JPH09265610A - 磁気記録装置用クリーニング媒体 - Google Patents

磁気記録装置用クリーニング媒体

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JPH09265610A
JPH09265610A JP7598796A JP7598796A JPH09265610A JP H09265610 A JPH09265610 A JP H09265610A JP 7598796 A JP7598796 A JP 7598796A JP 7598796 A JP7598796 A JP 7598796A JP H09265610 A JPH09265610 A JP H09265610A
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JP
Japan
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cleaning
layer
magnetic
powder
lower coating
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JP7598796A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Takano
博昭 高野
Hiroo Inami
博男 稲波
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸着テープとメタルテープとの使用で磁気ヘ
ッドの形状が変化しても、強度的に等方性で、適度なし
なやかさを持たせて、良好なクリーニング性と磁気ヘッ
ドの傷、過度の磨耗を防止する。 【解決手段】 非磁性支持体上に、主として非磁性無機
粉末と結合剤とを含む下層塗布層を設け、その上に少な
くとも強磁性粉末による無機粉末と結合剤とを含むクリ
ーニング層を設けてなり、このクリーニング層の厚みが
0.05〜1.0μm、下層塗布層の厚みが0.2〜
5.0μm、非磁性支持体の厚みが2.0〜10μm、
クリーニング媒体の総厚みが4.0〜14μmである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーディオ、ビデ
オ、コンピューター用磁気記録再生装置に使用されてい
る磁気ヘッドもしくは走行系の清浄に利用されるクリー
ニングテープ等の磁気記録装置用クリーニング媒体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にビデオ用、オーディオ用、コンピ
ューター用の磁気記録装置の記録・再生は、磁気ヘッド
と磁気テープ等の磁気メディアをお互いに接触させつつ
摺動して行われる。この時、磁気ヘッドの表面に磁気テ
ープの削れ粉や装置の周辺の塵埃が付着すると再生出力
が低くなり、さらには出力が全く得られなくなる。この
ように低下した再生出力を回復するために、磁気ヘッド
の表面に付着した汚れをクリーニングして再生出力を復
元するクリーニングテープ等のクリーニング媒体が用い
られる。
【0003】一方、磁気記録は年々高密度化が進んでお
り、磁気ヘッド先端と磁気テープとの接触の様子を良好
にしてやらなければ、十分な記録再生ができないことが
多くなってきた。いわゆる、ヘッド当たりを良好に保つ
ために、クリーニングテープは磁気ヘッドの汚れを取る
ばかりでなく、ある程度ヘッドの形状を整えてやること
も必要になってきている。特に、近年は最短記録波長が
1μm以下となるような高密度記録を行う磁気記録再生
装置の磁気ヘッドも使用され、この磁気ヘッドにおける
ギャップ長は0.4μm以下であり、僅かなヘッドの汚
れも記録再生性能に支障を来すことになる。
【0004】また、磁気ヘッドの材質も従来は表面硬度
が高いフェライトが主流であったが、高密度化を進める
ために、センダスト等の金属ヘッドが用いられるように
なってきた。金属ヘッドはフェライトヘッドに較べて、
柔らかいためヘッドの摩耗も多くなるので、クリーニン
グテープによるヘッド摩耗量も小さいことが重要にな
る。
【0005】また、近年、Hi−8やDVCのように、
蒸着テープ(MEテープ)とメタルテープ(MPテー
プ)との両方が使用できる磁気記録装置が登場してきて
いる。蒸着テープは剛性の高い金属薄膜が磁気ヘッドと
接触するので、この磁気ヘッド先端が鋭くなっていない
と良好な接触状態すなわち記録再生特性が得られにく
い。さらに、蒸着テープは研磨剤を含まないので、その
接触における磁気ヘッドの摩耗が少なく、磁気ヘッドと
のなじみ性が低いものである。一方、メタルテープはそ
の磁性層に磁性粉末が結合剤中に含まれているので、磁
気ヘッドと柔らかく接触することになり、ヘッド先端の
形状によってそれほどテープとのヘッド当たりが変化す
ることはないし、また、摩耗力を有しているので磁気ヘ
ッドとのなじみも良好である。
【0006】それゆえ、蒸着テープを走行させた後の磁
気ヘッドに対してメタルテープを走行させても、ヘッド
当たりの変化はそれほど見られないが、その逆に、メタ
ルテープを走行させた後に蒸着テープを走行させると、
ヘッド当たりが不調になる場合がある。
【0007】磁気ヘッドの研磨に使用する研磨テープの
先行技術としては、例えば特開昭62−92205号に
は、非磁性支持体上に、非磁性粉末を含む中間層と、非
磁性研磨剤を含む研磨層を順に積層した研磨テープが開
示されている。この研磨テープは、2層構成を採用し、
中間層の表面性を粗くする一方、上層研磨層の研磨剤粒
子径を細かくすることにより、研磨力を維持しつつヘッ
ド傷の発生を防ぐようにしているが、この研磨テープは
磁気ヘッドの仕上げ研磨用であって、表面粗さが0.0
3〜0.3μmであることからも、ヘッド摩耗が多くク
リーニングとしての適度の研磨を行うことが困難で、ク
リーニングテープとしての用途には不適当である。上記
と同様の磁気ヘッドの研磨テープが、特開昭62−94
270号、特開昭62−92205号にも開示されてい
る。これらも2層構成の研磨層を有するが、適度の研磨
によって過度の磁気ヘッド磨耗を生起することなく良好
なクリーニングを行うことは困難で、クリーニング媒体
としては適していないものである。
【0008】また、磁気ヘッドのクリーニングテープと
しては、特開平6−139531号には、可撓性支持体
上に2つのクリーニング層を設けた2層構成とし、上層
クリーニング層のヤング率を下層クリーニング層のヤン
グ率より大きくして、良好なクリーニング性と少ないヘ
ッド摩耗を両立させようとした技術が開示されている。
しかし、この先行例のクリーニングテープでは、2つの
クリーニング層共に強磁性粉末を含む構成であり、テー
プ全体としてのヤング率の異方性が顕著に発生して、メ
タルテープと蒸着テープを使用した後の磁気ヘッドの形
状が異なる際にそれぞれの形状に対し良好なクリーニン
グ性を発揮するのが困難で、特に、クリーニング後の先
端形状が鋭くならず、蒸着テープとの良好なヘッド当た
りをもたらすことはできず、メタルテープと蒸着テープ
との互換性の回復が不十分であるという問題を有してい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかして、磁気ヘッド
に形状差があっても、クリーニング媒体の使用によって
磁気ヘッドの汚れを除去すると共に、磁気ヘッド先端を
鋭く整えることができれば蒸着テープのヘッド当たりを
良好にすることが可能であり、メタルテープと蒸着テー
プとの互換性の回復が十分に図れることが判明した。
【0010】そこで、本発明は高密度磁気記録再生装置
等の磁気ヘッドに対するクリーニングを行うについて、
その形状に沿って摺接してヘッド摩耗が少なくて金属ヘ
ッドに使用可能であると共に、磁気ヘッドの形状によら
ずに良好なクリーニングが行え、かつクリーニング後の
磁気ヘッド先端に傷を付けず鋭く整えることができて蒸
着テープとメタルテープとのヘッド当たり互換性を良好
にした磁気記録装置用クリーニング媒体を提供せんとす
るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の磁気記録装置用クリーニング媒体は、非磁性支持体
上に、主として非磁性無機粉末と結合剤とを含む下層塗
布層を設け、その上に少なくとも強磁性粉末による無機
粉末と結合剤とを含むクリーニング層を設けてなり、前
記クリーニング層の厚みが0.05〜1.0μmで、前
記下層塗布層の厚みが0.2〜5.0μmで、前記非磁
性支持体の厚みが2.0〜10μmで、かつクリーニン
グ媒体の総厚みが4.0〜14μmであることを特徴と
する。
【0012】前記非磁性支持体は、ポリエチレンナフタ
レートまたはアラミド樹脂で構成したものが好適であ
る。また、前記クリーニング層は、下層塗布層を塗布形
成した後に湿潤状態にある内に、その上に塗布形成する
ウェットオンウェット塗布方式で形成するのが好適であ
る。
【0013】
【発明の効果】上記のような本発明によれば、非磁性支
持体上に、主として非磁性無機粉末と結合剤とを含む下
層塗布層を設け、その上に少なくとも強磁性粉末による
無機粉末と結合剤とを含むクリーニング層を設けてな
り、クリーニング層の厚みが0.05〜1.0μm、下
層塗布層の厚みが0.2〜5.0μm、非磁性支持体の
厚みが2.0〜10μm、クリーニング媒体の総厚みが
4.0〜14μmとなるように、それぞれの厚みを設定
したことにより、このようなクリーニング媒体によっ
て、そのクリーニング層を磁気ヘッドの表面に接触摺動
させてクリーニングを行うと、強度的に等方性であっ
て、全体的に適度なしなやかさにより、磁気ヘッドの形
状が異なっても良好なクリーニング効果が得られる。
【0014】つまり、強磁性粉末を含むクリーニング層
を薄くすることによって、通常の針状の強磁性粉末が長
手方向に配向して、長手方向の強度が高くなりすぎるの
を抑え、非磁性粉末を含む下層塗布層を比較的厚くする
ことにより非磁性粉末は配向しないので強度的に等方性
であり、その結果、幅方向ヤング率も高くなり、長手方
向ヤング率との差が小さくなる。このような構成にする
ことにより、クリーニング媒体のクリーニング層表面性
状および磁気ヘッドに対する接触状態が良好となり、磁
気ヘッドの磨耗は少ない反面、磁気ヘッドの汚れを短時
間で除去するクリーニング性に富むと共に、メタルテー
プと蒸着テープで磁気ヘッドの形状が異なっても等方性
でかつ全厚を薄くすることにより適度なしなやかさを有
して、磁気ヘッドに傷を与えることなく、磁気ヘッドの
先端を鋭く整えて蒸着テープに対するヘッド当たりを得
ることができ、メタルテープの使用後におけるクリーニ
ング処理で蒸着テープを使用した際の再生出力を高めて
テープ互換性を確保することができる。
【0015】特に、非磁性無機粉末を含む下層塗布層を
設けたことで、これが強磁性粉末を含む磁性層であると
通常の針状の強磁性粉末は長手方向に配向し、長手方向
にヤング率が大きく、幅方向にヤング率が小さくなるの
に対して、非磁性粉末は配向しないので強度的に等方性
であり、その結果幅方向ヤング率も大きくなり、前述の
ような長手方向と幅方向とのヤング率の比が得られる。
また、クリーニング層のヤング率は強磁性粉末を含むこ
とで長手方向に比較的強い異方性を持つことになるが、
非常に薄いことによりその影響は小さく、良好なクリー
ニング力が得られるもので、磁気ヘッドの磨耗、傷付き
が少ない状態で、良好なクリーニング性能と、テープ互
換性が確保できるものである。
【0016】さらに、前記非磁性支持体を、ポリエチレ
ンナフタレートまたはアラミド樹脂で構成すると、全厚
を薄くしても高い強度が保てるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。本発明のクリーニング媒体の基本構造
は、非磁性で可撓性の支持体上に、非磁性無機粉末と結
合剤とを主成分とする下層塗布層と、その上に少なくと
も強磁性粉末による無機粉末と結合剤とを含むクリーニ
ング層を設けてなる。
【0018】前記クリーニング層の厚みは、0.05〜
1.0μmと薄く形成され、下層塗布層の厚みは0.2
〜5.0μm、支持体の厚みが2.0〜10μmで、ク
リーニング媒体(クリーニングテープ)としての全体の
厚みは4.0〜15μmである。なお、前記クリーニン
グ層の中心線平均表面粗さRaは1.0〜8.0nmが
好適であり、支持体表面の中心線平均表面粗さRaは
0.5〜7.0nmが好ましい。前記非磁性支持体の材
質は、ポリエチレンナフタレートまたはアラミド樹脂が
望ましい。
【0019】また、上記クリーニング層の磁気特性とし
ては、抗磁力Hcが500〜3000Oe、外部磁場1
0kOeで測定した磁化曲線における角型比(残留磁束
密度Br/最大磁束密度Bm)が0.6〜0.98が好
適である。
【0020】前記クリーニング層の形成は、前記下層塗
布層を支持体上に塗布形成した後、この下層塗布層がま
だ湿潤状態にある内に、その上にクリーニング層を塗布
するいわゆるウェットオンウェット塗布方式(同時又は
逐次湿潤塗布方式)で塗布されている。
【0021】次に下層塗布層の詳細な内容について説明
する。まず、本発明の下層塗布層に用いられる無機粉末
は、非磁性粉末であり、金属酸化物、金属炭酸塩、金属
硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機
質化合物から選択することができる。
【0022】無機化合物としては、例えば、α化率90
%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、
θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウ
ム、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、
チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化ス
ズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコ
ニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸
カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単
独または組合せで使用される。特に好ましいのは、入手
の容易さ、コスト、粒度分布の小ささ、機能付与の手段
が多いことなどから、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化
鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは二酸化チタ
ン、α酸化鉄である。
【0023】これら非磁性粉末の粒子サイズは0.00
5〜2μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異
なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末で
も粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもでき
る。とりわけ好ましいのは非磁性粉末の粒子サイズは
0.01〜0.2μmである。タップ密度は0.05〜
2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlであ
る。非磁性粉末の含水率は0.1〜5重量%、好ましく
は0.2〜3重量%、更に好ましくは0.3〜1.5重
量%である。非磁性粉末のpHは2〜11であるが、p
Hは5〜10の間が特に好ましい。非磁性粉末の比表面
積は1〜100m2 /g、好ましくは5〜70m2
g、更に好ましくは10〜65m2 /gである。非磁性
粉末の結晶子サイズは0.004〜1μmが好ましく、
0.04〜0.1μmが更に好ましい。DBPを用いた
吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜
80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/
100gである。比重は1〜12、好ましくは3〜6で
ある。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも
良いが、粒状非磁性無機粉末の場合には平均粒径が0.
08μm以下のものを無機粉末全体に対して50重量%
以上含むのが望ましく、また、針状非磁性無機粉末の場
合には平均長軸長が0.05〜0.3μmで針状比が3
〜20のものを無機粉末全体に対して50重量%以上含
むのが好適である。
【0024】強熱減量は20重量%以下であることが好
ましく、本来ないことが最も好ましいと考えられる。本
発明に用いられる上記無機粉末のモース硬度は4以上、
10以下のものが好ましい。これらの粉体表面のラフネ
スファクターは0.8〜1.5が好ましく、更に好まし
いラフネスファクターは0.9〜1.2である。無機粉
末のSA(ステアリン酸)吸着量は1〜20μモル/m
2 、更に好ましくは2〜15μモル/m2 である。下層
塗布層非磁性粉末の25℃での水への湿潤熱は200〜
600erg/cm2 の範囲にあることが好ましい。ま
た、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができ
る。100〜400℃での表面の水分子の量は1〜10
個/100Aが適当である。水中での等電点のpHは3
〜6の間にあることが好ましい。
【0025】これらの非磁性粉末の表面には、Al2
3 、SiO2 、TiO2 、ZrO2、SnO2 、Sb2
3 、ZnO、Y2 3 で表面処理することが好まし
い。特に分散性に好ましいのはAl2 3 、SiO2
TiO2 、ZrO2 であるが、更に好ましいのはAl2
3 、SiO2 、ZrO2 である。これらは組み合わせ
て使用しても良いし、単独で用いることもできる。ま
た、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良い
し、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処
理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。
また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わ
ないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0026】本発明の下層塗布層に用いられる非磁性粉
末の具体的な例としては、昭和電工社製ナノタイト、住
友化学社製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製
αヘマタイト、DPN−250、DPN−250BX、
DPN−245、DPN−270BX、DPN−550
BX、石原産業社製酸化チタンTTO−51B、TTO
−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−
55S、TTO−55D、SN−100、αヘマタイト
E270、E271、E300、チタン工業社製STT
−4D、STT−30D、STT−30、STT−65
C、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−
150W、MT−500B、MT−600B、MT−1
00F、MT−500HD、堺化学社製FINEX−2
5、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同
和鉱業社製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエ
ロジル社製AS2BM、TiO2P25、宇部興産社製
100A、500A、チタン工業製Y−LOP及びそれ
を焼成したものが挙げられる。
【0027】上記のうち特に好ましい非磁性粉末は、α
−酸化鉄と二酸化チタンである。α−酸化鉄(ヘマタイ
ト)は、以下のような諸条件の基で得られたものが使用
できる。まず、α−Fe2 3 粒子粉末は、次の方法に
より前駆体粒子としての針状ゲータイト粒子を得る。第
1の方法としては、第一鉄水溶液に等量以上水酸化アル
カリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄コロイドを含
む懸濁液をpH11以上にて80℃以下の温度で酸素含
有ガスを通気して酸化反応を行うことにより針状ゲータ
イト粒子を生成させる方法。第2の方法としては、第一
鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られ
るFeCO3 を含む懸濁液に酸素含有ガスを通気して酸
化反応を行うことにより紡錘状を呈したゲータイト粒子
を生成させる方法。第3の方法としては、第一鉄塩水溶
液に等量未満の水酸化アルカリ水溶液または炭酸アルカ
リ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイドを含
む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を
行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成させ、次い
で、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩水溶液に、
該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し等量以上の水酸化ア
ルカリ水溶液を添加した後、酸素含有ガスを通気して前
記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法。第4の方法
としては、第一鉄水溶液と等量未満の水酸化アルカリま
たは炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一
鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気
して酸化反応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を
生成させ、次いで、酸性乃至中性領域で前記針状ゲータ
イト核粒子を成長させる方法等である。なお、ゲータイ
ト粒子の生成反応中に粒子粉末の特性向上等のために通
常添加されているNi,Zn,P,Si等の異種元素が
添加されていても支障はない。
【0028】そして、前駆体粒子である前記針状ゲータ
イト粒子を200〜500℃の温度範囲で脱水するか、
必要に応じて、更に350〜800℃の温度範囲で加熱
処理により焼き鈍しをして針状α−Fe2 3 粒子を得
る。なお、脱水または焼き鈍しされる針状ゲータイト粒
子が表面にP,Si,B,Zr,Sb等の焼結防止剤が
付着していても支障はない。また、350〜800℃の
温度範囲で加熱処理により焼き鈍しをするのは、脱水さ
れて得られた針状α−Fe2 3 粒子の粒子表面に生じ
ている空孔を焼き鈍しにより、粒子の極表面を溶融させ
て空孔をふさいで平滑な表面形態とさせることが好まし
いからである。
【0029】本発明において用いられるα−Fe2 3
粒子粉末は前記脱水または焼き鈍しをして得られた針状
α−Fe2 3 粒子を水溶液中に分散して懸濁液とし、
Al化合物を添加しpH調整をして前記α−Fe2 3
粒子の粒子表面に前記添加化合物を被覆した後、濾過、
水洗、乾燥、粉砕、必要により更に脱気・圧密処理等を
施すことにより得られる。用いられるAl化合物は酢酸
アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、
硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩やアルミン酸ソー
ダ等のアルミン酸アルカリ塩を使用することができる。
この場合のAl化合物添加量はα−Fe2 3 粒子粉末
に対してAl換算で0.01〜50重量%である。0.
01重量%未満である場合には、結合剤樹脂中における
分散が不十分であり、50重量%を超える場合には粒子
表面に浮遊するAl化合物同士が相互作用するために好
ましくない。
【0030】本発明における下層塗布層の非磁性無機粉
末においては、Al化合物と共にSi化合物を始めとし
て、P,Ti,Mn,Ni,Zn,Zr,Sn,Sbか
ら選ばれる化合物の1種または2種以上を用いて被覆す
ることもできる。Al化合物と共に用いるこれらの化合
物の添加量はそれぞれα−Fe2 3 粒子粉末に対して
0.01〜50重量%の範囲である。0.01重量%未
満である場合には添加による分散性向上の効果が殆どな
く、50重量%を超える場合には、粒子表面以外に浮遊
する化合物同士が相互作用をするために好ましくない。
【0031】また、下層塗布層に使用する二酸化チタン
の製法に関しては、以下の通りである。これらの酸化チ
タンの製法は主に硫酸法と塩素法がある。硫酸法はイル
ミナイトの源鉱石を硫酸で蒸解し、Ti,Feなどを硫
酸塩として抽出する。硫酸鉄を晶析分離して除き、残り
の硫酸チタニル溶液を濾過精製後、熱加水分解を行っ
て、含水酸化チタンを沈澱させる。これを濾過洗浄後、
夾雑不純物を洗浄除去し、粒径調節剤などを添加した
後、80〜1000℃で焼成すれば粗酸化チタンとな
る。ルチル型とアナターゼ型は加水分解の時に添加され
る核剤の種類によりわけられる。この粗酸化チタンを粉
砕、整粒、表面処理などを施して作成する。塩素法は原
鉱石は天然ルチルや合成ルチルが用いられる。鉱石は高
温還元状態で塩素化され、TiはTiCl4 にFeはF
eCl2 となり、冷却により固体となった酸化鉄は液体
のTiCl4 と分離される。得られた粗TiCl4 は精
留により精製した後核生成剤を添加し、1000℃以上
の温度で酸素と瞬間的に反応させ、粗酸化チタンを得
る。この酸化分解工程で生成した粗酸化チタンに顔料的
性質を与えるための仕上げ方法は硫酸法と同じである。
【0032】表面処理は上記酸化チタン素材を乾式粉砕
後、水と分散剤を加え、湿式粉砕、遠心分離により粗粒
分級が行われる。その後、微粒スラリーは表面処理槽に
移され、ここで金属水酸化物の表面被覆が行われる。ま
ず、所定量のAl,Si,Ti,Zr,Sb,Sn,Z
nなどの塩類水溶液を加え、これを中和する酸、または
アルカリを加えて、生成する含水酸化物で酸化チタン粒
子表面を被覆する。副生する水溶性塩類はデカンテーシ
ョン、濾過、洗浄により除去し、最終的にスラリーpH
を調節して濾過し、純水により洗浄する。洗浄済みケー
キはスプレードライヤーまたはバンドドライヤーで乾燥
される。最後にこの乾燥物はジェットミルで粉砕され、
製品になる。また、水系ばかりでなく酸化チタン粉末に
AlCl3 ,SiCl4 の蒸気を通じその後水蒸気を流
入してAl,Si表面処理を施すことも可能である。そ
の他の顔料の製法については、 G.D.Parfitt and K.S.
W.Sing”Characterization of Powder Surfaces”Acade
mic Press,1976を参考にすることができる。
【0033】上記のような非磁性無機粉末にはカーボン
ブラックを含んでもよく、また、これらの無機粉末を分
散する結合剤については後述する。
【0034】カーボンブラックを下層塗布層に混合させ
ることで、公知の効果である表面電気抵抗Rsを下げて
帯電防止効果を得ること、光透過率を小さくすることが
できると共に、所望のマイクロビッカース硬度を得るこ
とができる。下層塗布層のマイクロビッカース硬度は通
常、25〜60kg/mm2 、好ましくはヘッド当たりを調
整するために、30〜50kg/mm2 であり、NEC製薄
膜硬度計HMA−400を用いて、稜角80度、先端半
径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端に用
いて測定する。
【0035】使用できるカーボンブラックとしては、ゴ
ム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、
アセチレンブラック等があげられる。これらのカーボン
ブラックの比表面積は100〜500m2 /g、好まし
くは150〜400m2 /g、DBP吸油量は20〜4
00ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。
カーボンブラックの一次粒子径は10〜80nm、好ま
しく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nm
である。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は
0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ま
しい。
【0036】本発明に用いられるカーボンブラックの具
体的な例としては、キャボット社製のBLACKPEA
RLS2000,1300,1000,900,80
0,880,700,VULCAN XC−72、三菱
化成工業社製の#3050B,3150B,3250
B,#3750B,#3950B,#950,#650
B,#970B,#850B,MA−600,MA−2
30,#4000,#4010、コンロンビアカーボン
社製のCONDUCTEX SC,RAVEN880
0,8000,7000,5750,5250,350
0,2100,2000,1800,1500,125
5,1250、アクゾー社製のケッチェンブラックEC
などがあげられる。カーボンブラックを分散剤などで表
面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面
の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわな
い。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあら
かじめ結合剤で分散してもかまわない。
【0037】これらのカーボンブラックは上記無機質粉
末に対して5〜49重量%の範囲、非磁性層総重量の4
0%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブ
ラックは単独、または組合せで使用することができる。
本発明で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボ
ンブラック便覧」カーボンブラック協会編を参考にする
ことができる。
【0038】また、下層塗布層には、有機質粉末を目的
に応じて添加することもできる。例えば、アクリルスチ
レン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン
系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポ
リオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポ
リアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ
化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は特
開昭62−18564号、特開昭60−255827号
に記されているようなものが使用できる。
【0039】その他、下層塗布層の結合剤、潤滑剤、分
散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は磁性層のそれが
適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の
添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用
できる。
【0040】次に上層のクリーニング層に関する詳細な
説明をする。まず、クリーニング層に混合する無機粉末
としては強磁性粉末を含み、この強磁性粉末としては、
γ−FeOx(x=1.33〜1.5)、Co変性γ−
FeOx(x=1.33〜1.5)、α−FeまたはN
iまたはCoを主成分(75%以上)とする強磁性合金
粉末、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト
など公知の強磁性粉末が使用できるが、α−Feを主成
分とする強磁性合金粉末が好ましい。これらの強磁性粉
末には所定の原子以外に、Al,Si,S,Sc,C
a,Ti,V,Cr,Cu,Y,Mo,Rh,Pd,A
g,Sn,Sb,Te,Ba,Ta,W,Re,Au,
Hg,Pb,Bi,La,Ce,Pr,Nd,P,C
o,Mn,Zn,Ni,Sr,B,Mgなどの原子を含
んでもかまわない。特に、メタル磁性体の場合はAl,
Si,Ca,Y,Ba,La,Nd,Co,Ni,Bが
α−Fe以外に含まれる元素として重要である。とりわ
け、Si,Al,Yが表面処理や焼結防止剤として重要
である。CoはFeに対し2〜40重量%含有したもの
が好ましい。Si,Al,Yは0〜10重量%の間で含
まれる。これらの強磁性粉末には後で述べる分散剤、潤
滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじ
め処理を行ってもかまわない。具体的には、特公昭44
−14090号、特公昭45−18372号、特公昭4
7−22062号、特公昭47−22513号、特公昭
46−28466号、特公昭46−38755号、特公
昭47−4286号、特公昭47−12422号、特公
昭47−17284号、特公昭47−18509号、特
公昭47−18573号、特公昭39−10307号、
特公昭48−39639号、米国特許3026215
号、同3031341号、同3100194号、同32
42005号、同3389014号などに記載されてい
る。
【0041】上記強磁性粉末の中で強磁性合金微粉末に
ついては少量の水酸化物、または酸化物を含んでもよ
い。強磁性合金微粉末の公知の製造方法により得られた
ものを用いることができ、下記の方法を挙げることがで
きる。複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素など
の還元性気体で還元する方法、酸化鉄を水素などの還元
性気体で還元してFeあるいはFe−Co粒子などを得
る方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁
性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸
塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する
方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を
得る方法などである。このようにして得られた強磁性合
金粉末は公知の徐酸化処理、すなわち有機溶剤に浸漬し
たのち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含
有ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥さ
せる方法、有機溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分
圧を調整して表面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを
施したものでも用いることができる。
【0042】本発明のクリーニング層の強磁性粉末をB
ET法による比表面積で表せば45〜80m2 /gであ
り、好ましくは50〜70m2 /gである。40m2
g以下ではノイズが高くなり、80m2 /g以上では表
面性が得にくく好ましくない。本発明のクリーニング層
の強磁性粉末の結晶子サイズは300〜100Aであ
り、好ましくは250〜100A、更に好ましくは20
0〜140Aである。
【0043】強磁性粉末の飽和磁化σs は100〜18
0emu/g が好ましく、さらに好ましくは110〜170
emu/g 、更に好ましくは125〜160emu/g である。
強磁性粉末の抗磁力Hcは500〜3000Oeが好まし
い。角型比は0.6〜0.98が好ましく、クリーニン
グ層の磁化量は0.03〜0.3ガウス・cmが好まし
い。一方、強磁性粉末の針状比は4〜18が好ましく、
更に好ましくは5〜12である。強磁性粉末の含水率は
0.01〜2%とするのが好ましい。結合剤の種類によ
って強磁性粉末の含水率は最適化するのが好ましい。
【0044】強磁性粉末のpHは用いる結合剤との組合
せにより最適化することが好ましい。その範囲は4〜1
2であるが、好ましくは6〜10である。強磁性粉末は
必要に応じ、Al,Si,Pまたはこれらの酸化物など
で表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性粉末
に対し0.1〜10%であり表面処理を施すと脂肪酸な
どの潤滑剤の吸着が100mg/m2 以下になり好まし
い。強磁性粉末には可溶性のNa,Ca,Fe,Ni,
Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは、本
質的に無い方が好ましいが、200ppm以下であれば
特に特性に影響を与えることは少ない。また、強磁性粉
末は空孔が少ないほうが好ましくその値は20容量%以
下、さらに好ましくは5容量%以下である。
【0045】本発明のクリーニング層および前記下層塗
布層に使用される結合剤としては、従来公知の熱可塑系
樹脂、熱硬化系樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使
用される。熱可塑系樹脂としては、ガラス転移温度が−
100〜150℃、数平均分子量が1,000〜20
0,000、好ましくは10,000〜100,00
0、重合度が約50〜1,000程度のものである。
【0046】このような例としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、
アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、
ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセ
タール、ビニルエーテル等を構成単位として含む重合体
または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂が
ある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル
系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、
エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシ
アネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオー
ルとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリ
イソシアネートの混合物等があげられる。これらの樹脂
については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブッ
ク」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化
型樹脂を下層塗布層、または上層クリーニング層に使用
することも可能である。
【0047】これらの例とその製造方法については特開
昭62−256219号に詳細に記載されている。以上
の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいも
のとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル樹脂、
塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール樹脂、塩化ビニ
ル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体の中から選ばれる
少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこ
れらにポリイソシアネートを組み合わせたものがあげら
れる。ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポリウレ
タン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエ
ステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、
ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプ
ロラクトンポリウレタン、ポリオレフィンポリウレタン
など公知のものが使用できる。ここに示したすべての結
合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るために
は必要に応じ、−COOM、−SO3 M、−OSO
3 M、−P=O(OM)2 、−O−P=O(OM)
2 (以上につきMは水素原子またはアルカリ金属塩
基)、−OH、−NR2 、−N+ 3 (Rは炭化水素
基)、エポキシ基、−SH、−CN、スルホベタイン、
ホスホベタイン、カルボキシベタインなどから選ばれる
少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応
で導入したものを用いることが好ましい。このような極
性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは
10-2〜10-6モル/gである。
【0048】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としてはユニオンカーバイト社製のVAGH,V
YHH,VMCH,VAGF,VAGD,VROH,V
YES,VYNC,VMCC,XYHL,XYSG,P
KHH,PKHJ,PKHC,PKFE、日信化学工業
社製のMPR−TA,MPR−TA5,MPR−TA
L,MPR−TSN,MPR−TMF,MPR−TS,
MPR−TM,MPR−TAO、電気化学社製の100
0W,DX80,DX81,DX82,DX83,10
0FD、日本ゼオン社製のMR−104,MR−10
5,MR110,MR100,400X−110A、日
本ポリウレタン社製のニッポランN2301,N230
2,N2304、大日本インキ社製のパンデックスT−
5105,T−R3080,T−5201,バーノック
D−400,D−210−80,クリスボン6109,
7209,東洋紡社製のバイロンUR8200,UR8
300,UR8600、大日精化社製のダイフェラミン
4020,5020,5100,5300,9020,
9022,7020、三菱化学社製のMX5004、三
洋化成社製のサンプレンSP−150,TIM−300
3,TIM−3005、旭化成社製のサランF310,
F210などがあげられる。この中でMR−104,M
R110,MPR−TAO,MPR−TA,UR−82
00,UR8300,TIM−3005が好ましい。
【0049】本発明のクリーニング層に用いられる結合
剤は強磁性粉末を含む無機粉末に対し、5〜24重量%
の範囲、好ましくは8〜22重量%の範囲で用いられ
る。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30重量%、
ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20重量%、ポリ
イソシアネートは2〜20重量%の範囲でこれらを組み
合わせて用いるのが好ましい。特に、クリーニング層に
ポリイソシアネートを含まず、下層塗布層にポリイソシ
アネートを含む構成が望ましい。
【0050】本発明において、ポリウレタンを用いる場
合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが1
00〜2000%、破断応力は0.05〜10Kg/c
2、降伏点は0.05〜10Kg/cm2 が好まし
い。
【0051】本発明のクリーニング媒体は二層以上から
なる。従って、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル
系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート、ある
いはそれ以外の樹脂の量、クリーニング層を形成する各
樹脂の分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物
理特性などを必要に応じ下層塗布層とクリーニング層と
で変えることはもちろん可能であり、公知技術を適用で
きる。
【0052】本発明に用いるポリイソシアネートとして
は、トリレンジイソシアネート、4−4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1・
5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これ
らのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、ま
た、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソ
シアネート等を使用することができる。これらのイソシ
アネート類の市販されている商品名としては、日本ポリ
ウレタン社製のコロネートL、コロネートHL、コロネ
ート2030、コロネート2031、ミリオネートM
R、ミリオネートMTL、武田薬品社製のタケネートD
−102、タケネートD−110N、タケネートD−2
00、タケネートD−202、住友バイエル社製のデス
モジュールL、デスモジュールIL、デスモジュール
N、デスモジュールHL、大日本インキ社製のバーノッ
クD502等がありこれらを単独または硬化反応性の差
を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで下層塗布
層、上層クリーニング層共に用いることができる。
【0053】本発明のクリーニング層にも下層塗布層と
同様にカーボンブラックを無機粉末として混合してもよ
く、このカーボンブラックはゴム用ファーネス、ゴム用
サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を
用いることができる。比表面積は5〜500m2 /g、
DBP吸油量は10〜400ml/100g、粒子径は
5mμ〜300mμ、pHは2〜10、含水率は0.1
〜10%、タップ密度は0.1〜1g/ccが好ましい。
本発明に用いられるカーボンブラックの具体的な例とし
てはキャボット社製、BLACKPEARLS 200
0、1300、1000、900、800,700、V
ULCAN XC−72、旭カーボン社製、#80、#
60,#55、#50、#35、三菱化成工業社製、#
2400B、#2300、#5,#900,#950,
#970,#1000、#30,#40、#10B、コ
ンロンビアカーボン社製、CONDUCTEX SC、
RAVEN 150、50,40,15などがあげられ
る。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、
樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラフ
ァイト化したものを使用してもかまわない。また、カー
ボンブラックをクリーニング層用塗料に添加する前にあ
らかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカー
ボンブラックは単独、または組合せで使用することがで
きる。
【0054】カーボンブラックを使用する場合は強磁性
粉末に対する量の5重量%以下で用いることが好まし
い。カーボンブラックはクリーニング層の帯電防止、摩
擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあ
り、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従
って本発明に使用されるこれらのカーボンブラックはク
リーニング層、下層塗布層でその種類、量、組合せを変
え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示し
た諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろ
ん可能である。
【0055】また、前記クリーニング層には無機粉末と
して研磨剤を含んでもよく、この研磨剤としては、α化
率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダ
ム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカー
バイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素など、モ
ース硬度6以上の公知の材料が単独または組合せで使用
される。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤
を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。
これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含
まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果に
かわりはない。研磨剤の具体的な例としては、住友化学
社製のAKP−20,AKP−30,AKP−50,H
IT−50,HIT−60,HiT−60A,HIT−
70A,HIT−80,HIT−80G,HIT−10
0、日本化学工業社製のG5,G7,S−1、戸田工業
社製のTF−100,TF−140などがあげられる。
【0056】これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2
μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる研
磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広
くして同様の効果をもたせることもできる。タップ密度
は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、PHは
2〜11、比表面積は1〜30m2 /g、が好ましい。
本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコ
ロ状のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するもの
がクリーニング性が高く好ましい。クリーニング層の無
機粉末としての研磨剤の配合量は、前記強磁性粉末10
0重量%に対して1〜45重量%である。本発明に用い
られる研磨剤は前述の下層塗布層、上層クリーニング層
で種類、量および組合せを変え、目的に応じて使い分け
ることはもちろん可能である。これらの研磨剤はあらか
じめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加しても
かまわない。本発明のクリーニング媒体のクリーニング
層表面およびクリーニング層端面に存在する研磨剤は5
個/100μm2 以上が好ましい。
【0057】本発明の下層塗布層またはクリーニング層
に使用される添加剤としては、潤滑効果、帯電防止効
果、分散効果、可塑効果などをもつものが使用される。
二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、
窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を
もつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シ
リコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステ
ル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エ
ステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステ
ルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、
フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金
属塩、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合
を含んでも、また分岐していてもかまわない)、およ
び、これらの金属塩(Li,Na,K,Cuなど)また
は、炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五
価、六価アルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐
していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキ
シアルコール、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不
飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)
と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六
価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、
また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸
エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エス
テル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテ
ルの脂肪酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、
炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。
【0058】これらの具体例としてはラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ス
テアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン
酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オ
クチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソル
ビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステ
アレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オ
レイルアルコール、ラウリルアルコールがあげられる。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシ
ドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加
体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミ
ド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複
素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチオ
ン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫
酸エステル基、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニ
オン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、ア
ミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキル
ベダイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。これら
の界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図
書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤
滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、
主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸
化物等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純
分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以
下である。
【0059】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は下層塗布層、クリーニング層でその種類、量を
必要に応じ使い分けることができる。例えば、下層塗布
層、クリーニング層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へ
のにじみ出しを制御するか、沸点や極性の異なるエステ
ル類を用い表面へのにじみ出しを制御するか、界面活性
剤量を調節することで塗布の安定性を向上させるか、潤
滑剤の添加量を下層塗布層で多くして潤滑効果を向上さ
せることなどが考えられ、無論ここに示した例のみに限
られるものではない。
【0060】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、塗料製造のどの工程で添加してもかま
わない。例えば、混練工程前に無機粉末と混合する場
合、無機粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する
場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場
合、塗布直前に添加する場合などがある。また、目的に
応じてクリーニング層を塗布した後、同時または逐次塗
布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより目
的が達成される場合がある。また、目的によってはカレ
ンダー処理した後、またはスリット終了後、クリーニン
グ層表面に潤滑剤を塗布することもできる。
【0061】本発明で使用されるこれら潤滑剤の商品例
としては、日本油脂社製のNAA−102,NAA−4
15,NAA−312,NAA−160,NAA−18
0,NAA−174,NAA−175,NAA−22
2,NAA−34,NAA−35,NAA−171,N
AA−122,NAA−142,NAA−160,NA
A−173K,ヒマシ硬化脂肪酸,NAA−42,NA
A−44,カチオンSA,カチオンMA,カチオンA
B,カチオンBB,ナイミーンL−201,ナイミーン
L−202,ナイミーンS−202,ノニオンE−20
8,ノニオンP−208,ノニオンS−207,ノニオ
ンK−204,ノニオンNS−202,ノニオンNS−
210,ノニオンHS−206,ノニオンL−2,ノニ
オンS−2,ノニオンS−4,ノニオンO−2,ノニオ
ンLP−20R,ノニオンPP−40R,ノニオンSP
−60R,ノニオンOP−80R,ノニオンOP−85
R,ノニオンLT−221,ノニオンST−221,ノ
ニオンOT−221,モノグリMB,ノニオンDS−6
0,アノンBF,アノンLG,ブチルステアレート,ブ
チルラウレート,エルカ酸、関東化学社製のオレイン
酸、竹本油脂社製のFAL−205,FAL−123、
新日本理化社製のエヌジェルブLO,エヌジョルブIP
M,サンソサイザ−E4030、信越化学社製のTA−
3,KF−96,KF−96L,KF96H,KF41
0,KF420,KF965,KF54,KF50,K
F56,KF907,KF851,X−22−819,
X−22−822,KF905,KF700,KF39
3,KF−857,KF−860,KF−865,X−
22−980,KF−101,KF−102,KF−1
03,X−22−3710,X−22−3715,KF
−910,KF−3935、ライオンアーマー社製のア
ーマイドP,アーマイドC,アーモスリップCP、ライ
オン油脂社製のデュオミンTDO、日清製油社製のBA
−41G、三洋化成社製のプロファン2012E,ニュ
ーポールPE61,イオネットMS−400,イオネッ
トMO−200,イオネットDL−200,イオネット
DS−300,イオネットDS−1000,イオネット
DO−200などが挙げられる。
【0062】本発明の下層塗布層およびクリーニング層
で用いられる有機溶媒は任意の比率でアセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロ
フラン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、メチルシクロヘキサノール等のアルコ
ール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢
酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエス
テル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノ
エチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル
系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロ
ルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロライ
ド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、
エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化
炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン
等のものが使用できる。これら有機溶媒は必ずしも10
0%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副
反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれても
かまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、
さらに好ましくは10%以下である。
【0063】本発明で用いる有機溶媒はクリーニング層
と下層塗布層でその種類は同じであることが好ましい
が、その添加量は変えてもかまわない。下層塗布層に表
面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンな
ど)を用い塗布の安定性を向上するのが好ましく、具体
的にはクリーニング層の溶剤組成の算術平均値が下層塗
布層の溶剤組成の算術平均値を下回らないことが肝要で
ある。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い
方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15〜20の溶
剤が50重量%以上含まれることが好ましい。また、溶
解パラメータは8〜11であることが好ましい。
【0064】本発明のクリーニングテープの厚み構成
は、非磁性支持体が2.0〜10μmと薄いもので有効
である。クリーニング層と下層塗布層を合わせた厚みは
非磁性支持体の厚みの1/100〜2倍の範囲で用いら
れる。また、非磁性支持体と下層塗布層の間に密着性向
上のための接着層を設けてもよい。この接着層の厚みは
0.01〜2μm、好ましくは0.02〜0.5μmで
ある。また、非磁性支持体のクリーニング層側と反対側
にバックコート層を設けてもかまわない。この厚みは
0.1〜2μm、好ましくは0.3〜1.0μmであ
る。これらの接着層、バックコート層は公知のものが使
用できる。
【0065】本発明に用いられる非磁性支持体は、マイ
クロビッカース硬度が75kg/mm2以上のものであり、
二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリア
ミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾ
ールなどの公知のフィルムが使用できる。特に、アラミ
ド樹脂、ポリエチレンナフタレートを用いた高強度非磁
性支持体が好ましい。これらの非磁性支持体にはあらか
じめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処
理、除塵処理などを行っても良い。
【0066】本発明の目的を達成するには、非磁性支持
体のクリーニング層を塗布する面の中心線平均表面粗さ
Raが0.5〜7nmのものを使用する必要がある。ま
た、これらの非磁性支持体は単に中心線平均表面粗さが
小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がないこと
が好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて非磁性
支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由に
コントロールされるものである。これらのフィラーとし
ては、Al,Ca,Si,Tiなどの酸化物や炭酸塩で
結晶性、非晶質を問わない他、アクリル系、メラミン系
などの有機微粉末があげられる。また、走行耐久性との
両立を図るためには、バック層を塗布する面の粗さはク
リーニング層を塗布する面の粗さより粗いことが好まし
い。バック層塗布面の中心線表面粗さは好ましくは1n
m以上、更に好ましくは4nm以上である。クリーニン
グ層塗布面とバック層塗布面との粗さを変える場合に
は、デュアル構成の支持体を用いても良いし、コーティ
ング層を設けることによって変えても構わない。
【0067】本発明に用いられる非磁性支持体のテープ
走行方向(HD方向)のF−5値は好ましくは10〜5
0kg/mm2 、テープ幅方向(TD方向)のF−5値
は好ましくは10〜30Kg/mm2 であり、テープの
長手方向のF−5値がテープ幅方向のF−5値より高い
のが一般的であるが、特に幅方向の強度を高くする必要
があるときはその限りでない。また、非磁性支持体のテ
ープ走行方向および幅方向の100℃×30分での熱収
縮率は好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%
以下、80℃×30分での熱収縮率は好ましくは1%以
下、さらに好ましくは0.5%以下である。破断強度は
両方向とも5〜100Kg/mm2 、ヤング率は100
〜3,000Kg/mm2 が好ましい。また、900nm
での光透過率は30%以下が好ましく、更に好ましくは
3%以下である。
【0068】本発明のクリーニング媒体の下層塗布層お
よびクリーニング層の塗料を製造する工程は、少なくと
も混練工程、分散工程およびこれらの工程の前後に必要
に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞ
れ2段階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使
用する強磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨
剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの
工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、
個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかま
わない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、
分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入して
もよい。
【0069】本発明の目的を達成するためには、従来の
公知の製造技術を一部の工程として用いることができる
ことはもちろんであるが、混練工程では連続ニーダや加
圧ニーダなど強い混練力をもつものを使用することが好
ましい。連続ニーダまたは加圧ニーダを用いる場合は強
磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結
合剤の30%以上が好ましい)および強磁性粉末100
部に対し15〜500部の範囲で混練処理される。これ
らの混練処理の詳細については特開平1−166338
号、特開昭64−79274号に記載されている。ま
た、下層塗布層の非磁性層液を調整する場合には高比重
の分散メディアを用いることが望ましく、ジルコニアビ
ーズが好適である。
【0070】本発明のような重層構成のクリーニング媒
体を塗布する装置、方法の例として以下のような構成を
提案できる。
【0071】1.磁性塗料の塗布で一般的に用いられる
グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストル
ージョン塗布装置等により、まず下層塗布層を塗布し、
下層塗布層がまだ湿潤状態にある内に、特公平1−46
186号、特開昭60−238179号、特開平2−2
65672号に開示されている支持体加圧型エクストル
ージョン塗布装置により上層クリーニング層を塗布す
る。
【0072】2.特開昭63−88080号、特開平2
−17971号、特開平2−265672号に開示され
ているような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの
塗布ヘッドにより下層塗布層とクリーニング層をほぼ同
時に塗布する。
【0073】3.特開平2−174965号に開示され
ているバックアップロール付きエクストルージョン塗布
装置により下層塗布層とクリーニング層をほぼ同時に塗
布する。
【0074】なお、磁性粒子の凝集を防止するため、特
開昭62−95174号や特開平1−236968号に
開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布
液にせん断力を付与することが望ましい。さらに、塗布
液の粘度については、特開平3−8471号に開示され
ている数値範囲を満足する必要がある。
【0075】本発明のクリーニング媒体を得るためにク
リーニング層の強磁性粉末の配向処理を行っても良い。
この配向は、1,000G以上の磁力をもつソレノイド
と、2,000G以上の磁力をもつコバルト磁石を同極
対向で併用して行うことが好ましく、さらには乾燥後の
配向性が最も高くなるように配向前に予め適度の乾燥工
程を設けることが好ましい。
【0076】また、非磁性の下層塗布層とクリーニング
層を同時重層塗布する以前に、ポリマーを主成分とする
接着層を設けることや、コロナ放電、UV照射、EB照
射することにより接着性を高める公知の手法を組み合わ
せることが好ましい。
【0077】さらに、必要に応じて、表面粗さを調整す
るためにカレンダ処理を行うことができる。カレンダ処
理ロールとしてエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポ
リイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールを
使用することができる。また、金属ロール同志で処理す
ることもできる。処理温度は好ましくは15〜50℃、
線圧力は好ましくは5〜100kg/m、速度は50〜
400m/分である。
【0078】本発明のクリーニング媒体のクリーニング
層面およびその反対面のSUS420Jに対する摩擦係
数は、好ましくは0.1〜0.5、さらに好ましくは
0.2〜0.3である。表面固有抵抗は好ましくは10
4 〜1012オーム/sq、クリーニング層の0.5%伸
びでの弾性率は走行方向、幅方向とも好ましくは100
〜2,000Kg/mm2、破断強度は好ましくは1〜
30Kg/cm2 である。
【0079】また、全体としてのクリーニング媒体は、
前述のように長手(MD)方向のヤング率が300〜1
200kg/mm2 、幅(TD)方向のヤング率が200〜
1200kg/mm2 、かつ長手方向ヤング率/幅方向ヤン
グ率が1/2〜2/1である。
【0080】さらに、クリーニング媒体の残留伸びは好
ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度で
の熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは
0.5%以下、もっとも好ましくは0.1%以下で、0
%が理想である。クリーニング層のガラス転移温度(1
10Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大
点)は50℃以上120℃以下が好ましく、下層塗布層
のそれは0℃〜100℃が好ましい。損失弾性率は1×
108 〜8×109 dyne/cm2 の範囲にあることが好ま
しく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損
失正接が大きすぎると粘着故障がでやすい。クリーニン
グ層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m
2 以下、さらに好ましくは10mg/m2 以下であり、
上層クリーニング層に含まれる残留溶媒が下層塗布層に
含まれる残留溶媒より少ないほうが好ましい。空隙率は
下層塗布層、クリーニング層とも好ましくは50容量%
以下、さらに好ましくは40容量%以下である。
【0081】本発明のクリーニング媒体のクリーニング
層の磁気特性は、前述のように磁場10kOeでVSMで
測定した場合、テープ走行方向の抗磁力Hcは500〜
3000Oeである。角型比は0.6〜0.98であり、
好ましくは0.80以上であり、さらに好ましくは0.
85以上である。テープ走行方向に直角な二つの方向の
角型比は走行方向の角型比の80%以下となることが好
ましい。クリーニング層のSFDは0.6以下であるこ
とが好ましく、更に好ましくは0.5以下、理想的には
0である。長手方向のレマネンス抗磁力Hrも1800
〜3000Oeが好ましい。垂直方向のHc及びHrは1
000〜5000Oeであることが好ましい。さらに、ク
リーニング層の中心線表面粗さRaは1.0〜7.0n
mが好ましいが、その値は目的により適宜設定されるべ
きである。AFMによる評価で求めたRMS表面粗さR
RMS は2〜15nmの範囲にあることが好ましい。
【0082】本発明のクリーニング媒体は下層塗布層と
クリーニング層を有するが、目的に応じ下層塗布層とク
リーニング層でこれらの物理特性を変えることができる
のは容易に推定されることである。例えば、クリーニン
グ層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に
下層塗布層の弾性率をクリーニング層より低くしてクリ
ーニング媒体のヘッドへの当りを良くするなどである。
また、支持体のテンシライズ方法を変更して、ヘッド当
たりを改良することが本発明においても有効であり、テ
ープ長手方向に対し、直角な方向にテンシライズした支
持体の方がヘッド当たりが良好になる場合が多い。
【0083】
【実施例】次に本発明の実施例、比較例により具体的に
本発明を説明する。実施例中、「部」との表示は「重量
部」を表す。
【0084】<実施例1>下記配合組成のクリーニング
層用塗布液および下層塗布層用塗布液のそれぞれについ
て、各成分をオープンニーダで混練したのち、サンドミ
ルを用いて分散させた。
【0085】 [クリーニング層用塗布液組成] 強磁性金属微粉末 (Fe/Co=70/30) 100部 Hc 2200Oe BET法による比表面積 59m2 /g 結晶子サイズ 170A 表面処理剤 Al2 3 ,SiO2 ,Y2 3 粒子サイズ(長軸径) 0.08μm 針状比 8 σs 137emu/g ポリエステルポリウレタン樹脂 12部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 −SO3 Na基 1×10-4eq/g含有 α−Al2 3 (平均粒径0.15μm) 5部 カーボンブラック(平均粒径0.08μm) 0.5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 5部 メチルエチルケトン 90部 シクロヘキサノン 30部 トルエン 60部 [下層塗布層用塗布液組成] 非磁性粉末 αFe2 3 (ヘマタイト) 80部 長軸長 0.15μm BET法による比表面積 52m2 /g pH 8 タップ密度 0.8 DBP吸油量 27〜38g/100g 表面処理剤 Al2 3 ,SiO2 カーボンブラック 20部 平均一次粒子径 16mμ DBP吸油量 80ml/100g pH 8.0 BET法による比表面積 250m2 /g 揮発分 1.5% 塩化ビニル系共重合体 12部 日本ゼオン製MR−110 ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 −SO3 Na基 1×10-4eq/g含有 α−Al2 3 (平均粒径0.2μm) 1部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 100部 シクロヘキサノン 50部 トルエン 50部 得られた分散液にポリイソシアネート(日本ポリウレタ
ン社製コロネートL)を下層塗布層用の塗布液には5部
加え、さらにそれぞれにメチルエチルケトン、シクロヘ
キサノン混合溶媒40部を加え、1μmの平均孔径を有
するフィルターを用いて濾過し、下層塗布層、クリーニ
ング層形成用の塗布液をそれぞれ調整した。
【0086】得られた下層塗布層用の塗布液を、乾燥後
の厚さが2.0μmになるように、さらにその直後にそ
の上に、クリーニング層用の塗布液を乾燥後の厚さが
0.2μmになるように、厚さ6.0μmでクリーニン
グ層塗布面の中心線表面粗さが2nmのポリエチレンナ
フタレート支持体上に同時重層塗布を行い、両層がまだ
湿潤状態にあるうちに3000Gの磁力をもつコバルト
磁石と1500Gの磁力をもつソレノイドにより配向さ
せ乾燥後、金属ロールとエポキシ樹脂ロールから構成さ
れる7段のカレンダで温度40℃にて分速200m/m
inで処理を行い、その後、厚み0.5μmのバック層
を塗布した。これを、8mmの幅にスリットし、8mmビデ
オ用クリーニングテープを作成した。
【0087】<実施例2>この実施例は、クリーニング
層の厚みを0.1μmと薄くしたもので、その他は実施
例1と同様にして試料を作成した。
【0088】<実施例3>この実施例は、クリーニング
層の厚みを0.9μmと厚くしたもので、その他は実施
例1と同様にして試料を作成した。
【0089】<比較例1>この比較例は、更にクリーニ
ング層の厚みを1.1μmと厚くしたもので、その他は
実施例1と同様にして試料を作成した。
【0090】<比較例2>この比較例は、実施例1にお
ける下層塗布層の非磁性無機粉末を、α−ヘマタイトか
ら次の強磁性粉末、 強磁性粉末(Co変性γ酸化鉄) 100部 Hc 750Oe BET法による比表面積 42m2 /g 結晶子サイズ 220A 表面処理剤 Al2 3 ,SiO2 粒子サイズ(長軸径) 0.26μm 針状比 10 σs 72emu/g へ変更したもので、その他は実施例1と全く同様にして
試料を作成した。
【0091】<比較例3>この比較例は、下層塗布層を
有しないで、実施例1のクリーニング層だけを支持体上
に塗布したもので、その他は実施例1と同様にして試料
を作成した。
【0092】<実施例4>この実施例は、クリーニング
層の厚みを0.1μmとし、下層塗布層の厚みを0.8
μmと薄くし、さらに支持体を5μmのポリエチレンナ
フタレートに変更したもので、その他は実施例1と同様
にして試料を作製した。
【0093】<実施例5>この実施例は、クリーニング
層の厚みを0.07μmとし、下層塗布層の厚みを0.
5μmと薄くし、支持体は3μmのアラミド樹脂に変更
したもので、その他は実施例1と同様にして試料を作製
した。
【0094】<実施例6>この実施例は、実施例1の下
層塗布層における非磁性無機粉末を、α−ヘマタイトか
ら次のルチルTiO2 、 非磁性無機粉末(TiO2 結晶系ルチル) 平均一次粒子径 0.035μm BET法による比表面積 40m2 /g DBP吸油量 27〜38ml/100g pH 7.5 TiO2 含有量 90%以上 へ変更したもので、その他は実施例1と同様にして試料
を作成した。
【0095】<比較例4>この比較例は、クリーニング
層を有さず、下層塗布層は実施例6のルチルTiO2
使用したもので、その他は実施例1と同様にして試料を
作成した。
【0096】<比較例5>この比較例は、クリーニング
層の無機粉末を強磁性体粉末に代えて研磨剤としての次
のα−アルミナ、 研磨剤(α−アルミナ 住友化学製 HIT−55) 比表面積 8.3m2 /g 遠心沈降径 0.42μm モース硬度 9 を使用したもので、その他は実施例6と同様にして試料
を作成した。
【0097】<実施例7>この実施例は、クリーニング
層および下層塗布層共に全く別の処方によって形成し
た、8mmビデオ装置用のクリーニングテープの例であ
る。まず、下記配合組成のクリーニング層用塗布液およ
び下層塗布層用塗布液のそれぞれについて、各成分をオ
ープンニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散
させた。
【0098】 [クリーニング層用塗布液組成] 強磁性金属微粉末 (Fe/Zn/Ni=92/4/4) 100部 Hc 1600Oe BET法による比表面積 60m2 /g 結晶子サイズ 195A 平均長軸長 0.20μm 針状比 10 飽和磁化σs 130emu/g 表面処理剤 Al2 3 ,SiO2 塩化ビニル系共重合体 12部 −SO3 Na基含有量 1×10-4eq/g 重合度 300 ポリエステルポリウレタン樹脂 3部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 −SO3 Na基含有量 1×10-4eq/g α−アルミナ(平均粒径0.3μm) 2部 カーボンブラック(平均粒径0.10μm) 0.5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 2部 メチルエチルケトン 90部 シクロヘキサノン 50部 トルエン 60部 [下層塗布層用塗布液組成] 非磁性無機粉末 TiO2 80部 平均粒径 0.035μm 結晶系 ルチル TiO2 含有量 90重量% 無機質粉末表面処理層 Al2 3 (10重量%) BET法による比表面積 40m2 /g DBP吸油量 27〜38g/100g pH 7 カーボンブラック 20部 平均一次粒子径 16mμ DBP吸油量 80ml/100g pH 8.0 BET法による比表面積 250m2 /g 揮発分 1.5% 塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 12部 −N(CH3 3 + Cl- の極性基を5×10-6eq/g含む 組成比 86:13:1 重合度 400 ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1 −SO3 Na基 1×10-4eq/g含有 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 100部 シクロヘキサノン 50部 トルエン 50部 得られた分散液にポリイソシアネートを下層塗布層用の
塗布液には1部、クリーニング層用の塗布液には3部を
加え、さらにそれぞれに酢酸ブチル40部を加え、1μ
mの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層
塗布層、クリーニング層形成用の塗布液をそれぞれ調製
した。
【0099】得られた下層塗布層用の塗布液を、乾燥後
の厚さが3.0μmになるように、さらにその直後にそ
の上に、クリーニング層用の塗布液を乾燥後の厚さが
0.5μmになるように、厚さ7μmでクリーニング層
塗布面の中心線表面粗さが0.01μmのポリエチレン
テレフタレート支持体上に同時重層塗布を行い、両層が
まだ湿潤状態にあるうちに3000ガウスの磁力をもつ
コバルト磁石と1500ガウスの磁力をもつソレノイド
により配向させ、乾燥後、金属ロールとエポキシ樹脂ロ
ールから構成される7段のカレンダで温度40℃にて分
速200m/minで処理を行い、これを、8mmの幅に
スリットし、8mmビデオ用クリーニングテープを作成し
た。
【0100】<実施例8>この実施例は、クリーニング
層の厚みを0.9μmと厚くしたもので、その他は実施
例7と同様にして試料を作成した。
【0101】<比較例6>この比較例は、実施例7の支
持体を厚み10.8μmのポリエチレンナフタレートに
変更したもので、その他は実施例7と同様にして試料を
作成した。
【0102】<比較例7>この比較例は、下層塗布層の
厚みを5.6μmと厚くしたもので、その他は実施例7
と同様にして試料を作成した。
【0103】上記のような各実施例および比較例のよう
なクリーニング媒体の試料におけるそれぞれのクリーニ
ング層、下層塗布層の厚み、粉末種類および支持体の種
類と厚み、総厚を求めた結果を表1および表2に示す。
また、各試料によるクリーニングテストを行った結果と
してのヘッド磨耗量、ヘッドクリーニング力、蒸着テー
プ互換性(ME互換性)、ヘッド傷を同様に示す。
【0104】ここに、各測定値の測定方法を示す。
【0105】(クリーニング層、下層塗布層の厚み測定
方法)クリーニング媒体の長手方向に渡ってダイアモン
ドカッターで約0.1μmの厚みに切り出し、透過型電
子顕微鏡で倍率3万倍で観察し、その写真撮影を行っ
た。写真のプリントサイズはA4版である。
【0106】その後、クリーニング層、下層塗布層の強
磁性粉末や非磁性粉末の形状差に着目して界面を目視判
断して黒く縁どり、かつクリーニング層表面も同様に黒
く縁どった。その後、Zeiss社製画像処理装置IB
AS2にて縁どりした線の間隔を測定した。試料写真の
長さが21cmの範囲に渡り、測定点を点取って測定し
た。その際の測定値の単純加算平均値をクリーニング
層、下層塗布層の厚みとした。
【0107】(BET法による比表面積)カンターソー
プ(USカンタークロム社製)を用いた。250℃,3
0分間窒素雰囲気で脱水後BET一点法(分圧0.3
0)で測定した。
【0108】(磁気特性)抗磁力Hc、残留磁束密度B
r、角型比、磁化量等の測定は、振動試料型磁束計(東
英工業社製)を用い、外部磁場Hm10kOeで測定し、
磁化曲線に基づき求める。最大磁束密度Bmは上記クリ
ーニング層厚み測定方法により求めた。
【0109】(中心線平均表面粗さ)WYKO社製TO
PO3Dを用いて、媒体表面をMIRAU法で約250
μm×250μmの面積のRaを測定した。測定波長は
約650nmで球面補正、円筒補正を加えている。本方
式は光干渉にて測定する非接触の表面粗さ計である。
【0110】(強磁性粉末、非磁性粉末の粒子径)透過
型電子顕微鏡写真を撮影し、その写真から強磁性粉末の
短軸径と長軸径とを直接読みとる方法と画像解析装置カ
ールツァイス社製IBASS1で透過型顕微鏡写真をト
レースして読みとる方法とを適宜併用して平均粒子径を
求めた。
【0111】(強磁性粉末結晶子サイズ)X線回折によ
りγ酸化鉄強磁性粉末では(4,4,0)面と(2,
2,0)面の回折線の半値幅の広がり分から求めた。メ
タル強磁性粉末の場合は同様に(1,1,0)面と
(2,2,0)面の回折線の半値幅の広がり分から求め
られる。
【0112】(ヘッド摩耗)Hi−8デッキEV−S9
00を用いて、23℃×70%RHで10分間、当該ク
リーニングテープを走行させ、その前後のヘッド高さを
測定して、1分間当たりのヘッド摩耗を算出した。
【0113】(ヘッドクリーニング力)予め、富士写真
フイルム社製Hi−8スーパーDC P6−120を用
いて、EV−S900で出力を測定しておく。その後、
目詰まりを起こさせることを目的に作成した標準テープ
をそのEV−S900で走行させ、ストロボでヘッド状
態を観察して、ヘッドに汚れが多くついた時点で走行を
止めて出力が皆無であることを確認する。その後、試料
の各クリーニングテープを1分間走行させた後に、事前
に記録した富士写真フイルム社製Hi−8スーパーDC
P6−120の出力を測定して、最初に測定した出力
と最後に測定した出力の差dBをヘッドクリーニング力
の評価とした。
【0114】(蒸着テープとメタルテープ互換性)予
め、前記Hi−8デッキEV−S900を用いて、偏摩
耗を起こしやすいメタルテープ(富士写真フイルム社製
のサンプルテープ)を5℃×80%RHの環境で2時間
以上走行させておく。その後、ソニー社製Hi−8ME
E6−120に7.4MHzのRF信号を記録、再生
し、その平坦度が80%以下であることを確認する。そ
の後、試料の各クリーニングテープを1分間走行させ、
再び、ソニー社製Hi−8ME E6−120に7.4
MHz信号を記録、再生してエンベロープ平坦度を測定
する。
【0115】(エンベロープ平坦度)再生エンベロープ
中の、最も出力の大きい箇所で最も出力の小さい箇所を
除して%表示したものである。
【0116】
【表1】
【0117】
【表2】
【0118】上記表によれば、比較例1はクリーニング
層の厚みが大きいことで、クリーニング後の磁気ヘッド
先端形状が鋭くならずにME互換性が低くなっている。
比較例2は下層塗布層に磁性粉末を含むことで、クリー
ニング媒体のヤング率の等方性が得られずME互換性が
低くなっている。
【0119】また、比較例3は下層塗布層がなく厚いク
リーニング層を有することで、ヘッド磨耗が大きくME
互換性が低い。比較例4は逆にクリーニング層がなく、
磁性体を含まないことでクリーニング力が不足する。比
較例5は研磨剤のみによる研磨テープであって、ヘッド
磨耗が過大となっている。
【0120】比較例6では総厚が厚くなり、クリーニン
グ後のヘッド先端形状が鋭くならず、ME互換性が低く
なっている。さらに比較例7では、クリーニング層表面
が平滑になり、摩擦係数の上昇によりヘッド磨耗が大き
くなっている。
【0121】これらに対して、本発明の実施例1〜8で
はヘッド磨耗が過大とならずに、良好なクリーニング力
と、ME互換性を有し、磁気ヘッドのクリーニング媒体
として好適な結果が得られている。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、主として非磁性無機
    粉末と結合剤とを含む下層塗布層を設け、その上に少な
    くとも強磁性粉末による無機粉末と結合剤とを含むクリ
    ーニング層を設けてなる磁気記録装置用クリーニング媒
    体であって、 前記クリーニング層の厚みが0.05〜1.0μmで、
    前記下層塗布層の厚みが0.2〜5.0μmで、前記非
    磁性支持体の厚みが2.0〜10μmで、かつクリーニ
    ング媒体の総厚みが4.0〜14μmであることを特徴
    とする磁気記録装置用クリーニング媒体。
  2. 【請求項2】 前記非磁性支持体が、ポリエチレンナフ
    タレートまたはアラミド樹脂であることを特徴とする請
    求項1に記載の磁気記録装置用クリーニング媒体。
  3. 【請求項3】 前記下層塗布層と前記クリーニング層
    が、下層塗布層が湿潤状態にある内に、その上にクリー
    ニング層を塗布するウェットオンウェット塗布方式で形
    成されたことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録装
    置用クリーニング媒体。
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