JPH0925470A - 耐熱性接着剤 - Google Patents

耐熱性接着剤

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JPH0925470A
JPH0925470A JP7174913A JP17491395A JPH0925470A JP H0925470 A JPH0925470 A JP H0925470A JP 7174913 A JP7174913 A JP 7174913A JP 17491395 A JP17491395 A JP 17491395A JP H0925470 A JPH0925470 A JP H0925470A
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Japan
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weight
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resin
bismaleimide
solvent
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JP7174913A
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English (en)
Inventor
Atsushi Yoshikawa
川 篤 志 吉
Tomohiro Ito
藤 友 裕 伊
Toshiichi Takatsudo
敏 一 高津戸
Toshiro Takeda
田 敏 郎 竹
Hisafumi Enoki
尚 史 榎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性、タック性、ドレープ性等の取扱作業性
に優れ、アルミ、鉄等の金属およびFRP等の複合材料
の接着に優れ、かつ室温だけでなく170℃のような高
温でも十分なピール強度、引張剪断強度を有する耐熱性
接着剤およびプレプリグの提供。 【解決手段】(A)芳香族ビスマレイミド100重量
部、(B)アルケニルフェノール36〜100重量部、
(C)硬化触媒、および(D)溶剤可溶性ポリイミド1
00重量部超〜700重量部を含有してなるフィルム層
と、(E)該フィルム層の表面に1〜100μmの樹脂
タック付与層とを有する耐熱性接着剤およびプレプリ
グ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高耐熱性を有し、
成形性や接着性に優れ、熱硬化して用いることのできる
耐熱性接着剤およびプリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、有機合成高分子から成る各種接着
剤としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素
系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリ
コーン系樹脂の接着剤が知られているが、これらの接着
剤は、成形温度等での成形性(作業性)、あるいは比較
的低温での接着性に優れるものの、高温時の接着強度や
耐久性、信頼性に問題がある。
【0003】接着剤の組成で、耐熱性に優れる組成とし
て、ビスマレイミド樹脂やポリイミド樹脂が挙げられ
る。ビスマレイミド樹脂は、耐熱性が高く、取扱作業性
に優れた樹脂である。ところが、ビスマレイミド樹脂を
含む接着剤は、優れた特性を有するものの、硬くて脆
い、耐クラック性に劣り、ピール強度が非常に低い等の
欠点がある。このようなビスマレイミド樹脂の改質方法
には、ポリエーテルスルホン(PES)や熱可塑性ポリ
イミドを改質剤として添加する方法が知られている。ま
た、インターリーフと呼ばれる衝撃吸収層を層間に挿入
する方法も提案されているが、補強繊維含有率が上げら
れず、また、取扱作業性も悪い等の欠点がある。
【0004】一方、ポリイミドは多くの有機材料(樹
脂)の中でも最も高い耐熱性を有しており、近年、その
優れた耐熱性、機械的強度、電気的特性、耐薬品性等の
諸特性から航空宇宙分野やエレクトロニクス等の先端技
術分野での使用が増加してきている。
【0005】しかしながら、ポリイミドは上記の様な優
れた特性を有する反面、閉環状態ではほとんど溶融流動
性を示さなくなるため、成形加工性(作業性)が悪いと
いった問題点を抱えている。また、ポリイミドの前駆体
であるポリアミック酸を溶剤に溶解して用いる方法もあ
るが、閉環反応でイミド化した時に副生成物が生成する
こと、溶剤を除去しなければならないこと、接着不良を
起こしやすいこと等の問題点がある。
【0006】こうした問題点を解決するために、最近、
閉環反応でイミド化した状態でも溶融流動性を示すポリ
イミドが、米国特許第4,094,962号明細書、特
開昭61−55177号公報等に開示されている。しか
し、これらの公報に記載されたポリイミドでは成形温度
を300℃以上にしなければ十分な接着力が得られず、
成形性に問題を残している。
【0007】また、特開平6−16934号公報には、
ポリイミド樹脂と多官能アリル化合物とビスマレイミド
化合物との組成物が作業性、破壊靱性に優れることが記
載されている。さらに、特開平6−41332号公報に
は、ポリイミドとビスマレイミドとの組成物として、ビ
スマレイミドおよび反応性希釈剤とのポリイミド組成物
に、さらに熱可塑性樹脂オリゴマーの球状の微粒子をプ
リプレグ表面からプリプレグの厚みの30%以内の深さ
に局在化させて複合材料とし、これを炭素繊維強化樹脂
複合材料用プリプレグとしてその加工性および靱性を改
善することが提案されている。しかし、この方法では微
粒子の添加量を増加させても複合材料全体としての靱性
が十分に向上しない等の問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなポリイミ
ド樹脂とビスマレイミド樹脂との組成物をフィルム状お
よびシート状接着剤に用いると、表面のタック性がない
ために、接着作業中に別の方法で被着材と接着剤とを固
定しなければならないという問題がある。また、表面タ
ック性を付与しようとすると耐熱性が劣るという問題が
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決するために鋭意研究を行い、特定のポリイミド
/ビスマレイミド樹脂を含む層とタック付与層とを有す
る接着剤が170℃における十分な耐熱性を有するとと
もに、被着体であるアルミ、鉄等の金属およびFRP
(繊維強化プラスチック)等の複合材料に対して強固な
接着性を有することを見出し、本発明に至った。
【0010】すなわち、本発明は、(A)芳香族ビスマ
レイミド100重量部、(B)アルケニルフェノール3
6〜100重量部(C)硬化触媒0.01〜5重量部、
および(D)溶剤可溶性ポリイミド100重量部超〜7
00重量部を含有してなるフィルム層と、(E)該フィ
ルム層の表面に1〜100μmの樹脂タック付与層とを
有する耐熱性接着剤、特にシート状耐熱性接着剤を提供
する。
【0011】(A)芳香族ビスマレイミド100重量
部、(B)アルケニルフェノール36〜100重量部
(C)硬化触媒0.01〜5重量部、および(D)溶剤
可溶性ポリイミド100重量部超〜700重量部をキャ
リヤに含浸させてなる補強フィルム層と、(E)該補強
フィルム層の表面に1〜100μmの樹脂タック付与層
とを有する耐熱性接着剤を提供する。
【0012】(A)芳香族ビスマレイミド100重量
部、(B)アルケニルフェノール36〜100重量部、
(C)硬化触媒0.01〜5重量部、および(D)溶剤
可溶性ポリイミド100重量部超〜700重量部を補強
材に含浸させてなる補強フィルム層と、(E)該補強フ
ィルム層の表面に1〜50μmの樹脂タック付与層とを
有するプリプレグを提供する。
【0013】樹脂タック付与層が、前記(A)芳香族ビ
スマレイミドおよび(B)アルケニルフェノールを含有
するのが好ましい。
【0014】本発明の第一の態様は、(A)芳香族ビス
マレイミド、(B)アルケニルフェノール、(C)硬化
触媒、および(D)溶剤可溶性ポリイミドを含有してな
るフィルム層と、樹脂タック付与層とを有する耐熱性接
着剤、あるいは、(A)〜(D)の成分をキャリヤに含
浸させてなる補強フィルム層と、樹脂タック付与層とを
有する耐熱性接着剤である。本発明の第二の態様は、
(A)芳香族ビスマレイミド、(B)アルケニルフェノ
ール、(C)硬化触媒、および(D)溶剤可溶性ポリイ
ミドを補強材に含浸させてなる補強フィルム層と、樹脂
タック付与層とを有するプリプレグである。
【0015】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の第一の態様である耐熱性接着剤は、(A)芳香族
ビスマレイミド、(B)アルケニルフェノール、(C)
硬化触媒、および(D)溶剤可溶性ポリイミドを含有し
てなるフィルム状層またはシート状層と、樹脂タック付
与層とを有する。フィルムまたはシート状層は、(A)
〜(D)の組成物をキャリヤに含浸させてなる補強フィ
ルム層としてもよい。
【0016】本発明の耐熱性接着剤のフィルム層または
補強フィルム層に用いる樹脂組成物は、(A)芳香族ビ
スマレイミドと、(B)アルケニルフェノールと、
(C)硬化触媒と、(D)溶剤可溶性ポリイミドとを含
有することを特徴とする。
【0017】(A)成分の芳香族ビスマレイミドは、対
応する芳香族ジアミンと無水マレイン酸を反応させる公
知の方法により得ることができる。上記の芳香族ビスマ
レイミドは、樹脂の反応性と機械的特性の点から融点が
170℃以下であって、アルケニルフェノール成分に可
溶であるものが好ましい。
【0018】芳香族ビスマレイミドとしては、N,N’
−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェ
ニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビス
マレイミド、N,N’−4,4’−ビフェニレンビスマ
レイミド、N,N’−4,4’−(3,3’−ジメチル
ビフェニレン)ビスマレイミド、2,2−ビス[4−
(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン又は
下記一般式(1)で表されるビスマレイミド等を挙げる
ことができる。
【0019】
【化1】 (式中、Xは、−CH2 −,−C(CH3 2 −,−S
2 −,−SO−または−O−を示す。)
【0020】上記一般式(1)で表されるビスマレイミ
ドとしては、例えば、N,N’−4,4’−(3,3’
−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,
N’−4,4’−(3,3’−ジエチルジフェニルメタ
ン)ビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニル
メタンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニ
ルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフ
ェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,3’−
ジフェニルスルフォンビスマレイミド、N,N’−4,
4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、N,N’
−4,4’−ジフェニルスルフォキシドビスマレイミ
ド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルフィドビスマ
レイミド、N,N’−4,4’−ベンゾフェノンビスマ
レイミド、等を挙げることができる。
【0021】中でも、N,N’−4,4’−ジフェニル
メタンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニ
ルエーテルビスマレイミド、N,N’−m−トルイレン
ビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミド
フェノキシ)フェニル]プロパン、N,N’−4,4’
−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、N,N’−
4,4’−ベンゾフェノンビスマレイミド等が硬化後の
樹脂の耐熱性の点で好ましい。特に、N,N’−4,
4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−
4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,
N’−m−トルイレンビスマレイミド、2,2−ビス
[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパ
ンが好ましい。
【0022】上述の芳香族ビスマレイミドは、単独で使
用してもよく、また、2種以上を併用してもよい。アル
ケニルフェノールとの相溶性がよく、熱硬化性樹脂組成
物の溶融粘度を下げることができるという点で、融点が
170℃以下の芳香族ビスマレイミドを用いることが好
ましい。
【0023】(B)成分のCH2 =CHCH2 −のアリ
ル基を有するアルケニルフェノールは、下記一般式
(2)で表される化合物である。
【0024】
【化2】
【0025】(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立に
アリル基を表し、Yは−C(CH32 −、−C(CF
3 2 −、−CH2 −等を表し、nは1〜4の整数を表
す。)
【0026】具体的には、2,2’−ジアリルビスフェ
ノールA、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジアリ
ルジフェニル、ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェ
ニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジアリルフェニル)プロパン、2,2’−ジアリルビ
スフェノールF、4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−
ジアリルジフェニルエーテル等が挙げられる。また、ポ
リフェノール類と塩化アリルまたは臭化アリルとの反応
生成物のアリル化率がフェノール性OH基に対して50
%以上150%以下で、かつクライゼン転移したアリル
基がフェノール性OH基に対して20%以上のアルケニ
ルフェノールも使用することができる。
【0027】上述のアルケニルフェノールは、単独で使
用してもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、
2,2’−ジアリルビスフェノールA、2,2’−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジアリルフェニル)プロパ
ン、2,2’−ジアリルビスフェノールF等が硬化後の
樹脂のガラス転移点が高いため好ましく、特に、下記式
(3)で示される2,2’−ジアリルビスフェノールA
が硬化前の樹脂の低粘度化のために好ましい。
【0028】
【化3】
【0029】本発明に用いるアルケニルフェノールは常
温で液体あるいは粘性体であることが好ましい。アルケ
ニルフェノールが固体であると、本発明のフィルム状接
着剤、またはシート状接着剤を製造した時、あるいは補
強材繊維に含浸させてプリプレグとした時のドレープ性
が低下するためである。本発明において樹脂成分として
使用するアルケニルフェノール(B)の量は、ビスマレ
イミド(A)100重量部に対して36〜100重量部
である。アルケニルフェノールの量をこの範囲としたの
は、36重量部未満であるとドレープ性が低下するため
であり、100重量部を越えると機械的強度が低下する
ためである。58〜93重量部の範囲がより好ましく、
さらに好ましくは、58〜86重量部の範囲である。
【0030】(C)成分の硬化触媒は、ベンゾイルペル
オキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペル
オキシド、ラウロイルペルオキシド、アセチルペルオキ
シド、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサ
ノンペルオキシド、t−ブチルハイドロペルオキシド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキ
シ)ヘキシン−3、2,4−ジクロロベンゾイルペルオ
キシド、クメンハイドロペルオキシド、アセチルシクロ
ヘキシルスルホニルペルオキシド、ジイソプロピルベン
ゼンハイドロペルオキシド、オクタノイルペルオキシ
ド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシ
ド、クミンペルオキシネオデカノエート、ジイソプロピ
ルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシル
ペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシアリ
ルカーボネート、t−ブチルペルオキシオクトエート、
t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t
−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシ
イソブチレート、t−ブチルペルオキシピパレート、t
−ブチルペルオキシネオデカノエート、1,1−ビス
(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’
−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、
2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジヒドロク
ロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリ
イン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス
(2,4,4−トリメチルペンタン)等のラジカル触媒
およびナフテン酸やオクチル酸のFe,Co,Ni,Z
n,Cr,V,Ti等の錯塩を併用したレドックス系触
媒が挙げられる。硬化触媒の含有量は、ビスマレイミド
100重量部に対して、0.01〜5重量部、特に0.
1〜2重量部であるのが、貯蔵安定性と硬化速度の点で
好ましい。
【0031】(D)成分の溶剤可溶性ポリイミドは、通
常、酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリ
アミック酸を、熱あるいは脱水剤の存在下でイミド閉環
したものである。上記の溶剤可溶性ポリイミドは、N−
メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド等の有機溶剤に25℃で可溶であることが望ましい。
特に、本発明において用いられるアルケニルフェノール
に可溶であれば接着剤をシート化して半硬化状態で織布
あるいは不織布に含浸できるため、作業性の点でいっそ
う好ましい。とりわけ、本発明で使用するアルケニルフ
ェノールに室温で溶解せず、高温時(80℃〜200℃
位)に可溶であることが好ましい。その理由は、溶解す
ることにより硬化後に均一なミクロ相分離構造を呈する
からである。
【0032】溶剤可溶性ポリイミドの合成に用いられる
酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル
酸二無水物、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカル
ボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,5,6−テトラ
カルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テ
トラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8
−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,
6,7−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,
4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,
2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,3,3’4’−ジフェニルテトラカルボン酸二
無水物、
【0033】2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェ
ニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカ
ルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(2,3−
ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,
3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフォン二無水
物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エ
タン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)エタン二無水物、チオフェン−2,3,4,5
−テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができ
る。
【0034】中でも、3,3’,4,4’−ジフェニル
テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキ
シジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)スルフォン二無水物等が好ましく、特に、3,
3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水
物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物が
好ましい。その理由は、生成するポリイミドがアルケニ
ルフェノールに可溶で、接着性が向上するからである。
上述の酸二無水物は、単独で使用してもよく、二種類以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】溶剤可溶性ポリイミドの合成に用いられる
ジアミンとしては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ
アミノビフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレン
ジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミ
ン、2,4−ジアミノメシチレン、4,4’−メチレン
ジ−o−トルイジン、4,4’−メチレンジ−2,6−
キシリジン、4,4’−メチレン−2,6−ジエチルア
ニリン、2,4−トルエンジアミン、m−フェニレンジ
アミン、p−フェニレンジアミン、
【0036】4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、
3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジ
アミノジフェニルエタン、3,3’−ジアミノジフェニ
ルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,
3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニル
スルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォ
ン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,
4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミ
ノジフェニルエーテル、
【0037】ベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニ
ル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニ
ル、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(p−アミ
ノシクロヘキシル)メタン、ビス(p−β−アミノ−t
−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メタル−
δ−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル
−4−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(1,1−
ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、1,5−ジ
アミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、
【0038】2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)
トルエン、2,4−ジアミノトルエン、m−キシレン−
2,5−ジアミン、p−キシレン−2,5−ジアミン、
m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、
2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジ
ン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾー
ル、1,4−ジアミノシクロヘキサン、
【0039】ピペラジン、メチレンジアミン、エチレン
ジアミン、プロピレンジアミン、2,2−ジメチルプロ
ピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメ
チルヘキサメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチ
レンジアミン、
【0040】ヘプタメチレンジアミン、2,5−ジメチ
ルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレン
ジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、
オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、5−
メチルノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルノナメ
チレンジアミン、デカメチレンジアミン、
【0041】1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベ
ンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノ
キシ)ベンゼン、ビス−4−(4−アミノフェノキシ)
フェニルスルフォン、ビス−4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニルスルフォンなどを挙げることができる。
【0042】中でも、1,3−ビス(3−アミノフェノ
キシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]プロパン、ビス−4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニルスルフォン、ビス−4−(3−ア
ミノフェノキシ)フェニルスルフォンなどが、生成する
ポリイミドがアルケニルフェノールに可溶であるために
好ましい。特に、1,3−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル]プロパン、ビス−4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニルスルフォンが好ましい。その理由
は、接着性が向上するからである。上述のジアミンは、
単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いて
もよい。
【0043】イミド化に使用する有機溶剤は特に限定さ
れないが、非プロトン性極性溶媒が好ましく、この種の
代表的な溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチル
ホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N
−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルフォキ
シド、ヘキサメチルフォスホアミド、N−メチル−2−
ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルフォン、テトラメ
チルスルフォン、γ−ブチロラクトン、ジグライム、テ
トラヒドロフラン、塩化メチレン、ジオキサン、シクロ
ヘキサノン等を挙げることができる。
【0044】中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロ
リドン、ジグライム、テトラヒドロフラン等が、ポリア
ミック酸をかなりの量まで均一溶解できるために好まし
い。特に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメ
チルホルムアミドが好ましい。
【0045】上記の非プロトン性極性溶媒は、単独で、
あるいは二種以上を併用した混合溶媒として使用しても
よい。また、上記の非プロトン性極性溶媒と相溶性があ
る非極性溶媒を混合して使用してもよい。トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素がこのような貧溶媒としてよ
く使用され、ポリアミック酸を溶解できる範囲で揮散調
節剤、被膜平滑剤などとして使用してもよい。上述のよ
うな非極性溶媒の混合溶媒中の量は、30重量%以下で
あることが好ましい。30重量%超では混合溶媒の溶解
力が低下し、ポリアミック酸が析出することがあるため
である。
【0046】溶剤可溶性ポリイミドの合成は公知の方法
で行なうことができる。具体的には、予め、酸二無水物
成分あるいはよく乾燥したジアミン成分の何れか一方
を、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホ
ルムアミド等の有機溶剤中に溶解あるいは懸濁させてお
き、他方の成分を粉末または液状あるいは有機溶剤に懸
濁した状態で徐々に添加する。この反応は発熱を伴うた
め、望ましくは冷却しながら反応系の温度を室温付近に
保つ。酸二無水物成分とジアミン成分のモル比は、当量
付近、特に0.7〜1.3の範囲にあることが望まし
い。成分のモル比をこの範囲内としたのは、何れか一方
が多くなり過ぎると、分子量が高くならず、合成された
ポリアミック酸の耐熱性、機械的特性が低下するためで
ある。
【0047】上述のようにして酸二無水物成分とジアミ
ン成分とを室温付近で反応させ、ポリアミック酸を合成
する。合成したポリアミック酸を有機溶剤中で加熱脱水
還化してイミド化し、ポリイミドとする。イミド化反応
によって生じた水は反応を妨害するため、水と相溶しな
い有機溶剤を系中に加えて共沸させ、ディーン−スター
ク(Dean-Stark)管等の装置を用いて生成された水を系
外に排出する。水と相溶しない有機溶剤としては、ジク
ロロベンゼンが知られているが、塩素成分が混入する恐
れがあるため、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
を使用することが好ましい。また、イミド化反応の触媒
として、無水酢酸、β−ピコリン、ピリジン等を用いる
ことができる。
【0048】上述のようにして得られた溶剤可溶性ポリ
イミドの重量平均分子量は、10,000〜800,0
00、特に50,000〜400,000であるのが、
硬化後の樹脂の機械的強度、作業性の点で好ましい。
【0049】(A)〜(D)成分を有する組成物中の溶
剤可溶性ポリイミド(D)の量は、耐熱性接着剤に用い
る場合、芳香族ビスマレイミド(A)100重量部に対
して100重量部超〜700重量部、特に117〜70
0、より好ましくは、117〜400重量部である。溶
剤可溶性ポリイミドの量をこの範囲としたのは、100
重量部以下であると靱性の向上が十分でなく、700重
量部を越えると混合不良を起こし完全に硬化しないため
である。
【0050】本発明においては、ポリイミド/ビスマレ
イミド樹脂を溶解できるアルケニルフェノールを用いる
と、別に溶媒を用いなくてもよい。また、フィルム成形
時または後述するプリプレグ成形時に用いられる有機溶
媒は、上記のようにして合成した本発明のポリイミド/
ビスマレイミド樹脂を均一溶解できるものであれば特に
限定されるものではない。
【0051】有機溶媒を用いる場合には、具体的には、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジ
エチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセト
アミド、ジメチルスルフォキシド、ヘキサメチルフォス
ホアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジ
メチルスルフォン、テトラメチルスルフォン、γ−ブチ
ロラクトン、ジグライム、テトラヒドロフラン、塩化メ
チレン、ジオキサン、シクロヘキサノン等を挙げること
ができる。
【0052】高沸点の溶剤を多量に用いると接着不良あ
るいはボイド等の成形不良の原因となるため低沸点の溶
剤の方が好ましく、テトラヒドロフラン、塩化メチレ
ン、ジオキサン、シクロヘキサノン等が好ましい。これ
らの有機溶剤は、単独で使用してもよく、また、二種類
以上を併用した混合溶媒として使用してもよい。既に述
べたように、上記のポリイミド/ビスマレイミド樹脂を
均一に溶解できる範囲で、貧溶媒を揮散調節剤などとし
て使用することもできる。
【0053】前述の(A)〜(D)成分を有する組成物
は、そのままでまたは半硬化してフィルム層として用い
てもよいし、組成物をキャリヤに含浸させて補強フィル
ム層として本発明の耐熱接着剤に用いてもよい。本発明
の耐熱性接着剤に用いる(A)〜(D)の成分を有する
フィルム層または補強フィルム層の厚みは、通常0.0
1〜5mm、特に0.1〜2mmであるのが、接着樹脂
層の厚み保持の点で好ましい。
【0054】使用するキャリヤ(基材)は、耐熱性があ
り、表面処理が容易であるためにガラス基材が好まし
い。ガラス基材は、平織、綾織、平がらみ織、4枚朱子
織、8枚朱子織等の織布であってもよく、また、マッ
ト、ヤーン、チョップ等の不織布であってもよい。さら
に、これらの基材は単独で使用してもよく、あるいは、
2種以上を併用してもよい。特に、平織、マット等の基
材を用いると効果が著しい。
【0055】本発明の耐熱性接着剤は(A)〜(D)の
成分を有する層の表面に、以下で説明する(E)樹脂タ
ック付与層を有する。この(E)層は、前述のフィルム
層または補強フィルム層の被着材と接着する表面に設け
られ本発明の耐熱性接着剤にタック性を付与する。樹脂
タック付与層に用いる樹脂組成物の成分は、上記(A)
〜(D)の混合樹脂からなる層の樹脂成分に硬化時に相
溶化する樹脂であればいかなる樹脂でもよいが、特に、
(A)芳香族ビスマレイミドおよび(B)アルケニルフ
ェノールからなる樹脂であると、(E)樹脂タック付与
層中の芳香族ビスマレイミドは、硬化接着後は補強フィ
ルム中のポリイミドと相溶化して、ポリイミドをマトリ
ックスとするミクロ相構造をなし、樹脂タック付与層自
体は、消失するので好ましい。
【0056】樹脂タック付与層の樹脂成分が、(A)芳
香族ビスマレイミドおよび(B)アルケニルフェノール
からなる場合のアルケニルフェノール(B)の含有量
は、芳香族ビスマレイミド(A)100重量部に対し
て、36〜100重量部、特に65〜86重量部である
のが、接着性の点で好ましい。
【0057】本発明の耐熱性接着剤の(E)樹脂タック
付与層の厚みは、1〜100μm、特に10〜50μm
である。1μm未満では、タック付与の効果がなく、1
00μm超では、硬化後に消失せずに残存してしまうか
らである。
【0058】本発明の耐熱性接着剤の製造は、通常、ア
ルケニルフェノールに上記のように合成した溶剤可溶性
ポリイミドと芳香族ビスマレイミド、さらに硬化触媒を
加え、必要に応じて有機溶剤等で希釈して粘度を調節
し、室温から170℃の間の温度で均一に加熱混合して
フィルム成形機等を用いてフィルム層を形成させ、さら
に、フィルム層の表面、少なくとも1方の面、好ましく
は両面に上述の樹脂タック付与層を好ましくは塗布また
はスプレーして設ける。フィルム化した後、2枚あるい
はそれ以上の枚数のフィルムでキャリヤ(基材)を気泡
が残らないように挟んで加熱硬化させ補強フィルム層を
製造する。あるいは、キャリヤを本発明に用いる樹脂組
成物に浸漬して、樹脂組成物をキャリヤに含浸させても
よい。
【0059】上述のようにして作製した本発明の耐熱性
接着剤は、被着体の間に挟み、160〜250℃で3〜
10時間、加熱硬化して、被着体に接着させる。本発明
の耐熱性接着剤を用いる被着体としては、アルミ、鉄、
銅等の金属、FRP(fiber reinforced plastic、繊維
強化プラスチック)等の複合材料が好ましく、特に、ア
ルミ、鉄、FRP等の接着剤として用いると効果が著し
い。
【0060】得られた耐熱性接着剤は、耐熱性、機械特
性を損なうことなく、優れたピール強度を有しているの
で、航空宇宙分野やエレクトロニックス等の先端技術分
野での使用が可能である。本発明の耐熱性接着剤は、溶
剤可溶性ポリイミド(D)の含有量が100重量部超〜
700重量部で、タック付与層が1〜100μmであ
り、初期密着性に優れているため気泡等による接着不良
を起こしにくいので、例えば170℃程度の高温におい
ても接着性に優れている。
【0061】本発明の第二の態様であるプリプレグは、
(A)芳香族ビスマレイミド100重量部、(B)アル
ケニルフェノール36〜100重量部、(C)硬化触媒
0.01〜5重量部、および(D)溶剤可溶性ポリイミ
ド100重量部超〜700重量部を含有し、補強材に含
浸させてなる補強フィルム層と、および(E)該補強フ
ィルム層の表面に1〜50μmの樹脂タック付与層を有
する。
【0062】本発明のプリプレグの補強フィルム層に用
いる樹脂組成物は、(D)溶剤可溶性ポリイミドが下記
記載の配合量である以外は、上述の本発明の耐熱性接着
剤に用いる樹脂組成物と同じである。溶剤可溶性ポリイ
ミド(D)の量は、プリプレグに用いる場合、芳香族ビ
スマレイミド100重量部に対して100重量部超〜7
00重量部、特に117〜700重量部、より好ましく
は、117〜230重量部である。溶剤可溶性ポリイミ
ドの量をこの範囲としたのは、100重量部以下である
と靱性の向上が十分でなく、700重量部を越えると混
合不良を起こし完全に硬化しないためである。
【0063】本発明のプリプレグの樹脂タック付与層
(E)に用いる樹脂組成物の成分は、上記(A)〜
(D)の混合樹脂からなる層の樹脂成分に硬化時に相溶
化する樹脂であればいかなる樹脂でもよいが、特に、
(A)芳香族ビスマレイミドおよび(B)アルケニルフ
ェノールからなる樹脂であるのが好ましい。樹脂タック
付与層の樹脂成分が、(A)および(B)からなる場合
の(B)アルケニルフェノールの含有量は、(A)芳香
族ビスマレイミド100重量部に対して、36〜100
重量部、特に65〜86重量部であるのが好ましい。
【0064】本発明のプリプレグの樹脂タック付与層の
厚みは、1〜50μm、特に10〜30μmである。1
μm未満では、タック付与効果がなく、50μm超で
は、硬化後に樹脂層として残ってしまうためである。
【0065】このような樹脂タック付与層(E)が好ま
しいのは、前述の本発明の耐熱性接着剤の場合と同様の
理由の他にプリプレグは、積層体として用いるので、取
扱作業性の点で好ましいからである。
【0066】本発明のプリプレグに用いる補強材は、耐
熱性繊維であることが好ましく、具体的には、炭素繊
維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、シリカ繊
維等を挙げることができる。これらの繊維は、長繊維、
短繊維のいずれであってもよく、織布、不織布を使用し
てもよい。これらの補強材は、単独で使用しても、2種
以上を併用してもよいが、特に、炭素繊維、ガラス繊
維、アラミド繊維等を用いたときに効果が著しい。
【0067】得られたプリプレグは、耐熱性、機械特性
を損なうことなく、優れたピール強度を有しているの
で、航空宇宙分野やエレクトロニックス等の先端技術分
野での使用が可能である。
【0068】
【実施例】以下に、実施例について本発明を一層具体的
に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定され
るものではない。
【0069】(溶剤可溶性ポリイミドの合成)温度計、
攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた四ツ
口のセパラブルフラスコ中に、1,3−ビス(3−アミ
ノフェノキシ)ベンゼン(APB)29.23g(0.
1モル)を300gのN−メチル−2−ピロリドン(N
MP)に溶解し、4,4’−オキシジフタル酸無水物
(ODPA)31.02g(0.1モル)を30分かけ
て粉状のまま徐々に添加した後、2時間撹拌を続けた。
この操作は乾燥窒素ガス気流下にて行い、さらにODP
Aを添加する前から氷浴で冷却し、系を反応中20℃に
保持した。次いで、この系にキシレン60gを添加し、
乾燥窒素導入管を外して代わりにディーン−スターク
(Dean-Stark)還流冷却管を取り付け、氷浴を外してオ
イルバスで加熱して系の温度を上昇させた。イミド化に
伴って生じる水をキシレンと共沸させて系外へ除去しな
がら撹拌を続け、150〜160℃でイミド化を進め
て、水が発生しなくなった5時間後に反応を終了させ
た。
【0070】このようにして得られたポリイミドワニス
を30リットルのメタノール中に攪拌しながら1時間か
けて滴下し、樹脂を沈殿させ、濾過して固形分のみを回
収した後、真空乾燥機中にて減圧下120℃で5時間乾
燥させた。得られたポリイミド樹脂のFT−IRスペク
トルを測定し、1650cm-1に現れるイミド化前のア
ミド結合に基づく吸収と、1780cm-1に現れるイミ
ド環に基づく吸収からイミド化率を求めたところ、分子
内のアミノ結合は100%イミド化されていることがわ
かった。
【0071】(実施例1〜4)4,4’−ジフェニルメ
タンビスマレイミド、上述にようにして合成した溶剤可
溶性ポリイミド、2,2’−ジアリルビスフェノール
A、および硬化触媒を表1に示す量で120℃で30分
間攪拌混合し、フィルム化装置を用いて接着剤フィルム
を作製した。このフィルムをガラス織布(商品名:St
yle 101、有沢製作所製)にプレスを用いて含浸
させシートにした。シートの重量は415g/m2 とし
た。
【0072】これとは別に、4,4’−ジフェニルメタ
ンビスマレイミドおよび2,2’−ジアリルビスフェノ
ールAを表1に示す量で120℃で30分間攪拌混合
し、フィルム作製装置によりフィルム化して先に作製し
た各シートに圧着して、表1に記載の樹脂タック付与層
の厚みとし実施例1〜4の耐熱性接着剤の試験片を得
た。これらの接着剤を、被着体であるアルミ平板の間に
挟んで、オートクレーブを用いて、180℃、3気圧で
3時間硬化後、227℃、大気圧で6時間後硬化を行
い、物性評価試験用試験片を得た。結果を表1に記載す
る。
【0073】(比較例1〜4)表1に示す樹脂組成のシ
ートを用いるが、タック付与層を設けない以外は、実施
例1〜4と同様にして比較例1〜4の接着剤の物性評価
試験用試験片を得た。結果を表1に記載する。
【0074】(実施例5〜8)4,4’−ジフェニルメ
タンビスマレイミド、上述のようにして合成した溶剤可
溶性ポリイミド、硬化触媒および2,2’−ジアリルビ
スフェノールAを表2に示す量用いて120℃で30分
間攪拌混合し、マトリックス用樹脂を作製した。この樹
脂を高強度弾性炭素繊維(トレカT800H−12K−
40B、東レ社製)にプリプレグ化装置を用いて含浸さ
せ、一方向プリプレグを作製し、両面にこれとは別に、
タック付与層用に4,4’−ジフェニルメタンビスマレ
イミドおよび2,2’−ジアリルビスフェノールAを表
2に示す量用いて120℃で30分間攪拌混合した後、
フィルム化装置を用いてフィルム化したタック付与用フ
ィルムを圧着してタック付与層付一方向プリプレグを作
製した。プリプレグの炭素繊維目付は145g/m2
樹脂含有率は36重量%であった。このプリプレグか
ら、所定の小片(40×40cm)を切り出して、炭素
繊維の方向を、+45°、0°、−45°、90°にし
て4層×4回積層し、次に90°、−45°、0°、+
45°にして4層×4回積層後、オートクレーブ成形
(硬化条件:180℃、3時間、7気圧)した。
【0075】表2に記載の樹脂タック付与層の厚みと
し、実施例5〜8のプリプレグとし、物性試験用試験片
を作製した。結果を表2に示す。
【0076】(比較例5〜8)表2に示す樹脂組成の積
層体を用いるが、タック付与層を設けない以外は、実施
例5〜8と同様にして比較例5〜8の接着剤の物性評価
試験用試験片を得た。結果を表2に記載する。
【0077】(物性評価) (1)接着強度の評価 接着強度は、ドラムピール強度及び室温(23℃)と1
70℃のそれぞれにおける引張剪断強度によって評価し
た。ドラムピール強度はASTM D1781−76に
準じて、また、引張剪断強度はASTM D1002に
準じて測定した。結果を表1に示す。 (2)タック性の評価 接着剤表面のタック性は、官能判定法を用いて、実施例
及び比較例のシートの表面を手指および掌で触れ、判定
した。結果を表1および2に示す。表中、「大」はべと
つきが多く、作業性が悪いことを表し、「中」はタック
性良好を表し、「小」はタック性不良を表し、「なし」
は、タックが全くないことを表す。
【0078】(3)衝撃後圧縮強度試験 SACMA(Suppliers of Advanced Composites Materi
als Asociation)リコメンディッド メソッド SRM
2−88(Recommended Method SRM2-88)に準拠して1
500 lb−in/in衝撃後の圧縮強度を測定し
た。結果を表2に示す。 (4)ガラス転移点 真空理工社製 TM−3000熱機械試験機を用いて、
硬化物の熱膨張曲線によりガラス転移点を測定した。結
果を表1および2に示す。
【0079】
【表1】
【0080】注)表中、組成成分は、重量部を示す。*1 :チバガイギー社製のマトリミド5292A*2 :チバガイギー社製のマトリミド5292B*3 :日本油脂社製のパークミルD*4 :日本化学産業社製のオクチックスZn
【0081】
【表2】
【0082】注)表中、組成成分は、重量部を示す。*1 :チバガイギー社製のマトリミド5292A*2 :チバガイギー社製のマトリミド5292B*3 :日本油脂社製のパークミルD*4 :日本化学産業社製のオクチックスZn
【0083】表1に示したように、実施例1〜4の接着
剤シートを用いると、ドラムピール強度が大きく、ま
た、室温および高温雰囲気下における引張剪断強度はい
ずれも大きな差は見られなかった。また、ガラス転移点
の降下も小さかった。
【0084】表2に示したように、実施例5〜8のプリ
プレグは衝撃後圧縮強度およびガラス転移点ともに高
く、耐衝撃性及び靱性に優れ、また、タック性も良好で
あった。
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性、タック性、ド
レープ性等の取扱作業性に優れ、アルミ、鉄等の金属お
よびFRP等の複合材料の接着に優れ、かつ室温だけで
なく170℃のような高温でも十分なピール強度、引張
剪断強度を有する耐熱性接着剤を得ることができる。ま
た、耐熱性、タック性、ドレープ性等の取扱作業性、成
形性に優れ、かつ、強靱性、170℃のような高温でも
十分なピール強度を有するプリプレグを得ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C09J 7/02 JHR C09J 7/02 JHR (72)発明者 高津戸 敏 一 神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株 式会社平塚製造所内 (72)発明者 竹 田 敏 郎 東京都品川区東品川二丁目5番8号 住友 ベークライト株式会社内 (72)発明者 榎 尚 史 東京都品川区東品川二丁目5番8号 住友 ベークライト株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)芳香族ビスマレイミド100重量
    部、(B)アルケニルフェノール36〜100重量部
    (C)硬化触媒0.01〜5重量部、および(D)溶剤
    可溶性ポリイミド100重量部超〜700重量部を含有
    してなるフィルム層と、(E)該フィルム層の表面に1
    〜100μmの樹脂タック付与層とを有することを特徴
    とする耐熱性接着剤。
  2. 【請求項2】(A)芳香族ビスマレイミド100重量
    部、(B)アルケニルフェノール36〜100重量部
    (C)硬化触媒0.01〜5重量部、および(D)溶剤
    可溶性ポリイミド100重量部超〜700重量部をキャ
    リヤに含浸させてなる補強フィルム層と、(E)該補強
    フィルム層の表面に1〜100μmの樹脂タック付与層
    とを有することを特徴とする耐熱性接着剤。
  3. 【請求項3】前記樹脂タック付与層が、前記(A)芳香
    族ビスマレイミドと(B)アルケニルフェノールとを含
    有する請求項2に記載の耐熱性接着剤。
  4. 【請求項4】(A)芳香族ビスマレイミド100重量
    部、(B)アルケニルフェノール36〜100重量部、
    (C)硬化触媒0.01〜5重量部、および(D)溶剤
    可溶性ポリイミド100重量部超〜700重量部を補強
    材に含浸させてなる補強フィルム層と、(E)該補強フ
    ィルム層の表面に1〜50μmの樹脂タック付与層とを
    有することを特徴とするプリプレグ。
  5. 【請求項5】前記樹脂タック付与層が、前記(A)芳香
    族ビスマレイミドと(B)アルケニルフェノールとを含
    有する請求項4に記載のプリプレグ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004045846A1 (ja) * 2002-11-20 2004-06-03 Tomoegawa Paper Co., Ltd. フレキシブル金属積層体及び耐熱性接着剤組成物
JP2007245644A (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 Mitsubishi Plastics Ind Ltd ガラスクロス含有絶縁基材
WO2020189700A1 (ja) * 2019-03-18 2020-09-24 積水化学工業株式会社 複合構成体、及び両面粘着テープ

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