JPH09266769A - 食肉加工品の製造方法 - Google Patents

食肉加工品の製造方法

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JPH09266769A
JPH09266769A JP8077540A JP7754096A JPH09266769A JP H09266769 A JPH09266769 A JP H09266769A JP 8077540 A JP8077540 A JP 8077540A JP 7754096 A JP7754096 A JP 7754096A JP H09266769 A JPH09266769 A JP H09266769A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】肉らしい歯ごたえ、優れたジューシー感、良好
な喉ごし等食感に優れ、冷凍や加熱によって注入した油
脂や水分がドリップとして流出することがない等歩留ま
りが高い、優れた品質の食肉加工品の製造方法を提供す
る。 【解決手段】大豆蛋白等の熱凝固性蛋白、油脂及び水を
含むエマルジョン組成物を作成し、低温下タンブラーに
よる浸漬等により、鶏肉等の食肉中に該エマルジョン組
成物を含ませた後、低温で保持することにより解乳化さ
せる食肉加工品の製造方法。上記油脂としては、上昇融
点19℃未満、2位に多不飽和脂肪酸の結合するトリグ
リセリドが60%以下であり、SOS(1,3位飽和、
2位オレイルグリセリド)を5%以上含有する油脂、例
えばパームスーパーオレインが好ましい。また、食肉へ
の浸透の点から、上記エマルジョンとしては、O/W型
エマルジョンが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、肉らしい歯ごた
えとともに、優れたジューシー感が付与された食肉加工
品を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、食肉の色調改善、食味改善、
保存性向上等の目的で、食塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン
酸塩、調味料、ゲル化剤、熱凝固性蛋白、油脂等を含む
液を用いて、食肉中にこれを含浸させるかインジェクシ
ョンする方法が行なわれている。特に脂肪分の少ない食
肉に対して粉末油脂や液状油、固形脂等を多めに配合す
ることがあり、食肉にある程度のジューシー感を与える
ことが知られている。
【0003】例えば、蛋白質もしくはその加水分解物と
有機カルボン酸とフィチン酸からなる畜肉加工用ピック
ル液に関するもの(特開昭57−125648号公
報)、食塩、発色剤等を水難溶性物質でコーティングし
たインジェクション用ピックル液に関するもの(特開昭
62−118841号公報)、牛脂や豚脂が本来有する
風味と香りを有する脂肪分を付与し、常温で保管・流通
を可能とする、未精製の牛脂や豚脂、酸化安定油脂を含
む油脂組成物をO/W型乳化してなる畜肉加工用O/W
型エマルジョン組成物に関するもの(特開平3−187
343号公報)、熱凝固性タンパク質、常温で液状の油
脂、及び水よりなるエマルジョンを加熱して蛋白質を変
性させ、これをホモゲナイズ後冷却し、これに未変性熱
凝固性タンパク質とピックル成分を配合してピックルエ
マルジョンを調製し、これを肉塊に注入して加熱し、エ
マルジョンを固定し、霜降り状組織をもつハム製品を製
造する方法に関するもの(特開平4−341159号公
報)、大豆蛋白質を含んだ(油脂を含まない)ピックル
液を原料肉にインジェクションした後、タンブリングし
て、1〜3日間冷凍後、成型・スライスして衣を付与
し、フライする畜肉フライ製品に関するもの(特開平5
−328939号公報)、上記特開平3−187343
号公報の改良発明で、油脂組成物からなる油相に対し、
アルギン酸ソーダ、塩類及び天然多糖類からなる水相部
を加えて乳化した、畜肉加工用O/W型エマルジョン組
成物に関するもの(特開平6−62736号公報)、鶏
肉塊に、蛋白質と脂肪を乳化して得られるO/W型エマ
ルジョンを注入し、これに肉接着剤をまぶし、接着成型
して冷凍し、所定の厚さに切断して肉片とする冷凍鶏肉
製品の製造法に関するもの(特開平6−245736号
公報)が知られている。
【0004】しかし油脂やピックル液を食肉の組織内に
含有させる態様は、油脂組成物の種類、添加副材料の種
類等原料成分や、また注入・製造条件や流通過程の相違
により、ジューシー感の発現に差異があり、また他の要
求される物性、例えば肉らしい歯ごたえ等の食感と両立
させることは実際上容易でない。本発明者の知見によれ
ば、従来もっともよくジューシー感が発現できたのは、
ピックル液と油脂を分散液のまま(乳化せずに)肉中へ
強制注入(インジェクション)する場合であるが、得ら
れる製品は、肉らしい歯ごたえに乏しい欠点がある他、
冷凍や加熱によって、注入した油脂や水分がドリップと
して肉外へ流出しやすく、歩留りの低下や肉原料によっ
てはボソボソした却って食感の低下がおこるという問題
がある。熱凝固性蛋白を用いて油脂を油中水型エマルジ
ョンにして強制注入(インジェクション)すると、分散
液で注入する場合に比べて、肉らしい歯ごたえが改善さ
れる反面、ジューシー感はかなり低下するという問題が
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、肉らしい
歯ごたえと、優れたジューシ一感の両立を主な課題とし
て種々検討を行い、熱凝固性蛋白を用いたO/W型エマ
ルジョンを用いる場合のジューシー感の低下の原因を探
る研究を行う中で、熱凝固性蛋白によるエマルジョンの
安定性の向上に抗して解乳化させるのがよいこと、解乳
化のためには、油脂の選択と油脂の種類に応じた低温処
理が重要であることを見出し、この発明に到達した。
【0006】因みに、上記の先行技術には、「本発明
は、肉塊中に熱凝固性タンパク質と常温で液状の油脂と
のエマルジョンが霜降り状に分散され、かつ熱凝固性タ
ンパク質が加熱凝固されていて、前記エマルジョンが肉
塊中で固定されていることよりなる霜降り状組織をもつ
ハム製品に関する。」(特開平4−341159号公報
第2欄2〜6行)、「脂肪を注入することによって鶏肉
の風味を改善しそれを蛋白質と水中油型エマルジョンに
することによって、冷凍時のエマルジョンの破壊を防止
し、脂肪の流出を防止することができる。」(特開平6
−245736号公報第2欄20〜23行)と記載され
ているように、熱凝固性蛋白によるエマルジョンの安定
性の向上に抗して解乳化させると、肉らしい歯ごたえ
と、優れたジューシ一感が得られるということは知られ
ていなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ちこの発明は、食肉中
に熱凝固性蛋白、油脂及び水を含むO/W型(水中油
型)エマルジョンを含ませた後、解乳化させることを特
徴とする食肉加工品の製造方法である。そして、解乳化
のためには、2位に多不飽和脂肪酸(リノール酸、リノ
レン酸など、二重結合を2以上有する脂肪酸)の結合す
るトリグリセリドが60%以下の油脂及び/又は上昇融
点19℃未満の油脂を用いることが好ましい。また、
1,3位飽和2位オレイルグリセリド(以下「SOS」
という)を5%以上含有する油脂であればより好まし
い。そして、解乳化については、これらの油脂を用いて
調製したO/W型エマルジョンを解乳化が生じるまで低
温で保持するのが好ましい。以下、この発明を詳細に説
明する。
【0008】この発明において、食肉は、牛肉、豚肉、
馬肉、めん羊肉、山羊肉等の畜肉及び家兎、家禽肉の何
れであってもよいが、特に、家禽肉等油脂含量が少なく
パサついて喉とおりが悪い食肉に適用すると、良好なジ
ューシー感を発現させることができる。また、この発明
における食肉加工品とは、食肉及び食肉を主材とした製
品を意味する。
【0009】この発明において、熱凝固性蛋白は、加熱
により凝固する性質を有する蛋白であればよく、大豆蛋
白や卵白が特に好ましい。そして、熱凝固性蛋白を欠く
と、油脂と水だけではエマルジョンを形成せず、浸漬に
よっては肉中に含ませることができない。また、熱凝固
性蛋白を欠くと、肉らしい歯ごたえに乏しく、加熱や凍
結でドリップが生じ、歩留りが悪く、結果的に満足でき
るジューシー感を付与しがたい。しかし、熱凝固性蛋白
の使用は、加熱及び低温での解乳化を抑制するので解乳
化作業が必要となる。
【0010】この発明において、油脂は、O/W型エマ
ルジョンとして用いた後、解乳化により食肉にジューシ
ー感を付与できるものであればどのような油脂をも使用
することができる。すなわち、天然物の単独油脂、単独
油脂のエステル交換や分別等による加工油脂、又はそれ
らを混合した調合油脂が使用できる。
【0011】しかし、その中でも、2位に多不飽和脂防
酸の結合するトリグリセリドが60%以下の油脂が60
%を越えるものよりも解乳化の点から好ましい。すなわ
ち、その2位に、リノール酸、リノレン酸等構成脂肪酸
中に2以上の二重結合を含む多不飽和脂防酸が60%よ
り多い油脂、例えば大豆油(70〜80%)、サフラワ
ー油(86%)、トウモロコシ油(75〜85%)、綿
実油(65〜75%)などは、冷凍温度域のような低温
に保持して油脂が固化しても、大きい結晶に成長しがた
いためか、蛋白の解乳化防止作用に抗して解乳化が困難
である。ナタネ油程度の、2位に結合する多不飽和脂肪
酸の量が概ね40〜50%程度の油脂なら、長時間例え
ば20日間以上冷凍温度におくことにより解乳化をおこ
すことができるが、多不飽和脂肪酸含量40%未満のも
のがより好ましい。 これらの中でも、例えば、オリー
プ油(10%)、ハイオレイックサフラワー油(15
%)、ハイオレイックヒマワリ油(15%)のようにト
リオレインの多く含まれるトリグリセリド組成のものは
冷凍すれば比較的短時間の保持で結晶化しやすい。ただ
し、これらは一般に高価な油脂であり、商業上の利用の
点からはあまり有利とはいえない。また、これらの油脂
を用いたエマルジョンは、0℃〜数℃程度の温度での保
持で解乳化が生じ難いので、冷蔵設備しかもたない生産
者には適さない。
【0012】また、使用する油脂としては上昇融点19
℃未満のものが好ましい。上昇融点が、例えば、牛脂
(融点45℃)、豚脂(融点38℃)、パーム油(融点
35℃)、パームオレイン(パーム油を一段分別した液
体側画分で融点20℃)、ヤシ油(融点24℃)、ヤシ
硬化油(融点32℃)のように、19℃以上の油脂を用
いると、衛生上の観点からせいぜい15℃以下、好まし
くは0℃〜数℃という低温で行われることが多い食肉中
へのエマルジョンの浸透が困難であり、結果的に良好な
ジューシー感を付与しがたい場合が多い。特に30℃程
度以上の高融点の油脂であると、たとえインジェクショ
ンにより肉の内部へ強制注入しても調理後常温で放置さ
れ冷えた状態で食する場合、低融点の油脂の場合に比べ
てジューシー感に劣る。
【0013】上昇融点は、試料油脂を毛細管ガラス管中
に仕込み、水中で当該温度より約15℃低い温度から昇
温させて、軟化して流動し始める温度を測定するもの
で、この方法による測定下限は、水が凍らない範囲から
昇温を始める結果、融点10℃程度である。上昇融点が
低くて測定できないものは、この発明における「上昇融
点19℃未満」に該当する。
【0014】上記のように、融点10℃以下の油脂につ
いては、厳密な意味での上昇融点は測定できない。しか
し、このような場合、DSC(示差走査熱量計)での油
脂の結晶吸熱ピークをとって融点と称する場合がある。
例えば、DSCによると、上記ハイオレイックヒマワリ
油は−0.5℃、ナタネ油は−14.8℃、、サフラワ
ー油は−13.5℃である。係るDSCでの融点が−1
5℃未満の低温の油脂、例えば−27℃の大豆油の場合
は、冷凍により解乳化を図っても、エマルジョン中の油
脂の結晶化が極めて遅く、解乳化による効果が小さい。
【0015】単独油脂として最も好ましい油脂として、
パームスーパーオレインを例示することができる。これ
は、通常、前述のパームオレイン(パーム軟質油とも称
され、沃素価55〜60程度)をさらに分別(即ちパー
ム油を2段以上の多段で分別)した液体側画分として得
られる、沃素価60〜75程度、融点10〜13℃、2
位に多不飽和脂肪酸の結合するトリグリセリドが20〜
30%、酸価0.1以下、AOM35時間以上の油脂で
ある。このパームスーパーオレインのSOS(炭素数1
6〜18の脂肪酸により構成されるP0P/P0St/
St0St等のグリセリド、P;パルミチン酸,O;オ
レイン酸、St;ステアリン酸)は、JAOCS,Vo
l62,No2(1985)p382の表7によると、
24.3〜29.6%であり、「パームエース」(株式
会社不二製油製)では11%程度である。なお、油化学
便覧35〜36頁によると、SOSは大豆油中1.1
%、綿実油中4.5%、豚脂中4.0%含まれているに
過ぎない。また、SOSの高い油脂、例えば、カカオ脂
(SOS74%),イリッペ脂など公知のテンパリング
型ハードバターやパーム油(SOS30%程度)を、S
OSをほとんど含まない菜種油などの液体油と混合調合
して、パームスーパーオレインと同様SOSを5%以
上、好ましくはl0〜25%含有する油脂を調製するこ
とができる。SOSグリセリドが5%以上含まれている
油脂と熱凝固性蛋白とを用いたO/W型エマルジョン
は、冷蔵温度乃至数℃の温度でも蛋白の解乳化防止作用
に抗して容易に解乳化をおこさせることができる。また
この成分を含む油脂を内包させた食肉製品は、この成分
を含まない液体油脂が喉にまとわりつくような喉ごしの
食感があるのに対して、喉ごしの点でも優れている。た
だしSOSは多過ぎると、上昇融点が高くなり、前述の
欠点が生じうるので多過ぎないようにすることが望まし
い。
【0016】この発明においては、熱凝固性蛋白、油脂
及び水を含むO/W型エマルジョンを食肉中に含ませ
る。O/W型エマルジョンの組成としては、水50〜9
0重量部(以下、部及び%は重量基準を意味する)、油
脂10〜50部(好ましくは20〜40部)、熱凝固性
蛋白1〜10部の範囲が適当である。また、所望によ
り、エマルジョン中には、熱凝固性蛋白の他、公知の添
加剤、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪
酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレング
リコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、レシチン等の乳化剤、公知のピックル液成分、例え
ば、食塩、砂糖、硝酸塩、亜硝酸塩、その他の調味料、
香辛料等を添加することができる。
【0017】肉中にエマルジョンを含ませるには、漬け
込み法(長時間浸漬槽などに静置する方法、混合による
方法、マッサージ法、タンブリング法を含む)、強制注
入(インジェクション)法のいずれでもよいが、家禽肉
等油脂含量の少ない食肉は概して小さい塊が多く、係る
家禽肉等小塊肉や肉片には前者の方法が適している。他
方、後者の方法は、装置が大掛かりになる傾向がある
他、肉中での分散の均一性確保のためインジェクション
の後もマッサージ乃至タンブリングを施した方がよい場
合が多い。
【0018】次に、エマルジョンとしてはO/W型エマ
ルジョンがよい。エマルジョンがW/O型(油中水型)
エマルジョンであると、漬け込み法による肉の内部への
浸透が悪い他、強制注入法による場合であっても、O/
W型エマルジョンに比べて概してジューシー感がかなり
低下する。エマルジョンの調製は公知の方法で行うこと
ができ、例えば、5℃〜20℃の水に熱凝固性蛋白を溶
解させた後、所定量の油脂を撹拌しながら徐々に加えて
行う。ここで用いられる撹拌機としては、プロペラ式撹
拌機やホモミキサーなどがあげられるが、均一なエマル
ジョンを調製するためには高速回転(3000rpm以
上)の乳化機を使用することが望ましい。また、必要に
応じて、リン酸塩、調味料、香辛料などをO/W型エマ
ルジョン組成物を調製した後に添加することも可能であ
る。
【0019】この発明において解乳化とは、O/W型エ
マルジョンとして乳化している油滴中の油脂が結晶化し
凝集し水と油が分離した状態となり、乳化状態が壊れ
る、又は壊す現象をいう。そして、解乳化は加熱、冷
却、冷凍、解凍によって促進されるが、特に、冷却・凍
結、油脂の性状及び熱凝固性蛋白の組成による影響が大
きい。解乳化は低温で保持することにより行うのが好ま
しい。解乳化させるのに要する冷却温度及び時間は、既
述のとおり油脂の種類により異なり、例えば、前記パー
ムスーパーオレインのエマルジョンでは5℃で数時間お
けば解乳化するが、菜種油のエマルジョンでは解乳化に
−25℃で1週間程度必要である。必要なら、冷凍状態
の食肉切片を顕微鏡観察により解乳化の進行を確認、制
御することができる。
【0020】解乳化のために、低温に冷却する対象は、
0/W型エマルジョンを含ませた生の状態の製品そのま
までもよいし、一旦予備フライした後の製品であっても
よい。すなわち、業務用としてはセントラルキッチンな
どで集中調理されるので生の状態でもよいが、家庭用小
売り商品としては予備フライしてある方がレンジ、オー
プン等で温めるだけで食することができるので好まれる
形態である。解乳化のために食品に対して行なわれれる
冷却・冷凍処理は、通常の冷蔵庫の他、例えばスパイラ
ルフリーザー等のエアブラスト方式の急速冷凍装置、ス
チールベルトフリーザー等のエアブラスト、コンタク卜
方式併用型の急速冷凍装置、ショックフリーザー等の冷
凍装置を用いることができるが、速やかに目標の温度ま
で冷却できるものであれば特に限定されない。
【0021】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を掲げてこの発明
を更に具体的に説明するが、この発明の範囲はこれらの
例示に限定されるものではない。
【0022】実施例1 20℃の水に対し、熱凝固性蛋白として粉末状大豆蛋白
「サンラバー50」(不二製油株式会社製)を溶解さ
せ、「T.Kホモミキサー」(特殊機化工業株式会社
製)を用い5000rpmで撹拌しながら、その中に油
脂として上昇融点13℃以下、2位多不飽和脂肪酸含量
25%、SOS11%のパームスーパーオレイン「パー
ムエース」(不二製油株式会社製)を徐々に加え、ポリ
リン酸ナトリウム、食塩を最後に加えて、その配合割合
が次のA〜Cからなる3種類のO/W型エマルジョン組
成物を調製した。 配合A:水88部、大豆蛋白5部、油脂5部、ポリリン
酸ナトリウム1部、食塩1部 配合B:水78部、大豆蛋白5部、油脂15部、ポリリ
ン酸ナトリウム1部、食塩1部 配合C:水63部、大豆蛋白5部、油脂30部、ポリリ
ン酸ナトリウム1部、食塩1部 次に、1片の重量を20〜30gにカッティングしたブ
ロイラーのムネ肉1000gに対して上記3種類のO/
W型エマルジョン組成物300gを加えて、タンブラー
(ヒガシモトキカイ株式会社製)で浸漬を行なった。こ
のときの条件は5℃で12rpm、3時間であった。上
記で得られた食肉加工品の重量は、配合A〜Cとも13
00gであった。これらに市販されている唐揚げ粉(理
研ビタミン株式会社製)をまぶして、170℃で3分間
フライした。これらを5℃の冷蔵庫で一夜保存するか、
又は、ショックフリーザーで−25℃に急速凍結し一晩
凍結保存し、解乳化が生じていることを確認した後、い
ずれもオーブン(250℃、8分間)で再加熱し官能評
価(ジューシー感)を行った。官能評価(ジューシー
感)結果を次の5段階評価で表す。 評価1:非常にぱさつく 評価2:ややぱさつく 評価3:ややジューシー 評価4:かなりジューシー 評価5:非常にジューシー 官能評価結果は、5℃で一夜保存後の配合A〜Cのもの
は、それぞれ評価3、評価4、評価5であった。また、
−25℃で一夜保存後の配合A〜Cのものも、それぞれ
評価3、評価4、評価5であった。
【0023】比較例1 大豆蛋白等熱凝固性蛋白を含まない組成として、水68
部、油脂30部、ポリリン酸ナトリウム1部、食塩1部
を配合したものを使用する他は実施例1と同様に行っ
た。しかし、撹拌によって懸濁液とはなるものの、エマ
ルジョンが形成されず、浸漬によっては肉中に浸透せ
ず、官能評価結果は、5℃で一夜保存後のもの及び−2
5℃で一夜保存後のもの、いずれも評価1であった。
【0024】比較例2 冷却による解乳化を行わない他は実施例1と同様に行っ
た。いずれのものもエマルジョンが解乳化をせず乳化状
態のまま含まれているので、ジューシーさが感じられ
ず、官能評価結果は、すべて評価2であった。
【0025】実施例2 油脂としてSOSをほとんど含まないハイオレイックヒ
マワリ油(上昇融点は測定できないが、DSCで−0.
5℃、2位多不飽和脂肪酸含量15%)を用いる他は実
施例1と同様に行った。5℃で一夜保存後の配合A〜C
のものは、いずれも解乳化が不十分であり、官能評価結
果はいずれも評価2であったが、−25℃で一夜保存後
の配合A〜Cのものは解乳化が進み、それぞれ評価3、
評価4、評価5であった。なお、タンブリング後の歩留
まりは、配合A〜Cのいずれのものも1300gであっ
た。
【0026】実施例3 油脂として軟質パーム油を再分別して調製したパームダ
ブルオレイン(上昇融点17℃、2位不飽和脂肪酸含量
19%、SOS30%)を用いる他は実施例1と同様に
行った。タンブリング後の歩留まりは、配合Aのものが
1300g、配合Bのものが1250g、配合Cのもの
が1200gであり、油脂含量が高くなるにつれて食肉
中へのO/W型エマルジョンの浸透が不十分であった。
官能評価結果は、5℃で一夜保存後の配合A〜Cのもの
及び−25℃で一夜保存後の配合A〜Cのものすべて評
価3であった。
【0027】実施例4 油脂として軟質パーム油(上昇融点20℃、2位不飽和
脂肪酸含量14%、SOS30%)を用いる他は実施例
1と同様に行った。タンブリング後の歩留まりは、配合
Aのものが1200g、配合B及びCのものが共に11
00gであり、食肉中へのO/W型エマルジョンの浸透
が十分でなく、解乳化は生じているものの、官能評価結
果は、5℃で一夜保存後の配合A〜Cのものは、それぞ
れ評価3、評価2、評価1であり、−25℃で一夜保存
後の配合A〜Cのものも、それぞれ評価3、評価2、評
価1であり、上記パームスーパーオレイン「パームエー
ス」(不二製油株式会社製)やハイオレイックヒマワリ
油の場合と比べるとジューシー感に劣っていた。
【0028】実施例5 油脂としてトウモロコシ油(上昇融点は測定できない
が、DSCで−13℃、2位多不飽和脂肪酸含量80
%、SOS2%)を用いる他は実施例1と同様に行っ
た。5℃で一夜保存後の配合A〜Cのものは、いずれも
解乳化が不十分であり、官能評価結果はいずれも評価2
であったが、−25℃で一夜保存後の配合A〜Cのもの
は解乳化が進み、いずれも評価3であった。なお、タン
ブリング後の歩留まりは、配合A〜Cのいずれのものも
1300gであった。
【0029】実施例6 油脂として大豆油(上昇融点は測定できないが、DSC
で−27℃、2位多不飽和脂肪酸含量70〜80%、S
OS1.1%)と菜種油(上昇融点は測定できないが、
DSCで−12〜0℃、2位多不飽和脂肪酸含量45〜
65%、SOSは殆どない)を等重量部混合調合した油
脂(上昇融点は測定できないが、DSCで−20℃、2
位多不飽和脂肪酸含量65%、SOS0.6%)を用い
る他は実施例1と同様に行った。5℃で一夜保存後の配
合A〜Cのものは、いずれも解乳化が不十分であり、官
能評価結果はいずれも評価2であったが、−25℃で一
夜保存後の配合A〜Cのものは解乳化が進み、いずれも
評価3であった。なお、タンブリング後の歩留まりは、
配合A〜Cのいずれのものも1300gであった。
【0030】比較例3 油脂として上記の大豆油を用いる他は実施例1と同様に
行った。5℃で一夜保存後の配合A〜Cのもの、及び−
25℃で一夜保存後の配合A〜Cのものとも、解乳化が
観察されず、官能評価結果はすべての場合で評価2であ
った。なお、タンブリング後の歩留まりは、配合A〜C
のいずれのものも1300gであった。
【0031】比較例4 油脂としてヤシ硬化油(上昇融点32℃、2位多不飽和
脂肪酸殆どなし、SOS殆どなし)を用いる他は実施例
1と同様に行った。タンブリング後の歩留まりは、配合
A〜Cのものいずれも1050gであり、食肉中へのO
/W型エマルジョンの浸透が少なく、一応解乳化は生じ
ているものの、官能評価結果は、5℃で一夜保存後の配
合A〜Cのもの、−25℃で一夜保存後の配合A〜Cの
もの、すべて評価1であった。
【0032】実施例7 O/W型エマルジョンの注入法として、タンブラーで浸
漬を行なうことに代えて強制注入(インジェクション)
を行う他は比較例4と同様にヤシ硬化油を使用して行っ
た。5℃で一夜保存後、解乳化は生じているものの、官
能評価結果は配合A〜Cのものについて、揚げたて時は
すべて評価3であったが、少し冷めると極端にジューシ
ーさが失われ、すべて評価1であった。
【0033】
【発明の効果】本発明によると、肉らしい歯ごたえ、優
れたジューシー感、良好な喉ごし等食感に優れ、冷凍や
加熱によって注入した油脂や水分がドリップとして流出
することがない等歩留まりが高い、優れた品質の食肉加
工品の製造方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川俣 俊正 茨城県筑波郡谷和原村絹の台4丁目3番地 不二製油株式会社つくば研究開発センタ ー内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食肉中に熱凝固性蛋白、油脂及び水を含
    むO/W型エマルジョンを含ませた後、解乳化させるこ
    とを特徴とする食肉加工品の製造方法。
  2. 【請求項2】 油脂が、2位に多不飽和脂肪酸の結合す
    るトリグリセリドが60%以下である請求項1記載の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 油脂が、上昇融点19℃未満である請求
    項1又は請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 油脂が、SOS(1,3位飽和、2位オ
    レイルグリセリド)を5%以上含有する請求項1乃至請
    求項3のいずれか記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 低温で保持することにより解乳化させる
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載
    の製造方法。
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