JPH09263496A - チタン酸バリウム単結晶の製造方法 - Google Patents
チタン酸バリウム単結晶の製造方法Info
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- JPH09263496A JPH09263496A JP7600696A JP7600696A JPH09263496A JP H09263496 A JPH09263496 A JP H09263496A JP 7600696 A JP7600696 A JP 7600696A JP 7600696 A JP7600696 A JP 7600696A JP H09263496 A JPH09263496 A JP H09263496A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】大粒径を有するチタン酸バリウムの単結晶を育
成する方法を提供する。 【解決手段】平均粒子径が10μm以下のチタン酸バリ
ウム粉末を成形して得られる微結晶粒子集合体に、最高
温度が1618℃未満1200℃以上であり、温度勾配
を該微結晶粒子集合体中で移動させるとき移動方向が低
温側であるような温度勾配を与え、該温度勾配を該微結
晶粒子集合体中で移動させて、該温度勾配の高温側から
異常粒成長を起こさせ、異常粒成長が起こった後に移動
速度を減少させることにより異常粒成長を促進させて、
単結晶を育成することを特徴とするチタン酸バリウム単
結晶の製造方法。
成する方法を提供する。 【解決手段】平均粒子径が10μm以下のチタン酸バリ
ウム粉末を成形して得られる微結晶粒子集合体に、最高
温度が1618℃未満1200℃以上であり、温度勾配
を該微結晶粒子集合体中で移動させるとき移動方向が低
温側であるような温度勾配を与え、該温度勾配を該微結
晶粒子集合体中で移動させて、該温度勾配の高温側から
異常粒成長を起こさせ、異常粒成長が起こった後に移動
速度を減少させることにより異常粒成長を促進させて、
単結晶を育成することを特徴とするチタン酸バリウム単
結晶の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はチタン酸バリウムの
単結晶の製造方法に関する。
単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】チタン酸バリウムの焼結体は、誘電体や焦
電体として電子工業の分野で広く利用されている。チタ
ン酸バリウムの単結晶は多結晶体である焼結体に比べて
結晶方位が揃っているため、誘電率や焦電係数を高くす
ることができる。
電体として電子工業の分野で広く利用されている。チタ
ン酸バリウムの単結晶は多結晶体である焼結体に比べて
結晶方位が揃っているため、誘電率や焦電係数を高くす
ることができる。
【0003】チタン酸バリウムの単結晶は、フォトリフ
ラクティブ効果が大きく、位相共役波発生材料として高
解像度画像処理、実時間ホログラム、レーザー共振器な
どに応用できる非線形光学結晶体である。
ラクティブ効果が大きく、位相共役波発生材料として高
解像度画像処理、実時間ホログラム、レーザー共振器な
どに応用できる非線形光学結晶体である。
【0004】チタン酸バリウムの単結晶として有効な正
方晶のチタン酸バリウムは、相図が示すように融液から
直接的に単結晶化して得ることができないため、KF、
BaCl2 を融剤としたフラックス法、またはTiO2
を過剰にした融液を利用したトップシードソルーション
グロース法(以下、TSSG法ということがある)によ
って単結晶を育成しているのが現状である。
方晶のチタン酸バリウムは、相図が示すように融液から
直接的に単結晶化して得ることができないため、KF、
BaCl2 を融剤としたフラックス法、またはTiO2
を過剰にした融液を利用したトップシードソルーション
グロース法(以下、TSSG法ということがある)によ
って単結晶を育成しているのが現状である。
【0005】しかしながら、フラックス法ではチタン酸
バリウムの単結晶はバタフライ形といわれる小さい単結
晶しか得ることができないという問題がある。また、T
SSG法では白金坩堝を使用するため製造コストが高
く、単結晶の育成のとき不純物の混入が避けられないと
いう問題がある。また、これらの製造方法においては、
大きな単結晶が得られないこと、単結晶の育成に時間が
かかること、原料のロスが大きいことなどの問題も含ん
でいる。
バリウムの単結晶はバタフライ形といわれる小さい単結
晶しか得ることができないという問題がある。また、T
SSG法では白金坩堝を使用するため製造コストが高
く、単結晶の育成のとき不純物の混入が避けられないと
いう問題がある。また、これらの製造方法においては、
大きな単結晶が得られないこと、単結晶の育成に時間が
かかること、原料のロスが大きいことなどの問題も含ん
でいる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、大粒径のチ
タン酸バリウムの単結晶の製造方法を提供しようとする
ものである。
タン酸バリウムの単結晶の製造方法を提供しようとする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、平均粒子径が
10μm以下のチタン酸バリウム粉末を成形して得られ
る微結晶粒子集合体に、最高温度が1618℃未満12
00℃以上であり、温度勾配を該微結晶粒子集合体中で
移動させるとき移動方向が低温側であるような温度勾配
を与え、該温度勾配を該微結晶粒子集合体中で移動させ
て、該温度勾配の高温側から異常粒成長を起こさせ、異
常粒成長が起こった後に移動速度を減少させることによ
り異常粒成長を促進させて、単結晶を育成することを特
徴とするチタン酸バリウム単結晶の製造方法に係るもの
である。以下に本発明について詳しく説明する。
10μm以下のチタン酸バリウム粉末を成形して得られ
る微結晶粒子集合体に、最高温度が1618℃未満12
00℃以上であり、温度勾配を該微結晶粒子集合体中で
移動させるとき移動方向が低温側であるような温度勾配
を与え、該温度勾配を該微結晶粒子集合体中で移動させ
て、該温度勾配の高温側から異常粒成長を起こさせ、異
常粒成長が起こった後に移動速度を減少させることによ
り異常粒成長を促進させて、単結晶を育成することを特
徴とするチタン酸バリウム単結晶の製造方法に係るもの
である。以下に本発明について詳しく説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の方法においては、原料と
して結晶粒子径が10μm以下、好ましくは5μm以
下、さらに好ましくは2μm以下であるチタン酸バリウ
ムの粉末すなわち微結晶粒子の集合体を用いる。このよ
うなチタン酸バリウムの微結晶粒子の集合体は粒子径が
10μm以下のチタン酸バリウム粉末を成形することに
より作製される。
して結晶粒子径が10μm以下、好ましくは5μm以
下、さらに好ましくは2μm以下であるチタン酸バリウ
ムの粉末すなわち微結晶粒子の集合体を用いる。このよ
うなチタン酸バリウムの微結晶粒子の集合体は粒子径が
10μm以下のチタン酸バリウム粉末を成形することに
より作製される。
【0009】粒子径が10μm以下のチタン酸バリウム
粉末は市販のチタン酸バリウム粉末を用いてもよいし、
炭酸バリウム粉末と酸化チタン粉末とを、乾式混合また
は湿式混合した後、1200℃以下の温度で仮焼し、固
相反応によりチタン酸バリウム粉末を得て用いてもよ
い。または蓚酸チタニルバリウムの粉末を仮焼してチタ
ン酸バリウム粉末として用いてもよい。
粉末は市販のチタン酸バリウム粉末を用いてもよいし、
炭酸バリウム粉末と酸化チタン粉末とを、乾式混合また
は湿式混合した後、1200℃以下の温度で仮焼し、固
相反応によりチタン酸バリウム粉末を得て用いてもよ
い。または蓚酸チタニルバリウムの粉末を仮焼してチタ
ン酸バリウム粉末として用いてもよい。
【0010】チタン酸バリウムの微結晶粒子集合体は、
チタン酸バリウムの微結晶粒子を一軸成形して作製して
もよいし、冷間静水圧加圧法(以下、CIP法というこ
とがある)で作製してもよい。また両者を組合せて、一
軸成形後にCIP法により加圧して作製してもよい。
チタン酸バリウムの微結晶粒子を一軸成形して作製して
もよいし、冷間静水圧加圧法(以下、CIP法というこ
とがある)で作製してもよい。また両者を組合せて、一
軸成形後にCIP法により加圧して作製してもよい。
【0011】このようにして得られたチタン酸バリウム
の微結晶粒子集合体をそのまま用いてもよいし、該微結
晶粒子集合体を予め1300℃以下の温度で焼成して、
粒子径が10μm以下のままで粒成長が起こらないよう
に緻密化してから用いてもよい。
の微結晶粒子集合体をそのまま用いてもよいし、該微結
晶粒子集合体を予め1300℃以下の温度で焼成して、
粒子径が10μm以下のままで粒成長が起こらないよう
に緻密化してから用いてもよい。
【0012】原料のチタン酸バリウム粉末中のチタン原
子とバリウム原子のモル比(Ti/Baモル比)は、
1.0以上1.1以下であることが好ましく、1.0以
上1.05以下であることがさらに好ましい。この範囲
のチタン酸バリウム粉末を用いることにより、チタン酸
バリウムの異常粒成長を容易に起こさせることができ
る。
子とバリウム原子のモル比(Ti/Baモル比)は、
1.0以上1.1以下であることが好ましく、1.0以
上1.05以下であることがさらに好ましい。この範囲
のチタン酸バリウム粉末を用いることにより、チタン酸
バリウムの異常粒成長を容易に起こさせることができ
る。
【0013】原料のチタン酸バリウム粉末中には、Li
F、NaF、KFなどのフッ化アルカリ、または二酸化
珪素、酸化アルミニウムなどの酸化物、またはタルク
(MgSiO3 )、CaSiO3 、SrSiO3 、Ba
SiO3 などのアルカリ土類珪酸塩を添加することが好
ましい。これらの添加量は特に限定されない。これらを
添加することによりチタン酸バリウムの異常粒成長を促
進することができる。また、これらを添加する方法は特
に限定されず、例えば、塗布する方法、粉末を混合する
方法などを適用できる。
F、NaF、KFなどのフッ化アルカリ、または二酸化
珪素、酸化アルミニウムなどの酸化物、またはタルク
(MgSiO3 )、CaSiO3 、SrSiO3 、Ba
SiO3 などのアルカリ土類珪酸塩を添加することが好
ましい。これらの添加量は特に限定されない。これらを
添加することによりチタン酸バリウムの異常粒成長を促
進することができる。また、これらを添加する方法は特
に限定されず、例えば、塗布する方法、粉末を混合する
方法などを適用できる。
【0014】チタン酸バリウムの微結晶粒子集合体に、
温度勾配を該微結晶粒子集合体中で移動させるときその
移動方向が低温側であるような温度勾配を与え、該温度
勾配を該微結晶粒子集合体中で移動させる方法は特に限
定されず、例えば、入口から中心部に向かって温度が上
昇する温度勾配を示す管状炉の中を、該結晶粒子集合体
を入口側から通過させる方法を挙げることができる。
温度勾配を該微結晶粒子集合体中で移動させるときその
移動方向が低温側であるような温度勾配を与え、該温度
勾配を該微結晶粒子集合体中で移動させる方法は特に限
定されず、例えば、入口から中心部に向かって温度が上
昇する温度勾配を示す管状炉の中を、該結晶粒子集合体
を入口側から通過させる方法を挙げることができる。
【0015】具体的には、例えば、中心部分の最高温度
から両端まで次第に温度が下がっているような温度勾配
を有する管状炉を用いて、該管状炉の片側の端(入口)
にチタン酸バリウムの微結晶粒子集合体を置き、反対側
から耐熱性の細線、例えば、白金線を用いて一定速度で
該微結晶粒子集合体を引いて、該管状炉中を該微結晶粒
子集合体を通過させる方法などを挙げることができる。
通過速度を十分遅くすることにより、管状炉の温度勾配
と略同じ温度勾配を該微結晶粒子集合体に与え、その温
度勾配を該微結晶粒子集合体中で移動させることができ
る。
から両端まで次第に温度が下がっているような温度勾配
を有する管状炉を用いて、該管状炉の片側の端(入口)
にチタン酸バリウムの微結晶粒子集合体を置き、反対側
から耐熱性の細線、例えば、白金線を用いて一定速度で
該微結晶粒子集合体を引いて、該管状炉中を該微結晶粒
子集合体を通過させる方法などを挙げることができる。
通過速度を十分遅くすることにより、管状炉の温度勾配
と略同じ温度勾配を該微結晶粒子集合体に与え、その温
度勾配を該微結晶粒子集合体中で移動させることができ
る。
【0016】一定速度で引く方法としては、例えば、シ
ンクロナスモーター等でプーリーや円筒を回転させて、
糸を巻き付け、糸の端を耐熱性の細線(例えば白金線
等)に結べばよい。また、チタン酸バリウムの微結晶粒
子集合体を管状炉中に浮かして固定しておき、管状炉の
方を移動させてもよい。管状炉としては、例えば、管状
電気炉を用いることができる。
ンクロナスモーター等でプーリーや円筒を回転させて、
糸を巻き付け、糸の端を耐熱性の細線(例えば白金線
等)に結べばよい。また、チタン酸バリウムの微結晶粒
子集合体を管状炉中に浮かして固定しておき、管状炉の
方を移動させてもよい。管状炉としては、例えば、管状
電気炉を用いることができる。
【0017】微結晶粒子集合体に与える温度勾配の最高
温度(管状炉の中心部の最高温度)は、チタン酸バリウ
ムの融点である1618℃より低くなければならず、さ
らに立方晶のチタン酸バリウムを得るためには立方晶と
六方晶の転移温度である1460℃より低くなければな
らない。また、1200℃以下では異常粒成長が起こら
ないので1200℃以上、好ましくは1300℃以上で
ある。粒成長速度は温度が高い程速くなるので、立方晶
のチタン酸バリウムの大きい単結晶を得るためには、好
ましくは1460℃未満1300℃以上の範囲に最適温
度を設定する。また、温度勾配の傾斜は、その移動速度
との兼ね合いで好ましい範囲が決められるので必ずしも
限定されない。例えば、移動速度が0.26mm/分の
とき、1300℃から1380℃に至る距離が140m
m程度であるような条件を用いることができる。
温度(管状炉の中心部の最高温度)は、チタン酸バリウ
ムの融点である1618℃より低くなければならず、さ
らに立方晶のチタン酸バリウムを得るためには立方晶と
六方晶の転移温度である1460℃より低くなければな
らない。また、1200℃以下では異常粒成長が起こら
ないので1200℃以上、好ましくは1300℃以上で
ある。粒成長速度は温度が高い程速くなるので、立方晶
のチタン酸バリウムの大きい単結晶を得るためには、好
ましくは1460℃未満1300℃以上の範囲に最適温
度を設定する。また、温度勾配の傾斜は、その移動速度
との兼ね合いで好ましい範囲が決められるので必ずしも
限定されない。例えば、移動速度が0.26mm/分の
とき、1300℃から1380℃に至る距離が140m
m程度であるような条件を用いることができる。
【0018】温度勾配が該微結晶粒子集合体中を移動す
るとき、該温度勾配の高温側から異常粒成長を起こさせ
ることができ、その際、移動速度を減少させることによ
り結晶粒を大きく成長させることができる。移動速度を
減少させる方法としては不連続的に減少させる方法が好
ましい。
るとき、該温度勾配の高温側から異常粒成長を起こさせ
ることができ、その際、移動速度を減少させることによ
り結晶粒を大きく成長させることができる。移動速度を
減少させる方法としては不連続的に減少させる方法が好
ましい。
【0019】移動速度を減少させる具体的な方法は特に
限定されない。例えば、移動速度を不連続的に減少させ
る方法としては、シンクロナスモーターの回転をギアな
どで減速し、一定速度でプーリーや円筒を回転させて、
糸を巻き付け、一定速度で引いているときにギア比を変
えて遅い一定速度に変える方法などを挙げることができ
る。
限定されない。例えば、移動速度を不連続的に減少させ
る方法としては、シンクロナスモーターの回転をギアな
どで減速し、一定速度でプーリーや円筒を回転させて、
糸を巻き付け、一定速度で引いているときにギア比を変
えて遅い一定速度に変える方法などを挙げることができ
る。
【0020】このようにして、チタン酸バリウムの微結
晶粒子集合体に生じた温度勾配を、例えば、等速度で移
動させ、該微結晶粒子集合体の高温側で異常粒成長が起
こりだしたら該微結晶粒子集合体の移動速度を不連続的
に減少させることにより、チタン酸バリウムの異常粒成
長が促進され、巨大化したチタン酸バリウム結晶を得る
ことができる。
晶粒子集合体に生じた温度勾配を、例えば、等速度で移
動させ、該微結晶粒子集合体の高温側で異常粒成長が起
こりだしたら該微結晶粒子集合体の移動速度を不連続的
に減少させることにより、チタン酸バリウムの異常粒成
長が促進され、巨大化したチタン酸バリウム結晶を得る
ことができる。
【0021】管状炉内で、好適にチタン酸バリウムの微
結晶粒子集合体に異常粒成長を起こさせるための、管状
炉の温度分布、微結晶粒子集合体の通過速度および減速
のタイミングなどの諸条件の設定は、下記の方法などに
より適宜決定することができる。
結晶粒子集合体に異常粒成長を起こさせるための、管状
炉の温度分布、微結晶粒子集合体の通過速度および減速
のタイミングなどの諸条件の設定は、下記の方法などに
より適宜決定することができる。
【0022】例えば、棒状のチタン酸バリウムの微結晶
粒子集合体を作製して、温度勾配のある管状炉内で移動
させることにより、該棒状の微結晶粒子集合体に異常粒
成長が起こっているところと起こっていないところが生
じる条件を見出す。そのような箇所が生ずる条件におい
て移動速度を減速することにより、その異常粒成長が起
こっている境目のところで異常粒成長が促進され、巨大
化したチタン酸バリウム結晶が得られる。
粒子集合体を作製して、温度勾配のある管状炉内で移動
させることにより、該棒状の微結晶粒子集合体に異常粒
成長が起こっているところと起こっていないところが生
じる条件を見出す。そのような箇所が生ずる条件におい
て移動速度を減速することにより、その異常粒成長が起
こっている境目のところで異常粒成長が促進され、巨大
化したチタン酸バリウム結晶が得られる。
【0023】このような条件が見出せれば、2回目から
は棒状のチタン酸バリウムの微結晶粒子集合体を用いな
くても、その条件でチタン酸バリウムの微結晶粒子集合
体に異常粒成長が促進されて巨大化したチタン酸バリウ
ムの結晶を育成させることができる。
は棒状のチタン酸バリウムの微結晶粒子集合体を用いな
くても、その条件でチタン酸バリウムの微結晶粒子集合
体に異常粒成長が促進されて巨大化したチタン酸バリウ
ムの結晶を育成させることができる。
【0024】巨大化したチタン酸バリウム結晶粒子を単
結晶として取り出す方法は特に限定されず、種々の方法
を採用することができる。例えば、結晶粒子集合体を酸
などを用いて微結晶や粒界部分を選択的に溶かして除け
ばよい。異常粒成長により巨大化した粒子を含むチタン
酸バリウム多結晶体を過剰量の濃塩酸中に浸漬しておく
と粒界部分が選択的に溶け、多結晶体が粒界部分から壊
れ、巨大粒子を単結晶粒子として取り出すことができ
る。
結晶として取り出す方法は特に限定されず、種々の方法
を採用することができる。例えば、結晶粒子集合体を酸
などを用いて微結晶や粒界部分を選択的に溶かして除け
ばよい。異常粒成長により巨大化した粒子を含むチタン
酸バリウム多結晶体を過剰量の濃塩酸中に浸漬しておく
と粒界部分が選択的に溶け、多結晶体が粒界部分から壊
れ、巨大粒子を単結晶粒子として取り出すことができ
る。
【0025】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0026】実施例1 富士チタン工業(株)製のチタン酸バリウム(平均粒子
径は約1μm)を棒状に静水圧加圧成形し、1200℃
で2時間焼成して、直径5mm、長さ100mmの棒状
のチタン酸バリウムの微結晶粒子集合体とした。次い
で、この棒状の微結晶粒子集合体を安定化ジルコニア製
ボートの上に乗せて、炉芯管(長さ1000mm)の中
心部(入口から500mm)の最高温度が1381℃で
あり、1300℃から1381℃まで上に凸の曲線を描
いてなだらかに昇温しており、その間の距離が約140
mmであるような温度勾配を示す管状電気炉中を、0.
26mm/分の速度で移動させながら焼成した。試行錯
誤により、異常粒成長が生ずる温度はほぼ1370℃
(入口から440mmのところ)であることを見出し
た。この条件を確認した後、微結晶粒子集合体の一部が
1370℃になる位置に至ったとき(換言すれば異常粒
成長が生じたとき)、移動速度を1/2に減速したとこ
ろ、粒成長の促進効果が見られ、まわりが約100μm
の粒子であるのに対して、最大径約500μmまで粒子
が大きくなっていた。
径は約1μm)を棒状に静水圧加圧成形し、1200℃
で2時間焼成して、直径5mm、長さ100mmの棒状
のチタン酸バリウムの微結晶粒子集合体とした。次い
で、この棒状の微結晶粒子集合体を安定化ジルコニア製
ボートの上に乗せて、炉芯管(長さ1000mm)の中
心部(入口から500mm)の最高温度が1381℃で
あり、1300℃から1381℃まで上に凸の曲線を描
いてなだらかに昇温しており、その間の距離が約140
mmであるような温度勾配を示す管状電気炉中を、0.
26mm/分の速度で移動させながら焼成した。試行錯
誤により、異常粒成長が生ずる温度はほぼ1370℃
(入口から440mmのところ)であることを見出し
た。この条件を確認した後、微結晶粒子集合体の一部が
1370℃になる位置に至ったとき(換言すれば異常粒
成長が生じたとき)、移動速度を1/2に減速したとこ
ろ、粒成長の促進効果が見られ、まわりが約100μm
の粒子であるのに対して、最大径約500μmまで粒子
が大きくなっていた。
【0027】比較例1 実施例1の棒状の微結晶粒子集合体を、実施例1と同様
の温度勾配の管状電気炉中を一定速度(0.26mm/
分)で移動させながら焼成した。このとき、移動速度は
減少させなかった。焼成後に観察したところ、棒状の微
結晶粒子集合体の全体が約100μmの粒子からできて
おり粒成長の促進効果は認められなかった。
の温度勾配の管状電気炉中を一定速度(0.26mm/
分)で移動させながら焼成した。このとき、移動速度は
減少させなかった。焼成後に観察したところ、棒状の微
結晶粒子集合体の全体が約100μmの粒子からできて
おり粒成長の促進効果は認められなかった。
【0028】実施例2 BaTiO3 組成よりTiO2 が1モル%過剰となるよ
うにBaCO3 とTiO2 を秤量してこれらを湿式混合
し、乾燥後1150℃で2時間仮焼して粉砕して、実施
例1と同様の棒状に静水圧加圧成形して成形体を得た。
ついで該棒状の成形体の表面にタルクを塗布して、12
00℃で2時間焼成して微結晶(平均粒子径は10μm
以下)の多結晶体(チタン酸バリウムの微結晶粒子集合
体)とした。ついで、実施例1と同様に、この棒状の微
結晶粒子集合体を安定化ジルコニア製ボートの上に乗せ
て、中心温度が1381℃であり、温度勾配のある管状
電気炉中を、0.26mm/分の速度で移動させながら
焼成して、異常粒成長が起こる条件(昇温側の温度が1
370℃のところ)確認し、異常粒成長が起こった後に
移動速度を1/2にしたところ、最大径約5mmの大粒
径の単結晶粒子が生成していた。因に、同じ棒状の微結
晶粒子集合体を一定速度で移動させたときは、チタン酸
バリウムの結晶は粒径約100μmに粒成長していただ
けだった。
うにBaCO3 とTiO2 を秤量してこれらを湿式混合
し、乾燥後1150℃で2時間仮焼して粉砕して、実施
例1と同様の棒状に静水圧加圧成形して成形体を得た。
ついで該棒状の成形体の表面にタルクを塗布して、12
00℃で2時間焼成して微結晶(平均粒子径は10μm
以下)の多結晶体(チタン酸バリウムの微結晶粒子集合
体)とした。ついで、実施例1と同様に、この棒状の微
結晶粒子集合体を安定化ジルコニア製ボートの上に乗せ
て、中心温度が1381℃であり、温度勾配のある管状
電気炉中を、0.26mm/分の速度で移動させながら
焼成して、異常粒成長が起こる条件(昇温側の温度が1
370℃のところ)確認し、異常粒成長が起こった後に
移動速度を1/2にしたところ、最大径約5mmの大粒
径の単結晶粒子が生成していた。因に、同じ棒状の微結
晶粒子集合体を一定速度で移動させたときは、チタン酸
バリウムの結晶は粒径約100μmに粒成長していただ
けだった。
【0029】実施例3 実施例2で用いた棒状の微結晶粒子集合体にタルクの代
わりにLiFを塗布し実施例1と同様の条件で焼成し
た。棒状の微結晶粒子集合体を実施例2と同様に本発明
の方法で処理したところ、昇温側の温度が1370℃だ
ったところで、最大径約4mmの大粒径の単結晶粒子が
生成していた。一方、一定速度で移動させたときは、チ
タン酸バリウムの結晶は粒径約100μmに粒成長して
いただけだった。
わりにLiFを塗布し実施例1と同様の条件で焼成し
た。棒状の微結晶粒子集合体を実施例2と同様に本発明
の方法で処理したところ、昇温側の温度が1370℃だ
ったところで、最大径約4mmの大粒径の単結晶粒子が
生成していた。一方、一定速度で移動させたときは、チ
タン酸バリウムの結晶は粒径約100μmに粒成長して
いただけだった。
【0030】比較例2 実施例1で用いた棒状の微結晶粒子集合体を、温度勾配
のない箱型電気炉で1370℃で2時間焼成したとこ
ろ、棒状の微結晶粒子集合体の全体に粒成長が起こって
おり粒径が約100μm程度になっていたが、特定の粒
子が巨大化して大粒径の単結晶粒子が生成する現象は認
められなかった。
のない箱型電気炉で1370℃で2時間焼成したとこ
ろ、棒状の微結晶粒子集合体の全体に粒成長が起こって
おり粒径が約100μm程度になっていたが、特定の粒
子が巨大化して大粒径の単結晶粒子が生成する現象は認
められなかった。
【0031】
【発明の効果】最大径5mm程度の大粒径を有するチタ
ン酸バリウムの単結晶を育成することができる。
ン酸バリウムの単結晶を育成することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】平均粒子径が10μm以下のチタン酸バリ
ウム粉末を成形して得られる微結晶粒子集合体に、最高
温度が1618℃未満1200℃以上であり、温度勾配
を該微結晶粒子集合体中で移動させるとき移動方向が低
温側であるような温度勾配を与え、該温度勾配を該微結
晶粒子集合体中で移動させて、該温度勾配の高温側から
異常粒成長を起こさせ、異常粒成長が起こった後に移動
速度を減少させることにより異常粒成長を促進させて、
単結晶を育成することを特徴とするチタン酸バリウム単
結晶の製造方法。 - 【請求項2】移動速度を不連続的に減少させることを特
徴とする請求項1記載のチタン酸バリウム単結晶の製造
方法。 - 【請求項3】平均粒子径が10μm以下のチタン酸バリ
ウム粉末のチタン酸バリウムのチタン原子とバリウム原
子のモル比(Ti/Baモル比)が、1.0以上1.1
以下であることを特徴とする請求項1記載のチタン酸バ
リウム単結晶の製造方法。 - 【請求項4】平均粒子径が10μm以下のチタン酸バリ
ウム粉末に、LiF、NaF、KFから選ばれる少なく
とも1種のフッ化アルカリ、または二酸化珪素、酸化ア
ルミニウムから選ばれる少なくとも1種の酸化物、また
は、タルク(MgSiO3 )、CaSiO3 、SrSi
O3 、BaSiO3 から選ばれる少なくとも1種のアル
カリ土類珪酸塩を添加することを特徴とする請求項1記
載のチタン酸バリウム単結晶の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7600696A JPH09263496A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | チタン酸バリウム単結晶の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7600696A JPH09263496A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | チタン酸バリウム単結晶の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09263496A true JPH09263496A (ja) | 1997-10-07 |
Family
ID=13592732
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7600696A Pending JPH09263496A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | チタン酸バリウム単結晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09263496A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6872251B2 (en) | 2001-05-31 | 2005-03-29 | Tdk Corporation | Method for manufacturing single crystal ceramic powder, and single crystal ceramic powder, composite material, and electronic element |
US7208041B2 (en) | 2000-02-23 | 2007-04-24 | Ceracomp Co., Ltd. | Method for single crystal growth of perovskite oxides |
US7736433B2 (en) | 2000-12-15 | 2010-06-15 | Canon Kabushiki Kaisha | BaTiO3—PbTiO3 series single crystal and method of manufacturing the same, piezoelectric type actuator and liquid discharge head using such piezoelectric type actuator |
US8202364B2 (en) | 2002-10-11 | 2012-06-19 | Ceracomp Co., Ltd. | Method for solid-state single crystal growth |
WO2024200197A1 (de) * | 2023-03-30 | 2024-10-03 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e. V. | Verfahren zur herstellung eines einkristallinen körpers durch festkörper-umkristallisation |
-
1996
- 1996-03-29 JP JP7600696A patent/JPH09263496A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7208041B2 (en) | 2000-02-23 | 2007-04-24 | Ceracomp Co., Ltd. | Method for single crystal growth of perovskite oxides |
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US6872251B2 (en) | 2001-05-31 | 2005-03-29 | Tdk Corporation | Method for manufacturing single crystal ceramic powder, and single crystal ceramic powder, composite material, and electronic element |
US8202364B2 (en) | 2002-10-11 | 2012-06-19 | Ceracomp Co., Ltd. | Method for solid-state single crystal growth |
WO2024200197A1 (de) * | 2023-03-30 | 2024-10-03 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e. V. | Verfahren zur herstellung eines einkristallinen körpers durch festkörper-umkristallisation |
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