JPH09268938A - エンジン停止検知方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 遠隔操作時のエンジン始動が円滑に処理でき
る「エンジン停止検知方法」を提供する。 【解決手段】 オルタネータ（１５）のＬｏｗ信号を検
知した場合に、エンジン始動の前後のバッテリ（１）の
電圧の差分が初定値以下であった場合にエンストと判断
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン停止を検
知する方法に関し、特に遠隔操作によってエンジン始動
を行う場合のエンジン停止検知方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在、乗員が携帯する送信器と自動車に
取り付けられる本体とより成るエンジン始動装置があ
る。このようなエンジン始動装置は、送信器から本体の
受信器に信号を送信してイグニッションスイッチをＯＮ
し、スタータモータを回転させてエンジンが完全に始動
したこと（完爆）あるいはエンジンストール（エンス
ト）が起こったことを判断してエンジンの始動に関する
処理を自動的に制御している。

【０００３】エンジンの始動および停止の検知は、オル
タネータから得られる電気信号（本明細書ではオルタネ
ータ信号と記す）、もしくはエンジン始動開始とエンジ
ン始動完了後のバッテリ電圧の差分を基準として行うこ
とが可能である。

【０００４】オルタネータとは、回転するエンジンと連
動して回転する発電機である。よって、オルタネータの
回転状態を表すオルタネータ信号は、エンジンの回転状
態をも表すものと考えられる。また、オルタネータが発
電した電力は、バッテリに蓄積され、必要に応じて自動
車の各部構成に供給されているから、エンジン始動の前
のバッテリ電圧よりも、エンジンが始動後のバッテリ電
圧が高くなっていればオルタネータが回転している、ま
た、エンジンが始動後のバッテリ電圧が高くなっていな
ければオルタネータが停止しているかあるいは回転が不
充分である、すなわちエンストを起こしたものと判断す
ることができる。

【０００５】図５および図６は、従来のエンジン始動お
よび停止を検知する方法を説明する図である。

【０００６】図５は、上記方法のうち、オルタネータ信
号によってエンジンの始動および停止を検知する方法を
説明する図であって、（ｃ）はオルタネータ信号を表
し、（ｂ）はスタータモータの回転、停止のタイミング
を表している。

【０００７】オルタネータの発電によって所定の値以上
の電圧が得られるとオルタネータに具備される制御回路
が、制御信号を出力して充電警告灯を消灯し、発電によ
って得られる電圧が所定の値以下であるときには制御信
号は出力されず充電警告灯が点灯する。よって、この制
御信号は、オルタネータが発電する電圧が所定の値以上
であるか以下であるかを、Ｈｉ信号もしくはＬｏｗ信号
で表すものと見なすことができる。

【０００８】図５のオルタネータ信号は、このＨｉ信号
およびＬｏｗ信号を示したものである。スタータモータ
は、イグニッションスイッチのＯＮによって回転を開始
し、オルタネータ信号のＨｉ信号が検出されると回転を
終了する。

【０００９】また、図６はエンジン始動開始とエンジン
始動完了後のバッテリ電圧の差分を基準としてエンジン
の始動および停止を検知する方法を説明する図であっ
て、（ａ）はバッテリ電圧を表し、（ｂ）はスタータモ
ータの回転、停止のタイミングを表している。スタータ
モータ回転開始前と回転終了後のバッテリ電圧の差分を
ΔＶとして、この値が所定の値以上である場合にエンジ
ンが始動したと判断し、所定の値以下であればエンスト
を起こしたものと判断する。スタータモータが回転して
いる間、バッテリ電圧が低下するのはスタータモータを
回転するのにバッテリに蓄えられていた電力を消費する
ためである。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のオルタ
ネータ信号を用いたエンジンの始動および停止を検知す
る方法では、図５中のＡで示したＨｉ信号が検知される
とエンジンが始動したとしてスタータモータを停止する
のであるが、その後にＬｏｗ信号が検知されるとエンス
トが起こったと判断してしまうことがある。すなわちＡ
のようにすぐＬｏｗ信号に切換わるＨｉ信号は、オルタ
ネータの発電電圧が不安定である場合に生じるものであ
る。

【００１１】このような場合、実際にはエンジンが始動
状態にあっても、エンストしたものと誤判断してエンジ
ン始動にかかる一連の処理（本明細書ではシステムと記
す。）を中止してしまう。エンジンのシステムが中止さ
れると、これを再始動する操作が必要となるために、こ
のようなエンストの誤判断は、遠隔操作によるエンジン
の始動処理を円滑に行うことを妨げていた。

【００１２】また、エンジン始動の前後でバッテリ電圧
を比較する始動検知方法では、スタータモータの回転に
よってバッテリ電圧が低下することから、所定の時間ス
タータモータを回転させてから回転を停止し、バッテリ
電圧の検知を行わなければならない。よってエンジンが
エンストしても所定の時間が経過するまでスタータモー
タの制御ができないことになる。

【００１３】本発明は、このような課題に鑑みておこな
われたものであり、より円滑に遠隔操作によるエンジン
始動を行い得る、エンジン停止検知方法を提供すること
を目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明のエンジン停止検
知方法は、自動車のエンジン停止を検知する方法であっ
て、前記エンジンのスターテイング・モータが回転を開
始する以前のバッテリ電圧を記憶し、前記スターテイン
グ・モータの回転を開始する一方、前記エンジン内にお
ける燃料への着火を開始し、前記エンジンと連動する発
電機のＨｉ信号を検知して前記スターティング・モータ
を停止し、前記発電機のＬｏｗ信号が検出された場合に
は、前記スターテイング・モータが、回転を開始する前
のバッテリ電圧と停止した後のバッテリ電圧の差分電圧
値を求め、差分電圧値が、所定の値以下であった場合に
前記エンジンが停止したと判断することを特徴とするも
のである。

【００１５】上記のように構成することによって、オル
タネータのＨｉ信号によってエンジン始動の検知を行
い、オルタネータのＬｏｗ信号と前記バッテリ電圧の差
分値とを併用してエンストの検知を行うことができるよ
うになる。

【００１６】

【発明の実施の形態】図１は、本実施の形態のエンジン
停止検知方法を実施する構成を示すブロック図で、図中
に示した実線は、各構成で授受される信号を示してい
る。また、図２は、本実施の形態のエンジンの停止検知
方法とスタータモータの回転タイミングを説明する図で
ある。

【００１７】以下に、図１、図２を用いて本実施の形態
のエンジン停止検知方法を説明する。また、本実施の形
態は、本発明のエンジン停止検知方法を遠隔操作によっ
て始動するディーゼルエンジン車に適用した例について
述べるものである。

【００１８】図１に示した構成は、エンジン始動に関す
る自動車の構成と自動車に装備されたエンジン始動装置
本体とによって成っている。エンジン始動に関する自動
車の主な構成は、自動車の各構成に電力を供給するバッ
テリ１と、エンジン内で高圧高温となった空気に燃料を
噴射するイグニッションノズル１３と、エンジンが完爆
するまでエンジンを回転させるスタータモータ７と、エ
ンジンの回転と連動して回転する発電機であるオルタネ
ータ１５と、エンジンの始動および停止を表示するイン
ジケーターランプ９である。

【００１９】また、イグニッションノズル１３、スター
タモータ７とバッテリの間にはそれぞれイグニッション
スイッチ３、スタータスイッチ５が設けられており、バ
ッテリとの接続、切断が可能なように構成されている。

【００２０】また、自動車に装備された始動装置本体
は、アンテナ６を具備する制御部１０によって構成され
ている。制御部１０は、自動車に後付けされる際にイグ
ニッション電圧、オルタネータ信号の情報を入力できる
ように取り付けられて、こうした情報に基づいてインジ
ケーターランプ９の点灯および消灯、スタータモータ７
の回転および停止の制御を行うものである。

【００２１】次に、本実施の形態の各構成の間で行われ
る信号の授受について述べる。

【００２２】図示しない送信器から送信された信号をア
ンテナ６が受信すると制御装置１０は、スタータスイッ
チ５およびイグニッションスイッチ３をＯＮしてイグニ
ッションノズル１３およびスタータモータ７にバッテリ
１から電力を供給し、インジケーターランプ９を点灯す
る。イグニッションスイッチ３のＯＮによって、イグニ
ッションノズル１３は燃料の噴射を開始し、またスター
タスイッチ５のＯＮによってスタータモータ７が回転を
開始する。

【００２３】スタータモータ７が図２の（ｂ）に示すタ
イミングで回転し始めると、バッテリ１の電圧は、スタ
ータモータ７の回転に電力が費やされることにより
（ａ）のように低下する。

【００２４】エンジンは、最初スタータモータ７によっ
て比較的ゆっくり回転しているが、イグニッションノズ
ル１３が、高圧高温となった空気に燃料を噴射している
から、内部で生じる燃料の爆発によって次第に高速で回
転するようになり、やがて始動して図２（ｃ）に示すよ
うなオルタネータ信号が制御装置１０に検知されるよう
になる。オルタネータ信号を検知した制御装置１０は、
スタータモータ７を停止し、インジケーターランプラン
プ９を消灯する。

【００２５】スタータモータ７が停止すると、これにか
かる電力の消費が無くなり、オルタネータ１５の発電に
よってバッテリ１に電力が蓄えられるので、バッテリ１
の電圧は回復し、図（ａ）に示すようにスタータモータ
７の回転前の電圧とΔＶの差を生じる。

【００２６】次に、以上述べた処理をフローチャートに
して図３および図４に示す。

【００２７】本実施の形態は、制御装置１０がエンジン
始動指示信号を受信した時点でスタートする（Ｓ１）。
本実施の形態では、エンジン始動の処理を行うのに所定
の始動処理時間を定めて、この時間内にエンジンが始動
しないようであればエンジンの始動のシステムを終了し
て再度のエンジン始動指示に備えるように設定してい
る。よって、タイマｔをリセット（Ｓ２）してこの所定
の時間の計時を開始して（Ｓ３）、エンジン始動のサブ
ルーチンに入る（Ｓ４）。

【００２８】エンジン始動のサブルーチンでは、先ずエ
ンジン始動指示信号を受信した直後のバッテリの電圧Ｖ
0 を記憶してから（Ｓ１１）イグニッションおよびスタ
ータスイッチ３、５をＯＮする。この後にオルタネータ
信号を検知すると、エンジンが始動したものと判断して
スタータモータを停止し（Ｓ１４）、信号が検知できな
い場合にはステップ５に戻り、タイマｔが計時する始動
処理時間内であるか否かを判断して、始動処理時間内で
あればオルタネータ信号の検知を続け、始動処理時間外
であればエンジン始動の処理を終了する。

【００２９】スタータモータを停止した後にオルタネー
タのＬｏｗ信号が検知されると（Ｓ１５）制御装置は、
この時のバッテリ電圧を検知する（Ｓ１６）。このバッ
テリ電圧には、制御装置に入力するイグニッションの電
圧を使用すれば良い。次に、検知したバッテリ電圧Ｖか
らステップ１１で記憶したＶ0 を差し引いたＶ−Ｖ0の
値であるΔＶを求める。

【００３０】このΔＶは、ステップ１４でエンジンが始
動してからオルタネータの発電によってバッテリに電力
が蓄積された結果生じたものである。したがって、この
ΔＶの値によってオルタネータの回転、すなわちエンジ
ンの回転の状態を判断することが可能で、本実施の形態
ではエンジン始動と判断するのにΔＶの値が０．５Ｖ以
上という基準を設定し、ΔＶの値が０．５Ｖ以上であっ
たならエンジンはエンストを起こしていないと判断して
いる（Ｓ１７）。

【００３１】ΔＶが０．５Ｖ以上であれば、ステップ６
に戻って始動処理時間内であるかを判断して、始動処理
時間内であればエンストの検知を続行する。

【００３２】一方、Ｖ−Ｖ0 の値が０．５Ｖ以下であっ
たなら、エンジンはエンストの状態であると判断し、タ
イマｔの計時に関係なくシステムを終了する（Ｓ１
８）。

【００３３】また、ステップ１５でオルタネータからの
Ｌｏｗ信号が検知されなかった場合には、始動処理時間
が終了するまでオルタネータのＬｏｗ信号の検知を続
け、一旦始動したエンジンがエンストを起こしていない
か調べるようにしている（Ｓ７）。

【００３４】本実施の形態は、オルタネータのＨｉ信号
によってエンジンの始動を検知することにより、エンジ
ンが始動し始めた直後にこれを検知してスタータモータ
を停止することが可能である。

【００３５】また、エンジン始動後にオルタネータのＬ
ｏｗ信号が検知されても、エンジン始動開始前と始動後
のバッテリ電圧の差分が所定の値以上であった場合に
は、エンストと判断しないことによって、オルタネータ
の発電が不安定であっても適確にエンストを検知するこ
とができる。

【００３６】

【発明の効果】本発明のエンジン停止検知方法は、発電
機のＬｏｗ信号とエンジン始動の前後のバッテリ電圧の
差分電圧値とを併用してエンストの検知を行うことによ
り、発電機の信号が不安定であってもエンストの誤判断
を防止して、より円滑にエンジン始動を行うことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のエンジン停止検知方法を実現する構
成のブロック図である。

【図２】 本発明のエンジン停止検知方法の信号の授受
を説明する図である。

【図３】 本発明のエンジン停止検知方法を説明するフ
ローチャートである。

【図４】 本発明のエンジン停止検知方法を説明するフ
ローチャートである。

【図５】 従来のエンジン停止検知方法を説明する図で
ある。

【図６】 従来のエンジン停止検知方法を説明する図で
ある。

【符号の説明】

１…バッテリ、 ３…イグニッションスイッチ、５…ス
タータスイッチ、 ７…スタータモータ、９…インジケ
ーターランプ、 １０…制御装置、１３…イグニッショ
ンノズル、 １４…アクセラレータ、１５…オルタネー
タ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車のエンジン停止を検知する方法で
   あって、 前記エンジンのスターテイング・モータ（７）が回転を
   開始する以前のバッテリ（１）電圧を記憶し、 前記スターテイング・モータ（７）の回転を開始する一
   方、前記エンジン内における燃料への着火を開始し、 前記エンジンと連動する発電機（１５）のＨｉ信号を検
   知して前記スターティング・モータ（７）を停止し、 前記発電機（１５）のＬｏｗ信号が検出された場合に
   は、前記スターテイング・モータ（７）が、回転を開始
   する前のバッテリ（１）電圧と停止した後のバッテリ
   （１）電圧の差分電圧値を求め、 当該差分電圧値が、所定の値以下であった場合に前記エ
   ンジンが停止したと判断することを特徴とするエンジン
   停止検知方法。