JP2977324B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物

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JP2977324B2
JP2977324B2 JP3130387A JP13038791A JP2977324B2 JP 2977324 B2 JP2977324 B2 JP 2977324B2 JP 3130387 A JP3130387 A JP 3130387A JP 13038791 A JP13038791 A JP 13038791A JP 2977324 B2 JP2977324 B2 JP 2977324B2
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光義 白井
弘文 藤井
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性に優れ、加工性
が良く、電気的特性にも優れたプリント配線板、或いは
成形品等の製造に使用される熱硬化性樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子機器の大容量化、小型
軽量化或いは高信頼化、高密度化に伴い、それらに用い
られる材料として、耐熱性に優れ、しかも可撓性に優れ
た有機材料が要求されている。
【0003】従来、高度な耐熱性、スルホール接着信頼
性、寸法安定性、電気特性等が要求される耐熱性積層板
の分野には、ポリアミノビスマレイミド樹脂(例えば特
公昭46−23250号公報に記載されているN,N'−
ジフェニルメタンビスマレイミドと4,4'−ジアミノジ
フェニルメタンよりなるポリイミド樹脂)が使用されて
きた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
硬化物は耐熱性や可撓性、更に誘電特性の低下に問題が
あるだけでなく、上記のポリアミノビスマレイミド樹脂
は溶解性が乏しく、非常に高沸点の極性有機溶媒にしか
溶解しないので、基材へ含浸してプリプレグを作製する
際、その乾燥工程や、プレス加工に問題を有するもので
あった。
【0005】ところで、近年の大型コンピュータの発達
によって、コンピュータの信号伝達速度の高速化には次
式からも明らかなように基板の低誘電率化が不可欠な課
題となっている。
【0006】
【式1】
【0007】このような状況下において耐熱性、可撓
性、電気特性、特に低誘電率化に優れるポリイミド樹脂
やフッ素樹脂が注目されている。
【0008】しかし、ポリイミド樹脂で形成した基板で
は依然として誘電率が1MHzの周波数において4以上
と高く、またフッ素樹脂で形成した基板では誘電率が
2.5程度であり、満足できる特性値を有するものの、
加工性や寸法安定性、特に多層回路基板作成時の多層化
工程における高温条件下では極めて寸法安定性に劣ると
いう欠点があった。
【0009】本発明は、上記技術的課題を解決するため
に完成されたものであり、特定の末端変性イミドオリゴ
マーに特定のポリマレイミドを含有させ、これらを加熱
反応させて硬化させることにより、耐熱性、可撓性、寸
法安定性及び加工性に優れ、しかも低誘電率特性を有す
る熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の熱硬化性樹脂組成物は以下に述べる技術的
構成を採用したものである。
【0011】即ち、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、一
般式(I)
【0012】
【化8】 (但し、Ar1は二価の芳香族基、Ar2は四価の脂肪族基
または芳香族基を示し、aが1以上の整数であり、Dと
D'は2価の不飽和結合を有する有機基であり、DとD'
は同一でも異なっていても良い。)で示される末端変性
イミドオリゴマーに、
【0013】一般式(II)
【化9】 (但し、Ar3は炭素数2以上の脂肪族基または芳香族基
であり、bは2以上の整数である。)
【0014】で示されるポリマレイミドを含有させてな
り、且つ上記一般式(I)及び(II)中のAr1、Ar2又は
Ar3のうちの少なくとも一つは、結合する水素原子の一
部もしくは全部がフッ素原子に置換されてなることを特
徴とするものである。
【0015】また、本発明の熱硬化性樹脂組成物におい
て、上記一般式(I)及び(II)中のAr1又はAr3のうち
の少なくとも一方が一般式(III)
【0016】
【化10】
【0017】で示され、しかも該一般式(III)中にお
いて、Rf1がパーフルオロアルキレン基又は−O−、X
及びYが同一もしくは異なるアルキル基、フッ化アルキ
ル基から選ばれた少なくとも一種であり、nが0または
1、mが0〜4の整数、lが0〜4の整数であるものが望
ましい。
【0018】更に、本発明の熱硬化性樹脂組成物におい
て、一般式(I)中のAr2
【0019】
【化11】
【0020】であり、しかも該一般式(I)において、R
f2がパーフルオロアルキレン基、
【0021】
【化12】
【0022】
【化13】 又は
【0023】
【化14】 から選ばれた一種であるものが望ましい。
【0024】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
熱硬化性樹脂組成物の必須成分である末端変性オリゴマ
ーは、前記のように一般式(I)で示される。また、一般
式(I)中のAr1が前記のように一般式(III)で示され
る含フッ素オリゴマーが望ましい。
【0025】この具体的な代表例としては、
【0026】
【化15】
【0027】
【化16】
【0028】
【化17】
【0029】
【化18】 又は
【0030】
【化19】 等が挙げられる。
【0031】更に、一般式(I)中のAr2
【0032】
【化20】
【0033】であり、しかも該一般式において、Rf2
パーフルオロアルキレン基、
【0034】
【化21】
【0035】
【化22】 又は
【0036】
【化23】 から選ばれた一種であるものが望ましい。
【0037】上記一般式(I)で示される繰返し単位を有
する末端変性イミドオリゴマーの具体的な代表例として
マレイミド化したものが挙げられる。具体的には、例え
ば、
【0038】
【化24】
【0039】
【化25】
【0040】
【化26】
【0041】
【化27】
【0042】
【化28】
【0043】
【化29】
【0044】
【化30】
【0045】
【化31】
【0046】
【化32】
【0047】
【化33】 又は
【0048】
【化34】 等が挙げられる。
【0049】又、他の不飽和ビスイミドとしては、例え
ば、
【0050】
【化35】
【0051】
【化36】 又は
【0052】
【化37】 等が挙げられる。
【0053】また、本発明の末端変性イミドオリゴマー
は、ジアミン成分を2種以上または酸成分を2種以上使
用して末端変性コオリゴマーにしてもよく、更に、2種
以上の末端変性アミンオリゴマーの混合物でもよい。
【0054】つまり一般式(I)の末端変性オリゴマー
は、硬化物の耐熱性、可撓性、低誘電特性の点からaが
1以上の整数であることが望ましい。しかし、aが0の
芳香族ビスマレイミドを含んでいてもよい。
【0055】本発明において、上記前駆体である末端ア
ミンイミドオリゴマーは、ジアミン成分(xモル)とテト
ラカルボン酸又はその誘導体からなる酸成分(yモル)の
モル比において、適当な重合度のオリゴマーを合成する
ことなどの観点より、1<x/y≦4、好ましくは1<x
/y≦1.5であるようにして有機溶媒中で反応させて
得られた末端アミンイミドオリゴマーであり、固有粘度
が、1.0(dl/g)以下、好ましくは0.05〜0.8
(dl/g)程度、特に好ましくは0.1〜0.6(dl/g)程
度である。
【0056】固有粘度が1(dl/g)を超えると、粘度が
高すぎて、 補強基材への含浸工程が極めて困難になり、
この結果、プリプレグが得られ難くなるのであり、また
末端アミンと不飽和無水物から合成される不飽和基の量
が非常に少なくなり、不飽和基が十分に反応することが
困難になり、耐溶剤性が悪くなるので好ましくない。一
方、固有粘度が0.05(dl/g)未満になると、硬化物
の可撓性、耐熱性、寸法安定性、電気的特性が悪くなる
ので好ましくないのである。
【0057】この固有粘度とは、次の式で計算されるも
のであり、式中の粘度は毛細管粘度計により測定される
ものである。
【0058】
【式2】
【0059】そして、酸成分としての上記テトラカルボ
ン酸又はその誘導体のうち、フッ素を有しないものとし
ては、例えばブタンテトラカルボン酸、エチレンテトラ
カルボン酸、プロパンテトラカルボン酸、シクロブタン
テトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、
シクロヘキサンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキ
セン−1,2−ジカルボン酸などの脂肪族テトラカルボ
ン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン
酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,
2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8
−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ジフ
ェニルテトラカルボン酸、1,3,5,6−ナフタレンテ
トラカルボン酸、2,2',3,3'−ジフェニルテトラカ
ルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン
酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、デ
カハイドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン
酸、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサハイ
ドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸、2,
6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボ
ン酸、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テト
ラカルボン酸、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン
−1,4,5,8−テトラカルボン酸、フェナンスレン−
1,8,9,10−テトラカルボン酸、2,3,4,5−ピロ
リジンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピラジンテト
ラカルボン酸、チオフェンテトラカルボン酸、2,2−
ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1−
ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、1,1−ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3
−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)スルホンなどの芳香族テトラカルボン酸が挙げ
られ、これらの酸二無水物、酸ハロゲン化物、モノエス
テル化物、ジエステル化物が誘導体として用いられる。
【0060】また、含フッ素テトラカルボン酸又はその
誘導体としては、上記テトラカルボン酸のうち、アルキ
ル基やアルキレン基を有するテトラカルボン酸のアルキ
ル基やアルキレン鎖中の水素原子を総てフッ素原子に置
換せしめたものが用いられる。
【0061】例えば、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)ジフルオロメタン、1,3−ビス(3,4−ジカルボキ
シフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3,
4−ジカルボキシフェニル)オクタフルオロブタン、1,
5−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)デカフルオロ
ペンタン、1,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
ドデカフルオロヘキサン、2,2−ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス
[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキ
サフルオロプロパン、2,2−ビス[3−(3,4−ジカル
ボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンな
どの含フッ素芳香族テトラカルボン酸及びその誘導体が
挙げられ、低誘電率化の点から、2,2−ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2
−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニ
ル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−(3,4
−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプ
ロパン及びこれらの酸二無水物、酸ハロゲン化物、モノ
エステル化物、ジエステル化物などが好適である。
【0062】一方、上記酸成分と反応せしめるジアミン
成分として、フッ素を有しないものとしては、例えば
2,2−ジメチルプロピレンジアミン、2,5−ジメチル
ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチ
レンジアミン、4,4'−ジメチルヘプタメチレンジアミ
ン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノ
ナメチレンジアミン、2,17−エイコサデシレンジア
ミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジア
ミノ−1,10−ジメチルデカン、2,11−ジアミノド
デカン、1,12−ジアミノオクタデカン、ジアミノプ
ロピルテトラメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミ
ノプロポキシ)エタン、3−メトキシヘキサメチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジア
ミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミ
ン、デカメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、p−
フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミ
ノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、4,4'−ジア
ミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニル
メタン、ベンジジン、3,3'−ジメチルベンジジン、
3,3'−ジメトキシベンジジン、4,4'−ジアミノジフ
ェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホ
ン、3,3'−ジアミノジフェニル、3,3'−ジアミノジ
フェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルケト
ン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ジ
アミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,4
−ビス(β−アミノ−tert−ブチル)トルエン、ビス(p−
β−アミノ−tert−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p
−β−メチル−△−アミノ−フェニル)ベンゼン、ビス
(p−1,1−ジメチル−tert−アミノベンチル)ベンゼ
ン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミ
ン、m−キシレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)
d,d'−p−キシレンジアミン、ビス[4−(3−アミノフ
ェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどが挙げられ、
本発明ではこれらのジアミンをジイソシアネートに変性
したものを用いてもよい。
【0063】また、含フッ素ジアミン成分としては、上
記ジアミン成分のうち、アルキル基やアルキレン基を有
するジアミンのアルキル基やアルキレン鎖中の水素原子
を総てフッ素原子に置換せしめたものが用いられる。例
えば、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパ
ン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロブタン、1,
5−ビス(アニリノ)デカフルオロペンタン、1,7−ビ
ス(アニリノ)テトラデカフルオロヘプタン、2,2−ビ
ス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,
2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘ
キサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−
メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどの2核体
の含フッ素芳香族ジアミンや、2,2−ビス[4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘ
キサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(2−アミノ
フェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2
−ビス[4−(2−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチル
フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−
(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェ
ニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−(3−
アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、
1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘ
キサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4
−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]オクタフ
ルオロブタン、1,5−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]デカフルオロペンタン、1,5−ビス[4−
(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェ
ニル]ヘキサフルオロペンタンなどの4核体の含フッ素
芳香族ジアミンが挙げられる。
【0064】これらの含フッ素芳香族ジアミンのうち、
低誘電率化の点から、2,2−ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−
ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフル
オロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−ト
リフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロ
プロパンを用いることが好ましい。上記ジアミン成分は
ジイソシアネートに置き換えて用いてもよく、また二種
以上を併用してもよい。
【0065】次に、不飽和ジカルボン酸無水物として
は、(a)無水マレイン酸又はその誘導体、例えば無水マ
レイン酸ジメチル、無水マレイン酸ジイソプロピル、ジ
クロロ無水マレイン酸などがあり、又、(b)テトラヒド
ロ無水フタル酸又はその誘導体、例えばテトラヒドロ無
水フタル酸メチルなど、(c)無水ナジック酸又はその誘
導体、例えばメチル無水ナジック酸、オキシ無水ナジッ
ク酸、ジメトキシ無水ナジック酸、ヘキサクロロ無水ナ
ジック酸などがある。これらの不飽和ジカルボン酸無水
物は1種又は2種以上を用いることができる。
【0066】本発明にて用いられる末端変性イミドオリ
ゴマーを製造する際に使用される有機極性溶媒は、例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N
−メチルカプロラクタムなどのアミド系溶媒、ジメチル
スルホキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、
ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチル
テトラメチレンスルホンなどの硫黄原子を含有する溶
媒、クレゾール、フェノールなどのフェノール系溶媒、
ピリジン、エチレングリコール、テトラメチル尿素など
のその他の溶媒を挙げることができる。
【0067】前述の反応に使用する有機極性溶媒を使用
できると共に、更に、ジオキサン、メチルエチルケトン
(MEK)、モノグライム、ジグライムなどの酸素原子を
分子内に有する有機極性溶媒を好適に挙げることができ
る。
【0068】更に、この発明で使用される有機極性溶媒
は、前述の溶媒と共に、必要であれば、ベンゼン、トル
エン、キシレンなどの芳香族炭化水素系の溶媒、ソルベ
ントナフサ、ベンゾニトリル、アセトン、メタノールの
ような他の種類の有機溶媒を併用することもできる。
【0069】この発明の末端変性イミドオリゴマーは、
酸成分とジアミン成分と不飽和ジカルボン酸無水物を前
述の有機極性溶媒中で、約100℃以下、特に80℃以
下の反応温度で反応させて、「アミド−酸結合を有する
オリゴマー」を生成し、次いで、そのアミド−酸オリゴ
マー(アミック酸オリゴマーともいう)を、約0〜140
℃の低温でイミド化剤を添加する方法によるか、或いは
140〜250℃の高温に加熱する方法によるかして、
脱水環化させて、末端変性イミドオリゴマーを生成する
方法で得ることができる。
【0070】末端変性イミドオリゴマーの特に好ましい
製法は、酸成分とジアミン成分とを前述のアミド系の有
機極性溶媒中に均一に溶解し、約5〜60℃の反応温度
で1〜180分間撹拌しながら反応させてアミック酸オ
リゴマーを生成した後、その反応液を140〜250℃
の温度、特に好ましくは140〜180℃の温度まで昇
温させて、その温度で30〜500分間撹拌して、前記
のアミック酸オリゴマーをイミド化反応させてイミドオ
リゴマーを生成させ、室温付近まで冷却する。次に、こ
の反応液に不飽和ジカルボン酸を添加し、約5〜60℃
の反応温度で1〜180分間撹拌しながら反応させて末
端不飽和アミド酸イミドオリゴマーを製造する。
【0071】最後に上記により得られた不飽和アミド酸
を脱水環化させてイミドを生成させるが、この反応に
は、例えば米国特許3,018,290号明細書、同第
3,018292号明細書及び同第3,127,414号
明細書等に記載された既知の方法を使用することができ
る。
【0072】一般式(IV)で表される不飽和アミド酸か
らの脱水にあたっては、アミド酸基1モルに対し1.0
5〜1.5モルの量で第3級アミン(例えばトリエチル
アミン)を添加し、更に触媒として、アミド酸基1モル
に対し0.05〜0.5モルの酢酸ニッケルの存在下
に、アセトンを溶媒として反応させることが適当であ
る。 一般式(IV)
【0073】
【化38】
【0074】(式中、Ar1、Ar2及びaは上記一般式(I)
に示すものと同じである。)
【0075】又、本発明においては、上記末端変性イミ
ドオリゴマーに、一般式(II)
【0076】
【化39】
【0077】(但し、Ar3は炭素数2以上の脂肪族基ま
たは芳香族基であり、bは2以上の整数である。)で示さ
れるポリマレイミドを含有させてなることを特徴とす
る。
【0078】そして、本発明においては上述の一般式
(I)及び(II)中のAr1、Ar2又はAr3のうちの少なく
とも一つは、結合する水素原子の一部もしくは全部がフ
ッ素原子に置換されていることを要する。
【0079】このように構成することによって、耐熱
性、可撓性、寸法安定性及び加工性に優れる上、低誘電
率特性を有する熱硬化性樹脂組成物が得られるのであ
る。
【0080】上記ポリマレイミドの具体的な代表例とし
てはN,N'−エチレンジマレイミド、N,N'−ヘキサメ
チレンビスマレイミド、N,N'−ドデカメチレンビスマ
レイミド、N,N'−m−キシリレンビスマレイミド、N,
N'−p−キシリレンビスマレイミド、N,N'−1,3−
ビスメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、N,N'−
1,4−ビスメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、
N,N'−2,4−トリレンビスマレイミド、N,N'−2,
6−トリレンビスマレイミド、N,N'−3,3'−ジフェ
ニルメタンビスマレイミド、N,N'−4,4'−ジフェニ
ルメタンビスマレイミド、3,3'−ジフェニルスルホン
ビスマレイミド、4,4'−ジフェニルスルホンビスマレ
イミド、N,N'−4,4'−ジフェニルスルフィドビスマ
レイミド、N,N'−p−ベンゾフェノンビスマレイミ
ド、N,N'−ジフェニルエタンビスマレイミド、N,N'
−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N'−(メチ
レン−ジテトラヒドロフェニル)ビスマレイミド、N,
N'−(3−エチル)4,4'−ジフェニルメタンビスマレ
イミド、N,N'−(3,3'−ジメチル)4,4'−ジフェニ
ルメタンビスマレイミド、N,N'−(3,3'−ジエチル)
ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N'−(3,3'−
ジクロロ)−4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミ
ド、N,N'−トリジンビスマレイミド、N,N'−イソホ
ロンビスマレイミド、N,N'−p,p−ジフェニルジメチ
ルシリルビスマレイミド、N,N'−ベンゾフェノンビス
マレイミド、N,N'−ジフェニルプロパンビスマレイミ
ド、N,N'−ナフタレンビスマレイミド、N,N'−p−
フェニレンビスマレイミド、N,N'−m−フェニレンビ
スマレイミド、N,N'−4,4'−(1,1−ジフェニル−
シクロヘキサン)−ビスマレイミド、N,N'−3,5−
(1,2,4−トリアゾール)ビスマレイミド、N,N'−ビ
リジン−2,6−ジイルビスマレイミド、N,N'−5−
メトキシ−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,2−
ビス(2−マレイミドエトキシ)−エタン、1,3−ビス
(3−マレイミドプロポキシ)プロパン、N,N'−4,4'
−ジフェニルメタン−ビス−ジメチルマレイミド、N,
N'−ヘキサメチレン−ビス−ジメチルマレイミド、N,
N'−4,4'−(ジフェニルエーテル)−ビス−ジメチル
マレイミド、N,N'−4,4'−ジフェニルスルホン−ビ
ス−ジメチルマレイミド、4,4'−ジアミノ−トリフェ
ニルホスフェートのN,N'−ビスマレイミド、4,4'−
ジアミノ−トリフェニルチオホスフェートのN,N'−ビ
スマレイミドなどが挙げられる。
【0081】また、含フッ素ポリマレイミドの具体的な
代表例としては、1,3−ビス(マレイミド)ヘキサフル
オロプロパン、1,4−ビス(マレイミド)オクタフルオ
ロブタン、1,5−ビス(マレイミド)デカフルオロペン
タン、1,7−ビス(マレイミド)テトラデカフルオロヘ
プタン、2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)ヘキサ
フルオロプロパン、2,2−ビス(3−マレイミドフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(4−マレイミド
フェニル−3'−マレイミドフェニル)ヘキサフルオロプ
ロパン、2,2−ビス(3−マレイミド−4−メチルフェ
ニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−マレ
イミド−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−(3−マレイミド−4−メチルフェニル−
4'−マレイミド−3'−メチルフェニル)ヘキサフルオ
ロプロパンなどの2核体の含フッ素芳香族ビスマレイミ
ドや、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フ
ェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3
−マレイミドフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロ
パン、2,2−ビス[4−(2−マレイミドフェノキシ)フ
ェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−[4−(4−マ
レイミドフェノキシ)フェニル−4'−(3'−マレイミド
フェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2
−ビス[4−(2−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメ
チルフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス
[4−(4−マレイミド−2−トリフルオロメチルフェノ
キシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス
[3−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ヘキサフル
オロプロパン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェ
ノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビ
ス[4−(3−マレイミドフェノキシ)]ヘキサフルオロプ
ロパン、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)
フェニル]オクタフルオロブタン、1,5−ビス[4−(4
−マレイミドフェノキシ)フェニル]デカフルオロペンタ
ン、1,5−ビス[4−(4−マレイミド−2−トリフル
オロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロペンタ
ンなどの4核体の含フッ素芳香族ビスマレイミドが挙げ
られる。
【0082】上記一般式(II)で示されるポリマレイミ
ドは上記のジアミンと無水マレイン酸とを以下のように
反応させて製造される。即ち、本発明における上記一般
式(II)で示される2官能マレイミドは、上記のジアミ
ンと無水マレイン酸とから合成でき、その合成方法は特
に限定されず、例えば、第1段階において、一般式(V)
【0083】
【化40】
【0084】(式中のAr3及びbは上記一般式(II)に示
すものと同じである。)で表されるマレアミド酸を製造
する。
【0085】この反応は、両原料を溶剤中で接触させる
ことが有利である。通常、一般に用いられる溶剤として
は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−メチ
ルカプロラクタム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
アセトン及びジエチルケトン等を適用することができ
る。
【0086】次いで、第2段階において、上記により得
られたマレアミド酸を脱水環化させてマレイミドを生成
させるが、この反応には、例えば米国特許3,018,2
90号明細書、同第3,018,292号明細書及び同第
3,127,414号明細書等に記載された既知の方法を
使用することができる。
【0087】一般式(V)で表わされるマレアミド酸から
の脱水に当たっては、アミド酸基1モルに対し1.05
〜1.5モルの量で第3級アミン(例えばトリエチルア
ミン)を添加し、更に触媒として、アミド酸基1モルに
対し0.05〜0.5モルの酢酸ニッケルの存在下に、
アセトンを溶媒として反応させることが適当である。
【0088】2官能マレイミドのほか、アニリンとホル
マリンとの反応生成物(ポリアミン化合物)、3,4,4'
−トリアミノジフェニルメタン、3,3',4,4'−テト
ラアミノジフェニルメタン、トリアミノフェノールなど
と無水マレイン酸との反応で得られる多官能マレイミ
ド、トリス−(4−アミノフェニル)ホスフェートやトリ
ス(4−アミノフェニル)チオホスフェートと無水マレイ
ン酸との反応で得られる3官能マレイミドなどが特に本
発明の熱硬化性樹脂組成物に適する多価マレイミドの代
表例である。これらの多価マレイミドを一種又はそれ以
上の混合物として用いることも本発明においては特に有
効な方法である。
【0089】又、上記一般式で示される末端アミンオリ
ゴマー及びポリマレイミドとしては、低誘電率化の点か
ら、上記含フッ素ジアミンから合成されるビスマレイミ
ドが好ましい。
【0090】本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化条件に
ついては100〜350℃で1分〜48時間程度加熱す
ればよいが、目的及び用途に応じて、特にこの条件に限
られるものではない。
【0091】本発明の熱硬化性樹脂組成物には、短時間
の加熱によりその硬化を完了させる目的で、重合開始剤
を添加してもよい。このような重合開始剤としては、ベ
ンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキ
シド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、カプ
リリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、アセチ
ルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、シ
クロヘキサノンパーオキシド、ジクミルパーオキサイ
ド、ベンゾピナコール、ビス(1−ヒドロキシシクロヘ
キシルパーオキシド)、ヒドロキシヘプチルパーオキシ
ド、第3級ブチルハイドロパーオキシド、p−メンタン
ハイドロパーオキシド、第3級ブチルパーベンゾエー
ト、第3級ブチルパーアセテート、第3級ブチルパーオ
クトエート、第3級ブチルパーオキシイソブチレート及
びジ−第3級ブチルパーフタレート等の有機過酸化物が
有用であり、その1種又は2種以上を用いることができ
る。
【0092】また、末端変性マレイミドとポリマレイミ
ドのアニオン重合触媒として、三級アミン類、三級アミ
ン塩類、四級アンモニウム塩類、及びイミダゾール類等
の塩基性触媒、ルイス酸アミン錯体触媒が用いられる。
【0093】三級アミン類としては、ピリジン、2−ク
ロロピリジン、2,4,6−コリジン、2,6−ジクロロ
ピリジン、α,β,γ−ピリコン、4−フェニルプロピル
ピリジン、2−プロピルピリジン、2,6−ルチジン、
2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、3,4−ルチジン
などのピリジン類、トリエチルアミン、トリ−n−ブチ
ルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ベンジルジメチ
ルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、トリスジ
メチルアミノメチルフェノール、トリエチレンジアミ
ン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、
テトラメチルグアニジン、ヘプタメチルイソグアニド等
の脂肪族第3級アミン類、N,N−ジメチルアニリン、
N,N,N',N'−テトラメチルジアミノジフェニルメタ
ン、N,N,N',N'−テトラメチル−m−フェニレンジア
ミン、N,N,N',N'−テトラメチル−p−フェニレンジ
アミン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等の芳香族系
第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、1,8−ジ
アザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7及びその酸錯体
等が挙げられる。
【0094】上記三級アミン塩類としては、上記三級ア
ミン類とトリアセテート又はトリベンゾエート等との塩
類が挙げられる。
【0095】上記四級アンモニウム塩類としては、テト
ラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモ
ニウムプロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライ
ド、テトラエチルアンモニウムプロマイド、トリメチル
セチルアンモニウムクロライド、トリメチルセチルアン
モニウムプロマイド、トリエチルセチルアンモニウムク
ロライド、トリエチルセチルアンモニウムプロマイド、
テトラエチルアンモニウムアイオダイド等が挙げられ
る。
【0096】上記イミダゾール類としては、2−メチル
イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、
2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾー
ル、2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダ
ゾール、2−イソプロピルイミダゾール或いはそれらの
アジン誘導体、トリメリット酸誘導体及びニトリルエチ
ル誘導体等が挙げられる。
【0097】上記ルイス酸アミン錯体としては、B
3、ZnCl2、AlCl3、SiCl4、SnCl4、FeCl3
のルイス酸とモノエチルアミン、n−ヘキシルアミン、
ベンジルアミン、トリエチルアミン、アニリン、ピペリ
ジン等のアミン化合物の錯体が挙げられる。
【0098】これらの塩基性触媒は1種又は2種以上を
用いることができる。本発明においては、上述の重合触
媒に、例えばメルカプタン類、サルファイト類、β−ジ
ケトン類、金属キレート類、金属石ケン等の既知の連鎖
移動剤を使用することも可能である。また熱硬化性組成
物の室温における貯蔵安定性を良好にするために、例え
ばp−ベンゾキノン、ナフトキン、フェナントラキノン
等のキノン類、ハイドロキノン、p−第3級ブチルカテ
コール、2,5'−ジ−第3級ブチルハイドロキノン等の
フェノール類及びニトロ化合物、金属塩類等の既知のラ
ジカル重合防止剤を、所望に応じて使用できる。
【0099】更に、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、
その用途に応じて種々の素材が配合される。即ち、例え
ば成形材料としての用途には、酸化ジルコン、シリカ、
アルミナ、水酸化アルミニウム、チタニア、亜鉛華、炭
酸カルシウム、マグネサイト、クレー、カオリン、タル
ク、硅砂、ガラス、溶融石英ガラス、アスベスト、マイ
カ、各種ウスカー、カーボンブラック、黒鉛及び二硫化
モリブテン等のような無機質充填剤、高級脂肪酸及びワ
ックス類等のような離型剤、エポキシシラン、ビニルシ
ラン、ボラン及びアルコキシチタネート系化合物等のよ
うなカップリング剤が配合される。また必要に従って、
含ハロゲン化合物、酸化アンチモン及びリン化合物等の
難燃性付与剤などを用いることができる。
【0100】又、ワニス等のように、溶液として使用す
ることもできる。その際用いられる溶剤としては、N−
メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホ
ルムアミド、N−メチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルメトキシアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックト
リアミド、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラメチル
ホルホン及びジメチルテトラメチレンスルホン等があ
り、又、フェノール系溶剤群としては、フェノール、ク
レゾール及びキシレノール等がある。
【0101】以上のものについては、単独又は2種以上
を混合して使用される。更に、前述の溶媒と共に、必要
であれば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族
炭化水素系の溶媒、ソルベントナフサ、ベンゾニトリ
ル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、
クロロホルム、ジオキサン、メタノールのような他の種
類の有機溶媒を併用することもできる。
【0102】本発明の熱硬化性樹脂組成物において、一
般式(I)・(II)中のAr1及びAr3のうち少なくとも一
方が一般式(III)
【0103】
【化41】
【0104】で示され、しかも該一般式中(III)にお
いて、Rf1がパーフルオロアルキレン基、X及びYが同
一もしくは異なるアルキル基、フッ化アルキル基から選
ばれた少なくとも一種であり、nが0または1、mが0〜
4の整数、lが0〜4の整数であるものが望ましい。
【0105】このように構成することにより、電気特性
に優れ、特に誘電率が低く、しかも耐熱性、可撓性、寸
法安定性に優れる含フッ素熱硬化性樹脂組成物を得るこ
とができるのである。この具体的な代表例としては
【0106】
【化42】
【0107】
【化43】
【0108】
【化44】
【0109】
【化45】 又は
【0110】
【化46】 等が挙げられる。
【0111】本発明の熱硬化性樹脂組成物において、一
般式(I)中のAr2
【0112】
【化47】 であり、しかも該一般式において、Rf2がパーフルオロ
アルキレン基、
【0113】
【化48】
【0114】
【化49】 又は
【0115】
【化50】 から選ばれた一種であるものが望ましい。
【0116】このように構成することにより、一層電気
特性、特に誘電率が著しく低く、しかも耐熱性、可撓性
及び寸法安定性に優れる含フッ素熱硬化性樹脂組成物が
得られる。
【0117】
【作用】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記構成を有
し、この硬化物は低誘電率で可撓性を有し、しかも耐熱
性に優れるのである。この詳細な理由は明確ではない
が、分子中にフッ素原子を導入して分子中のフッ素含量
が増加することにより、C−F結合による電子分極率が
低下し、このため誘電率が下がったものと解される。
【0118】又、この硬化物は分子主鎖が特定の繰返し
単位を有し、この繰返し単位のジクザク構造によって優
れた可撓性が得られたり、フッ素原子を分子中に導入す
ることによって分子間の相互作用が弱くなり、これらの
点から可撓性が良くなるものと解される。
【0119】更に、フッ素原子は水素原子より大きく、
フッ素原子が分子中にはいる事によって立体障害が生
じ、このため高分子の三次元架橋構造が強固になって耐
熱性が向上したものと解される。
【0120】特に、本発明の熱硬化性樹脂組成物は有機
溶剤への溶解性が良好であり、このためワニス等の溶液
が至極容易に得られる。そして、このワニス等の溶液を
アプリケータ等にて平面板上に流延塗工後、加熱硬化す
ることにより至極簡単に成形体が得られるので加工性が
著しく優れるのである。
【0121】更に、本発明の熱硬化性樹脂組成物が、イ
ミド骨格を有するとともに、三次元架橋構造へと熱硬化
するため、この硬化物はフッ素樹脂やエポキシ樹脂など
の汎用の硬化物に比較して寸法安定性が著しく優れるの
である。
【0122】本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて得ら
れた積層板は、上記熱硬化性樹脂組成物を用いて形成さ
れているため、低誘電率でかつ低誘電損失であり、しか
も耐熱性に優れるのである。
【0123】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0124】実施例1 フラスコ内に2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)88.
8g(0.200mol)、2,2−ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(BAPF)
116.9g(0.226mol)及びN−メチル−2−ピロ
リドン(NMP)480gを仕込み、窒素気流中、30℃
以下の室温にて12時間撹拌を行い、固形分濃度40.
0重量%の末端アミンのアミド酸オリゴマーを得た。な
お、固有粘度(N−メチル−2−ピロリドン中、0.5
dl/g濃度30℃で測定、以下の固有粘度もこれと同
条件)は0.53(dl/g)であった。
【0125】次いで、このアミド酸溶液を145℃に加
熱しながら3時間撹拌し、続いて160℃で3時間撹拌
し、脱水閉環イミド化を行い、末端アミンのイミドオリ
ゴマーを得た。固有粘度は0.26(dl/g)であり、
このイミドオリゴマー溶液中にはアミノ基を0.045
mol(過塩素酸による電位差滴定分析値、理論値、0.0
52mol)含んでいた。
【0126】得られたイミドオリゴマー溶液に無水マレ
イン酸(MA)25.5g(0.260mol)を加えて、窒素
気流中、30℃以下の室温にて12時間撹拌を行った。
次にp−トルエンスルホン酸−水和物3g(0.016mo
l)、トルエン200gを加えて110℃で縮合水を除去
しながら5時間撹拌した。この溶液から減圧下でトルエ
ンを留去した後、水に滴下し、析出した沈澱を濾別、減
圧乾燥して末端変性イミドオリゴマーを得た(変性末端
基量 理論値0.052mol)。
【0127】次に、NMP400gにこの末端変性イミ
ドオリゴマーを溶解させた後、2,2−ビス[4−(4−
マレイミドフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパ
ン(BAPF−MI)86.9g(0.128mol)、トリフ
ェニルホスフィン1.45gを加えて室温下で1時間撹
拌し、ワニスを得た。
【0128】この溶液をガラス板上にキャスティングし
150℃で2時間、続いて250℃で5時間加熱して厚
さ80μmのフィルムを得た。このフィルムのガラス転
移温度は273℃であり、5%重量減少温度は434℃
であった。また、誘電率、誘電正接をJIS C 648
1に従って測定したところ、2.72(1MHz)、0.
0025(1MHz)であった。
【0129】実施例2〜5 表1に各々示すジアミン、酸二無水物、ポリマレイミド
を使用し、それぞれの使用量をそれぞれ第1表に示すよ
うにした以外は、実施例1と同様にして、フィルムを製
造した。
【0130】比較例1・2 表1に各々示すジアミン、酸二無水物、ポリマレイミド
を使用し、それぞれの使用量をそれぞれ第1表に示すよ
うにした以外は、実施例1と同様にして、フィルムを製
造した。
【0131】比較例3 N,N'−ジフェニルメタンビスマレイミド(DAM−M
I)と4,4'−ジアミノジフェニルメタン(DAM)より
なるポリイミド樹脂を使用して、実施例1と同様にフィ
ルムを製造した。それらの各特性結果を表2に示す。
【0132】
【表1】
【0133】
【表2】
【0134】略号 DAM:4,4'−ジアミノジフェニルメタン 3,3'−BAPS:ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル]スルホン BAAF:2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフル
オロプロパン ATAF:2,2−ビス(3−アミノー4−メチルフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン BPDA:3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸
二無水物 BAPP−MI:2,2−ビス[4−(4−マイレイミドフ
ェノキシ)フェニル]プロパン 3,3'−DDS−MI:N,N'−(3,3'−ジフェニルス
ルホン)ビスマレイミド DTFA:2,2−ビス[4−(4−アミノー2−トリフル
オロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパ
ン BAPF:2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]ヘキサフルオロプロパン BTDA:3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸二無水物 6FDA:2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
ヘキサフルオロプロパン二無水物 DAM−MI:N,N'−(4,4'−ジフェニルメタン)ビ
スマレイミド BAPF−MI:2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェ
ノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン DTFA−MI:2,2−ビス[4−(4−マレイミド−2
−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフル
オロプロパン
【0135】
【発明の効果】本発明の熱硬化性樹脂組成物において
は、特定構造の末端変性イミドオリゴマーに特定構造の
ポリマレイミドを含有させてなり、このものは溶解性が
良好で加工性が良く、しかも、これを加熱反応させて架
橋、硬化させて得られた熱硬化性樹脂組成物の成形体は
耐熱性、可撓性に優れ、しかも低誘電率・低誘電損失特
性を有するのであり、又、該成形体は耐熱性、スルホー
ル接着信頼性、寸法安定性、電気特性などが特に優れる
結果、電気・電子機器、コンピューターの一層の大容量
化、小型軽量化或いは信号伝達速度高速化、高信頼化、
高密度化を実現しうる効果を有するのである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 (但し、Ar1は二価の芳香族基、Ar2は四価の脂肪族基
    または芳香族基を示し、aが1以上の整数であり、Dと
    D'は2価の不飽和結合を有する有機基であり、DとD'
    は同一でも異なっていても良い。)で示される末端変性
    イミドオリゴマーに、一般式(II) 【化2】 (但し、Ar3は炭素数2以上の脂肪族基または芳香族基
    であり、bは2以上の整数である。)で示されるポリマレ
    イミドを含有させてなり、且つ上記一般式(I)及び(I
    I)中のAr1、Ar2又はAr3のうちの少なくとも一つ
    は、結合する水素原子の一部もしくは全部がフッ素原子
    に置換されてなることを特徴とする熱硬化性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】請求項1の熱硬化性樹脂組成物において、
    一般式(I)及び(II)中のAr1又はAr3のうち少なくと
    も一方が一般式(III) 【化3】 で示され、しかも該一般式(III)において、Rf1がパ
    ーフルオロアルキレン基又は−O−であり、又、X及び
    Yが同一もしくは異なるアルキル基、フッ化アルキル基
    から選ばれた少なくとも一種であり、nが0または1、m
    が0〜4の整数、lが0〜4の整数である熱硬化性樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】請求項1の熱硬化性樹脂組成物において、
    一般式(I)中のAr2が 【化4】 であり、しかも該一般式において、Rf2がパーフルオロ
    アルキレン基、 【化5】 【化6】 又は 【化7】 から選ばれた一種である熱硬化性樹脂組成物。 【0001】
JP3130387A 1991-05-02 1991-05-02 熱硬化性樹脂組成物 Expired - Lifetime JP2977324B2 (ja)

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