JPH09259406A - 磁気ヘッドとその製造方法 - Google Patents

磁気ヘッドとその製造方法

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JPH09259406A
JPH09259406A JP6850396A JP6850396A JPH09259406A JP H09259406 A JPH09259406 A JP H09259406A JP 6850396 A JP6850396 A JP 6850396A JP 6850396 A JP6850396 A JP 6850396A JP H09259406 A JPH09259406 A JP H09259406A
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magnetic head
group
formula
magnetic
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JP6850396A
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Hirofumi Kondo
洋文 近藤
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気ヘッドの焼き付きを防止し、耐磨耗性、
耐久性等を向上させるとともに、長時間に渡ってその性
質が持続する保護被膜を有する磁気ヘッドを提供する。 【解決手段】 磁気ヘッドに下記(一般式1)および
(一般式2)で示される、パーフルオロポリエーテル基
を有するアルコキシシラン化合物と、下記(一般式3)
で示される長鎖炭化水素を有するアルコキシシラン化合
物の混合物を磁気ヘッド上に塗布し、被膜を形成させ
る。 (一般式1) Rf COR1 −R2 −Si(OR3 3 但しRf は、パーフルオロポリエーテル基を示し、R1
は、O、NH、S等の原子あるいは原子団を示す。また
2 はアルキレン基、R3 はアルキル基を示す。 (一般式2) (R3 O)3 −Si−R2 CORf2COR1 −R2 −S
i(OR3 3 但しRf は、パーフルオロポリエーテル基を示し、Rf2
は多官能のパーフルオロポリエーテル基を示す。また、
1 は、O、NH、S等の原子あるいは原子団を示す。
またR2 はアルキレン基、R3 はアルキル基を示す。 (一般式3) R4 −Si(OR5 34 、R5 はアルキル基を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッド上に被
膜を形成させた磁気ヘッドとその製造方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】最近の高記録密度の要求に対して、非常
に微細な磁性粒子と、樹脂結合剤とを含む磁性塗料を非
磁性支持体上に塗布し、これを磁性層とした、いわゆる
塗布型の磁気記録媒体、あるいはPET(ポリエチレン
テレフタレート)等の非磁性基体に磁性層を真空蒸着
法、鍍金法、あるいはスパッタリング法によって形成さ
せた薄膜型磁気記録媒体が開発されている。一般に磁気
記録媒体、特に磁気テープにおいては、磁気信号の記録
再生の過程で磁気ヘッドと高速摺動され、その際の走行
が円滑かつ安定な状態で行われなければならない。
【0003】しかしながら、磁気記録再生において、ス
ペーシングロスを減少させて高記録密度化を図るために
磁気記録媒体における磁性層表面の平滑性が高められて
いる。そのために、磁気記録媒体の磁気ヘッドに対する
実質的な接触面積が大きくなり、焼き付き現象いわゆる
ブラウンステインが起きやすく、これがレベルダウンに
つながり、あるいはヘッドクロッグ等の耐久性の問題点
が生じてくる。
【0004】そこで、これら問題点を解決するために磁
性層に潤滑剤が内添されるが、それだけでは潤滑性が不
充分であり、更に磁性層上に潤滑剤がトップコートされ
る場合もある。しかし、トップコートした後においても
潤滑剤が磁性層中に拡散して表面の潤滑剤の濃度が減少
する。とくにエージング後においては潤滑剤が枯渇して
くるという問題がある。それゆえ、この磁気記録媒体に
摺接する磁気ヘッド部分に、磁性層中の磁性粉を含んだ
バインダーあるいは潤滑剤等の脱離物が付着し、これが
酸化され、通常の溶剤では払拭できないものへと変化
し、これがブラウンステインと呼ばれる現象を生じ、記
録再生時のレベルダウンへとつながる。
【0005】この解決法として、極性基をもつパーフル
オロポリエーテルをパーフルオロ炭素(Cn 2n+2)に
溶解させたもの、例えばデッキソルベント(株式会社ア
イエヌジー社製)が市販され、磁気ヘッドの汚れを取り
除くものとして使用されている。またさらにパーフルオ
ロポリエーテルが極性基を持っているために、金属に吸
着するので、汚れを付きにくくすると言われている。
【0006】しかしながら、アルコール等の溶剤で、磁
気ヘッドの表面を擦った場合には、表面から剥がれ落
ち、その効果は長続きせず耐久性の点で問題が残ってい
る。それゆえ磁気ヘッドの摺動によって取れにくいよう
に金属との結合が非常に強い潤滑剤の開発が必要とされ
ている。また、パーフルオロポリエーテルの末端の極性
基を変成して磁気ヘッドとの吸着性を高めて汚れの付着
を防止する方法が提案されている。この方法によれば、
フッ素系以外の溶剤にも溶解するパーフルオロポリエー
テル系化合物を合成することができるが、潤滑剤とヘッ
ド表面とは化学結合しないため、潤滑剤としてはなお不
満が残る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、磁気
記録の分野においては、このブラウンステインや、ヘッ
ドクロッグによる耐久性の劣化が問題となって実用特性
に不満を残している。
【0008】本発明は、磁気ヘッドの焼き付きいわゆる
ブラウンステインを防止し、その耐磨耗性、耐久性等を
向上させるとともに、長時間に渡ってその性質が持続す
る保護被膜を有する磁気ヘッドを安価に提供するもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明においては、下記
(一般式1)および(一般式2)で示されるパーフルオ
ロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物の少
なくともいずれか一方と、下記(一般式3)で示される
長鎖炭化水素を有するアルコキシシラン化合物との混合
物を磁気ヘッド上に塗布し、必要に応じて加熱し、被膜
を形成させる。
【0010】(一般式1) Rf COR1 −R2 −Si(OR3 3 但しRf は、パーフルオロポリエーテル基を示し、R1
は原子あるいは原子団を示す。またR2 はアルキレン
基、R3 はアルキル基を示す。 (一般式2) (R3 O)3 −Si−R2 CORf2COR1 −R2 −S
i(OR3 3 但しRf2は、多官能のパーフルオロポリエーテル基を示
す。また、R1 は、原子あるいは原子団を示す。またR
2 はアルキレン基、R3 はアルキル基を示す。 (一般式3) R4 −Si(OR5 34 、R5 はアルキル基を示す。
【0011】本発明により、上記(一般式1)および
(一般式2)で示される、パーフルオロポリエーテル基
を有するアルコキシシラン化合物と、上記(一般式3)
で示される長鎖炭化水素を有するアルコキシシラン化合
物の混合物を磁気ヘッド上に塗布し、必要に応じて加熱
し、被膜を形成させたことにより、パーフルオロポリエ
ーテル基を有するアルコキシシラン化合物を単独で用い
た場合よりも、安価に磁気ヘッドに保護被膜を形成させ
ることができた。また、上記被膜を形成させたことによ
り、磁気ヘッドのブラウンステインを防止することがで
き、従来のものに比べ、磁気ヘッドの耐磨耗性、耐久性
を向上させ、その効果を長時間にわたり持続させること
ができた。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、磁気ヘッドに、(一般
式1)および(一般式2)で示される、パーフルオロポ
リエーテル基を有するアルコキシシラン化合物の少なく
ともいずれか一方と、下記(一般式3)で示される長鎖
炭化水素を有するアルコキシシラン化合物の混合物を塗
布し、その後必要に応じて加熱硬化した被膜を形成させ
るものである。
【0013】(一般式1) Rf COR1 −R2 −Si(OR3 3 但しRf は、パーフルオロポリエーテル基を示し、R1
は原子あるいは原子団を示す。またR2 はアルキレン
基、R3 はアルキル基を示す。 (一般式2) (R3 O)3 −Si−R2 CORf2COR1 −R2 −S
i(OR3 3 但しRf2は多官能のパーフルオロポリエーテル基を示
す。また、R1 は、O、NH、S等の原子あるいは原子
団を示す。またR2 はアルキレン基、R3 はアルキル基
を示す。 (一般式3) R4 −Si(OR5 34 、R5 はアルキル基を示す。
【0014】すなわち、本発明は、磁気ヘッドに潤滑剤
溶液を塗布し、その後必要に応じて加熱硬化させ、被膜
を形成する。
【0015】本発明のパーフルオロポリエーテル基、す
なわちRf 、Rf2の主鎖を(構造式1)〜(構造式4)
に示すが、本発明は、何らこれらに限定されるものでは
ない。
【0016】
【化1】(構造式1) F(CF2 CF2 CF2 O)n
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】また、多官能のものとしては、下記(構造
式4)に示すものがある。
【化4】(構造式4) (OC2 4 p (OCF2 q
【0020】ここで、上記パーフルオロポリエーテル基
の化学構造式中の、l、m、n、k、p、qは、1以上
の整数を示す。また、これらのパーフルオロポリエーテ
ル基の分子量は、特に限定されないが、600〜500
0程度が望ましく、フッ素系の溶剤への溶解性を考慮す
ると、その分子量は600〜1500程度とすることが
好ましい。
【0021】パーフルオロポリエーテル基を有するアル
コキシシラン化合物と、長鎖アルコキシシラン化合物と
の混合物からなる被膜の膜厚については特に限定される
ものではないが、薄すぎると耐久性の問題で効果がなく
なり、厚すぎるとスペーシングの観点から好ましくない
ため、0.5nm〜50nm程度にすることが好まし
い。
【0022】また、上記(一般式1)および(一般式
2)中の、パーフルオロポリエーテル基以外の基の分子
構造は、特に制限されないが、実際の製造工程におい
て、合成し易さ等、実現性の問題から、ある程度の種類
は決まってくる。
【0023】すなわち、R1 については、合成上O、N
H、S等の原子あるいは原子団が考えられる。R2 につ
いては、アルキレン基であり、構造的に特に制限はな
く、フェニレン基等の芳香環を含有するものであっても
よい。R3 、R5 は、アルキル基を示し、通常は炭素数
が3以下、つまりイソプロピル基あるいはプロピル基、
エチル基、メチル基を示す。しかし、本発明は炭素数が
3を越えるものについても、適用することができる。R
4 は、アルキル基あるいは芳香環を含んだアルキル基を
示すが、炭素数に特に制限はない。しかし、材料的の調
達のし易さを考えると、アルキル基の炭素数は、12以
上20以下のものが好ましい。
【0024】上記(一般式1)および(一般式2)で示
される、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキ
シシラン化合物のいずれか一方と、上記(一般式3)で
示される長鎖炭化水素を有するアルコキシシラン化合物
の混合物を溶剤に溶かした溶液を磁気ヘッドに塗布する
方法としては、一般的に用いられている方法により行う
ことができる。例えば、綿棒等によって塗布することが
可能であるし、またディッピング法によって塗布するこ
ともできる。あるいは、セーム皮を用いて塗布すること
もできる。
【0025】上記(一般式1)および(一般式2)で示
される、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキ
シシラン化合物のいずれか一方と、上記(一般式3)で
示される長鎖炭化水素を有するアルコキシシラン化合物
の混合物を溶かす溶剤は、これらの化合物を溶解するこ
とができる従来用いられているものを使用することがで
き、特に制限はないが、セーム皮を用いて塗布する場合
には、溶剤は炭化水素系溶剤が良く、特にパーフルオロ
炭素系溶剤を用いることが望ましい。また、上記アルコ
キシシラン化合物の種類によっては、メチルエチルケト
ン等のケトン系溶剤を用いることもできる。
【0026】また、これらの溶剤に上記(一般式1)お
よび(一般式2)で示される、パーフルオロポリエーテ
ル基を有するアルコキシシラン化合物のいずれか一方
と、上記(一般式3)で示される長鎖炭化水素を有する
アルコキシシラン化合物の混合物を溶解した溶液の沸点
は、50℃以上である方がメンテナンスを考えた上で好
ましい。
【0027】また、触媒等を添加することによって保護
被膜の硬化反応を促進させることができる。その触媒と
しては、例えば塩酸等の酸、アンモニア等の塩基、リン
酸エステル等の化合物が考えられる。さらにアセチルア
セトンのようなケトン系の反応促進剤を添加することも
できる。
【0028】上記(一般式1)および(一般式2)で示
される、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキ
シシラン化合物の少なくともいずれか一方と、上記(一
般式3)で示される長鎖炭化水素を有するアルコキシシ
ラン化合物との混合物を溶解した溶液を磁気ヘッドに塗
布する膜厚は、厚すぎるとスペーシングとなり、信号の
劣化を招き、薄すぎると耐久性の点で問題が残るため、
0.5〜50nm程度であることが好ましい。また、例
えばヘッドクロッグに関しては、磁気ヘッドコア部例え
ばフェライト部分に、磁気テープすなわち磁気記録媒体
からの脱離物が溜まっていってスペーシングとなり、こ
れがヘッドクロッグの原因となるので、フェライト表面
に上記保護膜を形成すると、最も効果を発揮することが
できる。
【0029】また、上述のように塗布した後において
は、常温において乾燥させても保護膜の効果はあるが、
特に60℃以上に加熱して乾燥させると、保護膜の効果
をより発揮せしめることができる。これは、加熱するこ
とによって、上記フェライト表面の水酸基と、アルコキ
シシラン化合物のアルコキシ部との化学的な結合が促進
され、結合力が高められるものと解される。
【0030】以下、本発明の具体的な実施例について説
明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。
【0031】ここで、本発明に適用される磁気ヘッドと
しては、一般的なフェライトヘッド、MIGヘッド、積
層型ヘッド、インダクティブあるいはMR(磁気抵抗効
果)型薄膜ヘッド等に使用することができるが、特にこ
れらに限定されるものではない。
【0032】例えば、図1に示すようなMIGヘッド
(磁気ギャップ形成部に金属層が形成されたいわゆるM
IGヘッド)、例えばTSS(Tilted Send
ustSputter)に適用される。この磁気ヘッド
は、一対の磁気コア半体、すなわち第1の磁気コア半体
1と第2の磁気コア半体2とが強磁性酸化物、例えば単
結晶フェライトで形成され、これらの第1および第2の
磁気コア半体1および2の接合面を斜めに切り欠いた面
には、フロントギャップ形成面からバック形成面にいた
るまで連続してセンダスト等の飽和磁束密度の高い強磁
性金属薄膜3が被着形成されている。
【0033】これらの第1および第2の磁気コア半体1
および2は、SiO2 等のギャップ材を介して突き合わ
されており、強磁性金属薄膜3の当接面が磁気ギャップ
となされている。上記強磁性金属薄膜3が形成されてい
る溝には、非磁性材料4および5がそれぞれ充填され、
上記第1および第2の磁気コア半体1および2の突き合
わせ面には、当該磁気ギャップの深さを規制するととも
にコイル8を巻くための巻き線溝6および7が形成され
ている。
【0034】そしてこのような構成を有する磁気ヘッド
における磁気記録媒体との摺動面9に上記(一般式1)
および(一般式2)で示される、パーフルオロポリエー
テル基を有するアルコキシシラン化合物のいずれか一方
と、上記(一般式3)で示される長鎖炭化水素を有する
アルコキシシラン化合物の混合物を溶解した溶液を0.
5〜5nm程度の厚さに塗布した。
【0035】磁気記録媒体としては、以下に示す材料を
用いて塗布型磁気記録媒体を作製した。 金属粉末磁性粉(Fe系磁性粉末) 100重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10.5重量部 ポリウレタン樹脂 10.5重量部 カーボン(帯電防止剤) 5重量部 メチルエチルケトン 150重量部 トルエン 150重量部 シクロヘキサン 100重量部 ステアリン酸ブチルエステル 2重量部
【0036】上記組成物を基本組成物とし、ボールミル
にて24時間混合してからフィルターを通して取り出
し、更に硬化剤を4重量部添加して30分攪拌した。こ
の磁性塗料を8μm厚のポリエチレンテレフタレートベ
ース上に、乾燥後の厚さが3μmとなるように塗布し、
磁場配向を行った後、乾燥し、巻き取った。これをカレ
ンダー処理した後8mm幅に裁断し、サンプルテープを
作製した。
【0037】以下、具体的な実施例について説明する。
【0038】〔実施例1〕(表1)中の実施例1に示し
たパーフルオロポリエーテル基を有する(一般式1)の
アルコキシシラン化合物と、(一般式3)に示す長鎖炭
化水素を有するアルコキシシラン化合物との等モル比の
混合物をアルコールに溶解し2wt%溶液とし、これを
潤滑剤1とする。ここで、(表1)にパーフルオロポリ
エーテル基を有するアルコキシシラン化合物のパーフル
オロポリエーテル基Rf と、その他の官能基R1
2 、R3 、および長鎖炭化水素を有するアルコキシシ
ラン化合物の官能基R4 、R5 の構造を示す。上記潤滑
剤1を綿棒によって上記TSS型磁気ヘッドに塗布した
後、150℃で1時間加熱硬化させた後、アルコールに
より洗浄する前のものと、アルコールにより洗浄をした
ものとに分けて、それぞれドラムに取り付け、上記サン
プルテープを走行させた。
【0039】〔実施例2〜10〕(表1)中の実施例2
〜10に示したパーフルオロポリエーテル基を有する
(一般式1)または(一般式2)のアルコキシシラン化
合物と、(一般式3)に示す長鎖炭化水素を有するアル
コキシシラン化合物との等モル比の混合物をアルコール
に溶解し2wt%溶液とし、これを潤滑剤2〜10とす
る。ここで、(表1)にパーフルオロポリエーテル基を
有するアルコキシシラン化合物のパーフルオロポリエー
テル基Rf あるいはRf2と、その他の官能基R1
2 、R3 、および長鎖炭化水素を有するアルコキシシ
ラン化合物の官能基R4、R5 の構造を示す。上記潤滑
剤2〜10を綿棒によってTSS磁気ヘッドに塗布した
後、150℃で1時間加熱硬化させたあと、実施例1と
同様に方法により上記サンプルテープを走行させた。
【0040】
【表1】
【0041】〔実施例11〕上記潤滑剤6を綿棒によっ
て磁気ヘッドに塗布した後、25℃(常温)すなわち加
熱せずに硬化させた後、実施例1と同様の方法により上
記サンプルテープを走行させた。
【0042】〔実施例12〜16〕上記潤滑剤6を綿棒
によって磁気ヘッドに塗布した後、それぞれ50℃、7
0℃、100℃、150℃、200℃で1時間ずつ加熱
し、硬化させた後、実施例1と同様の方法により上記サ
ンプルテープを走行させた。
【0043】(表2)に上記実施例11〜16における
加熱時間(Hr)と、加熱温度(℃)を示す。
【0044】
【表2】
【0045】〔比較例1〕保護被膜を形成しない、ブラ
ンク磁気ヘッドを用いて、実施例1と同様の方法により
上記サンプルテープを走行させた。
【0046】〔比較例2〕両末端に水酸基を有し、分子
量が2000のパーフルオロポリエーテル系化合物をパ
ーフルオロヘキサンに溶解させた潤滑剤溶液を、綿棒に
よって磁気ヘッドに塗布し、保護被膜を形成させた後、
実施例1と同様の方法により上記サンプルテープを走行
させた。
【0047】〔比較例3〕両末端にカルボキシル基を有
するパーフルオロポリエーテル系化合物をパーフルオロ
オクタンに溶解させた潤滑剤溶液を、綿棒によって磁気
ヘッドに塗布した後、実施例1と同様の方法により上記
サンプルテープを走行させた。
【0048】〔比較例4〕両末端にピペロニル基を有す
るパーフルオロポリエーテル系化合物の潤滑剤を、綿棒
によって磁気ヘッドに塗布し、保護被膜を形成させた
後、実施例1と同様の方法により上記サンプルテープを
走行させた。
【0049】〔比較例5〕両末端に水酸基を有し、分子
量が4000のパーフルオロポリエーテル系化合物をパ
ーフルオロヘキサンに溶解させた潤滑剤溶液を、綿棒に
よって磁気ヘッドに塗布し、保護被膜を形成させた後、
実施例1と同様の方法により上記サンプルテープを走行
させた。
【0050】〔比較例6〕両末端にカルボキシル基を有
するパーフルオロポリエーテルのステアリン酸アミン塩
の潤滑剤を、綿棒によって磁気ヘッドに塗布し、保護被
膜を形成させた後、実施例1と同様の方法によりドラム
に取り付け、上記サンプルテープを走行させた。
【0051】比較例1〜6のパーフルオロポリエーテル
系化合物の分子構造、およびそれらの分子量を(表3)
に示す。
【0052】
【表3】
【0053】実施例1〜実施例16および比較例1〜比
較例6において、アルコールによって洗浄する前の磁気
ヘッドを用いた場合と、洗浄した後の磁気ヘッドを用い
た場合のそれぞれについて、サンプルテープを走行させ
た後のサンプルテープについてのレベルダウンに伴うエ
ラーレートの増加、および磁気ヘッドのブラウンステイ
ンを、25℃で相対湿度60%の条件において測定し
た。また、40℃で相対湿度80%で3日間保存した後
のものについてもそれぞれ同様に測定した。その測定結
果をアルコール洗浄前についての測定結果を(表4)
に、アルコール洗浄後についての測定結果を(表5)に
示す。ここで、(表4)および(表5)中の○印は、磁
気ヘッドのセンダスト部分が汚れていない状態を示し、
△印は少し汚れた状態を示し、×印は半分以上の部分が
変化した状態を示す。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】(表4)および(表5)中の実施例1〜1
0と比較例1〜6を比較すると、上記(一般式1)およ
び(一般式2)で示されるパーフルオロポリエーテル基
を有するアルコキシシラン化合物の少なくともいずれか
一方と、上記(一般式3)で示される長鎖炭化水素を有
するアルコキシシラン化合物との等モル比の混合物のア
ルコール溶液を磁気ヘッド上に塗布し、150℃で加熱
硬化させ、被膜を形成した磁気ヘッドを使用した場合
は、ブランク磁気ヘッドあるいは(表3)に示したパー
フルオロポリエーテル系化合物を用いて保護被膜を形成
させた磁気ヘッドを使用した場合に比べ、エラーレート
を少なくすることができ、特に磁気ヘッドをエタノール
により洗浄した後において、エラーレートおよびブラウ
ンステインを少なくすることができ、高温多湿環境下に
おいて保存した後においても良好な結果を得られること
がわかる。
【0057】また、(表4)および(表5)中の実施例
11〜16に示すように、潤滑剤6を綿棒によって磁気
ヘッドに塗布した後、25℃(常温)すなわち加熱せず
に硬化させ被膜を形成した磁気ヘッド、または50℃、
70℃、100℃、150℃、200℃で1時間ずつ加
熱し硬化させ被膜を形成した磁気ヘッドを使用した場合
には、いずれの場合もブランク磁気ヘッド、あるいは
(表3)に示したパーフルオロポリエーテル系化合物を
用いて保護被膜を形成させた磁気ヘッドを使用した場合
に比べ、エラーレートを少なくすることができ、特に磁
気ヘッドをエタノールにより洗浄した後において、エラ
ーレートおよびブラウンステインを少なくすることがで
き、高温多湿環境下において保存した後においても良好
な結果を得られることがわかる。また、これらの効果
は、被膜の硬化温度に依存しないことがわかる。なお、
ここで、被膜を加熱する温度については、常温以上であ
れば良いが、磁気ヘッドの製造上の制限から、磁気ヘッ
ドの種類等の条件により異なるものの、例えば400℃
〜500℃となる。
【0058】〔実施例17〜21〕上記(表1)中の実
施例1に示したパーフルオロポリエーテル基を有する
(一般式1)のアルコキシシラン化合物の、(一般式
3)に示す長鎖炭化水素を有するアルコキシシラン化合
物に対する重量比率(下記(表6)においてはRf /R
4 として表示する。)を1/4以上で変化させて混合
し、アルコールに溶解させ、2wt%溶液として、実施
例1と同様の方法により保護被膜を形成して、上記サン
プルテープを走行させた。
【0059】〔比較例7〕上記(表1)中の実施例1に
示したパーフルオロポリエーテル基を有する(一般式
1)のアルコキシシラン化合物の、(一般式3)に示す
長鎖炭化水素を有するアルコキシシラン化合物に対する
重量比率(下記(表7)においてはRf /R 4 として表
示する。)を、1/5、すなわち1/4より小さい値に
変化させ、アルコールに溶解させ、2wt%溶液とし
て、実施例1と同様の方法により保護被膜を形成して、
上記サンプルテープを走行させた。
【0060】〔比較例8〕上記(表1)中の実施例1に
示したパーフルオロポリエーテル基を有する(一般式
1)のアルコキシシラン化合物の、(一般式3)に示す
長鎖炭化水素を有するアルコキシシラン化合物に対する
重量比率(下記(表7)においてはRf /R4 として表
示する。)を、0、すなわちパーフルオロポリエーテル
基を有する(一般式1)のアルコキシシラン化合物を全
く加えず、(一般式3)に示す長鎖炭化水素を有するア
ルコキシシラン化合物のみをアルコールに溶解させ、2
wt%溶液として、実施例1と同様の方法により保護被
膜を形成して、上記サンプルテープを走行させた。
【0061】実施例17〜21および比較例7および8
において、走行させた後のサンプルテープについてのレ
ベルダウンに伴うエラーレートの増加、および磁気ヘッ
ドのブラウンステインを、25℃で相対湿度60%の条
件において測定した。また、40℃で相対湿度80%で
3日間保存した後のものについてもそれぞれ同様に測定
した。これらの測定結果を下記(表6)および(表7)
に示す。
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】(表6)中の実施例17〜21と、(表
7)中の比較例7および8の測定結果を比較すると、実
施例1に示したパーフルオロポリエーテル基を有する
(一般式1)のアルコキシシラン化合物の、(一般式
3)に示す長鎖炭化水素を有するアルコキシシラン化合
物に対する重量比率(下記(表6)においてはRf /R
4 として表示する。)を1/4以上で変化させて混合し
た場合は、実施例1に示したパーフルオロポリエーテル
基を有する(一般式1)のアルコキシシラン化合物の、
(一般式3)に示す長鎖炭化水素を有するアルコキシシ
ラン化合物に対する重量比率(下記(表7)においては
f /R4 として表示する。)を、1/5、すなわち1
/4より小さい値に変化させた場合、およびパーフルオ
ロポリエーテル基を有する(一般式1)のアルコキシシ
ラン化合物を全く加えず、(一般式3)に示す長鎖炭化
水素を有するアルコキシシラン化合物のみを使用した場
合に比較し、エラーレートを少なくすることができ、特
に磁気ヘッドを高温多湿環境下において保存した後にお
いて、エラーレートおよびブラウンステインを少なくす
ることができた。
【0065】このことにより、パーフルオロポリエーテ
ル基を有するアルコキシシラン化合物の、長鎖炭化水素
を有するアルコキシシラン化合物に対する重量比率を1
/4以上で混合した場合には、エラーレートおよびブラ
ウンステインを少なくすることができ、良好な磁気ヘッ
ドを得ることができるが、この比率よりもパーフルオロ
ポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物が少な
い場合には、これらの値に良好な結果が得られないこと
がわかった。
【0066】また、長鎖炭化水素を有するアルコキシシ
ラン化合物は、パーフルオロポリエーテル基を有するア
ルコキシシラン化合物よりも安価に入手することができ
るため、長鎖炭化水素を有するアルコキシシラン化合物
のパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラ
ン化合物に対する重量比率を3/4未満とすることによ
り、安価な潤滑剤を得ることができ、なおかつエラーレ
ートを少なくすることができ、特に磁気ヘッドを高温多
湿環境下において保存した後においてもエラーレートお
よびブラウンステインを少なくすることができた。
【0067】上述した実施例においては、サンプルテー
プして、塗布型の磁気記録媒体を用いた場合であるが、
これに限定されることなく、金属薄膜型の磁気記録媒体
にも適用することができる。なお、磁気ヘッドについて
もTSS型磁気ヘッドに限定されることなく、他の種類
の磁気ヘッドについて本発明を適用することができる。
【0068】
【発明の効果】本発明により、上記(一般式1)および
(一般式2)で示される、パーフルオロポリエーテル基
を有するアルコキシシラン化合物と、上記(一般式3)
で示される長鎖炭化水素を有するアルコキシシラン化合
物の混合物を磁気ヘッド上に塗布し、必要に応じて加熱
し、被膜を形成させたことにより、エラーレートおよび
ブラウンステインを少なくすることができ、また、高温
多湿環境下において保存した後においても、これらの効
果を維持することができた。
【0069】また、上記被膜を形成させたことにより、
パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン
化合物を単独で用いた場合よりも、安価に磁気ヘッドに
保護被膜を形成させることができた。また、上記被膜を
形成させたことにより、磁気ヘッドのブラウンステイン
を防止することができ、従来のものに比べ、磁気ヘッド
の耐磨耗性、耐久性を向上させ、その効果を長時間にわ
たり持続させることができた。
【0070】また、上記被膜を形成させたことにより、
磁気ヘッドに付着した汚れを簡単に除去することができ
るようになった。また、磁気ヘッドの磨耗を低減し、さ
らに磁性粉等の再付着を防止し、その効果を持続させる
ことができるようになった。磁気ヘッドのクリーニング
が容易になり、機器のメンテナンスがスムーズになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる磁気ヘッドの一例の概略斜視図
である。
【符号の説明】
1 第1の磁気コア、2 第2の磁気コア、3 強磁性
金属薄膜、4、5 非磁性材料、6、7 巻き線溝、8
コイル、9 摺動面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(一般式1)および(一般式2)で
    示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキ
    シシラン化合物の少なくともいずれか一方と、下記(一
    般式3)で示される長鎖炭化水素を有するアルコキシシ
    ラン化合物の混合物を磁気ヘッド上に塗布し、被膜を形
    成させたことを特徴とする磁気ヘッド。 (一般式1) Rf COR1 −R2 −Si(OR3 3 但しRf は、単官能のパーフルオロポリエーテル基を示
    し、R1 は原子あるいは原子団を示す。またR2 はアル
    キレン基、R3 はアルキル基を示す。 (一般式2) (R3 O)3 −Si−R2 CORf2COR1 −R2 −S
    i(OR3 3 但しRf2は多官能のパーフルオロポリエーテル基を示
    す。また、R1 は原子あるいは原子団を示す。またR2
    はアルキレン基、R3 はアルキル基を示す。 (一般式3) R4 −Si(OR5 34 、R5 はアルキル基を示す。
  2. 【請求項2】 上記(一般式1)および(一般式2)で
    示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキ
    シシラン化合物と、上記(一般式3)で示される長鎖炭
    化水素を有するアルコキシシラン化合物とのの混合比
    が、重量比で、1/4以上であることを特徴とする請求
    項1に記載の磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 下記(一般式1)および(一般式2)で
    示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキ
    シシラン化合物と、下記(一般式3)で示される長鎖炭
    化水素を有するアルコキシシラン化合物の混合物を磁気
    ヘッド上に塗布し、常温以上の温度で乾燥、硬化させ、
    被膜を形成させることを特徴とする磁気ヘッドの製造方
    法。 (一般式1) Rf COR1 −R2 −Si(OR3 3 但しRf は、単官能のパーフルオロポリエーテル基を示
    し、R1 は原子あるいは原子団を示す。またR2 はアル
    キレン基、R3 はアルキル基を示す。 (一般式2) (R3 O)3 −Si−R2 CORf2COR1 −R2 −S
    i(OR3 3 但しRf2は多官能のパーフルオロポリエーテル基を示
    す。また、R1 は原子あるいは原子団を示す。またR2
    はアルキレン基、R3 はアルキル基を示す。 (一般式3) R4 −Si(OR5 34 、R5 はアルキル基を示す。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008534696A (ja) * 2005-04-01 2008-08-28 ダイキン工業株式会社 表面改質剤

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