JP3444179B2 - 加工性、化成処理性、スポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

加工性、化成処理性、スポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法

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JP3444179B2 JP06311298A JP6311298A JP3444179B2 JP 3444179 B2 JP3444179 B2 JP 3444179B2 JP 06311298 A JP06311298 A JP 06311298A JP 6311298 A JP6311298 A JP 6311298A JP 3444179 B2 JP3444179 B2 JP 3444179B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性、特に、自
動車車体用に供せられる際に、鋼板表面の汚染を除去す
るために潤滑性に乏しい洗浄油を塗油された厳しい潤滑
条件下においても、良好なプレス成形性 (パウダリング
性、摺動性) が確保でき、なおかつ、良好な化成処理性
を確保できる合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造
方法に関するものである。
【0002】さらに、本発明は、スポット溶接性に優れ
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関す
る。詳述すれば、本発明は、スポット溶接時の電極チッ
プの損耗を抑制して電極チップの耐久性を向上させるこ
とにより連続打点性を向上させることができ、さらに
は、連続打点時における鋼板からの溶金が飛び散る現象
(スパッタ) 、および、鋼板と電極チップとの溶着現象
(スティッキング) を防止することにより連続打点性を
向上させることができるスポット溶接性に優れた合金化
溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】周知のように、自動車の車体用のパネル
は、各種形状にプレス加工されたパネル同士に抵抗溶接
(特にスポット溶接) を行って接合することにより、組
み立てられる。特にスポット溶接を行う場合では、連続
的に多数の点溶接を行うため、その生産性を向上するに
は、同じ電極チップを用いてできるだけ連続打点数を上
げることが要求される。
【0004】スポット溶接の連続打点数を増加させるた
めには、電極チップの損耗をいかに抑制させるかが、重
要である。しかも、溶接時に電極チップが溶着するステ
ィッキング現象が発生した場合には、電極損耗を助長
し、電極チップの脱落が起こることから以後の溶接が継
続できなくなるという問題がある。そのためスティッキ
ング現象の発生はできるだけ、抑制することが好まし
い。また、溶金が飛散するスパッタ現象が発生した場合
には溶金が鋼板に付着するために、車体表面手入れを実
施することとなるために、スパッタ現象もできるだけ抑
制することが、生産性の向上の点では重要である。
【0005】近年、防錆性の向上の観点から、表面処理
鋼板、特に、溶融亜鉛めっき後の鋼板を熱拡散処理し
て、亜鉛めっき層を素地鋼と合金化させた合金化溶融亜
鉛めっき鋼板が、自動車車体用パネルに積極的に適用さ
れてきている。しかし、この合金化溶融亜鉛めっき鋼板
は、めっき層の主成分である亜鉛が、母材鋼板を構成す
る鉄よりも融点が低く、そのため銅を主成分とする電極
チップへ、亜鉛が拡散することによる電極チップ損耗が
激しくなり、スポット溶接時の連続打点性が低いことが
従来より問題視されてきた。
【0006】したがって、すでに合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の連続打点性を向上するため、例えば、特開昭59−
104463号公報には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき
最表層に半導体である酸化Zn皮膜を形成させる発明が提
案されている。
【0007】しかしながら、特開昭59−104463号公報に
より提案された発明は、合金化溶融亜鉛めっき層表面に
半導体である酸化Zn皮膜を形成し、この酸化Zn皮膜のバ
リア効果により、合金化溶融亜鉛めっき層表面に存在す
る金属Znと、Cu製の電極チップとの間におけるCu−Zn合
金化反応を抑制しようとするものである。しかし、この
酸化Zn皮膜は、その存在状態によって、大きく導電性が
異なるため、場合によってはスポット溶接時における電
極チップ表面の発熱量が大きく変動する。そのため、ス
ポット溶接の際の加圧および通電により、酸化Zn皮膜が
簡単に破壊されてしまい、前述したCu−Zn合金化反応を
確実に抑制できないことも、スポット溶接性がばらつく
一因であると考えられる。
【0008】すなわち、上記提案の発明にあっては、酸
化Zn皮膜はその存在状態によって、導電性が大きく異な
るため、合金化溶融亜鉛めっき層表層に酸化亜鉛皮膜を
形成しても連続打点性は著しく変化し、連続打点性を確
実に向上させることは難しい。
【0009】一方、合金化溶融亜鉛めっき鋼板では、め
っき層と母材鋼板との密着力を向上させるために溶融亜
鉛めっき浴中に、Alを0.08〜0.17重量% (以下、本明細
書においては特にことわりがない限り「%」は、「重量
%」を意味するものとする)程度含有させるため、形成
された合金化溶融亜鉛めっき層表面には、一般的にAl
(アルミナ) が残存する。しかしながら、Al2O3
は、絶縁体であるために、スポット溶接時に電極チップ
表面の発熱が過大となる。そのため、電極チップ表面に
脆い合金層が厚く形成されて、かえって電極チップの損
耗が著しくなり、連続打点性を低下させるという問題も
ある。
【0010】このような溶接性の観点から、特開平4−
21750 号公報には、合金化溶融亜鉛めっき層中のAl量を
制限することにより、Al2O3 量をできるだけ低減して、
連続打点性の改善を図った発明が、また特開平6−7352
1 号公報には、Al量を制限するとともに前述した酸化Zn
皮膜を形成させることにより、連続打点性の改善を図っ
た発明が、それぞれ提案されている。
【0011】また、特開平4−21750 号公報や、同6−
73521 号公報により提案された発明は、合金化溶融亜鉛
めっき層のAl量を制限するものであるが、その技術思想
は、合金化溶融亜鉛めっき層表層から絶縁体であるAl2O
3 をできるだけ排除しようとしている。しかしながら、
これらの提案にかかる発明でも、連続打点性の改善効果
は少なく、不十分である。
【0012】ところで、従来のプレス成形性、化成処理
性の向上に関しては、Mn、Zn等の酸化皮膜を形成させる
方法があり、たとえば特公平6−96784 号公報では、M
n、Zn、Pの複合酸化物を合金化めっき最表層に生成さ
せ、プレス加工性、化成処理性などの性能を向上させて
いるが、この方法では、特殊な酸化Zn皮膜層を形成させ
るものであり、特殊な後処理液、および、装置が必要と
なる。また、強固な酸化Zn皮膜が形成されるために、厳
しい化成処理条件下においては、必ずしも満足な化成処
理性、塗装後の耐食性が確保できない問題がある。
【0013】さらに、加工性および化成処理性に関して
は、特開平1−319661号公報のように合金化溶融亜鉛め
っき鋼板上にFe系のフラッシュめっきを施す2層めっき
方法があるが、この方法も、設備的に大がかりなものに
なり、コスト増大につながるため、合金化溶融亜鉛めっ
きそのもので、優れた加工性、および、化成処理性が確
保できる処理方法が強く望まれている。
【0014】ここでいう化成処理性は、化成処理後のカ
ットした際の電着塗装による塗膜膨れ幅であり、通常、
合金化溶融亜鉛めっきでは、車体形状から考えて、電着
膜厚が薄い状態が存在するが、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板は、電着膜厚が20μmをきるような条件下において
は、著しく塗膜膨れ幅が増大することがあり、合金化溶
融亜鉛めっき皮膜そのもの (2層めっき化を施さない状
態) での改善が望まれてきた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ここに、本発明の目的
は、スポット溶接の際のスパッタ、スティッキングの各
現象の発生を抑制することにより、電極チップの損耗を
抑制して耐久性を向上させることにより、連続打点性を
向上させることができる、スポット溶接性に優れた合金
化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供するこ
とである。
【0016】さらに本発明の目的は、特別な後処理方法
を使用することなく、めっき最表層の組成をコントロー
ルするだけで、潤滑性の高い防錆油が除去され、潤滑性
の乏しい洗浄油が塗布された厳しい加工条件下でも良好
な摺動性が確保でき、かつ、従来の後処理皮膜を形成さ
せる方法では、改善が困難であった優れた化成処理性の
改善をすることにより、自動車車体外板用として最適な
加工性と化成処理性とを備えた合金化溶融亜鉛めっき鋼
板とその安価な製造方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、連続打点
性に大きな影響を及ぼす因子として、めっき皮膜極最表
面の組成が非常に影響を及ぼすのではないかと推察し、
酸化ZnおよびAl2O3 以外の別の因子が存在するのではな
いかと考え、鋭意検討した。
【0018】その結果、本発明者らは、(1) 合金化溶融
亜鉛めっき層最表面に残存する金属Zn量および金属Fe量
が連続打点性に大きな影響を及ぼしており、(2) めっき
最表面に極微量のAl2O3 を残存させることが、スティッ
キング防止に対して効果的であるという知見を得た。つ
まり、電極チップの溶着 (スティッキング現象) を抑制
させるためには、ある程度微量にAl2O3 を残すことが必
要である。また、過剰にAl2O3 が残存した場合には、電
極表面の発熱量が過大となり、酸化Zn層の破壊が発生す
ることがある。しかも、過剰な金属Znが残存した状態で
Al2O3 が存在した場合には、金属Znの電極チップへの拡
散を促進させてしまうため、溶接性が著しく劣化するこ
とを知見した。
【0019】一般的に、合金化溶融亜鉛めっきの製造に
際して、めっき浴中にAlが含有されており、母材鋼板が
めっき浴中に浸漬した際に、初めにFe−Al合金層が形成
され、鋼板と溶融亜鉛との過剰な反応を抑制している。
このFe−Al合金層は、その後の加熱による合金化過程に
おいては、鋼板から熱拡散する鉄のバリア皮膜として作
用すると考えられる。従って、鋼板からの鉄拡散の起点
が均一ではなく、分散されているため、見掛け上は、合
金化処理が完了して、未反応の金属Znは、存在していな
いように見えるが、めっき最表層では、鉄拡散が遅れた
部分では、金属Zn (η相) 、もしくは、Fe含有量の低い
Zn−Fe金属間化合物 (ζ相) が残存している。
【0020】また、上述のように、Alを含んだめっき浴
に母材鋼板を浸漬するため、めっき層の表層に存在する
Alは、溶融めっきの後の合金化処理によってAl2O3 へ変
化する。さらに、このような合金化処理により、めっき
層内部に存在していたAlは、表面に濃化してくるため
に、めっき最表層には、Al2O3 が、かなりの量存在して
いる。
【0021】したがって、電極チップの発熱と電極チッ
プへの金属Znの拡散をともに抑制して連続打点性を改善
するとともに、スパッタ発生を防止するには、めっき層
の最表面に存在する金属Znを除去するとともに、最表面
に金属Fe量を多量存在させることが非常に有効であり、
一方、溶着 (スティッキング) 現象を防止するために
は、Al2O3 を最表面にある程度微量に残すことが有効で
ある。
【0022】ここで、めっき層最表面に存在する金属Zn
およびAl2O3 を除去、低減させるためには、アルカリ溶
液処理および/または酸溶液処理を行えばよい。Zn、Al
ともに、両性金属であり、アルカリ溶液、酸溶液によっ
て容易に溶解することができるからである。
【0023】すなわち、めっき層最表面に存在する金属
ZnおよびAl2O3 を低減、制御するためには、通常の合金
化処理を完了した後で、得られた合金化溶融亜鉛めっき
鋼板に、アルカリ処理もしくは酸処理またはこれらの組
み合わせた処理を行えばよい。そうすることにより、相
対的に十分な量だけ金属Feを最表面に存在させることが
でき、非常に効果的である。
【0024】さらに、本発明者らは、合金化溶融亜鉛め
っき鋼板において、加工性、および、化成処理性に与え
る影響を種々検討した結果、めっき皮膜全体の組成より
も、めっき最表面の組成が大きく影響を及ぼすという新
知見を得た。
【0025】すなわち、摺動性の確保のためには、金型
との焼き付きを起こしやすい金属亜鉛量を適正量まで低
減させるとともに、めっき最表層の金属Fe量をあげ、表
層を硬質化させることが重要である。また、化成処理性
の向上のためには、通常の合金化溶融亜鉛めっき鋼板で
は、表層に存在しているAl2O3 層が化成結晶の成長を阻
害すると共に、表層に活性な金属Zn層が存在している
と、化成処理時にエッチングが過剰になり、充分に化成
結晶が析出できなくなり、適切な化成結晶が成長できに
くくなるという問題があった。さらに、表層がFeリッチ
になると、良好な化成結晶が形成しやすくなる。その結
果、良好な化成処理性が確保できる結果、塗装後の膨れ
幅が大幅に改善できることが判明した。
【0026】すなわち、金型との焼き付きを起こしやす
いZn量を低減させ、表層に比較的Feリッチな層を形成さ
せることが、摺動性、および、化成処理性の改善に対し
て効果的であるが、通常の合金化溶融亜鉛めっき鋼板で
は、前述のように、表層にZnリッチな部分、および、Al
2O3 が残存しているために、効果的に理想とするめっき
最表面組成を確保することが困難であるという問題があ
った。
【0027】ここで、めっき最表面に存在する金属Zn、
Al2O3 を除去、低減させるためには、Zn、Alともに、両
性金属であり、アルカリ溶液、酸溶液により、容易に溶
解することができる。その際、めっき最表面に存在する
金属Zn、および、Al2O3 を低減、制御するためには、通
常の合金化処理を完了した後で、まず、アルカリ処理に
て、表層のAl2O3 を除去することにより、めっき最表面
に残存している金属Zn、および、ζ相を効果的、かつ効
率よく除去できるという新知見を見出した。そうするこ
とにより、金属Feが充分表面に存在することができ、摺
動性、および、化成処理性が可能となった。本発明者ら
は、これらの知見に基づき、さらに、検討を重ねて、本
発明を完成した。
【0028】ここに、本発明は、次の通りである。 (1) Fe含有量:8〜16%であるとともに、最表層におけ
る金属Zn量:40%以下で、かつ、最表層における金属Fe
量が、金属Feと金属Znの重量比Fe/Zn=0.5 以上、最表
層におけるAl2O3 量が、10%以下であるZn−Fe合金めっ
き層を有することを特徴とする加工性、化成処理性に優
れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。 (2) 上記(1) において最表層における前記Al2O3 量が、
Al2O3 =1.0 〜10%であることを特徴とするスポット溶
接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【0029】(3) 溶融亜鉛めっき浴に母材鋼板を浸漬
し、得られた溶融亜鉛めっき鋼板を加熱して合金化処理
を行ってFe含有量:8〜16%のZn−Fe合金めっき層を備
えた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とし、次いで該合金化溶
融亜鉛めっき鋼板を、pHが9.0 以上のアルカリ溶液に接
触させること、および/または、pHが、3.0 以下の酸溶
液に接触させることを特徴とする上記(1) または(2) 記
載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0030】(4) 溶融亜鉛めっき浴に母材鋼板を浸漬
し、得られた溶融亜鉛めっき鋼板を加熱して合金化処理
を行ってFe含有量:8〜16%のZn−Fe合金めっき層を備
えた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とし、次いで該合金化溶
融亜鉛めっき鋼板を、pHが9.0 以上のアルカリ溶液に接
触させた後に、pHが、3.0 以下の酸溶液に接触させるこ
とを特徴とする上記(1) または(2) 記載の合金化溶融亜
鉛めっき鋼板の製造方法。
【0031】ここに、本発明における「最表層」とは、
合金化溶融亜鉛めっき層のうちで、金属ZnまたはAl2O3
が過剰に存在する領域のことで、そのように金属Znまた
はAl2O3 が過剰に存在することでスポット溶接時の連続
打点性、加工性、化成処理性を低下させる範囲の深さの
表面層を意味しており、例えば、めっき層表面から深さ
方向に500 Å (オングストローム) の範囲の領域の層で
あり、具体的にはXPS法 (X線光電子分光法) により
分析される範囲内の表面層であり、めっき皮膜の最表面
から金属Zn、金属Feが安定になるまで、すなわちバルク
の合金層に達するまでの状態の表層領域である。
【0032】
【発明の実施の形態】次に、本発明にかかるスポット溶
接性、さらには加工性、摺動性に優れた合金化溶融亜鉛
めっき鋼板およびその製造方法の実施の形態について、
具体的に説明する。
【0033】本発明にかかるスポット溶接性および摺動
性、化成処理性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、
(I) めっき層最表層における金属Zn量:40%以下、か
つ、めっき最表層における金属Fe量が、金属Fe/金属Zn
≧0.5 、(II)めっき層最表層におけるAl2O3 量が、10%
以下、好ましくは1.0 〜10%残存、(III) めっき層のFe
含有量:8〜16%の3点に特徴を有する。以下、これら
の特徴について分説する。
【0034】(I) めっき層最表層における金属Zn量:40
%以下、かつ、めっき最表層における金属Fe量が、金属
Fe/金属Zn≧0.5 となるように含有されること。金属Zn
量で40%超になると、軟質な金属Zn、もしくは、ζ相の
残存量が多すぎ、金型との焼き付きをおこしやすくな
り、摺動性の劣化を招くために好ましくない。また、そ
の際、金属Fe/金属Zn=0.5 未満になると、最表面層が
硬質化し、洗浄油のような潤滑性が乏しい塗油下でも良
好な加工性が確保できるようになる。さらに、金属Fe/
金属Zn=0.5 未満であれば、化成処理性に劣り、電着膜
厚が薄い場合に塗膜膨れ幅が増大するという問題があ
り、化成処理性の面からも、所定量の金属Fe量が必要で
ある。
【0035】次に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき
層最表面の金属Zn、金属Feが連続打点性を低下させる機
構について説明する。図1は、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板に、連続的な点溶接を行ったときに電極チップに生じ
た内欠現象の模式的説明図である。図1(a) に示すよう
に、従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板に対する連続打点
時には中央部が凹む内欠現象を生じ、連続打点性に劣る
が、図1(b) に示すように、本発明にかかる合金化溶融
亜鉛めっき鋼板の場合には、電極チップ表面が、ミクロ
的に欠落し、荒れるために内欠現象を起こしにくい。
【0036】一般的に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、
連続的な点溶接を行う連続打点試験を行った場合、Cu合
金製の電極チップ表面は、その打点数の増大に伴い、図
1に示すような電極チップ表面の中央部が凹む『内欠現
象』が生じる。このような、著しい内欠現象が生じた場
合には、充分に溶接が確保できるだけの溶接電流が流れ
る通電パスが確保できなくなるために、連続打点時に、
充分なナゲットが形成されず、連続打点性が低下する結
果となる。従って、このような内欠現象をできるだけ抑
えること、もしくは、内欠現象が発生しても、直ちに回
復することが、安定した連続打点性を確保するために
は、必須である。
【0037】ここに図2(a) 、(b) は、電極チップの連
続打点時のミクロ的合金層成長状態に着目した別な内欠
現象を示す模式的説明図である。図中、電極チップ表面
の合金相に着目して、そのミクロ的な模式図を示す。図
2(a) の従来材の場合には、真鍮層上に、軟質で剥離を
起こしにくい低Fe%のZn−Fe合金層が形成され、内欠現
象が消失しにくいことが分かる。
【0038】一方、図2(b) に示すように、本発明にか
かる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合、真鍮層上に、硬
質で剥離を起こしやすい高Fe%のZn−Fe合金層が直接形
成されるために、この高Fe%のZn−Fe合金層が容易に欠
落し、電極先端がミクロ的に荒れるために、内欠現象が
生じにくいことを表している。
【0039】合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層最表
層に金属Znが存在する場合には、図2(a) に示すよう
に、Zn−Fe合金層3が形成される連続打点初期にγ−真
鍮層2bの表面に、Fe含有率の低いZn−Fe合金層3a (Fe含
有率:約10%、硬度150Hv)が形成される。このように、
金属Znがめっき層の最表層に存在し、かつ、金属Feが充
分に存在していない合金化溶融亜鉛めっき鋼板では、低
Fe含有量のZn−Fe合金層3aが、γ−真鍮層2bの上に形成
され、その後、このZn−Fe合金層3aの上に、高Fe含有率
のZn−Fe合金層3b (Fe含有率:約25%、硬度約300Hv)が
形成される。
【0040】しかしながら、このような電極チップ構造
では、低Fe含有量のZn−Fe合金層3aが軟質なために、そ
の上層の硬質で、Fe含有量が多いZn−Fe合金層3bが、連
続的に加圧をかけて溶接を行う連続打点時に、機械的な
損耗を受けにくく、そのためZn−Fe合金層が欠落しにく
くなり、図1(a) に示したように、内欠現象を起こした
ままの状態となるため、連続打点性が著しく低下する。
【0041】一方、本発明にしたがって、合金化溶融亜
鉛めっき鋼板のめっき層最表層に金属Znが存在しないう
えに、最表層にFeが存在している場合には、図2(b) に
示すように、硬質で、Fe含有量が多いZn−Fe合金層3bし
か存在しない形態となる。このようなFe含有量が多いZn
−Fe合金層は、硬質で脆いために、連続打点時に、機械
的な損耗を受けやすくなるために、部分的にZn−Fe合金
層3が欠落を繰り返し、ミクロ的に表面が荒れるため
に、図1(b) に示したように、チップ先端の内欠現象が
発生しにくくなり、安定した通電パスの確保が可能とな
ることから、連続打点性が著しく向上するものと考えら
れる。
【0042】したがって、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
めっき層最表層に存在する金属Znを低減して、低Fe含有
量のZn−Fe合金層3aを形成させないことが連続打点性の
向上には有効であり、その際のめっき層最表面の金属Zn
量、および、金属Fe量が非常に重要である。
【0043】次に、めっき層最表層における金属Zn量、
金属Fe量が、スポット溶接時の連続打点性に及ぼす影響
を、下記の方法で調べた。一般的に、めっき皮膜中の金
属Znを含むZn−Fe合金層を測定する際には、X線回折法
等を採用することが効果的である。しかし、X線回折法
では、めっき最表層の金属Zn量を測定することが困難で
あるため、めっき層最表層の分析が可能なXPS法 (X
線光電子分光法) を用いた。
【0044】すなわち、めっき層最表層から深さ方向へ
500 Åの範囲における金属Zn量を変化させた各試料につ
いて、連続打点性を評価した。ここで、XPS法の測定
条件を図3、表1にまとめて示す。図3は、各ピークの
面積から、所定時間の組成量を計算により定量できるこ
とを表す。
【0045】図3(a) は、あるスパッタ時におけるスペ
クトル図を示したものである。この図から、各スパッタ
時における測定元素 (金属Zn、金属Fe量) のピーク面積
からその存在量を重量%として計算した。
【0046】図3(b) は、各スパッタ時間 (深さ方向)
の組成量測定結果から、深さ方向の金属Fe/金属Zn比を
表わしたものであり、約500 Åの深さの領域が、めっき
バルク中と組成比が異なっており、この状態が変化する
(Fe/Znが高くなる) ことにより、連続打点性が向上し
ていくことを表している。
【0047】また、金属Zn、金属Fe量の厚みを測定する
ために、図3(b) および表1に示すように、Arイオンス
パッタを0〜40秒まで (深さ方法で、500 Åまで) 、5
秒ピッチで行い、各スパッタ時の金属Zn存在量、金属Fe
量を積算し、その存在量の平均値 (平均金属Zn存在量、
平均金属Fe存在量) を用いた。
【0048】その際に、深さ方向に500 Åと規定した理
由は、Arイオンスパッタによる深さ方向の強度分布を求
めると、図3(b) に示すように、Fe/Zn強度プロファイ
ルにより、強度比が一定になる時点があり、これが500
Åに相当するからである。すなわち、めっき皮膜のバル
ク中のZn−Fe合金層に達するまでの上層のめっき層、つ
まり最表層の状態 (金属Zn量、金属Fe量、Al2O3 量)
が、スポット溶接性に大きな影響を及ぼしており、相対
的に金属Fe量が大きいものが連続打点性に優れていると
いう新たな知見を得た。
【0049】さらに本発明者らは、上記の最表層の状態
(金属Zn量、金属Fe量、Al2O3 量)が、摺動性および化
成処理性に大きな影響を及ぼしており、相対的に金属Fe
量が大きいものが、摺動性、化成処理性に優れていると
いう新たな知見を得た。
【0050】
【表1】
【0051】この確認実験の結果、良好な連続打点性、
加工性および化成処理性を得るためには、めっき層表面
から深さ方向で500 Åの範囲の最表層における金属Zn量
は、電極先端に軟質な低Fe含有量のZn−Fe合金層の形成
を抑制するために、できるだけ少なくすることが必要で
あり、平均金属Zn量としては、40%以下、好ましくは、
30%以下である。電極表面に効果的に硬質な高Fe含有量
のZn−Fe合金層を形成させるために、めっき最表面に存
在する金属Fe量が、金属Zn量に対して、多くすべきであ
り、前述のように、電極チップ表面にめっき最表層のFe
量として、金属Zn量との比でとると、金属Fe/金属Zn
が、0.5 以上、好ましくは0.8 以上である。
【0052】かかるめっき層最表層に金属Zn量、金属Fe
量を有しない場合には、図2(a) に示すような電極1の
表面に軟質な低Fe含有率のZn−Fe合金層が形成されてし
まい、充分な連続打点性を確保することができなくな
る。
【0053】また、めっき最表層における金属亜鉛量が
40%以下、かつ金属Fe/金属Znが0.5 以上であると、図
2(b) に示すように、γ−真鍮層の表面に低Fe含有率の
Zn−Fe合金層は、形成されず、高Fe含有率のZn−Fe合金
層3のみが直接形成される。この高Fe含有率Zn−Fe合金
層は、スポット溶接時の電極チップ加圧により、ミクロ
的に容易に欠落し、電極チップ表層をミクロ的にあらす
ために、電極チップ先端の内欠現象による通電時の溶接
パスの減少を防止し、安定した通電パスが可能となる。
したがって、連続打点性が確保できる。
【0054】(II)めっき最表層のAl2O3 が、Al2O3
で、10.0%以下、特にスポット溶接の改善には1.0 〜1
0.0% めっき層最表面に存在するAl2O3 は、絶縁体であるた
め、Al2O3 が存在する部分では、溶接時の通電パスにな
り得ない。そのため、電気抵抗が高く電極チップの表面
における発熱量が過大になって、γ−真鍮層2bの成長が
促進され、γ−真鍮層2bで、溶接加圧時に剥離が生じ、
いわば真鍮層全体が欠落するとになり、電極チップ先端
面積が著しく大きくなる。電極チップ先端面積 (鋼板と
電極チップが接触している面積) が大きくなると、溶接
時の電流密度が低下し、ナゲットを形成させるための充
分な発熱量を嫁ぐことが困難になり、著しく連続打点性
が低下する。
【0055】また、めっき層最表面におけるAl2O3 存在
部分では、発熱量が過大となるために、スパッタが発生
しやすくなる。著しくスパッタが発生すると、溶金が鋼
板表面に付着し、表面外観を損なうために、表面手入れ
作業が必要となり、生産性の低下をきたす。したがっ
て、連続打点数を確保し、スパッタの発生を抑制するた
めには、めっき層最表層に存在するAl2O3(酸化Al) をあ
る程度除去することが好ましい。
【0056】一方、最表層に金属Zn、Al2O3 が完全にみ
られない、清浄なめっき層最表面が露出すると、電極チ
ップと鋼板とが溶着をおこすスティッキング現象を起こ
しやすくなるために、連続打点時に、電極が欠落し、生
産性が低下するという問題がある。絶縁体であるAl2O3
を表層にある程度残していると、溶着に対するバリア効
果として期待できるために、連続打点性が低下しないだ
けの量のAl2O3 を残しておくことも、スポット溶接での
連続打点時には有効である。スティッキング現象が発生
すると、鋼板に電極が付着するために、電極が抜けると
いう問題が生じるだけでなく、電極先端の合金層が鋼板
表面に付着しやすくなり、電極先端の損傷が大きくなる
ために、やはり、連続打点性が低下するからである。
【0057】電極損耗が大きくなると連続打点性が低下
する理由は、電極チップ損耗が増大するとそれに伴って
電極が鋼板に接触する面積が増大し、ナゲットが形成で
きるだけの充分な電流密度が確保できないために連続打
点性が低下するからである。したがって、前述のZn−Fe
合金層の形成、欠落の範囲では、電極チップ先端面積が
急激に増大することはないが、溶着、あるいは、γ−真
鍮層厚の増大により、真鍮層が欠落するような場合に
は、電極チップ損耗が著しく大きくなり、電極チップと
鋼板との接触面積が増大するため、著しく連続打点性が
低下する。めっき最表層のAl2O3 量は、前述のXPS法
により、めっき最表面から深さ方向に500 Åまでの平均
Al2O3 存在量により評価した。
【0058】その結果、深さ方向500 Åまでのめっき最
表層におけるAl2O3 量が1.0 〜10.0%の間にあるこ
とが、スティッキング防止に対しては、効果的である。
1.0 %よりも小さいと、著しいスティッキング現象
を発生し、連続打点性が低下する。また、10.0%よりも
大きいと相対的にAl2O3 量が多くなり、スパッタが発生
しやすくなると共に、過剰の発熱によるγ−真鍮層の形
成量が大きくなり、電極損耗速度が速くなるためであ
り、好ましくは、3.0 〜8.0 %である。さらに、重量比
で10%を越えると化成処理性が低下する。好ましくは7
%以下である。
【0059】(III) めっき層のFe含有量:8〜16% また、金属Zn量は、合金化処理しためっき層中のFe含有
量にも大きく影響される。めっき層中のFe含有量が8%
未満であると、合金化処理がめっき層最表層まで完了せ
ず、最表層に金属Zn (η相) が厚く存在し、後述する金
属Zn除去処理を行っても充分に除去することができな
い。一方、めっき層のFe含有量が16%超であると、めっ
き層表層に残存する金属Zn量はある程度低減され、金属
Fe量はある程度増加されるものの、プレス加工時にめっ
き層が剥離するパウダリング現象を生じてしまう。そこ
で、本発明では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層
中のFe含有量は、8%以上、16%以下に限定する。同様
の観点からは、好ましくは、9%以上、13%以下であ
る。
【0060】本発明にかかるスポット溶接性、さらには
加工性、化成処理性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板
において、上記以外の構成は、通常の合金化溶融亜鉛め
っき鋼板と同一であるため、これ以上の説明は省略す
る。
【0061】次に、めっき層最表層における金属Zn、Al
2O3 量を、それぞれ上記の範囲に低減して、金属Fe量を
増大させる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法を
説明する。
【0062】本発明によれば、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板を製造するまでの段階においては特に制限されず、合
金めっき層におけるFe含有量が8〜16%である限り、適
宜手段で製造すればよく、例えば予備熱処理を経て冷延
鋼板を溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、めっき浴より引き上
げてから合金化熱処理を行うことで合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板を製造すればよい。溶融亜鉛めっきにおける目付
け量は、特にそれによって本発明を制限するものではな
いが、好ましくは、片面当たり30〜70g/m2である。この
ようにして製造された合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、次
いで、アルカリ溶液および/または酸溶液に浸漬される
のである。
【0063】Zn、Alは、両性金属であるため、酸溶液、
アルカリ溶液のいずれにも溶解する。酸化亜鉛、Al2O3
等の酸化皮膜の溶解には、アルカリ溶液が、そして酸化
皮膜を残して、金属Zn、金属Alの溶解には酸溶液が、そ
れぞれ効果的であるが、本発明では、特に限定を必要と
するものではなく、いずれの方法であってもよく、めっ
き層最表層における金属Znを40%以下に、Al2O3 量を10
%以下、好ましくは1.0 〜10.0%まで、Fe/Zn重量比を
5.0 以下にそれぞれ低減できればよい。
【0064】また、アルカリ処理、酸処理を行うことに
より、Zn、Alが優先的に溶解するため、合金化溶融めっ
き皮膜中に存在する金属Feが残存しやすくなるので、こ
のような処理を施すことは、めっき最表層のFe量を増大
させるうえでも、非常に効果的である。特に、酸溶液で
は、金属Feは溶解するが、アルカリ液では、金属Feは、
溶解しないため、めっき層最表層に金属Feを残すには、
アルカリ処理を実施することが、より効果的である。
【0065】アルカリ溶液を用いる場合、そのpHは、9.
0 以上である。pHが9.0 よりも低いと、効果的に酸化亜
鉛、Al2O3 を除去することができないからである。同様
の観点から、好ましくはpHは11.0以上である。
【0066】このようなアルカリ溶液は、特定種に限定
するものではないが、アルカリ処理後に直ちに行われる
水洗、乾燥工程を経て、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表
面に残留しないアルカリ溶液であることが好ましい。自
動車車体パネルとして適用する場合に、表面にアルカリ
成分が残留すると、化成処理、塗装工程で表面欠陥を発
生する可能性があるためである。このようなアルカリ溶
液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のア
ルカリ金属水溶液が挙げられる。
【0067】一方、酸溶液を用いる場合、そのpHは3.0
以下である。pHが3.0 よりも高いと、効果的にZn、Alを
除去することができない上、酸溶液では優先的に脱Znが
進行せず、金属Feが効果的に濃化しないためである。pH
が小さいと、相対的に金属Feの溶解よりも、金属Znの溶
解の方が促進され、表面にFe濃化が起こりやすくなる。
従って、酸溶液のpHとしては、好ましくは、pHは2.0 以
下である。
【0068】このような酸溶液を用いる場合も、特定種
に限定する必要はないが、硝酸溶液等の酸化性を有する
酸溶液は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面を著しく酸
化させ、過剰の酸化亜鉛層、Al2O3 層が形成されやすく
なるため、好ましくない。また、pH 3.0以下では、塩酸
溶液や、硫酸溶液をベースとして金属イオンを含有した
電気めっき液等を使用することも可能である。
【0069】また、アルカリ処理法、酸処理法として
は、浸漬法やスプレー法等があるが、前述した範囲に金
属ZnおよびAl2O3 を低減管理できる方法であればよく、
特定の方法に限定する必要はない。ただし、生産性の観
点から、効果的に金属Zn、Al2O3 量を効果的に低減する
ためには、溶液の温度を上昇させることや、表面酸化層
の機械的除去、それに伴う表面応力付与によるエッチン
グ速度を上げるような表面研磨方法を併用することも好
ましい。
【0070】本発明におけるアルカリ溶液、酸溶液によ
る処理は、上述の条件の下で目的とする最表層が得られ
ればその具体的条件は特に制限されないが、例えば処理
時間は、浸漬法の場合には、アルカリ溶液では好ましく
は2〜10秒であればよい。酸溶液では好ましくは2〜10
秒であればよい。
【0071】さらに、アルカリ処理、酸処理のいずれに
おいても、処理液の残存による表面汚れを防ぐために、
処理後、直ちに水洗、乾燥を行うことが、最表層の表面
状態の安定性を確保するためには、好ましい。
【0072】また、アルカリ処理、酸処理を組み合わせ
ることにより、スポット溶接性のさらなる改善を効果的
に図ることができ、望ましい。すなわち、アルカリ処理
を行った後に、酸処理を行うことにより、アルカリ処理
にて、金属Feを残したままで、酸化亜鉛、Al2O3 層を一
旦除去することにより、その後の酸処理で、Al2O3 層の
除去性が遅いために、金属Znの溶解が効果的に進行し、
金属Feが表面に濃化をした上で、ある程度のAl2O3 を残
存させることが、可能になるため、処理時間を短縮でき
るからである。
【0073】このように、本発明にかかるスポット溶接
性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、金属Zn量を低
減させ、金属Feをめっき層最表層に効果的に濃化させる
ことにより、スポット溶接性の際の電極チップの損耗を
抑制して耐久性を向上させることにより、連続打点性を
向上させることができ、さらには、最表層に、Al2O3
わずかに残留させることにより、スティッキング現象も
防止でき、電極チップと鋼板との溶着を抑制することが
可能となる。
【0074】さらに、本発明にかかる加工性、化成処理
性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、最表層の金属
Zn量、Al2O3 量を低減させ、金属Feをめっき層最表層に
効果的に濃化させることにより、めっき表層を硬質化さ
せ、摺動性を改善できるとともに、表層が金属Feリッチ
状態になるために、健全な化成結晶皮膜が均一に形成さ
れ、良好な化成処理性、すなわち、塗装後の膨れ幅を顕
著に抑制することが可能となる。
【0075】
【実施例】次に、本発明にかかるスポット溶接性、さら
に摺動性、化成処理性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の効果を、実験データを参照しながら説明する。
【0076】(実施例1)表2に示す化学成分値の冷延鋼
板 (板厚:0.8 mm) を試験に供した。
【0077】
【表2】
【0078】この冷延鋼板を使用して慣用手段によって
溶融亜鉛めっき処理、次いで合金化熱処理を行い、めっ
き層のFe含有量 (合金化度) を、7〜17%まで8水準で
変化させた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を用意した。
【0079】これらの試料について、表3に示す処理
条件でアルカリ処理を行った後に水洗、乾燥を行うか、
表4に示す処理条件で酸処理を行った後に水洗、乾燥
を行うか、または、表3に示す処理条件でアルカリ処
理を行って水洗した後、直ちに、表4に示す処理条件で
酸処理を行って水洗、乾燥した。なお、めっき最表層に
おける金属Zn量、金属Fe量、Al2O3 量の影響を明確にす
るため、アルカリ処理、酸処理の各処理時間を変更し
た。
【0080】
【表3】
【0081】なお、めっき層最表層における金属Zn量、
Al2O3 量は、前述の表1の測定条件でXPS法により測
定した。これらの試料を2枚重ね合わせた状態で、表5
に示す条件で5000点まで点溶接を連続的に行い、50打点
ごとにナゲット径を測定することにより、スポット溶接
における連続打点性を評価した。
【0082】評価基準は、ナゲット形成ができなくなる
までの連続打点数を測定し、連続打点数が、3000点以上
確保できることを目標として○印で示し、5000点以上確
保できることを優秀値として◎印で示した。また、3000
点未満は、×印で示した。また、これらの試料につい
て、同時に、スパッタ状態およびスティッキング状態を
評価した。
【0083】評価基準は、スパッタおよびスティッキン
グが発生した比率をそれぞれカウントして、スパッタ発
生率、スティッキング発生率をそれぞれ測定した。スパ
ッタ発生率、スティッキング発生率ともに、5%未満で
あることを目標値として、○印で示し、3%未満である
ことを優秀値として、◎印で示した。また、5%以上は
×印で示した。
【0084】さらに、自動車車体パネル用として要求さ
れる加工性評価のために、円筒絞り加工によるパウダリ
ング性を評価した。加工条件は、表6にまとめて示す。
パウダリング性の評価基準は、円筒絞り加工を行って成
形した張り出し部の側壁にテープを貼り付けてから剥離
し、剥離量を重量法により測定した。その際の評価基準
としては、剥離量が1サンプルあたり、20mg/個以下を
目標値として、○印で示し、10mg/個以下を優秀値とし
て、◎印で示した。また、20mg/個超は×印で示した。
【0085】
【表5】
【0086】連続打点性、スパッタ発生率、スティッキ
ング発生率およびパウダリングに関する試験結果を、表
7にまとめて示す。
【0087】
【表7】
【0088】まず、No.1〜No.29 までのFe含有率に着目
すると、良好なパウダリング性を確保するためには、N
o.1〜28より、Fe含有率が16%以下であることが判る。
特に、No.1〜20より、良好なパウダリング性を確保する
ためには、Fe含有率が、13%以下であることが判る。
【0089】また、例えば、No.29 とNo.26 の比較か
ら、Fe量、Al2O3 量が適正範囲であっても、表面金属Zn
量が40%以下でなければ、良好なスポット溶接性 (連続
打点性) を確保することができないことがわかる。一
方、表面金属Fe量は、例えば、No.4とNo.5の比較から、
金属Zn量、Al2O3 量が適正であっても、金属Fe/金属Zn
比で、0.5 以上でなければ、連続打点性を確保すること
ができないことがわかる。さらに、最表層Al2O3 層は、
たとえば、No.10 とNo.11 、29から、Al2O3 量は、10%
以下でなければ、最表層金属Zn、Fe量が適正であって
も、連続打点性が確保できないことがわかる。また、N
o.24 と25およびNo.27 と28の比較から、連続打点性を
確保するためには、Al2O3 量が、1%以上必要であるこ
とがわかる。特に、例えば、No.20 から、非常に良好な
連続打点性を確保するためには、金属Zn量が30%以下、
金属Fe量がFe/Zn比で、0.8 以上、Al2O3 量が8%以下
であることがわかる。
【0090】スパッタ発生率の抑制のためには、No.3、
21、29とNo.10 、13、19から、Al2O3 量が10%以下必要
であり、特にNo.20から、Al2O3 量が8%以下であれ
ば、一層スパッタ発生を抑制できることがわかる。ま
た、スティッキング抑制のためには、No.23 、24、25お
よびNo.27 、28から、Al2O3 量が1%以上、好ましく
は、3%以上であることもわかる。
【0091】以上の結果から、連続打点性に対しては、
めっき層最表層の金属Zn量、および、金属Fe量、Al2O3
量が大きく影響を及ぼしており、連続打点性を確保でき
ても、金属Fe量が少ない場合、Al2O3 量が適正範囲にな
い限り、スパッタ現象、スティッキング現象を抑制し、
良好な連続打点性を確保できない。したがって、本発明
における規定する範囲内のめっき最表層の金属Zn量、金
属Fe量、Al2O3 量を確保することが、自動車車体パネル
用として要求されるスポット溶接性に対して、非常に効
果的であることがわかる。
【0092】次に、本発明の改善点である摺動性、およ
び、化成処理性について、その評価方法、および、判定
基準を明記する。摺動性の評価条件および評価方法を表
8、および図4に明記する。
【0093】
【表8】
【0094】また、化成処理性は、表9に示した条件
で、化成処理および電着塗装を施した後、素地に達する
まで、クロスカットを入れた後、JIS Z 2371記載の塩水
噴霧試験を480Hr 実施した後の、カット部からの最大塗
膜膨れ幅を測定した。
【0095】
【表9】
【0096】パウダリング、摩擦係数、最大膨れ幅に関
する試験結果を表10に示す。No.1〜27から、良好なパウ
ダリング性を得るためには合金化度が16%以下が必要で
ある。
【0097】また、本発明の範囲の金属Zn量、および金
属Fe/金属Zn比を同時に満足する場合のみ良好な摩擦係
数が得られている。両者の一方でも規定値から外れた場
合は良好な摩擦係数は得られないことがわかる。
【0098】また本発明の範囲の金属Zn量、およびAl2O
3 量を同時に満足する場合のみ最大膨れ幅は判定値以下
となり、良好な化成処理を得られることがわかる。以上
より、合金化度、金属Zn量、金属Fe/金属Zn、Al2O3
すべてが規定範囲内の場合のみ、パウダリング性、加工
性、および化成処理性を同時に満足することがわかる。
【0099】
【表10】
【0100】(実施例2)次に、アルカリ処理と酸処理の
各処理の条件を明確にするために、各処理液のpHの影響
について、検討を行った。
【0101】本例における母材には、表2に示した化学
分値を有する板厚=0.8 mmの冷延鋼板を用い、片面当た
りの目付量が42g/m2であって、合金化めっき層中のFe含
有量が11%の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を用いた。
【0102】アルカリ処理は、表11に示す処理条件で水
酸化カリウム水溶液を用い、酸処理は、表12に示す処理
条件で硫酸を用いてそれぞれ行い、水酸化カリウム、硫
酸溶液にてpHを所定に調整した。処理時間は、各々、15
秒浸漬とし、直ちに水洗、乾燥した後、実施例1に示し
た条件にて連続打点性試験に供した。
【0103】連続打点性の結果を、図5、図6にグラフ
に示す。図5には、連続打点性に及ぼすアルカリ処理液
のpHの影響を示し、図6には、連続打点性に及ぼす酸処
理液のpHの影響を示す。
【0104】図5のグラフから、アルカリ処理時のpH
は、9.0 以上であり、好ましくは、11.0以上であること
がわかる。一方、図6に示すグラフから、酸処理のpH
は、3.0以下であり、好ましくは、2.0 以下であること
がわかる。
【0105】同様に摩擦係数の点からも図7のグラフに
示すように、アルカリ処理時のpHは、9.0 以上であり、
好ましくは、11.0以上であることがわかる。一方、図8
に示すグラフからは、酸処理のpHは、3.0 以下であり、
好ましくは、2.0 以下であることがわかる。
【0106】
【表11】
【0107】
【表12】
【0108】(実施例3)実際の製造の際には、処理槽の
長さが一定しているため、生産性を向上させるには処理
速度を上げなければならず、そのためには単時間で処理
できることが好ましい。したがって、アルカリ処理と酸
処理の組み合わせにより、短時間で処理の可能性の検討
を行った。
【0109】母材は、表2に示す化学成分値を有する板
厚0.8 mmの冷延鋼板をベースとして、片面当たり目付量
43g/m2であって、めっき層におけるFe含有量が10%の合
金化めっき層を形成した。
【0110】このような合金溶融亜鉛めっき鋼板につい
て、表13に処理条件を示すアルカリ処理および、表14に
処理条件を示す酸処理の一方、または、双方を行った。
これらの処理の際に、浸漬時間を変化させることによ
り、めっき層最表層における金属Zn量、Al2O3 量を変化
させた。
【0111】このように、アルカリ処理および酸処理の
一方、または、双方を行ったサンプルについて、実施例
1と同様に連続打点性およびスパッタ発生率、スティッ
キング発生率について調査した。
【0112】
【表13】
【0113】その結果を表15に示す。表中、No.2、3と
No.4、5、No.6、7、No.8、9、No.10 、11とNo.12 、
13の比較から、同一処理時間であっても、アルカリ処
理、酸洗処理を組み合わせることにより、より容易に最
適なめっき層の最表層組織を確保することが可能にな
り、連続打点性が向上することがわかる。特に、No.4と
5、No.8と9から、酸処理→アルカリ処理を実施するよ
りも、アルカリ処理→酸処理を組み合わせた方が、連続
打点性に対する改善効果がより大きいことが判る。
【0114】
【表15】
【0115】次に、母材は、表2に示す化学成分値を有
する板厚0.8 mmの冷延鋼板をベースとして、目付量が42
g/m2であって、めっき層におけるFe含有量が11%のめっ
き層を形成した。
【0116】このような合金化溶融亜鉛めっき鋼板につ
いて、表13に処理条件を示すアルカリ処理および、表14
に処理条件を示す酸処理の一方、または、双方を行っ
た。これらの処理の際に、浸漬時間を変化させることに
より、めっき最表層における金属Zn量、Al2O3 量を変化
させた。このように、アルカリ処理および酸処理の一
方、または、双方を行われたサンプルについて、摩擦係
数の調査を実施した。
【0117】その結果を表16に示す。表中、No.2、3と
No.4、5、No.6、7、No.8、9、No.10 、11とNo.12 、
13から、同一処理時間であっても、アルカリ処理、酸洗
処理を組み合わせることにより、より容易に最適なめっ
き最表層組成を確保することが可能になり、摩擦係数が
低下することがわかる。特に、No.4と5、No.8と9か
ら、酸処理→アルカリ処理を実施するよりも、アルカリ
処理→酸処理を組み合わせた方が、摩擦係数低下に対す
る改善効果がより大きいことが判る。
【0118】
【表16】
【0119】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り、例えば自動車車体パネル用として実用上の加工性が
問題とならない範囲で、良好なスポット溶接性を有する
合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することが可能となっ
た。
【0120】本発明にかかる合金化溶融亜鉛めっき鋼板
によれば、スポット溶接時の連続打点性を飛躍的に改善
し、スパッタ現象、スティッキング現象も効果的に抑制
できる。
【0121】また、本発明にかかる合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき後にアルカリ処理およ
び酸処理の一方、または、双方を行うという極めて簡単
な工程で製造でき、特に、アルカリ処理後に酸処理を行
うことにより、その処理時間を短縮し、安定した表面状
態を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を極めて効率的に
製造することが可能である。
【0122】したがって、本発明によれば、自動車車体
組立工程において、溶接時の連続打点数を向上させるこ
とにより、電極チップの手入れ頻度を低減できるととも
に、スパッタ現象の発生頻度を低減して、車体表面手入
れの必要性を解消することが可能となり、さらに、ステ
ィッキング現象の発生頻度も低減することから、溶接ト
ラブルを回避でき、生産性を飛躍的に向上させることが
できる。かかる効果を有する本発明の意義は、極めて著
しい。
【0123】さらに、本発明により、例えば自動車車体
パネル用として洗浄油が塗布されたような厳しい潤滑条
件下においても、良好な加工性を確保できることが可能
となり、かつ、従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板では問
題となる化成処理性も大幅に改善可能となった。
【0124】本発明にかかる合金化溶融亜鉛めっき鋼板
によれば、厳しい加工条件において良好な加工性、特に
摺動性を改善でき、なおかつ、飛躍的に、化成処理性を
改善できる。
【0125】また、本発明にかかる合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき後に安価なアルカリ
液、および、酸液を組み合わせて使用することにより、
極めて簡単な工程で行うことが、その処理時間を短縮
し、安定した最表面状態を有する合金化溶融亜鉛めっき
鋼板を極めて効率的に製造することが可能である。
【0126】したがって、本発明によれば、自動車車体
組立工程において、洗浄油が塗油された厳しい加工条件
下での摺動性を向上させることにより、良好な加工性を
確保することが可能となり、さらに、化成処理性も改善
され、塗装後の耐食性を飛躍的に向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続打点時の電極チップのマクロ形状の模式図
であり、図1(a) は従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板
に、図1(b) は本発明にかかる合金化溶融亜鉛めっき鋼
板に対するそれぞれ連続打点時の電極チップの形状変化
を示す。
【図2】図2(a) 、(b) は、それぞれ従来の合金化溶融
亜鉛めっき鋼板および本発明にかかる合金化溶融亜鉛め
っき鋼板に連続スポット溶接を行った場合の電極チップ
の表面形状の模式的説明図である。
【図3】図3(a) 、(b) は、それぞれXPSによるめっ
き層最表面の組成分析の際のあるスパッタ時間 (測定
時) のスペクトル図である。
【図4】摺動性の評価方法の説明図である。
【図5】実施例2における、連続打点数に及ぼすアルカ
リ処理液のpHの影響を示すグラフである。
【図6】実施例2における、連続打点数に及ぼす酸処理
液のpHの影響を示すグラフである。
【図7】実施例2における、摩擦係数に及ぼすアルカリ
処理液のpHの影響を示すグラフである。
【図8】実施例2における、摩擦係数に及ぼす酸処理液
のpHの影響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福井 清之 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友 金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−320940(JP,A) 特開 平2−190460(JP,A) 特開 平10−68057(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40 C23C 22/62

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe含有量:8〜16重量%であるととも
    に、最表層における金属Zn量:40重量%以下で、かつ、
    最表層における金属Fe量が、金属Feと金属Znの重量比Fe
    /Zn=0.5 以上、最表層におけるAl2O3 量が、10重量%
    以下であるZn−Fe合金めっき層を有することを特徴とす
    る加工性、化成処理性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼
    板。
  2. 【請求項2】 請求項1において最表層における前記Al
    2O3 量が、Al2O3 =1.0 〜10重量%であることを特徴と
    するスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼
    板。
  3. 【請求項3】 溶融亜鉛めっき浴に母材鋼板を浸漬し、
    得られた溶融亜鉛めっき鋼板を加熱して合金化処理を行
    ってFe含有量:8〜16重量%のZn−Fe合金めっき層を備
    えた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とし、次いで該合金化溶
    融亜鉛めっき鋼板を、pHが9.0 以上のアルカリ溶液に接
    触させること、および/または、pHが、3.0 以下の酸溶
    液に接触させることを特徴とする請求項1または2記載
    の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 溶融亜鉛めっき浴に母材鋼板を浸漬し、
    得られた溶融亜鉛めっき鋼板を加熱して合金化処理を行
    ってFe含有量:8〜16重量%のZn−Fe合金めっき層を備
    えた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とし、次いで該合金化溶
    融亜鉛めっき鋼板を、pHが9.0 以上のアルカリ溶液に接
    触させた後に、pHが、3.0 以下の酸溶液に接触させるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の合金化溶融亜鉛
    めっき鋼板の製造方法。
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