JP3327233B2 - 抵抗スポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板および製造方法 - Google Patents
抵抗スポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板および製造方法Info
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性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板および製造方法に
関する。より詳述すれば、本発明は、スポット溶接時の
電極チップの損耗を抑制して、電極チップの耐久性を向
上させることにより、連続打点性を向上させることがで
き、さらには、連続打点時における鋼板からの溶金が飛
び散る現象(スパッタ飛散現象) 、および、鋼板と電極
チップとの溶着現象 (スティッキング現象) を防止する
ことができるスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛め
っき鋼板およびその製造方法に関する。
にプレス加工されたパネル同士に抵抗溶接 (特にスポッ
ト溶接) を行って接合することにより、組み立られる。
このスポット溶接では、連続的に多数の点溶接を行うた
め、その生産性を向上するには、できるだけ連続打点数
を上げることが要求される。
スティッキング現象が発生した場合には、電極の側にも
欠陥が発生することから、溶接続行が不可能になり、電
極損耗を助長し、連続打点数が減少するため、スティッ
キング現象の発生は、できるだけ抑制することが好まし
い。また、溶接時にスパッタ飛散現象が発生した場合に
は溶金が鋼板に付着するために、車体表面手入れを実施
することとなるために、スパッタ飛散現象もできるだけ
抑制することが、生産性の向上の点では重要である。
連続打点数をできるだけ上げるとともに、スティッキン
グ現象、スパッタ飛散現象をできるだけ抑制すること
が、生産性の向上には不可欠である。
ら、表面処理鋼板、特に、溶融亜鉛めっき後の鋼板を熱
拡散処理して、亜鉛めっき層を素地鋼と合金化させた合
金化溶融亜鉛めっき鋼板が、自動車車体用パネルに積極
的に適用されてきている。しかし、この合金化溶融亜鉛
めっき鋼板は、めっき層の主成分である亜鉛が母材鋼板
である鉄よりも融点が低いため、スポット溶接時に、銅
を主成分とする電極へ亜鉛が拡散してしまうことから電
極損耗が激しく、スポット溶接時の連続打点性が低いこ
とが問題視されてきた。
向上するため、例えば、特開昭59−104463号公報には、
合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき最表層に半導体であ
る酸化Zn皮膜を形成させることが提案されている。
っき層と母材鋼板との密着力を向上させるべく、溶融亜
鉛めっき浴中に、0.08〜0.17重量% (以下、本明細書に
おいては特にことわりがない限り「%」は、「重量%」
を意味するものとする) 程度のAlを含有させるため、形
成された合金化溶融亜鉛めっき層表面には、一般的にAl
2O3(アルミナ) が残存する。
に、Al2O3 の存在によってスポット溶接時に電極チップ
表面の発熱が過大となる。そのため、電極表面に脆い合
金層が厚く形成されて、電極損耗が著しくなり、連続打
点性を低下させるという問題もある。
73521 号公報には、Al量の制限と前述した酸化Zn皮膜の
形成とを組み合わせることにより、連続打点性の改善を
図った発明が提案されている。しかしながら、酸化皮膜
中のAl量 (Al2O3)を低減することは、連続打点性の向
上、スパッタの抑制に対して効果は認められるが、後述
のように、Al2O3 量を低減すると、スポット溶接時に溶
着現象であるスティッキング現象を起こしやすく、Al量
を極端に低減させると、むしろスティッキング現象によ
る電極損耗が顕著になり、期待した連続打点性が確保で
きなくなるという問題がある。
化溶融亜鉛めっき層中のAl量を制限することにより、連
続打点性の改善を図った発明が提示されている。皮膜中
のAl量の低減は、連続打点性の向上に対し、効果的であ
るが、成形時のパウダリングが多くなるという問題があ
る。
開平3−232953号公報で開示されているスポット溶接性
に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、それぞれ表面粗
さ、表層中へのB( ボロン) 層凝集による改善を提案し
ている。しかしながら、これらの開発鋼板は、その効果
がほとんど認められず、実用レベルに至っていない。
の提案にかかる発明によっても、合金化溶融亜鉛めっき
鋼板のスポット溶接時の連続打点性を今日的要求を満足
する程度にまで改善することはできない。
提案された発明は、合金化溶融亜鉛めっき層表面に半導
体である酸化Zn皮膜を形成し、この酸化Zn皮膜のバリア
効果により、合金化溶融亜鉛めっき層表面に存在する金
属ZnとCu製の電極との間におけるCu−Zn反応を抑制しよ
うとするものである。しかし、この酸化Zn皮膜は、存在
状態によって、大きく導電性が異なるため、スポット溶
接時における電極表面の発熱量が大きく変動する。その
ため、スポット溶接の際の加圧および通電により、酸化
Zn皮膜が簡単に破壊されてしまい、前述したCu−Zn反応
を確実に抑制できないことも、スポット溶接性がばらつ
く一因であると考えられる。
って、導電性が大きく異なるため、合金化溶融亜鉛めっ
き層表層に酸化亜鉛皮膜を形成しても連続打点性は著し
く変化し、連続打点性を確実に向上させることは難し
い。
発明は、めっき皮膜全体のAl量を抑制しようとする方法
であり、同6−73521 号公報により提案された発明は、
合金化溶融亜鉛めっき層の最表層のAl量を制限するもの
であるが、めっき皮膜全体のAl量を規定しても、連続打
点性は向上するが、スパッタ発生という問題が残り、め
っき最表面のAl量を極力低減すると、スティッキング現
象が発生するという問題がある。
つ、スパッタ飛散、スティッキングの各現象の発生を極
力抑制するためには、めっき層全体の組成と、めっき皮
膜の最表層の組成の両方をうまく抑制することが必要で
ある。特に、めっき電極先端の溶着 (スティッキング現
象) を抑制させるためには、ある程度微量にAl2O3 を残
すことが必要であり、また、過剰にAl2O3 が残存した場
合には、電極表面の発熱量が過大となり、酸化Zn層の破
壊が発生するとともに、一方、過剰な金属Znが残存した
状態でAl2O3 が存在した場合には、金属Znの電極への拡
散を促進させてしまうため、溶接性が著しく劣化する問
題があり、上述の提案にかかる発明でも、連続打点性の
改善効果は少なく、不十分である。
際の相矛盾するスパッタ飛散、スティッキングの各現象
を抑制することにより、電極チップの損耗を抑制して耐
久性を向上させ、連続打点性を向上させることができる
スポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とそ
の製造方法を提供することである。
性に大きな影響を及ぼす因子として、めっき皮膜全体の
Al量とめっき皮膜の最表面に存在するAl2O3 量がそれぞ
れ異なった要因で連続打点性に大きな影響を及ぼすと推
察し、種々の合金化溶融亜鉛めっき (以下、GA) 鋼板
について鋭意検討を行った。
のAl量の低下は、同一電極で連続打点を行った際に、溶
接可能となる連続打点数の増加に対しては効果的である
が、一方で、溶接時にスパッタ発生頻度が増加するとい
う問題が生じることが判明した。また、めっき皮膜中の
Al量を極端に低減させると、めっき最表面に存在する金
属Zn量が増加し、電極へのZnの熱拡散に伴う電極損耗が
激しくなり、逆に、連続打点数も低下し、スティッキン
グ現象の発生頻度が増加するという問題もあり、GA皮
膜全体において、最適Al量が存在している。
性には大きく影響を及ぼし、前述のように、金属Zn量が
多いと、連続打点時の電極損耗の増大から連続打点数が
低下する。また、GA皮膜の最表面に存在するAl2O3 量
も大きく影響を及ぼし、Al2O3 量が多いと、電極と板間
の発熱量が過剰になり、スパッタ飛散現象が発生しやす
くなるとともに、電極へのZnの熱拡散を助長し、電極損
耗が大きくなるため、連続打点数が低下するという問題
がある。しかし、GA皮膜の最表面のAl2O3 量が、極端
に低下すると、絶縁皮膜であるAl2O3 が緩衝材として作
用してGA皮膜と鋼板表面との溶着を抑制するという効
果が低下し、スティッキング現象が発生しやすくなる。
化、および、GA皮膜の最表面のZn量の適正化により、
連続打点数を増加させることが可能であるが、そのまま
では、スパッタ発生が顕著になり好ましくない。一方
で、めっき皮膜の最表面のAl2O3量を適正化することに
より、連続打点数の低下もなく、スパッタ発生を抑制で
き、かつ、スティッキング現象の発生も抑制でき、基本
的に、GA皮膜全体の組成は、連続打点数の増加に大き
く寄与し、GA皮膜の最表面状態が、スパッタ発生に大
きく寄与するため、GA皮膜の全体と最表面の組成をコ
ントロールすることが重要であるという新知見およびそ
のための最適製造方法を見出した。
含有しており、母材鋼板がめっき浴中に浸漬された際
に、初めにFe−Al合金層が形成され、鋼板と溶融亜鉛と
の過剰な反応を抑制している。このFe−Al合金層は、そ
の後の加熱による合金化過程においては、鋼板から熱拡
散する鉄のバリア皮膜として作用すると考えられる。従
って、鋼板からの鉄拡散の起点が均一ではなく、分散さ
れているため、見かけ上は、合金化処理が完了して、未
反応の金属Znは、存在していないように見えるが、めっ
き最表層では、鉄拡散が遅れた部分では、金属Zn (η
相) 、もしくは、Fe含有量の低いZn−Fe金属間化合
物 (ζ相) が残存している。
金属Znの拡散をともに抑制して連続打点性、スパッタ発
生を改善するためには、めっき層の最表面に存在する金
属Znを除去するとともに、一方、スティッキング現象を
改善させるためには、ある程度微量に、Al2O3 を残すこ
とが有効である。
除去、あるいは低減させるためには、Zn、Alがともに、
両性金属であり、アルカリ溶液、酸溶液に容易に溶解す
る性質を利用し、めっき最表面に存在する金属Zn、およ
び、Al2O3 を低減、制御することが有効である。すなわ
ち、通常の合金化処理を完了した後で、アルカリ処理、
酸処理またはこれらの組み合わせ処理を行えばよい。そ
うすることにより、表層に存在する過剰の金属Zn、およ
び、Al2O3 を容易、かつ安定的に最適量だけ存在せしめ
ることが可能となり、非常に効果的である。
らに、検討を重ねて、本発明を完成するに至った。ここ
に、本発明の要旨とするところは、母材中にB: 0.0001
〜0.002 %と適正量添加し溶接部周辺の硬化量を増大さ
せるとともに、電極損傷をスムーズに移行させる点と、
GA皮膜の最表面状態を制御することを骨子としてお
り、GA皮膜全体のAl含有量が、0.10〜0.35%で、か
つ、Fe含有率が、8〜16重量%であるとともに、GA皮
膜の最表層における金属Zn量が40重量%以下で、かつ、
最表層におけるAl量が、Al2O3 量として、Al2O3 =1.0
〜10重量%であるめっき層を有することを特徴とするス
ポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板であ
る。
様によれば、特に、アルカリ溶液処理を実施した後に、
酸溶液処理を実施するが、これによれば、短時間、かつ
効果的に最適組成を得ることができる。
のうちで、金属ZnまたはAl2O3 が過剰に存在する領域の
ことで、スポット溶接時の連続打点性を低下させる範囲
を意味しており、例えば、めっき層表面から深さ方向に
500 Å (オングストローム)の範囲である。
接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造
方法の実施の形態について、詳細に説明する。
金化溶融亜鉛めっき鋼板は、(I) めっき皮膜全体の組成
が、Al含有量:0.10〜0.35%、かつ、Fe含有量:8〜16
%で、残部がZnおよび不可避的な不純物元素から構成さ
れ、(II)めっき層最表層における金属Zn量:40%以下、
かつ、めっき最表層におけるAl2O3 量が、1.0 〜10%残
存、の2点に特徴を有する。以下、これらの特徴につい
て分説する。
0.10〜0.35重量%、かつ、Fe含有量:8〜16重量%であ
ること GA皮膜全体のAl量は、連続打点性に大きく影響を及ぼ
し、めっき皮膜中のAl含有量が増加すると、電極−板間
の発熱量が増大し、電極損耗が著しくなるので、連続打
点性は低下する。また、Al含有量が増加し、連続打点性
が向上するに伴い、連続打点時のスパッタ発生量が多く
なるという問題もある。さらに、めっき皮膜中のAl量が
多くなると、GA皮膜の最表層のAl2O3 量も増大し、最
適なAl2O3 量の確保が困難となってくるため、好ましく
ない。一方、GA皮膜のAl含有量が低下すると、GA皮
膜の最表層に存在する金属Zn量が増加し、電極へのZnの
熱拡散に伴う電極損耗が激しくなり、逆に、連続打点限
界数も低下するという問題があり、好ましくない。ま
た、GA皮膜中のAl含有量の低下は、めっき皮膜と素地
鋼板の密着性の低下を招き、加工後のめっき剥離現象で
ある耐パウダリング性の観点からも好ましくない。
としては、最適領域が存在し、0.10〜0.35重量%、好ま
しくは、0.17〜0.28重量%である。めっき皮膜中のFe含
有量は、合金化処理した後のGA皮膜の最表層の金属Zn
量に影響を及ぼす。めっき層中のFe含有量が8%未満で
あると、合金化処理がめっき層の最表層まで完了せず、
最表層に金属Zn (η相) が厚く残存し、後述する金属Zn
除去処理を行っても充分に除去することができない。一
方、めっき層のFe含有量が16%超であると、めっき層の
最表層に残存する金属Zn量、金属Fe量はある程度低減さ
れるものの、プレス加工時にめっき層が剥離するパウダ
リング現象を生じてしまう。
き鋼板のめっき層中のFe含有量は、8%以上、16%以下
に限定する。好ましくは、9%以上、13%以下である。
しかしながら、かかるGA皮膜全体の組成の管理のみで
は、良好な連続打点限界数を得ることが可能となって
も、めっき層の最表層の組成を制御しなければ、充分な
スパッタ飛散現象の発生の抑制は困難である。
般的には、溶融Zn浴のAl濃度を調整することで、めっき
皮膜中のAl含有率の調整が可能であり、また、その後の
合金化処理時の加熱温度を変更することにより、皮膜中
Fe含有率を調整する方法が挙げられる。
40重量%以下、かつ、めっき最表層におけるAl2O3 量
が、1.0 〜10重量% まず、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層の最表層の
金属Zn、金属が連続打点性を低下させる機構について説
明する。
行う連続打点試験を行った場合、Cu合金製の電極チップ
表面は、その打点数の増大に伴い、電極チップ表面の中
央部が凹む『内欠現象』が生じる。このような、著しい
内欠現象が生じた場合には、充分な溶接が確保できるだ
けの溶接電流が流れる通電パスが確保できなくなるため
に、連続打点時に、充分なナゲットが形成されず、連続
打点性が低下する結果となる。従って、このような内欠
現象をできるだけ抑えること、もしくは、内欠現象が発
生しても、直ちに回復することが、安定した連続打点性
を確保するためには、必須である。
wt%のBをめっき母材である鋼板中に添加すると、電極
がスムーズに損傷していくことが判明し、前述のように
規定したGA表面と組み合わせるとさらにその効果は、
大きくなる。
る鋼板については特に制限はないが、好ましくは次のよ
うな鋼組成を有する。 C:0.005 %以下、 Si:0.2 %以下、 Mn:1.00%以下、 P:0.10%以下、 Al:0.01〜0.100 %、 N:0.0040%以下、 Ti:0.10%以下、 Nb:0.10%以下、 B:0.0001〜0.002 % 残部Feおよび不可避不純物。
元素であって、0.005 %を超えると加工性の確保が困難
となる。Siは強化元素の一種として熱延鋼板にあっては
有効な元素であるが、本発明では0.2 %以下に制限する
のが好ましい。
抑制するため1.00%以下添加する。Pも強化元素の一種
であるが、同時に加工性の劣化を伴うため0.10%以下に
制限する。
し、Nは窒化物の生成を防止するために0.0040%以下に
制限する。Ti、Nbは炭化物形成元素であって加工性改善
のために、それぞれ0.10%以下添加してもよい。
の製造方法は次の通りである。まず、冷延鋼板あるいは
熱延鋼板のいずれであってもよい鋼板、好ましくは上述
のような組成の冷延鋼板を用意し、慣用の還元焼鈍処理
の後に、溶融亜鉛めっき浴に浸漬する。
めっき鋼板は所定量に目付量が調整されてから、いわゆ
る合金化処理を行う。本発明においてこの合金化処理条
件は特に制限はないが、上述のめっき浴条件とともに合
金化処理条件を適宜調整することで、めっき皮膜中のAl
含有量:0.10〜0.35重量%、Fe含有量:8〜16重量%で
ある合金化めっき層つまり合金化溶融亜鉛めっき層を備
えた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とするのである。
めっき鋼板に対して、アルカリ溶液に接触させるアルカ
リ溶液処理および酸溶液に接触させる酸溶液処理を行
う。Zn、Alはともに両性金属であるため、酸溶液、アル
カリ溶液のいずれにも溶解する。酸化亜鉛、Al2O3 等の
酸化皮膜の溶解には、アルカリ溶液処理が効果的であ
り、酸化皮膜を残して金属Zn、金属Alを溶解するには、
酸溶液処理が効果的である。したがって、本発明の場合
には、アルカリ溶液処理を行い、次いで酸溶液処理を行
うのが好ましい。
以上である。pHが9.0 よりも低いと、効果的に酸化Zn、
Al2O3 を除去できないからである。好ましくはpHは11.0
以上である。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水溶液が例示さ
れる。
2.0 以下の酸溶液を用いて行われるが、そのときの酸溶
液としては塩酸溶液や硫酸溶液をベースとして金属イオ
ンを含む電気めっき液をそのまま用いてもよい。
処理によって、前述の合金化めっき層は、その最表層に
おける金属Zn量:40重量%以下で、かつ最表層における
Al量が、Al2O3 量として、Al2O3: 1.0〜10重量%である
合金化めっき層を有するように調整される。換言すれ
ば、そのような最表層の組成が実現できる限り、アルカ
リ溶液処理、酸溶液処理の条件は適宜選択して採用すれ
ばよい。
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板の効果を、実験データを参
照しながら説明する。ベース組成として表1に示す化学
成分値の冷延鋼板 (板厚:0.8mm)を試験に供した。
例の材料としてはこの化学組成にBを0.0004wt%添加し
た材料を主に使用した。加えて0.003 wt%添加した材料
も一部使用した。
Fe含有量 (合金化度) を、7〜17%まで、めっき皮膜Al
含有量を、0.08〜0.41%の水準で変化させた合金化溶融
亜鉛めっき鋼板を用意した。
条件でアルカリ処理を行った後に水洗、乾燥を行うか、
表3に示す処理条件で酸処理を行った後に水洗、乾燥
を行うか、または、表2に示す処理条件でアルカリ処
理を行って水洗した後、直ちに、表3に示す処理条件で
酸処理を行って水洗、乾燥した。なお、めっき最表層に
おける金属Zn量、金属Fe量、Al2O3 量の影響を明確にす
るため、アルカリ処理、酸処理の各処理時間を変更し
た。
量、Al2O3 量は、XPS 法により測定した。これらの試料
を2枚重ね合わせた状態で、表4に示す条件で6000点ま
で点溶接を連続的に行い、50打点ごとにナゲット径を測
定することにより、スポット溶接における連続打点性を
評価した。
までの連続打点数を測定し、連続打点数が、4000点以上
確保できることを目標として○印で示し、6000点以上確
保できることを優秀値として◎印で示した。また、4000
点未満は×印で示した。また、これらの試料について、
同時に、スパッタ状態およびスティッキング状態を評価
した。
キングの各現象が発生した比率をそれぞれカウントし
て、スパッタ発生率、スティッキング発生率をそれぞれ
測定した。スパッタ発生率、スティッキング発生率とも
に、5%以下であることを目標値として、○印で示し、
3%未満であることを優秀値として、◎印で示した。ま
た、5%超は×印で示した。
れる加工性評価のために、円筒絞り加工によるパウダリ
ング性を評価した。加工条件は、表5にまとめて示す。
工を行って成形した張り出し部の側壁にテープを貼り付
けてから剥離し、剥離量を重量法により測定した。その
際の評価基準としては、剥離量が1サンプルあたり、20
mg/個以下を目標値として、○印で示し、10mg/個以下
を優秀値として、◎印で示した。また、20mg/個超は×
印で示した。
つ、良好なスパッタ飛散現象、スティッキング現象を抑
制する好適なGA皮膜組成、および、GA皮膜の最表層
組成は、本発明において規定する範囲であることが分か
る。
れば、例えば自動車車体パネル用として実用上の加工性
が問題とならない範囲で、良好なスポット溶接性を有す
る合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することが可能とな
った。本発明にかかる合金化溶融亜鉛めっき鋼板を使用
すれば、スポット溶接時の連続打点性を飛躍的に改善
し、スパッタ飛散現象、スティッキング現象も改善でき
る。
き鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき後にアルカリ処理およ
び酸処理の一方、または、双方を行うという極めて簡単
な工程で行うことにより、特に、アルカリ処理後に酸処
理を行うことにより、その処理時間を短縮し、安定した
最表面状態を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を極めて
効率的に製造することが可能である。
組立工程において、溶接時の連続打点数を向上させるこ
とにより、電極チップの手入れ頻度が低減できるととも
に、スパッタ飛散現象の発生頻度を低減して、車体表面
手入れを解消することが可能となり、さらに、スティッ
キング現象も発生頻度を低減することから、溶接トラブ
ルを回避でき、生産性を飛躍的に向上させることができ
る。かかる効果を有する本発明の実用上の意義は、極め
て著しい。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、B:0.0001〜0.002 %を含有
する鋼板と、その表面に設けた、めっき膜中のAl含有
量:0.10〜0.35重量%、Fe含有量:8〜16重量%であ
り、最表層における金属Zn量:40重量%以下で、かつ最
表層におけるAl量が、Al2O3 量として、Al2O3: 1.0〜10
重量%である合金化めっき層とを有することを特徴とす
るスポット溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。 - 【請求項2】 前記鋼板が、重量%で、 C:0.005 %以下、 Si:0.2 %以下、 Mn:1.00%以下、 P:0.10%以下、 Al:0.01〜0.100 %、 N:0.0040%以下、 Ti:0.10%以下、 Nb:0.10%以下、 B:0.0001〜0.002 % 残部Feおよび不可避不純物から成る鋼組成を有すること
を特徴とする請求項1記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼
板。 - 【請求項3】 重量%で、B:0.0001〜0.002 %を含有
する鋼板であって、めっき皮膜中のAl含有量:0.10〜0.
35重量%、Fe含有量:8〜16重量%である合金化めっき
層を備えた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を、アルカリ溶液
に接触させ、次いで酸溶液に接触させることにより、め
っき皮膜の最表層における金属Zn量:40重量%以下で、
かつ最表層におけるAl量が、Al2O3 量として、Al2O3:
1.0〜10重量%である合金化めっき層とすることを特徴
とするスポット溶接に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の製造方法。
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