンテナ本体の基体の内部に電力供
給用導体を設ける場合について説明したが、電力供給用
導体の一部あるいは全てを、アンテナ本体の基体の表面
に設けてもよい。

【００３４】さらに、アンテナ本体の搭載位置は、本発
明の実施にあたって必須の条件となるものではない。

【００３５】

【発明の効果】請求項１のアンテナ装置によれば、アン
テナ本体に電力供給用導体を設け、アンテナ本体を搭載
する車両の車体を電力放射用導体として用い、電力供給
用導体が励起子、電力放射用導体が放射板として動作さ
せることができるため、比帯域幅を広くし、利得を改善
させることができる。

【００３６】また、車両の車体を電力放射用導体として
用いるため、電波の落ち込む領域を低減することができ
る。

【００３７】さらに、アンテナ装置をアンテナ本体と車
両の車体だけで構成し、ガラスエポキシ基板を用いる必
要がないため、部品点数が減り、組立ての作業工数も少
なく製造することができ、低コスト化が可能となる。

【００３８】また、低背化が可能となり、自動車、オー
トバイなどの移動体に搭載するのに最適なアンテナ装置
となる。

【００３９】請求項２のアンテナ装置によれば、車両の
車体に、アンテナ本体を複数個搭載し、個々のアンテナ
本体のインダクタンス成分と車両の車体である電力放射
用導体のインダクタンスが磁気結合しているため、テレ
ビ、ラジオ、自動車電話など、複数の周波数のシステム
に対応することができる。

【００４０】請求項３のアンテナ装置によれば、アンテ
ナ本体を車両の車体のグランドであるバッテリーから離
れた箇所に搭載するため、電力放射用導体のインダクタ
ンスが大きくなり、アンテナ装置の特性がさらに良くな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のアンテナ装置に係る第１の実施例の等
価回路図である。

【図２】図１のアンテナ装置を搭載した車両の側面図で
ある。

【図３】図１のアンテナ装置を構成するアンテナ本体の
斜視図である。

【図４】図３のアンテナ本体の分解斜視図である。

【図５】本発明のアンテナ装置に係る第２の実施例の等
価回路図である。

【図６】従来の平面アンテナの断面図である。

【符号の説明】

１ 基体 ２ 電力供給用導体 １０、２０ アンテナ装置 １１ アンテナ本体 １２ 電力放射用導体 １６ 給電用端子 １７ 車体 １８ バッテリー（グランド）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 誘電材料及び磁性材料の少なくとも一方
   からなる基体と、該基体の表面及び内部の少なくとも一
   方に形成された少なくとも１つの電力供給用導体と、前
   記基体の表面に形成され、前記電力供給用導体に電圧を
   印加するための少なくとも１つの給電用端子とを備えた
   少なくとも１つのアンテナ本体と、該アンテナ本体を搭
   載した車両の車体からなる電力放射用導体とで構成され
   ることを特徴とするアンテナ装置。
2. 【請求項２】 前記アンテナ本体が、複数個、車両の車
   体に搭載されることを特徴とする請求項１に記載のアン
   テナ装置。
3. 【請求項３】 前記アンテナ本体が、前記車両の車体の
   グランドであるバッテリーから離れた箇所に搭載される
   ことを特徴とする請求項１あるいは請求項２に記載のア
   ンテナ装置。