JPH09267489A - プリンタ装置 - Google Patents

プリンタ装置

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JPH09267489A
JPH09267489A JP10335996A JP10335996A JPH09267489A JP H09267489 A JPH09267489 A JP H09267489A JP 10335996 A JP10335996 A JP 10335996A JP 10335996 A JP10335996 A JP 10335996A JP H09267489 A JPH09267489 A JP H09267489A
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JP
Japan
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diaphragm
pressure chamber
forming layer
printer device
vibrating plate
Prior art date
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Pending
Application number
JP10335996A
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English (en)
Inventor
Takeshi Ogawa
剛 小川
Kouichirou Kijima
公一朗 木島
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ノズルピツチを容易に微細化し得るプリンタ装
置を実現し難かつた。 【解決手段】プリンタ装置において、圧力室内に圧力を
与える振動板を、ヤング率が10×1010〔N/m2〕以下の材
料からなる薄膜状の第1の形成層と、対応する圧力室と
第1の形成層を介して対向するように第1の形成層上に
形成された、圧力室よりも小さい幅及び長さを有する単
数又は複数の第2の形成層とから構成するようにしたこ
とにより、振動板を大きく変位させ得るようにすること
ができ、かくして圧力室の配置密度を高めることができ
る。かくするにつき各圧力室とそれぞれ連通するノズル
の間隔を狭くすることができ、かくしてノズルピツチを
容易に微細化し得るプリンタ装置を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【目次】以下の順序で本発明を説明する。 発明の属する技術分野 従来の技術 発明が解決しようとする課題 課題を解決するための手段(図1〜図13) 発明の実施の形態 (1)第1実施例 (1−1)インクジエツトプリンタ装置の構成(図1及
び図2) (1−2)インクジエツトプリントヘツドの構成(図1
〜図6) (1−3)インクジエツトプリントヘツドの製造手順
(図7及び図8) (1−4)第1実施例の動作及び効果(図1〜図8) (1−5)インクジエツトプリントヘツドの他の製造手
順(図7〜図10) (2)第2実施例 (2−1)「キヤリアジエツト」プリンタ装置の構成
(図1、図2、図11〜図13) (2−2)第2実施例の動作及び効果(図1、図2、図
11〜図13) (3)他の実施例 発明の効果
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明はプリンタ装置に関
し、記録信号に応じてインク液滴をノズルより吐出し
て、紙やフイルムなどの記録媒体に記録するプリンタ装
置に適用して好適なものである。
【0003】
【従来の技術】従来、いわゆるオンデマンド型インクジ
エツトプリンタ装置においては、記録信号に応じてイン
ク液滴をノズルより吐出することにより、記録信号に基
づく文字及び図形等を紙やフイルム等の記録媒体に記録
し得るようになされており、近年では小型化、低コスト
化が可能なため急速に普及しつつある。
【0004】このオンデマンド型インクジエツトプリン
タ装置において、インク液滴を吐出する方法としては、
例えばピエゾ素子等の圧電素子を用いる方法や発熱素子
を用いる方法が一般的である。実際上例えば圧電素子を
用いる方法では、圧電素子の変形によりプリントヘツド
の圧力室に充填されたインクに圧力を与え、かくしてこ
れを圧力室と連通するように設けられたノズルを介して
外部に吐出させることにより行われる。また発熱素子を
用いる方法は、発熱素子によりインクを加熱沸騰させ、
かくして発生した泡の圧力でインクを外部に吐出させる
ことにより行われる。
【0005】一方最近では、インクジエツトプリンタの
欠点である階調表現を得るプリンタ装置として、吐出さ
れるインク液滴のインク濃度を変化させることによりド
ツト内に階調をもたせ得るようになされたもの(以下、
これを「キヤリアジエツト」プリンタ装置と呼ぶ)が提
案されている。この場合この種のプリンタ装置において
も、インク液滴を吐出する方法として様々な方法が提案
されているが、従来のインクジエツトプリンタ装置と同
様に、圧電素子を用いる方法や発熱素子を用いる方法が
一般的である。
【0006】なお圧電素子の変形によりインク液滴を吐
出する方法としては、従来、積層された圧電素子を、圧
力室の一壁面を形成する可撓材からなる振動板に対して
垂直な方向に変形させて当該振動板を押すことにより圧
力室内のインクに圧力を与える方法や、振動板に貼り合
わされた単板の又は2層に積層された圧電素子に電圧を
与え、当該圧電素子を振動板と共に湾曲させて振動板を
押すことによりインク室内のインクに圧力を与える方法
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、振動板に貼
り合わされた単板の圧電素子又は2層に積層された圧電
素子に電圧を与えることにより振動板を湾曲させる方法
には、高価な積層された圧電素子を使用しないという利
点があるが、このような構成のプリントヘツドを製造す
るに際し、例えば切断された圧電素子を振動板上に貼り
合わせる方法を用いる場合には微細ピツチを達成し難い
問題があつた。また上述のようなプリントヘツドを製造
するに際し、振動板上にペースト上の圧電素子を印刷な
どの手段により配置しその後焼成する方法を用いた場合
には、振動板の耐熱性のために焼成温度を1000〔°C〕
以上にすることが困難であり、圧電材料の特性を十分に
発揮させ得ない問題があつた。
【0008】さらに上述のようなプリントヘツドを製造
するに際し、振動板に圧電素子を貼り合わせた後に切断
を行う方法を用いた場合には、振動板を傷つけることな
く圧電素子のみを切断することが困難であり、さらに絶
えず一定な深さで切断をすることは工具の磨耗および工
作機械の位置精度を考えると容易でない問題があつた。
さらにこの方法では、圧電素子の厚みが薄いと扱いづら
く、圧電素子の厚みが大きいと振動板の変位が少なくな
るために圧電素子への印加電圧を大きくせねばならず、
さらに振動板と圧電素子を貼り合わせるための接着剤の
厚さに起因して、振動板の変位量が変移するおそれもあ
る。
【0009】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、ノズルピツチを容易に微細化し得るプリンタ装置を
提案しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め第1の発明においては、プリンタ装置において、圧力
室形成部に設けられたインク貯蔵用の圧力室を覆う振動
板を、圧力室形成部の一面上に積層された、ヤング率が
10×1010〔N/m2〕以下の材料からなる第1の振動板形成
層と、対応する圧力室と第1の振動板形成層を介して対
向するように第1の振動板形成層上に積層形成された、
当該圧力室よりも小さい幅及び長さを有する単数又は複
数の第2の振動板形成層とで形成するようにした。
【0011】また第2の発明においては、プリンタ装置
において、圧力室形成部に設けられたインク貯蔵用の第
1の圧力室及び希釈液貯蔵用の第2の圧力室を覆う振動
板を、圧力室形成部の一面上に積層された、ヤング率が
10×1010〔N/m2〕以下の材料からなる第1の振動板形成
層と、第1及び第2の圧力室にそれぞれ対応させて、対
応する第1又は第2の圧力室と第1の振動板形成層を介
して対向するように第1の振動板形成層上に積層形成さ
れた、対応する第1又は第2の圧力室よりも小さい幅及
び長さを有する複数の第2の振動板形成層とで形成する
ようにした。
【0012】この場合第1の発明においては、振動板を
第1の振動板形成層と、対応する圧力室と第1の振動板
形成層を介して対向するように第1の振動板形成層上に
積層形成された第2の振動板形成層とで構成すると共
に、第2の振動板形成層を対応する圧力室よりも小さい
幅及び長さを有するようにしたことにより、圧力室内の
圧力を高めるために必要な振動板の変位を得るにあたり
負荷として第1の振動板のみとすることができる。
【0013】このとき第1の振動板は、ヤング率が10×
1010〔N/m2〕以下の材料から形成されると共に薄膜化さ
れているため、振動板の変位を大きくとることができ
る。従つて、従来、振動板の変位強度を弱くするために
広くとられていた圧力室の幅を小さくできるため、圧力
室の配置密度を高めることができ、この結果各圧力室と
それぞれ連通するノズルの間隔を狭くすることができ
る。
【0014】また第2の発明においても、これと同様に
して振動板の変位を大きくとることができるため、第1
及び第2の圧力室の幅を小さくでき、かくして第1及び
第2の圧力室の配置密度を高めることができることによ
り、各第1又は第2の圧力室と連通する第1及び第2の
ノズルの間隔を狭くすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下図面について、本発明の一実
施例を詳述する。 (1)第1実施例 (1−1)インクジエツトプリンタ装置の構成 図1において、1は全体として本発明を適用したシリア
ル型のインクジエツトプリンタ装置を示し、モータ2か
らプーリ3、ベルト4及びプーリ5を順次介してドラム
6に与えられる回転出力に基づいて当該ドラム6を回転
駆動し得るようになされている。
【0016】このドラム6の外周には、当該ドラム6の
軸方向と平行に紙押さえ7が配設されており、ドラム6
に巻回された被印刷物としてのプリント紙8をこの紙押
さえ7により当該ドラム6に押さえ付け得るようになさ
れている。またドラム6の外周には送りねじ9がドラム
6の軸方向と平行に配置されておると共に、当該送りね
じ9にはインクジエツトプリントヘツド10が螺合され
ており、かくして送りねじ9を回転駆動させることによ
つてこのインクジエツトプリントヘツド10をドラム6
の軸方向に移動させ得るようになされている。
【0017】ここでこのインクジエツトプリンタ装置1
の場合、これらモータ2、送りねじ9の駆動モータ(図
示せず)及びインクジエツトプリントヘツド10は、全
て制御部11に供給される印画データ及び制御信号から
なる入力信号S1に基づいて当該制御部11により駆動
制御される。実際上制御部11は、図2に示すように、
CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digit
al Signal Proccessor )を含むマイクロコンピユータ
構成の信号処理制御回路20を有し、供給される入力信
号S1に基づいて信号処理制御回路20が駆動信号S2
を生成し、これをドライバ21を介して駆動信号S3と
してインクジエツトプリントヘツド10に与えることに
より、当該インクジエツトプリントヘツド10を駆動さ
せ、かくして入力信号S1に基づく文字及び図形等をプ
リント紙8に記録させるようになされている。
【0018】この際信号処理制御回路20は、入力信号
S1に基づいて得られる印画データを必要に応じてライ
ンバツフアメモリ又はフレームメモリ構成のメモリ22
に記録し、この後これを適宜読み出すことにより印画デ
ータを印画順番に並べ替える一方、必要に応じて補正回
路23にROM(read only memory)マツプ型式で格納
された補正データを読み出し、当該補正データに基づい
て印画データのγ補正やカラーの場合の色補正等を行う
ようになされている。
【0019】また信号処理制御回路20は、入力信号S
1に基づいて制御信号S4を生成し、これらをそれぞれ
駆動制御部24を介して駆動制御信号S5として対応す
るモータ2又は送りねじ9の駆動モータに送出すること
によりこれらモータ2及び送りねじ9の駆動モータを駆
動制御し、かくしてドラム6及び送りねじ9の回転動作
を制御するようになされている。
【0020】かくしてこのインクジエツトプリンタ装置
1では、動作時、インクジエツトプリントヘツド10が
原点位置に位置した状態において、送りねじ9の駆動モ
ータが制御部11から供給される駆動制御信号S5に基
づいて駆動して送りねじ9を所定の角速度で回転させる
ことによりインクジエツトプリントヘツド10を一定速
度でドラム6の軸方向に移動させると共に、このときイ
ンクジエツトプリントヘツド10が制御部11から供給
される駆動信号S3に基づいて駆動することにより、プ
リント紙8に入力信号S1に基づく文字や図形等を1行
分だけ印字する。
【0021】次いでこの1行分の印字が終了すると、モ
ータ2が制御部11から供給される駆動制御信号S5に
基づき駆動してドラム6を所定角度だけ回転させること
によりプリント紙8を1行分だけ送らせると共に、この
際送りねじ9の駆動モータが制御部11から供給される
駆動制御信号S5に基づき駆動して送りねじ9を回転さ
せることにより、インクジエツトプリントヘツド10を
原点位置に戻し、この後同様の動作を繰り返す。
【0022】このようにしてこのインクジエツトプリン
タ装置1においては、制御部11に供給される入力信号
S1に基づいてプリント紙8に1行ずつの印字を順次行
うようになされ、かくして入力信号S1に基づく文字及
び図形等をプリント紙8に印字し、印画し得るようにな
されている。
【0023】(1−2)インクジエツトプリントヘツド
の構成 ここでこのインクジエツトプリンタ装置1の場合、イン
クジエツトプリントヘツド10は、図3〜図5のように
構成されている。すなわちインクジエツトプリントヘツ
ド10においては、複数のノズル30が穿設されたオリ
フイスプレート31の一面31上に、開口部でなる複数
の圧力室32が設けられた基台33と2層構造の振動板
34とが順次貼り付けられると共に、この振動板34上
に各圧力室32にそれぞれ対応させて、それぞれ対応す
る圧力室32と振動板34を介して対向するように複数
の圧電素子35が接着されることにより構成されてい
る。
【0024】この場合オリフイスプレート31の各ノズ
ル30は、X方向(矢印x1 )に沿つて所定ピツチで順
次形成されると共に、基台33の各圧力室32は、これ
ら各ノズル30にそれぞれ対応させて、対応するノズル
30と連通するように、かつX方向に沿つてノズル30
と同じピツチで並ぶように設けられている。
【0025】また基台33には、特に図4及び図5にお
いて明らかなように、各圧力室32にそれぞれ対応させ
て、対応する圧力室32を図示しないインクタンクと連
通する複数のインク供給路36が設けられており、かく
してこれら各インク供給路36をそれぞれ介して各圧力
室32にインクタンクからのインクを供給し得る一方、
これら各圧力室32からそれぞれ対応するノズル30を
介してインクを外部に吐出し得るようになされている。
【0026】一方振動板34においては、基台33の一
面33Aを覆う薄膜状の第1の振動板形成層34Aと、
第1の振動板形成層34Aを介してそれぞれ対応する圧
力室32と対向するように当該第1の振動板形成層34
Aの一面34AX上に分割形成された複数の第2の振動
板形成層34Bとから構成されている。
【0027】この場合各第2の振動板形成層34Bは、
図4からも明らかなように、それぞれその長さl1 が対
向する圧力室32の長さL1 よりも小さく選定されると
共に、図6に示すように、その幅w1 が圧力室32の幅
1 よりも小さく選定されており、かくして第1の振動
板形成層34Aが第2の振動板形成層34Bに邪魔され
ることなく各圧力室32の内側に自在に変位し得るよう
になされている。
【0028】さらに各圧電素子35においては、接着剤
からなる接着層37を介して振動板34の対応する第2
の振動板形成層34Bの表面上に固着されており、図3
における上下面にそれぞれ電極が設けられている。この
場合各圧電素子35の下面(接着層37との当接面)の
電極はアース接地されていると共に、上面(接着層37
との当接面と対向する面)には、上述の制御部11(図
1及び図2)から供給される駆動信号S3が印加される
ようになされている。
【0029】かくしてこのインクジエツトプリントヘツ
ド10においては、制御部11(図1及び図2)から各
圧電素子35の電極に供給される駆動信号S5に基づい
て、対応する圧電素子35が振動板34とのバイモルフ
効果により、図6(B)に示すように振動板34の第1
の振動板形成層34Aを圧力室32の内側に変位させる
ように湾曲し、対応する圧力室32内のインク38に圧
力を与えることにより、当該圧力室32内のインク38
を対応するノズル30を介して外部に吐出させるように
なされている。
【0030】かかる構成に加えこのインクジエツトプリ
ントヘツド10の場合、振動板34の第1の振動板形成
層34Aは、ヤング率が金属(10×1010〔N/m2〕程度以
上)に比べて小さい(10×1010〔N/m2〕以下、さらに望
ましくは1×1010〔N/m2〕以下)、例えば樹脂系材料の
ような柔らかい材料を用いて形成されている。この場合
例えば振動板34の第1の振動板形成層34Aが金属の
ような堅い材料を用いて形成されていると、圧電素子3
5と振動板34とのバイモルフ効果により振動板34が
圧電素子35と一体に湾曲する際、主としてノズル30
の配列方向(X方向)の振動モードが支配的に作用する
ことが多い。
【0031】これに対してこのインクジエツトプリント
ヘツド10のように、振動板34の第1の振動板形成層
34Aが金属に比べて柔らかい材料を用いて形成されて
いる場合には、振動板34は圧力室32の長手方向(Y
方向(矢印y1 ))の振動モードが支配的に作用して湾
曲し、この結果振動板34の湾曲がノズル30の配列方
向(X方向)に比べて圧力室32の長手方向(Y方向)
の方が大きくなることが本願特許出願人によつて確認さ
れている。
【0032】従つてこのインクジエツトプリントヘツド
10では、振動板34の第1の振動板形成層34Aを金
属を用いて形成した場合に比べて振動板34の変位をよ
り大きくすることができ、その分各圧電素子35に対す
る印加電圧(駆動信号S5のパルス電圧)をより小さく
することができるようになされている。またこのインク
ジエツトプリントヘツド10では、振動板34の変位を
大きくとれる分、圧電素子35の厚みを厚くすることが
でき、かくして圧電素子35を振動板34に貼り付ける
際の当該圧電素子35の扱いを容易にすることができる
ようになされている。
【0033】さらにノズル30の配列方向(X方向)の
振動板34の湾曲が支配的である振動モードの場合、圧
電素子35と振動板34との間の接着剤の厚み(接着層
37の厚み)に対して振動板34の変位が大きく変化
し、接着剤が厚くなると振動板34の変位が急激に減少
する。これに対して圧力室32の長手方向(Y方向)の
振動モードが支配的な場合には、接着剤としてエポキシ
など樹脂系の柔らかい接着剤を用いても、接着剤の厚み
に対して振動板34の変位量はあまり変化せず、特に接
着剤の厚みが数〔μm〕〜数十〔μm 〕の範囲ではほと
んど変化しないことが本願特許出願人によつて確認され
ている。
【0034】実際上実験によれば、振動板34の第1の
振動板形成層34Aとして25〔μm〕のポリイミドを用
いると共に、圧電素子35として厚さ50〔μm 〕のピエ
ゾ素子を用い、かつ圧力室32の大きさを0.4 ×1.5
〔mm〕とした場合、接着剤の厚みが10〔μm 〕のときに
は振動板34の変位量が約0.55〔μm 〕であり、接着剤
の厚みが30〔μm 〕のときには振動板34の変位量が約
0.058 〔μm 〕と、5〔%〕しか変化せず、充分なマー
ジンがとれることが確認できた。従つてこのインクジエ
ツトプリントヘツド10においては、圧電素子35を振
動板34に接着する際の接着剤の厚み制御を大まかにす
ることができ、その分容易に製造することができること
が分かつた。
【0035】(1−3)インクジエツトプリントヘツド
の製造手順 ここで実際上このインクジエツトプリントヘツドは、図
7(A)〜図8(C)に示す以下の手順により製造する
ことができる。すなわち、まず図7(A)に示すよう
に、2層構造の振動板34と、圧電素子35とを用意す
る。この場合振動板34としては、第1の振動板形成層
34Aがこの後行われる第2の振動板形成層34Bの溶
解又はエツチングの際に溶解又はエツチングされず、か
つ微小な穴が存在し難い材質が柔らかい材料を用いて形
成され、かつ第2の振動板形成層34Bが望ましくは導
電性であるものを用いるようにする。
【0036】より具体的には第1の振動板形成層34A
が例えば厚みが200 〔μm 〕以下のポリイミドを主成分
し、かつ第2の振動板形成層34Bが例えば厚みが20
〔μm〕以上の銅、ニツケル、チタン又はステンレスを
主成分とする金属泊からなる振動板34を用いるように
する。また圧延により形成された材料の方が後のピツト
(微小な穴)が存在する可能性が少ないため、振動板3
4としては、第1の振動板形成層34Aを形成する第1
の素材と、第2の振動板形成層34Bを形成する第2の
素材とをそれぞれ個別に圧延し、これら圧延した第1及
び第2の素材を真空雰囲気中において接合することによ
り形成されたものを使用するようにする。
【0037】なお以下の説明においては、圧電素子35
として単層のものを用いるようにする場合について述べ
るが、圧電材及び導電材を順次積層することにより形成
された積層圧電素子を用いるようにしても良い。次いで
図7(B)に示すように、この振動板34の第2の振動
板形成層34Bの表面上に接着剤39を塗布する。なお
この際、接着剤39を圧電素子35の振動板34との対
向面に塗布するようにしても良く、さらには圧電素子3
5及び振動板34の両方に接着剤を塗布するようにして
も良い。またこの場合接着剤39としては、この後行わ
れる圧電素子35の切断工程において耐え得る程度の強
度を有するものを用いるようにする。さらに接着剤39
としては、導電性を有していることが望ましく、より具
体的にはエポキシ接着剤に金属などの導電性粒子を混合
したものを使用するようにする。
【0038】なおこの際接着剤39の塗布を安定させる
ために、この工程の前に予め振動板34の第2の振動板
形成層34B上に所定材からなる層を設けるようにして
も良い。例えば酸化シリコンなどを数10〔nm〕程度の厚
みで振動板34の第1の振動板形成層34B上に積層形
成することによつて、接着剤39の塗布時に当該接着剤
39中に含まれる可能性のある泡を減少させることがで
きる。
【0039】続いて図7に(C)に示すように、圧電素
子35を接着剤39を介して振動板34に載せ、この圧
電素子35を振動板34の第2の振動板形成層34Bを
強固に接着させるように、かつ接着剤39の厚みを薄く
(例えば50〔μm 〕以下)するように圧電素子35を振
動板34に押しつける。なおこの工程は、当該工程を行
わなくても接着剤39の厚みが安定し、かつ強固に圧電
素子35と振動板34とを接着し得る方法を用いた場合
には省略することができる。続いて図7(D)に示すよ
うに、接着剤39としてエポキシ系を用いた場合におい
て、当該接着剤39を熱硬化させる。
【0040】さらに図8(A)に示すように、振動板3
4上に固定された圧電素子35をダイシングにより切断
する。この場合切断は、分割形成される圧電素子35の
うち、振動板34の変位に寄与するものの長さが上述の
圧力室32の長さL1 (図2)よりも短くなるように、
かつこの圧電素子35及び振動板34からなるユニツト
を振動板34の変位に寄与する圧電素子35が圧力室3
2と対向するように位置決めして貼り合わせたときに当
該圧電素子35以外の圧電素子35が圧力室32上に位
置しないように行う。またこの際圧電素子35と一緒に
振動板34の第2の振動板形成層34Bをも5〜10〔μ
m 〕程度の厚みを残して切れ目を入れるようにする。な
お圧電素子35の切断はダイヤモンド粒子を含む砥石に
より行うことができる。また図8においては、元の圧電
素子35を3分割した場合を示しているが、これ以外の
数に分割するようにしても良い。
【0041】次いでこの振動板34及び圧電素子35か
らなるユニツトを、振動板34の第2の振動板形成層3
4Bだけを溶解又はエツチングし、かつ第1の振動板形
成層34Aを溶解又はエツチングしない溶液に浸すこと
により、図8(B)のように圧電素子34をマスクとし
て、振動板34の第2の振動板形成層34Bのうち、各
圧電素子35の下層以外の部分を振動板34の第1の振
動板形成層34A上から除去する。
【0042】実際上例えば振動板34として、第2の振
動板形成層34Bが銅を主成分とする材料から形成さ
れ、かつ第1の振動板形成層34Aがポリイミドを主成
分とした材料から形成されているものを用いた場合に
は、振動板34の第2の振動板形成層34Bの不要部分
を圧電素子35をマスクとしてエツチングにより除去す
ることができる。また振動板34として、第2の振動板
形成層34Bがニツケルを用いて形成されたものを用い
る場合にも、上述の場合と同様にして、振動板34の第
2の振動板形成層34Bの不要部分を圧電素子35をマ
スクとしてエツチングにより除去することができる。
【0043】次いで図8(C)に示すように、この圧電
素子35及び振動板34からなるユニツトをオリフイス
プレート31上に基台32が貼り付けられてなる圧力室
形成部40上に、振動板34の変位に寄与する圧電素子
35が圧力室形成部40の対応する圧力室32と振動板
34の第1の振動板形成層34Aを介してかつ前後左右
に隙間を残して対向するように位置決めして接着する。
これにより図3及び図4に示すインクジエツトプリント
ヘツド10を得ることができる。
【0044】(1−4)第1実施例の動作及び効果 以上の構成において、このインクジエツトプリンタ装置
1では、制御部11が供給される入力信号S1に基づい
て駆動信号S3を形成し、これをインクジエツトプリン
トヘツド10に送出することにより、当該インクジエツ
トプリントヘツド10の各圧電素子35に駆動信号S3
を印加する。この結果対応する圧電素子35が振動板3
4と一体に湾曲して振動板34の第1の振動板形成層3
4Aを対応する圧力室32の内側に変位させることによ
り当該圧力室32内のインク38(図6)に圧力を与
え、かくして当該インク38をノズル30を介して外部
に吐出させる。
【0045】この場合このインクジエツトプリントヘツ
ド10では、振動板34が各圧力室32を覆う第1の振
動板形成層34Aと、この第1の振動板形成層34Aを
介して対応する圧力室32と対向するように当該第1の
振動板形成層34A上に分割形成された第2の振動板形
成層34Bとから形成されると共に、当該第2の振動板
形成層34Bの幅w1 及び長さl1 が圧力室32の幅W
1 及び長さL1 よりも小さく選定されており、従つて圧
力室32内のインク圧を高めるために必要な振動板34
の変位を得るに際して負荷としては振動板34の第1の
振動板形成層34Aのみとなる。
【0046】しかしながらこの振動板34の第1の振動
板形成層34Aは、上述のようにヤング率が10×10
10〔N/m2〕以下の柔らかい材料を用いて薄膜状に形成さ
れているために金属のような堅い材料を用いて形成する
場合に比べて変位量が大きく、従つて振動板34の変位
を大きくとることができる。従つてこのインクジエツト
プリントヘツド10では、従来のインクジエツトプリン
トヘツドの構成において振動板34の変位に対する強度
を弱くするために広く設けられていた圧力室32の幅W
1 を圧電素子35の幅w1 に比較して狭くすることがで
きる。かくするにつき圧力室32の幅W1 を小さくする
ことができ、圧力室32の配置密度を高めることができ
ることにより、各圧力室32とそれぞれ連通する各ノズ
ル30の間隔を小さくすることができる。
【0047】またこのインクジエツトプリントヘツド1
0では、振動板34の第1の振動板形成層34Aをヤン
グ率が10×1010〔N/m2〕以下の柔らかい材料を用いて形
成しており、従つて上述のように振動板34の変位を大
きくとることができるため、圧電素子35の駆動電圧を
小さくできると共に、圧電素子35の厚みを大きくする
ことができる分、当該圧電素子35を扱い易くすること
ができ、さらには圧電素子35及び振動板34間の接着
層37の厚みむらによる振動板34の変位に対する影響
が少ないため、製造プロセス上の接着層37の厚みむら
の影響を少なくすることができる。
【0048】一方、このように構成されたインクジエツ
トプリントヘツド10では、上述のバイモルフ効果によ
り振動板34を変形させる場合において、実際上負荷と
して寄与するのは、振動板34の圧電素子35と接着層
37を介して対向しない部位(第1の振動板形成層34
A)の断面2次モーメントであるが、これは当該部位の
厚さの3乗に比例する大きさとなる。この場合この実施
例のインクジエツトプリントヘツド10を製造するに際
して、例えば図8(B)について説明したような圧電素
子35をマスクとした溶解又はエツチングを行わず、先
行する切断工程(図8(A))までで振動板34を形成
した場合には、切断時における刃物の磨耗や切断機の性
能に起因する刃物の高さ精度によつて、振動板34の変
形に寄与する部位の厚みが決定されることとなる。
【0049】そしてこの精度が例えば1〔μm 〕以下で
あつたとしても、振動板34の変形に寄与する部位の厚
みの目標値が10〔μm 〕の場合には、当該部位の厚みが
10〔%〕程度ばらつくこととなり、結果的に振動板34
の変形に寄与する部位の断面2次モーメントに30〔%〕
程度のばらつきが生じることになる。つまり図8(B)
について説明したような圧電素子35をマスクとした溶
解又はエツチングを行わず、先行する切断工程(図8
(A))までで振動板34を形成した場合には、30
〔%〕のばらつきが振動板34の負荷として存在するた
め、インク38(図6)の吐出量が著しくばらついてし
まうことになる。
【0050】これに対してこの実施例によるインクジエ
ツトプリントヘツド10の製造方法では、図8(B)に
ついて説明したように、圧電素子35をマスクとした溶
解又はエツチングを行つているため、振動板34の変位
に寄与する部位の厚みを振動板34の第1の振動板形成
層34Aの厚みでなる所定値にすることができる。つま
りこの実施例による製造方法を用いて製造されたインク
ジエツトプリントヘツド10では、振動板34の変形に
寄与する部位の断面2次モーメントを一定にすることが
でき、その分複数存在する各圧力室32内のインク38
にそれぞれほぼ均一な圧力を与えることができる。
【0051】従つて上述のインクジエツトプリントヘツ
ド10を製造するに際し、この実施例の製造方法を用い
ることによつて、インク吐出時の振動板34を変位させ
る場合の負荷となる振動板34の厚さを薄くかつ安定に
製造することができることから各圧力室32の大きさを
小さくすることができ、かくして圧力室32の配置密度
を高めることができることにより、結果的に各圧力室3
2とそれぞれ連通する各ノズル30の間隔をより小さく
することができる。
【0052】またこの実施例によるインクジエツトプリ
ントヘツド10の製造方法によれば、従来の薄板部分の
形成をダイシングのみにより行う従来の製造方法に比べ
て薄板部分の板厚制御の精度を高めることができるた
め、結果的に高精度のダイシング装置を用いることな
く、高精度の板厚管理を行うことができる。さらにこの
実施例によるインクジエツトプリントヘツド10の製造
方法によれば、圧電素子35として予め焼成された圧電
素子を用いることができるため、圧電材料の特性を十分
に発揮させることができる。
【0053】以上の構成によれば、振動板34を、基台
33の一面33Aを覆う第1の振動板形成層34Aと、
この第1の振動板形成層34Aを介して対応する圧力室
32と対向するように、当該圧力室32に比べて幅w1
及び長さl1 が小さくなるように当該第1の振動板形成
層34A上に分割形成された第2の振動板形成層34B
とから形成すると共に、第1の振動板形成層34Aをヤ
ング率が10×1010〔N/m2〕以下の柔らかい材料を用いて
形成するようにしたことにより、振動板34の変位を大
きくとることができる。かくするにつき各圧力室32の
幅W1 を小さくすることができ、圧力室32の配置密度
を高めることができることにより、各圧力室32とそれ
ぞれ連通する各ノズル30の間隔を小さくすることがで
き、かくしてノズルピツチを容易に微細化し得るプリン
タ装置を実現できる。
【0054】(1−5)インクジエツトプリントヘツド
の他の製造手順 図7(A)〜図8(C)との対応部分に同一符号を付し
て示す図9(A)〜図10(C)は、上述のインクジエ
ツトプリントヘツド10の他の製造手順を示すものであ
り、まず図9(A)に示すように、第1実施例と同様の
第1及び第2の振動板形成層34A、34Bからなる振
動板34及び圧電素子35を準備する。
【0055】次いで図9(B)に示すように、この振動
板34の第2の振動板形成層34A上にガリウムを成分
として有する液体金属接着剤50を塗布する。この際例
えば圧電素子35に液体金属接着剤50を塗布するよう
にしても良く、さらには圧電素子35及び振動板34の
両方に液体金属接着剤50を塗布するようにしても良
い。
【0056】ここで実際上、液体金属接着剤50として
は、ガリウムと、インジウム、錫及び亜鉛のうちの1つ
以上とを有する2元以上の成分を有し、室温近傍又は10
0 〔°C〕以下の温度において液体となり、さらに振動
板34の第2の振動板形成層34Bを構成する材料に対
して拡散反応を生じ、合金化がなされるものを使用する
ようにする。なお上述の液体金属に、金、銀及びパラジ
ウムのうちの1種以上を成分として有する金属粉末を添
加することにより製造され、温室近傍又は100〔°C〕
以下の温度において振動板34の第2の振動板形成層を
構成する材料に対して拡散反応を生じ、合金化がなされ
るものを使用するようにしても良い。
【0057】次いで図9(C)に示すように、圧電素子
35を振動板34の第2の振動板形成層34Aに対して
より強固に接着し得るように、かつ液体金属接着剤50
の厚みを薄く(例えば5〔μm 〕以下)するようにプレ
ス処理又はローラ処理により圧電素子35を振動板34
に押しつける。なおこの工程は、プレス処理又はローラ
処理を行わなくても液体金属接着剤50の厚みが安定
し、かつ圧電素子35を振動板34に対して強固に固定
し得る方法を用いた場合には省略することができる。
【0058】なおこの際液体金属接着剤50の塗布を安
定させるために、この工程の前に予め振動板34の第2
の振動板形成層34B上に所定材からなる層を設けるよ
うにしても良い。例えば酸化シリコンなどを数10〔nm〕
程度の厚みで振動板34の第2の振動板形成層34B上
に積層形成することによつて、液体金属接着剤50の塗
布時に当該液体金属接着剤50中に含まれる可能性のあ
る泡を減少させることができる。
【0059】続いて図9(D)に示すように、この振動
板34上に圧電素子35が接着されてなるユニツトを、
液体金属接着剤50の拡散合金反応が終了するまで室温
又は200 〔°C〕以下の雰囲気のもとで放置する。なお
ここで、振動板34の第2の振動板形成層34Bとして
銅を主成分とする金属材を用いた場合においては、拡散
合金化反応により融点が300 〔°C〕以上の銅とガリウ
ムとの合金層51が徐々に生成される。さらに放置時間
を十分にとつた場合においては、液体金属が完全に固体
金属中(振動板34の第2の振動板形成層34B中)に
拡散し、全てが高融点の合金となることにより、圧電素
子35と振動板34とが強固に接合される。
【0060】続いて図10(A)に示すように、振動板
34の第2の振動板形成層34B上に固定された圧電素
子35をダイシングにより切断する。この場合切断は、
分割された圧電素子35のうち、振動板34の変位に寄
与するものの長さが上述の圧力室32の長さL1 よりも
長さが短くなるように、かつ振動板34及び圧電素子3
5からなるこのユニツトを振動板34の変位に寄与する
圧電素子35が圧力室32と対向するように位置決めし
て貼り合わせたときに当該圧電素子35以外の分割され
た圧電素子35が圧力室32上に位置しないように行
う。またこの際圧電素子35と一緒に振動板34の第2
の振動板形成層34Bをも5〜10〔μm 〕程度の厚みを
残して切れ目を入れるようにする。なお圧電素子35の
切断はダイヤモンド粒子を含む砥石により行うことがで
きる。また図10においては、元の圧電素子35を3分
割した場合を示しているが、これ以外の数に分割するよ
うにしても良い。
【0061】次いでこの振動板34及び圧電素子35か
らなるユニツトを、振動板34の第2の振動板形成層3
4Bだけを溶解又はエツチングし、かつ振動板34の第
1の振動板形成層34Aを溶解又はエツチングしない溶
液に浸すことにより、図10(B)に示すように、圧電
素子35をマスクとして、振動板34の第2の振動板形
成層34Bのうち、各圧電素子35の下層以外の部分を
振動板34の第1の振動板形成層34A上から除去す
る。
【0062】実際上振動板34として、第2の振動板形
成層34Bが銅を主成分とする材料を用いて形成される
と共に、第1の振動板形成層34Aがニツケルを主成分
とする材料を用いて形成されたものを用いた場合におい
ては、このユニツトを5〜40〔%〕の塩化第2の鉄水溶
液に数分又は数10秒浸すことによつて、各圧電素子3
5をマスクとしてエツチングにより振動板34の第2の
振動板形成層34Bの不要部分を除去することができ
る。
【0063】次いで図10(C)に示すように、この振
動板34及び圧電素子35からなるユニツトをオリフイ
スプレート31上に基台33が貼り付けられてなる圧力
室形成部40上に、振動板34の変位に寄与する圧電素
子35が圧力室形成部40の対応する圧力室32と振動
板34の第1の振動板形成層34Aを介して、かつ前後
左右に隙間を残して対向するように位置決めして接着す
る。これにより図3及び図4に示すインクジエツトプリ
ントヘツド10を得ることができる。
【0064】この場合この製造方法によると、圧電素子
35を振動板34の第2の振動板形成層34B上に接着
する接着剤としてガリウムを成分とする液体金属接着剤
50を用いており、従つて上述のように圧電素子35及
び振動板34がこの液体金属接着剤50により形成され
る合金層51を介して接合されるため、接着剤として例
えばエポキシなどの樹脂系のものを用いた場合に比べて
より高いバイモルフ効果を得ることができる。
【0065】またこの液体金属接着剤50に基づいて形
成された合金層51は、樹脂系の接着剤からなる接着層
に比べて変位を吸収し難いため、より高く得られたバイ
モルフ効果を有効に対応する圧力室32に伝達すること
ができる。従つて上述のインクジエツトプリントヘツド
10を製造するに際してこの第2実施例の製造方法を用
いることによつて、上述した第1実施例によるインクジ
エツトプリントヘツド10の製造方法を用いたときに得
られる効果に加え、圧電素子35を振動板34の第2の
振動板形成層34B上に接着する接着剤として樹脂系の
接着剤を用いた場合に比べてより低い印加電圧で圧電素
子35を駆動させ得る効果を得ることができる。
【0066】さらにこの製造方法によれば、上述のよう
に圧電素子35及び振動板34間に形成される接着層3
7に対して加熱処理する必要がなく、圧電素子35及び
振動板34からなるユニツトを所定温度を保つた状態で
放置するだけで接着層37を強固な合金化することがで
きるため、振動板34の第2の振動板形成層34Bの材
料として圧電素子35を形成する材料と熱膨張率差が大
きい材料を選択した場合においても、振動板34及び圧
電素子35に反りが発生することがない。
【0067】従つて上述のインクジエツトプリントヘツ
ド10の製造方法として、この製造方法を用いることに
よつて、圧電素子35及び振動板34に対する材料選択
の自由度を高めることができる。
【0068】(2)第2実施例 (2−1)「キヤリアジエツト」プリンタ装置の構成 図1との対応部分に同一符号を付して示す図11は、第
2実施例によるシリアル型の「キヤリアジエツト」プリ
ンタ装置60を示すものであり、インクジエツトプリン
トヘツト10(図1)に代えて「キヤリアジエツト」プ
リントヘツド61を用いている点と、これに伴い制御部
11(図1)に変えて制御部70を用いている点とを除
いて第1実施例のインクジエツトプリンタ装置1(図
1)と同様に構成されている。
【0069】この場合「キヤリアジエツト」プリントヘ
ツド61は、図12に示すように、一対の第1及び第2
のノズル62A、62BがX方向(矢印x2 )に沿つて
所定ピツチで複数対形成されたオリフイスプレート63
の一面63A上に、各第1及び第2のノズル62A、6
2Bにそれぞれ対応させて一対の第1及び第2の開口部
でなる第1及び第2の圧力室64A、64BがX方向に
沿つて複数対形成された基台65と、2層構造の振動板
66とを順次積層すると共に、当該振動板66上に各第
1及び第2の圧力室64A、64Bとそれぞれ対応させ
て、対応する第1又は第2の圧力室64A、64Bとそ
れぞれ振動板34を介して対向するように一対の第1及
び第2の圧電素子67A、67BがY方向に沿つて複数
対接着されることにより形成されている。
【0070】このときオリフイスプレート63の各一対
の第1及び第2のノズル62A、62Bは、それぞれY
方向(矢印y2 )に沿つて並設されており、このうち第
1のノズル62Aはオリフイスプレート63の他面63
B側に行くに従つて第2のノズル62Bに近づくように
傾きをもつて形成されている。
【0071】また基台65の各一対の第1及び第2の圧
力室64A、64Bは、それぞれX方向に沿つて並ぶよ
うに、かつそれぞれ対応する第1又は第2のノズル62
A、62Bと連通するように形成されており、それぞれ
基台65に設けられた第1又は第2の供給路65A、6
5Bを介して図示しないインクタンク又は希釈液タンク
と接続されている。
【0072】これによりこの「キヤリアジエツト」プリ
ントヘツド61においては、第1の供給路65Aを介し
て第1の圧力室64A内にインクタンクからインクを供
給し、かつ当該インクを第1の圧力室64Aから第1の
ノズル62Aを介して外部に吐出し得る一方、第2の供
給路65Bを介して第2の圧力室64B内に希釈液タン
クから希釈液を供給し、かつ当該希釈液を第2の圧力室
64Bから第2のノズル62Bを介して外部に吐出し得
るようになされている。
【0073】一方振動板66においては、基台65の一
面65Cを覆う薄膜状の第1の振動板形成層66Aと、
この第1の振動板形成層66Aを介してそれぞれ対応す
る第1又は第2の圧力室64A、64Bと対向するよう
に当該第1の振動板形成層66A上に分割形成された複
数の第2の振動板形成層66Bとから構成されている。
【0074】この場合各第2の振動板形成層66Aは、
図12からも明らかなように、それぞれ対向する第1又
は第2の圧力室64A、64Bよりも幅が小さくかつ長
さが短く形成されており、かくして第1の振動板形成層
66Aが第2の振動板形成層66Bに邪魔されることな
く対応する第1又は第2の圧力室64A、64Bの内側
に自在に変位し得るようになされている。
【0075】さらに各第1及び第2の圧電素子67A、
67Bにおいては、それぞれ振動板66と対向する一面
が振動板66の対応する第2の振動板形成層66Bの表
面と同じ大きさの直方体状に形成され、それぞれ接着剤
からなる接着層68A、68Bを介して振動板66の対
応する第2の振動板形成層66Bの表面上に固着されて
いる。
【0076】この場合各第1及び第2の圧電素子67
A、67Bの一面側はそれぞれアース接地されると共
に、他面側はそれぞれ図示しない電極がそれぞれ設けら
れており、制御部70から供給される対応する第1又は
第2の駆動信号S10A、S10Bがそれぞれこの電極
に印加されるようになされている。
【0077】かくしてこの「キヤリアジエツト」プリン
トヘツド61においては、制御部70から各第1及び第
2の圧電素子67A、67Bの電極にそれぞれ供給され
る第1及び第2の駆動信号S10A、S10Bに基づい
て、対応する第1及び第2の圧電素子67A、67Bを
1組として、各組ごとに第1及び第2の圧電素子67
A、67Bがそれぞれ振動板66とのバイモルフ効果に
より、それぞれ振動板66の第1の振動板形成層66A
を対応する第1又は第2の圧力室64A、64Bの内側
に変位させるように湾曲し、それぞれ第1の圧力室64
A内のインク又は第2の圧力室64B内の希釈液に圧力
を与えることにより、当該第1の圧力室64A内のイン
クを対応する第1のノズル62Aを介して外部に吐出さ
せる一方、このとき第2の圧力室64B内の希釈液を対
応する第2のノズル62Bを介して外部に吐出させ、か
くしてこれらを混合して1つの液滴として吐出し得るよ
うになされている。
【0078】従つてこの「キヤリアジエツト」プリント
ヘツド61においては、1つの組の第1及び第2の圧電
素子67A、67Bに印加する電圧を変えて、第1のノ
ズル62Aから吐出するインクと第2のノズル62Bか
ら吐出する希釈液との混合比を変えることにより、吐出
させる液滴の濃度を変調し得るようになされている。
【0079】かかる構成に加えこの「キヤリアジエツ
ト」プリントヘツド61の場合、振動板66の第1の振
動板形成層66Aは、ヤング率が10×1010〔N/m2〕以下
(望ましくは1×1010〔N/m2〕以下)の、例えば樹脂系
材料のような柔らかい材料を用いて形成されている。
【0080】これによりこの「キヤリアジエツト」プリ
ントヘツド61においては、第1実施例の場合と同様
に、振動板66の変位を大きくとることができると共
に、第1及び第2の圧電素子67A、67Bに与える印
加電圧を小さくすることができ、さらには圧電素子67
A、67Bの厚みを厚くすることができる分、当該第1
及び第2の圧電素子67A、67Bの製造工程時におけ
る扱いを容易にし得るようになされている。
【0081】なおこの実施例の場合、この「キヤリアジ
エツト」プリントヘツド61は、図7(A)〜図8
(C)について説明した第1実施例によるインクジエツ
トプリントヘツド10の製造方法を利用して、2層構造
の振動板66に対する各第1及び第2の圧電素子67
A、67Bの貼合せ工程と、これら各第1及び第2の圧
電素子67A、67Bの切断工程と、第1及び第2の圧
電素子66A、66Bをマスクとした振動板66の第2
の振動板形成層66Bのエツチング工程と、当該第1及
び第2の圧電素子67A、67B並びに振動板66から
なるユニツトのオリフイスプレート63及び基台65か
らなる圧力室形成部40に対する貼合せ工程とを経て製
造することができる。
【0082】一方制御部70においては、図2との対応
部分に同一符号を付した図13に示すように、信号処理
制御回路71の構成と、「キヤリアジエツト」プリント
ヘツド61のドライバ72A、72Bが第1及び第2の
圧電素子67A、67Bにそれぞれ対応させて2つ設け
られている点とを除いて第1実施例の制御部11(図
2)と同様に構成されている。
【0083】この場合信号処理制御回路71は、第1実
施例の信号処理制御部11(図2)と同様にして、供給
される入力信号S1に基づいてパルス電圧値が一定の駆
動信号S11Aを生成し、これを第1のドライバ72A
を介して上述の第1の駆動S10Aとして「キヤリアジ
エツト」プリントヘツド61の対応する第1の圧電素子
67Aの電極に与えるようになされている。
【0084】これにより信号処理制御回路71は、この
第1の駆動信号S10Aに基づいて、対応する第1の圧
電素子67Aを、振動板66の第1の振動板形成層66
Aが対応する第1の圧力室64Aの内側に所定量変位す
るように駆動させることにより、当該第1の圧力室64
A内のインクに所定の圧力を与るようになされ、かくし
て当該第1の圧力室64Aと連通する第1のノズル62
Aから一定量のインクを吐出させるようになされてい
る。
【0085】またこのとき信号処理制御回路71は、供
給される入力信号S1に基づいて、各ドツトごとに指定
された階調をもたせるために「キヤリアジエツト」プリ
ントヘツド61の対応する第2のノズル62Bからそれ
ぞれ吐出させるべき希釈液の液量を算出し、当該算出さ
れた液量の希釈液を吐出させるためのパルス電圧値を有
するパルスからなる駆動信号S12を生成し、これを第
2のドライバ72Bを介して上述の第2の駆動信号S1
0Bとして「キヤリアジエツト」プリントヘツド61の
対応する第2の圧電素子67Bに与えるようになされて
いる。
【0086】これにより信号処理制御回路71は、この
第2の駆動信号S10Bに基づいて、対応する第2の圧
電素子67Bを、振動板66の第1の振動板形成層66
Aが対応する第2の圧力室64Bの内側に上述の算出結
果に応じた量だけ変位するように駆動させることによ
り、当該第2の圧力室64B内の希釈液に振動板66の
第1の振動板形成層66Aの変位量に応じた大きさの圧
力を与えるようになされ、かくして当該第2の圧力室6
4Bと連通する第2のノズル62Bから上述の算出した
量の希釈液を吐出させるようになされている。
【0087】(2−2)第2実施例の動作及び効果 以上の構成において、この「キヤリアジエツト」プリン
タ装置60では、制御部70が供給される入力信号S1
に基づいて第1及び第2の駆動信号S10A、S10B
をそれぞれ生成し、これを「キヤリアジエツト」プリン
トヘツド61に送出することにより、当該「キヤリアジ
エツト」プリントヘツド61の対応する一対の第1及び
第2の圧電素子67A、67Bに第1又は第2の駆動信
号S10A、S10Bに応じた駆動電圧をそれぞれ印加
する。
【0088】この結果「キヤリアジエツト」プリントヘ
ツド61では、これら一対の第1及び第2の圧電素子6
7A、67Bが振動板66と一体に湾曲して振動板66
を対応する第1又は第2の圧力室64A、64Bの内側
に変位させることにより、それぞれ当該第1又は第2の
圧力室64A、64B内のインク又は希釈液に圧力を与
え、このインク又は希釈液を当該第1又は第2の圧力室
64A、64Bと連通する第1又は第2のノズル62
A、62Bをそれぞれ介して吐出させ、かくしてこれら
を混合させて1つの液滴として外部に吐出する。
【0089】この場合この「キヤリアジエツト」プリン
トヘツド61では、振動板66が基台65の一面65A
を覆う第1の振動板形成層66Aと、各第1及び第2の
圧力室64A、64Bにそれぞれ対応させて、これらと
振動板66の第1の振動板形成層66Aを介して対向す
るように当該第1の振動板形成層66A上に分割形成さ
れた複数の第2の振動板形成層66Bとから構成されて
おり、各第2の振動板形成層66Bの幅及び長さが対向
する第1又は第2の圧力室64A、64Bの幅及び長さ
よりも小さく形成されているため、第1及び第2の圧力
室64A、64B内の液圧を高めるために必要な振動板
66の変位を得るに際して負荷としては振動板66の第
1の振動板形成層66Aのみとなる。
【0090】従つてこの「キヤリアジエツト」プリント
ヘツド61では、第1実施例のインクジエツトプリント
ヘツド10(図1)と同様に、従来提案されていた「キ
ヤリアジエツト」プリントヘツドの構成において振動板
66の変位に対する強度を弱くするために広げられてい
た第1及び第2の圧力室64A、64Bの幅を対応する
第1又は第2の圧電素子67A、67Bの幅に比較して
狭くすることができる。かくするにつき第1及び第2の
圧力室64A、64Bの幅を小さくすることができ、こ
れにより第1及び第2の圧力室64、64Bの配置密度
を高めることができる分、第1又は第2の圧力室64
A、64Bとそれぞれ連通する第1及び第2のノズル6
2A、62Bの間隔を小さくすることができる。
【0091】またこの「キヤリアジエツト」プリントヘ
ツド61では、振動板66の第1の振動板形成層66A
がヤング率が10×1010〔N/m2〕以下の柔らかい材料を用
いて形成されており、従つて上述のように振動板66の
変位を大きくとることができため、第1実施例の場合と
同様に、第1及び第2の圧電素子67A、67Bに対す
る印加電圧を小さくすることができる。また第1及び第
2の圧電素子67A、67Bの厚みを大きくすることが
できる分、製造プロセス上における第1及び第2の圧電
素子67A、67Bの扱いを容易にすることができ、さ
らには第1、第2の圧電素子67A、67B及び振動板
66間の接着剤の厚みむらに対して振動板66の変位に
対する影響が少ないため、製造プロセス上での接着剤の
厚みむらの影響を少なくすることができる。
【0092】以上の構成によれば、振動板66を、基台
65の一面65Cを覆う第1の振動板形成層66Aと、
この第1の振動板形成層66Aを介して対応する第1又
は第2の圧力室64A、64Bと対向するように、かつ
幅及び長さが対応する第1又は第2の圧力室64A、6
4Bの幅及び長さよりも小さくなるように当該第1の振
動板形成層66A上に分割形成された第2の振動板形成
層66Bとで形成すると共に、第1の振動板形成層66
Aをヤング率が10×1010〔N/m2〕以下の柔らかい材料を
用いて形成するようにしたことにより、振動板66の変
位を大きくとることができる。かくするにつき、第1及
び第2の圧力室64A、64Bの幅を小さくすることが
でき、第1及び第2の圧力室64A、64Bの配置密度
を高めることができることにより、これら第1又は第2
の圧力室64A、64Bとそれぞれ連通する第1及び第
2のノズル62A、62Bの間隔を小さくすることがで
き、かくしてノズルピツチを容易に微細化し得る「キヤ
リアジエツト」プリンタ装置を実現できる。
【0093】(3)他の実施例 なお上述の第1及び第2実施例においては、本発明をシ
リアル型のプリンタ装置に適用するようにした場合につ
いて述べたが、本発明はこれに限らず、パラレル型のプ
リンタ装置等この他種々のプリンタ装置に適用すること
ができる。
【0094】また上述の第1実施例においては、圧電素
子35を振動板34に接着する際に使用する接着剤を例
えばエポキシ接着剤に金属などの導電性粒子を混合した
ものを適用するようにした場合について述べたが、本発
明はこれに限らず、この他種々の導電性を有する接着剤
を適用することができる。このように接着剤として導電
性を有するものを使用することにより、振動板34を各
圧電素子35に駆動電圧を印加する際の共通電極とする
ことができ、かくして共通電極の端子を設ける場所を節
約することができると共に、端子数を省略させることが
できる。
【0095】さらに上述の第1及び第2実施例において
は、圧力室32、64A、64Bを圧力室形成部40に
設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれ
に限らず、振動板34、66側に圧力室を設けるように
しても良い。この場合振動板34、66を3層以上の構
造とし、最下層の振動板形成層にエツチングなどの方法
を用いて圧力室を形成するようにし、これにノズル3
0、62A、62Bが形成されたプレートを固着するよ
うにしてプリントヘツドを構成すれば良い。なおこの場
合における圧力室形成部は、この振動板の最下層と、オ
リフイスプレート31、63となる。
【0096】さらに上述の第1及び第2実施例において
は、振動板34、66を2層構造とするようにした場合
について述べたが、本発明はこれに限らず、3層以上の
構造とするようにしても良い。このようにすることによ
つて、各ノズル、各圧力室、各圧電素子間の位置合わせ
精度を格段的に向上させることができ、結果的に振動板
を変形させる場合において、負荷として働く振動板の断
面2次モーメント値だけでなく、振動板の変形がなされ
る長さまでも安定に形成することができる。なおこの場
合の圧力室形成部は、各ノズルが形成された層と、各圧
力室を形成する層とで構成される。
【0097】さらに上述の第2実施例においては、その
製造方法として図7(A)〜図8(C)を用いて説明し
た方法を適用するようにした場合について述べたが、本
発明はこれに限らず、例えば図9(A)〜図10(C)
を用いて説明した方法を適用するようにしても良い。
【0098】さらに上述の第1及び第2実施例において
は、各圧力室32、64A、64B内に供給されたイン
ク又は希釈液に対して振動板34、66を介して圧力を
与える加圧手段として圧電素子35、37A、37Bを
用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれ
に限らず、この他種々の加圧手段を適用できる。
【0099】
【発明の効果】上述のように第1及び第2の発明によれ
ば、プリンタ装置において、圧力室内に圧力を与える振
動板を、ヤング率が10×1010〔N/m2〕以下の材料からな
る薄膜状の第1の振動板形成層と、対応する圧力室と第
1の振動板形成層を介して対向するように第1の振動板
形成層上に形成された、圧力室よりも小さい幅及び長さ
を有する単数又は複数の第2の振動板形成層とから構成
するようにしたことにより、振動板を大きく変位させ得
るようにすることができ、かくして圧力室の配置密度を
高めることができる。かくするにつき各圧力室とそれぞ
れ連通するノズルの間隔を狭くすることができ、かくし
てノズルピツチを容易に微細化し得るプリンタ装置を実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例によるシリアル型のインクジエツト
プリント装置の構成を示す略線的な斜視図である。
【図2】第1実施例によるインクジエツトプリント装置
の制御部の構成を示すブロツク図である。
【図3】第1実施例のインクジエツトプリントヘツドの
構成を示す断面図である。
【図4】第1実施例のインクジエツトプリントヘツドの
構成を示す断面図である。
【図5】第1実施例のインクジエツトプリントヘツドの
構成を示す略線図である。
【図6】第1実施例のインクジエツトプリントヘツドの
構成を示す断面図である。
【図7】第1実施例のインクジエツトプリントヘツドの
製造手順を示す断面図である。
【図8】第1実施例のインクジエツトプリントヘツドの
製造手順を示す断面図である。
【図9】第1実施例のインクジエツトプリントヘツドの
他の製造手順を示す断面図である。
【図10】第1実施例のインクジエツトプリントヘツド
の他の製造手順を示す断面図である。
【図11】第2実施例によるシリアル型の「キヤリアジ
エツト」プリント装置の構成を示す略線的な斜視図であ
る。
【図12】第2実施例の「キヤリアジエツト」プリント
ヘツドの構成を示す断面図である。
【図13】第2実施例による「キヤリアジエツト」プリ
ント装置の制御部の構成を示すブロツク図である。
【符号の説明】
1……インクジエツトプリンタ装置、10……インクジ
エツトプリントヘツド、11……制御部、20、71…
…信号処理制御回路、31、63……オリフイスプレー
ト、30、62A、62B……ノズル、32、64A、
64……圧力室、33、65……基台、34、66……
振動板、34A、66A……第1の振動板形成層、34
B、66B……第2の振動板形成層、35、67A、6
7B……圧電素子、S1……入力信号、S3、S10
A、S10B……駆動信号。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一面に凹部でなるインク貯蔵用の圧力室が
    設けられると共に、上記圧力室を外部と連通するノズル
    が設けられた圧力室形成部と、 上記圧力室形成部の上記一面上に上記圧力室を覆うよう
    に積層された振動板と、 対応する上記圧力室内に供給されたインクに対して上記
    振動板を介して圧力を与える加圧手段とを具え、 上記振動板は、 上記圧力室形成部の上記一面上に積層された、ヤング率
    が10×1010〔N/m2〕以下の材料からなる薄膜状の第1の
    振動板形成層と、 対応する上記圧力室と上記第1の振動板形成層を介して
    対向するように上記第1の振動板形成層上に積層形成さ
    れた、当該圧力室よりも小さい幅及び長さを有する単数
    又は複数の第2の振動板形成層とを有することを特徴と
    するプリンタ装置。
  2. 【請求項2】上記振動板の上記第1の振動板形成層は、
    ヤング率が1×1010〔N/m2〕以下の上記材料からなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置。
  3. 【請求項3】上記振動板の上記第1の振動板形成層は、
    樹脂材を用いて形成されたことを特徴とする請求項2に
    記載のプリンタ装置。
  4. 【請求項4】上記振動板の上記第1の振動板形成層は、
    ポリイミドを用いて形成されたことを特徴とする請求項
    3に記載のプリンタ装置。
  5. 【請求項5】上記振動板の上記第2の振動板形成層は、
    金属材からなることを特徴とする請求項1に記載のプリ
    ンタ装置。
  6. 【請求項6】上記金属材は、銅、ニツケル、チタン又は
    ステンレスを主成分とすることを特徴とする請求項5に
    記載のプリンタ装置。
  7. 【請求項7】上記加圧手段は、 上記圧力室形成部の対応する上記圧力室と上記振動板を
    介して対向するように当該振動板に固着された、当該対
    応する圧力室よりも小さい幅及び長さを有する圧電素子
    でなり、 上記振動板の上記第2の振動板形成層は、上記圧電素子
    をマスクとした溶解又はエツチングにより、対応する上
    記圧力室の幅及び長さよりも小さい幅及び長さに形成さ
    れたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置。
  8. 【請求項8】上記加圧手段は、 対応する圧力室よりも小さい幅及び長さを有する圧電素
    子でなり、当該対応する上記圧力室と上記振動板を介し
    て対向するように、上記振動板に導電性の接着剤を用い
    て接着されたことを特徴とする請求項1に記載のプリン
    タ装置。
  9. 【請求項9】上記加圧手段は、 対応する圧力室よりも小さい幅及び長さを有する圧電素
    子でなり、当該対応する上記圧力室と上記振動板を介し
    て対向するように、上記振動板にガリウムを成分として
    有する液体金属接着剤を用いて接着されたことを特徴と
    する請求項1に記載のプリンタ装置。
  10. 【請求項10】上記振動板は、 上記第1の振動板形成層を形成する第1の素材と、上記
    第2の振動板形成層を形成する第2の素材とをそれぞれ
    個別に圧延し、当該圧延された第1及び第2の素材を真
    空雰囲気中において接合することにより形成されたこと
    を特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置。
  11. 【請求項11】一面に凹部でなるインク貯蔵用の第1の
    圧力室及び希釈液貯蔵用の第2の圧力室がそれぞれ設け
    られると共に、互いに異なる第1又は第2の圧力室を外
    部と連通する第1及び第2のノズルが近接して設けられ
    た圧力室形成部と、 上記圧力室形成部の上記一面上に上記第1及び第2の圧
    力室を覆うように積層された振動板と、 上記圧力室形成部の上記第1及び第2の圧力室とそれぞ
    れ対応させて設けられ、対応する上記第1又は第2の圧
    力室内に供給されたインク又は希釈液に対して上記振動
    板を介して圧力を与える複数の加圧手段とを具え、 上記振動板は、 上記圧力室形成部の上記一面上に積層された、ヤング率
    が10×1010〔N/m2〕以下の材料からなる薄膜状の第1の
    振動板形成層と、 上記第1及び第2の圧力室にそれぞれ対応させて、対応
    する上記第1又は第2の圧力室と上記第1の振動板形成
    層を介して対向するように上記第1の振動板形成層上に
    積層形成された、対応する第1又は第2の圧力室よりも
    小さい幅及び長さを有する複数の第2の振動板形成層と
    を有することを特徴とするプリンタ装置。
  12. 【請求項12】上記振動板の上記第1の振動板形成層
    は、ヤング率が1×1010〔N/m2〕以下の上記材料からな
    ることを特徴とする請求項11に記載のプリンタ装置。
  13. 【請求項13】上記振動板の上記第1の振動板形成層
    は、樹脂材を用いて形成されたことを特徴とする請求項
    12に記載のプリンタ装置。
  14. 【請求項14】上記振動板の上記第1の振動板形成層
    は、ポリイミドを用いて形成されたことを特徴とする請
    求項13に記載のプリンタ装置。
  15. 【請求項15】上記振動板の上記第2の振動板形成層
    は、金属材からなることを特徴とする請求項11に記載
    のプリンタ装置。
  16. 【請求項16】上記金属材は、銅、ニツケル、チタン又
    はステンレスを主成分とすることを特徴とする請求項1
    5に記載のプリンタ装置。
  17. 【請求項17】各上記加圧手段は、 上記圧力室形成部の対応する上記第1又は第2の圧力室
    と上記振動板を介して対向するように当該振動板に固着
    された、当該対応する第1又は第2の圧力室よりも小さ
    い幅及び長さを有する圧電素子でなり、 上記振動板の上記第2の振動板形成層は、上記圧電素子
    をマスクとした溶解又はエツチングにより、対応する上
    記第1又は第2の圧力室の幅及び長さよりも小さい幅及
    び長さに形成されたことを特徴とする請求項11に記載
    のプリンタ装置。
  18. 【請求項18】上記加圧手段は、 対応する第1又は第2の圧力室よりも小さい幅及び長さ
    を有する圧電素子でなり、当該対応する第1又は第2の
    圧力室と上記振動板を介して対向するように、上記振動
    板に導電性の接着剤を用いて接着されたことを特徴とす
    る請求項11に記載のプリンタ装置。
  19. 【請求項19】上記加圧手段は、 対応する第1又は第2の圧力室よりも小さい幅及び長さ
    を有する圧電素子でなり、当該対応する第1又は第2の
    圧力室と上記振動板を介して対向するように、上記振動
    板にガリウムを成分として有する液体金属接着剤を用い
    て接着されたことを特徴とする請求項11に記載のプリ
    ンタ装置。
  20. 【請求項20】上記振動板は、上記第1の振動板形成層
    を形成する第1の素材と、上記第2の振動板形成層を形
    成する第2の素材とをそれぞれ個別に圧延し、当該圧延
    された第1及び第2の素材を真空雰囲気中において接合
    することにより形成されたことを特徴とする請求項11
    に記載のプリンタ装置。
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