JPH09255421A - 誘電損失の少ない高誘電率磁器組成物 - Google Patents
誘電損失の少ない高誘電率磁器組成物Info
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- JPH09255421A JPH09255421A JP8070166A JP7016696A JPH09255421A JP H09255421 A JPH09255421 A JP H09255421A JP 8070166 A JP8070166 A JP 8070166A JP 7016696 A JP7016696 A JP 7016696A JP H09255421 A JPH09255421 A JP H09255421A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 誘電損失が小さく、誘電率の温度特性が比較
的平坦な高誘電率磁器組成物を提供する。 【解決手段】 第1成分(BaTiO3 )、第2成分
(CaSnO3 )、第3成分(CaZrO3 ,BaZr
O3 ,SrZrO3 の1種又は2種以上)及び第4成分
(酸化コバルト)を含有する高誘電率磁器組成物。第1
成分:83〜87重量%、第2成分及び第3成分の合
計:13〜17重量%、第4成分:第1〜3成分の合計
100重量%に対して0.001〜0.2重量%。 【効果】 BaTiO3 −(CaZrO3 ,BaZrO
3 ,SrZrO3 )−CaSnO3 からなる組成系に、
酸化コバルトを適当量添加することにより、常温付近に
おける誘電損失が0.6%以下で、且つ誘電率10,0
00以上を維持し、しかも温度特性が比較的平坦でJI
S規格のF特性を満足する高誘電率磁器組成物が得られ
る。
的平坦な高誘電率磁器組成物を提供する。 【解決手段】 第1成分(BaTiO3 )、第2成分
(CaSnO3 )、第3成分(CaZrO3 ,BaZr
O3 ,SrZrO3 の1種又は2種以上)及び第4成分
(酸化コバルト)を含有する高誘電率磁器組成物。第1
成分:83〜87重量%、第2成分及び第3成分の合
計:13〜17重量%、第4成分:第1〜3成分の合計
100重量%に対して0.001〜0.2重量%。 【効果】 BaTiO3 −(CaZrO3 ,BaZrO
3 ,SrZrO3 )−CaSnO3 からなる組成系に、
酸化コバルトを適当量添加することにより、常温付近に
おける誘電損失が0.6%以下で、且つ誘電率10,0
00以上を維持し、しかも温度特性が比較的平坦でJI
S規格のF特性を満足する高誘電率磁器組成物が得られ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チタン酸バリウム
を主成分とする高誘電率磁器組成物に係り、特に、コン
デンサ用途として適した誘電損失の少ない高誘電率磁器
組成物に関する。
を主成分とする高誘電率磁器組成物に係り、特に、コン
デンサ用途として適した誘電損失の少ない高誘電率磁器
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、チタン酸バリウムを主原料とする
高誘電率磁器コンデンサには、種々の組成系のものが提
案されている。
高誘電率磁器コンデンサには、種々の組成系のものが提
案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来に
おいて、常温付近における誘電損失が低く、且つ誘電率
10,000以上を維持し、しかも温度特性が比較的平
坦で、例えばJIS規格のF特性(−25〜+85℃の
温度範囲で20℃基準の容量変化率が+30〜−80%
以内)を満足する磁器組成物は得られていない。
おいて、常温付近における誘電損失が低く、且つ誘電率
10,000以上を維持し、しかも温度特性が比較的平
坦で、例えばJIS規格のF特性(−25〜+85℃の
温度範囲で20℃基準の容量変化率が+30〜−80%
以内)を満足する磁器組成物は得られていない。
【0004】本発明は、上記従来の問題点を解決し、チ
タン酸バリウムを主原料とする磁器組成物の組成を改良
することにより、常温付近の誘電損失が0.6%以下
で、且つ誘電率10,000以上を維持し、しかも温度
特性が比較的平坦で、例えばJIS規格のF特性(−2
5〜+85℃の温度範囲で20℃基準の容量変化率が+
30〜−80%以内)を満足する高誘電率磁器組成物を
提供することを目的とする。
タン酸バリウムを主原料とする磁器組成物の組成を改良
することにより、常温付近の誘電損失が0.6%以下
で、且つ誘電率10,000以上を維持し、しかも温度
特性が比較的平坦で、例えばJIS規格のF特性(−2
5〜+85℃の温度範囲で20℃基準の容量変化率が+
30〜−80%以内)を満足する高誘電率磁器組成物を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の誘電損失の少な
い高誘電率磁器組成物は、第1成分としてチタン酸バリ
ウム(BaTiO3 )を、第2成分としてスズ酸カルシ
ウム(CaSnO3 )を、第3成分としてジルコン酸カ
ルシウム(CaZrO3 )、ジルコン酸バリウム(Ba
ZrO3 )及びジルコン酸ストロンチウム(SrZrO
3 )よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を、第4
成分として酸化コバルトを、各々下記組成範囲で含有す
ることを特徴とする。
い高誘電率磁器組成物は、第1成分としてチタン酸バリ
ウム(BaTiO3 )を、第2成分としてスズ酸カルシ
ウム(CaSnO3 )を、第3成分としてジルコン酸カ
ルシウム(CaZrO3 )、ジルコン酸バリウム(Ba
ZrO3 )及びジルコン酸ストロンチウム(SrZrO
3 )よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を、第4
成分として酸化コバルトを、各々下記組成範囲で含有す
ることを特徴とする。
【0006】第1成分:83〜87重量% 第2成分及び第3成分:合計で13〜17重量% 第4成分:第1成分,第2成分及び第3成分の合計10
0重量%に対して0.001〜0.2重量% 即ち、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、BaTi
O3 −(CaZrO3,BaZrO3 及びSrZrO3
よりなる群から選ばれる1種又は2種以上)−CaSn
O3 からなる組成系に、酸化コバルトを適当量添加する
ことにより、常温付近における誘電損失が0.6%以下
で、且つ誘電率10,000以上を維持し、しかも温度
特性が比較的平坦で例えばJIS規格のF特性を満足す
る高誘電率磁器組成物が得られることを見出し、本発明
を達成した。
0重量%に対して0.001〜0.2重量% 即ち、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、BaTi
O3 −(CaZrO3,BaZrO3 及びSrZrO3
よりなる群から選ばれる1種又は2種以上)−CaSn
O3 からなる組成系に、酸化コバルトを適当量添加する
ことにより、常温付近における誘電損失が0.6%以下
で、且つ誘電率10,000以上を維持し、しかも温度
特性が比較的平坦で例えばJIS規格のF特性を満足す
る高誘電率磁器組成物が得られることを見出し、本発明
を達成した。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明において、第1成分,第2成分,第
3成分及び第4成分を上記組成範囲に限定した理由は、
次の通りである。
3成分及び第4成分を上記組成範囲に限定した理由は、
次の通りである。
【0009】まず、チタン酸バリウムの組成範囲の決定
理由について説明する。
理由について説明する。
【0010】チタン酸バリウムは、約120℃付近に誘
電率のピーク、即ち、キューリー点を持つので、常温で
高い誘電率を得るためには、このキューリー点を+0℃
〜+40℃に設定する必要がある。
電率のピーク、即ち、キューリー点を持つので、常温で
高い誘電率を得るためには、このキューリー点を+0℃
〜+40℃に設定する必要がある。
【0011】ここで、ジルコン酸カルシウムは1重量%
の添加当たり、8〜10℃キューリー点を下げ、同様に
ジルコン酸バリウム及びジルコン酸ストロンチウムは9
〜11℃、スズ酸カルシウムは10〜12℃それぞれキ
ューリー点を下げるシフターとしての作用を有する。こ
れらを踏まえて、目標キューリー点である+0℃〜+4
0℃に設定するためのシフター総量、即ち、第2成分と
してのスズ酸カルシウムと、第3成分としてのジルコン
酸カルシウム、ジルコン酸バリウム及びジルコン酸スト
ロンチウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上
と、の合計量の検討を行った結果、これらのシフター総
量は13〜17重量%に限定されることが判明した。従
って、チタン酸バリウム量は、主成分総量からこのシフ
ター総量を差し引くことにより、83〜87重量%に限
定される。
の添加当たり、8〜10℃キューリー点を下げ、同様に
ジルコン酸バリウム及びジルコン酸ストロンチウムは9
〜11℃、スズ酸カルシウムは10〜12℃それぞれキ
ューリー点を下げるシフターとしての作用を有する。こ
れらを踏まえて、目標キューリー点である+0℃〜+4
0℃に設定するためのシフター総量、即ち、第2成分と
してのスズ酸カルシウムと、第3成分としてのジルコン
酸カルシウム、ジルコン酸バリウム及びジルコン酸スト
ロンチウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以上
と、の合計量の検討を行った結果、これらのシフター総
量は13〜17重量%に限定されることが判明した。従
って、チタン酸バリウム量は、主成分総量からこのシフ
ター総量を差し引くことにより、83〜87重量%に限
定される。
【0012】次に、第2成分(スズ酸カルシウム)と、
第3成分(ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウ
ム、ジルコン酸ストロンチウムよりなる群から選ばれる
1種又は2種以上)について説明する。
第3成分(ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウ
ム、ジルコン酸ストロンチウムよりなる群から選ばれる
1種又は2種以上)について説明する。
【0013】ジルコン酸カルシウムでキューリー点を下
げた場合、誘電率の温度特性が比較的平坦になるという
利点が得られる反面、誘電率の最大値εmax が低くなる
という欠点が生じる。一方、スズ酸カルシウムでキュー
リー点を下げた場合、εmaxが大きくなるという利点が
得られる反面、比較的平坦な誘電率の温度特性が得られ
ないという欠点を生じる。即ち、両成分は互いに相反す
る特性を有している。
げた場合、誘電率の温度特性が比較的平坦になるという
利点が得られる反面、誘電率の最大値εmax が低くなる
という欠点が生じる。一方、スズ酸カルシウムでキュー
リー点を下げた場合、εmaxが大きくなるという利点が
得られる反面、比較的平坦な誘電率の温度特性が得られ
ないという欠点を生じる。即ち、両成分は互いに相反す
る特性を有している。
【0014】これに対し、本発明者らは、検討の結果、
ジルコン酸バリウム及びジルコン酸ストロンチウムは、
ジルコン酸カルシウムとスズ酸カルシウムの中間の特性
を有しており、これらを適正な組み合わせで配合するこ
とによって、εmax が高く、且つ誘電率の温度特性が比
較的平坦な高誘電率の磁器組成物が得られることを見出
した。
ジルコン酸バリウム及びジルコン酸ストロンチウムは、
ジルコン酸カルシウムとスズ酸カルシウムの中間の特性
を有しており、これらを適正な組み合わせで配合するこ
とによって、εmax が高く、且つ誘電率の温度特性が比
較的平坦な高誘電率の磁器組成物が得られることを見出
した。
【0015】ここで、第3成分のうち、ジルコン酸カル
シウムと、ジルコン酸バリウム及び/又はジルコン酸ス
トロンチウムとの重量比(CaZrO3 /(BaZrO
3 +SrZrO3 ))が、5を超えるとεmax が目標の
10,000未満に低下し、本発明の優位性が失われる
ので、この重量比は0〜5の範囲に設定することが好ま
しい。
シウムと、ジルコン酸バリウム及び/又はジルコン酸ス
トロンチウムとの重量比(CaZrO3 /(BaZrO
3 +SrZrO3 ))が、5を超えるとεmax が目標の
10,000未満に低下し、本発明の優位性が失われる
ので、この重量比は0〜5の範囲に設定することが好ま
しい。
【0016】同様に、第2成分のスズ酸カルシウムと第
3成分のジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム及
びジルコン酸ストロンチウムよりなる群から選ばれる1
種又は2種以上の合計との重量比(CaSnO3 /(C
aZrO3 +BaZrO3 +SrZrO3 ))並びに、
スズ酸カルシウムと、ジルコン酸カルシウム及び/又は
ジルコン酸バリウムとの重量比(CaSnO3 /(Ca
ZrO3 +BaZrO3 ))が、1.25未満ではε
max が10,000未満に低下し、7.5を超すと比較
的平坦な温度特性が得られなくなる。従って、これらの
重量比は1.25〜7.5の範囲に設定することが好ま
しい。
3成分のジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム及
びジルコン酸ストロンチウムよりなる群から選ばれる1
種又は2種以上の合計との重量比(CaSnO3 /(C
aZrO3 +BaZrO3 +SrZrO3 ))並びに、
スズ酸カルシウムと、ジルコン酸カルシウム及び/又は
ジルコン酸バリウムとの重量比(CaSnO3 /(Ca
ZrO3 +BaZrO3 ))が、1.25未満ではε
max が10,000未満に低下し、7.5を超すと比較
的平坦な温度特性が得られなくなる。従って、これらの
重量比は1.25〜7.5の範囲に設定することが好ま
しい。
【0017】また、本発明者らは検討の結果、上記第1
成分〜第3成分の合計100重量%に対して、第4成分
として酸化コバルトを0.001〜0.2重量%添加す
ることにより、常温付近での誘電率を10,000以上
に維持し、なお且つ常温付近での誘電損失を0.6%以
下に抑えることが可能であることを見出した。なお、酸
化コバルトとしては、CoO、Co2 O3 、Co3 O
4 、CoO2 のうちの、1種又は2種以上を用いること
ができる。
成分〜第3成分の合計100重量%に対して、第4成分
として酸化コバルトを0.001〜0.2重量%添加す
ることにより、常温付近での誘電率を10,000以上
に維持し、なお且つ常温付近での誘電損失を0.6%以
下に抑えることが可能であることを見出した。なお、酸
化コバルトとしては、CoO、Co2 O3 、Co3 O
4 、CoO2 のうちの、1種又は2種以上を用いること
ができる。
【0018】本発明の高誘電率磁器組成物は、以上の第
1成分〜第4成分以外に、必要に応じて焼結助剤を含有
していても良い。
1成分〜第4成分以外に、必要に応じて焼結助剤を含有
していても良い。
【0019】焼結助剤としては、希土類酸化物、Mn
O、カオリン、SiO2 、Al2 O3、ZnO、Bi2
O3 、B2 O3 、WO3 、Fe2 O3 等が挙げられ、こ
れらの1種又は2種以上を用いることができる。ただ
し、高誘電率磁器組成物中の焼結助剤の割合が第1成分
〜第3成分の合計100重量%に対して2.0重量%を
超えるとεmax が10,000未満に低下して、0.0
5重量%未満では誘電体が焼結しにくくなるため、焼結
助剤の含有率は、第1成分、第2成分及び第3成分の合
計100重量%に対して0.05〜2.0重量%とする
ことが好ましい。
O、カオリン、SiO2 、Al2 O3、ZnO、Bi2
O3 、B2 O3 、WO3 、Fe2 O3 等が挙げられ、こ
れらの1種又は2種以上を用いることができる。ただ
し、高誘電率磁器組成物中の焼結助剤の割合が第1成分
〜第3成分の合計100重量%に対して2.0重量%を
超えるとεmax が10,000未満に低下して、0.0
5重量%未満では誘電体が焼結しにくくなるため、焼結
助剤の含有率は、第1成分、第2成分及び第3成分の合
計100重量%に対して0.05〜2.0重量%とする
ことが好ましい。
【0020】また、誘電体の焼結性向上に際し、焼結助
剤としてTiO2 ,SnO2 ,ZrO2 を別途添加する
ことにより、BaO/TiO2 、CaO/SnO2 、
(CaO,BaO,SrO)/ZrO2 のモル比を1.
0よりも小さく設定することが知られているが、本発明
においてもこのような技術を適用して、目的に応じてモ
ル比を変更することができる。
剤としてTiO2 ,SnO2 ,ZrO2 を別途添加する
ことにより、BaO/TiO2 、CaO/SnO2 、
(CaO,BaO,SrO)/ZrO2 のモル比を1.
0よりも小さく設定することが知られているが、本発明
においてもこのような技術を適用して、目的に応じてモ
ル比を変更することができる。
【0021】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0022】<実施例1,2及び比較例1,2>表1の
実施例1及び比較例1,2は、CaZrO3 /BaZr
O3 比、CaSnO3 /(CaZrO3 +BaZrO
3 )比を統一して、チタン酸バリウム量を変化させた場
合の例であり、実施例1は本発明品、比較例1,2はチ
タン酸バリウム量が本発明範囲外の例である。また、実
施例2は、実施例1の組成系でBaZrO3 の代わりに
SrZrO3 を使用した場合の例である。
実施例1及び比較例1,2は、CaZrO3 /BaZr
O3 比、CaSnO3 /(CaZrO3 +BaZrO
3 )比を統一して、チタン酸バリウム量を変化させた場
合の例であり、実施例1は本発明品、比較例1,2はチ
タン酸バリウム量が本発明範囲外の例である。また、実
施例2は、実施例1の組成系でBaZrO3 の代わりに
SrZrO3 を使用した場合の例である。
【0023】第1成分〜第4成分原料、及び焼結助剤と
して酸化セリウム、炭酸マンガン、二酸化ケイ素、二酸
化スズを用意し、表1に示す重量割合となるように各々
秤量し、純水と共に湿式ボールミルで粉砕混合した。こ
こで、酸化コバルト及び焼結助剤は、第1成分〜第3成
分の合計100重量%に対して表1に示す割合で外割り
で添加した。二酸化スズはCaO/SnO2 比を1より
小さくし、焼結性を向上させる目的で添加した。
して酸化セリウム、炭酸マンガン、二酸化ケイ素、二酸
化スズを用意し、表1に示す重量割合となるように各々
秤量し、純水と共に湿式ボールミルで粉砕混合した。こ
こで、酸化コバルト及び焼結助剤は、第1成分〜第3成
分の合計100重量%に対して表1に示す割合で外割り
で添加した。二酸化スズはCaO/SnO2 比を1より
小さくし、焼結性を向上させる目的で添加した。
【0024】次いで、混合物を十分乾燥した後、有機バ
インダー(ポリビニルブチラール)を添加混合し、成形
圧力1,000kgf/cm2 で加圧成形した。
インダー(ポリビニルブチラール)を添加混合し、成形
圧力1,000kgf/cm2 で加圧成形した。
【0025】得られた成形体を600℃で1時間脱バイ
ンダーした後、1325℃で2時間焼結した。これによ
り得られた直径12.0〜12.5mm、厚み0.5〜
0.7mmの円板状磁器素体の両円板面に銀ペーストを
塗布し、750℃で5分間の焼き付け処理をしてコンデ
ンサの電極を形成した。更に、銀電極の焼き付け面にリ
ード線をはんだ付けし、各種特性評価用の試料とした。
ンダーした後、1325℃で2時間焼結した。これによ
り得られた直径12.0〜12.5mm、厚み0.5〜
0.7mmの円板状磁器素体の両円板面に銀ペーストを
塗布し、750℃で5分間の焼き付け処理をしてコンデ
ンサの電極を形成した。更に、銀電極の焼き付け面にリ
ード線をはんだ付けし、各種特性評価用の試料とした。
【0026】得られた試料について、誘電率(εs)、
誘電損失(tanδ)、誘電率の温度特性(TC)、キ
ューリー点、及び絶縁抵抗(IR)を測定したところ、
表1に示す特性が得られた。なお、誘電率(εs)及び
誘電損失(tanδ)は、LCRメーター(ヒューレッ
ト・パッカード社、4274A)を用いて1KHz、1
V、25℃の条件下で、絶縁抵抗(IR)は、IRメー
ター(ADVANTEST社、R8340A)を用いて
直流500V、60秒間印加、25℃の条件下でそれぞ
れ測定した値を示した。
誘電損失(tanδ)、誘電率の温度特性(TC)、キ
ューリー点、及び絶縁抵抗(IR)を測定したところ、
表1に示す特性が得られた。なお、誘電率(εs)及び
誘電損失(tanδ)は、LCRメーター(ヒューレッ
ト・パッカード社、4274A)を用いて1KHz、1
V、25℃の条件下で、絶縁抵抗(IR)は、IRメー
ター(ADVANTEST社、R8340A)を用いて
直流500V、60秒間印加、25℃の条件下でそれぞ
れ測定した値を示した。
【0027】また、温度特性(TC)は、−55〜+1
25℃の範囲で静電容量を測定し、JIS規格に従い2
0℃に於ける静電容量を基準として、静電容量の変化率
(ΔC/C(%))を求め、結果を図1に示した。な
お、図1中の太い実線枠は、温度特性の実用範囲を示し
ており、−25℃〜+85℃の温度範囲で、静電容量の
変化率(ΔC/C(%))が−80%〜+30%の範囲
内に入ることが要求されている。
25℃の範囲で静電容量を測定し、JIS規格に従い2
0℃に於ける静電容量を基準として、静電容量の変化率
(ΔC/C(%))を求め、結果を図1に示した。な
お、図1中の太い実線枠は、温度特性の実用範囲を示し
ており、−25℃〜+85℃の温度範囲で、静電容量の
変化率(ΔC/C(%))が−80%〜+30%の範囲
内に入ることが要求されている。
【0028】表1及び図1より明らかなように、チタン
酸バリウム量が本発明範囲から外れた比較例1,2は、
キューリー点が目標範囲(0〜+40℃)外になり、常
温付近におけるεsが低く、更に温度特性も実用範囲か
ら外れていることが分かる。
酸バリウム量が本発明範囲から外れた比較例1,2は、
キューリー点が目標範囲(0〜+40℃)外になり、常
温付近におけるεsが低く、更に温度特性も実用範囲か
ら外れていることが分かる。
【0029】
【表1】
【0030】<実施例3〜6及び比較例3,4>表2の
実施例3〜5は、第1成分(BaTiO3 )を84重量
%、第2成分(CaSnO3 )を10.67重量%、第
3成分(BaZrO3 )を5.33重量%に統一し、第
4成分(Co3 O4 )の添加量を変化させた例であり、
実施例6及び比較例3,4は、第1成分(BaTiO
3 )を85重量%、第2成分(CaSnO3 )を10重
量%、第3成分(BaZrO3 )を5重量%に統一し、
第4成分(Co3 O4 )の第1成分〜第3成分の合計1
00重量%に対する外割りの添加量を変化させた例であ
る。
実施例3〜5は、第1成分(BaTiO3 )を84重量
%、第2成分(CaSnO3 )を10.67重量%、第
3成分(BaZrO3 )を5.33重量%に統一し、第
4成分(Co3 O4 )の添加量を変化させた例であり、
実施例6及び比較例3,4は、第1成分(BaTiO
3 )を85重量%、第2成分(CaSnO3 )を10重
量%、第3成分(BaZrO3 )を5重量%に統一し、
第4成分(Co3 O4 )の第1成分〜第3成分の合計1
00重量%に対する外割りの添加量を変化させた例であ
る。
【0031】いずれの試料とも焼結助剤として酸化セリ
ウム0.2重量%、炭酸マンガン0.1重量%、カオリ
ン0.2重量%を、第1成分〜第3成分の合計100重
量%に対して外割りで添加し、BaO/TiO2 比及び
CaO/SnO2 比は、1に統一した。なお、実施例2
〜5は本発明品、比較例3,4は本発明範囲外品であ
る。
ウム0.2重量%、炭酸マンガン0.1重量%、カオリ
ン0.2重量%を、第1成分〜第3成分の合計100重
量%に対して外割りで添加し、BaO/TiO2 比及び
CaO/SnO2 比は、1に統一した。なお、実施例2
〜5は本発明品、比較例3,4は本発明範囲外品であ
る。
【0032】主成分原料及びその他の焼成助剤等の配合
割合を表2に示す割合としたこと以外は、実施例1と同
様の処理を行ってコンデンサ試料を得、同様に各種特性
評価を行い(ただし、実施例3〜6及び比較例3,4に
おいては、ΔC/C(%)のみならず、tanδ(%)
についても同様に温度特性を調べた。)、結果を表2及
び図2〜5に示した。
割合を表2に示す割合としたこと以外は、実施例1と同
様の処理を行ってコンデンサ試料を得、同様に各種特性
評価を行い(ただし、実施例3〜6及び比較例3,4に
おいては、ΔC/C(%)のみならず、tanδ(%)
についても同様に温度特性を調べた。)、結果を表2及
び図2〜5に示した。
【0033】表2及び図2〜5より、本発明範囲内で第
4成分(Co3 O4 )の添加量を変化させた実施例3〜
5について見ると、Co3 O4 量が増えるに従ってεs
が低下する一方、静電容量の変化率ΔC/C(%)及び
誘電損失tanδ(%)の温度特性が平坦化することが
分かる。
4成分(Co3 O4 )の添加量を変化させた実施例3〜
5について見ると、Co3 O4 量が増えるに従ってεs
が低下する一方、静電容量の変化率ΔC/C(%)及び
誘電損失tanδ(%)の温度特性が平坦化することが
分かる。
【0034】また、Co3 O4 未添加でキューリー点2
5℃の組成に調整した本発明範囲外の比較例3は、表2
及び図4,5より明らかなように、εsは約20,00
0に達するものの、ΔC/C(%)の温度特性曲線の平
坦性が失われてJIS規格のF特性から外れる上に、常
温付近における誘電損失が大きいことが分かる。
5℃の組成に調整した本発明範囲外の比較例3は、表2
及び図4,5より明らかなように、εsは約20,00
0に達するものの、ΔC/C(%)の温度特性曲線の平
坦性が失われてJIS規格のF特性から外れる上に、常
温付近における誘電損失が大きいことが分かる。
【0035】実施例6及び比較例4は、比較例3と同じ
組成で実施例2〜3よりもCo3 O4 量を多くした例で
あるが、Co3 O4 量が本発明範囲から外れた比較例4
は、静電容量の変化率ΔC/C(%)及び誘電損失ta
nδ(%)の温度特性が平坦化する一方、常温付近にお
けるεsが著しく低下し、コンデンサとしての実用に適
さなくなる。
組成で実施例2〜3よりもCo3 O4 量を多くした例で
あるが、Co3 O4 量が本発明範囲から外れた比較例4
は、静電容量の変化率ΔC/C(%)及び誘電損失ta
nδ(%)の温度特性が平坦化する一方、常温付近にお
けるεsが著しく低下し、コンデンサとしての実用に適
さなくなる。
【0036】従って、εsを10,000以上に維持
し、且つ誘電損失を0.6%以下に抑えるための第4成
分(Co3 O4 )量は、第1成分〜第3成分の合計10
0重量%に対し、外割りで0.001〜0.2重量%の
範囲に限定される。
し、且つ誘電損失を0.6%以下に抑えるための第4成
分(Co3 O4 )量は、第1成分〜第3成分の合計10
0重量%に対し、外割りで0.001〜0.2重量%の
範囲に限定される。
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の誘電損失の
少ない高誘電率磁器組成物によれば、常温付近の誘電損
失が0.6%以下で、且つ誘電率10,000以上を維
持し、しかも温度特性が比較的平坦で、例えばJIS規
格のF特性(−25〜+85℃の温度範囲で20℃基準
の容量変化率が+30〜−80%以内)を満足するコン
デンサ等の実用用途に適した高特性磁器組成物が提供さ
れる。
少ない高誘電率磁器組成物によれば、常温付近の誘電損
失が0.6%以下で、且つ誘電率10,000以上を維
持し、しかも温度特性が比較的平坦で、例えばJIS規
格のF特性(−25〜+85℃の温度範囲で20℃基準
の容量変化率が+30〜−80%以内)を満足するコン
デンサ等の実用用途に適した高特性磁器組成物が提供さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1,2及び比較例1,2におけるΔC/
C(%)の温度特性の測定結果を示すグラフである。
C(%)の温度特性の測定結果を示すグラフである。
【図2】実施例3〜5におけるΔC/C(%)の温度特
性の測定結果を示すグラフである。
性の測定結果を示すグラフである。
【図3】実施例3〜5におけるtanδ(%)の温度特
性の測定結果を示すグラフである。
性の測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例6及び比較例3,4におけるΔC/C
(%)の温度特性の測定結果を示すグラフである。
(%)の温度特性の測定結果を示すグラフである。
【図5】実施例6及び比較例3,4におけるtanδ
(%)の温度特性の測定結果を示すグラフである。
(%)の温度特性の測定結果を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 第1成分としてチタン酸バリウムを、第
2成分としてスズ酸カルシウムを、第3成分としてジル
コン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム及びジルコン酸
ストロンチウムよりなる群から選ばれる1種又は2種以
上を、第4成分として酸化コバルトを、各々下記組成範
囲で含有することを特徴とする誘電損失の少ない高誘電
率磁器組成物。 第1成分:83〜87重量% 第2成分及び第3成分:合計で13〜17重量% 第4成分:第1成分,第2成分及び第3成分の合計10
0重量%に対して0.001〜0.2重量%
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8070166A JPH09255421A (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | 誘電損失の少ない高誘電率磁器組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8070166A JPH09255421A (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | 誘電損失の少ない高誘電率磁器組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09255421A true JPH09255421A (ja) | 1997-09-30 |
Family
ID=13423700
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8070166A Withdrawn JPH09255421A (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | 誘電損失の少ない高誘電率磁器組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09255421A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002201064A (ja) * | 2000-12-27 | 2002-07-16 | Nippon Chemicon Corp | 誘電体磁器組成物、積層セラミックコンデンサとその製造方法 |
JP2009107925A (ja) * | 2001-06-13 | 2009-05-21 | Seiko Epson Corp | セラミックス、ならびに誘電体キャパシタ、アクチュエータ、光変調器、及び超音波センサ |
JP2012140258A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Tdk Corp | 誘電体磁器組成物および電子部品 |
-
1996
- 1996-03-26 JP JP8070166A patent/JPH09255421A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002201064A (ja) * | 2000-12-27 | 2002-07-16 | Nippon Chemicon Corp | 誘電体磁器組成物、積層セラミックコンデンサとその製造方法 |
JP2009107925A (ja) * | 2001-06-13 | 2009-05-21 | Seiko Epson Corp | セラミックス、ならびに誘電体キャパシタ、アクチュエータ、光変調器、及び超音波センサ |
JP2012140258A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Tdk Corp | 誘電体磁器組成物および電子部品 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20030603 |