JPH09268070A - セラミックス焼結体の製造方法 - Google Patents

セラミックス焼結体の製造方法

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JPH09268070A
JPH09268070A JP8104774A JP10477496A JPH09268070A JP H09268070 A JPH09268070 A JP H09268070A JP 8104774 A JP8104774 A JP 8104774A JP 10477496 A JP10477496 A JP 10477496A JP H09268070 A JPH09268070 A JP H09268070A
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vickers hardness
sintering
temperature
compact
calcination
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JP8104774A
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Naoki Ito
直紀 伊藤
Tomoyoshi Kuroishi
知義 黒石
Hiroshi Tookaichi
弘志 十日市
Takeshi Morioka
武 森岡
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミックス粉末と焼結助剤とからなる成形
体を仮焼したのち、機械加工を施し、次いで焼結するセ
ラミックス焼結体の製造方法において、セラミックス粉
末のロット差などにより起こる仮焼体の加工性のバラツ
キに容易に対応して、適切な仮焼温度を設定できる技術
を提供する。 【解決手段】 仮焼温度の設定を、仮焼後の成形体のビ
ッカース硬度に基づいて行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス焼結
体の製造方法に関し、さらに詳細には、セラミックス粉
末と焼結助剤とからなる成形体の仮焼工程における仮焼
温度の設定に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス焼結体は、加工が困難であ
るため、その機械加工は砥石を使用した研削加工により
行われている。しかし、加工代が多いものや複雑形状の
ものは、研削加工に膨大な時間とコストがかかるという
問題がある。このため、多量のバインダーを添加する方
法や、静水圧プレス成形法(CIP法)により固めたバ
ルクを成形加工する方法によって成形体を作成し、焼結
する前の状態で成形体に切削加工を施し、最終製品に近
い形状に仕上げたのちに焼結し、これに研削加工を施す
という方法が行なわれている。
【0003】しかし、前者では、添加するバインダー量
が脱脂可能な範囲に限られてしまうことから、付加でき
る成形体強度に限界があるため、切削加工に耐え得る素
材強度が得難く、また、後者でも、同様に素材強度は充
分でないため、いずれによっても、ハンドリング性が悪
いという問題がある。さらに、バインダーを用いずに成
形した成形体、例えば泥漿鋳込み成形などにより成形し
た成形体は、特に脆く壊れ易いため、そのままで切削加
工を施すことはほぼ不可能である。
【0004】そこで、磁気ヘッドや圧電体の作製の際に
も行なわれているように、成形体をあらかじめ仮焼して
(以下、仮焼後の成形体を「仮焼体」という)、切削加
工が可能な程度の素材強度を付加している。ところが、
仮焼条件によっては、仮焼体の素材強度が過大となって
切削工具(以下、「チップ」という)の磨耗が激しくな
るなど、却って加工性が低下することがある。このた
め、あらかじめ予備実験により、加工性のよい仮焼体の
得られる最適仮焼条件を決定しておく必要がある。
【0005】さらに、このような予備実験において、加
工性の良否の判断は、仮焼体の収縮率により行われてい
るが、測定ポイント、原料ロット、助剤の偏析などによ
り加工性の判断にバラツキが生じることがある。また、
かかる判断は担当者の主観に委ねられていたため、人に
よってその判断が区々となることがある。このため、的
確な仮焼条件が設定できず、安定して最終製品が得られ
ないという問題が生じている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
技術的背景の下でなされたものであり、従来の仮焼技術
におけるロット差などにより起こる素材のバラツキに容
易に対応することができる技術を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、セラミックス
粉末と焼結助剤とからなる成形体を仮焼したのち機械加
工を施し、次いで焼結するセラミックス焼結体の製造方
法において、仮焼温度の設定を、仮焼後の成形体のビッ
カース硬度に基づいて行うことを特徴とするセラミック
ス焼結体の製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、セラミックス粉末と焼
結助剤とからなる混合粉末を成形してなる成形体に適用
される。ここで用いるセラミックス粉末としては、Mg
O、Al2 3 、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、Zn
O、Fe2 3 、SiO、Si3 4 、SiC、BN、
TiC、WCなどの単独または複合の粉末が挙げられる
が、特にSi3 4 (チッ化ケイ素)が好適である。本
発明に用いるチッ化ケイ素は、イミド熱分解法、金属ケ
イ素の直接チッ化法、シリカの還元チッ化法、気相反応
法など、どのような製法により製造されたものであって
もよい。
【0009】本発明に用いるセラミックス粉末の好まし
い平均粒径は、0.2〜2μm、特に好ましくは0.5
〜1μmである。粉砕に用いる装置は、ボールミル、攪
拌ミル、ジェットミルなどであり、湿式粉砕、乾式粉砕
のいずれでもよい。湿式粉砕を行う際の媒液としては、
水、エチルアルコール、メチルアルコール、その他の有
機溶媒が用いられる。
【0010】本発明では、焼結原料として、セラミック
ス粉末に焼結助剤を添加した混合粉末を用いる。焼結助
剤は、成形体の仮焼または焼結の過程でガラス物質を生
成するものである。焼結助剤としては、Y、Al、M
g、Sc、La、Ce、Be、Zrの酸化物またはチッ
化物が用いられるが、特にY23 、Al23 、Al
23 、MgO、MgAl2 4 が好適である。焼結助
剤は、1種でも、2種以上を組み合わせても使用するこ
とができる。また、焼結助剤の形状は特に限定されず、
粉末状のほか、ファイバー形状であってもよい。
【0011】粉末状の焼結助剤を用いる場合には、その
平均粒径は、セラミックス粉末と同様、0.5〜3μ
m、特に0.8〜2μmであることが好ましい。また、
このような平均粒径にするための粉砕は、ボールミル、
攪拌ミル、ジェットミルなどであり、湿式粉砕、乾式粉
砕のいずれでもよい。また、ファイバー形状の焼結助剤
を用いる場合には、ファイバー径は1〜10μmが好ま
しく、特に3〜5μmがより好ましい。また、ファイバ
ー長は、200〜1,000μmが好ましく、特に30
0〜600μmがより好ましい。
【0012】セラミックス粉末に添加する焼結助剤の割
合としては、2.5〜10重量%が好ましく、特に2.
5〜8重量%が好ましい。焼結助剤の添加の割合が、
2.5重量%未満であると、発生する液相量が少なく液
相焼結が進行せず、緻密化が達成されない。一方、10
重量%を超えると、仮焼または焼結は進行しやすくなる
が、液相量が多いため高温特性が低下したり、液相より
ボイドが発生しやすくなり、機械的特性が損なわれる。
【0013】本発明では、まず、セラミックス粉末と焼
結助剤との混合粉末(以下、単に「混合粉末」ともい
う)を、所望の形状に成形して成形体となす。本発明
は、有機バインダーを用いずに成形した成形体に適用す
るのが好ましいが、これに限定されるものではなく、有
機バインダーを用いて成形したのち脱脂処理を施した成
形体にも適用することが可能である。
【0014】有機バインダーを用いずに成形する成形方
法としては、泥漿鋳込成形法、プレス成形法、CIP法
が挙げられるが、成形体のハンドリング性の観点から、
泥漿鋳込成形法が特に好ましい。
【0015】泥漿鋳込成形法により成形する場合は、混
合粉末に分散媒としての水を添加してスラリーとし、こ
れを鋳込成形する。スラリーには、分散剤、消泡剤など
を含有させることができる。分散剤の添加量は、スラリ
ー中の粉体を分散させ、スラリーを安定化させるため
に、0.1〜3重量%が好ましく、特に0.4〜1重量
%がより好ましい。
【0016】スラリー中の固形分は、63〜76重量%
が好ましく、特に68〜72重量%がより好ましい。固
形分が63重量%未満であると、泥漿鋳込成形法などで
は型への着肉性が著しく低下して成形が困難であり、一
方、76重量%を超えると、成形は可能であるが成形体
の特性が所定の値に達しない恐れがある。
【0017】以上のようにして得られた成形体に対し、
あらかじめ仮焼を行い、成形体に所望の加工性を付与し
たのち、機械加工としての切削加工を施す。仮焼体の切
削加工は、通常の方法によることができ、例えば旋盤加
工、フライス加工、レース加工、ドリル加工などが挙げ
られる。
【0018】切削工程で用いる切削工具としては、例え
ば、超硬質合金チップ、超硬質合金チップにCVD法で
チッ化チタンなどがコーティングされているもの、ま
た、セラミックスチップ、CBNチップ、ダイヤモンド
チップなども用いることができる。超硬質合金チップ
は、比較的安価な割りには強度に優れるものである。ま
た、超硬質合金チップにチッ化チタンなどをコーティン
グしたものは、コーティング層の存在により、より良好
な切削性が得られるが、コーティング層が磨滅すると磨
耗が急激に進行し、仮焼体を破損してしまうことがあ
る。セラミックスチップ、CBNチップ、およびダイヤ
モンドチップなどは、磨耗しにくく、耐磨耗性の観点で
は非常に優れるが、高価である上、チップのバイトとC
BN、ダイヤモンド焼結体との接続部が剥離し易く、そ
の場合にはやはりチップの磨耗は免れない。使用するチ
ップは、これらの特徴を考慮して適宜選択すればよい
が、コスト上の理由から、超硬質合金チップを使用する
ことが好ましい。
【0019】所望の加工性とは、ハンドリング性が良好
で歩留りがよいこと、およびチップ磨耗量が極力小さ
く、加工面もきれいで、効率的な機械加工が行えること
である。
【0020】本発明では、仮焼体が所望の加工性を有す
るか否かの判断は、そのビッカース硬度(Hv)によっ
て行う。ビッカース硬度(Hv)は、固体表面での塑性
変形に対する抵抗を数値化したものである。すなわち、
この値は、図1に示したように、ダイヤモンドなどから
なる硬い圧子を一定荷重P(0.3kgf)で固体表面
に打ち込み、そこに生じた圧痕の大きさdから、下記式
(I)により算出される。 Hv=1.854×(P/d2 )・・・(I)
【0021】仮焼体において所望の加工性を示すビッカ
ース硬度(以下、「最適ビッカース硬度」という)は、
切削に使用するチップの素材などによっても異なるが、
超硬質合金チップを用いる場合は、100〜300Hv
であり、好ましくは、170〜220Hvである。仮焼
体のビッカース硬度が最適ビッカース硬度より小さい
と、切削加工は容易であっても、崩壊し易くハンドリン
グ性に劣るため、歩留りの低下を招く。一方、ビッカー
ス硬度が最適ビッカース硬度より大きいと、素材強度が
過大となってチップの磨耗が激しくなり、加工面に荒れ
やチッピングを生じる恐れがある。
【0022】最適ビッカース硬度を有する仮焼体は、成
形体を一定の仮焼条件下で仮焼することにより得られ
る。仮焼温度は、1,200〜1,500℃が好まし
く、特に1,450〜1,500℃がより好ましい。仮
焼温度が1,200℃未満であると、素材の強度が低
く、加工時のハンドリング性が悪くなり、一方、1,5
00℃を超えると、素材強度が過大になり、チップの磨
耗が著しく大きくなる恐れがある。特に、セラミックス
粉末としてチッ化ケイ素を用いた場合の仮焼温度は、チ
ッ化ケイ素の粒子どうしがネッキングを形成し始める温
度領域である1,200℃〜1,500℃が好ましく、
粒子のネッキングが顕著となり、粒径が大きくなる温度
領域である1,300〜1,500がより好ましい。
【0023】焼結時間は、セラミックス粉末の種類、焼
結助剤の含有量などにより異なるが、一般的には、5〜
60分が好ましく、特に50〜60分がより好ましい。
仮焼時間が5分未満であると、焼結炉の輻射熱が充分に
素材に伝わらないため焼結が不均一になってしまい、一
方、60分を超えると、焼結が進行してビッカース硬度
が大きくなり過ぎる恐れがある。ここで、焼結時間は、
仮焼温度到達後の時間である。
【0024】また、昇温速度は、3〜15℃/分が好ま
しく、特に3〜10℃/分がより好ましい。昇温速度が
3℃/分未満であると、昇温に時間がかかってしまい効
率が悪く、一方、15℃/分を超えると、焼結炉のヒー
タに負担を与える場合がある。
【0025】本発明において、仮焼の際の雰囲気は、チ
ッ素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスが好ましい。
また、このときの雰囲気圧力は、1.0〜10kg/c
2 が好ましく、特に4〜5kg/cm2 がより好まし
い。雰囲気圧力が1.0kg/cm2 未満であると、試
料表面が分解してしまう恐れがあり、一方、10kg/
cm2 を超えると、高圧ガス法規上複雑である上、入炉
量が限定されてしまうため、不経済となる。
【0026】仮焼により得られる仮焼体は、前記所望の
加工性を獲得するため、すなわち好ましいビッカース硬
度とするために、比較的、多孔質体であることが好まし
い。具体的には、仮焼体の気孔率は35〜42%である
ことが好ましく、36〜38%であることがより好まし
い。また、嵩密度は60〜66%であることが好まし
く、特に62〜65%であることがより好ましい。
【0027】なお、本発明者らの試験により、仮焼の方
法によっては仮焼体の表層付近と仮焼体内部とでは、ビ
ッカース硬度に差異が生ずる場合があることが分かって
いる。このような場合は、表層付近におけるビッカース
硬度を、本発明に適用することが好ましい。
【0028】このようにして得られた仮焼体に対し、前
記方法により切削加工を施し、最終製品に近い形状に仕
上げたのち、本焼結して焼結体となす。
【0029】焼結の方法としては、常圧焼結法、雰囲気
圧焼結法、ホットプレス法、熱水間静水圧プレス法(H
IP法)などが挙げられるが、特にHIP法が好まし
い。また、HIP法の場合には、例えばカプセル法によ
るHIP法などが採用される。
【0030】本焼結の焼結温度(以下、単に「焼結温
度」という)は、仮焼温度よりも高い温度であって、
1,700〜1,950℃が好ましく、特に1,750
〜1,900℃がより好ましい。焼結温度が1,700
℃未満であると、焼結の進行が緩やか過ぎ、ある程度緻
密化させるためには長時間を要することとなり、一方、
1,800℃を超えるとセラミックス粉末の熱分解が始
まるが、特に1,950℃を超えるとその分解が著しく
なり、セラミックス粉末の緻密化が妨げられるばかりで
なく、異常粒成長が発生しやすくなり、その結果、焼結
体の強度が低下する恐れがある。焼結時間は、1〜8時
間が好ましく、特に1〜4時間がより好ましい。
【0031】また、昇温速度は、好ましくは3〜20℃
/分、特に好ましくは5〜15℃/分である。昇温速度
が3℃/分未満であると、昇温するのに時間がかかり過
ぎ、効率的でなく、特にバッチ式の炉を連続的に使用す
る場合、取り出し時刻が遅くなったり、ルツボなどが熱
くなって作業が著しく妨げられる。一方、昇温速度が2
0℃/分を超えると、ヒーターや電極に、過度の負荷が
かかり、炉の寿命を短くする恐れがある。
【0032】焼結時の雰囲気圧力は、2〜2,000k
g/cm2 が好ましく、特に9〜1,000kg/cm
2 がより好ましい。雰囲気圧力が2kg/cm2 未満で
あると、セラミックス粉末の分解を防止することが困難
となり、一方、2,000kg/cm2 を超えると、焼
結に用いる設備が大がかりとなり、コスト上好ましくな
い。
【0033】このときの加圧速度は、0.21〜0.4
2kg・cm-2・s-1が好ましい。加圧速度が0.21
kg・cm-2・s-1未満であると、設定圧力に達するま
でに時間がかかるため、チッ化ケイ素の熱分解を招きや
すく、一方、0.42kg・cm-2・s-1を超えると、
コンプレッサーなどに負担がかかる場合がある。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を説明する。な
お、実施例中、特に示さない限り、%または部は重量基
準である。 実施例1 比表面積10.7m2 /g(ロットA)のSi34
末〔宇部興産(株)製、イミド法粉末SN−E10〕9
6.5%、焼結助剤としてY23 〔日本イットリウム
社製、99.9%含有〕2.5%、分散剤〔サンノプコ
社製、SNEX7347c〕0.09部および水42部
を、10リットルのモノポットにSi34 ボールとと
もに入れ、64時間ボールミル粉砕および混合を行っ
た。次いで、Al23 ファイバー〔ICI社製、サフ
ィルファイバー〕1%を添加し、さらに2時間混合を行
い、3,000gのスラリーを作製した。
【0035】得られたスラリーを、ポリテトラフルオロ
エチレン(テフロン)製のφ50の筒型の成形型に流し
込み、φ50×50mmの成形体を作製した。この成形
体をモリブデンケースにセットし、チッ化ホウ素粉中に
埋めた状態で、チッ素ガス雰囲気中、初期圧を2kg/
cm2 とする加圧下、表1〜2に示す仮焼温度で1時間
仮焼を行った。仮焼パターンおよび仮焼中のガス圧の変
化を図2に示す。
【0036】得られた各テストピース(以下、「TP」
と表記する)について、ビッカース硬度、嵩密度、収縮
率を測定し、加工性を判断した。その結果を表1〜2に
示す。なお、ビッカース硬度、嵩密度の測定、および加
工性の判断は次のように行なった。
【0037】ビッカース硬度 マイクロビッカース試験機〔明石製作所製〕を用いて、
試験荷重300gで10回測定し、平均を算出した。嵩密度 アルキメデス法を用いて測定した。加工性総合評価 ◎;加工性良好 ○;加工可能だが、ハンドリング性が悪い。 △;加工可能だが、チップ磨耗が大きい。 ×;加工不可
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】次いで、各TPについて、図3に示した仕
上げ加工様の切削加工試験を行い、切削加工による加工
面の状態を観察した。ビッカース硬度が約100Hv
(TP2)、約230Hv(TP5)、約320Hv
(TP7)、約400Hv(TP8)のTPについて、
切削長と切削チップ磨耗量の関係を調べた。その結果を
図4〜7に示す。また、各TPについてのビッカース硬
度と、チップ一面における最大切削長との関係を図8に
示す。次いで、切削後のTPを、1,900℃でチッ素
雰囲気下90分間焼結した。これらのTPについて、ビ
ッカース硬度と歩留りとの関係を図8に併せて示す。
【0041】なお、切削長、チップ摩擦量は、下記の方
法で求めた。切削条件 丸コマチップを用いて、チップの一面が磨耗するたび
に、チップを少しづつずらしながら切削加工した。 使用チップ;超硬質チップ〔住友イケダロイG10E、
形状RPGW0803MO(丸コマチップ)〕 周速;周速30m/分(但し、400HvのTPは、9
m/分とした。) 送り;0.12mm/回転(但し、400HvのTP
は、0.0148mm/回転とした。) 切り込み量;約1mm切削長 下記式(II)で算出される。 L=〔(w1 /w2 )×πD〕/1000(m)・・・
・・(II) 〔図3に示すように、Lは切削長、w1 は加工幅、w2
は送り幅、DはTP断面直、πは円周率を示す。〕チップ磨耗量 実体顕微鏡による切削加工前のチップの顕微鏡写真と、
切削加工後の実物の比から磨耗量を測定した。
【0042】図4によると、ビッカース硬度が約100
HvのTPは、初期にチップが400μm程度まで磨耗
したが、その後切削長が1,000mまでは磨耗がほと
んど進行しなかった。加工面は、切削長が1,400
m、磨耗量が600μmに達すると加工面が荒れ始めた
ことから、切削長1,400mを超える切削加工は仕上
げ加工としては不適であることが分かる。
【0043】図5によると、ビッカース硬度が約230
HvのTPは、チップの磨耗量が200μmを超える
と、音の発生とともに加工面の荒れが観察された。ま
た、各TP間にバラツキが生じた原因は、TP交換時に
固い表層を切削するためであると考えられる。
【0044】図6によると、ビッカース硬度が約320
HvのTPは、加工は可能ではあるが、チップの磨耗が
著しく激しかった。また、周速を15m/分に落として
も同様であった。
【0045】図7によると、ビッカース硬度が約400
HvのTPを、送り速度0.0148mm/回転として
加工を行ったところ、チップの磨耗量は、送り速度0.
12mm/回転とした場合よりも大幅に減少はしたが、
磨耗量が200μmに達すると、加工面にチッピングを
生じてしまった。また、送り速度を0.148mm/回
転とすると、加工時間が、送り速度を0.12mm/回
転としたときよりも8倍かかり著しく効率が悪いため、
実用上は不適当であることが分かる。
【0046】図8によると、切削長は、ビッカース硬度
が小さいほど大きく、ビッカース硬度が大きくなるほど
小さくなる。これに対し、歩留りは、ビッカース硬度が
200Hv前後のときに特に良好であった。これらのこ
とから、ビッカース硬度が小さすぎると、ハンドリング
性が悪くなるために却って加工性が低下することが考え
られる。
【0047】実施例2 比表面積が10.2m2 /g(ロットB)、同11.2
2 /g(ロットC)のチッ化ケイ素を用いたこと以外
は、実施例1と同様に成形し、仮焼して、TPを作成し
た。得られた各TPについて、ビッカース硬度、嵩密
度、収縮率を測定した。その結果を表3〜4に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】チッ化ケイ素の各ロットごとに、ビッカー
ス硬度が約100HvのTP10およびTP15、同約
230HvのTP11およびTP12、同約320Hv
のTP14およびTP19について、実施例1と同様に
して、切削長と切削チップ磨耗量の関係を調べた。その
結果、比表面積が異なるチッ化ケイ素を用いても、ビッ
カース硬度と加工性の関係において、実施例1と同様の
結果が得られた。
【0051】また、表1〜4によると、収縮率を仮焼体
の加工性の判断基準とした場合に好適とされていた収縮
率1〜4%のTPは、ビッカース硬度において大きな差
を生じていた。例えば、収縮率3.23%のTP11
と、収縮率が3.24のTP19では、ビッカース硬度
は約140Hvもの差を生じている。よって、収縮率を
判断基準とすると、実際には硬くて加工できない仮焼体
やハンドリング性の悪い仮焼体についても、加工性良好
との誤った判断を下す可能性があることが分かる。
【0052】実施例3 焼結助剤としてのY2 3 を5%とし、Al2 3 を3
%としたスラリーを用い、仮焼温度を表5のとおりとし
たこと以外は、実施例1と同様に成形し、仮焼して、T
Pを作成した。得られた各TPについて、ビッカース硬
度、嵩密度、収縮率を測定した。
【0053】
【表5】
【0054】成形体の材料組成が異なっても、ビッカー
ス硬度と加工性の関係が実施例1と同様な結果が得られ
た。これらの実施例から、材料のロットなどや材料組成
などが異なっても、ビッカース硬度を基準に仮焼温度の
決定を行えば、安定して加工を行うことができることが
分かる。
【0055】
【発明の効果】本発明により、仮焼体の加工性の判断を
ビッカース硬度で行うことにより、確実に仮焼体の加工
性の判断ができ、常に、表面品質および加工寸法精度に
優れた焼結体が得られる。また、用いるセラミックス粉
末の比表面積が変わっても、ビッカース硬度が同様であ
れば同様な加工性が得られるため、ロット差などにより
起こる素材のバラツキに容易に対応し、常に、最適な加
工性の仮焼体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビッカース硬度の測定法を示す模式図であり、
(a)は断面図、(b)は正面図である。
【図2】実施例1の仮焼温度パターンおよびガス圧の変
化を表したチャートである。
【図3】実施例の切削加工の概略を示す模式図である。
【図4】ビッカース硬度が約100HvのTPの切削長
とチップ磨耗量の関係を表したグラフである。
【図5】ビッカース硬度が約230HvのTPの切削長
とチップ磨耗量の関係を表したグラフである。
【図6】ビッカース硬度が約320HvのTPの切削長
とチップ磨耗量の関係を表したグラフである。
【図7】ビッカース硬度が約400HvのTPの切削長
とチップ磨耗量の関係を表したグラフである。
【図8】ビッカース硬度と、切削長および歩留りとの関
係を表したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森岡 武 埼玉県和光市中央一丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス粉末と焼結助剤とからなる
    成形体を仮焼したのち機械加工を施し、次いで焼結する
    セラミックス焼結体の製造方法において、仮焼温度の設
    定を、仮焼後の成形体のビッカース硬度に基づいて行う
    ことを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 仮焼温度を、仮焼後の成形体のビッカー
    ス硬度が170〜230Hvとなる温度に設定する請求
    項1記載のセラミックス焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 仮焼温度を、1,200〜1,500℃
    に設定する請求項1〜2のいずれか1項記載のセラミッ
    クス焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 仮焼温度を、焼結後の成形体の気孔率が
    35〜42%であり、かつ嵩密度が60〜66%となる
    ように設定する請求項1〜3のいずれか1項記載のセラ
    ミックス焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 セラミックス粉末が、チッ化ケイ素粉末
    である請求項1〜4のいずれか1項記載のセラミックス
    焼結体の製造方法。
JP8104774A 1996-04-03 1996-04-03 セラミックス焼結体の製造方法 Withdrawn JPH09268070A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001064080A (ja) * 1999-06-23 2001-03-13 Ngk Insulators Ltd 窒化珪素焼結体及びその製造方法
JP2008535757A (ja) * 2005-04-06 2008-09-04 ノース・キャロライナ・ステイト・ユニヴァーシティ 耐火材料の高密度成形品及びその製造方法

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