JPH0925595A - 密着性に優れた高炭素鋼線のブラスめっき方法 - Google Patents
密着性に優れた高炭素鋼線のブラスめっき方法Info
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- JPH0925595A JPH0925595A JP17212195A JP17212195A JPH0925595A JP H0925595 A JPH0925595 A JP H0925595A JP 17212195 A JP17212195 A JP 17212195A JP 17212195 A JP17212195 A JP 17212195A JP H0925595 A JPH0925595 A JP H0925595A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、ブラスめっきの密着性に関し、特
にスチールコード用鋼線等の高減面率伸線加工に適した
耐めっき剥離性に優れたブラスめっき方法を提供する。 【解決手段】 総減面率が97%以上の高減面率伸線加
工を行うブラスめっき鋼線のめっき方法において、伸線
した鋼線をパテンティング、酸洗、アルカリ中和および
水洗した後、鋼線の表面に下地めっきとして、厚さ:
0.05〜0.5μmのNi電気めっきを施こし、さら
に前記Ni電気めっき表面にブラスめっきを行うことを
特徴とする。また、前記ブラスめっきとNi電気めっき
層の界面およびNi電気めっき層と鋼の界面は、Cu、
Znめっき後のブラス拡散熱処理において、互いにミク
ロ的な合金層を形成しないことを特徴とする。
にスチールコード用鋼線等の高減面率伸線加工に適した
耐めっき剥離性に優れたブラスめっき方法を提供する。 【解決手段】 総減面率が97%以上の高減面率伸線加
工を行うブラスめっき鋼線のめっき方法において、伸線
した鋼線をパテンティング、酸洗、アルカリ中和および
水洗した後、鋼線の表面に下地めっきとして、厚さ:
0.05〜0.5μmのNi電気めっきを施こし、さら
に前記Ni電気めっき表面にブラスめっきを行うことを
特徴とする。また、前記ブラスめっきとNi電気めっき
層の界面およびNi電気めっき層と鋼の界面は、Cu、
Znめっき後のブラス拡散熱処理において、互いにミク
ロ的な合金層を形成しないことを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラスめっきの密
着性に関し、特にスチールコード用鋼線等の高減面率伸
線加工に適した耐めっき剥離性に優れたブラスめっき方
法に関する。
着性に関し、特にスチールコード用鋼線等の高減面率伸
線加工に適した耐めっき剥離性に優れたブラスめっき方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ゴムにめっき鋼線を補強用とし
て複合化する技術は、自動車用タイヤ、高圧ゴムホー
ス、コンベアベルト等広く産業上利用されている。特
に、自動車用タイヤコードはゴムとの接着性の要求が高
度であり、最近においてもさらなる改善が成されてい
る。この接着性を向上させるには、表面にブラスめっき
を施した鋼線をゴムに埋め込む工程での加硫処理におい
て、ゴム中の成分であるSとめっき成分であるCuを結
合させ、その界面の接着を強固にする働きがある。
て複合化する技術は、自動車用タイヤ、高圧ゴムホー
ス、コンベアベルト等広く産業上利用されている。特
に、自動車用タイヤコードはゴムとの接着性の要求が高
度であり、最近においてもさらなる改善が成されてい
る。この接着性を向上させるには、表面にブラスめっき
を施した鋼線をゴムに埋め込む工程での加硫処理におい
て、ゴム中の成分であるSとめっき成分であるCuを結
合させ、その界面の接着を強固にする働きがある。
【0003】最近のブラスめっきはCu,Znをめっき
後、熱拡散する拡散めっき法が主流であり、スチールコ
ードの場合厚さ:1〜2μmが主流である。近年、高強
度化ニーズから、ブラスめっき後の伸線減面率を高める
動きがあり、それに対応してブラスめっきを厚くする必
要がある。一方、めっき厚さが3μmをこえると剥離し
易くなるため、Feとブラスめっきの密着性が重要視さ
れるようになってきた。ブラスめっきとFeの密着性を
高める方法として、下地めっきを行う方法がある。例え
ば、特開平4−103793号公報にはピロりん酸Cu
下地めっきが開示されている。この場合、ピロりん酸浴
からCuめっきを行うと、FeとCuのイオン化傾向差
によって、生じる密着性の良好でない置換めっきを回避
することができる。しかし、この方法においても、電流
密度が大きくとれず生産性が悪いので、生産性の良い硫
酸浴Cuめっきを、さらにその上に行うことによってめ
っき厚みを増すものである。しかし、この例は1〜3μ
m程度の厚みのめっきを対象としており、本発明のよう
にめっき厚さが3μm以上の厚いめっきへ適用したもの
ではない。
後、熱拡散する拡散めっき法が主流であり、スチールコ
ードの場合厚さ:1〜2μmが主流である。近年、高強
度化ニーズから、ブラスめっき後の伸線減面率を高める
動きがあり、それに対応してブラスめっきを厚くする必
要がある。一方、めっき厚さが3μmをこえると剥離し
易くなるため、Feとブラスめっきの密着性が重要視さ
れるようになってきた。ブラスめっきとFeの密着性を
高める方法として、下地めっきを行う方法がある。例え
ば、特開平4−103793号公報にはピロりん酸Cu
下地めっきが開示されている。この場合、ピロりん酸浴
からCuめっきを行うと、FeとCuのイオン化傾向差
によって、生じる密着性の良好でない置換めっきを回避
することができる。しかし、この方法においても、電流
密度が大きくとれず生産性が悪いので、生産性の良い硫
酸浴Cuめっきを、さらにその上に行うことによってめ
っき厚みを増すものである。しかし、この例は1〜3μ
m程度の厚みのめっきを対象としており、本発明のよう
にめっき厚さが3μm以上の厚いめっきへ適用したもの
ではない。
【0004】また、下地めっきではないが、ブラスめっ
き中にNiを含有させた例として、例えば、特開昭55
−50486号、特開平5−294111号および特公
平5−21990号公報などがある。しかし、いずれも
ゴムとの接着性改善を目的としたものであり、鋼の下地
との密着性改善、すなわち耐めっき剥離性の改善方法に
ついて開示したものではない。
き中にNiを含有させた例として、例えば、特開昭55
−50486号、特開平5−294111号および特公
平5−21990号公報などがある。しかし、いずれも
ゴムとの接着性改善を目的としたものであり、鋼の下地
との密着性改善、すなわち耐めっき剥離性の改善方法に
ついて開示したものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スチ
ールコード等の製造における高減面率加工において、ブ
ラスめっきが剥離しない強固なめっきを得る方法を検討
し、仕上がり鋼線のめっき層を均一密着状態に保持する
密着性に優れた鋼線のブラスめっき方法を提供する。
ールコード等の製造における高減面率加工において、ブ
ラスめっきが剥離しない強固なめっきを得る方法を検討
し、仕上がり鋼線のめっき層を均一密着状態に保持する
密着性に優れた鋼線のブラスめっき方法を提供する。
【0006】また、本発明の他の目的は、拡散が容易で
あるCuとZnに対して、拡散しずらいNi下地めっき
を検討し、これをFeとCu層に挟持して拡散を抑止
し、脆い合金層の生成を防ぐことによって密着性に優れ
た鋼線のブラスめっき方法を提供する。さらに、本発明
の別の目的は、生産性、公害問題、コスト等からブラス
めっきの密着性について、スチールコードにおけるめっ
き工程をさらに最適化し密着性に優れる鋼線のブラスめ
っき方法を提供することである。
あるCuとZnに対して、拡散しずらいNi下地めっき
を検討し、これをFeとCu層に挟持して拡散を抑止
し、脆い合金層の生成を防ぐことによって密着性に優れ
た鋼線のブラスめっき方法を提供する。さらに、本発明
の別の目的は、生産性、公害問題、コスト等からブラス
めっきの密着性について、スチールコードにおけるめっ
き工程をさらに最適化し密着性に優れる鋼線のブラスめ
っき方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を解決する本
発明の要旨は次のとおりである。 (1)総減面率が97%以上の高減面率伸線加工を行う
ブラスめっき鋼線のめっき方法において、伸線した鋼線
をパテンティング、酸洗、アルカリ中和および水洗した
後、鋼線の表面に下地めっきとして、厚さ:0.05〜
0.5μmのNi電気めっきを施こし、さらに前記Ni
電気めっき表面にブラスめっきを行うことを特徴とする
密着性に優れた高炭素鋼線のブラスめっき方法。
発明の要旨は次のとおりである。 (1)総減面率が97%以上の高減面率伸線加工を行う
ブラスめっき鋼線のめっき方法において、伸線した鋼線
をパテンティング、酸洗、アルカリ中和および水洗した
後、鋼線の表面に下地めっきとして、厚さ:0.05〜
0.5μmのNi電気めっきを施こし、さらに前記Ni
電気めっき表面にブラスめっきを行うことを特徴とする
密着性に優れた高炭素鋼線のブラスめっき方法。
【0008】(2)前記ブラスめっきとNi電気めっき
層の界面およびNi電気めっき層と鋼の界面は、Cu、
Znめっき後のブラス拡散熱処理において、互いにミク
ロ的な合金層を形成しない(1)記載の密着性に優れた
高炭素鋼線のブラスめっき方法である。
層の界面およびNi電気めっき層と鋼の界面は、Cu、
Znめっき後のブラス拡散熱処理において、互いにミク
ロ的な合金層を形成しない(1)記載の密着性に優れた
高炭素鋼線のブラスめっき方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、本発明等のめっき試験
結果からの新規な知見によって達成されたものである。
すなわち、現状では生産性、公害問題、コスト等を考慮
に入れると汎用的な電気めっきはCu,Ni,Zn,S
n系が主流であるが、Feとのめっき密着性を調べたと
ころ、これらの中でNiが最も密着性が良好であった。
結果からの新規な知見によって達成されたものである。
すなわち、現状では生産性、公害問題、コスト等を考慮
に入れると汎用的な電気めっきはCu,Ni,Zn,S
n系が主流であるが、Feとのめっき密着性を調べたと
ころ、これらの中でNiが最も密着性が良好であった。
【0010】Cu、Znめっき後拡散する拡散めっき方
法の場合、本発明では、ブラスめっき前に所要厚さのN
iめっきを行い、その後従来どおりCu,Znめっき
を、前記Niめっき表面に行い、そのCuおよびZnを
拡散し合金化する。得られるめっき層としては、母材F
e→Ni→Cu→Znの順に重なっている。ここで拡散
し易いのはCuとZnの両者であり、通常この拡散が行
われる温度300〜600℃、時間数十秒程度ではNi
はFeにもCuにも拡散しない。
法の場合、本発明では、ブラスめっき前に所要厚さのN
iめっきを行い、その後従来どおりCu,Znめっき
を、前記Niめっき表面に行い、そのCuおよびZnを
拡散し合金化する。得られるめっき層としては、母材F
e→Ni→Cu→Znの順に重なっている。ここで拡散
し易いのはCuとZnの両者であり、通常この拡散が行
われる温度300〜600℃、時間数十秒程度ではNi
はFeにもCuにも拡散しない。
【0011】一方、600℃以上ではNiがミクロ的に
Cu、Feに拡散する場合があるが、Znの蒸発、酸化
が活発になるためブラスめっき自体が損傷を受けるの
で、ブラスめっきを行う以上、適用不可能な温度であ
る。そこで、本発明のNi下地+ブラスめっきではNi
はCuおよびFeと合金層を形成しないのが特徴であ
る。
Cu、Feに拡散する場合があるが、Znの蒸発、酸化
が活発になるためブラスめっき自体が損傷を受けるの
で、ブラスめっきを行う以上、適用不可能な温度であ
る。そこで、本発明のNi下地+ブラスめっきではNi
はCuおよびFeと合金層を形成しないのが特徴であ
る。
【0012】したがって、中間層としてのNiの拡散に
よって脆い合金層が生成するなどの密着性劣化は生じな
い。このことに関して、図2に本発明材のめっき界面を
EPMAによって化学成分を線分析した結果の一例を示
す。この図でのめっき厚みはNiおよびブラスめっき層
として、それぞれ0.12および2.88μm である。このNi
めっき層は、比較的シャープなピークを示し、拡散が起
こっていないことがわかる。なお、めっき界面で各元素
の立ち上がりピークに勾配がついているのは、EPMA
の電子ビーム径が約1〜2μmと太いために、界面にあ
る両元素の特性X線を同時に検出するためである。ま
た、Cu、Znを同時に電気めっきで析出させる合金め
っきにおいても、拡散めっき同様本発明の効果は発揮さ
れる。
よって脆い合金層が生成するなどの密着性劣化は生じな
い。このことに関して、図2に本発明材のめっき界面を
EPMAによって化学成分を線分析した結果の一例を示
す。この図でのめっき厚みはNiおよびブラスめっき層
として、それぞれ0.12および2.88μm である。このNi
めっき層は、比較的シャープなピークを示し、拡散が起
こっていないことがわかる。なお、めっき界面で各元素
の立ち上がりピークに勾配がついているのは、EPMA
の電子ビーム径が約1〜2μmと太いために、界面にあ
る両元素の特性X線を同時に検出するためである。ま
た、Cu、Znを同時に電気めっきで析出させる合金め
っきにおいても、拡散めっき同様本発明の効果は発揮さ
れる。
【0013】なお、本発明のNiの厚さは0.05μm
以上必要で、これ以下ではNiが表面に均一に付着せ
ず、下地としての役割を持たなくなる。また、これが厚
くなるとめっき時間の増加等による経済性が問題となる
ので、Niの厚さの上限値は0.5μm程度である。本
発明の下地Niめっきは電気めっき以外にも蒸着等いず
れの方法によってもよい。
以上必要で、これ以下ではNiが表面に均一に付着せ
ず、下地としての役割を持たなくなる。また、これが厚
くなるとめっき時間の増加等による経済性が問題となる
ので、Niの厚さの上限値は0.5μm程度である。本
発明の下地Niめっきは電気めっき以外にも蒸着等いず
れの方法によってもよい。
【0014】次に、本発明のめっきの密着性向上の理由
について説明する。めっきによる金属の密着性は金属原
子の結合、つまり金属結合の強さに左右される。金属結
合の強さは結晶系、格子定数が近いほど良好となる。こ
こで、Feは体心立方格子で格子定数a≒2.9
(Å)、Cuは面心立方格子で格子定数a≒3.6
(Å)、一方、Niは面心立方格子で格子定数a≒3.
3(Å)である。これらは、体心立方と面心立方の違い
はあるが、同じ立方晶系であり、FeとCuより、Fe
とNiの方が格子定数が近い。本発明において母材のF
eとの密着性は、Niの方がCuより良好であること
は、この関係に基づくと考えられる。
について説明する。めっきによる金属の密着性は金属原
子の結合、つまり金属結合の強さに左右される。金属結
合の強さは結晶系、格子定数が近いほど良好となる。こ
こで、Feは体心立方格子で格子定数a≒2.9
(Å)、Cuは面心立方格子で格子定数a≒3.6
(Å)、一方、Niは面心立方格子で格子定数a≒3.
3(Å)である。これらは、体心立方と面心立方の違い
はあるが、同じ立方晶系であり、FeとCuより、Fe
とNiの方が格子定数が近い。本発明において母材のF
eとの密着性は、Niの方がCuより良好であること
は、この関係に基づくと考えられる。
【0015】また、この点からするとCuとNiは同じ
面心立方格子であり、格子定数も非常に近いので、密着
性はさらに良好であることがわかる。ちなみにZnは六
方格子で格子定数a≒2.7(Å),c≒4.9
(Å)、Snは正方晶系で格子定数a≒5.8(Å),
c≒3.2(Å)であり、Feとは大きく異なることに
なり、これらはFeとの密着性が極めて良好とはいえな
い。したがって、FeとCuの密着性をより向上させる
には、下地にNiをめっきを介在させることによって、
さらに密着性が良くなることが説明できる。以下に、本
発明について実施例に基づいてさらに詳述する。
面心立方格子であり、格子定数も非常に近いので、密着
性はさらに良好であることがわかる。ちなみにZnは六
方格子で格子定数a≒2.7(Å),c≒4.9
(Å)、Snは正方晶系で格子定数a≒5.8(Å),
c≒3.2(Å)であり、Feとは大きく異なることに
なり、これらはFeとの密着性が極めて良好とはいえな
い。したがって、FeとCuの密着性をより向上させる
には、下地にNiをめっきを介在させることによって、
さらに密着性が良くなることが説明できる。以下に、本
発明について実施例に基づいてさらに詳述する。
【0016】
実施例1 本発明の実施例として、サンプルはSWRS82A相当
の2.5mm径パテンティング処理鋼線を用い、下地Ni
めっきの厚さによるブラスめっきの密着性を評価した。
めっき処理は、電界酸洗による脱スケール、アルカリ中
和および水洗後、めっきを行う工程である。図1に実機
における本実施例の処理プロセスを示す。本実施例で
は、めっき処理として、先ずNi電気めっきを行い、次
いでCuおよびZnの電気めっきをして、その後、Cu
およびZnを熱拡散させるため、拡散焼鈍する。なお、
Niめっきはワット浴、Cuめっきはピロりん酸浴、お
よびZnめっきは硫酸浴により行った。最終の合金成分
としてのブラス組成は、CuとZnの比で、Cu/Zn
=65/35とした。
の2.5mm径パテンティング処理鋼線を用い、下地Ni
めっきの厚さによるブラスめっきの密着性を評価した。
めっき処理は、電界酸洗による脱スケール、アルカリ中
和および水洗後、めっきを行う工程である。図1に実機
における本実施例の処理プロセスを示す。本実施例で
は、めっき処理として、先ずNi電気めっきを行い、次
いでCuおよびZnの電気めっきをして、その後、Cu
およびZnを熱拡散させるため、拡散焼鈍する。なお、
Niめっきはワット浴、Cuめっきはピロりん酸浴、お
よびZnめっきは硫酸浴により行った。最終の合金成分
としてのブラス組成は、CuとZnの比で、Cu/Zn
=65/35とした。
【0017】拡散焼鈍は、流動層熱処理炉で500℃×
約10s熱処理して行った。また、本実施例では乾式伸
線を行う例を示しているが、これを省略して湿式伸線の
みにしてもよい。本実施例のめっき評価結果を表1にま
とめて示す。
約10s熱処理して行った。また、本実施例では乾式伸
線を行う例を示しているが、これを省略して湿式伸線の
みにしてもよい。本実施例のめっき評価結果を表1にま
とめて示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1の総めっき厚さは、Niめっきとブラ
スめっきの合計厚さである。また、めっきの密着性評価
方法は、折り曲げ部にテープをはり、90°折り曲げ後
のテープに付着した量で判定を行った。めっきの付着が
ない場合は○、付着した場合を×で表した。表1より本
発明1〜4は、Ni下地めっきを0.05μm以上行っ
た例であり、ブラスめっきとの総厚さに関わらず、密着
性評価の良好なめっきが得られている。
スめっきの合計厚さである。また、めっきの密着性評価
方法は、折り曲げ部にテープをはり、90°折り曲げ後
のテープに付着した量で判定を行った。めっきの付着が
ない場合は○、付着した場合を×で表した。表1より本
発明1〜4は、Ni下地めっきを0.05μm以上行っ
た例であり、ブラスめっきとの総厚さに関わらず、密着
性評価の良好なめっきが得られている。
【0020】また、比較例はNi下地めっきが0.05
μm以下のものであり、Niが表面に均一に付着せず、
下地としての役割をしないものであり、ブラスめっきの
密着性は本発明材より劣っていることがわかる。
μm以下のものであり、Niが表面に均一に付着せず、
下地としての役割をしないものであり、ブラスめっきの
密着性は本発明材より劣っていることがわかる。
【0021】実施例2 実施例1と同様に、SWRS82A相当の2.5mm径パ
テンティング処理鋼線を用い、下地Niめっきの厚さに
よるブラスめっきの密着性として、97%以上の高減面
加工時のめっきの耐剥離性の評価を行った。めっき工程
は実施例1と同様とし、先ずNi電気めっきし、次いで
CuおよびZnの電気めっきし、その後、CuおよびZ
nを熱拡散させるため、拡散焼鈍する工程によってめっ
き処理を行った。実施例1で作成しためっき鋼線を以下
伸線した。
テンティング処理鋼線を用い、下地Niめっきの厚さに
よるブラスめっきの密着性として、97%以上の高減面
加工時のめっきの耐剥離性の評価を行った。めっき工程
は実施例1と同様とし、先ずNi電気めっきし、次いで
CuおよびZnの電気めっきし、その後、CuおよびZ
nを熱拡散させるため、拡散焼鈍する工程によってめっ
き処理を行った。実施例1で作成しためっき鋼線を以下
伸線した。
【0022】前記工程により作製した2.5mm径のめっ
き鋼線を、0.30mm径まで総減面率:98.6%でダ
イヤモンドダイスで湿式伸線を行った。この伸線によっ
て、連続して5kg伸線後、めっきが剥離した場合は湿式
潤滑液内に、剥離しためっきが混入するので、潤滑液を
吸引濾過機にて濾過し、濾紙に残存した物質を剥離した
めっき分として定義した。密着性評価は全めっき量に対
する剥離量を剥離率として重量%で示した。その結果を
表2にまとめて示す。
き鋼線を、0.30mm径まで総減面率:98.6%でダ
イヤモンドダイスで湿式伸線を行った。この伸線によっ
て、連続して5kg伸線後、めっきが剥離した場合は湿式
潤滑液内に、剥離しためっきが混入するので、潤滑液を
吸引濾過機にて濾過し、濾紙に残存した物質を剥離した
めっき分として定義した。密着性評価は全めっき量に対
する剥離量を剥離率として重量%で示した。その結果を
表2にまとめて示す。
【0023】
【表2】
【0024】表2より本発明1〜4は、前記実施例1と
同様の条件によるめっきを行ったもので、Ni下地めっ
きを0.05μm以上行ったものである。これらではブ
ラスめっきとの総厚さに関わらず、伸線後の剥離率は少
なく密着性評価が良好であり、伸線後に均一めっきを保
持した鋼線が得られた。また、比較例はNi下地めっき
が0.05μm以下のものであり、伸線後の剥離率が高
く密着性評価は本発明材に比較して劣っている。これ
は、比較例ではめっき密着性が弱いため、伸線ダイスに
よりめっき層が削られ剥離したことを示している。
同様の条件によるめっきを行ったもので、Ni下地めっ
きを0.05μm以上行ったものである。これらではブ
ラスめっきとの総厚さに関わらず、伸線後の剥離率は少
なく密着性評価が良好であり、伸線後に均一めっきを保
持した鋼線が得られた。また、比較例はNi下地めっき
が0.05μm以下のものであり、伸線後の剥離率が高
く密着性評価は本発明材に比較して劣っている。これ
は、比較例ではめっき密着性が弱いため、伸線ダイスに
よりめっき層が削られ剥離したことを示している。
【0025】
【発明の効果】本発明により、厚めっきを行った場合に
おいても、密着性の良いブラスめっきが得られ、高い減
面率の伸線を行っても、伸線後の極細鋼線のめっき厚さ
を従来どおり保持できる。また、本発明によって、めっ
きが均一化され伸線時のダイスとの摩擦を一定に保つこ
とが可能となり、ダイス寿命の向上、安定製造がはかれ
る。さらに、スチールコードにおいては最終的にはゴム
との接着性評価が重要となるが、ブラスめっきの均一性
によるゴムとの接着性が改善される。
おいても、密着性の良いブラスめっきが得られ、高い減
面率の伸線を行っても、伸線後の極細鋼線のめっき厚さ
を従来どおり保持できる。また、本発明によって、めっ
きが均一化され伸線時のダイスとの摩擦を一定に保つこ
とが可能となり、ダイス寿命の向上、安定製造がはかれ
る。さらに、スチールコードにおいては最終的にはゴム
との接着性評価が重要となるが、ブラスめっきの均一性
によるゴムとの接着性が改善される。
【図1】本発明に係る鋼線の加工およびめっき処理工程
を示す図である。
を示す図である。
【図2】本発明に係る鋼線のめっき層の化学成分のEP
MA分析例を示す図である。
MA分析例を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 総減面率が97%以上の高減面率伸線加
工を行うブラスめっき鋼線のめっき方法において、伸線
した鋼線をパテンティング、酸洗、アルカリ中和および
水洗した後、鋼線の表面に下地めっきとして、厚さ:
0.05〜0.5μmのNi電気めっきを施こし、さら
に該Ni電気めっき表面にブラスめっきを行うことを特
徴とする密着性に優れた高炭素鋼線のブラスめっき方
法。 - 【請求項2】 前記ブラスめっきとNi電気めっき層の
界面およびNi電気めっき層と鋼の界面は、Cu、Zn
めっき後のブラス拡散熱処理において、互いにミクロ的
な合金層を形成しない請求項1記載の密着性に優れた高
炭素鋼線のブラスめっき方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17212195A JPH0925595A (ja) | 1995-07-07 | 1995-07-07 | 密着性に優れた高炭素鋼線のブラスめっき方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17212195A JPH0925595A (ja) | 1995-07-07 | 1995-07-07 | 密着性に優れた高炭素鋼線のブラスめっき方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0925595A true JPH0925595A (ja) | 1997-01-28 |
Family
ID=15935949
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17212195A Withdrawn JPH0925595A (ja) | 1995-07-07 | 1995-07-07 | 密着性に優れた高炭素鋼線のブラスめっき方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0925595A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7300706B2 (en) * | 2004-02-04 | 2007-11-27 | Nv Bekaert Sa | High-carbon steel wire with nickel sub coating |
-
1995
- 1995-07-07 JP JP17212195A patent/JPH0925595A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7300706B2 (en) * | 2004-02-04 | 2007-11-27 | Nv Bekaert Sa | High-carbon steel wire with nickel sub coating |
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