JPH09264243A - 内燃機関用イオン電流検出装置 - Google Patents

内燃機関用イオン電流検出装置

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JPH09264243A
JPH09264243A JP8073806A JP7380696A JPH09264243A JP H09264243 A JPH09264243 A JP H09264243A JP 8073806 A JP8073806 A JP 8073806A JP 7380696 A JP7380696 A JP 7380696A JP H09264243 A JPH09264243 A JP H09264243A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少ない回路素子数で構成され、イオン電流の
検出により失火検出とノッキング検出を行うイオン電流
検出装置を提供する。 【解決手段】 シリンダ内で発生したイオン電流を検出
するイオン電流検出回路B0aと、検出された電流にお
いて所定周波数以下の電流の電流量を一定に保つゲイン
調整回路B1aと、検出されたイオン電流から、所定周
波数以上の電流成分を抽出し、増幅し、高周波成分検出
信号として出力する高周波成分増幅回路B2と、イオン
電流の絶対量を検出し、イオン電流の絶対量が所定値よ
りも大きい時にイオン電流検出信号を出力するイオン電
流絶対量検出回路B3と、イオン電流検出信号を所定時
間遅延させるタイマ手段B4と、遅延されたイオン電流
検出信号と高周波成分検出信号とを比較することによ
り、ノッキング検出信号を出力する比較出力回路B5と
を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の燃焼に
より生ずるイオンを検出することにより、内燃機関の燃
焼状態を検出するイオン電流検出装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】内燃機関では、燃焼室(以下、シリンダ
と称す)内に導入された空気と燃料の混合気をピストン
を用いて圧縮し、同じシリンダ内に設置された点火用プ
ラグの電気火花で混合気を燃焼させ、それにより生ずる
爆発によりピストンに発生する力を出力として取り出
す。
【0003】シリンダ内において、燃焼が行われると、
シリンダ内の分子は電離(イオン化)する。この電離状
態にあるシリンダ内に高電圧を印加すると、電荷を有す
るイオンの作用により電流が流れる。この電流をイオン
電流と呼ぶ。イオン電流は、シリンダ内の燃焼状態によ
り敏感に変化するため、イオン電流の状態を検出するこ
とで燃焼状態を検出できる。点火プラグをイオン電流検
出用の電極として用いるシステムでは、特開平7−21
7519号公報に開示された発明があり、点火直後のイ
オン電流量から燃焼が正常に行われなかった状態(失火
状態)を検出する装置が実現されている。
【0004】また、内燃機関の点火時期制御に関して
は、ノッキングによる異常振動を検出し、点火時期を変
化させ、高出力が得られる点火時期を保持しつつノッキ
ングを発生させない制御方法が従来から広く用いられて
いる。例えば、ノッキング制御を行うため内燃機関内
に、振動を検出するセンサを設け、このセンサにより電
気信号に変換された振動信号をコンピュータにて分析
し、ノッキングが発生すると点火時期を速めてノッキン
グが発生しにくい様に制御する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ノッキングの
発生源はシリンダであり、複数あるシリンダからの振動
を一つの振動センサで検出するには振動センサの設置位
置が大きな要素となる。全てのシリンダからの振動を検
出しやすく、他の振動部(呼排気バルブの振動など)の
振動を誤検出しにくい最適設置位置はエンジン毎に異な
るためエンジン設計時の設計工数をあげる要因になって
いた。
【0006】ノッキングによる振動はイオン電流におい
ても電流波形の振動として発生することは知られてい
る。これを用いてノッキングの制御を行えば、ノッキン
グをエンジン全体の振動という形で検出する振動検出装
置を介して行う方法に比べて、エンジン毎の機差が少な
く、振動検出装置が不要になる等、高精度で安価な制御
系が構成できる。
【0007】また、先に述べた失火検出状態を検出する
イオン電流検出装置では、内燃機関の回転数に応じてイ
オン電流の絶対値が大きく変わるため、内燃機関の使用
回転数全域において、イオン電流波形に重畳するノッキ
ング信号を検出することが困難であった。
【0008】すなわち、従来のイオン電流検出におい
て、イオン電流を検出しイオン電流量が一定量以上ある
場合は、シリンダ内の燃焼が正常に行われたと判断し、
イオン電流量が一定量未満である場合、シリンダ内の燃
焼が正常に行われなかったと判断して失火検出を行う。
しかし、失火状態において、必ずしもイオン電流はゼロ
にはならず、特にエンジンが高回転時においては、イオ
ン電流の絶対値が大きくなるため、失火時にも低回転時
のイオン電流レベルに相当するイオン電流が検出される
場合がある。従って、失火/着火の判定を行うイオン電
流の閾値を低回転時のイオン電流検出を主として設定す
ると高回転時には、失火時に流れる誤検出電流が電流検
出の閾値を越えるため失火検出ができず、また高回転時
のイオン電流に基づいて電流検出の閾値を設定すると低
回転時にイオン電流の絶対値が小さくなり、正常に燃焼
を行いイオン電流が発生しているにもかかわらず、着火
検出ができなくなるという問題が生ずる。このような問
題を解決するために、特開平7−217519号公報に
開示された発明があるが、この発明では、イオン電流を
検出すると、検出している電流に応じた電流をコンデン
サに流入させ、コンデンサの保持電圧に応じた電流をイ
オン電流検出の入力に帰還させる方法でイオン電流の検
出を打ち消している。これにより、イオン電流を多く検
出するほど検出可能なイオン電流の最低電流レベルを上
げて誤検出しないようにしている。しかし、失火時には
イオン電流が発生しにくいため、この方法では、失火時
の誤検出の防止に問題があった。
【0009】また、以上のように構成された従来のイオ
ン電流検出回路では、上述のようにイオン電流−電圧変
換率が固定であるため、内燃機関の回転数に応じて大き
く変化するイオン電流波形上のノッキング信号を全域で
検出することは困難であり、イオン電流のノッキング制
御への応用の実用上の障害となっていた。
【0010】さらに、前述の特開平7−217519号
公報に開示された発明では、その回路構成において、演
算増幅器(オペアンプ)を必要とするため回路規模が大
きくなるという問題があった。
【0011】本発明は、上記問題を解決すべくなされた
ものであり、その目的とするところは、少ない回路素子
数で構成され、イオン電流の検出により失火検出とノッ
キング検出を行うイオン電流検出装置を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1イオン
電流検出装置は、一時側に印加された電圧により二次側
に高電圧を発生させる点火コイルと、点火コイルに発生
した電圧により点火する点火プラグと、シリンダとから
なる内燃機関において、燃焼時に発生するイオン電流を
検出する装置であって、前記点火コイルの一時側にアノ
ードが接続された第1ダイオードと、前記第1ダイオー
ドのカソードに一端が接続され、点火時に前記点火コイ
ルの一次側に発生する電圧により充電される第1コンデ
ンサと、前記第1コンデンサの他端にアノードが接続さ
れ、カソードが接地され、前記コンデンサの充電時に、
前記第1ダイオードおよび前記第1コンデンサと共に充
電電流経路を形成する第2ダイオードとからなる検出用
電圧発生回路と、前記コンデンサの放電による電圧を点
火プラグに印加することにより前記シリンダ内に発生す
るイオン電流を入力とし、該イオン電流に等しい電流を
出力するカレントミラー回路と、前記カレントミラー回
路からの出力電流を電圧に変換し出力する出力回路とを
備えるイオン電流電圧変換回路とを設ける。
【0013】前記第1イオン電流検出装置において、点
火プラグ点火時は、点火コイル→第1ダイオード→第1
コンデンサ→第2ダイオードの経路で電流が流れ、前記
コンデンサが充電される。イオン電流検出時は、電源→
カレントミラー回路→第1コンデンサ→点火プラグまた
は電源→カレントミラー回路→第1コンデンサ→点火コ
イル→点火プラグの経路で前記第1コンデンサに充電さ
れた電荷を放出することにより、シリンダ内にイオン電
流検出用電圧を印加する。イオン電流が発生すると、前
記カレントミラー回路の入力にイオン電流が流れ、これ
と等しい電流が出力される。前記出力回路にて電圧に変
換され出力される。
【0014】好ましくは、前記第1イオン電流検出装置
において、前記出力回路は抵抗からなる。前記抵抗にカ
レントミラー回路の出力電流が流れることにより、電圧
降下として電圧変換出力できる。
【0015】好ましくは、前記第1イオン電流検出装置
において、前記出力回路は、カレントミラー回路からな
る定電流回路を備える。この定電流回路により定まる電
流とイオン電流の相対性に変換された電圧が出力され
る。
【0016】好ましくは、前記第1イオン電流検出装置
は、さらに、前記イオン電流電圧変換回路におけるイオ
ン電流を出力電圧に変換する比率を制御するゲイン調整
手段と、イオン電流の電流波形に重畳する所定周波数以
上の電流成分を電圧変換して出力する高周波成分増幅手
段とを備える。前記ゲイン調整手段は、所定の基準電圧
を発生する基準電圧回路と、前記イオン電流電圧変換回
路の出力を入力の一方に接続し、他方の入力を基準電圧
回路の出力に接続し、入力の差電圧を増幅する第1差動
増幅器と、コンデンサと反転増幅器とから構成され、前
記第1差動増幅器の出力を入力とし、出力を前記イオン
電流電圧変換回路に帰還出力する積分回路とからなる。
前記高周波成分増幅手段は、前記第1差動増幅器と入力
を共通にした第2差動増幅器と、第2差動増幅器の出力
を電圧変換し出力する手段とからなる。
【0017】前記ゲイン調整手段において、前記第1差
動増幅器が、イオン電流電圧変換回路の検出電圧と所定
の基準電圧を比較し、差電圧を増幅する。前記積分回路
に入力され、積分回路で特定周波数以上の電流成分が遮
断され、前記イオン電流電圧変換部に負帰還され、それ
により、特定周波数以上の電流成分が抽出される。この
抽出された高周波成分は、前記高周波増幅手段の第2差
動増幅器において増幅され電圧変換され出力される。
【0018】本発明に係る第2イオン電流検出装置は、
一時側に印加された電圧により二次側に高電圧を発生さ
せる点火コイルと、点火コイルに発生した電圧により点
火する点火プラグと、シリンダとからなる内燃機関にお
いて、シリンダ内に発生したイオン電流を検出し、個定
の電圧変換率で電圧に変換された第1出力と可変の電圧
変換率で変換された第2出力とを出力するイオン電流検
出手段と、前記イオン電流検出手段の前記第1出力によ
り、イオン電流の絶対量を検出し、所定値以上の電流が
流れた時に、イオン電流検出信号を出力するイオン電流
絶対量検出手段と、前記イオン電流検出信号を所定時間
遅延させる遅延手段と、前記イオン電流検出手段の前記
第2出力の電圧変換率を制御するゲイン調整手段と、イ
オン電流の電流波形に重畳する所定周波数以上の電流成
分を電圧変換して高周波成分検出信号として出力する高
周波成分増幅手段と、前記遅延手段からの遅延されたイ
オン電流検出信号と前記高周波成分検出信号とを比較
し、イオン電流が検出された時のみ、前記高周波検出信
号を出力する比較出力手段とを備える。前記イオン検出
手段は、前記点火コイルの一次側に発生する電圧によ
り、イオン電流検出用の電圧を充電する第1コンデンサ
と、前記第1コンデンサの放電により電圧を点火プラグ
に印加することにより前記シリンダ内に発生するイオン
電流を検出し、前記第1出力および第2出力を出力する
イオン電流電圧変換回路とを有する。前記ゲイン調整手
段は、前記イオン電流検出手段からの第2出力と所定電
圧との差電圧を増幅する第3差動増幅器と、第2コンデ
ンサと増幅器とから構成され前記第3差動増幅器の出力
を入力し前記イオン電流電圧変換回路に帰還出力する積
分回路とを有する。前記高周波成分増幅手段は、前記第
3差動増幅器と入力を共通にした第4差動増幅器を有す
る。
【0019】前記イオン電流検出手段は、シリンダ内に
発生したイオン電流を所定の電圧変換率で電圧に変換し
た第1出力と、可変の電圧変換率で変換した第2出力を
出力する。前記イオン電流絶対量検出手段は、前記イオ
ン電流検出手段の前記第1出力により、イオン電流の絶
対量を検出し、所定値以上の電流が流れた時に、イオン
電流検出信号を出力する。前記遅延手段は、前記イオン
電流絶対量検出信号を所定時間遅延させる。前記ゲイン
調整手段は、前記積分回路の出力を前記イオン電流電圧
変換回路に帰還することにより、前記イオン電流検出手
段の前記第2出力の電圧変換率を制御し、所定周波数以
下の電流量を一定に保持する。前記高周波成分増幅手段
は、第4差動増幅器により、イオン電流の電流波形に重
畳する所定周波数以上の電流成分を増幅し電圧変換して
高周波成分検出信号として出力する。前記比較出力手段
は、前記遅延手段からの遅延されたイオン電流検出信号
と前記高周波成分検出信号とを比較し、イオン電流検出
時のみ、前記高周波検出信号を出力する。
【0020】好ましくは、前記第2イオン電流検出装置
において、前記イオン電流電圧変換回路は、第1トラン
ジスタと、ベースを前記第1トランジスタのベースに接
続した第2トランジスタと、一端を前記第1トランジス
タのエミッタに接続し、他端を前記第2トランジスタの
エミッタに接続し、第2トランジスタのエミッタ電位を
制御する制御回路と、ベースとエミッタを前記第1トラ
ンジスタと共通にした第3トランジスタとから構成され
るイオン電流電圧変換回路からなる。前記第1トランジ
スタのコレクタにイオン電流が流れると、前記第2およ
び第3トランジスタのコレクタ電位が変動し、これに対
応して前記第3トランジスタのコレクタ電位を前記第1
出力として出力し、前記第2トランジスタのコレクタタ
電位を前記第2出力として出力する。前記第2出力の電
圧変換率は、前記ゲイン調整回路からの帰還出力により
制御される。
【0021】好ましくは、前記第2イオン電流検出装置
において、前記制御回路は、抵抗からなる。前記抵抗の
電圧降下により、前記ゲイン調整回路からの帰還出力に
応じて、第2トランジスタのエミッタ電位が制御され
る。
【0022】好ましくは、前記第2イオン電流検出装置
において、エンジン回転数を検出し、検出したエンジン
回転数が所定値より高い時は、イオン電流検出の閾値を
高くし、エンジン回転数が低い時は、イオン電流検出の
閾値を低くするエンジン回転数検出手段をさらに設け
る。
【0023】好ましくは、前記第2イオン電流検出装置
において、前記エンジン回転数検出手段は、点火時毎
に、前記点火コイルに発生する電圧により充電すること
により、エンジン回転数に比例した保持電圧を発生させ
るコンデンサと、前記コンデンサを充電する充電回路と
を備え、前記コンデンサの保持電圧に応じた電流を前記
イオン電流検出手段に帰還させることにより前記閾値を
制御する。
【0024】好ましくは、前記第1または第2イオン電
流検出装置において、前記第1コンデンサに対し、カソ
ードを共通にして並列に接続され、アノードを複数の点
火コイルに接続される複数のダイオードを設ける。これ
により、複数の点火コイルから前記第1コンデンサの充
電を可能とする。
【0025】好ましくは、前記第2イオン電流検出装置
において、前記ゲイン調整手段は、前記第2コンデンサ
と前記第3差動増幅器の出力との間に直列に接続された
第3コンデンサと、前記第2コンデンサと前記第3コン
デンサの接続点に一端を接続し、他端を接地した抵抗と
をさらに設ける。これにより前記積分回路における周波
数特性を急峻にする。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面を用いて本発明
の実施の形態の詳細な説明を行う。
【0027】実施の形態1.図1に本発明の実施の形態
1のイオン電流検出装置を示す。図1においては、同時
着火方式による点火系と、これに接続するイオン電流検
出装置U1とが示されている。図1において、点火系
は、シリンダS1内の点火プラグPG1と、シリンダS
2内の点火プラグPG2と、点火コイル(一時側をL
1、二次側をL2とする)と、バッテリVBと、点火ト
ランジスタT1と、ツェナダイオードZD0とからな
る。一次側点火コイルL1の一端はバッテリVBに接続
され、他端は一次側点火コイルL1の電流を制御するス
イッチング用トランジスタT1のコレクタ、ツェナダイ
オードZD0のカソードおよび端子A1に接続されてい
る。トランジスタT1のベースにツェナダイオードZD
0のアノードが接続され、このベースに対して点火制御
用コンピュータユニット(以下、ECUと称す)から点
火制御信号が入力される。ツェナダイオードZD0は、
トランジスタT1の電圧を制限するためのものである。
二次側点火コイルL2の一端に点火プラグPG1が、他
端に点火プラグPG2が接続されている。さらに、二次
側点火コイルL2と点火プラグPG2の接続点に、ツェ
ナダイオードZD1のカソードが接続され、ツェナダイ
オードZD1のアノードは端子A2に接続されている。
ツェナダイオードZD1は、点火中に、シリンダS1、
S2内部からイオン電流検出回路U1への電流の流入を
防止するためのものである。イオン電流検出装置U1は
検出用電圧発生部10と電流検出部11とから構成さ
れ、端子A1、A2を介して点火系と接続されている。
【0028】検出用電圧発生部10は、端子A1に一端
を接続した抵抗R3と、抵抗R3の他端にアノードを接
続し、カソードを端子A2に接続したダイオードD4
と、端子A2にカソードを接続したツェナダイオードZ
D2と、ツェナダイオードZD2のアノードにカソード
を接続し、アノードを接地したダイオードD2と、一端
を端子A2に接続し、他端をツェナダイオードZD2の
アノードに接続したコンデンサC1と、ダイオードD2
のカソードにアノードを接続し、アノードを接地したダ
イオードD3とを備える。
【0029】電流検出部11は、抵抗R1、R2と、P
NPトランジスタQ1、Q2、Q3とから構成されるイ
オン電流電圧変換部13とを備える。抵抗R1は一端が
トランジスタQ1、Q2のエミッタに接続される。トラ
ンジスタQ1、Q2のベースおよびエミッタは共通に接
続され、トランジスタQ2のコレクタは端子A3に接続
され、トランジスタQ3のベースは抵抗R1の一端に接
続され、トランジスタQ3のコレクタは接地される。抵
抗R2は、一端がトランジスタQ2のコレクタに接続さ
れ、他端が接地される。以下に本実施形態のイオン電流
検出装置U1の動作を示す。
【0030】トランジスタT1がオン状態にあるとき、
一次側点火コイルL1に電圧が供給され、電流が流れ
る。この状態からECUからの制御信号によりトランジ
スタT1がオフされると、一次側点火コイルL1に逆起
電力が生じ、トランジスタT1のコレクタ電圧が上昇す
る。トランジスタT1のコレクタ電圧は、ツェナダイオ
ードZD0により制御され、一定電圧(約300V)以
上には上昇しない。この時、二次側点火コイルL2には
電磁誘導により数十キロボルトの高電圧が発生する。二
次側点火コイルL2に発生した高電圧は、シリンダS
1、S2内に印加され点火プラグPG1、PG2より電
気火花が発生する。
【0031】電気火花が発生している状態では、検出用
電圧発生部10において、端子A2での電圧は約300
V、ツェナダイオードZD1のカソード側では数キロか
ら数十キロボルトの電圧が発生している。この時、端子
A1→抵抗R3→ダイオードD4→コンデンサC1→ダ
イオードD3→接地の経路で電流が流れ、コンデンサC
1が充電される。コンデンサC1の電圧は充電中上昇す
るが、ツェナダイオードZD2のツェナ電圧に達する
と、ツェナダイオードZD2がアバランシェを起こし、
端子A1→抵抗R3→ダイオードD4→ツェナダイオー
ドZD2→ダイオードD3→接地の経路で電流が流れる
ようになる。これにより、コンデンサC1の電圧が一定
に保たれる。
【0032】二次側点火コイルL2に発生した高電圧は
時間とともに減少し最終的にゼロになる。二次側点火コ
イルL2の電圧がゼロになると、点火プラグPG1、P
G2の電位は等しくなり、コンデンサC1の保持電圧と
ツェナダイオードZD1の順方向電圧との和に等しくな
る。シリンダS1,S2にて正常に点火および燃焼が行
われ、イオン電流が流れると、コンデンサC1に充電さ
れた電荷により、電流が、電源VR→トランジスタQ1
→抵抗R1→コンデンサC1→ツェナダイオードZD1
→点火プラグPG2または電源VR→トランジスタQ1
→抵抗R1→コンデンサC1→ツェナダイオードZD1
→二次側コイルL2→点火プラグPG1の電流経路で流
れる。
【0033】この時、シリンダS1、S2内で発生した
イオン電流は、トランジスタQ1のコレクタ電流とほぼ
等しくなり、カレントミラー回路の効果により、トラン
ジスタQ2のコレクタにトランジスタQ1のコレクタ電
流に比例した電流が流れる。例えば、トランジスタQ1
とQ2が同一特性であれば同じ電流が流れる(以下、本
文中で示されるカレントミラー回路については、それを
構成するトランジスタ対は、同一特性のものを使用して
いるとする。)。この時、トランジスタQ2のコレクタ
には、コレクタ電流により抵抗R2の電圧降下分の電位
が現れる。すなわち、トランジスタQ1〜Q3により構
成されるカレントミラー回路からなるイオン電流電圧変
換部13で、検出されたイオン電流が電圧に変換され
る。従って、端子A3からトランジスタQ2が飽和しな
い範囲においてイオン電流に比例した電圧が取り出せ
る。
【0034】ここで、電源VRの電圧は、トランジスタ
Q1、Q3のベース−エミッタ間電圧の和とほぼ等しい
値に設定する必要がある。これは、電源VRの電圧が低
すぎるとトランジスタQ3が飽和し、トランジスタQ1
のコレクタ電流が実際に発生したイオン電流よりも小さ
くなるため正常な検出が困難になり、一方、電源VRの
電圧が高すぎると、トランジスタQ1→トランジスタQ
3→抵抗R1→ダイオードD3→接地の経路で定常的に
電流が流れ、微少なイオン電流の検出が不可能になるた
めである。
【0035】このようにして本実施形態のイオン電流検
出装置は、シリンダ内に発生したイオン電流の検出を行
うことができ、このイオン電流の検出の有無により失火
検出が行える。
【0036】実施の形態2.図2に本発明の実施の形態
2のイオン電流検出装置を示す。図に示すように本実施
形態のイオン電流検出装置U2は、実施の形態1のイオ
ン電流出装置U1における抵抗R2の代わりに、NPN
トランジスタQ4、Q5とから構成されるカレントミラ
ー回路と、定電流源CC1とを備える。
【0037】トランジスタQ5のコレクタには定電流源
CC1で定まる電流が流れる。トランジスタQ4、Q5
はカレントミラー回路を構成するため、トランジスタQ
4のコレクタにも同じ電流が流れ、トランジスタQ2の
コレクタとトランジスタQ4のコレクタの接続点の電位
は、トランジスタQ2とトランジスタQ5のコレクタ電
流の大きさにより決定される。すなわち、Q2のコレク
タ電流がQ5のコレクタ電流よりも大きければ、VR電
圧からQ2の飽和電圧値を引いた値になる。Q2のコレ
クタ電流がQ5のコレクタ電流よりも小さければ、Q5
の飽和電圧に等しくなる。
【0038】前述したように、シリンダS1、S2内に
イオン電流が発生すると、それに比例した電流がトラン
ジスタQ2のコレクタ電流として流れる。イオン電流は
微少電流であるため、実施の形態1におけるイオン電流
検出装置U1では、電圧変換のための抵抗R2の抵抗値
を大きくする必要がある。それに対して、本実施形態の
イオン電流検出装置U2では、カレントミラー回路によ
りイオン電流を電圧変換するため、感度良くイオン電流
の検知が行える。
【0039】実施の形態3.図3に本発明の実施の形態
3のイオン電流検出装置を示す。本実施形態のイオン電
流検出装置U3は、イオン電流波形に重畳するノッキン
グ信号成分を抽出する機能を有する。
【0040】図3のイオン電流検出装置U3は、イオン
電流を検出するイオン電流検出回路B0と、検出された
イオン電流の所定周波数以上の電流をノッキング信号と
して抽出するノッキング信号抽出回路B1とからなる。
イオン電流検出回路B0は、図2のイオン電流検出装置
U2におけるトランジスタQ2のエミッタと電源VRの
間に抵抗R4をさらに設けたものであり、抵抗R4およ
びトランジスタQ1〜Q3により、発生したイオン電流
に比例した電圧を発生するイオン電流電圧変換部15を
構成する。トランジスタQ2のコレクタにはトランジス
タQ1のコレクタ電流に比例した電流が流れる。ノッキ
ング信号抽出回路B1は、エミッタを定電流源CC2に
接続し、コレクタを接地したPNPトランジスタQ6
と、NPNトランジスタQ7、Q8とから構成される反
転増幅器14と抵抗R5とコンデンサC2とからなる積
分回路とを備える。トランジスタQ6のベースは端子A
5に接続され、エミッタは抵抗R5を介して反転増幅器
14の入力に接続される。以下にその動作を説明する。
【0041】シリンダS1、S2内にイオン電流が発生
すると、トランジスタQ1→抵抗R1→コンデンサC1
→端子A2の経路で電流が流れる。この時、イオン電流
電圧変換部15において、トランジスタQ1のコレクタ
電流に比例した電流がトランジスタQ2のコレクタに流
れる。トランジスタQ4、Q5から構成されるカレント
ミラー回路で定まるトランジスタQ4のコレクタ電流
を、トランジスタQ2のコレクタ電流が越えると、トラ
ンジスタQ2のコレクタ電位が上昇する。トランジスタ
Q2のコレクタ電位が上昇するとトランジスタQ6のベ
ース電位が上昇し、それに伴いトランジスタQ6のエミ
ッタ電位が上昇する。トランジスタQ6のエミッタ電位
が上昇するとトランジスタQ7のベース電位が上昇しト
ランジスタQ7がオンする。トランジスタQ7がオンす
るとトランジスタQ8のベース電位が上昇し、トランジ
スタQ8がオンする。トランジスタQ8がオンすると電
源VR→抵抗R4→トランジスタQ8の電流経路が確立
し、電流が流れるため抵抗R4の電圧降下が大きくな
る。そのためトランジスタQ2のエミッタ電位が低下
し、トランジスタQ2のコレクタ電流がトランジスタQ
1のコレクタ電流よりも小さくなる。このように、トラ
ンジスタQ2のコレクタ電流を、トランジスタQ7、Q
8により制御することにより、トランジスタQ1,Q2
のコレクタに流れる電流比を変化させることができる。
従って、トランジスタQ7、Q8により、トランジスタ
Q1〜Q3により構成されるイオン電流電圧変換部15
の電流電圧変換率を制御できる。本実施形態では、抵抗
R4で電圧降下を発生させることにより、トランジスタ
Q2のコレクタ電流を制御したが、抵抗R4の代わり
に、トランジスタQ8のコレクタ電流によりトランジス
タQ2のエミッタ電位を制御する回路を用いてもよい。
【0042】また、トランジスタQ7、Q8は、トラン
ジスタQ7のベース電位変動を増幅し、トランジスタQ
8のコレクタ電位に変換する反転増幅器14を構成し、
この反転増幅器14とコンデンサC1と抵抗R4とが積
分回路を構成する。この積分回路は、トランジスタQ6
のエミッタ電位の変動において、積分回路のカットオフ
周波数以上の周波数の信号を遮断し、トランジスタQ2
のエミッタに負帰還する。これにより、トランジスタQ
2のコレクタに、トランジスタQ1のコレクタ電流中の
高周波(前述のカットオフ周波数以上の周波数)成分に
対応した電流が流れる。すなわち、抵抗R5の両端電圧
を検出することにより、イオン電流に重畳するノッキン
グ信号を表す周波数成分が抽出できる。
【0043】尚、本実施形態においては、トランジスタ
Q7、Q8を用いた反転増幅回路を用いたが、この代わ
りにオペアンプを用いてもよく、同様の効果が得られ
る。
【0044】実施の形態4.図4は、実施の形態4のイ
オン電流検出装置を示す。本実施形態のイオン電流検出
装置U4は、イオン電流を検出するイオン電流検出回路
B0と、検出されたイオン電流の特定周波数以下の電流
の大きさを一定値に保持するゲイン調整回路B1aと、
ゲイン調整回路からの出力信号の一定周波数以上の電流
成分を抽出し増幅する高周波成分増幅回路B2とからな
る。ここでイオン電流検出回路B0は、実施の形態3の
ものと同様の構成である。
【0045】図5にゲイン調整回路B1aの回路図を示
す。ゲイン調整回路B1aは、差動増幅器16と、NP
NトランジスタQ47〜Q49からなる反転増幅器18
と、抵抗R41、R42と、PNPトランジスタQ4
1、Q46と、コンデンサC41と、定電流源CC41
〜CC44とにより、図5に示すような接続関係で構成
される。差動増幅器16は、定電流源CC42と、エミ
ッタを共通にし定電流源CC42に接続した、PNPト
ランジスタQ42、Q43からなる差動対と、NPNト
ランジスタQ44、Q45からなるカレントミラー回路
とから構成される。差動増幅器16の一方の入力は、ト
ランジスタQ41のエミッタに接続され、トランジスタ
Q41のベース電位の変動に対応した電圧が入力され
る。差動増幅器の他方の入力は、トランジスタQ46の
エミッタに接続される。トランジスタQ46のベース電
位は抵抗R41、R42の抵抗比で決まる一定値に固定
されるため、トランジスタQ46のエミッタ電位も一定
値に固定される。これにより、トランジスタQ43のベ
ース電位が一定に固定される。ここで、トランジスタQ
46のベース電位は、トランジスタQ2、Q4のコレク
タ電位の変動範囲内に設定する必要があるため、電源V
Rの電圧の中点レベルに設定する。
【0046】図6に高周波成分増幅回路B2の回路図を
示す。高周波成分増幅回路B2は、差動増幅器20と、
NPNトランジスタQ54、Q55からなるカレントミ
ラー回路と、PNPトランジスタQ56、Q57からな
るカレントミラー回路と、定電流源CC45、CC46
とからなり、図6に示すような接続関係で構成される。
差動増幅器20は、エミッタを共通にし定電流源CC4
5に接続した、PNPトランジスタQ50、Q51から
なる差動対と、NPNトランジスタQ52、Q53から
なるカレントミラー回路とから構成される。差動増幅器
20の一方の入力は端子A8に接続され、他方の入力は
端子A7に接続される。
【0047】以下に本実施形態のイオン電流検出装置U
4の動作を説明する。イオン電流が検出され、イオン電
流検出回路B0におけるトランジスタQ2のコレクタの
電位が上昇すると、端子A5を介して、ベース電位が上
昇し、トランジスタQ41のエミッタ電位が上昇する。
それに伴い、トランジスタQ42のベース電位が上昇
し、トランジスタQ42のコレクタ電流が減少する。ト
ランジスタQ42とトランジスタQ43のコレクタ電流
の総和は、定電流源CC42により定まり一定となるた
め、トランジスタQ43のコレクタ電流は増加する。ま
たトランジスタQ42のコレクタ電流の減少により、ト
ランジスタQ44のコレクタ電流も減少する。トランジ
スタQ44とトランジスタQ45は、カレントミラー回
路を構成しているため、トランジスタQ45のコレクタ
電流が減少する。したがって、トランジスタQ43のコ
レクタ電流が、トランジスタQ45のコレクタ電流より
大きくなるため、トランジスタQ43のコレクタ電位が
上昇し、トランジスタQ47のベース電位が上昇する。
トランジスタQ47のベース電位が上昇すると、トラン
ジスタQ48、Q49がオンする。トランジスタQ4
8、Q49は、コンデンサC41と共に積分回路を構成
し、実施の形態3で説明したように、端子A4を介し
て、イオン電流検出回路B0におけるトランジスタQ2
のエミッタ電位を負帰還制御する。本実施形態において
は、トランジスタQ43のコレクタ電流とトランジスタ
Q45のコレクタ電流の差電流により、コンデンサC4
1を充放電され、また積分回路の周波数特性も決定され
る。このようにして、トランジスタQ2のコレクタ電位
は抵抗R41、R42の分圧点電位に制御され、イオン
電流にノッキングによる高周波成分が重畳した時は、Q
2のコレクタに、抵抗R41、R42の分圧点電位を中
心にノッキングによる信号成分が現れる。
【0048】高周波成分増幅回路B2においてトランジ
スタQ2のコレクタに現れるノッキング信号成分は、ト
ランジスタQ41および端子A7を介して差動増幅器2
0の一方の入力に入力される。また、抵抗R41、R4
2、トランジスタQ46により定まる電圧が差動増幅器
20の他方の入力に入力される。トランジスタQ50、
Q51において、ノッキング信号の振動によりベース電
位に差が生じると、これらのトランジスタQ50、Q5
1のコレクタ電流の差電流が、トランジスタQ54,Q
55からなるカレントミラー回路により、トランジスタ
Q55のコレクタ電流として出力される。トランジスタ
Q55のコレクタ電流は、トランジスタQ56,Q57
からなるカレントミラー回路により、電流−電圧変換さ
れ、端子A9より2値出力として出力される。すなわ
ち、ノッキングによる高周波振動成分が検出されると、
高周波成分検出信号として、端子A9より「High」
の信号(以下「H」と称する)が出力され、高周波成分
が検出されない時は、「Low」の信号(以下「L」と
称する)が出力される。
【0049】ここで、トランジスタQ50、Q51、Q
55のコレクタ電流をそれぞれIC50、IC51、IC55と
すると次式が成り立つ。 IC55=IC51−IC50 ・・・(1) また、コンデンサC41の充放電電流は、トランジスタ
Q42、Q43のコレクタ電流の差電流に等しく、この
差に対応して、トランジスタQ42、Q43のベースの
差電圧が現れる。トランジスタQ50、Q51のベース
は、それぞれ、ゲイン調整回路B1aの差動増幅器16
のトランジスタQ43、Q42のベースと接続されてい
るため、トランジスタQ50、Q51のベースの差電圧
は、トランジスタQ42、Q43のベースの差電圧に等
しくなる。コンデンサC41の充放電電流をICH、定電
流源CC42、CC45の電流をICC42、ICC45とする
と次式が成り立つ。 IC55=ICH×(ICC45/ICC42) ・・・(2) 従って、ICC45>ICC42とすれば、コンデンサC41の
充放電電流は増幅されて、トランジスタQ55のコレク
タ電流として取り出せ、前述したように、端子A9より
2値出力として出力される。
【0050】実施の形態3では、ノッキング信号成分の
感度を高めるために積分回路における抵抗R4を大きく
する必要があったが、本実施形態のイオン電流検出装置
U4においては、差動増幅器とコンデンサによりノッキ
ング信号成分の検出を行うため、高い抵抗値の抵抗を必
要とせず、集積回路化に適したイオン電流検出装置を実
現する。
【0051】実施の形態5.イオン電流を検出する際に
は、点火コイルにて点火プラグに電気火花を発生させて
いる状態からイオン電流検出状態に至る過渡期におい
て、急激な電位の変動と配線や点火プラグの浮遊容量の
影響でイオン電流ではない電流が数百マイクロ秒程度の
短い時間流れ、誤検出の原因となる。本実施形態のイオ
ン電流検出装置では、ノッキング検出において、所定幅
以下のイオン電流が検出された時は、ノッキングの検出
を行なわず、所定時間幅より大きいイオン電流が検出さ
れた時のみノッキングの検出を行うことで、誤検出が防
止でき、ノッキング検出精度を向上する。すなわち、本
実施形態のイオン電流検出装置では、失火検出(イオン
電流検出)機能とノッキング検出機能とを備え、ノッキ
ング信号の検出に失火検出機能の回路動作を併用してノ
ッキング信号検出の精度を向上させている。
【0052】図7に、本実施の形態のイオン電流検出装
置U5の回路図を示す。図7において、イオン電流検出
装置U5は、イオン電流検出回路B0aと、ゲイン調整
回路B1aと、高周波成分増幅回路B2と、イオン電流
絶対量検出回路B3と、タイマ回路B4と、比較出力回
路B5とから構成される。
【0053】本実施形態のイオン電流検出装置U5にお
いて、イオン電流検出回路B0aは、シリンダ内で発生
したイオン電流を検出する。ゲイン調整回路B1aは、
検出されたイオン電流から所定の周波数以下の電流の電
流量を一定に保持し、高周波成分増幅回路B2は、ゲイ
ン調整回路B1aから出力されたイオン電流から所定の
周波数以上の高周波成分を抽出し増幅した後、電圧に変
換する。イオン電流絶対量検出回路B3は、イオン電流
検出回路B0aで測定されたイオン電流を所定値と比較
し、所定値以上のイオン電流が検出されたかどうか判断
し、イオン電流検出信号を出力する。タイマ回路B4
は、イオン電流絶対量検出回路B3からの検出信号を、
所定時間だけ遅延させる。比較出力回路B5は、高周波
成分増幅回路B2から出力されるイオン電流の高周波成
分と、タイマ回路B4から出力される所定時間遅延させ
たイオン電流検出信号とを比較し、イオン電流が検出さ
れた時のみ、ノッキングの検出を行い、ノッキング検出
信号を出力する。
【0054】以下に本実施形態を構成する各回路ブロッ
クについて説明を行う。尚、ゲイン調整回路B1aおよ
び高周波増幅回路B2については、実施の形態4と同様
の構成であるので、ここでの説明は省略する。
【0055】図8にイオン電流検出回路B0aの回路図
を示す。イオン電流検出回路B0aは、図3に示すイオ
ン電流検出回路B0において、トランジスタQ1とべー
スとエミッタを共通にすることによりカレントミラー回
路を構成し、端子A10にコレクタを接続したPNPト
ランジスタQ75をさらに備えたものである。トランジ
スタQ1、Q2、Q3、Q75により、発生したイオン
電流に比例した電圧を発生するイオン電流電圧変換部2
1を構成する。トランジスタQ75は、トランジスタQ
1とカレントミラー回路を構成するため、トランジスタ
Q1のコレクタに電流が流れると、それに等しい電流が
トランジスタQ75のコレクタに流れ、端子A10から
取り出せる。
【0056】図9にイオン電流絶対量検出回路B3の回
路図を示す。イオン電流絶対量検出回路B3は、NPN
トランジスタQ58、Q59から構成されるカレントミ
ラー回路と、NPNトランジスタQ60〜Q62と、定
電流源CC47〜CC50とにより、図9に示す接続関
係で構成される。カレントミラー回路を構成するトラン
ジスタQ58、Q59のエミッタは接地され、トランジ
スタQ58のコレクタは、定電流源CC47を介して電
源ラインに接続され、トランジスタQ59のコレクタ
は、端子A10およびトランジスタQ60のベースに接
続される。トランジスタQ60のコレクタは、トランジ
スタQ61のベースに接続され、トランジスタQ61の
コレクタは、トランジスタQ62のベースに接続され
る。トランジスタQ60〜Q62のエミッタは、それぞ
れ接地され、エミッタはそれぞれ定電流源CC48〜C
C50を介して電源ラインVCCに接続される。トラン
ジスタQ62のコレクタは端子A11に接続される。
【0057】以下に本回路の動作を説明する。イオン電
流検出回路B0aでイオン電流が検出されると端子A1
0を介してトランジスタQ60のベースに検出された電
流が流れる。この時、検出されたイオン電流がトランジ
スタQ58、Q59で構成されるカレントミラー回路に
より定まる電流より大きいと、トランジスタQ60がオ
ンする。これにより、トランジスタQ61がオフし、ト
ランジスタQ62がオンし、端子A11から「L」が出
力される。検出されたイオン電流がカレントミラー回路
により定まる電流より小さいと、トランジスタQ60が
オフし、トランジスタQ61がオンし、トランジスタQ
62がオフし、端子A11から「H」が出力される。
【0058】図10にタイマ回路B4の回路図を示す。
タイマ回路B4は、PNPトランジスタQ64、Q65
とから構成される差動対、およびNPNトランジスタQ
66、Q67と抵抗R46とから構成されるリークカッ
ト回路を備え、トランジスタQ63、Q68と、抵抗R
43〜R45と、コンデンサC42と、定電流源CC5
1、CC55〜CC57とにより、図10に示す接続関
係で構成される。ここで、リークカット回路は、微小な
電流では動作しないようにするためのものである。差動
対を構成するトランジスタQ64のベースはトランジス
タQ63のコレクタに接続される。またトランジスタQ
65のベースは、抵抗R44、R45の接続点に接続さ
れ、コレクタはリークカット回路を構成するトランジス
タQ67のベースに接続される。トランジスタQ64の
ベースとグランド間にはコンデンサC42が接続され、
トランジスタQ64のベースと電源ラインVCC間には抵
抗R43が接続される。トランジスタQ63のベースに
は端子A11が接続され、イオン電流絶対量検出回路B
3からのイオン電流検出信号が入力される。トランジス
タQ67のコレクタは端子A12が接続され、比較出力
回路B5にイオン電流検出信号が出力される。トランジ
スタQ68のコレクタは端子A13に接続され、失火検
出信号が出力される。
【0059】以下に、本回路の動作を説明する。端子A
11から「L」が入力されると、トランジスタQ63が
オフし、コンデンサC42が抵抗R43を介して流れる
電流により充電される。コンデンサC42の充電にとも
ない、トランジスタQ64のベース電位が上昇してい
き、トランジスタQ64のベース電位が、抵抗R44、
R45の抵抗値、電源ラインVCCの電圧値で定まるQ6
5のベース電位よりも上昇すると、トランジスタQ65
のコレクタ電流が増加し、トランジスタQ67がオンす
る。トランジスタQ67がオンすると、トランジスタQ
68がオフし、端子A13から「H」が出力される。す
なわち、端子A11に「L」が入力されると、コンデン
サの充電によりトランジスタQ64のベース電位が、ト
ランジスタQ65の所定のベース電位よりも上昇する時
間だけ遅延された後、端子A13から「H」が出力され
る。この遅延時間は、コンデンサC42の容量値、抵抗
R43の抵抗値およびトランジスタQ65のベース電位
により決定される。
【0060】一方、端子A11から「H」が入力され、
トランジスタQ63がオンした時は、コンデンサC42
はトランジスタQ63のコレクタ電流により放電されト
ランジスタQ64のベース電位が下降する。トランジス
タQ64のベース電位がトランジスタQ65のベース電
位よりも低くなると、トランジスタQ65のコレクタ電
流が減少し、トランジスタQ67がオフする。トランジ
スタQ67がオフすると、トランジスタQ68はオン
し、端子A13から「L」が出力される。
【0061】図11に比較出力回路B5の回路図を示
す。比較出力回路B5は、PNPトランジスタQ70、
Q71とから構成される差動対、およびNPNトランジ
スタQ72、Q73と抵抗R49とから構成されるリー
クカット回路を備え、NPNトランジスタQ69、Q7
4、Q76と、抵抗R47、R48と、定電流源CC5
4〜CC57とにより、図11に示す接続関係で構成さ
れる。差動対を構成するトランジスタQ70のベースは
トランジスタQ69のコレクタに接続される。またトラ
ンジスタQ71のベースは、抵抗R47、R48の接続
点に接続され、そのコレクタはリークカット回路を構成
するトランジスタQ73のベースに接続される。トラン
ジスタQ76のコレクタには端子A14が接続され、ノ
ッキング検出信号が出力される。
【0062】以下に比較出力回路B5の動作を説明す
る。比較出力回路B5は、高周波成分増幅回路B2で検
出された高周波振動成分の信号と、タイマ回路B4から
出力されるイオン電流検出信号とを比較することによ
り、所定時間以上のイオン電流が流れている間のみノッ
キング検出を行うものである。
【0063】トランジスタQ69に「H」が入力され、
オンした時は、高周波成分増幅回路B2(図6)のトラ
ンジスタQ55のコレクタ電位がトランジスタQ69の
飽和電圧に固定されることにより、高周波成分の検出が
行われない。すなわち、トランジスタQ69のコレクタ
電位が低く、トランジスタQ70のベース電位がトラン
ジスタQ71のベース電位よりも低くなると、トランジ
スタQ71のコレクタ電流が減少し、トランジスタQ7
3がオフし、トランジスタQ74がオンし、トランジス
タQ76がオフすることにより、端子A14から「H]
が出力される。
【0064】一方、トランジスタQ69に「L」が入力
され、オフした時は、トランジスタQ70のベース電位
は、端子A9を介して高周波成分増幅回路B2から出力
される高周波成分検出信号の電位に対応する。イオン電
流中に含まれる高周波成分が検出され、高周波成分検出
信号が「H」の時は、トランジスタQ70のベース電位
が上昇する。トランジスタQ70のベース電位がトラン
ジスタQ71のベース電位よりも上昇すると、トランジ
スタQ71のコレクタ電流が増加し、トランジスタQ7
3がオンする。トランジスタQ73がオンすると、トラ
ンジスタQ74がオフし、トランジスタQ76がオンす
る。この時、端子A14から「L」が出力される。すな
わち、トランジスタQ69がオフの時は、高周波成分増
幅回路B2からの高周波成分検出信号の入力に対応し
て、高周波成分が検出された時に、ノッキング検出信号
として端子A14から「L」を出力する。
【0065】以上のようにして本実施形態のイオン電流
検出装置において、イオン電流が検出された時は、イオ
ン電流絶対量検出回路B3から「L」が出力される。タ
イマ回路B4で、この信号が所定時間遅延された後、比
較出力回路B5に「L」が出力される。この時、比較出
力回路B5では、このタイマ回路B4からの出力「L」
と、高周波成分増幅回路B2で検出された高周波成分検
出信号との論理和がとられることにより、所定時間以上
のイオン電流が検出された時に、ノッキング検出信号が
出力される。すなわち、高周波成分が検出された時は、
ノッキング検出信号として端子A14から「L」が出力
される。一方、所定時間以上のイオン電流が検出されな
い時は、イオン電流絶対量検出回路B3において「H」
が出力され、タイマ回路B4を介して、「H」が比較出
力回路B5に出力される。比較出力回路B5では、
「H」が入力されると、前述したように、端子A14か
ら「H」が出力される。
【0066】上記のようにして、本実施形態のイオン電
流検出装置U5では、イオン電流の検出と、検出された
イオン電流の高周波成分の抽出とを行い、イオン電流の
検出信号を所定時間だけ遅延させ、抽出された高周波成
分と比較することにより、極めて短い時間だけ流れる電
流をキャンセルすることにより誤検出を防止する。これ
により、イオン電流検出(失火検出)とノッキング検出
を同時に行い、ノッキング検出のためのマスク用の信号
を外部より別途提供されることなく、高精度にノッキン
グを検出できる。
【0067】実施の形態6.本実施形態のイオン電流検
出装置は、エンジン回転数を検出し、回転数に応じた誤
検出防止用の電流を検出されたイオン電流に帰還させ
て、広範囲のエンジン回転数での失火検出を実現するも
のである。
【0068】図12に本実施形態のイオン電流検出装置
U6の回路図を示す。イオン電流検出装置U6は、イオ
ン電流検出回路B0bと、ゲイン調整回路B1aと、高
周波成分増幅回路B2と、イオン電流絶対量検出回路B
3と、タイマ回路B4と、比較出力回路B5とエンジン
回転数検出回路B6とから構成される。
【0069】イオン電流検出回路B0bは図13に示さ
れるように構成され、図8に示されるイオン電流検出回
路B0aのダイオードD3とコンデンサC1の間に直列
にダイオードD5をさらに備えている。ダイオードD5
は、エンジン回転数検出回路B6におけるトランジスタ
Q77の駆動電圧を得るために挿入されている。
【0070】図14にエンジン回転数検出回路の回路図
を示す。エンジン回転数検出回路B6は、NPNトラン
ジスタQ77、Q78で構成されるカレントミラー回路
と、PNPトランジスタQ79、Q80で構成されるカ
レントミラー回路と、PNPトランジスタQ81と、N
PNトランジスタQ82、Q83と、抵抗R50〜R5
3と、コンデンサC43、定電流源CC58とにより、
図14に示されるような接続関係で構成される。カレン
トミラー回路を構成するトランジスタQ77のコレクタ
は抵抗R50を介して端子A15に接続され、エンジン
回転数に応じた電流を入力する。またトランジスタQ5
3のエミッタは、抵抗R53を介して端子A15に接続
され、エンジン回転数に比例した大きさの帰還電流を出
力する。以下に本回路の動作を説明する。
【0071】点火時には、イオン電流検出回路B0bに
おいて、前述したように一次側点火コイルL1の電圧に
よりコンデンサC1が充電され、数十マイクロ〜数百マ
イクロ秒程度の極めて短い期間、充電電流が端子A1→
抵抗R3→ダイオードD4→コンデンサC1→ダイオー
ドD5→ダイオードD3→接地の経路で流れる。この
時、エンジン回転数検出回路B6において、端子A15
→抵抗R50→トランジスタQ77→接地の経路で電流
が流れる。この時に流れるトランジスタQ77のコレク
タ電流は、充電電流によるダイオードD3、D5の順方
向電圧降下と抵抗R50の抵抗値、トランジスタQ77
の特性により決定される。トランジスタQ77、Q78
はカレントミラー回路を構成するため、トランジスタQ
77のコレクタ電流と同じ大きさの電流がトランジスタ
Q78のコレクタに流れる。トランジスタQ79、Q8
0もカレントミラー回路を構成するため、同様にして、
定電流源CC58により定まる電流がトランジスタQ8
0のコレクタに流れる。従って、トランジスタQ78の
コレクタ電流がトランジスタQ80のコレクタ電流より
も大きくなるとトランジスタQ81のベース−エミッタ
間が順方向バイアスされベース電流が流れる。トランジ
スタQ81のコレクタ電流はトランジスタQ82のベー
ス電流となり、トランジスタQ82で増幅されて、抵抗
R52を介してコンデンサC43に流入する。トランジ
スタQ82のエミッタ電流の最大値が十分大きければ、
コンデンサC43の充電電流は、抵抗R52とコンデン
サC43の保持電圧で制限される。
【0072】点火が終了し、イオン電流検出状態にある
ときは、コンデンサC1の充電電流が減少し、トランジ
スタQ1、Q3の動作により端子A15の電位はゼロに
なる。従って、トランジスタQ78のコレクタ電流が減
少し、トランジスタQ80はコレクタ電流の流れる経路
がなくなるため飽和し、トランジスタQ81のベース−
エミッタ間がトランジスタQ80の飽和電圧に等しくな
り、トランジスタQ81はオフする。トランジスタQ8
1がオフするとトランジスタQ82がオフし、コンデン
サC43の充電が停止し、抵抗R54またはトランジス
タQ83のベースに放電により電流を流す。以上のよう
にしてコンデンサC43は、点火時において充電され、
非点火時に放電する。コンデンサC43の容量値が十分
大きいとすると、点火のタイミングが短い時には、充電
される電荷の量が放電される電荷の量を上回るため、コ
ンデンサC43の保持電圧が上昇する。
【0073】コンデンサC1の充電期間は、点火コイル
の一次側に流れる電流と点火コイルのインダクタンスに
より決まり、約数十マイクロ〜数百マイクロ秒程度でほ
ぼ一定の長さとなる。前述したように、コンデンサC4
3の容量値が十分大きければ、一回の点火による充電で
はコンデンサC43は飽和せず、点火の回数毎に保持電
圧が一定電圧だけ上昇する。従って、エンジンの回転数
が高い時は、点火の周期が短くなるため、コンデンサC
43の保持電圧がエンジン回転数に比例して高くなり、
エンジンの回転数が低い時は、点火の周期が長くなるた
め、コンデンサC43の保持電圧は高くならない。
【0074】コンデンサC43の保持電圧が高くなりト
ランジスタQ83のベース−エミッタ間が順方向バイア
スされるとトランジスタQ83のエミッタ電流が抵抗R
53を介して端子A15に帰還される。この帰還電流
は、コンデンサC43の保持電圧、トランジスタQ83
のベース−エミッタ間順方向電圧降下、抵抗R52の抵
抗値、および端子A15の電位によって定まる。抵抗R
52は数十KΩ〜数MΩ程度の高い抵抗を用い、帰還電
流がトランジスタQ80のコレクタ電流よりも大きくな
らないように設定する。
【0075】これにより、エンジン回転数が低い場合に
は、コンデンサC43の保持電圧が低いので帰還する電
流が少なく、エンジン回転数が高い場合は、コンデンサ
C43の保持電圧が高いので帰還電流が多くなる。この
帰還電流により、イオン電流測定回路B0bにおけるト
ランジスタQ1のコレクタで検出されるイオン電流が低
減される。すなわち、エンジンの回転数に応じて測定で
きるイオン電流の閾値を変化させることができる。尚、
本実施形態においては、コンデンサC43に流入する電
流が所定値以上である期間中に、コンデンサC43の充
電を行う回路を示したが、流入する電流が所定値以上に
なると、回路により定められた所定期間のみコンデンサ
を充電する回路を用いてもよい。
【0076】実施の形態7.本実施形態のイオン電流検
出装置は、図15に示すように独立着火方式の点火回路
に適用するものであり、実施の形態6のイオン電流検出
装置U6におけるイオン電流測定部B0bの代わりに、
図16で示されるゲイン調整部B0cを用いることによ
り実現される。イオン電流検出部B0cは、図13で示
されるイオン電流測定部B0bにおいて、抵抗R3とダ
イオードD4の代わりに、一端をツェナダイオードZD
2のカソードに接続した抵抗R6と、抵抗R6の多端に
カソードを接続し、端子A1aにアノードを接続したダ
イオードD6と、端子A1bにアノードを接続し、カソ
ードをダイオードD6のカソードに接続したダイオード
D7を備えている。独立着火方式では、図15に示すよ
うに、点火プラグ毎に点火を制御するため点火コイルL
1、L2、L3、L4および点火コイルL1、L3に起
電力を発生させるためのトランジスタT1、T2が設け
られている。従って、点火プラグPG1が点火中には端
子A1a→ダイオードD6→抵抗R6を介して、点火プ
ラグPG2が点火中には端子A1b→ダイオードD7→
抵抗R6を介して、コンデンサC1にイオン電流検出の
ための電荷が充電される。コンデンサC1に充電された
電荷により、燃焼直後にシリンダ内に電流を流すことに
より、前述した動作に基づきイオン電流、ノッキング信
号を検出することができる。
【0077】実施の形態8.本実施形態のイオン電流検
出装置は、実施の形態6のイオン電流検出装置におい
て、ノッキング信号の誤検出をさらに低減するものであ
り、実施の形態6のイオン電流検出装置U6におけるゲ
イン調整部B1aの代わりに、図17で示されるゲイン
調整部B1bを用いることにより実現される。すなわ
ち、本実施形態のゲイン調整部B1bは、図5に示され
るB1aの回路において、コンデンサC41とトランジ
タQ45のコレクタとの接続点の間にコンデンサC44
を直列に挿入し、コンデンサC44とコンデンサC41
の接続点を抵抗R55を介して接地している。ノッキン
グ信号は、エンジン固有の振動成分を有しており、特定
の狭い周波数範囲の振動を発生する。イオン電流に重畳
するノッキング信号成分も同様であり、そのため、ノッ
キング検出にはフィルタ特性が要求される。実施の形態
6のイオン電流検出装置では、コンデンサC41の容量
値により、フィルタ特性が決定されるが、この場合、パ
スする周波数領域が広く、ノッキングの周波数成分以外
の減衰量は大きくない。そのため、ノッキング以外の電
流振動成分が重畳したときにノッキング信号として検出
する可能性がある。本実施形態では、図17に示すよう
に回路を構成することにより、フィルタの特性を急峻に
し、ノッキング信号以外の成分の信号の減衰量を高める
ことにより、ノッキング信号検出時の誤検出を防止す
る。
【0078】尚、上記実施形態1〜6、8のイオン電流
検出装置において、同時着火方式の点火回路に対する適
用について説明したが、本発明は、端子A2と、端子A
2にアノードを接続し、カソードを点火プラグに接続し
たダイオードと、点火プラグからなる電流経路を複数設
けることにより、高圧配電方式の点火回路に対しても適
用できる。
【0079】
【発明の効果】本発明に係る第1イオン電流検出装置に
よれば、前記イオン電流電圧変換回路をカレントミラー
回路により構成することにより、簡単な回路でイオン電
流の検出を可能とする。
【0080】好ましい構成の前記第1イオン電流検出装
置によれば、前記出力回路において、前記抵抗により、
検出されたイオン電流を電圧変換し出力することができ
る。
【0081】好ましい構成の前記第1イオン電流検出装
置によれば、前記出力回路において、前記カレントミラ
ー回路により、感度よく検出されたイオン電流を電圧変
換し出力することができる。
【0082】好ましい構成の前記第1イオン電流検出装
置によれば、前記第1イオン電流検出手段においてイオ
ン電流を検出し、ノッキング信号検出手段において、検
出されたイオン電流の中の所定周波数以下の信号の電流
量を一定に制限し、前記第1イオン電流検出手段に負帰
還することにより、所定周波数以上の電流成分をノッキ
ング信号として抽出する。これにより、イオン電流から
ノッキング信号が抽出できる。
【0083】本発明に係る第2イオン電流検出装置によ
れば、イオン電流の検出(失火検出)と、ノッキング信
号の検出を同時に実現し、イオン電流絶対量検出手段
と、高周波成分増幅手段と、タイマ手段と、比較出力手
段を組み合わせてノッキング検出のマスクを行うこと
で、別途ノッキング検出のマスク用の信号を受けること
なく高精度にノッキング信号の検出を行うことができ
る。
【0084】好ましい構成の前記第2イオン電流検出装
置によれば、シリンダ内で発生したイオン電流を検出
し、所定の電圧変換率および可変の電圧変換率で電圧変
換し出力することができる。
【0085】好ましい構成の前記第2イオン電流検出装
置によれば、エンジン回転数を検出し、検出したエンジ
ン回転数に比例した電流を前記第2イオン電流検出回路
に帰還することにより、エンジン回転数全域において、
ノッキング検出を行うことができる。
【0086】好ましい構成の前記第2イオン電流検出装
置によれば、前記エンジン回転数検出手段において、前
記コンデンサは、点火毎に点火コイルに発生する電圧に
より充電され、これによりエンジン回転数を計測する。
これによりエンジン回転数を、前記コンデンサの保持電
圧として計測できる。
【0087】好ましい構成の前記第1または第2イオン
電流検出装置によれば、前記イオン電流検出手段におい
て、複数の点火コイルから独立して検出用電圧を充電で
きるように複数個のダイオードを備えたことにより、独
立着火方式の点火方式にも適用するイオン電流検出装置
が実現できる。
【0088】好ましい構成の前記第2イオン電流検出装
置によれば、前記ゲイン調整手段において、前記積分回
路における周波数特性を急峻にすることにより、ノッキ
ング信号以外の成分の信号の減衰量を大きくすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1のイオン電流検出装置
の回路図。
【図2】 本発明の実施の形態2のイオン電流検出装置
の回路図。
【図3】 本発明の実施の形態3のイオン電流検出装置
の回路図。
【図4】 本発明の実施の形態4のイオン電流検出装置
のブロック構成図。
【図5】 実施の形態4のイオン電流検出装置における
ゲイン調整回路の回路図。
【図6】 実施の形態4のイオン電流検出装置における
高周波成分増幅回路の回路図。
【図7】 本発明の実施の形態5のイオン電流検出装置
ののブロック構成図。
【図8】 実施の形態5のイオン電流検出装置における
イオン電流検出回路の回路図。
【図9】 実施の形態5のイオン電流検出装置における
イオン電流絶対量検出回路の回路図。
【図10】 実施の形態5のイオン電流検出装置におけ
るタイマ回路の回路図。
【図11】 実施の形態5のイオン電流検出装置におけ
る比較出力回路の回路図。
【図12】 本発明の実施の形態6のイオン電流検出装
置におけるブロック構成図。
【図13】 実施の形態6のイオン電流検出装置におけ
るイオン電流検出回路の回路図。
【図14】 実施の形態6のイオン電流検出装置におけ
るエンジン回転数検出回路の回路図。
【図15】 実施の形態7のイオン電流検出装置の独立
着火方式の点火回路への適用を表す図。
【図16】 実施の形態7のイオン電流検出装置におけ
るイオン電流検出回路の回路図。
【図17】 実施の形態8のイオン電流検出装置におけ
るゲイン調整回路の回路図。
【符号の説明】
10 検出用電圧発生部、11 電流検出部、13,1
5,21 イオン電流電圧変換部、14,18 反転増
幅器、16,20 差動増幅器、A1〜A14、A1
a、A1b、A2 端子、B0、B0b、B0c イオ
ン電流検出回路、B1 ノッキング信号抽出回路、B1
a,B1b ゲイン調整回路、B2 高周波成分増幅回
路、B3 イオン電流絶対量検出回路、B4 タイマ回
路、B5 比較出力回路、B6 エンジン回転数検出回
路、C1,C41〜C44 コンデンサ、CC1,CC
41〜CC58 定電流源、D1〜D7 ダイオード、
DISディストリビュータ、L1〜L4 点火コイル、
PG1〜PG2 点火プラグ、Q4,Q5,Q44,Q
45,Q48,Q49,Q52〜Q55,Q58〜Q6
3,Q66〜Q69,Q72〜Q74,Q76〜Q7
8,Q82,Q83 NPNトランジスタ、Q1〜Q
3,Q41〜Q43,Q46,Q47,Q50,Q5
1,Q56,Q57,Q64,Q65,Q70,Q7
1,Q75,Q79〜Q81 PNPトランジスタ、R
1〜R4,R41〜R55 抵抗、S1,S2シリン
ダ、T1,T2 点火トランジスタ、U1〜U6 イオ
ン電流検出装置、VB バッテリ、VCC 内部電源、V
R 定電流回路用電源、ZD1,ZD2,ZD4〜ZD
6 ツェナダイオード。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一時側に印加された電圧により二次側に
    高電圧を発生させる点火コイルと、点火コイルに発生し
    た電圧により点火する点火プラグと、シリンダとからな
    る内燃機関において、燃焼時に発生するイオン電流を検
    出する装置であって、 前記点火コイルの一時側にアノードが接続された第1ダ
    イオードと、前記第1ダイオードのカソードに一端が接
    続され、点火時に前記点火コイルの一次側に発生する電
    圧により充電される第1コンデンサと、前記第1コンデ
    ンサの他端にアノードが接続され、カソードが接地さ
    れ、前記コンデンサの充電時に、前記第1ダイオードお
    よび前記第1コンデンサと共に充電電流経路を形成する
    第2ダイオードとからなる検出用電圧発生回路と、 前記コンデンサの放電による電圧を点火プラグに印加す
    ることにより前記シリンダ内に発生するイオン電流を入
    力とし、該イオン電流に等しい電流を出力するカレント
    ミラー回路と、前記カレントミラー回路からの出力電流
    を電圧に変換し出力する出力回路とを備えるイオン電流
    電圧変換回路とを設けたことを特徴とするイオン電流検
    出装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のイオン電流検出装置に
    おいて、前記出力回路は、抵抗からなることを特徴とす
    るイオン電流検出装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のイオン電流検出装置に
    おいて、前記出力回路は、カレントミラー回路からなる
    定電流回路を備えたことを特徴とするイオン電流検出装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のイオン電流検出装置に
    おいて、さらに、前記イオン電流電圧変換回路における
    イオン電流を出力電圧に変換する比率を制御するゲイン
    調整手段と、イオン電流の電流波形に重畳する所定周波
    数以上の電流成分を電圧変換して出力する高周波成分増
    幅手段とを備え、 前記ゲイン調整手段は、所定の基準電圧を発生する基準
    電圧回路と、前記イオン電流電圧変換回路の出力を入力
    の一方に接続し、他方の入力を基準電圧回路の出力に接
    続し、入力の差電圧を増幅する第1差動増幅器と、コン
    デンサと反転増幅器とから構成され、前記第1差動増幅
    器の出力を入力とし、出力を前記イオン電流電圧変換回
    路に帰還出力する積分回路とからなり、 前記高周波成分増幅手段は、前記第1差動増幅器と入力
    を共通にした第2差動増幅器と、第2差動増幅器の出力
    を電圧変換し出力する手段とからなることを特徴とする
    イオン電流検出装置。
  5. 【請求項5】 一時側に印加された電圧により二次側に
    高電圧を発生させる点火コイルと、点火コイルに発生し
    た電圧により点火する点火プラグと、シリンダとからな
    る内燃機関において、 シリンダ内に発生したイオン電流を検出し、個定の電圧
    変換率で電圧に変換された第1出力と可変の電圧変換率
    で変換された第2出力とを出力するイオン電流検出手段
    と、 前記イオン電流検出手段の前記第1出力により、イオン
    電流の絶対量を検出し、所定値以上の電流が流れた時
    に、イオン電流検出信号を出力するイオン電流絶対量検
    出手段と、 前記イオン電流検出信号を所定時間遅延させる遅延手段
    と、 前記イオン電流検出手段の前記第2出力の電圧変換率を
    制御するゲイン調整手段と、 イオン電流の電流波形に重畳する所定周波数以上の電流
    成分を電圧変換して高周波成分検出信号として出力する
    高周波成分増幅手段と、 前記遅延手段からの遅延されたイオン電流検出信号と前
    記高周波成分検出信号とを比較し、イオン電流が検出さ
    れた時のみ、前記高周波検出信号を出力する比較出力手
    段とを備えたイオン電流検出装置であって、 前記イオン検出手段は、前記点火コイルの一次側に発生
    する電圧により、イオン電流検出用の電圧を充電する第
    1コンデンサと、前記第1コンデンサの放電により電圧
    を点火プラグに印加することにより前記シリンダ内に発
    生するイオン電流を検出し、前記第1出力および第2出
    力を出力するイオン電流電圧変換回路とを有し、 前記ゲイン調整手段は、前記イオン電流検出手段からの
    第2出力と所定電圧との差電圧を増幅する第3差動増幅
    器と、第2コンデンサと増幅器とから構成され前記第3
    差動増幅器の出力を入力し前記イオン電流電圧変換回路
    に帰還出力する積分回路とを有し、 前記高周波成分増幅手段は、前記第3差動増幅器と入力
    を共通にした第4差動増幅器を有することを特徴とする
    イオン電流検出装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のイオン電流検出装置に
    おいて、前記イオン電流電圧変換回路は、第1トランジ
    スタと、該第1トランジスタのベースにベースを接続し
    た第2トランジスタと、一端を前記第1トランジスタの
    エミッタに接続し、他端を前記第2トランジスタのエミ
    ッタに接続し、第2トランジスタのエミッタ電位を制御
    する制御回路と、ベースとエミッタを前記第1トランジ
    スタと共通にした第3トランジスタとから構成されるイ
    オン電流電圧変換回路からなり、 前記第3トランジスタのコレクタ電位を前記第1出力と
    して出力し、前記第2トランジスタのコレクタタ電位を
    前記第2出力として出力することを特徴とするイオン電
    流検出装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のイオン電流検出装置に
    おいて、前記制御回路は、抵抗からなることを特徴とす
    るイオン電流検出装置。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載のイオン電流検出装置に
    おいて、エンジン回転数を検出し、検出したエンジン回
    転数が所定値より高い時は、イオン電流検出の閾値を高
    くし、エンジン回転数が低い時は、イオン電流検出の閾
    値を低くするエンジン回転数検出手段をさらに設けたこ
    とを特徴とするイオン電流検出装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のイオン電流検出装置に
    おいて、前記エンジン回転数検出手段は、点火時毎に、
    前記点火コイルに発生する電圧により充電することによ
    り、エンジン回転数に比例した保持電圧を発生させるコ
    ンデンサと、前記コンデンサを充電する充電回路とを備
    え、前記コンデンサの保持電圧に応じた電流を前記イオ
    ン電流検出手段に帰還させることにより前記閾値を制御
    することを特徴とするイオン電流検出装置。
  10. 【請求項10】 請求項1または請求項5に記載のイオ
    ン電流検出装置において、前記第1コンデンサに対し、
    カソードを共通にして並列に接続され、アノードを複数
    の点火コイルに接続される複数のダイオードを設けるこ
    とにより、複数の点火コイルから前記第1コンデンサの
    充電を可能とすることを特徴とするイオン電流検出装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項5に記載のイオン電流検出装置
    において、前記ゲイン調整手段は、前記第2コンデンサ
    と前記第3差動増幅器の出力との間に直列に接続された
    第3コンデンサと、前記第2コンデンサと前記第3コン
    デンサの接続点に一端を接続し、他端を接地した抵抗と
    をさらに設けたことにより前記積分回路における周波数
    特性を急峻にすることを特徴とするイオン電流検出装
    置。
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