JPH09257057A - 多板摩擦係合装置 - Google Patents

多板摩擦係合装置

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JPH09257057A
JPH09257057A JP8064963A JP6496396A JPH09257057A JP H09257057 A JPH09257057 A JP H09257057A JP 8064963 A JP8064963 A JP 8064963A JP 6496396 A JP6496396 A JP 6496396A JP H09257057 A JPH09257057 A JP H09257057A
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plates
drive
driven
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JP8064963A
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Inventor
Kazutaka Amakata
一貴 天方
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Subaru Corp
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Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プレート間の温度を略均一化してフェーシン
グ材の熱劣化及び変速ショックの発生を防止すること。 【解決手段】 ドリブンプレート11,12,…及びド
ライブプレート21,22,…は、そのプレート面積が
ピストン173に近い方から順番に、段階的に減少する
ようにして形成されている。また、ドライブプレート2
1,22,…の両面に張設されたフェーシング材26の
有効径もピストン173に近い方から順に段階的に減少
している。これにより、プレート間の温度差が少なくな
ってフェーシング材の熱劣化等を防止することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動変速機
等に用いられる多板クラッチ装置に関し、特に交互に配
設された複数枚のドライブプレート及びドリブンプレー
トの摩擦係合力を利用する摩擦式の多板クラッチ装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術による自動変速機では、例えば
油圧多板クラッチ、フォワードクラッチ、リバースクラ
ッチ、ハイクラッチ、ローアンドリーバスブレーキ等の
複数のドライブプレート及びドリブンプレートを交互に
配設してなる種々の多板クラッチ装置を利用して変速を
行っている。
【0003】そこで、図5乃至7によって従来の多板ク
ラッチ装置を説明する。
【0004】図5は縦置きトランスアクスル型の駆動系
を示し、この駆動系はトルクコンバータケース100、
ディファレンシャルケース102の後部にトランスミッ
ションケース104を接合している。また、トランスミ
ッションケース104の後部にはトランスファーケース
106が接合されており、トランスミッションケース1
04の下部にはオイルパン108が取り付けられてい
る。
【0005】トルクコンバータケース100内に設けら
れたトルクコンバータ110は、ロックアップクラッチ
112を備えており、エンジンのクランク軸(図示せ
ず)に連結されている。そして、このトルクコンバータ
110からの回転力は、入力軸114を介してトランス
ミッションケース104内の自動変速機116に伝達さ
れる。この自動変速機116からの出力軸118は、入
力軸114と同軸上に回転力を出力するもので、この出
力軸118はトランスファーケース106内のセンター
ディファレンシャル装置120に同軸上に連結されてい
る。
【0006】また、トランスミッションケース104の
内部では、フロントドライブ軸122が入力軸114及
び出力軸118に対して平行に配置されている。このフ
ロントドライブ軸122の後端は一対のリダクションギ
ヤ124,126を介してセンターディファレンシャル
装置120に連結されており、フロントドライブ軸12
2の前端はディファレンシャルケース102内のフロン
トディファレンシャル装置128を介して前輪に連結さ
れている。一方、センターディファレンシャル装置12
0からはリヤドライブ軸130に回転力が出力され、こ
のリヤドライブ軸130はプロペラ軸及びリヤディファ
レンシャル装置等を介して後輪に連結されている。
【0007】上記自動変速機116は、フロントプラネ
タリギヤ132,リヤプラネタリギヤ134を有してい
る。これらフロントプラネタリギヤ132,リヤプラネ
タリギヤ134に対して、ハイクラッチ136、リバー
スクラッチ138、ブレーキバンド140、フォワード
クラッチ142、オーバランニングクラッチ144、ロ
ーアンドリバースブレーキ146、各ワンウエイクラッ
チ148,150が設けられている。そして、これらの
各摩擦係合要素を選択的に係合することにより、前進4
段後進1段の変速段を得るようになっている。
【0008】また、自動変速機116の前方には、オイ
ルポンプ152がトルクコンバータ110のインペラス
リーブ110a及びドライブ軸154を連結して常に駆
動するように設けられている。一方、電子油圧制御装置
156は、オイルパン108内に収容されたアッパ及び
ロアのコントロールバルブボディ等から構成されてお
り、このコントロールバルブボディを介して前記各摩擦
係合要素に油圧を給排することにより、選択的な係合を
実現するようになっている。
【0009】センターディファレンシャル装置120
は、出力軸118に接続された第1サンギヤ160と、
リヤドライブ軸130に接続された第2サンギヤ162
と、第1サンギヤ160に噛合する第1ピニオン164
と、第2サンギヤ162に噛合する第2ピニオン166
と、キャリア168とを備えている。そして、このキャ
リア168と第2サンギヤ162との間には、差動制限
を行うための油圧多板クラッチ(LSD)170がセン
ターディファレンシャル装置120に対して並列に配置
されている。この油圧多板クラッチ170によってトル
ク配分制御、差動制限制御が行われるようになってい
る。
【0010】ここで例えば油圧多板クラッチ170、フ
ォワードクラッチ142、リバースクラッチ138、ハ
イクラッチ136、ローアンドリーバスブレーキ146
等の摩擦係合装置は、多板式に構成され、例えば図6に
示す摩擦回転板、即ち、ドリブンプレート181,18
2,…、ドライブプレート191,192,…を有して
いる。
【0011】ドリブンプレート181,182,…の外
周側には、例えばクラッチドラム等の入力軸に接続され
る部材に形成されたスプライン溝(図示せず)にスプラ
イン嵌合するための突起が複数個設けられている。ま
た、ドライブプレート191,192,…の内周側に
は、例えばクラッチハブ等の出力軸に接続される部材に
形成されたスプライン溝(図示せず)にスプライン嵌合
するための突起が複数個設けられている。また、ドライ
ブプレート191,192,…の両側面には、フェーシ
ング部材(ライニング)200が設けられている。
【0012】次に、図7により、多板摩擦係合装置の一
例として、ハイクラッチ136の構造を説明する。
【0013】入力軸114に接続されるクラッチドラム
171の内周側には軸方向に延びる複数のスプライン溝
171aが刻設されており、これらスプライン溝171
aを介して複数のドリブンプレート181,182,…
がクラッチドラム171にスプライン嵌合されている。
一方、フロントプラネタリギヤのキャリアと一体のクラ
ッチハブ172の外周側にも、複数のスプライン溝17
2aが軸方向に刻設されており、これらスプライン溝1
72aを介して複数のドライブプレート191,19
2,…がクラッチハブ172にスプライン嵌合されてい
る。ここで、ドリブンプレート181,182,…とド
ライブプレート191,192,…とは、同軸上に1枚
ずつ交互に配設され、それぞれ軸方向に移動可能となっ
ている。
【0014】クラッチドラム171の一端側には、ピス
トン173が軸方向に移動可能に設けられている。ま
た、ピストン173と、クラッチドラム171に固着さ
れたスプリングリテーナ174との間には、周方向に離
間して複数のスプリング175(1個のみ図示)が配設
されており、これらスプリング175のばね力によって
ピストン173はクラッチ開放方向に付勢されている。
そして、ピストン173の背面とクラッチドラム171
との間に形成された油圧室176内に作動油が供給され
ると、ピストン173はばね力に抗して前進し、プレッ
シャプレート177を介して各ドリブンプレート18
1,182,…及びドライブプレート191,192,
…を押圧するようになっている。
【0015】なお、178は最終段のドリブンプレート
185側に設けられ、スラスト荷重を受承するリテーニ
ングプレート、179はスナップリングである。
【0016】従来技術による多板クラッチ装置は上述の
如き構成を有するもので、クラッチドラム171とクラ
ッチハブ172との間で駆動力の伝達を行う場合には、
油圧室176に作動油を供給する。これにより、ピスト
ン173は他端側に向けて前進し、プレッシャプレート
177を介してドリブンプレート181を軸方向に押圧
する。そして、ドリブンプレート181、ドライブプレ
ート191、ドリブンプレート182、ドライブプレー
ト192、ドリブンプレート183、ドライブプレート
193、ドリブンプレート184、ドライブプレート1
94、ドリブンプレート185、ドライブプレート19
5の順に圧接することにより、駆動力の伝達が行われ
る。
【0017】上記のような従来技術による多板クラッチ
装置では、クラッチを接続するときに、一部のプレート
の温度が他のプレートよりも上昇してしまい、これによ
り、フェーシング材の熱劣化を生じるおそれがある。
【0018】要因としては、まず、交互に配設されるド
リブンプレート181,182,…とドライブプレート
191,192,…との間のクリアランス、例えば湿式
クラッチの場合は油膜厚さは、配設場所によってそれぞ
れ異なり、不均一であることが挙げられる。また、ピス
トンの押圧力は専らプレートの片側からのみ作用する。
さらに、プレートの配置姿勢は軸方向に対し必ずしも垂
直でなく、多少の傾きや倒れがあるため、クラッチ接続
時にいわゆるドラッグと称する引きずりが部分的に発生
することがある。
【0019】これらの要因によって、同じプレート間で
あっても、その配設場所によってプレート温度が異な
り、ピストン173側のプレート、特にドリブンプレー
ト181或いはドライブプレート191が最も高温にな
りやすい。
【0020】この温度不均一をプレートの摩擦係合順序
で説明する。まず、クラッチの接続が開始すると、最初
にドリブンプレート181とドライブプレート191と
が圧接し始め、次に、ドライブプレート191とドリブ
ンプレート182、ドリブンプレート182とドライブ
プレート192,…のように、ピストン173に近い側
から順に圧接していき、最後にドライブプレート195
がリテーニングプレート178に当接する。従って、一
番最初に接触したドリブンプレート181とドライブプ
レート191とは、接触が完了するまで、互いの表面を
滑らせる状態を続行することになる。つまり、一番最初
に圧接するドリブンプレート181とドライブプレート
191とでは、初期段階における互いの回転速度差が大
きいため、滑り続ける時間が長いため、摩擦による発熱
量が大きくなる。
【0021】従って、相対速度差が大きく発熱量が多い
ほど、プレートの温度は上昇するため、プレート配設位
置に応じてプレート温度はそれぞれ異なり、ピストン1
73側のプレートが最も高温となる。これにより高温と
なるドライブプレート191のフェーシング材200が
熱劣化して、その耐久性が他のフェーシング材200よ
りも低下するため、やがて経時劣化による変速ショック
までも生じるおそれがある。また、プレート間の温度不
均一によって、フェーシング材200同士の温度も不均
一となるため、フェーシング材200の摩擦係数が配設
位置によりそれぞれ変化し、動力伝達の効率も低下す
る。
【0022】この対策として放熱効率を向上させるた
め、例えば特開平3−140629号公報に記載の先行
技術がある。この先行技術は、熱伝導率の高い金属板の
両面に耐磨耗性及び強度の高い金属を接着してプレート
を製造することにより、放熱性を向上せんとしている。
【0023】さらに、他の先行技術として、例えば特開
平1−30934号公報に記載の技術では、交互に配設
された環状クラッチ板の並列方向中央部に厚い環状のセ
パレータプレートを介装することにより、クラッチハウ
ジング内の放熱を図るようにした技術が開示されてい
る。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平3−1
40629号公報に開示される先行技術では、プレート
全体としての放熱効率は改善されるが、全プレートの放
熱性を一律に高めるに過ぎないため、各プレート間の温
度不均一、温度勾配の発生を防止することができない。
従って、フェーシング材の摩擦係数の相違を解消するこ
とができず、動力伝達の点で不十分である。また、特開
平1−30934号公報に開示される先行技術では、ク
ラッチパック中央部の放熱性を改善することができる
が、複数枚のプレート間の温度差、温度勾配を解消する
ことはできないため、フェーシング材の摩擦係数の変化
を防止することができない。また、セパレートプレート
を追加する分だけ、ピストンストロークも増大するた
め、応答性が低下する。一方、ピストンストロークの増
大を防止すべくクラッチクリアランスを少なくした場合
には、ドラッグいわゆる引きずりが発生して伝達効率が
低下するおそれがある。
【0025】従って、本発明の目的は、プレート温度の
不均一を解消して信頼性等を向上できるようにした多板
クラッチ装置を提供することにある。また、本発明の他
の目的は、比較的簡易な構成でプレートの温度分布を略
一様とし、変速ショックを低減できるようにした多板ク
ラッチ装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本
発明に係る多板摩擦係合装置は、それぞれ軸方向に移動
可能に設けられたドライブプレートとドリブンプレート
とを交互に配設してなる多板摩擦係合装置において、前
記各ドライブプレートとドリブンプレートのうち少なく
とも一方のプレートの面積を、当該プレートが受ける摩
擦熱量に相応して設定したことを特徴とするものであ
り、この構成によりプレートが受ける摩擦熱量に応じて
プレートの面積が調整されることから、受ける摩擦熱量
に応じた放熱面積を得ることができ、摩擦熱を放熱して
プレート同士の温度を略均一にすることができる。即
ち、摩擦熱量が多いプレートの面積を大きくすることに
より、放熱面積を大きくし、多くの熱を発散させて温度
を低下させることができ、摩擦熱量の少ないプレートの
面積を小さくすることにより、過度の放熱を抑制して必
要以上の温度低下を防止することができる。従って、高
温になり易いプレートの温度が低下すると共に、低温と
なり易いプレートの温度が保持されるため、全体として
プレート同士の温度差を少なくすることができる。
【0027】また、具体的には、各ドライブプレートと
ドリブンプレートのうち少なくとも一方のプレートの面
積を、当該プレートの配設位置における温度に相応させ
て設定することにより、温度に応じた放熱面積を得るこ
とができる。
【0028】さらに、プレートの接続順序が早いほど相
対回転速度差が大きく、接触時間も長くなって摩擦熱の
発生量は多くなるから、プレートの面積をプレート接続
順序に従って減少させることにより、各プレート間の温
度を略一様にすることができる。
【0029】一方、プレート全体の面積を調整すること
に加えて、プレートのフェーシング材の有効径をも調整
することにより、プレート間の相対回転速度差に応じた
減速度を得ることができ、クラッチ締結時のショックを
緩和することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態について詳細に説明する。なお、以下の各実施
の形態では、上記従来技術と同一の構成要素に同一の符
号を付し、その説明を省略するものとする。
【0031】まず、図1には、本発明の第1の実施の形
態に係る多板クラッチ装置の要部を拡大して示す断面図
であって、本クラッチ装置は、図7と共に述べた従来技
術と同様に、クラッチドラム171、クラッチハブ17
2、ピストン173等を備えた摩擦式の多板クラッチと
して構成されている。
【0032】クラッチドラム171の内周側にスプライ
ン嵌合された複数枚のドリブンプレート11,12,…
は、ピストン173に近い方から順に、その内径寸法、
従ってプレート面積が段階的に減少するようにして形成
されている。そして、これら各ドリブンプレート11,
12,…のスラスト荷重を受けとめるリテーニングプレ
ート16の外形寸法が最も小さく設定されている。
【0033】一方、クラッチハブ172の外周側にスプ
ライン嵌合された複数枚のドライブプレート21,2
2,…も、ピストン173に近い方から順に、その外形
寸法が段階的に減少するようにして形成されている。ま
た、各ドライブプレート21,22,…の両面に設けら
れるフェーシング材26は、ピストン173に近い方か
ら順に、ドリブンプレート11,12,…との有効径が
段階的に減少するようにして形成されている。
【0034】ここで、「プレート面積」とは、ドリブン
プレート11,12,…、ドライブプレート21,2
2,…等の各プレート全体の面積を意味し、「フェーシ
ング材の有効径」とは、フェーシング材26の実際に相
手側のプレートに接触して有効に機能する接触領域を意
味する。また、「プレート接続順序」とは、ドリブンプ
レート11,12,…とドライブプレート21,22,
…とが接続されていく順序を意味し、具体的には、図1
中に示す如く、ドリブンプレート11とドライブプレー
ト21、ドライブプレート21とドリブンプレート1
2、ドリブンプレート12とドライブプレート22,…
の順序を示す。そして、このプレート接続順序が早いほ
ど、即ち初期段階におけるドリブンプレート11とドラ
イブプレート21の相対回転速度差が大きく、摩擦熱に
変換される運動エネルギーが大きいため、そのプレート
温度が高くなり易いのである。
【0035】このように構成される本実施の形態によれ
ば、以下の効果を奏する。
【0036】第1に、ドリブンプレート11,12,…
とドライブプレート21,22,…とのプレート面積
を、プレートが受ける摩擦熱量に相応して設定したた
め、摩擦熱の大きくなり易いプレート、例えば、特にド
リブンプレート11、ドライブプレート21の放熱面積
を増して温度上昇を抑制する一方、摩擦熱の少ないプレ
ート、例えば、特にドリブンプレート15、ドライブプ
レート25の温度低下を防止することができる。従っ
て、接続されるべき各プレートの対、プレート間に生じ
る温度勾配を少なくしてプレート温度の略均一化を図る
ことができ、フェーシング材26の熱劣化を防止して、
信頼性、耐久性、伝達効率の向上を達成することができ
る。
【0037】第2に、各プレート11,12,…、2
1,22,…の面積を変化させることにより、プレート
配置場所に応じた放熱効果を得るという簡易な構成であ
るから、既存のクラッチ装置のプレートを本発明のプレ
ート11,12,…、21,22,…に置き換えるだけ
で、温度不均一を防止することができる。また、各プレ
ート11,12,…、21,22,…の厚さ寸法に変化
はないため、プレートクリアランスが減少してドラッグ
を生じたり、あるいはピストンストロークの増大による
応答性の低下を招くおそれもない。
【0038】第3に、プレート温度を略均一化できるた
め、フェーシング材26の耐久性を向上できる上に、実
働状態におけるフェーシング材26の摩擦係数の配置位
置によるばらつきを少なくして、変速ショックが経時的
に増大するのを防止し、安定化を図ることができる。
【0039】第4に、ドリブンプレート11,12,…
とドライブプレート21,22,…の両方のプレート面
積を接続順序、摩擦熱量に従って設定する構成のため、
より一層、高温側での放熱を促進しつつ低温側での保温
性を維持して温度を略均一化することができる。
【0040】第5に、フェーシング材26の有効径を調
整することにより、プレート接続順序に従ってプレート
接触面積を減少させる構成のため、各プレート対の減速
度を略一定にして変速ショックを緩和することができ
る。換言すれば、プレート接続順序の初期では、相対回
転速度差が大きいため、フェーシング材26の有効径を
大きくする必要があるが、プレート接続順序の終期で
は、相対回転の速度差が小さくなっているため、フェー
シング材26の有効径を同一にしたのでは、変速の終期
で急激な締結が行われることになり、本質的に変速ショ
ックが発生する。これに対し、本実施の形態では、相対
回転速度差が小さくなるにつれてフェーシング材26の
有効径を減少させているため、減速度を略一定にでき、
滑らかな締結を行うことができるのである。
【0041】次に、図2に基づき、本発明の第2の実施
の形態を説明する。
【0042】即ち、本クラッチ装置の各ドリブンプレー
ト31,32,…は、従来技術で述べたドリブンプレー
ト181,182,…と同様に、全て外形寸法、厚み寸
法が等しく形成されており、リテーニングプレート36
によってスラスト荷重が受承される。
【0043】一方、ドライブプレート41,42,…
は、ピストン173に近い方から順に、段階的にプレー
ト面積が減少するように形成されている。また、その両
面に設けられたフェーシング材46の有効径を調整する
ことにより、プレート接触面積がプレート接続順序に従
って小さくなるように設定されている。
【0044】このように構成される本実施例でも、相対
回転速度差が大きく、摩擦熱の発生量が多くなり易いプ
レートほど放熱性を高めることができるため、上述した
第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】また、本実施の形態では、ドライブプレー
ト41,42,…側のみプレート面積を調整するため、
放熱効率は第1の実施の形態よりも低下するが、従来技
術よりも大幅にプレート温度を略均一化することがで
き、さらに、ドライブプレート41,42,…のみを交
換するだけでよいから、製造コスト等を低減することが
できる。
【0046】次に、図3に基づき本発明の第3の実施の
形態について説明する。
【0047】即ち、本クラッチ装置のドリブンプレート
51,52,…は、第1の実施の形態で述べたと同様
に、ピストン173に近い方から順に、そのプレート面
積が段階的に減少するようにして形成されており、リテ
ーニングプレート56によってスラスト荷重が受け止め
られる。
【0048】一方、ドライブプレート61,62,…
は、そのプレート面積は全て同一であるが、フェーシン
グ材66の有効径を違えることにより、ピストン173
に近い方から順に、ドリブンプレート51,52,…と
の接触面積が減少するように設定されている。
【0049】このように構成される本実施例でも、高温
側のプレートの放熱を促進しつつ低温側のプレートを保
温できるため、前記第1の実施の形態と同様の効果を得
ることができる。
【0050】次に、図4に基づき本発明の第4の実施の
形態を説明する。本実施の形態の特徴は、プレート接続
順序の初期に高温となり易いピストン側のプレート面積
及びフェーシング材の有効径のみを調整した点にある。
【0051】即ち、本クラッチ装置のドリブンプレート
71,72,…は、ピストン173に近い方のプレート
71,72のみプレート面積が大きく、他のドリブンプ
レート73,74,75の面積は、リテーニングプレー
ト76を含めて同一となっている。換言すれば、ピスト
ン173に遠い、プレート接続順序の終期のプレート面
積のみが小さく設定されている。
【0052】一方、各ドライブプレート81,82,…
のプレート面積は同一であるが、その両面に張設された
フェーシング材86は、有効径が調整されており、ピス
トン173側のプレート接触面積が大きくなるように設
定されている。つまり、これも換言すれば、ピストン1
73に遠い方のフェーシング材86の有効径が小さくな
るように設定されている。
【0053】このように構成される本実施の形態でも、
高温側のプレート面積及びプレート接触面積を大きくと
ることができるため、前記各実施の形態よりも多少効率
は低下するものの、温度を略均一化して、フェーシング
材86の熱劣化を防止することができる。
【0054】なお、前記各実施の形態では、多板クラッ
チ装置としてハイクラッチ136に適用する場合を例示
したが、これに限らず、例えばフォワードクラッチ、リ
バースクラッチ、油圧多板クラッチ、ローアンドリーバ
スブレーキ等の他の多板クラッチ装置にも適用すること
ができる。また、多板ブレーキ装置と形式的に称される
ものにも適用することができる。
【0055】また、当業者であれば、プレートの数を変
更したり、ドリブンプレート側にフェーシング材を張設
したりする等の如く、各実施の形態に記載された本発明
の要旨の範囲内で種々の追加、変更等が可能である。
【0056】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係る多板ク
ラッチ装置によれば、摩擦熱量に応じてプレート面積を
設定するため、高温側のプレートの放熱を促進して温度
を低下させることができ、低温側のプレートを保温でき
る。この結果、プレート間の温度を略均一化して、フェ
ーシング材の熱劣化等を防止することができる。
【0057】また、フェーシング材の有効径もプレート
接続順序に従って調整するため、実働時の摩擦係合のば
らつきを抑えることができ、フェーシング材の耐久性を
向上させることができる。その結果プレート間の減速度
を略一定として滑らかな締結を行い、変速ショックを防
止するとともに、経時的にも安定した変速特性を保つこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態が適用される多板ク
ラッチ装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態が適用される多板ク
ラッチ装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態が適用される多板ク
ラッチ装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態が適用される多板ク
ラッチ装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図5】従来技術による多板クラッチ装置が適用される
縦置き配置の自動変速機のスケルトン図である。
【図6】ドリブンプレート及びドライブプレートの外観
図である。
【図7】従来技術による多板クラッチ装置の要部を拡大
して示す断面図である。
【符号の説明】 11,12,… ドリブンプレート 21,22,… ドライブプレート 26 フェーシング材 31,32,… ドリブンプレート 41,42,… ドライブプレート 46 フェーシング材 51,52,… ドリブンプレート 61,62,… ドライブプレート 66 フェーシング材 71,72,… ドリブンプレート 81,82,… ドライブプレート 86 フェーシング材 171 クラッチドラム 172 クラッチハブ 173 ピストン

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ軸方向に移動可能に設けられた
    ドライブプレートとドリブンプレートとを交互に配設し
    てなる多板摩擦係合装置において、 前記各ドライブプレートとドリブンプレートのうち少な
    くとも一方のプレートの面積を、当該プレートが受ける
    摩擦熱量に相応して設定したことを特徴とする多板摩擦
    係合装置。
  2. 【請求項2】 それぞれ軸方向に移動可能に設けられた
    ドライブプレートとドリブンプレートとを交互に配設し
    てなる多板摩擦係合装置において、 前記各ドライブプレートとドリブンプレートのうち少な
    くとも一方のプレートの面積を、当該プレートの配設位
    置における温度に相応させて設定したことを特徴とする
    多板摩擦係合装置。
  3. 【請求項3】 それぞれ軸方向に移動可能に設けられた
    ドライブプレートとドリブンプレートとを交互に配設し
    てなる多板摩擦係合装置において、 前記各ドライブプレートとドリブンプレートのうち少な
    くとも一方のプレートの面積を、プレート接続順序に従
    って減少させたことを特徴とする多板摩擦係合装置。
  4. 【請求項4】 入力軸に接続されるドラム部材と、該ド
    ラム部材の内周側に軸方向に移動可能に設けられた複数
    枚のドライブプレートと、出力軸に接続されるハブ部材
    と、該ハブ部材の外周側に軸方向に移動可能に設けられ
    た複数枚のドリブンプレートと、同軸上に交互に配設さ
    れる前記各ドライブプレート及びドリブンプレートを押
    圧することにより各プレートを接触させて接続する駆動
    手段とを備えた多板摩擦係合装置において、 前記各ドライブプレートとドリブンプレートのうち少な
    くとも一方のプレートの面積を、当該プレートの配設位
    置における温度が高くなるに従って大きくなるように設
    定したことを特徴とする多板摩擦係合装置。
  5. 【請求項5】 前記各ドライブプレートとドリブンプレ
    ートとの一方に張設するフェーシング材の有効径をプレ
    ートに応じて設定したことを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1つに記載の多板摩擦係合装置。
  6. 【請求項6】 前記各ドライブプレートとドリブンプレ
    ートとの一方に張設するフェーシング材の有効径をプレ
    ート接続順序に従って減少させたことを特徴とする請求
    項1〜4のいずれか1つに記載の多板摩擦係合装置。
  7. 【請求項7】 プレート接続順序の終期における前記各
    ドライブプレートとドリブンプレートとの一方に張設す
    るフェーシング材の有効径を前記プレート接続順序の初
    期におけるドライブプレートとドリブンプレートとの一
    方に張設するフェーシング材の有効径よりも小さく設定
    したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記
    載の多板摩擦係合装置。
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