JPH061519B2 - 火災報知装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、火災感知器からの信号レベルが火災レベルに
達したとき火災を警報し、その後、避難誘導に要する時
間を考慮して防火戸、消火装置等の火災処理装置を駆動
するようにした火災報知装置に関する。

（従来の技術） 近年において建造されるビル等の建築物内には、火災の
発生を警報する火災警報装置を設置すると共に、火災に
より発生した煙を排煙若しくは防煙する防排煙装置、及
びスプリンクラー等の火災を消火する消火設備等を設置
するようにしている。

従来の火災警報装置では、受信機から引き出された信号
線に複数の火災感知器を接続し、火災感知器からの信号
に基づいて火災の発生を警報すると同時に避難誘導を開
始していた。また、火災警報装置とは別個に防排煙装置
を設置してより、即ち、防火戸の近傍に防火戸専用の火
災感知器を設置し、火災の発生により防火戸専用の火災
感知器が火災を検出すると、防火戸専用の火災感知器か
らの信号出力に基づいて防火戸を閉鎖するようにしてい
た。更に、消火設備としては、天井等にスプリンクラー
ヘッドを設置し、火災の発生によりスプリンクラーヘッ
ドがはじけると、自動的にスプリンクラーを作動させ消
火水を散布するようにしていた。

即ち、火災警報装置、防排煙装置及び消火設備のそれぞ
れは独立して機能し、火災を検出すると単独に動作する
ようにしていた。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、このような従来システム、即ち火災警報
装置、防排煙装置及び消火設備のそれぞれは独立して機
能するようにしていたため、火災警報用の火災感知器と
防火戸専用の火災感知器とを設置した部屋で火災が発生
すると双方の火災感知器が略同時に検出動作し、一方、
火災感知器により火災警報装置が火災を警報すると略同
時に他方の火災感知器により防火戸を閉鎖するようにし
ていたため、火災発生区域近傍に居合せた人々は火災警
報装置からの警報を確認して避難を開始しようにして
も、既に防火戸が閉鎖してしまっていることで他の脱出
口を探さなければならなかった。

また、火災発生に伴って消火設備が消火活動を開始して
いる場合は、更に避難誘導に弊害をきたし、速やかな避
難が困難になるのみならず、避難遅れにより人命に重大
が障害を及ぼすという問題があった。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、火災発
生時に避難誘導に要する時間を設定して人間の避難誘導
を安全且つ迅速に行なうため、受信機に、複数の火災感
知器、防火戸や消火装置等の火災処理装置、および火災
時に点灯される非常灯を接続し、また受信機には、火災
感知器からの検出情報を受信して検出信号を出力する受
信処理部と、受信処理部からの受信処理信号の信号レベ
ルが予め設定した火災レベルを越えたとき火災と判断し
て警報部に火災警報を出力させると共に非常灯を点灯し
て避難誘導を行う判別制御部を設けた火災報知装置にお
いて、受信機に更に、時間情報を出力する時計回路と、
判別制御部による火災判断時から受信処理信号が継続し
て火災レベルを越えている経過時間を時計回路の時間情
報に基づいて計測する時間計測部と、時間計測部による
計測時間が避難誘導に必要な所定時間（Ｔｏ）を越えた
ことを判別して出力する時間判別部と、受信処理信号が
火災レベルより高い所定の危険レベルを越えたことを判
別して出力する危険レベル判別部と、時間判別部の判別
出力と危険レベル判別部の判別出力との両方が得られた
時に、防火戸や消火装置等の火災処理装置を駆動する駆
動部とを設けるようにしたものである。

（実施例） 第１図は本発明の一実施例を示した全体構成図である。

まず構成を説明すると、１は受信機であり、受信機１か
らは予め設定した複数の警戒区域のそれぞれに対して複
数の信号線Ｌ１，Ｌ２，Ｌ３，Ｌ４のそれぞれが引き出
され、それぞれの警戒区域毎に設置した複数の火災感知
器及び火災処理装置を接続している。具体的に説明する
と、信号線Ｌ１には煙感知器２a，…２n，７a，…７n、
及び熱感知器３a，…３n、８a，…８nのそれぞれを接続
している。煙感知器２a，…２n、７a，…７n、及び熱感
知器３a，…３n、８a，…８nのそれぞれは、火災による
アナログ量を検出するアナログ型の火災感知器であり、
それぞれの火災感知器には予め固有のアドレスが設定さ
れ、受信機１からの呼出しに応じてアナログデータを自
己のアドレスと共に受信機１に返送する。また、信号線
Ｌ３には、非常灯５及び１０を接続している。更に、火
災処理装置として信号線Ｌ２には防火戸４及び９を、ま
た信号線Ｌ４には消火装置６及び１１のそれぞれを接続
している。

次に、受信機１の内部構成を説明する。１３は受信処理
部であり、信号線Ｌ１を介して複数の火災感知器からの
検出情報、即ち各火災感知器のアドレス及びアナログデ
ータを受信処理する。１４は判別制御部であり、内部に
複数の閾値レベルを設定している。即ち、第３図に示す
ように、煙濃度に対してはプリアラームレベルＳ１と、
プリアラームレベルＳ１より大きい値の火災レベルＳ２
を設定し、また温度に対してはプリアラームレベルＨ
１、プリアラームレベル及びＨ１より大きな値の火災レ
ベルＨ２のそれぞれを設定している。判別制御部１４は
受信処理部１３からの信号を入力し、それぞれの閾値レ
ベルと比較しており、入力した信号レベルがプリアラー
ムレベルＳ１若しくはＨ１を越えたとき、プリアラーム
信号を警報部１５に出力し、また入力レベルが火災レベ
ルＳ２若しくはＨ２を越えたとき、火災信号を警報部１
５及び駆動制御部１７に出力する。警報部１５にはブザ
ー、ランプ等の警報手段を備え、判別制御部１４からの
プリアラーム信号若しくは火災信号を入力し、対応する
警報手段を駆動してプリアラーム若しくは火災を警報す
る。１６は時計回路であり、駆動制御部１７に対して常
時時間情報を出力する。駆動制御部１７は判別制御部１
４からの火災信号を入力すると、信号線Ｌ３を介して非
常灯５及び１０に駆動信号を出力すると同時に時計回路
１６からの時間情報を計測する。即ち、火災判断時から
の時間経過を監視する。また、駆動制御部１７には、火
災処理装置を起動する起動レベルとして火災レベルＳ２
より高い値の危険レベルＳ３、及び火災レベルＨ２より
高い値の危険レベルＨ３のそれぞれの閾値レベルを設定
しており、受信処理部１３からの信号を入力し、入力し
た信号レベルが危険レベルＳ３若しくはＨ３を越える
と、火災判断時からの時間経過を確認し、所定時間Ｔｏ
が経過していると駆動信号を出力して火災処理装置を駆
動する。即ち、信号レベルが火災処理装置の起動レベル
となる危険レベルＳ３またはＨ３を越えたとしても、火
災と判断してから所定時間Ｔｏのあいだは火災処理装置
の駆動を禁止し、避難誘導に要する時間を設定してい
る。

第２図は第１図の実施例のフロー図、第３図は第１図の
実施例のタイムチャートであり、第２図及び第３図を参
照して本発明の動作を説明する。

第３図に示すように、煙感知器２a及び熱感知器３aが火
災を検出したとすると、受信処理部１３がそれぞれの火
災感知器からのアナログデータを受信処理して判別制御
部１４に信号出力しており、ブロックaでは受信処理部
１３からの信号に基づいて火災の進行状況を監視してい
る。ブロックb及びブロックcでは予備警報判断をしてお
り、ブロックbでは煙感知器２aからの信号レベルＳとプ
リアラームレベルＳ１とを比較し、時刻t１において信
号レベルＳがプリアラームレベルＳ１を越えると、ブロ
ックdに進み、警報部１５を駆動してプリアラームの表
示を指令する。更に火災が進行すると、ブロックe及びf
では火災を判断しており、時刻t２において信号レベル
Ｓが火災レベルＳ２を越えた場合は火災と判断し、ブロ
ックgに進み、警報部１５を駆動して警報表示を行な
う。更にブロックh及びiに進み、駆動制御部１７が判別
制御部１４からの火災信号を入力すると、信号線Ｌ３を
介して非常灯５及び１０に信号出力し、非常灯５及び１
０を点灯させて避難誘導を行なう。と同時に時計回路１
６からの時間情報に基づいて火災判断時からの時間経過
の監視を行なう。更に火災が拡大し、より危険な状態に
陥ったとすると、ブロックj及びブロックkに進み、火災
処理装置の起動レベルとして設定した危険状態であるか
どうかを判別する。即ち、ブロックjでは時刻t３におい
て信号レベルＳが危険レベルＳ３を越えたことを判別す
ると、ブロックlに進む。ブロックlでは火災と判断して
からの経過時間を監視しており、時刻t５において火災
判断時刻t２より所定時間Ｔｏが経過したことを判別す
ると、ブロックmに進み、信号線Ｌ２を介して駆動信号
を防火戸４に出力し、防火戸４を閉鎖させる。また、ブ
ロックk及びnでは熱感知器３aからの信号レベルに基づ
いて火災処理装置の起動レベルを判別しており、時刻t
６にいおてブロックkで信号レベルＨが危険レベルＨ３
を越えたことを判別するとブロックnに進み、火災判断
時即ち時刻t４からの経過時間を監視し、時刻t７におい
て所定時間Ｔ0経過したことを判別するとブロックpに進
み、信号線Ｌ４を介して消火装置６に駆動信号を出力
し、消火を開始する。

尚、上記の動作説明では煙感知器２aと熱感知器３aから
の双方の信号レベルが危険レベルＳ３若しくはＨ３に達
する時刻を比較したときに、煙感知器２aからの信号レ
ベルが早く危険レベルに達した場合を例にとって説明し
たが、熱感知器３aからの信号レベルが煙感知器２aから
の信号レベルより早く危険レベル達した場合は、ブロッ
クnで所定時間Ｔｏ経過後、ブロックm及びpに進み、防
火戸４と消火装置６を同時に駆動する。

（発明の効果） 以上説明したように本発明によれば、受信機に、複数の
火災感知器、防火戸や消火装置等の火災処理装置、およ
び火災時に点灯される非常灯を接続し、また受信機に
は、火災感知器からの検出情報を受信して検出信号を出
力する受信処理部と、受信処理部からの受信処理信号の
信号レベルが予め設定した火災レベルを越えたとき火災
と判断して警報部に火災警報を出力させると共に非常灯
を点灯して避難誘導を行う判別制御部を設けた火災警報
装置において、受信機に更に、時間情報を出力する時計
回路と、判別制御部による火災判断時から受信処理信号
が継続して火災レベルを越えている経過時間を時計回路
の時間情報に基づいて計測する時間計測部と、時間計測
部による計測時間が避難誘導に必要な所定時間（Ｔｏ）
を越えたことを判別して出力する時間判別部と、受信処
理信号が火災レベルより高い所定の危険レベルを越えた
ことを判別して出力する危険レベル判別部と、時間判別
部の判別出力と危険レベル判別部の判別出力との両方が
得られた時に、防火戸や消火装置等の火災処理装置を駆
動する駆動部とを設けるようにしたことで、火災発生時
において、火災による煙濃度または温度上昇が、防火
戸、消火装置等の火災処理装置の起動レベルとして設定
した危険レベルを越えたとしても、火災判断時、即ち避
難誘導を開始してから所定時間のあいだ火災処理装置の
駆動を禁止し、避難誘導に必要な時間を設定して安全且
つ迅速に避難誘導を行なうことができるという効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示した全体構成図、第２図
はフロー図、第３図はタイムチヤートである。 １：受信機 ２a，…２n、７a，…７n：煙感知器 ３a，…３n、８a，…８n：熱感知器 ４，９：防火戸 ５，１０：非常灯 ６，１１：消火装置 １３：受信処理部 １４：判別制御部 １５：警報部 １６：時計回路 １７：駆動制御部 Ｌ１，Ｌ４：信号線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒井 芳雄 神奈川県相模原市橋本４−11―10―705 (56)参考文献 実公 昭61−6548（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】受信機に、複数の火災感知器、防火戸や消
   化装置等の火災処理装置、および火災時に点灯される非
   常灯を接続し、また前記受信機には、前記火災感知器か
   らの検出情報を受信して検出信号を出力する受信処理部
   と、該受信処理部からの受信処理信号の信号レベルが予
   め設定した火災レベルを越えたとき火災と判断して警報
   部に火災警報を出力させると共に前記非常灯を点灯して
   避難誘導を行う判別制御部を設けた火災報知装置におい
   て、 前記受信機に更に、 時間情報を出力する時計回路と、 前記判別制御部による火災判断時から前記受信処理信号
   が継続して火災レベルを越えている経過時間を前記時計
   回路の時間情報に基づいて計測する時間計測部と、 該時間計測部による計測時間が避難誘導に必要な所定時
   間（Ｔｏ）を越えたことを判別して出力する時間判別部
   と、 前記受信処理信号が火災レベルより高い所定の危険レベ
   ルを越えたことを判別して出力する危険レベル判別部
   と、 前記時間判別部の判別出力と前記危険レベル判別部の判
   別出力との両方が得られた時に、前記防火戸や消火装置
   等の火災処理装置を駆動する駆動部と、 を設けたことを特徴とする火災報知装置。