JPH09256891A - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents

ディーゼルエンジンの制御装置

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JPH09256891A
JPH09256891A JP8068460A JP6846096A JPH09256891A JP H09256891 A JPH09256891 A JP H09256891A JP 8068460 A JP8068460 A JP 8068460A JP 6846096 A JP6846096 A JP 6846096A JP H09256891 A JPH09256891 A JP H09256891A
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JP
Japan
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intake
valve
diesel engine
delay
air
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JP8068460A
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Toru Wakimoto
亨 脇本
Kiyonori Sekiguchi
清則 関口
Shigeki Omichi
重樹 大道
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Soken Inc
Original Assignee
Nippon Soken Inc
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B29/00Engines characterised by provision for charging or scavenging not provided for in groups F02B25/00, F02B27/00 or F02B33/00 - F02B39/00; Details thereof
    • F02B29/08Modifying distribution valve timing for charging purposes
    • F02B29/083Cyclically operated valves disposed upstream of the cylinder intake valve, controlled by external means
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B23/00Other engines characterised by special shape or construction of combustion chambers to improve operation
    • F02B23/02Other engines characterised by special shape or construction of combustion chambers to improve operation with compression ignition
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    • F02B23/0672Omega-piston bowl, i.e. the combustion space having a central projection pointing towards the cylinder head and the surrounding wall being inclined towards the cylinder center axis
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F02B23/06Other engines characterised by special shape or construction of combustion chambers to improve operation with compression ignition the combustion space being arranged in working piston
    • F02B23/0618Other engines characterised by special shape or construction of combustion chambers to improve operation with compression ignition the combustion space being arranged in working piston having in-cylinder means to influence the charge motion
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    • F02F1/24Cylinder heads
    • F02F2001/244Arrangement of valve stems in cylinder heads
    • F02F2001/247Arrangement of valve stems in cylinder heads the valve stems being orientated in parallel with the cylinder axis
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】新規な手法によりディーゼルエンジンに吸入さ
れる空気を暖める。 【解決手段】エンジン1には、燃焼室6と吸気ポート8
とを断続する吸気バルブ11が配設され、同吸気バルブ
11はバルブ駆動機構20によりその開閉時期が調整さ
れる。ECU50内のCPU50aは、水温センサ51
により検出された水温Twに基づいて吸気暖気の要求の
有無を判定し、吸気暖気の要求時には、吸気行程におけ
るピストンTDCからBDCの間において吸気バルブ1
1が開弁を開始するようバルブ駆動機構20の駆動を制
御する。即ち、吸気バルブ11による吸気特性を遅延さ
せ、ピストン4の下降に伴って燃焼室6内に負圧を生じ
させる。このとき、負圧を作るときのエネルギ(ポンプ
ロス)が熱エネルギとして新気に伝えられる。その結
果、吸気行程に続く圧縮行程での筒内ガス温が上昇し、
燃料の着火性が向上すると共に燃焼状態が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジ
ンの制御装置に関し、特にディーゼルエンジンの吸入空
気を暖めるための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディーゼルエンジンは、その低温始動時
に熱損失が大きく、圧縮熱だけでは燃料の着火性が難し
くなり、エンジンの始動が困難になるという問題があ
る。また、エンジン始動後も未燃燃料が白煙として排出
されるという問題がある。そこで、このような白煙の防
止対策として、吸気マニホールドの集合部に吸気ヒータ
を配設し、エンジンの低温始動時に同吸気ヒータを作動
させることにより吸気を暖め、着火性の改善を図るよう
にした従来技術が提案されている。
【0003】また、燃焼室内の温度上昇を促進するため
の他の従来技術として、特開平6−280721号公報
に記載の「ディーゼルエンジンの始動方法」が知られて
いる。同公報によれば、エンジンの排気通路に排気ブレ
ーキバルブが設けられ、エンジン始動時において前記排
気ブレーキバルブを閉じると共に、その状態でシリンダ
内のピストンを往復動させるようにしている。こうした
ピストンの往復動により、シリンダ内部と排気マニホー
ルド内部に密閉された混合気の温度が上昇し、初爆(ク
ランキング開始後の最初の爆発)に至るまでの時間が短
縮されるようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記吸気ヒ
ータにより吸入空気を暖める従来技術では、ヒータで暖
めた空気が燃焼室までの吸気ポート、或いは燃焼室内の
壁面に熱を奪われ、冷やされてしまうため吸気行程に続
く圧縮行程まで熱を持続することが困難であるという問
題点があった。つまり、新気の温度上昇は僅かであって
(数℃程度)、実際に白煙が消滅するまでには数分程度
の時間を要する。従って、白煙を早期に消滅させること
ができなかった。
【0005】また、特開平6−280721号公報の技
術では、始動開始直後(初爆直後)の白煙は低減される
ものの、新たな吸入空気の温度が上がらないことから、
白煙低減の効果が持続しないという問題があった。ま
た、同技術では、ピストンの往復動を繰り返すことによ
りシリンダ内部と排気マニホールド内部のエア温度を上
昇させるため、実際上、エアの温度が上昇して初爆に至
るまでには数サイクル分の行程を要するという不都合も
あった。
【0006】本発明は、上記従来技術の問題点に着目し
てなされたものであって、新規な手法によりディーゼル
エンジンに吸入される空気を暖めることを目的とする。
また、本発明の目的は、圧縮行程の直前に空気を暖める
ことで空気の再冷却を抑制することである。
【0007】さらに、本発明の目的は、吸気暖気が必要
な環境下において、吸入空気を暖気することによりディ
ーゼルエンジンの燃焼状態の改善を図ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明では、吸入空気を暖める暖気
要求があるときにディーゼルエンジンの吸入行程におけ
るポンプロスを増加させる。このポンプロスの増加によ
り吸入空気の温度が上昇し、その吸気行程に続く圧縮行
程においても圧縮温度の上昇が図られる。なお、ポンプ
ロスの増加が吸入空気を暖気させる理由としては、ポン
プロスの増加による吸入空気流の流速向上により吸入空
気に大きな運動エネルギが与えられ、この運動エネルギ
が熱エネルギに変換されるためであると考えられる。
【0009】これにより圧縮行程の直前の吸気行程にお
いて吸入空気の暖気が図られるため、吸入空気の再冷却
を抑制することができる。ここで、ポンプロスの増加は
ディーゼルエンジンとしての実用的な運転を行い得る許
容空気量を吸入できる範囲内で大きめに設定されること
が望ましく、例えばディーゼルエンジンとしての圧縮点
火が可能な程度の空気量を吸入できる範囲内で、暖気要
求が無いときよりもポンプロスを増加させることができ
る。
【0010】このように吸気行程において吸気の暖気が
図られることで、それに続く圧縮行程での圧縮空気温度
の上昇が図られ、燃焼行程における燃焼状態が改善され
る。その結果、例えばエンジン始動時における初爆が得
られ易くなり始動性が向上する、低温始動時における白
煙の発生が抑制されるといった効果が得られる。
【0011】請求項2に記載の発明では、請求項1に加
えてさらに吸気特性変更手段が備えられ、操作手段の操
作に応じてディーゼルエンジンの吸気特性が変化させら
れる。より具体的には請求項3に記載したように、吸気
特性変更手段は、エンジン燃焼室と吸気ポートとを断続
する吸気バルブと、この吸気バルブを駆動するアクチュ
エータとを有してなる。又は、請求項4に記載したよう
に、吸気特性変更手段は、エンジン燃焼室と吸気ポート
とを断続する吸気バルブよりも上流側に設けられた吸気
遮断手段と、この吸気遮断手段を駆動するアクチュエー
タとを有してなる。
【0012】この発明により、暖気要求判定手段と操作
手段とを備える制御手段(マイクロコンピュータ等)
と、ポンプロスを増加させる駆動手段としての吸気特性
変更手段とを備えるディーゼルエンジンの吸気制御装置
が提供される。なお、吸気特性の変更は、ポンプロスを
増加させるように行われることが重要であり、例えば燃
焼室への吸気の開始時期を変更することや、燃焼室へ続
く吸気通路の開口面積を変更することで実現される。か
かる場合、例えば吸気特性変更手段のアクチュエータと
して少なくとも吸気時期を調節可能な油圧シリンダと油
圧制御弁とを含む油圧駆動機構を採用し、これにより任
意のタイミングで吸気バルブの開閉を制御するようにす
れば、吸気バルブの開弁時期のみを遅延させることがで
きる。つまり、吸気行程に続く圧縮行程の実質的な圧縮
ストロークを変化させることなくポンプロスの低減を図
り、吸気の暖気を実現することができる。また、この場
合には、吸気バルブの開弁時期のみを遅延させる油圧制
御弁の駆動制御手段と組み合わせることが望ましい。
【0013】請求項5に記載の発明では、暖気要求の有
無がディーゼルエンジンの温度情報に基づいて判定され
る。この発明によれば、暖気要求の有無を的確且つ容易
に判定することができる。なお、温度情報に基づいた判
定は、例えば温度情報としての冷却水温、吸気温度、機
関温度等を用い、温度情報が低温条件を示している時に
暖気要求があると判定することができる。暖気要求判定
手段は、温度情報を検出するための手段(センサ等)を
含んで構成してもよい。
【0014】請求項6に記載の発明では、前記操作手段
は、ディーゼルエンジンを低ポンプロス状態に操作する
第1の操作手段と、高ポンプロス状態に操作する第2の
操作手段とからなる。つまり、第1の操作手段は、燃費
や出力の損失を最小限に抑えてディーゼルエンジンを効
率よく運転させるための通常時の操作手段に相当し、第
2の操作手段は、暖気要求に応えるべく積極的にポンプ
ロス増加時の操作手段に相当する。こうした第1、第2
の操作手段を選択的に用いることにより、ポンプロス状
態の切り替えが適切に行われることとなる。
【0015】請求項7に記載の発明では、前記第2の操
作手段によるポンプロスの増加がディーゼルエンジンの
吸気特性を遅延させることで行われる。吸気特性の遅延
は、例えば吸気特性のうち吸気開始時期を遅延させるこ
とや、吸気バルブのリフト波形を遅延させることや、吸
気バルブのリフト量を遅延させること等で実現すること
ができる。また、その遅延は、ディーゼルエンジンの暖
気を必要としない通常運転時の吸気特性よりも遅延させ
ることが望ましく、例えば吸気上死点以後に実質的な吸
気が開始されるよう遅延させることで高いポンプロスを
得ることができ、より望ましくは最大で上死点後(AT
DC)90°CA程度の遅延が可能である。但し、吸気
特性の遅延は、吸気行程に続く圧縮行程での有効圧縮比
に影響することがあるため、ターボ等の過給装置の有無
による新気の充填効率を考慮しながら上死点後90°C
Aより小さい値に設定することが望ましく、例えば無過
給の場合には上死点後60°CA程度を最大の遅延量と
することが望ましい。
【0016】請求項8に記載の発明では、遅延パラメー
タに応じて吸気特性の遅延度合いを可変にするようにし
ている。これにより、遅延パラメータに応じたポンプロ
スを発生させることができる。
【0017】請求項8の遅延パラメータとしては、請求
項9に記載したように種々のパラメータを用いることが
できる。遅延パラメータとしては、エンジン回転数或い
はアクセル開度といったディーゼルエンジンの出力要求
又は負荷の度合いを示すパラメータや暖気要求の度合い
を示すパラメータを用いることができる。
【0018】この場合、出力要求或いは負荷が大きいほ
ど吸気特性の遅延度合いを小さくしてポンプロスの増加
量を抑え、暖気よりも吸入空気量の増加を優先すること
が望ましい。具体的には、エンジン回転数が高くなるほ
ど、或いはアクセル開度が大きいほど、出力要求或いは
負荷が大きいことを示しているので、吸気特性の遅延度
合いを小さくする。
【0019】また、暖気要求の度合いが小さいほど吸気
特性の遅延度合いを小さくしてポンプロスの増加を抑
え、暖気よりも吸入空気量の増加を優先することが望ま
しい。具体的には、吸気温度が高いほど遅延度合いを小
さくする。このように遅延パラメータを用いて吸気特性
の遅延度合いを調整し、ポンプロスの発生を制限するこ
とで、ポンプロスの増加により発生する吸入空気量の低
下や、圧縮行程における実質的な圧縮ストロークの低下
等の弊害を抑制し、暖気要求と例えば出力要求等の他の
要求との両立を図ることができる。
【0020】請求項10に記載の発明では、遅延手段に
より吸気特性の遅延を行っているときに、吸入空気量を
強制的に増加させる。これにより、吸入空気量の低下を
抑えながら暖気要求に応えて吸入特性の遅延を行うこと
ができる。なお、吸入増加手段としては、吸入空気通路
の形状による慣性過給装置や、機械式の過給装置等を用
いることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、この発明を具体化した第1
の実施の形態を図面に従って説明する。なお、本実施の
形態は、4気筒ディーゼルエンジンに本発明を具体化し
たものであって、特に、吸入空気を暖気することにより
低温時のエンジン始動性を向上させ、さらに白煙を低減
させる装置を具体化したものである。その主要な構成と
しては、油圧アクチュエータにてエンジンの吸気バルブ
及び排気バルブを開閉駆動させるバルブ駆動機構(カム
レス式バルブ駆動機構)を備え、特に、吸気バルブの駆
動時期(バルブタイミング)を可変に調整することを特
徴とする。
【0022】ディーゼルエンジンの形態としては、燃料
噴射ノズルによる噴射燃料を直接、燃焼室内に噴射供給
する、いわゆる直噴式ディーゼルエンジンとし、吸気側
及び排気側において各々2個ずつ(計4個)のバルブを
有する。以下に、その詳細を説明する。
【0023】図1は、本実施の形態におけるエンジン断
面及びエンジン制御システムの概略を示す構成図であ
る。図1において、エンジン1のシリンダブロック2に
は円筒状のシリンダ3が形成されており、同シリンダ3
内には図示しないクランク軸に連結されたピストン4が
図の上下方向に往復動可能に配設されている。ピストン
4の上面には、凹状のキャビティ5が形成されている。
また、シリンダヘッド7には、ピストン上部の燃焼室6
に連通する吸気ポート8と排気ポート9とが形成されて
いる。シリンダヘッド7の中央には燃料噴射ノズル10
が配設されており、その先端(噴射孔)は燃焼室6内に
露出している。
【0024】さらに、シリンダヘッド7には、吸気バル
ブ11及び排気バルブ12が配設されており、これらバ
ルブ11,12の開閉動作に伴い燃焼室6とポート8,
9との間が連通又は閉塞される(断続される)。燃焼室
6は、吸気バルブ11及び排気バルブ12が共に閉弁さ
れているときには略密閉状態になるようになっている。
【0025】各バルブ11,12はシリンダヘッド7の
上方に設けられるバルブ駆動機構20により駆動され
る。バルブ駆動機構20は、電子制御装置(以下、EC
Uという)50からの制御信号に基づいて駆動される。
略述すれば、ECU50は、各種の制御プログラムを実
行するCPU50a、及び制御データやマップ等を記憶
するメモリ50b(ROMやRAM等)を有する周知の
マイクロコンピュータを中心に構成されるものであっ
て、水温センサ51にて検出された水温信号(Tw)、
吸気温センサ52にて検出された吸気温信号(Ti
n)、及びクランク角センサ53にて検出されたクラン
ク角信号(Ne)等を入力する。そして、これら入力信
号に基いてバルブ駆動機構20による吸気バルブ11及
び排気バルブ12の開閉時期を制御する。なお、本実施
の形態では、吸気バルブ11及びバルブ駆動機構20に
より吸気特性変更手段が構成されている。
【0026】次に、図2を用いてバルブ駆動機構20並
びにその周辺部の構成を説明する。但し、図2は吸気側
の構成のみを示すものであって、同図には左右一対の吸
気バルブ11を示している。
【0027】図2において、吸気バルブ11の上端には
スプリングリテーナ13が取り付けられ、同スプリング
リテーナ13とシリンダヘッド7との間には、吸気バル
ブ11を閉弁方向(図の上方向)に付勢するためのバル
ブスプリング14が配設されている。左右一対の吸気バ
ルブ11はバルブブリッジ15により一体動作可能に連
結されている。バルブブリッジ15の上面には、図の上
下方向に往復動するプランジャ16が連結されており、
このプランジャ16が下動することにより吸気バルブ1
1が開弁し(図示の状態)、上動することにより吸気バ
ルブ11が閉弁する。プランジャ16の動作はその上面
に形成された油圧室17の油圧(バルブ駆動機構20の
作動油圧)に応じて制御されるものであるが、その詳細
については後述する。なお、符号18は吸気バルブ11
の動作位置を微調整するための調整ねじである。
【0028】一方、バルブ駆動機構20において、シリ
ンダヘッド7の一部に固定されるハウジング21には、
図の左右方向に延びる円形孔部22が形成されており、
同孔部22にはスプール型方向制御弁(以下、方向制御
弁という)23が配設されている。方向制御弁23は大
別して、円筒状のスリーブ24と、同スリーブ24内を
図の左右方向に摺動するスプール25とから構成され、
スリーブ24は円形孔部22の開口部近傍に螺着された
蓋体33により固定されている。スリーブ24の外周面
には、油圧ポート26a,26b,26cが環状に形成
され、これら油圧ポート26a,26b,26cはそれ
ぞれ複数箇所に設けられた連通路27a,27b,27
cを介してスリーブ内周面に連通している。
【0029】また、ハウジング21には、油圧ポンプ4
1から給送される高圧油を方向制御弁23に吸入するた
めの吸入ポート28と、方向制御弁23からドレンタン
ク42に高圧油を排出するための排出ポート29とが設
けられている。ここで、油圧ポンプ41はドレンタンク
42から作動油を汲み上げ約12MPaに高圧化して方
向制御弁23に給送する。なお、吸入ポート28は通路
30を介して前記油圧ポート26aに連通され、排出ポ
ート29は通路31を介して前記油圧ポート26cに連
通されている。また、前記油圧室17は通路32を介し
て前記油圧ポート26bに連通されている。
【0030】ハウジング21内部にはハウジング室35
が形成され、同ハウジング室35内にはその内周面を摺
動するピストン36が配設されている。ピストン36内
には、電圧の印加に伴い伸長するピエゾスタック37が
配設されている。このピエゾスタック37は、圧電素子
としての多数のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を積層
して構成されるものであって、その一端には一対の電極
38a,38bが取り付けられている。電極38a,3
8bには、ECU50からの制御指令に基づいてドライ
バ55を介して所定の電圧が印加される。一方、ピスト
ン36の左側に配設された皿ばね39はピエゾスタック
37に収縮方向の力を付与している。なお、図2はピエ
ゾスタック37に電圧を印加した状態を示すものであっ
て、同ピエゾスタック37が伸長してピストン36が図
の左方向に移動した状態を示している。
【0031】次に、バルブ駆動装置20の作動を図3に
従って説明する。ここで、図3(a)はピエゾスタック
37に電圧を印加した状態を示している。つまり、電圧
が印加されるとピエゾスタック37が伸長してピストン
36は皿ばね39のばね力に抗して図の左方向に移動
し、これによりスプール25は左方向に押し込まれる。
このとき、吸入ポート28に吸入された高圧油は図中の
破線矢印の如く流通して油圧室17内に供給され、吸気
バルブ11が開弁状態となる。
【0032】また、図3(b)はピエゾスタック37に
電圧を印加していない状態を示している。つまり、ピエ
ゾスタック37への電圧印加を解除した状態では、ピス
トン36は皿ばね39のばね力により図の右方向に付勢
されているため、スプール25は右方向に引き寄せられ
る。このとき、油圧室17内の作動油は図中の破線矢印
の如く流通して排出ポート29へ排出され(ドレンタン
ク42に戻される)、吸気バルブ11が閉弁状態とな
る。
【0033】このように本実施の形態のバルブ駆動機構
20は、プランジャ16と油圧室17とにより吸気バル
ブ11を駆動する油圧シリンダが構成され、この油圧シ
リンダへの油圧供給を断続する油圧制御弁が油圧ポンプ
41及び方向制御弁23により構成されている。そし
て、このような構成を用いることにより、吸気バルブ1
1の開弁時期を自由に制御することができ、エンジン1
の吸気特性を変化させることができる。また、吸気バル
ブ11の閉弁時期を変えることなく吸気弁11の開弁時
期を変えることができる。
【0034】なお、排気バルブ12のバルブ駆動機構に
ついては図示及びその詳細な説明を省略するが、それは
上述した吸気バルブ11のバルブ駆動機構20と略同様
の構成を有するものであり、排気バルブ12もやはりE
CU50による制御信号に基づいて開閉されるようにな
っている。
【0035】次に、本実施の形態における作用を説明す
る。図6は、バルブ駆動機構20による吸気バルブ11
及び排気バルブ12のリフト動作を示すタイムチャート
であり、横軸に示すBDCはエンジン1のピストン下死
点、TDCはピストン上死点を示す。また、同図の縦軸
はバルブリフト量を示す。図中の実線は、エンジン1の
暖機完了後における通常時のバルブタイミングを示し、
破線はエンジン1の低温始動時(暖気要求時)において
吸気バルブ11を遅開きさせる際のバルブタイミングを
示す。
【0036】即ち、通常時において、排気バルブ12は
BDC前40°CA程度の時期に開弁を開始し、TDC
直後に閉弁する。また、吸気バルブ11はTDC前5°
程度の時期に開弁を開始し、BDC後40°程度の時期
に閉弁する(排気バルブ12と吸気バルブ11とは所定
期間にてオーバーラップしている)。一方、エンジン1
の低温始動時においては、排気バルブ12の開閉時期と
吸気バルブ11の閉弁時期とは通常時と同様であるが、
吸気バルブ11は開弁時期のみがTDCよりも所定クラ
ンク角だけ遅角側に変更されている。なお、本実施の形
態のバルブリフト動作は、油圧式のバルブ駆動機構20
により実現されるものであるが、それはカムシャフトの
回転に伴いリフト動作するカム駆動式のプロフィールに
略一致する。上記の如く吸気バルブ11の開弁時期を遅
延させることは、吸気特性を遅延させることに相当す
る。
【0037】図7は、上記のバルブタイミング制御によ
るシリンダ容積とシリンダ内圧力との推移を示すP−V
線図であり、同図の(a)は通常時における1サイクル
分のP−V特性の推移を示し、(b)は低温始動時にお
ける1サイクル分のP−V特性の推移を示す。図中のt
1が排気行程開始時付近のBDCに相当し、t2が排気
行程終了時付近のTDCに相当する。また、図7(b)
のt3は、遅開きとした際の吸気バルブ11の開弁開始
時期に相当する。
【0038】つまり、(b)の特性を通常時の(a)と
比較した場合、吸気バルブ11をTDC(図のt2)よ
りも遅開きとすることにより、シリンダ内圧力が負圧側
に大きく移行する(図の斜線部分)。かかる場合、シリ
ンダ内に負圧が作用することによりその時のポンプロス
分に相当するエネルギが熱エネルギに変換され、同熱エ
ネルギが吸気(新気)を暖めることとなる。発明者らの
実験結果によれば、吸気バルブ11の開弁時期を90°
CAだけ遅らせた場合には、30℃程度の吸気温の上昇
が確認された。なお、この温度上昇は、エンジン1をモ
ータリングさせた状態(シリンダ内で燃料を燃焼させず
エンジン1を回転させた状態)で吸気温と排気温との温
度差から観測したものである。
【0039】また、図8はエンジン1の低温始動時にお
ける白煙の排出状況を時間の経過と共に示すタイムチャ
ート(実験値)である。図の破線は通常のバルブタイミ
ング(開弁開始時期)で吸気バルブ11を開弁させた時
の白煙排出状況を示し、実線はTDCよりも遅角側のバ
ルブタイミングで吸気バルブ11を開弁させた時の白煙
排出状況を示す。同図の縦軸はエンジン排気管より排出
された白煙の排出状況を官能値として表している。
【0040】同図によれば、バルブタイミングを上記の
如く変更し、吸入空気を暖めることにより始動開始後6
0秒ほどで白煙が見えなくなり、白煙の排出量が従来に
比べて大いに低減されることが分かる。
【0041】次に、上記のようなバルブタイミング制御
を実現するための制御手順を図4のフローチャートを用
いて説明する。なお、図4のルーチンは、所定クランク
角度毎の割り込み処理としてECU50内のCPU50
aにより実行される。
【0042】さて、図4のルーチンがスタートすると、
CPU50aは、先ずステップ100でクランク角セン
サ53により検出されたエンジン回転数Ne、吸気温セ
ンサ52により検出された吸気温Tin、及び水温セン
サ51により検出された水温Twを読み込む。また、C
PU50aは、続くステップ110で暖気要求の有無を
温度情報に基づいて判定する。具体的には、ステップ1
00で読み込んだ水温Twを温度情報として用い、この
水温Twが所定の判定値Twj(例えば、50℃)未満
であるか否かにより暖気要求の有無を判定する。ここ
で、暖気要求がある場合とは、例えばエンジン1の低温
始動時やその後暖機完了までの所定期間等が挙げられ
る。
【0043】そして、水温Twが判定値Twj未満であ
れば、CPU50aは吸気暖気が必要であるとみなし、
ステップ110を肯定判別してステップ120に進む。
また、それ以外の場合(Tw≧Twjの場合)、CPU
50aは吸気暖気が不要であるとみなし、ステップ11
0を否定判別してステップ140に進む。
【0044】ステップ120では、CPU50aは、吸
気行程のポンプロスを増加させる処理を実行する。つま
り、通常の吸気バルブ11の開弁時期よりも遅延させた
開弁時期を設定する。具体的には、ECU50内のメモ
リ50b(ROM)に予め格納されている図5の吸気バ
ルブ開時期切り換えマップを用い、その時のエンジン回
転数Neと吸気温Tinに応じて「吸気特性の遅延度合
い」としての吸気バルブ11の開弁開始時期(吸気バル
ブ開時期)を読み取る。図5のマップ上の吸気バルブ開
時期データは、吸気行程におけるピストンTDCからB
DCの間において吸気バルブ11が開弁を開始するよう
にTDC後のクランク角(ATDC)で示されている。
【0045】なお、本実施の形態では、エンジン回転数
Neと吸気温Tinとを遅延パラメータとしており、こ
の遅延パラメータ(Ne,Tin)に応じて吸気バルブ
11による吸気特性の遅延度合いを可変に設定するよう
にしている。ここで、遅延度合いとは、通常制御時に比
べてどれだけ開弁時期を遅延させるかを表すものであ
り、遅延度合いが大きいほど開弁時期は遅くなる。
【0046】図5のマップは、エンジン回転数Neが高
くなるほど吸気バルブ11の開弁時期の遅延度合いが小
さくなるように作成されている。これにより、エンジン
回転数Neが高いときに吸気時間が短くなり吸入空気量
が不足することを抑制することができる。またこのよう
にマップを作成しても、吸気暖気が特に必要なエンジン
の低回転域では遅延度合いを大きくするため、暖気効果
を十分に得ることができる。
【0047】また、図5のマップは、吸気温Tinが高
くなるほど吸気バルブ11の開弁時期の遅延度合いが小
さくなるように作成されている。これにより、吸気温T
inが高く吸気暖気の効果があまり得られない領域、特
に本実施の形態では吸気温Tinが高く白煙の排出量が
自然に減少する領域で、吸気バルブ11の開弁時期を遅
延させることによる吸入空気量不足を抑制することがで
きる。またこのようにマップを作成しても、吸気暖気が
特に必要な白煙が発生し易い吸気温Tinの低温領域で
は遅延度合いを大きくするため、暖気効果を十分に得る
ことができる。
【0048】マップ値の読み取り後、CPU50aはス
テップ130で、上記した吸気バルブ開時期信号をバル
ブ駆動機構20に出力する。その結果、既述した図6の
タイムチャートに示すように、吸気バルブ11の開弁開
始時期のみが遅角側に変更される(図6の破線)。な
お、かかる場合において、吸気バルブ11の閉弁時期を
通常時と一致させるため、CPU50aによる閉弁指令
信号も遅角側に移行されている(図6のバルブリフト量
のピーク値付近がCPU50aによる閉弁指令信号の出
力タイミングに相当する)。以後、水温Twが判定値T
wjよりも上昇してステップ110が否定判別されるま
で、CPU50aはステップ120,130を繰り返し
実行する。
【0049】また、ステップ140では、CPU50a
は、通常時のバルブタイミングで吸気バルブ11の開閉
動作を制御する。即ち、図6の実線で示す固定時期にて
吸気バルブ11を駆動させるべく、バルブ駆動機構20
にその旨の信号を出力する。なお、図示及び詳細な説明
は省略するが、排気バルブ12の開閉動作は予め設定さ
れた固定時期に基づいてCPU50aの指令信号により
制御される。
【0050】本実施の形態において、図4に示すフロー
チャート中のステップ110が暖気要求判定手段に、ス
テップ120及びステップ130が操作手段のうち第2
の操作手段(遅延手段,遅延可変手段)に、ステップ1
40が操作手段のうち第1の操作手段に相当し、機能す
る。
【0051】以上詳述した本実施の形態の効果を以下に
記載する。 (a)つまり、本実施の形態では、エンジン1の温度情
報(水温Tw)に基づいてディーゼルエンジンの暖気要
求の有無を判定し(図4のステップ110)、吸気暖気
が必要であれば、吸気バルブ11が遅開きになるよう
(吸気行程におけるピストンTDCからBDCの間にお
いて開弁を開始するよう)バルブ駆動機構20を駆動さ
せるようにした(図4のステップ120)。よって、ピ
ストン4の下降に伴ってシリンダ内(燃焼室6)に負圧
が発生し、そのときのポンプロスの増加により吸気暖気
を実現することができる。その結果、吸気行程に続く圧
縮行程での圧縮空気温度が上昇し(最大で70℃程度の
温度上昇が可能)、シリンダ内に噴射された燃料の蒸発
が促進されて着火性が向上する(初爆までの時間が短縮
される)。この着火性の向上に伴いエンジン1の燃焼状
態が改善される。また、従来技術で吸気ヒータを設けて
いた場合のような吸気の再冷却を招くこともない。
【0052】(b)また、白煙排出の原因となる筒内の
燃料付着量を低減することにより、エンジン1の始動直
後に排出される白煙が早期に消滅する。このような吸気
暖気はクランキング開始当初から始まり且つ暖気要求が
継続される限りは繰り返されるため、白煙消滅の効果が
持続される。なお、ポンプロスによりエネルギが幾分損
失されるが、従来には排出されていた未燃燃料(白煙)
が燃焼されることによりエネルギ損失は最小限に抑えら
れる。
【0053】(c)エンジン1の低温始動時等、吸気暖
気が必要な場合において、吸気バルブ11の遅角量(吸
気特性の遅延度合い)をエンジン回転数Neが高回転に
なるほど小さくすると共に、吸気温Tinが高くなるほ
ど小さくするようにした(図5のマップ)。その結果、
吸気バルブ11の遅角制御時における吸気の充填効率の
低下が防止され、それと共に圧縮行程での筒内ガス温度
を高めディーゼルエンジンの良好なる圧縮燃焼を実現す
ることができる。
【0054】(d)また、開弁遅延度合いを連続的に可
変できるようにしたため、遅延パラメータ、即ちエンジ
ン回転数Neと吸気温Tinとに応じた遅延度合い(ポ
ンプロス増加量)を連続的に設定することができる。よ
って、吸気バルブ11の開弁時期を遅延させたときにお
いて、エンジン運転状態の急変を防止することができ
る。
【0055】(e)本実施の形態では、油圧シリンダ
(図2のプランジャ16,油圧室17)や油圧制御弁
(図2の油圧ポンプ41,方向制御弁23)等からなる
カムレス式のバルブ駆動機構20を用い、エンジン1の
低温始動時において吸気バルブ11の開弁開始時期だけ
をTDCよりも遅角側に移行させるようにした。そのた
め、吸気バルブ11の閉弁時期をも遅角させることはな
く、閉弁時期の遅延による圧縮比の減少を防止し、着火
遅れを抑制することができる。また、吸気の吹き返しを
生じる等の不都合を招くこともない。
【0056】(f)さらに、バルブ駆動機構20の油圧
経路を切り換えるためのアクチュエータとしてピエゾス
タック37を採用した。そのため、吸気バルブ11の高
速動作が実現でき、所望のバルブリフト動作を得ること
ができる。
【0057】以下には、本発明者らによる効果の確認結
果を図9〜図11を用いて説明する。ここで、図9は、
出力トルク=0Nm(無負荷),吸気温=0℃の条件下
で、遅延パラメータとしてのエンジン回転数と吸気特性
の遅延度合いとしての吸気バルブ開時期とを対応させて
効果を確認したものであり、図中の(a)の領域は白煙
低減に効果のある領域を、(b)の領域は燃費を悪化さ
せない領域を示す。両領域において、各々の所望の効果
を得るにはエンジン回転数が低くなるほど、吸気バルブ
開時期を遅角側に設定するのが好ましいことが確認され
た(逆に、エンジン回転数が高くなるほど、吸気バルブ
開時期は進角側に設定される)。
【0058】また、図10は、エンジン回転数=700
rpm,吸気温=0℃の条件下で、遅延パラメータとし
てのアクセル開度と吸気特性の遅延度合いとしての吸気
バルブ開時期とを対応させて効果を確認したものであ
り、図中の(a)の領域は白煙低減に効果のある領域
を、(b)の領域は燃費を悪化させない領域を示す。両
領域において、各々の所望の効果を得るにはアクセル開
度が小さくなるほど、吸気バルブ開時期を遅角側に設定
するのが好ましいことが確認された(逆に、アクセル開
度が大きくなるほど、吸気バルブ開時期は進角側に設定
される)。
【0059】さらに、図11は、エンジン回転数=70
0rpm,出力トルク=0Nm(無負荷)の条件下で、
遅延パラメータとしての吸気温度と吸気特性の遅延度合
いとしての吸気バルブ開時期とを対応させて効果を確認
したものであり、図中の(a)の領域は白煙低減に効果
のある領域を、(b)の領域は燃費を悪化させない領域
を示す。両領域において、各々の所望の効果を得るには
吸気温がほぼ零下では吸気バルブ開時期は一定値に設定
されるが、零度以上では吸気温が低くなるほど吸気バル
ブ開時期を遅角側に設定するのが好ましいことが確認さ
れた(逆に、吸気温が高くなるほど、吸気バルブ開時期
は進角側に設定される)。
【0060】なお、上記図9〜図11の各図において、
(a),(b)の領域は共に白煙低減の効果が得られる
ものであるが、(a)の領域ではポンプロス分を補うた
めに仕事量が増し、燃費が幾分悪化する。また、吸入空
気量が少なくなるために、ディーゼルエンジンの燃焼状
態に幾分悪影響を及ぼす。そのため、(b)の領域の方
が好ましい領域と言えるが、実際にはエンジン1の暖機
が早期に実現されるため燃費や燃焼状態の悪化分は僅か
である。この場合、白煙の低減と燃費の悪化抑制とを両
立させるには、各図において(a),(b)領域の境界
部付近が最も好ましい制御領域であると言える。
【0061】特に、上記各図によれば、アイドル運転時
(例えばエンジン回転数が700rpm付近の場合)に
は80〜90°CA程度の遅延を行わせるのが望ましい
ことが分かる。また、アクセルペダルが僅かに踏まれて
いるときには最大で60°CA程度の遅延を行わせるの
が望ましいことが分かる。
【0062】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態を説明する。但し、本実施の形態の構成に
おいて、上述した第1の実施の形態と同等であるものに
ついてはその説明を簡略化する。そして、以下には第1
の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0063】つまり、上記第1の実施の形態では、エン
ジン1の低温始動時等、吸気暖気を必要とする場合にお
いて吸気バルブ11の開弁開始時期のみを遅角側に変更
する構成としたが、かかる場合、シリンダ内(燃焼室
6)に吸入される新気の充填効率が不十分になるおそれ
がある。そこで、本実施の形態では、吸気バルブ11の
開弁リフト動作を急峻にし(高速化し)、新気の充填効
率を高めることを図ることをその主旨としている。
【0064】図12は、本実施の形態におけるバルブタ
イミング制御手順を示すフローチャートである。さて、
図12のルーチンがスタートすると、CPU50aは、
先ずステップ200でエンジン回転数Ne、吸気温Ti
n及び水温Twを読み込み、続くステップ210で水温
Twが所定の判定値Twj(例えば、50℃)未満であ
るか否かを判別する。そして、水温Twが判定値Twj
未満であれば、CPU50aは暖気要求有りとみなし、
ステップ210を肯定判別してステップ220に進む。
それ以外の場合(Tw≧Twjの場合)、CPU50a
は暖気要求無しとみなし、ステップ210を否定判別し
てステップ250に進む。
【0065】ステップ220では、CPU50aは、前
記した図5の吸気バルブ開時期切り換えマップを用い、
その時のエンジン回転数Ne及び吸気温Tinに応じて
「吸気特性の遅延度合い」としての吸気バルブ11の開
弁開始時期(吸気バルブ開時期)を読み取る。また、C
PU50aは、続くステップ230で油圧ポンプ41の
駆動油圧を通常時の値(12MPa)からそれよりも高
い値(例えば、15MPa)に変更し、その駆動油圧
(15MPa)で油圧ポンプ41を駆動させる。その
後、CPU50aは、ステップ240で上記した吸気バ
ルブ開時期信号(バルブタイミング信号)をバルブ駆動
機構20に出力する。以後、ステップ210が否定判別
されるまで、CPU50aはステップ220〜240を
繰り返し実行する。
【0066】また、ステップ250では、CPU50a
は、通常時のバルブタイミングで吸気弁バルブ11の開
閉動作を制御し、続くステップ260では通常時の駆動
油圧(12MPa)で油圧ポンプ41を駆動させる。
【0067】上記作用を図13のタイムチャートにて説
明すれば、エンジン1の低温始動時等、吸気暖気の必要
時において吸気バルブ11は図の破線で示すようにリフ
ト動作する。この場合、油圧ポンプ41からバルブ駆動
機構20に給送される油圧が高圧化されているため、吸
気バルブ11の開弁に伴うリフト動作が急峻になる。従
って、吸気の充填効率が高められることとなる。
【0068】以上第2の実施の形態によれば、前記第1
の実施の形態の効果に加えて以下に示す効果が得られ
る。つまり、吸気暖気の要求時における吸気バルブ11
の遅角制御に際し、油圧ポンプ41の駆動油圧を高圧化
してバルブ駆動機構20による吸気バルブ11の開弁リ
フト動作を高速化させるようにした(図12のステップ
230)。その結果、吸気バルブ11の遅角制御時にお
ける吸気の充填効率の低下を防止することができる。ま
た、圧縮行程での筒内ガス温度を高めると共に有効圧縮
比を高め、エンジン1の燃焼を良好な状態に維持するこ
とができる。
【0069】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3
の実施の形態を説明する。但し、本実施の形態の構成に
おいて、上述した各実施の形態と同等であるものについ
てはその説明を簡略化する。そして、以下には第1,第
2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0070】つまり、上記第1,第2の実施の形態で
は、吸気バルブ11の開弁時期を変更することでポンプ
ロスを増大させ、吸気暖気の要求に応えるようにしてい
たが、本実施の形態は、吸気ポート上流に設けられた吸
気制御弁を用いてポンプロスを増大させ、吸気暖気の要
求に応えるものである。
【0071】図14は、本実施の形態におけるエンジン
断面及びエンジン制御システムの概略を示す構成図であ
る。同図において、吸気バルブ11及び排気バルブ12
は、カム61,62の回転に伴い開位置又は閉位置に動
作するものであって、それらカム61,62を有するカ
ムシャフト63,64は図示しないクランク軸の2回転
に1回転の割合で回転する。即ち、各バルブ11,12
は、吸気行程又は排気行程においてクランク軸の回転に
対応する所定の固定時期に開閉動作する。なお、図14
には便宜上、直動式のカム機構を示すが、動弁機構はス
イングアーム方式やロッカーアーム方式等、任意な方式
を用いることができる。
【0072】また、本実施の形態において、吸気ポート
8の上流には吸気遮断手段としての吸気制御弁65が配
設されている。この吸気制御弁65には、吸気ポート8
と略同じ開口面積を有する吸気通路65aが形成されて
いる。また、吸気性御弁65は、ロータリバルブとして
構成され、アクチュエータとしての位相切替え装置66
によりクランク角180°CA毎に90度だけ所定方向
に吸気通路を開又は閉状態とする。位相切替え装置66
は、図示しないタイミングベルト(或いはギア)を介し
てクランク軸に駆動連結されており、クランク軸4回転
に1回転の割合で吸気制御弁65を回転させる。なお、
本実施の形態では、吸気制御弁65(吸気遮断手段)及
び位相切替え装置66(アクチュエータ)により吸気特
性変更手段が構成されている。
【0073】また、図15に示すように、吸気制御弁6
5は吸気マニホールド67の分岐管の末端と吸気ポート
8との間に配設され、エンジン1の全気筒に対して同時
に動作する。かかる場合、各気筒の吸気制御弁65は、
気筒の燃焼順序に合わせて45度ずつ位相をずらして吸
気通路65aが設けられており、各気筒の吸気制御弁6
5が開状態となる順序は各気筒の吸気行程に対応しなが
ら移行する。
【0074】さらに、図14において、位相切替え装置
20には、ECU50からの位相切替え信号が入力され
る。このとき、ECU50は、水温センサ51により検
出された水温信号(Tw)、吸気温センサ52により検
出された吸気温信号(Tin)、クランク角センサ53
により検出されたエンジン回転数信号(Ne)、及びア
クセル開度センサ68により検出されたアクセル開度信
号(Th)を入力し、これら入力信号に基づいて位相切
替え装置66により駆動される吸気制御弁65の位相
(開弁時期の遅延)を制御する。
【0075】図16は、吸気制御弁65の動作を説明す
るためのタイムチャートであり、同図の(a)は通常時
の動作を、(b)は暖気要求時の動作を示す。詳細に
は、図16の(a)において、排気行程では吸気制御弁
65が閉鎖状態で保持され、それに続く吸気行程におい
て吸気バルブ11の開弁時期に略一致するタイミング
(吸気行程におけるTDC直前)で吸気制御弁65が開
き始め、同弁65の吸気通路65aは全開となる(開面
積=20cm2 )。そして、吸気バルブ11の閉弁後に
吸気制御弁65は閉鎖される。
【0076】一方、図16の(b)では、吸気制御弁6
5が開き始めるタイミングが上記(a)よりも遅く、吸
気バルブ11の開弁途中で吸気制御弁65が開き始め
る。つまり、本実施の形態では、吸気制御弁65の開弁
時期位相を遅くすることにより吸気特性を遅延させてい
る。かかる場合、吸気バルブ11の開弁当初において吸
気制御弁65よりも下流側では吸気が遮断されるため、
筒内(シリンダ3内)に負圧が発生する。この負圧の発
生によりポンプロスが増加する(前記図7のP−V線図
参照)。そして、吸気制御弁65が開き始めると吸気は
筒内へ急速に引き込まれ、この際、運動エネルギが熱エ
ネルギに変換されることにより、吸気の温度が上昇す
る。なお、図中の破線で示す動作は位相を最も遅くした
場合の動作を示す。
【0077】次に、上記のような吸気の暖気制御を実現
するための制御手順を図17のフローチャートを用いて
説明する。なお、図17のルーチンは、所定クランク角
度毎の割り込み処理としてECU50内のCPU50a
により実行される。
【0078】さて、図17のルーチンがスタートする
と、CPU50aは、先ずステップ300でエンジン回
転数Ne、アクセル開度Th、吸気温Tin及び水温T
wを読み込み、続くステップ310で暖気要求の有無を
温度情報に基づいて判定する。具体的には、ステップ3
00で読み込んだ吸気温Tin及び水温Twを温度情報
として用い、吸気温Tinが所定の判定値Tinj(例
えば20℃)未満であり、且つ水温Twが所定の判定値
Twj(例えば、50℃)未満であれば暖気要求有りの
旨を判定する(前記第1,第2の実施の形態と同等に水
温Twのみで判定しても可)。つまり、Tin<Tin
j、且つTw<Twjであれば、CPU50aは吸気暖
気が必要であるとみなしてステップ320に進み、それ
以外の場合は(Tin≧Tinj、又はTw≧Twjの
場合)、吸気暖気が不要であるとみなしてステップ34
0に進む。
【0079】ステップ320では、CPU50aは、吸
気行程のポンプロスを増加させる処理を実行する。つま
り、通常の吸気制御弁65の開弁時期よりも遅延させた
開弁時期を設定する。具体的には、ECU50内のメモ
リ50bに予め格納されている図18の吸気開始時期マ
ップを用い、その時のエンジン回転数Neとアクセル開
度Thに応じて吸気制御弁65の開弁開始時期(吸気開
始時期)を読み取る。ここで、図18のマップ上の吸気
開始時期データは、吸気行程におけるピストンTDCか
らBDCの間において吸気制御弁65が開弁を開始する
ようにTDC後のクランク角(ATDC)で示されてい
る。
【0080】なお、本実施の形態では、エンジン回転数
Neとアクセル開度Thとを遅延パラメータとしてお
り、この遅延パラメータ(Ne,Th)に応じて吸気制
御弁65による吸気特性の遅延度合いを可変に設定する
ようにしている。ここで、遅延度合いとは、通常制御時
に比べてどれだけ開弁時期を遅延させるかを表すもので
あり、遅延度合いが大きいほど開弁時期は遅くなる。
【0081】図18のマップは、エンジン回転数Neが
高くなるほど吸気制御弁65による吸気開始時期が早く
なるように(遅延度合いが小さくなるように)作成され
ている。これにより、エンジン回転数Neが高いときに
吸気時間が短くなり吸入空気量が不足することを抑制す
ることができる。またこのようにマップを作成しても、
吸気暖気が特に必要なエンジンの低回転域では吸気開始
時期を遅くする(遅延度合いを大きくする)ため、暖気
効果を十分に得ることができる。
【0082】また、図18のマップは、アクセル開度T
hが大きくなるほど吸気制御弁65による吸気開始時期
が早くなるように(遅延度合いが小さくなるように)作
成されている。これにより、アクセル開度Thが大き
く、要求される出力が大きいときに吸入空気量不足を抑
制することができる。またこのようにマップを作成して
も、要求出力が小さく吸気暖気が必要とされるアクセル
開度Thの小領域では遅延度合いを大きくするため、暖
気効果を十分に得ることができる。
【0083】マップ値の読み取り後、CPU50aはス
テップ330で、上記した吸気開始時期信号を位相切替
え装置66に出力する。その結果、既述した図16のタ
イムチャートに示すように、吸気制御弁65による吸気
開始時期の位相が前記マップ値に応じて遅角側に変更さ
れる(図16の(b))。このとき、各気筒の吸気制御
弁65は相互に連結されているため、吸気開始時期の位
相の変更は、エンジン1の全気筒に対して反映される。
以後、水温Twが判定値Twjよりも上昇してステップ
310が否定判別されるまで、CPU50aはステップ
320,330を繰り返し実行する。
【0084】また、ステップ340では、CPU50a
は、通常時のバルブタイミングで吸気制御弁65の開閉
動作を制御する。即ち、図16の(a)で示す通常の固
定時期にて吸気制御弁65を駆動させるべく、位相切替
え装置66にその旨の信号を出力する。
【0085】本実施の形態において、図17に示すフロ
ーチャート中のステップ310が暖気要求判定手段に、
ステップ320及びステップ330が操作手段のうち第
2の操作手段(遅延手段,遅延可変手段)に、ステップ
340が操作手段のうち第1の操作手段に相当し、機能
する。
【0086】以上詳述した本実施の形態によれば、上記
第1,第2の実施の形態と同様に本発明の目的を達成す
ることができる。即ち、エンジン1の温度情報に基づい
て吸気暖気の要否を判定し、吸気暖気が必要であれば吸
気制御弁65を用いて吸気特性を遅延させ、ポンプロス
を増大させるようにした。このとき、遅延度合いはエン
ジン回転数Neやアクセル開度Thの遅延パラメータを
用いて可変に設定するようにした。よって、吸気行程に
続く圧縮行程での筒内ガス温が上昇し(最大で70℃程
度の温度上昇が可能)、例えばエンジン1の低温始動時
における着火遅れを防止することができる。その結果、
低温時におけるエンジン始動性を向上させ、当該エンジ
ン1の燃焼状態を改善させることができる。
【0087】さらに、白煙の排出量を従来よりも大いに
低減させることができる。また、本実施の形態では、各
気筒の吸気制御弁65を共通の位相切替え装置66にて
駆動するようにした。そのため、構成の簡略化を図りつ
つ、上記のような効果を得ることができる。
【0088】なお、本発明は上記各実施の形態の他に次
の形態にて実現できる。 (1)上記第1,第2の実施の形態では、吸気暖気の要
求の有無を水温Twのみから判定したが、これを変更し
てもよい。例えば第3の実施の形態にて説明したよう
に、水温Twと吸気温Tinとのアンド条件にて吸気暖
気の要求の有無を判定するようにしてもよい。また、第
1,第2の実施の形態において、吸気温Tinのみから
吸気暖気の要求の有無を判定するようにしてもよい。さ
らに、エンジン始動時からの経過時間をも判定条件に加
え、水温Twが所定の判定値を超え、且つ前記経過時間
が所定時間を超えるまでの期間を暖気要求有りの期間と
して判定するようにしてもよい。また、例えばシリンダ
ブロック外壁に付設された温度センサの検出結果や、外
気温センサの検出結果を当該温度情報としたりするよう
にしてもよい。
【0089】(2)上記第1,第2の実施の形態では、
吸気暖気の必要時における吸気バルブ11の開弁遅角量
(遅角度合い)をエンジン回転数Ne及び吸気温Tin
に応じて設定したが、これを変更してもよい。例えば上
記各要素(Ne,Tin)にアクセル開度Thを組み合
わせて吸気バルブ11の開弁遅角量を設定したり、各要
素(Ne,Tin,Th)のいずれか一つを用いて開弁
遅角量を設定したり、各要素のいずれか2つを用いて開
弁遅角量を設定したりするようにしてもよい。また、開
弁遅角量を固定値として設定しておき、CPU50aの
負荷軽減を図るようにしてもよい。さらに、吸気温セン
サに代えて外気温センサを用い、当該外気温センサにて
検出された外気温に応じて吸気バルブ11の開弁遅角量
を設定するようにしてもよい。
【0090】同様に、第3の実施の形態においても、既
述の組み合わせ以外に、遅延パラメータとしてエンジン
回転数Ne,アクセル開度Th,吸気温Tinの少なく
とも一つを用い、吸気特性の遅延度合いを設定するよう
にしてもよい。このとき、エンジン回転数Neが高いほ
ど遅延度合いを小さくし、アクセル開度Thが大きいほ
ど遅延度合いを小さくし、吸気温Tinが高いほど遅延
度合いを小さくするのが望ましい。
【0091】(3)上記第1,第2の実施の形態では、
カムレス式のバルブ駆動機構20にて吸気バルブ11を
開閉させるようにしていたが、これを変更してもよい。
例えば吸気バルブ11をカム(カムシャフト)にて駆動
させるようにし、その開閉時期を調整するためのバルブ
タイミング可変機構(VVT機構)をエンジン1に搭載
するようにしてもよい。この場合、VVT機構として
は、複数種のカムを選択的に切り換えて使用するタイプ
のものや、カムの位相を変化させるタイプのものが適用
できる。前記第2の実施の形態のように吸気バルブ11
の開弁リフト動作を急峻にするものとして、そのリフト
動作に応じたカムプロフィールを有するカムを選択的に
使用するようにしてもよい。
【0092】また、かかるVVT機構による吸気バルブ
11の遅角制御を行う場合において、エンジン低温始動
時等の吸気暖気の要求時にはリフト量が通常時よりも大
きいカムを使用し、その使用の有無をECU50内のC
PU50aにより制御するようにしてもよい。このと
き、吸気バルブ11は図19のタイムチャートに示すよ
うにリフト動作する(破線が低温始動時のリフト動作を
示す)。このバルブリフト動作の増加により、吸気の充
填効率が向上する。本形態を実現するにあたっては、上
記VVT機構が吸気特性変更手段のアクチュエータに相
当する。
【0093】なお、吸気の充填効率が悪化するおそれの
ある場合とは、エンジン回転数が比較的高回転域の場合
であるため、低温始動時で且つエンジン回転数が所定の
回転数以上の時に、前記カムの切り換え動作を行うよう
にしてもよい。この場合、バルブリフト動作の増加によ
り吸気の充填効率を向上させることができるため、比較
的高回転域でも吸気バルブ11の開弁開始遅角量を大き
くとることができる(遅角度合いを常時固定としても実
現可能)。
【0094】(4)吸気バルブ11のリフト動作を図2
0の破線に示すように行わせ、それによりポンプロスの
増大を図るようにしてもよい(破線の谷部分がポンプロ
スの増加分に相当する)。これは2つ山のカムを用いた
り、第1の実施の形態のようなカムレス式のバルブ駆動
機構にて実現可能である。
【0095】(5)上記第3の実施の形態では、吸気遮
断手段として全気筒の吸気特性を同時に制御する吸気制
御弁65を用いたが、これを変更してもよい。例えば吸
気制御弁65を気筒毎に制御する方式として、吸気制御
弁65毎に位相切替え用のアクチュエータを設けるよう
にしてもよい。また、吸気遮断手段として、吸気通路の
開口面積を可変とする開閉シャッタ等を吸気管に設け、
吸気行程におけるピストンTDCからBDCの間におい
て当該吸気管の開口面積を減じさせてポンプロス増加を
図るようにしてもよい。この場合、開閉シャッタ等を設
ける部位は、なるべく下流側にした方がより良い吸気暖
気効果が得られることとなる。
【0096】(6)上記各実施の形態では、吸気暖気の
要求時においてエンジン1の全気筒に対して吸気特性の
遅延を行わせることを前提としていたが、これを間欠的
に行うようにしてもよい。例えばエンジン始動当初は全
気筒に対して吸気バルブ11の開弁遅角制御を行い、所
定時間の経過後には全気筒のうち半分の気筒を通常制御
に復帰させると共に、残りの半分の気筒は開弁遅角制御
を継続させることも可能である。
【0097】(7)エンジン1の吸気行程におけるポン
プロスを増大させる操作手段の構成として、バイメタル
等の機械的構成を用いてもよい。具体的には、水温レベ
ルをバイメタルにて検知し、水温レベルに応じたバイメ
タルの変位によって吸気通路の開閉シャッタ等を動作さ
せるようにしてもよい。かかる場合にも、暖気要求に応
じたポンプロスの増大を図り、着火性の向上、白煙の低
減等の効果を得ることができる。
【0098】(8)上記第1〜第3の実施の形態におい
て、吸気通路途中にターボ等の過給装置を設け、吸気の
充填効率を図るようにしてもよい。 (9)上記各実施の形態では、直噴式ディーゼルエンジ
ンに本発明を具体化したが、燃料噴射ノズルから副室に
燃料を噴射させる副室噴射式ディーゼルエンジンに本発
明を具体化してもよい。
【0099】以下には、上記各実施の形態から把握でき
る技術的思想をその効果と共に記載する。 (イ)ディーゼルエンジンの吸気行程におけるピストン
下降時において、シリンダ内に連通する吸気通路を閉鎖
して当該シリンダ内にて負圧を生じさせ、その際に発生
するポンプロスエネルギによりシリンダ内に吸入される
新気を暖めるようにしたディーゼルエンジンの制御方
法。かかる場合、既述した通り、着火性の向上や白煙低
減といった効果が得られる。
【0100】(ロ)上記請求項1に記載の発明におい
て、エンジン燃焼室と吸気ポートとを断続する吸気バル
ブを備え、暖気要求があると判定されたとき、ディーゼ
ルエンジンの吸気行程におけるピストンTDCからBD
Cの間に吸気バルブが開弁を開始するようにしたディー
ゼルエンジンの制御装置。この場合にも、着火性の向上
や白煙低減といった効果が実現できる。
【0101】(ハ)上記(ロ)に記載の発明において、
ディーゼルエンジンのアイドル運転下に吸気バルブの開
弁開始時期を吸気TDC後80〜90°CAとするディ
ーゼルエンジンの制御装置。この場合、吸気特性の遅延
による白煙低減効果と燃費維持効果とを両立させること
ができる。
【0102】(ニ)上記(ロ)に記載の発明において、
吸気バルブの開弁時期変更時において当該吸気バルブの
開弁開始時期のみを変更し、開弁終了時期は通常時のま
まとするディーゼルエンジンの制御装置。この場合、吸
気バルブの閉弁時期を遅角させることはないために、閉
弁時期の遅延による圧縮比の減少が防止され、着火遅れ
を抑制することができる。また、吸気の吹き返しを生じ
る等の不都合を招くこともない。
【0103】(ホ)上記(ロ)に記載の発明において、
吸気バルブの開弁リフト動作を高速化させる高速化手段
を備えるディーゼルエンジンの制御装置。この高速化手
段は、第2の実施の形態における図12のステップ23
0により実現される(図13のタイムチャート参照)。
この場合、吸気の充填効率が向上することによって、吸
気行程に続く圧縮行程での有効圧縮率を高められ、着火
性やエンジン燃焼状態がより一層安定する。
【0104】(ヘ)上記(ロ)に記載の発明において、
吸気バルブの開弁リフト量を増大させるリフト量増大手
段を備えるディーゼルエンジンの制御装置。この場合に
もやはり、吸気の充填効率が向上し、ひいては着火性や
燃焼状態が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジン断面及びエンジン制御システムの概略
を示す構成図。
【図2】バルブ駆動機構並びにその周辺部の構成を示す
断面図。
【図3】方向制御弁の動作を説明するための断面図。
【図4】バルブタイミング制御手順を示すフローチャー
ト。
【図5】吸気バルブ開時期を設定するためのマップ。
【図6】排気バルブ及び吸気バルブの開閉動作を示すタ
イムチャート。
【図7】シリンダ容積とシリンダ内圧力との関係を示す
P−V線図。
【図8】白煙の排出状況を官能値として示す線図。
【図9】エンジン回転数に対応する効果の確認結果を示
す線図。
【図10】アクセル開度に対応する効果の確認結果を示
す線図。
【図11】吸気温に対応する効果の確認結果を示す線
図。
【図12】第2の実施の形態におけるバルブタイミング
制御手順を示すフローチャート。
【図13】第2の実施の形態における排気バルブ及び吸
気バルブの開閉動作を示すタイムチャート。
【図14】第3の実施の形態におけるエンジン断面及び
エンジン制御システムの概略を示す構成図。
【図15】第3の実施の形態における吸気制御弁の概略
を示す構成図。
【図16】排気バルブ、吸気バルブ及び吸気制御弁の開
閉動作を示すタイムチャート。
【図17】吸気制御弁による吸気制御手順を示すフロー
チャート。
【図18】吸気開始時期を設定するためのマップ。
【図19】他の実施の形態における排気バルブ及び吸気
バルブの開閉動作を示すタイムチャート。
【図20】他の実施の形態における排気バルブ及び吸気
バルブの開閉動作を示すタイムチャート。
【符号の説明】
1…エンジン(直噴式ディーゼルエンジン)、6…燃焼
室、8…吸気ポート、11…吸気特性変更手段としての
吸気バルブ、20…吸気特性変更手段(アクチュエー
タ)としてのバルブ駆動機構、50a…暖気要求判定手
段,操作手段(第1の操作手段,第2の操作手段,遅延
手段,遅延可変手段)を構成するCPU、65…吸気特
性変更手段(吸気遮断手段)としての吸気制御弁。66
…吸気特性変更手段(アクチュエータ)としての位相切
替え装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02D 9/02 361 F02D 9/02 361H 13/02 13/02 H D F F02M 31/08 321 F02M 31/08 321D F02N 17/02 F02N 17/02 A 17/04 17/04 A

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ディーゼルエンジンの吸入空気を暖める暖
    気の要求の有無を判定する暖気要求判定手段と、 前記暖気要求判定手段により暖気要求があると判定され
    たとき、前記ディーゼルエンジンの吸気行程におけるポ
    ンプロスを増加させるよう操作する操作手段とを備える
    ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。
  2. 【請求項2】前記操作手段の操作に応じて前記ディーゼ
    ルエンジンの吸気特性を変化させる吸気特性変更手段を
    備える請求項1に記載のディーゼルエンジンの制御装
    置。
  3. 【請求項3】前記吸気特性変更手段は、エンジン燃焼室
    と吸気ポートとを断続する吸気バルブと、この吸気バル
    ブを駆動するアクチュエータとを有する請求項2に記載
    のディーゼルエンジンの制御装置。
  4. 【請求項4】前記吸気特性変更手段は、エンジン燃焼室
    と吸気ポートとを断続する吸気バルブよりも上流側に設
    けられた吸気遮断手段と、この吸気遮断手段を駆動する
    アクチュエータとを有する請求項2に記載のディーゼル
    エンジンの制御装置。
  5. 【請求項5】前記暖気要求判定手段は、前記ディーゼル
    エンジンに関する温度情報に基づいて暖気要求の有無を
    判定する請求項1〜4のいずれかに記載のディーゼルエ
    ンジンの制御装置。
  6. 【請求項6】前記操作手段は、前記ディーゼルエンジン
    を低ポンプロス状態に操作する第1の操作手段と、高ポ
    ンプロス状態に操作する第2の操作手段とからなる請求
    項1〜5のいずれかに記載のディーゼルエンジンの制御
    装置。
  7. 【請求項7】前記第2の操作手段は、前記ディーゼルエ
    ンジンの吸気特性を遅延させることでポンプロスを増加
    させる遅延手段を含む請求項6に記載のディーゼルエン
    ジンの制御装置。
  8. 【請求項8】前記遅延手段は、遅延パラメータに応じて
    吸気特性の遅延度合いを可変に設定する遅延可変手段を
    含む請求項7に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  9. 【請求項9】前記遅延可変手段は、前記遅延パラメータ
    として、エンジン回転数、アクセル開度及び吸気温度の
    少なくとも一つを用い、前記エンジン回転数が高いほど
    遅延度合いを小さくし、前記アクセル開度が大きいほど
    遅延度合いを小さくし、前記吸気温度が高いほど遅延度
    合いを小さくする請求項8に記載のディーゼルエンジン
    の制御装置。
  10. 【請求項10】前記遅延手段により吸気特性を遅延させ
    ているとき、吸入空気量を増加させる吸気増加手段を備
    える請求項7〜9のいずれかに記載のディーゼルエンジ
    ンの制御装置。
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