JPH09268429A - 多糸条紡糸直接延伸法によるポリエステル繊維の製造法 - Google Patents

多糸条紡糸直接延伸法によるポリエステル繊維の製造法

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JPH09268429A
JPH09268429A JP7552296A JP7552296A JPH09268429A JP H09268429 A JPH09268429 A JP H09268429A JP 7552296 A JP7552296 A JP 7552296A JP 7552296 A JP7552296 A JP 7552296A JP H09268429 A JPH09268429 A JP H09268429A
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yarn
roller
rollers
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spinning
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Yoshiharu Okumura
由治 奥村
Hiroshi Takahashi
洋 高橋
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高重合度のポリエステルから高強度の産業用
ポリエステル延伸糸を製造する直接紡糸延伸方法で8糸
条以上のような多糸条の安定製糸を可能とし、強度、伸
度、毛羽品位等において優れた産業用ポリエステル繊維
を高い生産性で製造する 【解決手段】 1段目延伸時の供給ローラー2に至るま
での各ローラーへの糸条の巻掛けをそれぞれ1周回未満
の片掛けとし、1段目延伸時の供給ローラー2を60℃
以上の加熱ローラーとして予熱し、80〜160℃のス
チームの存在下(3)で1段目の熱延伸を行い、さら
に、1段目延伸を行った後に糸条を複数群Y、Y′に分
割し、それぞれを別のローラー対に周回させることによ
りさらに延伸、熱セットし、弛緩処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業資材用繊維と
して優れた力学的特性を有し、樹脂被覆布用途、重布用
途、エアバッグ用途、ゴム補強用途などに好適なポリエ
ステル繊維を、多糸条同時にかつ安定に製造できる方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートを主成分と
してなるポリエステル繊維は、種々の優れた特性を有す
ることから衣料用途のみならず、産業用途にも広く使用
されている。
【0003】かかる産業用ポリエステル繊維を紡糸直接
延伸法によって製造する場合、一般に、溶融紡出された
糸条を、ネルソンローラーと呼ばれる1対のローラーに
複数回周回させて未延伸状態の繊維を引取りつつ予熱
し、さらに速い周速で回転する加熱されたローラー対の
複数群に順次周回させることによって複数段延伸し弛緩
処理する方法によって製造されている。この方法ではネ
ルソンローラーへ糸条を複数回、周回させることによっ
て、糸条の十分な加熱ができ、かつ各ネルソンローラー
間の張力を十分に分断させることができるので、安定な
延伸を行うことが可能である。
【0004】しかし、周回させる1対のローラーの軸に
設けたネルソン角によって周回時の糸条間隔が決まるた
め、多糸条を周回させた場合では十分な糸条間隔を確保
することが難しく、従って、多糸条を同時に引取り、延
伸することは困難である。この事は、糸条繊度の大きな
産業用繊維を製造する際に大きな問題となり、なかでも
糸条繊度が特に太い延伸前の段階におけるローラーにお
いて特に大きな問題となっている。
【0005】そこで、このような問題を改善する方法と
して、ネルソンローラーを用いずにポリエステル延伸糸
を製造する方法が、特に衣料用ポリエステル繊維の製造
用として種々提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えば、特開昭62−
141118号公報には、溶融紡出糸条を4,000m
/分以上の非加熱ローラーで引き取り、次いで加熱スチ
ームを噴射してガラス転移点以上に加熱しつつ延伸する
方法が提案されている。しかしながら、この方法は、
4,000m/分以上の高速で引き取りを行うため、溶
融紡出糸条が紡糸口金と高速の引取ローラーとの間を走
行するときに空気による冷却、延伸作用により結晶相が
多く形成されてしまい、その後、所定の伸度になるよう
に延伸、熱処理を加えても最終的に得られる繊維の配向
度を十分に高くすることは難しく、その結果、産業用の
高強度繊維は製造困難であった。
【0007】また、特開平6−158423号公報に
は、溶融紡出し冷却した糸条を、非加熱の第1ゴデーロ
ーラーで引き取り、続いて非加熱の第2ゴデーローラー
との間の常圧スチーム中で延伸し、次いで105℃以上
の加圧スチーム雰囲気で熱処理する方法が記載されてい
る。この方法は低重合度の重合体を用い比較的低い延伸
倍率で延伸して、染色性に優れた衣料用ポリエステル繊
維を作る方法として優れている。しかし、この方法で産
業用繊維用の極限粘度0.9以上の高重合度ポリエステ
ルを用い多段延伸して延伸糸を製造しようとすると、糸
切れや毛羽が多発し、安定して製糸できないという問題
があり、産業用の高強度繊維は製造困難であった。
【0008】さらに、高粘度の重合体を用いて産業用繊
維を製造する提案としては、特開平4−245909号
公報の提案がある。この公報では、溶融紡出された糸条
を300m/分以上で引き取り、鏡面ローラーと梨地面
ローラーとからなる組みローラーに順次片掛けするとい
う特定のローラーをネルソンローラーの代わりに用いて
多段延伸および熱処理を施し、その後に2,000m/
分以上で巻取るという直接紡糸延伸方法を記載してい
る。しかし、具体例してはナイロン6やナイロン66と
いうポリアミド繊維の製造が記載されているのみであ
り、高重合度のポリエステル繊維の製造に適用した場合
には、毛羽の発生頻度や製品の品位等において不満足な
結果しか得られず、産業用ポリエステル繊維の工業的製
造のためにはさらなる改良が必要であった。
【0009】そこで、本発明は、上記のような従来技術
の問題点を解消し、高重合度のポリエステルから高強度
の産業用ポリエステル延伸糸を製造する直接紡糸延伸方
法で8糸条以上のような多糸条の安定製糸を可能とし、
強度、伸度、毛羽品位等において優れた産業用ポリエス
テル繊維を高い生産性で製造することを主な目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した課題を達成する
ため、本発明の多糸条紡糸直接延伸方法によるポリエス
テル繊維の製造法は、極限粘度が0.9以上のポリエチ
レンテレフタレート系重合体を溶融紡糸し、紡出された
8糸条以上の多糸条を加熱域内を通過させた後に冷却
し、ローラーで引き取り、引き続き加熱されたローラー
間で複数段延伸した後、弛緩処理することにより、強度
6g/d以上の高強度ポリエステル延伸糸を製造する方
法において、1段目延伸時の供給ローラーに至るまでの
各ローラーへの糸条の巻掛けをそれぞれ1周回未満の片
掛けとし、かつ、1段目延伸時の供給ローラーを60℃
以上の加熱ローラーとして予熱し、80〜160℃のス
チームの存在下で1段目の熱延伸を行い、かつ、複数段
延伸後の多糸条を複数群に分割し、分割された糸条群毎
のローラー対によって延伸、熱セットし、弛緩処理して
巻取ることを特徴とする。
【0011】即ち、本発明法は、1段目延伸に至るまで
の部分に片掛けローラーを使用することでローラー上に
おける糸条間の干渉を防止するとともに、1段目延伸
を、60℃以上の加熱ローラーと80〜160℃のスチ
ームとの併用によって均一な加熱延伸を行い、さらに、
1段目延伸以降で糸条がある程度細化された後において
は、糸条を複数群に分割し、分割された糸条群毎のロー
ラー対によって延伸、熱セットし、弛緩処理して巻取る
ことによって、はじめて優れた機械的特性と良好な品位
とを併せ持つ高強度ポリエステル繊維が安定かつ効率的
に製造できるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明法で使用する重合体は、ポ
リエチレンテレフタレートを主成分とするものである
が、その一部に、酸成分としてイソフタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、ダイマー酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など
を、またジオール成分としてジエチレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、およびポリ
アルキレングリコールなどを少量使用してもよく、さら
にペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ト
リメリット酸、トリノシン酸などを使用して少量の分岐
を持たせてもよい。また、この重合体には、酸化チタ
ン、酸化ケイ素、炭酸カルシウムなどの無機物や、耐候
剤や抗酸化剤等が含有されていてもよい。
【0013】さらに、本発明で使用する重合体は、極限
粘度が0.9以上で表される高重合度を有することが必
須であり、好ましくは1.0以上である。その重合体の
極限粘度が0.9よりも小さい場合には、産業用繊維に
適した強伸度特性が得られ難い。
【0014】以下、本発明法を、その一実施態様を示す
図1(8糸条の同時製糸)にもとづいて説明する。
【0015】本発明法では、溶融押出しされた重合体は
紡糸口金11の直下に設けられた加熱筒12内を通過さ
せた後、チムニー13から供給される冷却風によって冷
却され、給油され、次いで、紡糸引取ローラー1、1′
へと送られる。ここで使用される加熱筒12は、口金面
の吐出孔の分布範囲よりも大きな断面積を有し、通常は
円形の内断面を有するヒーターからなる筒状物であっ
て、口金ブロックに直接あるいは適当な断熱材を介して
接続される。その加熱筒の長さは30〜100cmであ
ることが好ましく、加熱筒の内壁面の温度は250〜4
00℃であることが好ましい。加熱筒12の下部にはチ
ムニー13が接続されるが、加熱筒とチムニーは直接に
接続されてなくてもよく、その間に適当な長さの断熱材
を介していてもよい。糸条には、チムニーを通過後、油
剤が付与されるが、油剤の付与時には糸条は完全に固化
していることが必要であり、そのためには油剤付与を行
なう場所は口金面から3m以上離れていることが好まし
い。
【0016】油剤を付与された糸条は、紡糸引取ローラ
ー1、1′に片掛け状態で引き取られ、一旦巻き取られ
ることなく引き続き多段のローラー2〜6、6′によっ
て延伸される。安定して強度の高い繊維を得るためには
延伸段数は2段以上とすることが必要であり、高倍率の
延伸を行う前に低倍率の延伸を予備的に行ってもよい。
【0017】紡糸引取ローラー1、1′の速度としては
300〜3,000m/minが好ましく、さらに好ま
しくは500〜2,500m/minである。紡糸引取
ローラーの速度が300m/min未満の場合は生産性
の点から好ましくなく、3,000m/minを越える
場合は強伸度特性の点から好ましくない。
【0018】本発明法においては、紡糸引取ローラー
1、1′から1段目延伸供給ローラー2に至るまでの各
ローラーへの糸条の巻掛けをそれぞれ1周回未満の片掛
けとすることが必要である。このような片掛けとするこ
とによって、糸条を周回させることによる問題点(糸条
の干渉を防ぐために十分な糸条間隔をとるためには大き
なネルソン角を取る必要があり、多糸条を同時に安定製
糸できないという問題点)を解消でき、糸条繊度の太い
産業用ポリエステル繊維でも工業的に多糸条製糸するこ
とが可能となる。
【0019】さらに、2段目延伸時の供給ローラー5に
至るまでの各ローラーについても同様に、ローラーへの
糸条の巻掛けをそれぞれ1周回未満の片掛けとすること
が好ましい。2段目延伸時の供給ローラー5の時点でも
糸条はまだ延伸の途中であって十分に細化されていない
ので、ローラーへの糸条の周回は糸条間の干渉を生じ易
く糸切れ等のトラブルを発生し易いから、8糸条以上の
同時製糸におけるそれらトラブルを回避するために好ま
しい。
【0020】1周回未満の片掛けをするローラーは、平
行な軸を有する1対のローラーであってもよいし、単一
のローラーであってもよい。前者の1対のローラーとし
ては、図における紡糸引取りローラー1、1′が相当
し、鏡面ローラーと粗面ローラーとの組合せでも、鏡面
ローラーと鏡面ローラーとの組合せでもよい。また、ほ
ぼ同径ローラの組合せでも異径ローラーの組合せでもよ
い。後者の単一のローラーとしては、図1の1段目延伸
時の供給ローラー2や、1段目延伸時の引取ローラー
4、2段目延伸時の供給ローラー5が相当する。
【0021】1段目延伸へと糸条を供給する供給ローラ
ー2は、片掛けで糸条を把持するために、表面を粗度1
S以下の鏡面としてローラー表面と糸条との密着度を高
め、ローラー表面における糸条の滑りを抑制すること
が、延伸の安定化を図るために好ましい。
【0022】本発明法での複数段延伸の全延伸倍率は一
般に2〜7倍程度であればよい。それを2段延伸で行う
場合には、1段目の延伸倍率が全延伸倍率の50〜80
%に相当するように延伸倍率を分配することが、糸径む
らや毛羽を抑制するために好ましい。
【0023】1段目延伸時の供給ローラー2の温度は6
0℃以上が必要であり、好ましくは60〜100℃がよ
い。さらに、1段目延伸時の供給ローラー2に続く1段
目延伸領域内には、スチーム処理装置3を設け、80〜
160℃のスチームを存在させることが必要であり、1
段目延伸時の糸条変形が行われる延伸領域のほぼ全部を
スチーム存在下とすることが良好な延伸を行うために好
ましい。
【0024】1段目延伸時の供給ローラー2の加熱は糸
条の予備加熱のためである。そのローラー温度が60℃
未満では予備加熱が不十分となって毛羽が多発するので
不適当である。逆に100℃を越える程に高いと糸条が
軟化し易く、1段目延伸時の供給ローラー上あるいはロ
ーラーから離れた直後に変形を生じてやはり毛羽発生の
原因となり易く好ましくない。
【0025】延伸熱源としてのスチームの温度は80℃
以上160℃以下であることが必須であり、好ましくは
100〜140℃である。スチームの温度が80℃未満
の場合には延伸熱源としての熱量が不足し、延伸張力が
増大するためにスチーム処理装置以外で糸条の変形が生
じ易くなり、また、スチーム温度が160℃を越える場
合にはスチーム処理装置から漏れ出るスチームによって
スチーム処理装置に入る前で糸条が変形温度以上に加熱
されてしまい、延伸が不安定となるので、いずれも不適
当である。
【0026】1段目の延伸熱源として使用されるスチー
ム処理装置3としては、糸条の出入口部にスリット状も
しくは細孔状のガイドを有する箱型の容器内にスチーム
を充満させて使用する装置が使用されてもよいし、ま
た、スチームを容器内に充満させるのではなく、走行す
る糸条にその両側もしくは片側から直接スチームを噴射
する装置が使用されてもよいが、本発明のような比較的
低温のスチームによって安定な延伸を行うためには前者
の、容器内にスチームを充満させて使用する型の処理装
置を用いることが好ましい。
【0027】スチームの存在下で1段目の延伸が行われ
た糸条は、引き続き加熱されたローラー間において2段
目以降の延伸が行われ、弛緩処理が施されるが、その2
段目以降の延伸、熱セット及び弛緩処理は、8糸条以上
の多糸条を2分割や3分割のような複数に分割し、分割
された糸条群Y、Y′毎のローラー対によって行なわ
れ、その後に巻取り機によって巻取ることを要する。そ
の弛緩処理時の好ましい弛緩率は3〜18%である。
【0028】図1においては、2分割された糸条群Y、
Y′は、それぞれ、2段目延伸時の供給ローラー5と熱
セットローラー6、6′との間で2段目延伸され、熱セ
ットローラー6、6′とリラックスローラー7、7′と
の間で弛緩処理され、そして、巻取られる。
【0029】本発明法では、このように1段目の延伸を
行った糸条を複数に分割し、それぞれをさらに延伸、熱
セットし、弛緩処理を行うので、それぞれのローラー対
で同時に処理する糸条数が半減以下となり、熱セットロ
ーラーや弛緩ローラーに糸条を周回させる際に、糸条間
の干渉を防ぐための糸条間ピッチの確保が可能となる。
【0030】従って、本発明法はネルソン角の増大とと
もに得られる糸条の品位、生産安定性の低下が生じやす
い8糸条以上の同時製糸を行う場合に有効である。特
に、1対のネルソンローラーに周回することが事実上困
難な糸条数12本以上の場合に有効であり、本発明法に
よると12糸条以上の同時製糸が初めて安定生産可能と
なる。
【0031】本発明法によって得られるポリエステル繊
維は、強度6g/d以上の高強度を有する。強度が6g
/dに満たない場合には産業資材用繊維として不適当で
ある。
【0032】寸法安定性に優れた糸条とするためには、
複数段延伸と弛緩処理との間で、糸条を表面温度が22
0〜255℃、表面粗度が3〜8Sの等速で回転する1
対の熱セットローラー6、6′に複数回周回することに
より熱セットを行なうことが好ましい。熱セットローラ
ー6、6′の表面温度が220℃未満であると、熱セッ
トが十分に行われないため、寸法安定性を十分に低減し
難い。また表面温度が255℃を越えると糸条がローラ
ー表面へ融着し易くなるので好ましくない。
【0033】熱セットローラー6、6′上での熱セット
及びそれに続く弛緩処理を安定に行うためには熱セット
ローラー6、6′の表面粗度は3〜8Sであることが好
ましい。表面粗度が3S未満であるとローラー上での熱
セット、弛緩処理が滑らかに行われ難いので延伸毛羽が
発生し易く、8Sを越える場合にはローラー上での糸条
位置が不安定になり易いことから好ましくない。
【0034】上述した本発明の方法によると、8本以上
さらには12糸条以上という多糸条を同じ製糸装置で安
定に紡糸直接延伸することができる。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、物性値は次の方法により測定した値である。
【0036】A.強度: 試料を20℃、65%RHの
温調室に24時間以上放置した後、(株)オリエンテッ
ク社製“テンシロン”引張試験機を用い、試長250m
m、引張速度300mm/分で強伸度曲線を描くことに
より求める。
【0037】B.極限粘度: 試料8gをオルソクロロ
フェノール100mlに溶解し、溶液粘度(η)をオス
トワルド式粘度計を用いて25℃で測定し、以下の近似
式により求める。 極限粘度=0.242η+0.2634
【0038】C.毛羽品位: (株)キーエンス社製の
GA−245型ショックセンサーを弛緩ローラー上の糸
条から1cmの位置に設置して毛羽の検知を行い、1糸
条1分間当たりの毛羽検知数を求め、以下の基準により
毛羽品位を判定する。 毛羽検知数が概ね0.2回未満の場合; ○ 毛羽検知数が概ね0.2回以上4回未満の場合; △ 毛羽検知数が概ね4回以上の場合; ×
【0039】D.製糸安定性: 1糸条1日当たりの糸
切れによる停台回数から以下の基準により製糸安定性を
判定する。 糸切れ回数が概ね0.1回未満の場合; ○ 糸切れ回数が概ね0.1回以上0.5回未満の場合;
△ 糸切れ回数が概ね0.5回以上の場合; ×
【0040】[実施例1〜3及び比較例1〜2]極限粘
度1.20のポリエチレンテレフタレートのペレットを
エクストルーダーで溶融させ、計量ポンプにより孔数9
6(48孔×2)の2糸条取り用の紡糸口金の4個に分
配し、300℃で溶融紡糸する。紡出された8本の糸条
を、温度320℃、長さ400mmの加熱筒を通過させ
た後に常温の冷却風により冷却固化させ、紡糸引取ロー
ラーに180度巻掛けの片掛けで引き取り、一旦巻き取
ることなく引き続き表1の条件で2段延伸し弛緩処理し
た後に巻き取ることによりポリエステル繊維を製造し
た。
【0041】製糸装置は基本的に図1と同様であり、糸
条は、表面粗度0.6S、表面温度が60℃の紡糸引取
ローラー1、1′、1段目延伸時供給ローラー2、スチ
ーム処理装置3、1段目延伸時引取りローラー4、及
び、2段目延伸時供給ローラー5(1段目延伸時引取り
ローラー4と同速回転し、温度110℃、表面粗度4S
のローラー)に全て片掛けに渡した後、4糸条ずつの2
群に分割し、それぞれを、熱セットローラー(ネルソン
ローラー)6、6′、及び非加熱の弛緩ローラー(ネル
ソンローラー)7、7′にそれぞれ8周回及び5周回さ
せて巻取った。1段目延伸時のスチーム処理装置として
は、糸条の入口部および出口部に隙間3mmのスリット
状のシール部を有し、有効処理長が500mmであるス
チーム充満型の装置を使用した。
【0042】得られたポリエステル延伸糸の強伸度特
性、毛羽特性、及び製糸時の製糸安定性を評価した結果
を表2に示す。表2より明らかなように、本発明の方法
によれば物性および品位に優れたポリエステル繊維を安
定に製造することができた。これに対し、1段目延伸時
の供給ローラー温度やスチーム温度が本発明範囲外であ
った比較例1、2の場合には、製糸時の毛羽が多く、製
糸安定性も悪く、安定した製糸が困難であった。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】[実施例4〜5及び比較例3〜5]紡糸口
金を孔数96(48孔×2)の2糸条取り用の紡糸口金
の6個として、12糸条を紡出し、2段目延伸時供給ロ
ーラーの後で、6糸条ずつの2群に分割した以外は、実
施例1と同様な製糸工程により、さらに、表3に示す条
件によって実施し、ポリエテル延伸糸を製造した。
【0046】得られたポリエステル延伸糸の強伸度特
性、毛羽特性、及び製糸時の製糸安定性を評価した結果
を表4に示す。表4より明らかなように、本発明の方法
によれば物性および品位に優れたポリエステル繊維を安
定に製造することができた。これに対し、1段目延伸時
の供給ローラー温度やスチーム温度が本発明範囲外であ
った比較例3〜5の場合には、製糸時の毛羽が多く、製
糸安定性も悪く、安定した製糸が困難であった。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】[比較例6]熱セットローラーおよび弛緩
ローラーのそれぞれに、表面粗度4Sの1対のネルソン
ローラーを使用し、1段目延伸後の糸条を分割すること
なく12糸条をまとめて熱セットローラーに8周回、弛
緩ローラーに4周回させた以外は実施例4と同じ条件で
紡糸直接延伸を試みた。しかし、熱セットローラー上お
よび弛緩ローラー上での糸条の干渉により糸切れが多発
し、継続して生産を行なうことができなかった。
【0050】
【発明の効果】高重合度のポリエステルから高強度の産
業用ポリエステル延伸糸を製造する直接紡糸延伸方法で
も8糸条以上のような多糸条の安定製糸が可能となり、
強度、伸度、毛羽品位等において優れた産業用ポリエス
テル繊維を高い生産性で製造することがきできる。従っ
て、産業用繊維として優れた力学的特性及び品位を有す
るポリエステル繊維が安定かつ高生産性で効率的に製造
できる。
【0051】得られる高強度ポリエステル繊維は、樹脂
被覆布用途、重布用途、エアバッグ、ゴム補強用途など
に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多糸条直接紡糸延伸方法の一実施態様
を示す工程概略図である。
【符号の説明】
1、1′:紡糸引取りローラー、 2:1段目延伸時供
給ローラー、 3:スチーム処理装置、 4:1段目延
伸時引取りローラー、 5:2段目延伸時供給ローラ
ー、 6、6′:熱セットローラー(ネルソンローラ
ー)、 7、7′:弛緩ローラー(ネルソンローラ
ー)、 Y、Y′:2分割された糸条群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02J 1/22 D02J 1/22 J

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極限粘度が0.9以上のポリエチレン
    テレフタレート系重合体を溶融紡糸し、紡出された8糸
    条以上の多糸条を加熱域内を通過させた後に冷却し、ロ
    ーラーで引き取り、引き続き加熱されたローラー間で複
    数段延伸した後、弛緩処理することにより、強度6g/
    d以上の高強度ポリエステル延伸糸を製造する方法にお
    いて、1段目延伸時の供給ローラーに至るまでの各ロー
    ラーへの糸条の巻掛けをそれぞれ1周回未満の片掛けと
    し、1段目延伸時の供給ローラーを60℃以上の加熱ロ
    ーラーとして予熱し、80〜160℃のスチームの存在
    下で1段目の熱延伸を行い、かつ、複数段延伸後の多糸
    条を複数群に分割し、分割された糸条群毎のローラー対
    によって延伸、熱セットし、弛緩処理して巻取ることを
    特徴とする多糸条紡糸直接延伸法によるポリエステル繊
    維の製造法。
  2. 【請求項2】 1段目延伸時の供給ローラーが、表面
    粗度が1S以下の鏡面であることを特徴とする請求項1
    記載の多糸条紡糸直接延伸法によるポリエステル繊維の
    製造法。
  3. 【請求項3】 複数段延伸後かつ弛緩処理前の熱セッ
    トローラーを、表面温度が220〜255℃、表面粗度
    が3〜8Sである等速回転する1対の加熱ローラーと
    し、かつ、その1対の加熱ローラーに糸条を複数回周回
    させることを特徴とする請求項2記載の多糸条紡糸直接
    延伸法によるポリエステル繊維の製造法。
  4. 【請求項4】 2段目延伸時の供給ローラーに至るま
    での各ローラーへの糸条の巻掛けをそれぞれ1周回未満
    の片掛けとすることを特徴とする請求項1記載の多糸条
    紡糸直接延伸法によるポリエステル繊維の製造法。
  5. 【請求項5】 1段目延伸の供給ローラーに続いて、
    糸条の入口部と出口部がシールされかつ内部にスチーム
    が充満されたスチーム処理装置を設け、該スチーム処理
    装置中を糸条を通過させることを特徴とする請求項1記
    載の多糸条紡糸直接延伸法によるポリエステル繊維の製
    造法。
  6. 【請求項6】 紡出された多糸条が12糸条であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の多糸条紡糸直接延伸法に
    よるポリエステル繊維の製造法。
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