JPH08239277A - 立方晶窒化ホウ素複合セラミック工具とその製造方法 - Google Patents

立方晶窒化ホウ素複合セラミック工具とその製造方法

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JPH08239277A
JPH08239277A JP7070861A JP7086195A JPH08239277A JP H08239277 A JPH08239277 A JP H08239277A JP 7070861 A JP7070861 A JP 7070861A JP 7086195 A JP7086195 A JP 7086195A JP H08239277 A JPH08239277 A JP H08239277A
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boron nitride
cubic boron
composite ceramic
nitride composite
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Masaru Matsubara
優 松原
Shinya Ogimoto
伸哉 荻本
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】他の物質で均一に覆われたCBN粒子から強度
及び耐磨耗性に優れた工具材料を提供する。 【構成】次の工程を経ることを特徴とする。 (a)金属の酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物及びそ
れらの固溶体から選ばれる1種以上の微粒子を立方晶窒
化ホウ素粒子に物理的に固着させる工程。 (b)上記微粒子の固着した立方晶窒化ホウ素粒子1〜
60vol%と、残部が金属の酸化物、窒化物、炭化
物、炭窒化物及びホウ化物のうちから選ばれる1種以上
と混合する工程。 (c)混合物を熱加圧成形する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、立方晶窒化ホウ素複
合セラミック工具とその製造方法に関する。この発明の
工具は、普通鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、高硬度材及び耐熱
合金の切削加工に好適に利用されうる。
【0002】
【従来の技術】立方晶窒化ホウ素(以下、「CBN」と
いう。)は、ダイヤモンドに次ぐ高硬度であって、高熱
伝導性及び高電気絶縁性を有し、しかも鉄族金属との親
和性の高いダイヤモンドと異なり鉄系金属との反応が少
ないことから、焼き入れ鋼、超硬合金等の高硬度材やニ
ッケル基合金、コバルト基合金等の耐熱合金を切削又は
研削する工具材料として利用されている。
【0003】従来、この種の工具材料の製造方法として
は、CBNが脆性材料であり、しかも難焼結材料である
ため、CBNに金属(Al)をコーティングし、超高圧
焼結する方法(特開平3−205364号)、CBNに
炭窒酸化物をコーティングし、超高圧焼結する方法(特
開平5−51267号)、CBNに金属(V,Nb,T
a,W,Cr)の窒化物もしくはホウ化物をコーティン
グし、これを4a,5a,6a族金属の炭化物,窒化
物,酸化物等の結合相形成物質と混合し、熱間静水圧
(HIP)もしくは熱間加圧(HP)で成形する方法
(特開平5−163071号)、CBNにTi化合物の
第1層及びAl化合物の第2層をコーティングし、これ
をTi化合物及びAl化合物のうち1種以上の結合相形
成物質と混合し、超高圧焼結する方法(特開平5−31
0474号)等、CBNをコーティング後、加圧焼結す
る方法が採用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の製造方法
は、いずれもCBNに他の物質をコーティングする手段
が、化学気相析出(CVD)法である。従って、コーテ
ィング材料が気相成長するため、膜生成速度が遅く、し
かも膜の核が、CBN粒子の角部や粗面に優先的に生成
されるため、コーティング後に剥離が生じたり、膜の性
質が不均一となる。その結果、コーティング後のCBN
粒子を焼結して得られる工具は、強度や耐磨耗性に劣っ
ていた。
【0005】本発明者は、CBNに如何にして均質な皮
膜又は粒子の囲いを形成するかについて種々の実験を試
みた。その結果、CBN粒子をある厚みをもった層で覆
うのではなく、ある種の方法を用いて微粒子を物理的に
付着させたほうが、均一に被覆でき焼結性や特性の向上
が著しいことが判った。それ故、この発明の目的は、他
の物質で均一に覆われたCBN粒子から強度及び耐磨耗
性に優れた工具材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の立方晶窒化ホウ素複合セラミック工具
は、金属の酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物及びそれ
らの固溶体から選ばれる1種以上の微粒子もしくはそれ
らの非晶質膜によって被覆された硬質分散相としての立
方晶窒化ホウ素粒子1〜60vol%と、かかる硬質分
散相を結合する母材としての残部が金属の酸化物、窒化
物、炭化物、炭窒化物及びホウ化物のうちから選ばれる
1種以上の結晶質相およびそれらの非晶質相とからな
り、これらが焼結によって結合していることを特徴とす
る。
【0007】ここで、微粒子もしくはそれらの非晶質膜
の成分元素である金属としては、例えばTi、Zr、Y
及びAlのいずれか1種以上が挙げられる。従って、微
粒子もしくはそれらの非晶質膜としては、例えばTi
N、ZrO2、Y23及びAl23のいずれか1種以上
が挙げられる。
【0008】また、母材の成分元素である金属として
は、例えばTi、Zr、Mg、Dy、Si、Ce、W、
Y及びAlのいずれか1種以上が挙げられる。従って、
母材としては、例えばTiN、TiC、TiCN、Zr
2、MgO、Dy23、SiC、Si34、CeO2
WC、Y23及びAl23のいずれか1種以上が挙げら
れる。
【0009】この発明の立方晶窒化ホウ素複合セラミッ
ク工具を製造する適切な方法は、次の工程を経ることを
特徴とする。 (a)金属の酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物及びそ
れらの固溶体から選ばれる1種以上の微粒子を立方晶窒
化ホウ素粒子に物理的に固着させる工程。 (b)上記微粒子の固着した立方晶窒化ホウ素粒子1〜
60vol%と、これを結合する残部として金属の酸化
物、窒化物、炭化物、炭窒化物及びホウ化物のうちから
選ばれる1種以上とを混合する工程。 (c)混合物を熱加圧成形する工程。
【0010】ここで、物理的に固着させる典型的な手段
は、プラズマコートである。そのための装置は、例えば
円筒状のプラズマトーチ、その下端に連結された石英二
重管、さらにその下端に連結された冷却二重管及び最下
部に連結されたチャンバーからなる。プラズマトーチ
は、内側に石英管及び外側に冷却管が配置され、その中
間に高周波発振用コイルが配備され、上方にガス噴出
口、側面に微粒子原料供給口が設けられている。被覆さ
れる粒子(この発明ではCBN粒子)の供給口は、冷却
管の側面に設けられている。そして、ガス噴出口から、
アルゴン、窒素、酸素などの必要なガスを噴出させ、高
周波電源によってプラズマトーチの石英管内部にプラズ
マ焔を形成し、そこへ微粒子となる金属粉末又は金属化
合物粉末をアルゴンなどのキャリアガスとともに導入
し、粉末をプラズマ状態で冷却管に向かって落下させ
る。そして、冷却管の側面よりCBN粒子をアルゴンな
どのキャリアガスとともに導入すると、CBN粒子の表
面に所定の微粒子が均一に固着する。
【0011】熱加圧成形とは、例えば圧力2000気圧
以下、温度1700℃以下のHIP又は圧力200kg
/cm2以上、温度1800℃以下のホットプレスであ
る。
【0012】
【作用】上記の製造方法によれば、微粒子(例えばAl
23)となる原料粉体(Al粉又はAl23粉)及びガ
ス(O2とAr)を熱プラズマ中に供給し化学反応によ
り所望のコーティング材料を微粒子として生成し、その
微粒子が凝集する前にCBN粒子を供給する。その結
果、CBN粒子に平均粒径0.01〜0.2μm程度の
微粒子が物理的に強く固着しており、CBN粒子と結合
相形成物質(母材)とを複合化する場合の機械的混合過
程においても微粒子はCBNより剥離しない。
【0013】また、微粒子となる物質が、炭化物、窒化
物及び炭窒化物の場合は、それ自体は母材形成成分との
化学反応を起こさないが、母材形成成分との濡れ性がよ
いため焼結性を高め、それに伴う切削工具としての耐磨
耗性や耐欠損性等の切削性能を向上させる。この場合
は、CBN粒子に固着した微粒子は、焼結後もそのまま
微粒子として存在する。一方、微粒子となる物質が、酸
化物の場合は、焼結過程において、母材形成成分や不可
避不純物と化学反応して非晶質膜を生成しながら、CB
N粒子とともに緻密化する。その結果として、上述の焼
結性や切削性能が改善される。いずれにしても焼結性及
び切削性能が向上する。従って、微粒子となる物質の選
択の仕方によっては、焼結後に微粒子と非晶質膜とをC
BN粒子表面に混在させることができるので、被切削物
に対応して要求される工具の性能を変えることができる
ことになる。
【0014】ただし、微粒子を被覆したCBN粒子の含
有量が、1%未満では硬質分散相としての硬度、強度の
向上を期待できず、他方60%を越えると安価な焼結法
であるHIP法やHP法で緻密化し難く、本発明が対象
とする切削工具の性能を満足することができないので、
その含有量を1〜60%に限定した。特に切削工具材料
として望ましい含有量の範囲は、15〜40%である。
【0015】一方、母材の好ましい配合組成は、切削工
具の切削対象である被切削物によって異なる。普通鋳鉄
の仕上げ切削に対しては、金属酸化物60vol%以上
と、残部窒化物、炭化物及び炭窒化物のうちから選ばれ
る1種以上とからなる配合組成の母材が好ましい。同じ
組成で、母材の平均粒子径が0.5〜2μm程度である
と高硬度材の仕上げ切削にも適する。
【0016】ダクタイル鋳鉄の仕上げ切削に対しては、
金属の窒化物、炭化物及び炭窒化物のうちから選ばれる
1種以上50vol%以上と、残部金属酸化物とからな
る配合組成の母材が好ましい。普通鋳鉄の粗切削に対し
ては、窒化ケイ素もしくはサイアロン80vol%以上
と、残部金属酸化物とからなる配合組成の母材が好まし
い。
【0017】耐熱合金の切削に対しては、酸化アルミニ
ウム70vol%以上と、残部炭化珪素ウィスカー及び
金属酸化物のうちから選ばれる1種以上とからなる配合
組成の母材が好ましい。なお、母材中に炭化珪素ウィス
カーを含有させると、CBN焼結体からなる切削工具の
耐磨耗性だけでなく靱性をさらに向上させることができ
るが、その場合に用いる炭化珪素ウィスカーの形状的分
布を直径0.2〜1.2μm、長さ5〜30μmにする
と、さらに好ましい切削性能が得られる。
【0018】
【実施例】
−実施例1− この例は、この発明の工具を普通鋳鉄の仕上げ切削に適
用したものである。
【0019】[微粒子の固着]まず、CBNに微粒子を
固着させる手段を示す。プラズマ焔が形成されたプラズ
マトーチに所定の比率の原料をキャリアガスとともに導
入し、高周波加熱してプラズマ状態の活性な微粒子を合
成する。その段階では、微粒子は、不活性ガス中に気流
となって存在している。そこへCBN粒子を導入してC
BN粒子表面に微粒子を物理的に固着させる。具体的な
原料及びキャリアガスは、以下の通りである。
【0020】TiN微粒子を固着させる場合:Ti微粉
末、N2ガス、Arガス又はTiN微粉末、Arガス ZrO2微粒子を固着させる場合:Zr微粉末、O2
ス、Arガス又はZrO2微粉末、Arガス Al23微粒子を固着させる場合:Al微粉末、O2
ス、Arガス又はAl23微粉末、Arガス Y23微粒子を固着させる場合:Y微粉末、O2ガス、
Arガス又はY23微粉末、Arガス [焼結体及び切削工具の製造]次に、種々の粒径の市販
のCBN粒子に上記の方法で微粒子を固着させ、それを
原料として焼結体及び切削工具を製造する方法を説明す
る。CBN以外の他の成分原料は、平均粒径0.8μm
の酸化アルミニウム(Al23)、平均粒径1.0μm
の窒化チタンTiN、平均粒径1.5μmの炭化チタン
TiC、平均粒径0.8μmの酸化マグネシウムMgO
である。
【0021】微粒子を固着したCBN粒子及び母材とな
る他の原料粉末を表1に示す所定の配合組成に秤量し、
エタノール及びアセトンの混合溶媒とともに樹脂製のポ
ットに入れて、ボールミリング混合した。混合物を減圧
乾燥し、ワックスを添加した後、噴霧乾燥機にて造粒し
た。造粒粉を所定形状に加圧成形し、脱脂後ガラスカプ
セル中に真空封入し、HIP法で焼結した。
【0022】得られた焼結体をISO規格SNGN12
0408の工具形状に研磨加工し、マイクロポア及び硬
度といった机上性能並びに切削性能を評価した。マイク
ロポアは、走査型電子顕微鏡にて観察し、AN(AST
M規格B276−79によるポアのグレードを示す。
N:整数値)で表す。切削性能は、普通鋳鉄FC200
の円筒の外径を切削速度V=400m/min.、送り
f=0.1mm/rev、切り込みd=0.5mmで乾
式連続切削し、逃げ面最大磨耗量が0.15mmに達す
るまでの時間を測定した。
【0023】以上の結果を表1に示す。なお、表中、試
料No.に*印を付した試料は、所定の請求項に属さな
いことを示す。机上性能のうち、A欄はマイクロ・ホ゜アを、B
欄は硬度Hvを示す。備考欄において、Type1及び
Type2は、前者がCBN表面に固着した微粒子が焼
結後も微粒子結晶として存在し、後者が母材形成成分や
不純物と反応して非晶質膜として存在する形態を示す。
以下の表2〜表5においても同様である。
【0024】また、表中には配合組成のみを記載した
が、得られた焼結体に含まれる金属成分、酸素、窒素、
炭素をEPMAにて定量的に分析した。CBN量につい
ては、SEMで組織観察すると同時に画像処理を行い体
積率を測定した。以上の定量分析結果により、表1の焼
結体の組成は、ほぼ配合組成通りであることを確認し
た。以下の表2〜表5においても同様である。
【0025】
【表1】 試料No.1〜9及びNo.11,12は、請求項6に
属するもので、机上性能及び切削性能ともに優れてい
た。これに対して、試料No.10は、微粒子を固着し
ていないCBN粒子を原料としたので、若干切削性能に
劣っていた。また、No.13は、CBNを含まないの
で、切削中にチッピングが発生した。No.14は、被
覆したCBN粒子が過剰であったので、緻密化せず、切
削性能を評価することができなかった。
【0026】−実施例2− この例は、この発明の工具をダクタイル鋳鉄の仕上げ切
削に適用したものである。実施例1と同じ方法で微粒子
を固着したCBN粒子と実施例1で用いた母材粉末の他
に、平均粒径1.2μmの炭窒化チタンTiCN及び平
均粒径1.2μmの酸化ディスプロシウムDy23を用
い、焼結法を実施例1のHIP法に代えてHP法とした
以外は、実施例1と同様にして焼結体及び工具を製造し
た。そして、焼結体をISO規格SNGN120408
の工具形状に研磨加工し、マイクロポア及び硬度といっ
た机上性能並びに切削性能を実施例1と同様に評価し
た。
【0027】切削性能は、ダクタイル鋳鉄FC600の
円筒の外径を切削速度V=300m/min.、送りf
=0.2mm/rev、切り込みd=0.5mmで乾式
連続切削し、逃げ面最大磨耗量が0.15mmに達する
までの時間を測定した。以上の結果を表2に示す。
【0028】
【表2】 試料No.1〜8のものは、請求項8に属するもので、
机上性能及び切削性能ともに優れていた。これに対し
て、試料No.9は、母材が本発明の範囲に属するもの
の、被覆したCBN粒子を含まないので、切削中にフレ
ーキングが発生した。
【0029】−実施例3− この例は、この発明の工具を高硬度材の仕上げ切削に適
用したものである。実施例1と同じ方法で微粒子を固着
したCBN粉末と実施例1で用いた母材粉末の他に、平
均粒径1.2μmの酸化ディスプロシウムDy23を用
い、表3に示す配合組成の母材となるよう粉末を予めス
テンレスポット中で超硬とともに120時間湿式混合粉
砕し、平均粒径約0.8〜1.2μmの混合粉末を得
た。なお、No.8,9の組成のものは、湿式混合粉砕
することなく、配合した。
【0030】混合粉末と、実施例1と同じ方法で微粒子
を固着したCBN粒子とを表3の割合で配合し、実施例
1と同様に成形し焼成することによって、焼結体及び工
具を製造した。そして、焼結体をISO規格SNGN1
20408の工具形状に研磨加工し、マイクロポア及び
硬度といった机上性能並びに切削性能を実施例1と同様
に評価した。また、焼結体の母材の平均粒径を測定した
ところ、湿式混合粉砕を行ったものは、約1.0〜1.
5μmであったのに対し、湿式混合粉砕を行わなかった
ものは、約2.0〜3.0μmであった。
【0031】切削性能は、高硬度材SKD11(HRC
60)の円筒の外径を切削速度V=120m/mi
n.、送りf=0.12mm/rev、切り込みd=
0.5mmで乾式連続切削し、逃げ面最大磨耗量が0.
15mmに達するまでの時間を測定した。以上の結果を
表3に示す。
【0032】
【表3】 試料No.1〜7のものは、請求項7に属するもので、
机上性能及び切削性能ともに優れていた。これに対し
て、試料No.8は、母材の平均粒径が2μmを越えて
いたので、寿命が短かった。
【0033】また、試料No.9は、CBN粒子を含ま
ないので、切削中にチッピングが発生した。
【0034】−実施例4− この例は、この発明の工具を普通鋳鉄の粗切削に適用し
たものである。実施例1と同じ方法で微粒子を固着した
CBN粉末と実施例1で用いた母材粉末の他に、平均粒
径0.5μmの酸化ジルコニウムZrO2、平均粒径
1.0μmの酸化ディスプロシウムDy23、平均粒径
0.7μmの窒化ケイ素Si34、平均粒径0.8μm
の酸化セリウムCeO2、平均粒径1.0μmの酸化イ
ットリウムY23、平均粒径1.0μmの炭化タングス
テンWCを用い、焼結法を実施例1のHIP法に代えて
HP法とした以外は、実施例1と同様にして焼結体及び
工具を製造した。そして、焼結体をSNGN12040
8形状に研磨加工し、マイクロポア及び硬度といった机
上性能並びに切削性能を実施例1と同様に評価した。
【0035】切削性能は、普通鋳鉄FC200の鋳砂の
付着した円筒の端面を切削速度V=300m/mi
n.、送りf=0.34mm/rev、切り込みd=
1.5mmで乾式連続切削し、逃げ面最大磨耗量を測定
した。以上の結果を表4に示す。
【0036】
【表4】 試料No.1〜9のものは、請求項9に属するもので、
机上性能及び切削性能ともに優れていた。これに対し
て、試料No.10は、用いたCBN粒子に所定の微粒
子が固着されていないので、十分に緻密化せず、磨耗量
が多かった。また、No.11は、母材が本発明の範囲
に属するものの、CBN粒子を含まないので、硬度が低
く、磨耗量が多かった。
【0037】−実施例5− この例は、この発明の工具を耐熱合金の切削に適用した
ものである。実施例1と同じ方法で微粒子を固着したC
BN粒子と実施例1で用いた粉末の他に、平均直径0.
5μm、平均長さ25μmの炭化ケイ素ウィスカー及び
平均粒径1.2μmの酸化ディスプロシウムDy23
用い、焼結法を実施例1のHIP法に代えてHP法とし
た以外は、実施例1と同様にして焼結体及び工具を製造
した。そして、焼結体をSNGN120408形状に研
磨加工し、マイクロポア及び硬度といった机上性能並び
に切削性能を実施例1と同様に評価した。
【0038】切削性能は、耐熱合金INCONEL71
8の円筒の外径を切削速度V=300m/min.、送
りf=0.2mm/rev、切り込みd=0.5mmで
乾式連続切削し、刃先にフレーキングやチッピングが発
生するまでの時間を測定した。以上の結果を表5に示
す。
【0039】
【表5】 試料No.1〜5のものは、請求項10に属するもの
で、机上性能及び切削性能ともに優れていた。これに対
して、試料No.6は、母材が本発明の範囲に属するも
のの、CBN粒子を含まないので、短時間でチッピング
が発生した。
【0040】
【発明の効果】以上のように、この発明の切削工具は、
高硬度であり、かつ種々の被切削物の切削において切削
寿命が長く、そのうえ耐磨耗性や耐欠損性等の切削性能
に優れる。また、この発明の製造方法によれば、CBN
の焼結性を改善できるので、安価に切削工具を提供で
き、産業上極めて有用である。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属の酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化
    物及びそれらの固溶体から選ばれる1種以上の微粒子も
    しくはそれらの非晶質膜によって被覆された硬質分散相
    としての立方晶窒化ホウ素粒子1〜60vol%と、母
    材としての残部が金属の酸化物、窒化物、炭化物、炭窒
    化物及びホウ化物のうちから選ばれる1種以上の結晶質
    相およびそれらの非晶質相とからなり、これらが焼結に
    よって結合されていることを特徴とする立方晶窒化ホウ
    素複合セラミック工具。
  2. 【請求項2】 微粒子もしくはそれらの非晶質膜の成分
    元素である金属が、Ti、Zr、Y及びAlのいずれか
    1種以上である請求項1に記載の立方晶窒化ホウ素複合
    セラミック工具。
  3. 【請求項3】 微粒子もしくはそれらの非晶質膜の成分
    が、TiN、ZrO2、Y23及びAl23のいずれか
    1種以上である請求項1に記載の立方晶窒化ホウ素複合
    セラミック工具。
  4. 【請求項4】 母材の成分元素である金属が、Ti、Z
    r、Mg、Dy、Si、Ce、W、Y及びAlのいずれ
    か1種以上である請求項1に記載の立方晶窒化ホウ素複
    合セラミック工具。
  5. 【請求項5】 母材が、TiN、TiC、TiCN、Z
    rO2、MgO、Dy23、SiC、Si34、Ce
    2、WC、Y23及びAl23のいずれか1種以上で
    ある請求項1に記載の立方晶窒化ホウ素複合セラミック
    工具。
  6. 【請求項6】 母材が、金属酸化物60vol%以上
    と、残部窒化物、炭化物及び炭窒化物のうちから選ばれ
    る1種以上とからなる請求項1に記載の立方晶窒化ホウ
    素複合セラミック工具。
  7. 【請求項7】 母材が、金属の窒化物、炭化物及び炭窒
    化物のうちから選ばれる1種以上50vol%以上と、
    残部金属酸化物とからなる請求項1に記載の立方晶窒化
    ホウ素複合セラミック工具。
  8. 【請求項8】 母材の平均粒子径が0.5μm以上2μ
    m以下である請求項1〜7のいずれかに記載の立方晶窒
    化ホウ素複合セラミック工具。
  9. 【請求項9】 母材が、窒化ケイ素もしくはサイアロン
    80vol%以上と、残部金属酸化物とからなる請求項
    1に記載の立方晶窒化ホウ素複合セラミック工具。
  10. 【請求項10】 母材が、酸化アルミニウム70vol
    %以上と、残部炭化珪素ウィスカー及び金属酸化物のう
    ちから選ばれる1種以上とからなる請求項1に記載の立
    方晶窒化ホウ素複合セラミック工具。
  11. 【請求項11】 次の工程を経ることを特徴とする立方
    晶窒化ホウ素複合セラミック工具の製造方法。 (a)金属の酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物及びそ
    れらの固溶体から選ばれる1種以上の微粒子を立方晶窒
    化ホウ素粒子に物理的に固着させる工程。 (b)上記微粒子の固着した立方晶窒化ホウ素粒子1〜
    60vol%と、残部が金属の酸化物、窒化物、炭化
    物、炭窒化物及びホウ化物のうちから選ばれる1種以上
    と混合する工程。 (c)混合物を熱加圧成形する工程。
  12. 【請求項12】 物理的に固着させる手段が、プラズマ
    コートである請求項11に記載の立方晶窒化ホウ素複合
    セラミック工具の製造方法。
  13. 【請求項13】 熱加圧成形が、圧力2000気圧以
    下、温度1900℃以下のHIPである請求項11に記
    載の立方晶窒化ホウ素複合セラミック工具の製造方法。
  14. 【請求項14】 熱加圧成形が、圧力200kg/cm
    2以上1000kg/cm2以下で、温度1900℃以下
    のホットプレスである請求項11に記載の立方晶窒化ホ
    ウ素複合セラミック工具の製造方法。
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