JPH09260911A

JPH09260911A - 誘電体共振装置

Info

Publication number: JPH09260911A
Application number: JP9362496A
Authority: JP
Inventors: Yasuhiro Tsujimura; 靖裕辻村
Original assignee: NGK Spark Plug Co Ltd
Current assignee: Niterra Co Ltd
Priority date: 1996-03-22
Filing date: 1996-03-22
Publication date: 1997-10-03

Abstract

(57)【要約】【課題】接着剤を用いることなく、誘電材料の使用料
が少なく、かつ、共振周波数の調整が容易な誘電体共振
装置を提供する。【解決手段】中心に貫通孔が形成された板状誘電体磁
器２を備え、その貫通孔３に螺子杆１０を挿通して、該
螺子杆１０の下端部を据付部ｙに結合し、さらに誘電体
磁器２の上下位置で、螺子杆１０に螺着したナット１
１，１２により、前記誘電体磁器２を挟持するようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高周波帯域で濾波
器，発振器等に用いられる誘電体共振装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の誘電体共振装置は、図５で
示すように、誘電体磁器ａを、金属製容器等の基体ｘ
に、その誘電体本来のＱ特性を得るためにアルミナ、フ
ォルステライト等からなる絶縁性支持台ｂを介して取付
けてなる。この誘電体磁器ａと支持台ｂとの接合面及び
支持台ｂと基体ｘとの接合面は夫々ガラスグレース系接
着剤やシリカ系無機接着剤等からなる耐熱性接着剤層
ｃ，ｄを介して接合される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記誘電体磁器ａは、
その共振に伴なって自己発熱し、特に高パワーで駆動す
る際には高周波になればなるほど発熱量が多くなる。

【０００４】このため、誘電体磁器ａが蓄熱されて高温
化し、絶縁性支持台ｂや、基体ｘとの温度−線膨張係数
の相違により、誘電体磁器ａと支持台ｂとの接合面（接
着剤層ｃ）又は支持台ｂと基体ｘとの接合面（接着剤層
ｄ）で剥離を生じたり、共振特性の変化を生じるという
欠点があった。さらには、接着剤層の塗布及びその乾燥
時間を要し、作業性が悪い等の問題点もあった。

【０００５】一方、このような問題点を解決するため
に、誘電体磁器と支持台とを誘電材料で一体的に形成す
る手段も提案されたが、誘電体磁器を構成する誘電体材
料は高価なものであり、かかる構成にあっては一体形成
によると、誘電体材料の使用量が多くなり、誘電体共振
装置が高価となる。しかも形状が複雑化するため、ラバ
ープレス等の手段を用いて成形する必要があり、製造が
面倒である等の問題点があった。本発明は、接着剤を用
いることなく、かつ共振部のみに誘電材料を適用するよ
うにしてなる誘電体共振装置を提供することを目的とす
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、中心に貫通孔
を有する板状誘電体磁器を備え、その貫通孔に螺子杆を
挿通して、該螺子杆の下端部を、基体の据付面に結合
し、さらに誘電体磁器の上下位置で、夫々螺子杆に螺着
した上下のナットにより、前記誘電体磁器を挟持するよ
うにしたことを特徴とする誘電体共振装置である。

【０００７】かかる構成にあっては、螺子杆に螺着した
上下のナットにより、誘電体磁器を支持し、かつ該螺子
杆の下端部を据付部に螺合して、誘電体磁器を固定する
ようにしたものであるから、誘電体磁器を据付部に対し
て任意の高さ位置に保持することができ、共振周波数特
性やＱ値の設定及び調整が容易となる。

【０００８】また、誘電体磁器は接着剤を用いず、据付
部に対して機械的に結合するものであるため、共振部
（誘電体磁器）が共振により自己発熱しても、脱落を生
じることがない。さらには、板状誘電体磁器のみを誘電
材料で形成したから、該材料の使用量が少なく、低廉と
なり、しかも誘電体磁器は単純形状であるため、成形に
困難性がなく、さらには周知の螺子杆とナットにより誘
電体磁器を支持するものであるから、支持構造が簡単
で、製作が容易である。また、誘電体磁器をその中心を
通る螺子杆のみで支持するものであるから、露出面積が
広くなり、放熱効果が高い。

【０００９】かかる構成にあって、上部に開口を有する
容器本体と、該開口に被着される蓋とを備えてなる、金
属製容器を基体として、その底部を据付部とし、該据付
部に誘電体磁器を保持する前記螺子杆の下端部を螺着す
ると共に、螺子杆の上端を金属製容器の蓋に挿通して、
その突出端部にナットを螺合緊締することにより、蓋を
容器本体に固結して構成しても良い。この構成にあって
は、螺子杆に螺合した複数のナットの、夫々の緊締操作
により、誘電体磁器を所要の高さ位置で固定し得ると共
に、容器の組み付けも、該ナットによって行ない得るこ
ととなる。

【００１０】また、同様に、上部に開口を有する容器本
体と、該開口に被着される蓋とを備えてなる、金属製容
器を基体として、その底部を据付部とし、誘電体磁器を
保持する前記螺子杆の下端部を貫通状に螺着すると共
に、螺子杆の上端を金属製容器の蓋に挿通して、その突
出端部に工具が連係する操作端を形成しても良い。この
構成にあっては、螺子杆を容器の外側から回転操作する
ことにより、該螺子杆を容器に対して昇降させ、螺子杆
に位置固定した誘電体磁器の高さ調整を、組み付け後に
行なうことができ、このため可及的に適正な微補正が可
能となって、最適な共振周波数特性及びＱ値を最適なも
のとすることができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】添付図面に従って本発明の実施例
を説明する。ここで、図１，２に従って、第一実施例の
誘電体共振装置１ａの構成を説明する。この誘電体共振
装置１ａは径大の円板状誘電体磁器２を、金属製容器２
０（基体ｘ）の取付部ｙに固着してなる。ここで誘電体
磁器２はTiO₂系やBaO-TiO₂系等の誘電材料でプレス成形
等により形成してなり、その中心に貫通孔３が形成され
る。この誘電体磁器２の外周形状は、円形のほか正方形
としても良い。一方、容器２０は、上部に開口２２を有
する容器本体２１と、該開口２２に被着される蓋２３と
を備え、円板状をしている。このほか、容器本体２１
は、直方体状等種々の形状で構成され得る。

【００１２】この容器本体２１は、その底部を据付部ｙ
とし、その中心に螺子溝２４を形成している。そして、
蓋２３を開放した状態で、この螺子溝２４に、螺子杆１
０の下端を螺着すると共に、該螺子杆１０を貫通孔３に
挿通し、誘電体磁器２の上下位置で、螺子杆１０に螺着
した上下のナット１１，１２により、誘電体共振装置１
ａを挟持するようにしている。尚、螺子杆１０及び上下
ナット１１，１２は合成樹脂，セラミック等の絶縁材料
より作られている。

【００１３】かかる構成にあっては、下部のナット１２
の高さを定めることにより、誘電体磁器２の支持位置が
決定され、該ナット１２で誘電体磁器２を支持した状態
で、上方からナット１１を緊締すれば良い。そして、こ
の誘電体磁器２の支持位置を選定することにより、その
共振周波数及びＱ値を最適なものに調整することが可能
となる。

【００１４】このように、誘電体磁器２を容器２０の底
部に、所要高さで支持した後、開口２２に蓋２３を被着
し、固定する。この蓋２３の固定は、開口２２の内周に
固定用凸部２５を適所に設け、蓋２３から、該凸部２５
に固着螺子２６を螺合する等の手段により、脱着可能に
固定される。尚、接着剤により、蓋２３を固定するよう
にしても良い。

【００１５】図３は、螺子杆１０を用いて、蓋２３の固
定を可能とした第二実施例の誘電体共振装置１ｂの実施
例を示すものである。尚、第一実施例と同一構成部分
は、同一符合を付して、説明を省略する。

【００１６】この構成は、前記螺子杆１０を容器２０の
高さ以上の長さとして、前記蓋２３の中心に該螺子杆１
０が挿通し得る貫通孔２７を形成したものであり、螺子
杆１０の上端を貫通孔２７を挿通させ、その突出端にナ
ット１３を螺合緊締し、而して、蓋２３をナット１３の
緊締力により、開口２２の周縁に圧接して、該開口２２
を密閉するようにしたものである。かかる構成にあって
は、螺子杆１０を利用して、蓋２３の密閉固定を行なう
ものであるから、図１のように、蓋２３の密閉のため
に、複数の固着螺子２６を螺合したり、または、接着剤
で接着する等、他の接合手段を用いる必要がない。

【００１７】図４は、前記容器本体２１の底部に、貫通
状の螺子孔２８を形成すると共に、前記蓋２３の中心
に、上述の第二実施例と同様に貫通孔２７を形成し、さ
らに前記螺子杆１０を容器２０を上下方向に貫通し得る
長さとし、その上端に、ドライバー４０の先が挿入する
操作溝１８（操作端）を形成するようにした第三実施例
の誘電体共振装置１ｃを示すものである。尚、第一，第
二実施例と同一構成部分は、同一符合を付して、説明を
省略する。

【００１８】かかる構成にあって、螺子杆１０に誘電体
磁器２をナット１１，１２で挟持して、その下端を螺子
孔２８に螺合し、その上端を貫通孔２７に挿通させて、
その上端を容器２０外に突出するようにした状態で、操
作溝１８にドライバー４０の先端を挿入して回転するこ
とにより、螺子杆１０を昇降させることができ、これに
より、誘電体磁器２の高さ位置を、外側から調整するこ
とが可能となる。従って、ほぼ組み付け完了した後に、
誘電体磁器２の高さ位置を調整できるから、可及的適正
な補正が可能となり、共振周波数を最適化することが可
能となる。

【００１９】尚、この構成にあっても、前記蓋２３を固
定するために、蓋２３上に突出した螺子杆１０の上端に
ナット１３を螺合緊締するようにしても良い。この場合
には、ナット１３は、容器２０の回転止めの作用をも生
ずることとなる。前記操作端としては、マイナス又はプ
ラス状の操作溝１８のほか、六角頭部、四角頭部、六角
孔等により構成しても良く、この場合には、スパナ、六
角レンチ等の工具により回転させることとなる。

【００２０】本発明に係る誘電体共振装置１はストリッ
プライン等にも組み込むことができ、この場合には、誘
電体基板が基体ｘとなり、上述の固定手段を介して、所
要の据付部ｙに実装固定することができる。

【００２１】

【発明の効果】本発明は、上述したように、中心に貫通
孔が形成された板状誘電体磁器を備え、その貫通孔に螺
子杆を挿通して、該螺子杆の下端部を据付部ｙに結合
し、さらに誘電体磁器の上下位置で、螺子杆に螺着した
ナットにより、前記誘電体磁器を挟持するようにしたも
のであるから、次のような効果がある。イ ) 誘電体磁器を据付部に対して任意の高さ位置に保持
することができ、共振周波数特性やＱ値の設定及び調整
が容易となる。ロ ) 共振部（誘電体磁器）の固定に接着剤を用いず、機
械的に結合するものであるため、共振部が共振により自
己発熱しても、誘電体磁器が熱歪みにより剥離すること
がない。ハ ) 誘電体磁器は単純形状であるため、成形に困難性が
なく、かつ連結要素としては、螺子杆，ナット等の通常
の連結部材が用いられるものであるから、製造が簡単で
ある。ニ ) 誘電体磁器の連結は、螺子杆を据付部ｙに螺着し、
かつナットを螺合するだけで良いから、組み付けが容易
となる。ホ ) 誘電体磁器をその中心を通る螺子杆のみで支持する
ものであるから、露出面積が広くなり、放熱効果が高
い。

【００２５】また、上部に開口を有する容器本体と、該
開口に被着される蓋とを備えて金属製容器を構成して該
容器を基体ｘとし、その底部を据付部ｙとして、前記螺
子杆を螺着すると共に、螺子杆の上端を金属製容器の蓋
に挿通して、その突出端部にナットを螺合緊締するよう
にした構成にあっては、前記螺子杆とナットとの螺合に
より、容器の組み付けも行なうことができ、さらに組み
付けが容易となる。

【００２６】さらにまた、上記容器を備えたものにあっ
て、前記螺子杆を貫通状に螺着すると共に、螺子杆の上
端を蓋に挿通して、その操作端を工具で回転し得るよう
にした構成にあっては、容器外から、誘電体磁器の高さ
調整を、組み付け後に行なうことができ、その周波数特
性及びＱ値を最適に調整し得ることとなる、等の優れた
効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】第一実施例の誘電体共振装置１ａの縦断側面図
である。

【図２】同上の横断平面図である。

【図３】第二実施例の誘電体共振装置１ｂの縦断側面図
である。

【図４】第三実施例の誘電体共振装置１ｃの縦断側面図
である。

【図５】従来構成の縦断側面図である。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ，１ｃ誘電体共振装置２誘電体磁器３貫通孔１０螺子杆１１，１２，１３ナット２０容器２１容器本体２２開口２３蓋２４螺子溝２７貫通孔２８螺子孔ｘ基体ｙ据付部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】中心に貫通孔を有する板状誘電体磁器を備
え、その貫通孔に螺子杆を挿通して、該螺子杆の下端部
を、基体の据付面に結合し、さらに誘電体磁器の上下位
置で、夫々螺子杆に螺着した上下のナットにより、前記
誘電体磁器を挟持するようにしたことを特徴とする誘電
体共振装置。
【請求項２】上部に開口を有する容器本体と、該開口に
被着される蓋とを備えてなる、金属製容器を基体とし
て、その底部を据付部とし、該据付部に誘電体磁器を保
持する前記螺子杆の下端部を螺着すると共に、螺子杆の
上端を金属製容器の蓋に挿通して、その突出端部にナッ
トを螺合緊締することにより、蓋を容器本体に固結して
なる請求項１記載の誘電体共振装置。
【請求項３】上部に開口を有する容器本体と、該開口に
被着される蓋とを備えてなる、金属製容器を基体とし
て、その底部を据付部とし、該据付部に誘電体磁器を保
持する前記螺子杆の下端部を貫通状に螺着すると共に、
螺子杆の上端を金属製容器の蓋に挿通して、その突出端
部に工具が連係する操作端を形成したことを特徴とする
請求項１記載の誘電体共振装置。