JPH09265588A - 異常報知設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】貴重品貯蔵庫において、早期火災発見と初期消
火を達成すること。 【構成】貴重品貯蔵庫にニオイセンサを設ける。またニ
オイセンサに連動してガス消火剤を噴射するようにす
る。ガス消火剤には無色無臭である二酸化炭素に刺激臭
のアンモニアを混ぜたものが使用され、ガス噴射時に人
がいた場合に、アンモニア臭により人を部屋から追い出
すようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は火災や盗難などの異
常事態の発生を検出する異常報知設備に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、重要文化財の貯蔵庫等の貴重品貯
蔵庫には、火災報知設備として煙や熱を検出する火災感
知器が設置されている。これらの火災感知器が動作する
にはかなりの煙や熱の発生が必要である。また貴重品貯
蔵庫は、通常無人の設備が多く、人による火災発見も遅
れがちである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このため貴重品貯蔵庫
で火災が発生してしまうと、大切な貴重品が焼失してし
まい被害が大きいので、通常の火災感知器では貴重品貯
蔵庫の防災設備としては不十分である。そこで貴重品貯
蔵庫で、火災を極初期段階で検出できる異常報知設備を
得ることを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明に係わる異常報知
設備は、財産的価値のある貴重品を備えた部屋に、火災
時に発生する焦げ臭を検出するニオイセンサを設けたこ
とを特徴とするものである。

【０００５】また財産的価値のある貴重品を備えた部屋
に設置され、人の侵入や貴重品の盗難を検出する盗難セ
ンサと、前記部屋又は前記部屋の出入口の近傍に設置さ
れ、消火剤を噴射する消火ノズルを有する消火手段と、
前記盗難センサが侵入または盗難を検出した時に、前記
消火手段を動作させる制御手段を備えたことを特徴とす
るものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明を説明
する。図１は本発明の異常報知設備を示すシステム図で
ある。１は防護区域としての部屋、例えば貴重品貯蔵庫
であり、室内には、重要文化財など財産的価値のある貴
重品２を備えている。部屋１の天井には、火災時に発生
する焦げ臭を検出するニオイセンサ３が設けてある。こ
のニオイセンサ３は、例えば特開平５−１０９０５号に
記載されるようなニオイセンサで、環境中のニオイが何
のニオイであるのかを判別できるようにしてある。

【０００７】具体的にはニオイセンサ３は、例えば酸化
物半導体などで形成され、種類の異なる複数のセンサ素
子、例えば膜厚の異なる２つのセンサ素子を備える。セ
ンサ素子のセンサ出力はニオイ（焦げ臭、アルコール
等）によって異なり、また同じニオイであっても膜厚が
異なるとセンサ出力は違う値となる。そこで各種のニオ
イに対する２つのセンサ素子、即ち厚膜センサ素子と薄
膜センサ素子のセンサ出力を、それぞれ縦軸、横軸にと
るとニオイの種類によって様々なセンサ出力の軌跡（パ
ターン）が得られる。

【０００８】つまりこのセンサ出力の軌跡を図にしたも
のをＲＯＭなどに予め記憶させておき、センサ素子から
のセンサ出力をそのＲＯＭに記憶された内容と比較する
ことで、ニオイの種類を判別することが可能となる。こ
のＲＯＭには、紙や木材が燃えた際に発生する焦げ臭に
対するセンサ出力パターンと、後述するニオイ用ガスボ
ンベに格納されたガスのニオイに対するセンサ出力パタ
ーンとが少なくとも記憶されており、ニオイセンサ３
は、焦げ臭を検出した時には、火災信号を送出し、また
ガスを検出した時にはガス発生信号を送出する。

【０００９】部屋１の天井には、盗難センサの一例とし
ての人体からの赤外線を検知する人体検出センサ４も設
置されている。なお盗難センサ４は人体検出センサの他
に、貴重品が所定の場所から動かされことを検出するリ
ミットスイッチなどにより構成してもよく、部屋１への
人の侵入や貴重品２の盗難を検出するものであれば何で
もよく、侵入や盗難を検出した時には盗難信号を送出す
る。なお盗難センサ４は制御盤２６によりその動作時
間、例えば１７時から７時の間のみ動作するように設定
することが可能である。

【００１０】６は消火剤が流れる配管で、その末端には
ガス状の消火剤、例えば二酸化炭素（ＣＯ2 ）を収納し
た消火剤用ガスボンベ７が接続され、また先端には、消
火剤を噴射する消火ノズル８が接続される。なおこの消
火ノズル８は部屋１に設置される。また配管６には、発
火性及び引火性をもたず、かつある程度のニオイを有す
るガス（気体）、例えばアンモニアを収納したニオイ用
ガスボンベ１１が接続される。また配管６とガスボンベ
７、１１の間には、常時閉の自動弁１２、１３が設けら
れる。

【００１１】１６は廊下であり、廊下１６と部屋１の間
には、部屋１への出入口１７があり、扉１８によって閉
じている。部屋１の近傍、例えば廊下１６の出入口付近
の天井には開放型の消火ノズル１９が設置されている。
この消火ノズル１９は、その途中にポンプ２１を備えた
配管２２を介して水槽２３と接続されている。また配管
２２の、ポンプ２１と消火ノズル１９の間には自動弁２
５が設けられる。

【００１２】この実施形態においては、配管６、消火剤
用ボンベ７、自動弁１２及び消火ノズル８により第１の
消火手段が構成され、またニオイ用ガスボンベ１１及び
自動弁１３により、無臭のガス消火剤にニオイを添加す
るためのニオイ添加手段が構成される。また消火ノズル
１９、配管２２、水槽２３及び自動弁２５により第２の
消火手段が構成される。なお第２の消火手段は、廊下１
６に設置された図示しない火災感知器の動作に連動して
廊下付近での火災を消火するばかりでなく、部屋１で火
災が発生し、その火災が図示しない他の部屋に延焼する
のを防止する際にも使われる。

【００１３】２６は制御手段としての制御盤で、ニオイ
センサ３や盗難センサ４からの火災信号、ガス発生信号
及び盗難信号をもとに自動弁１２、１３、２５及びモー
タ２４を制御するものである。また２８は警報手段とし
ての充満表示灯で、防護区域の近傍に設置され、防護区
域内にガス消火剤が噴射されたことを警報して、ガス噴
射後は、人が部屋１に入らないようにするためのもので
ある。なおこの警報手段２８はニオイセンサ３がガス消
火剤に添加されたニオイを検出した時に、制御盤２６に
よって動作されるものである。

【００１４】次に本発明の動作を説明する。部屋１で火
災が発生し、例えば貴重品の一部がもえ、焦げ臭が発生
すると、その焦げ臭をニオイセンサ３が検出し、制御盤
２６に火災信号を送出する。火災発生時には、煙が発生
する前に燃焼物質の加熱に基づく焦げ臭が発生すること
が知られており、火災検出にこの焦げ臭を検出できるニ
オイセンサ３を使用することで、煙や熱式の火災感知器
の使用に比べ、十分早期に火災を検出することができ
る。このため火災が発生しても、貴重品の損傷を最低限
に抑えることができる。

【００１５】制御盤２６はニオイセンサ３から火災信号
をうけると、自動弁１２、１３に弁を開放させるための
弁開放信号を送出して第１の消火手段を動作させる。こ
れにより自動弁１２、１３が開放され、消火剤用ガスボ
ンベ７から配管６を通して消火ガスとしての二酸化炭素
が流れ、消火ノズル８から消火剤が噴射され、火災の消
火が行われる。単純に消火だけを行うのであれば、自動
弁１２の開放だけで事足りるが、ここでは自動弁１３も
開放されるので、消火剤にはニオイ用ガスボンベ１１か
らのアンモニアガスが添加される。よって部屋１内は二
酸化炭素とアンモニアが充満することになる。

【００１６】二酸化炭素は無色無臭の気体（ガス）であ
り、また高濃度になると人体に悪影響がでる。このため
消火剤として噴射する際には、その噴射される領域に人
がいなくなってからでないと噴射することができず、通
常、火災検出後、５分位の待機時間が経過した後に、監
視領域に噴射するように設備が設計されている。

【００１７】アンモニアは周知のように刺激臭である。
このため部屋１に人がいた場合、このアンモニアが二酸
化炭素とともに消火ノズル８から噴射され、部屋１に充
満すると、そのアンモニア臭によって早く部屋１を出た
いという気持ちをその人に起こさせることが可能とな
る。よってガス噴射の際に待機時間を設けずに、ニオイ
センサ３が火災を検出すると同時に二酸化炭素を噴射さ
せ火災を消火することが出来るので、より一層貴重品の
損害を抑えることができる。

【００１８】なお部屋１にアンモニアが充満すると、ニ
オイセンサ３がアンモニア臭を検出し、ガス発生信号を
制御盤２６へ送出する。

【００１９】制御盤２６はニオイセンサ３からガス発生
信号をうけると、部屋１に消火剤が噴射されたことを判
別し、制御盤盤面にガス消火剤が部屋１に噴射されたこ
とを音響もしくは表示により報知する。また制御盤２６
は、警報手段としての充満表示灯２８を動作、つまり点
灯させ、部屋１に消火剤が噴射され、部屋１に二酸化炭
素が充満していることを警報する。なお音声合成装置を
内蔵した音響装置により警報手段を構成するようにして
もよい。また警報手段２８を部屋１の室内に設置しても
よく、このようにすれば部屋１に人が残っているような
場合に、部屋１から出るように注意を促せる。なおこの
際、人が部屋１に入れないように扉１８を施錠するよう
にしてもよい。

【００２０】通常、ガスが噴射されたかどうかを判別す
るには、配管内に圧力スイッチなどを設ける必要がある
が、本発明の場合には、ニオイセンサ３により火災の発
生及び消火剤の噴射の両方を検出できるようにしている
ので、配管内に圧力スイッチを設ける必要がない。また
部屋１にガス消火剤が実際に噴射された時にはじめてニ
オイセンサ３は動作するので、部屋１にガスが噴射され
たかを判別する手段としては、圧力スイッチに比べて信
頼性が高い。

【００２１】次に盗難が発生した場合について説明す
る。貴重品２が盗まれたり、または立ち入りが禁止され
ている時間に部屋１への侵入があると、盗難センサ４が
動作し、制御盤２６へ盗難信号を送出する。盗難センサ
からの盗難信号をうけると制御盤２６は自動弁１２、１
３の内、少なくとも自動弁１３を開放させる信号を送出
する。これにより消火ノズル８から部屋１へアンモニア
ガスが噴射される。よって上述したように部屋１に侵入
した泥棒を部屋１から排除させることができ、盗難を阻
止することが可能となる。

【００２２】また制御盤２６が盗難センサ４から盗難信
号をうけた時、自動弁１３を開放させる代わりに、自動
弁２５を開放させる信号及びモータ２４を起動させる信
号を送出して第２の消火手段を動作させるようにしても
よい。これにより消火ノズル１９から水槽２４の水が噴
射されることになる。よって泥棒は部屋１の出入口１７
から逃げだす時にかなり水に濡れることになる。

【００２３】このためこの部屋１に入った泥棒は、外へ
逃亡する際には、アンモニア臭が身についているか、ま
たは体がずぶ濡れになっているので、犯人としての目星
がつけやすくなる。また消火設備を防犯設備と共用させ
ているので、特にコストが高くなることはない。

【００２４】なお本発明にはいくつかの特徴があるが、
無臭のガス消火剤にニオイを添加して、防護区域に消火
剤が噴射されたのをニオイセンサにより検出する発明に
おいては、防護区域は貴重品貯蔵庫の他に、電算室など
のガス式の消火設備が設置される区域であれば、どのよ
うな区域でもよい。

【００２５】またニオイ添加手段としてアンモニアをあ
げたが、発火性や引火性を有せず、かつある程度のニオ
イを有するガスであれば、特になんでもよい。

【００２６】

【発明の効果】財産的価値のある貴重品を備えた部屋
に、火災時に発生する焦げ臭を検出するニオイセンサを
設けることで、火災感知器よりも早く火災を検出でき、
火災が発生しても貴重品の被害が少ない。またニオイセ
ンサが火災を検出した際には、待機時間を設けることな
く、部屋に設置された消火ノズルから消火剤を噴射する
ようにしているので、火災検出装置にニオイセンサを使
用する事と相まって貴重品の損害を抑えることが可能と
なる。また消火剤にニオイを添加して、焦げ臭と消火剤
のニオイを判別できるようにすることで、部屋に消火剤
が噴射されたことを外部で確認することが可能となる。

【００２７】財産的価値のある貴重品を備えた部屋に設
置され、人の侵入や貴重品の盗難を検出する盗難センサ
と、部屋又は部屋の出入口の近傍に設置され、消火剤を
噴射する消火ノズルを有する消火手段と、盗難センサが
侵入または盗難を検出した時に、消火手段を動作させる
制御手段を備え、泥棒の体に消火剤を噴射させること
で、泥棒の逃亡を見つける目星となる。

【００２８】また無臭のガス消火剤にニオイを添加し
て、そのニオイを防護区域に設置したニオイセンサが検
出した時に、防護区域内にガスが噴射されたことを警報
するようにしている。よって防護区域内にガス消火剤が
噴射され、区域内にガス消火剤が充満していることを確
実に検出できる。つまり上述の圧力スイッチに連動して
警報手段を動作させるような方式だと、この区域内の窓
や扉が開いていて、区域内にガス消火剤があまり充満し
ていない状態でも充満表示灯が点灯してしまう。しか
し、本発明の場合はニオイセンサにより実際に防護区域
内のガスの充満状況を検出しているので、ガス消火剤の
充満状況を正確に判別することが可能となる。また警報
手段により、ガス噴射後に防護区域に人が入ろうとする
のを防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のシステムを示す構成図である。

【符号の説明】

１ 部屋、２ 貴重品、３ ニオイセンサ、４ 盗難セ
ンサ、６ 配管、７ 消火剤用ガスボンベ、８ 消火ノ
ズル、１１ ニオイ用ガスボンベ、１２ 自動弁、１３
自動弁、１６ 廊下、１７ 出入口、１８ 扉、１９
消火ノズル、２１ ポンプ、２２ 配管、２３ 水
槽、２４ モータ、２５ 自動弁、２６ 制御盤（制御
手段）、２８ 警報手段、

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】財産的価値のある貴重品を備えた部屋に、
   火災時に発生する焦げ臭を検出するニオイセンサを設け
   たことを特徴とする異常報知設備。
2. 【請求項２】請求項１において、 前記部屋に設置され、消火剤を噴射する消火ノズルを有
   する消火手段と、 前記消火剤にニオイを添加するためのニオイ添加手段
   と、 前記ニオイセンサが焦げ臭を検出した時に、前記消火手
   段を動作させる制御手段とを更に備えたことを特徴とす
   る異常報知設備。
3. 【請求項３】請求項２において、 前記ニオイセンサは、前記焦げ臭と前記消火剤のニオイ
   を判別できることを特徴とする異常報知設備。
4. 【請求項４】財産的価値のある貴重品を備えた部屋に設
   置され、人の侵入や貴重品の盗難を検出する盗難センサ
   と、 前記部屋又は前記部屋の出入口の近傍に設置され、消火
   剤を噴射する消火ノズルを有する消火手段と、 前記盗難センサが侵入または盗難を検出した時に、前記
   消火手段を動作させる制御手段を備えたことを特徴とす
   る異常報知設備。
5. 【請求項５】防護区域内の火災を消火ノズルからガス消
   火剤を噴射して消火する消火手段と、 前記ガス消火剤にニオイを添加するニオイ添加手段と、 前記防護区域に設置され、前記ガス消火剤に添加された
   前記ニオイを検出するニオイセンサと、 前記防護区域の近傍に設置され、前記防護区域内に前記
   ガス消火剤が噴射されたことを警報する警報手段と、 前記ニオイセンサが前記ニオイを検出した時に、前記警
   報手段を動作させる制御手段とを備えたことを特徴とす
   る異常報知設備。