JPH09254390A - 記録装置及びその製造方法 - Google Patents

記録装置及びその製造方法

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JPH09254390A
JPH09254390A JP9351796A JP9351796A JPH09254390A JP H09254390 A JPH09254390 A JP H09254390A JP 9351796 A JP9351796 A JP 9351796A JP 9351796 A JP9351796 A JP 9351796A JP H09254390 A JPH09254390 A JP H09254390A
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liquid
ink
recording
vibrating body
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JP9351796A
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Inventor
Toshio Fukuda
敏生 福田
Toru Naganuma
徹 長沼
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベース及び振動板とドライフィルムレジスト
との接着面が剥離することなく、耐久性のある記録装置
及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 ベース1及び振動板3のドライフィルム
レジスト2に対向する面に有機チタン膜4、5を形成
し、この有機チタン膜4、5を介して、ベース1とドラ
イフィルムレジスト2、及び振動板3とドライフィルム
レジスト2とを加熱圧着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録装置(例え
ば、インクと希釈液とを混合してなる記録液を飛翔させ
て被記録体に記録を行うプリンタ)及びその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラ、コンピュータグラ
フィクス等のカラー化が進むにつれ、ハードコピーのカ
ラー化に対するニーズが急速に高まっている。それに対
して、昇華型熱転写方式、溶融熱転写方式、インクジェ
ット方式、電子写真方式、熱現像銀塩方式等のカラーハ
ードコピー方式が提案されている。これらの記録方式の
中で、高画質の画像を簡単な装置で手軽に出力する方法
は、染料拡散熱転写方式とインクジェット方式に大きく
分類できる。
【0003】これらの記録方式の中で、染料拡散熱転写
方式によれば、適当なバインダ樹脂中に高濃度の転写染
料の分散するインク層が塗布されいてるインクリボン又
はシートと、転写された染料を受容する染着樹脂がコー
ティングされた印画紙等の被転写体を、一定の圧力で密
着させ、インクシート上に位置する感熱記録ヘッドから
画像情報に応じた熱が加えられ、インクシートから受像
層に加えられた熱量に応じて転写染料を熱転写させる。
【0004】上記の操作を、減法混色の三原色、即ち、
イエロー、マゼンタ、シアンに分解された画像信号につ
いてそれぞれ繰り返すことによって、連続的な階調を持
つフルカラー画像を得ることを特徴とする、いわゆる熱
転写方式は、小型化、保守が容易で、即時性を備え、銀
塩カラー写真並の高品位な画像を得る優れた技術として
注目を集めている。
【0005】図25は、こうした熱転写方式のプリンタの
要部の概略正面図である。
【0006】感熱記録ヘッド(以下、サーマルヘッドと
呼ぶ)50とプラテンローラ51とが対向し、これらの間
に、ベースフィルム52b上にインク層52aを設けたイン
クシート52と、紙53b上に染着樹脂層53aを設けた被記
録紙(被転写体)53とが挟まれ、これらが回転するプラ
テンローラ51によってサーマルヘッド50に押し付けられ
て走行する。
【0007】そして、サーマルヘッド50によって選択的
に加熱されたインク層52a中のインク(転写染料)が、
被転写体53の染着樹脂層53aにドット状に転写され、熱
転写記録が遂行される。このような熱転写記録には、被
記録紙53の走行方向と直交する方向にサーマルヘッドを
走査するシリアル方式や、同被記録紙走行方向に直交し
て一本のサーマルヘッドを固定して配したライン方式と
が採用されている。
【0008】しかし、この方式はインクシートの使い捨
てに起因する多量の廃棄物の発生と、高いランニングコ
ストが大きな欠点であり、その普及が妨げられている。
【0009】このように、従来の熱転写方式は高画質で
あるが、専用印画紙と使い捨てのインクリボン又はシー
トを使用するためにランニングコストが高い。
【0010】熱現像銀塩方式も高画質であるが、やはり
専用印画紙と使い捨てのインクリボン又はシートを使用
するためにランニングコストが高く、装置コストも高
い。
【0011】こうしたノンインパクト記録法は、記録時
における騒音が極めて小さいという点で広く普及しつつ
ある。中でもいわゆるインクジェット記録法は、高速記
録が可能であり、しかも、いわゆる普通紙に特別の定着
処理を必要とせずに記録できるため、近年、コンピュー
タグラフィックス等の画像をハードコピーする技術とし
て極めて有力な記録方法となりつつある。
【0012】上記のインクジェット方式とは、特公昭61
−59911 号や特公平5−217 号公報等に示されるよう
に、画像情報に応じて、静電吸引方式、連続振動発生方
式(ピエゾ方式)、サーマル方式(バブルジェット方
式)等の方法で記録液の小滴を記録ヘッドに設けられた
ノズルから飛翔させ、記録部材に付着せしめ、記録を行
うものである。
【0013】従って、インクシート等を使用する場合の
ような廃棄物の発生はほとんどなく、ランニングコスト
が低いことから普及が拡大している。
【0014】いわゆるオンデマンド型やコンティニュア
ス型のインクジェット(以下、単に「インクジェット」
と称する。)方式のプリンタ装置は、記録信号に応じて
インク液滴をノズルより吐出し、紙やフィルム等の被記
録体に記録するプリンタであり、小型化、低コスト化が
可能なため、近年急速に普及しつつある。
【0015】こうしたインクジェットプリンタにおい
て、インク液滴を吐出するためには、例えばピエゾ素子
を用いる方法や発熱素子を用いる方法が一般的である。
ピエゾ素子を用いる方法というのは、ピエゾ素子の変形
によりインクに圧力を与え、ノズルから吐出させる方法
である。
【0016】インクジェットプリンタのプリンタヘッド
は、一般には、次のようにして製造されている。即ち、
ガラスや金属からなるベース材に、切削加工やエッチン
グ等により微細な溝状のインク通路及び液溜め室を形成
する。
【0017】このような製造方法に代えて、感光性樹脂
を選択的に露光処理(硬化処理)し、現像により不要部
分を除去してインク通路や液溜め室を形成する方法が提
案されている。特に、感光性樹脂としていわゆるドライ
フィルムレジストをベース材に接着し、上記の処理を行
えば、インク通路等の加工精度や量産性を向上させるこ
とができる。
【0018】しかし、ドライフィルムレジストを使用す
る場合、加工性の点では改善されるものの、ヘッド自体
の耐久性に問題があることが判明した。
【0019】即ち、ヘッドの通路内に長時間インクが浸
漬されることにより、ベースとドライフィルムレジスト
との密着性、及びドライフィルムレジストと振動板との
密着性が時間の経過と共に低下し、ドライフィルムレジ
ストがベースや振動板から剥離したり、液洩れが発生す
るなど、耐久性の問題がある。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な事情に鑑みてなされたものであって、耐久性が高く、
信頼性の良好な記録装置及びその製造方法を提供するこ
とを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、吐出液
の吐出口と、この吐出口に通じる吐出液通路(ここで、
「吐出液通路」とは、吐出液が通る通路のことであっ
て、後記の貯溜部やこれに通じる通路も広義には包含す
る:以下、同様)とを有し、前記吐出口から前記吐出液
を吐出させて被記録体へ飛翔させるように構成され、前
記吐出口及び前記吐出液通路が、これに対応した形状に
加工された中間層と、この中間層を支持する基体と、前
記中間層上の振動体との一体化によってそれぞれ形成さ
れ、前記基体及び前記振動体と前記中間層との間の少な
くとも一方が有機チタンを主体とする化合物によってそ
れぞれ処理されている(特に、前記中間層に対する前記
基体の対向面、及び前記中間層に対する前記振動体の対
向面が有機チタン化合物によってそれぞれ処理されてい
る)記録装置に係るものである。
【0022】ここで、「記録装置」とは、インクジェッ
トプリンタヘッド等の記録ヘッドを意味する他、インク
ジェットプリンタの如くヘッドを組み込んだプリンタ等
の装置も包含するものである(以下、同様)。また、
「有機チタンを主体とする」とは、有機チタン 100%で
ある以外に、有機チタンと少量の他の化合物との混合物
も意味する(以下、同様)。
【0023】本発明はまた、吐出液の吐出口と、この吐
出口に通じる吐出液通路とを有し、前記吐出口から前記
吐出液を吐出させて被記録体へ飛翔させるように構成さ
れ、前記吐出口及び前記吐出液通路が、これに対応した
形状に加工された中間層と、この中間層を支持する基体
と、前記中間層上の振動体との一体化によってそれぞれ
形成され、前記基体及び前記振動体と前記中間層との間
の少なくとも一方が有機チタンを主体とする化合物によ
ってそれぞれ処理されている(特に、前記中間層に対す
る前記基体の対向面、及び前記中間層に対する前記振動
体の対向面が有機チタンを主体とする化合物によってそ
れぞれ処理されている)記録装置を製造するに際し、前
記基体及び前記中間層の間(特に、前記基体の面)と、
前記振動体及び前記中間層の間(特に、前記振動体の
面)との少なくとも一方を前記有機チタンを主体とする
化合物によって処理する工程と、前記基体と前記中間層
とを接着する(特に、前記基体の処理面上に前記中間層
を接着する)工程と、この中間層に前記吐出口及び前記
吐出液通路を形成する工程と、前記振動体と前記中間層
とを接着する(特に、前記振動体の処理面を前記中間層
上に接着する)工程とを有する、記録装置の製造方法も
提供するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明に基づく上記の記録装置及
びその製造方法においては、中間層が感光性樹脂から形
成されたものであり、この感光性樹脂がドライフィルム
レジストであることが望ましい。
【0025】そして、振動体上に、この振動体を変位さ
せて吐出液を吐出させるための吐出エネルギー発生素子
が設けられていることが好ましく、この場合、吐出エネ
ルギー発生素子が圧電素子であることが望ましい。
【0026】更に、記録材及び/又は記録材希釈液から
なる吐出液を吐出させるものであることが望ましい。
【0027】この場合、記録材と記録材希釈液とのそれ
ぞれの吐出口、通路及び貯溜部を有し、吐出された前記
記録材と前記記録材希釈液とを前記吐出口又はその近傍
で混合して飛翔させることが望ましい。
【0028】本発明の製造方法においては、基体及び振
動体の面を有機チタン化合物で処理するに際し、溶媒に
溶かした前記有機チタン化合物溶液を基体及び前記振動
体の面に塗布し、この塗布液を加熱処理して有機チタン
化合物膜を形成することが望ましい。
【0029】また、中間層に吐出口及び吐出液通路を形
成するに際し、前記中間層となる感光性樹脂層を有機チ
タン化合物膜を介して加熱圧着した後、前記感光性樹脂
層を所定パターンに露光し、現像処理することが望まし
い。
【0030】また、振動体を有機チタン化合物で処理し
た後、この処理面を有機チタン化合物膜を介して中間層
上に加熱圧着することが望ましい。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。
【0032】図1は、本発明の実施例による2液混合型
のインクジェット(以下、キャリアジェットと称するこ
とがある。)プリンタヘッド10の要部を示すものであ
り、図3(a)のI−I線断面図である。このインクジ
ェット10は、ステンレスからなるベース1上に、有機チ
タン化合物膜(以下、有機チタン膜又は有機チタネート
膜と称することがある。)4、ドライフィルムレジスト
膜2、有機チタン膜5及び振動板3が積層する形で形成
されている。
【0033】本実施例において、有機チタン膜4、5は
ベース1及び振動板3とドライフィルムレジスト膜2と
の接着性を高めるために設けたものであり、本実施例の
重要な特徴である。
【0034】即ち、有機チタン膜4は、ベース1の接着
面を表面処理して成膜され、ベース1に対するドライフ
ィルムレジスト膜2の接着性を高めるものである。同じ
く、有機チタン膜5は、振動板3の接着面を表面処理し
て成膜され、ドライフィルムレジスト膜2に対する振動
板3の接着性を高めるものである。ここでは、有機チタ
ン膜4、5はベース1及び振動板3のほぼ全域に成膜さ
れている。
【0035】ドライフィルムレジスト膜2には、インク
貯溜部6及び希釈液貯溜部7が形成されている。また、
図示のように、インク貯溜部6内のインク13及び希釈液
貯溜部7内の希釈液14は、それぞれ振動板3上に設けら
れている圧電素子8、9の作用によりノズル15、16から
吐出される。
【0036】図3(a)に示すように、インク貯溜部6
はその先端側を幅細に縮小してノズル15を形成し、他端
側はインク通路6aにつながっている。また、希釈液貯
溜部7も同じくその先端側を縮小してノズル16を形成
し、他端側は希釈液通路7aにつながっている。図3
(b)は、(a)の一部を拡大して示した図であるが、
(b)の説明は後述する。
【0037】つまり、供給するインク13を定量し、これ
を水等の希釈液14に混合してなる記録液を吐出ノズルか
ら吐出させ、液滴として飛翔させ、被記録体に付着させ
て記録するようにした、いわゆる2液混合型のドット内
濃度変調方式のプリンタ装置を構成している。このプリ
ンタ装置において、希釈液14にインク13を必要量混合し
て所望のインク濃度とするには、ピエゾ素子8又は9に
印加する電圧を変調するための電圧変調方式が採用され
る。
【0038】この電圧変調方式は、定量するインク量を
電圧の大きさ(又はパルス幅)によって調整する方式で
あり、例えば、インクの場合、図1におけるピエゾ素子
8に大きな電圧を印加すると、このピエゾ素子8の変位
が大きくなり、より多くのインクが吐出される。逆に、
小さな電圧をこのピエゾ素子8に印加すると、このピエ
ゾ素子8の変位が小さくなって、少量のインクが吐出さ
れる。
【0039】このような電圧印加に代えて、パルス発生
装置(図示省略)からのパルス信号によって所定のパル
ス電圧が1画素毎に設定数だけ印加され、ピエゾ素子8
を作動させることもできる。即ち、パルス信号のパルス
数に応じてインク用のピエゾ素子8が作動し、このパル
ス数に応じてインク13の吐出量を制御できるので、記録
ドットの濃度階調や面積階調(ドット径)をコントロー
ルできる。これについての詳細は後述する。
【0040】上記のようなピエゾ素子の作用を示したの
が図2(a)、(b)であり、いずれも図1に対応する
部分を示し、(a)はインク貯溜部6側のピエゾ素子8
の作動を示し、(b)は同じく希釈液貯溜部7側のピエ
ゾ素子9の作動を示している。
【0041】図2(a)において、符号11はインク定量
パルスを示している。このパルス信号は、配線11aを介
してピエゾ素子8を作動させる。従って、この場合、ピ
エゾ素子8は電圧印加で一定量変位し、仮想線のように
振動板3を押圧、変形させる。
【0042】このようなピエゾ素子8の作動に伴って、
ピエゾ素子8下の振動板3の一部分が変形してインク貯
溜部6内部の容積が圧縮され、この内部のインク13がノ
ズル15(図3参照)から吐出する。
【0043】一方、希釈液貯溜部7側の吐出パルス12
は、図2(b)に図示の如く、パルス信号を配線12aを
介してピエゾ素子9に送り、これにより、ピエゾ素子9
下の振動板3を二点鎖線で示すように変形させ、希釈液
貯溜部7内部の容積を圧縮し、この内部の希釈液14をノ
ズル16(図3参照)から吐出させる。
【0044】このようにして吐出するインク13と希釈液
14とがノズル先端の外側で混合されて、小液滴として飛
翔し、被記録体上に一つのドットを形成する。従って、
ノズル先端部は図3に示すように、インクノズル15の向
きがノズル16に対して角度θで傾斜し、距離dだけ離れ
て希釈液ノズル16に隣接するように構成することによっ
て、両液13と14とが混合され易いようにし、希釈液14に
混合されたインク13は希釈液14の吐出力によって飛翔
し、被記録体に転写される。
【0045】上記の如く、いわばインクノズル15と希釈
ノズル16とが一組で1ドット用ノズルを構成するように
なっており、このようなドット用ノズルが列状に多数個
配されるように、インク貯溜部6と希釈液貯溜部7との
群がそれぞれのピエゾ素子8、9を有した状態で、ベー
ス1の同一平面上に所定の間隔で多数が隣接して配設さ
れている。
【0046】図4は、図3における一組のインク貯溜部
6と希釈液貯溜部7と、これらに付随するそれぞれのノ
ズル15、16及び通路6a、7aとを拡大して模式的に示
した平面図である。
【0047】上記のようにしてインク13と希釈液14とが
混合し合うメカニズムを図4により説明すると、インク
13及び希釈液14はそれぞれの貯溜部6、7へ微細な通路
6a、7aを毛細管現象によって導入され、吐出によっ
て消費された分は逐次補給される。そして、吐出前のイ
ンクノズル15及び希釈液ノズル16の先端においては、図
4(a)に示すように、それぞれの液体の表面張力によ
りメニスカス(インク側は仮想線で示す13a、希釈側は
実線で示す14a)を形成している。
【0048】吐出の順序としては、まずインク貯溜部6
側のピエゾ素子8が前記したように定量用パルス信号に
より作動して定量のインク13を吐出させる。これによ
り、インク13は図4(a)の如く、メニスカス13aを形
成していた初期状態から、吐出したインク13Aがノズル
15の先端に溢れ出る。
【0049】続いて、希釈液貯溜部7側のピエゾ素子9
に対し、同様にして吐出用パルス信号を与えると、ピエ
ゾ素子9の作動によって希釈液14を吐出させる。従っ
て、同図(b)の如く、メニスカス14aを形成していた
初期状態から、希釈液14Aがノズル16の先端に溢れ出
る。
【0050】この結果、ノズル先端部において希釈液14
は、既に溢れ出しているインク13Aを吸収、混合して更
に体積増大した液滴17となってノズル16から離れ、2液
混合された液滴として飛翔する。
【0051】その後、インク貯溜部6のインク13及び希
釈液貯溜部7の希釈液14はそれぞれの通路6a、7aか
ら再充填されると共に、それぞれのノズル15、16にはメ
ニスカス13a、14aが形成されて初期の状態に復帰す
る。
【0052】本実施例のインクジェットは、キャリアジ
ェット方式であって、インク13と希釈液14とを混合し、
液滴として飛翔させ、被記録体に付着、記録させるもの
であるが、上記の2液が十分に混合されるためには、ノ
ズル15、16の間隔dはその開口の径や吐出力に見合うこ
とが必要である。
【0053】上記したように、本実施例によるプリンタ
ヘッド10は、キャリアジェット方式として、ノズル15、
16と液貯溜部6、7と液通路6a、7aとをドライフィ
ルムレジスト2に後述する露光プロセスで加工し、その
上下面をベース1と振動板3とで挟んで接着固定した構
造を有し、これらの接着面がベース1及び振動板3に有
機チタン膜4、5によってそれぞれ処理されているの
で、ベース1及び振動板3とドライフィルムレジスト2
との接着性が高められており、その剥離が防止され、耐
久性が良くなる。
【0054】従って、液13、14の吐出口、この吐出口に
通じる通路や貯溜部が正常な形状に保持されて液洩れが
生じることはないため、液が正常に吐出され、信頼性の
高い記録装置を提供することができる。
【0055】通常のインクジェットプリンタの場合で
は、インクの色が単位ヘッド毎に違いがないことから、
吐出に影響がなければ隣接し合うノズル(吐出口)相互
間で液洩れが生じ、インクが混じってもあまり問題がな
い。
【0056】しかし、本実施例の如き2液混合型キャリ
アジェットプリンタヘッド(これは、本出願人が特願平
7−254250号等において既に提起した。)のよう
な濃度変調可能なプリンタヘッドの場合には、インク13
とこの希釈液14とを混合(2液混合)して吐出するた
め、インクと希釈液とがノズルから吐出する途中で相互
に混じり合うと、インクの定量混合ができなくなり、必
要な濃度又は階調性が得られなくなる。従って、従来技
術のように、ドライフィルムレジストの剥離による液洩
れは重大な問題を生じる可能性が大きい。
【0057】こうした問題は、本実施例によるヘッド
は、上記したように、ドライフィルムレジスト2の剥離
は生じず、液洩れを効果的に防止できるから、キャリア
ジェットプリンタを信頼性良く作動させ、その優れた性
能(特に階調性)を十二分に発揮させることが可能であ
る。
【0058】こうした顕著な効果を奏する接着面の処理
剤としての有機チタンを主体とする化合物は、例えば、
次のものが挙げられる。
【0059】テトラ−i−プロポキシチタン(TPT)
(図5)、テトラ−n−ブトキシチタン(TBT)(図
6)、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン
(TOT)(図7)、ジ−i−プロポキシ−ビス(アセ
チルアセトナート)チタン(TAA)(図8)、TPT
ポリマー(図9)、TBTポリマー(図10)。
【0060】また、この有機チタン化合物膜の膜厚は、
0.1〜1.0 μmであってよく、その成膜処理方法として
は溶液の塗布、乾燥に依って行える。また、その成膜領
域は、ベース1及び振動板3の全域であってよいが、ド
ライフィルムレジスト2との接着域のみであってもよ
い。
【0061】有機チタン化合物による上記の剥離防止効
果は、有機チタン化合物がベース1及び振動板3(共に
無機物)と、ドライフィルムレジスト2(有機物)との
双方に対して親和力を持つからであると考えられる。
【0062】また、ベース1とドライフィルムレジスト
2との接着性、及び振動板3とドライフィルムレジスト
2との接着性を高めるための材料として、それらの双方
とも上記した有機チタン化合物を用いるのが望ましい
が、それらのいずれか一方に上記した有機チタン化合物
を用い、他方に例えば次のようなアルミニウムキレート
化合物を用いてもよい場合がある。これらのアルミニウ
ムキレート化合物も、ベース1又は接着板3とドライフ
ィルムレジスト2との間に介在してそれらの間の接着性
を高める作用がある。
【0063】アルキルアセトアセテートアルミニウムジ
イソプロピレート(図11)、エチルアセトアセテートア
ルミニウムジイソプロピレート(図12)、アルミニウム
モノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテー
ト)(図13)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセ
テート)(図14)、アルミニウムトリス(アセチルアセ
トネート)(図15)。
【0064】次に、図16及び図17について、本実施例に
よるプリンタヘッドの製造方法を説明する。
【0065】まず、図16(a)のようなベース1を用意
し、図16(b)のように、このベース1の表面に、有機
チタネート:例えばテトラ−i−プロポキシチタンの1
%イソプロパノール溶液をスピンコートにより塗布し、
この溶液塗布面を加熱し、塗布した溶剤を揮発させる。
こうしてベース1の表面に、有機チタネート膜4を形成
する。
【0066】次いで、有機チタネート膜4を形成したベ
ース1を予め加熱した後、図16(c)のように、有機チ
タネート膜4の形成面にドライフィルムレジスト2を重
ね合わせて加熱圧着し、ベース1にドライフィルムレジ
スト2を接着する。
【0067】次いで、図16(d)のように、上記の如く
に接着したドライフィルムレジスト2の上にインク貯溜
部6と希釈液貯溜部7と、これらの貯溜部に付随する通
路及びノズル(図3参照)とを含む形状に対応したパタ
ーンのマスク40を密着させる。
【0068】次いで、図16(e)のように、上記のマス
ク40の上からUV法(紫外線硬化法)による露光を行
い、マスク40以外の露出部分を光硬化させる。矢印は紫
外線照射を示している。これにより、図16(f)のよう
に、マスク40で遮蔽した部分2A以外の露出したドライ
フィルムレジスト2が硬化する。
【0069】次いで、図17(g)のようにマスク40を除
去した後、図17(h)のように、ドライフィルムレジス
ト2を現像処理する(矢印は現像液の吹き付け状態を示
す)。
【0070】これによって、図17(i)のように、未硬
化部分のドライフィルムレジスト2Aを上記のノズル、
液通路及び液溜めの形状に除去し、更に洗浄液で洗浄
し、未硬化のレジストを洗い落として各貯溜部6及び7
等を形成する。
【0071】次いで、図17(j)のように、振動板3の
面を図16(b)で述べたと同様に有機チタネート膜5で
処理し、この処理面をドライフィルムレジスト2に対向
して振動板3を重ね合わせる。
【0072】次いで、図17(k)のように、重ね合わせ
た振動板3とドライフィルムレジスト2とを加熱圧着す
る。これにより、インク貯溜部6及び希釈液貯溜部7を
含む通路が完全に形成される。
【0073】そして最後に、図17(l)のように、貯溜
部6及び7上において振動板3にピエゾ素子8、9を固
定し、所定の配線を施す。
【0074】このようにして、本実施例によるプリンタ
ヘッドを作製するが、重要な点は、取扱い容易なドライ
フィルムレジスト2をベース1上に接着し、露光、硬
化、現像処理するだけで高精度にかつ量産性良くヘッド
の作製(具体的には、液通路の形成)が可能であると同
時に、剥離防止のための有機チタネート膜4及び5を容
易に形成できることである。
【0075】上記のようにして構成されたプリンタヘッ
ド10は、例えば図18に示すようなシリアル型のプリンタ
装置に搭載される。被記録体であるプリント紙20は、ド
ラム22の軸方向に平行に設けられた紙圧着ローラ21によ
り、ドラム22に圧着保持されている。そのドラム22の外
周近傍には、図示省略した駆動手段に連結された送りね
じ23がドラム22の軸方向と平行に設けられている。そし
て、この送りねじ23には、プリンタヘッド10を有する支
持体24が保持されている。従って、プリンタヘッド10
は、送りねじ23の回転によって支持体24と共にドラム22
の軸方向に往復動する。
【0076】一方、ドラム22は、プーリ25、ベルト26、
プーリ27を介してモータ28により回転駆動される。更
に、送りねじ23及びモータ28の回転とプリンタヘッド10
の駆動は、印画データ及び制御信号30に基づいて駆動制
御部29により駆動制御される。
【0077】このようにして、プリンタヘッド10が移動
して1行分の印字が終了すると、ドラム22を1行分だけ
矢印方向に回転させ、ヘッド10は仮想線で示すように次
の行の印字動作を行う。プリンタヘッド10の移動は、同
一方向の場合と往復方向の場合とがある。
【0078】図19は、ライン型の構成例である。この場
合は、上記したシリアル型のプリンタヘッド10が送りね
じ23により移動するのとは異なり、多数のノズルがライ
ン状に配置され、長尺のヘッド31としてドラム22の軸方
向に固定式に設けられている。従って、ライン型におい
ては、ヘッド31によって1行分の印字が同時に行われ、
1行分の印字が終了すると、ドラム22を1行分だけ矢印
方向に回転させ、次の行の印字を行うものである。そし
て、これらの動作は印画データ及び制御信号30に基づい
て駆動制御部29によって駆動制御される。
【0079】この場合、全ラインを一括して印字した
り、複数ブロックに分割したり、1行おきに交互に印字
する方法も考えられる。
【0080】図20は、印字及び制御系を示すブロック図
である。印字データなどの信号回路32は、信号処理制御
回路33に入力され、この信号処理制御回路33において印
字順番に揃えられ、ドライバ34を介してヘッド10に送ら
れる。印字順番は、ヘッド10や印字部の構成で異なり、
また印字データの入力順番との関係もあり、必要に応じ
てラインバッファメモリや1画面メモリなどのメモリ回
路36に一旦記録してから取り出す。ヘッド10には、階調
信号や吐出信号を入力する。
【0081】なお、マルチ型の記録ヘッドでノズル数が
非常に多い場合には、ヘッド10にICを搭載して、この
ヘッド10に接続する配線の数を減らすようにする。ま
た、信号処理制御回路33には、補正回路37が接続されて
おり、γ補正、カラーの場合の色補正、各ヘッドのばら
つき補正などを行う。
【0082】補正回路37には、予め決められた補正デー
タをROM(Read Only Memory)にマップ形式で格納し
ておき、外部条件、例えばノズル番号、温度、入力信号
などに応じて取り出すようにするのが一般的である。信
号処理制御回路33は、中央制御装置(CPU)やディジ
タル・シグナル・プロセッサ(DSP)構成としてソフ
トウエアで処理することが一般的であり、処理された信
号は各種制御部38に送られる。
【0083】各種制御部38では、前記したシリアル型又
はライン型プリンタ装置におけるドラム22及び送りねじ
23を回転駆動させるモータの駆動、同期、ヘッド10のク
リーニング、プリント紙20の供給、排出などの制御を行
う。また、信号には、印字データ以外の操作部信号や外
部制御信号が含まれることは言うまでもない。
【0084】図21(a)は、インクの定量をパルス数変
調で制御する例を示すが、インクの吐出量を定量パルス
11の数に対応して変化させる。また、図21(b)は、希
釈液を吐出させるパルス12の波形図を示す。即ち、例え
ば、上記した信号処理制御回路33の信号により出力され
る吐出パルス12aと12bとの間(即ち、1画素)に、同
信号処理制御回路33の信号に基づいて所定数の定量パル
ス11が印加される。
【0085】そして、これらのパルスは印加される電圧
Vとパルス幅Wとによってパルスの大小が示される。従
って、図示の如く、インクの定量パルス11は小幅なパル
ス幅W1 と電圧V1 とからなるパルス11a〜11nによっ
て定量のインクを吐出させ、これに対して希釈液の吐出
パルス12は幅広のパルス幅W2 と電圧V2 からなるパル
スである。
【0086】これにより、先に図2で説明したインク貯
溜部6側のピエゾ素子8、及び希釈液貯溜部7側のピエ
ゾ素子9が作動する。そして、希釈液に混合されるイン
ク量は定量パルス数をコントロールすることによって変
化させ、濃度変調することができる。
【0087】即ち、図21(a)における定量パルス11の
一回のパルス(11a…11nの各パルスの1つのみ)でイ
ンクの最低吐出量を定量し、このパルスを何回か繰り返
すことにより、必要な濃度階調が得られる。例えば、イ
ンクの定量を256段階とれば、ドット内において25
6階調のグレースケールを得ることができる。
【0088】図22は、0〜255の濃度階調を18a…18
lとして抽出してその段階順に示したものである。即
ち、この図において、18aはインクの定量パルス数がゼ
ロのときのインクドットを示し、18lはパルス数255
としたときのインクドットを示している。
【0089】なお、パルス数変調方式によって、例えば
1ドット内で256の濃度階調を得ようとすると、25
5のパルスを前記したインク貯溜部6側の圧電素子8に
印加する必要がある。そのため、定量するのに要する時
間がかかり、混合液体を吐出する駆動周波数が低減して
しまうおそれがある。
【0090】従って、これを解決すべく、ドット内の濃
度階調のみにおいて256階調を得るのではなく、例え
ばドット内で16階調をとり、残りの16階調をディザ
法(誤差拡散法、組織的ディザ法等)のような疑似階調
表現を使って表現する。
【0091】つまり、パルス数によって16階調を表現
し、1画素を例えば4×4のドットよりなるマトリクス
で構成し、このマトリクス単位で256階調を得ること
ができる。即ち、16×4×4=256となる。
【0092】このように、インクを定量する際に、パル
ス数変調に加えてディザ法を併用することで、混合液体
の吐出に要する時間を軽減することができ、結果とし
て、駆動周波数を向上させることができる。
【0093】このプリンタ装置によって、フルカラー印
刷を行うこともできる。この場合、例えば希釈液とシア
ンC、希釈液とマゼンタM、希釈液とイエローY、希釈
液と黒Kの混合による濃度階調を作り、3色若しくは4
色を被記録体の同一位置に付着させることで、フルカラ
ーのドットを得ることができる。
【0094】また、希釈液に3色又は4色を同時に混合
することによって、1ドット内でフルカラーのドットを
得ることもできる。このようにすれば、被記録体への付
着ドット径を小さくすることができるという利点が得ら
れる。
【0095】図23は、本発明の他の実施例によるキャリ
アジェット式のプリンタヘッドの要部の平面図である。
【0096】この例では、図示の如く、インク貯溜部41
及び希釈液貯溜部42がほぼ円弧状をなし、各直径位置か
らノズル43、44へ向けて直線的に幅狭となった形状に形
成されている。そして、ノズル43、44とは反対側にイン
ク及び希釈液の通路41a、42aが毛管状に形成されてい
る。
【0097】この場合、ノズル43、44の開口部は高さ50
μm、幅25μm、ノズル開口部間隔dは50μm、インク
貯溜部41の中心線とインクノズル43の中心線とを結ぶ線
と、希釈液貯溜部42の中心線と希釈液ノズル44の中心線
とを結ぶ線とのなす角度θは前述の実施例の場合と同じ
20度になっている。
【0098】そして、インク貯溜部41及び希釈液貯溜部
42の上部には、仮想線で示すように、それぞれピエゾ素
子45、46が設けられている。この場合も、インク及び希
釈液は前述の実施例と同様にパルス信号により、同様の
メカニズムで吐出される。
【0099】この例によれば、ドライフィルムレジスト
が有機チタン膜を介してベース及び振動板と接着されて
いるので、前述した実施例と同等の効果を奏することが
できると共に、上記した形状によって、円弧状のインク
貯溜部41と希釈液貯溜部42からノズル43、44へと液がス
ムーズに供給し易くなる。
【0100】図24は、本発明の更に別の実施例によるイ
ンクジェットプリンタヘッドの要部の平面図である。
【0101】この例のプリンタヘッドは、前記した各例
がインクと希釈液とを別々のノズルから吐出させてノズ
ルの先端で混合するキャリアジェット方式であるのとは
異なり、予め混合されたインクと希釈液との混合液を記
録液貯留部55に通路55aから供給し、ピエゾ素子57によ
ってノズル56から吐出させるものである。
【0102】また、この例においても、ドライフィルム
レジストが有機チタン膜を介してベース及び振動板と接
着されている点は、前述した実施例と同様であるから、
同等の効果が奏せられる。但し、各ノズルからは予め混
合した液が吐出されるので、ドット濃度はほぼ一定であ
る。しかし、ドット濃度がほぼ一定であるため、既述し
たように隣接ノズル間での液洩れが少ないときにはあま
り問題とはならず、この意味では、有機チタン膜による
接着力が仮に乏しくなってドライフィルムレジストが一
部剥離しても問題とはなり難い。
【0103】次に、上述した各実施例によるプリンタヘ
ッドとその製造方法の具体例を各種説明する。
【0104】具体例1 この具体例1は、図1〜図22の実施例に対応したもので
あって、図16(a)のように、まず、ベース1としてス
テンレス(SUS303)を厚さ6mmに作製する。
【0105】次いで、図16(b)のように、上記の如く
作製したベース1の表面に、有機チタネート:テトラ−
i−プロポキシチタン(日本曹達(株)製のA−1)の
1%イソプロパノール溶液をスピンコートにより塗布
し、この溶液塗布面を 100℃で10分間加熱し、溶剤を揮
発させた。こうして、ベース1の表面に、有機チタネー
ト膜4を乾燥後の厚さで 0.5μmに形成した。
【0106】ここにおいて使用した有機チタン膜4の材
料は、具体的には図5に示した構造式のテトラ−i−プ
ロポキシチタンであるが、これ以外の有機チタン膜の材
料として、図6〜図8に示す構造のものが使用できる。
これら(図5〜図8)の有機チタン化合物は単分子量の
モノマーであるが、チタンカップリング剤の作用があ
り、十分な接着性を有し、また塗布による成膜性も良
い。
【0107】また、上記以外に、図9及び図10のような
ポリマーも使用することができる。このようなポリマー
の場合は高分子量のポリマーとして、重合度の選び方に
よって十分な接着性が発揮されると共に、成膜性が良い
という利点もある。
【0108】このように、有機チタンはモノマー及びポ
リマーのいずれであっても、接着性、成膜性が十分であ
り、また特にポリマーは膜強度が良い等の物性を有して
おり、例えば本実施例の如き表面処理の材料として好適
なものである。更に、耐熱性が高いので、高温での熱処
理を伴う場合、ベース1の表面処理剤としては有機チタ
ン化合物の使用は適切な措置となる。
【0109】次いで、まず有機チタン膜4を形成したベ
ース1を予め加熱(50℃)し、図16(c)のように有機
チタン膜4を形成した面にドライフィルムレジスト2
(日立化成(株)製のSG−2300G)を重ね合わせて加
熱圧着(120℃、 3.5kg/cm2、1m/min 、2回繰り返し)
し、ベース1にドライフィルムレジスト2を接着させ
た。
【0110】次いで、図16(d)のように、上記の如く
接着したドライフィルムレジスト2の上にインク貯溜部
6と希釈液貯溜部7と、これらの貯溜部に付随する通路
及びノズル(図3参照)とを含む形状に対応したパター
ンのマスク40を密着させた。
【0111】ここにおいてマスク40の形状は、図3
(b)に示したように、ノズル15、16の開口部はいずれ
も高さ50μm、幅(w)25μmの方形とし、両ノズル間
の距離dを50μmとした。そして、インク貯溜部6の中
心線とインク用ノズル15の中心線とを結んだ線のなす角
度θ、及び希釈液貯溜部7の中心線と希釈液用ノズル16
の中心線とを結んだ線とのなす角度θをいずれも20度と
した。
【0112】また、希釈液貯溜部7とインク貯溜部6と
のピッチP1 を 300μmとし、希釈液貯溜部7のピッチ
2 を 600μmとしたので、希釈液ノズル16のピッチP
3 も600μmとなっている。
【0113】次いで、図16(e)のように、上記のマス
ク40の上からUV法(紫外線硬化法)による露光(40mJ
/cm2)を行い、マスク40以外の露出部分を硬化させた。
矢印は紫外線照射を示している。
【0114】これにより、図16(f)のように、マスク
40で遮蔽した部分以外の露出したドライフィルムレジス
ト2が光硬化した。
【0115】次いで、図17(g)のように、マスク40を
除去し、これにより、硬化されていないドライフィルム
レジスト部分2Aが露光した。
【0116】次いで、図17(h)のように、ドライフィ
ルムレジスト2の表面を現像処理した(矢印は現像液の
吹き付け状態を示す)。これにより、未硬化部分のドラ
イフィルムレジスト2Aを除去した。
【0117】次いで、図17(i)のように、洗浄液で洗
浄し、未硬化のレジストを洗い落として各貯溜部6及び
7等を形成した。
【0118】次いで、図17(j)のように、上記のよう
に不要部分を除去して各貯溜部6及び7、通路等を形成
したドライフィルムレジスト2の上に、パイレックスガ
ラス製(160μm厚)の振動板3を接着した。この際、振
動板3の接着面には、上記した有機チタン膜4と同様
に、有機チタネート:テトラ−i−プロポキシチタン
(日立曹達(株)製のA−1)の1%イソプロパノール
溶液をスピンコートにより塗布し、この溶液塗布面を 1
00℃で10分間加熱して溶剤を揮発させ、乾燥厚 0.5μm
の有機チタン膜5を設けた。この有機チタン膜5の形成
面をドライフィルムレジスト2に対向して振動板3を重
ね合わせた。
【0119】次いで、図17(k)のように、重ね合わせ
た振動板3とドライフィルムレジスト2とを加熱圧着(1
80℃、4kg/cm2、60mm)した。これにより、インク貯溜
部6及び希釈液貯溜部7を含む通路を完全に形成した。
【0120】そして最後に、図17(l)のように、上記
の如く作製した各貯溜部6及び7上の振動板3にピエゾ
素子8及び9を固定し、所定の配線を施した。
【0121】このようにインクジェットプリンタヘッド
を作製することによって、有機チタン化合物で表面処理
されたベース1及び振動板3の表面には、有機チタン膜
4、5の親水性の主鎖部が無機物であるベース1及び振
動板3の表面に結合し、チタン原子Tiに結合した他方
の側鎖部が有機物であるドライフィルムレジスト2側に
向くことになる。
【0122】こうした有機チタン膜4、5の結合状態
は、X線光電子分光法(XPS)、走査電子顕微鏡(S
EM)及びエネルギー分散X線分光法(EDX)等によ
って確認することができる。
【0123】具体例2 この具体例2では、上記した例1と比べて、使用した材
料が一部異なるのみであり、製造工程は具体例1の場合
と同じである。従って、製造工程の各段階についての説
明は省略し、異なる材料とその製造工程について説明す
る。
【0124】即ち、この具体例2においては、ベース1
としてガラス(500μm厚)、振動板3としてNi(10μ
m厚)を用い、また、上記した図16の製造工程(b)
で、ベース1及び振動板3の表面処理に、図6の構造式
の有機チタネート:テトラ−n−ブトキシチタン(日本
曹達(株)製のB−1)を用い、具体例1と同様にして
有機チタン膜4を 0.5μm厚に形成した。
【0125】具体例3 この具体例3は、具体例1においてキャリアジェット方
式ではないこと以外は上記した具体例1と同様であっ
た。
【0126】具体例4 この具体例4は、具体例3において有機チタン化合物が
テトラ−n−ブトキシチタンであること以外は上記した
具体例3と同様であった。
【0127】具体例5 この具体例5は、具体例1又は具体例3においてベース
1としてガラス(500μm厚)、振動板3としてNi(10
μm厚)を用いたこと、ベース1及び振動板3の表面処
理材料として、図8の構造式のジ−i−プロポキシ−ビ
ス(アセチルアセトナート)チタン(日本曹達(株)製
のT−50)を用い、この1%プロパノール溶液をスピン
コートにより塗布し、ベース1に有機チタン化合物膜4
及び振動板3に有機チタン化合物膜5を形成したこと以
外は、上記した具体例1又は3と同様であった。
【0128】そして、上記の各具体例1〜5によるイン
クジェットプリンタヘッドと比較するために、次のよう
に比較例のインクジェットプリンタヘッドを作製した。
【0129】比較例1 この比較例1においては、上記した具体例1におけるベ
ース1及び振動板3に対して、有機チタン化合物による
表面処理をしないで、直接ドライフィルムレジスト2と
接着させてプリンタヘッドを作製した。それ以外の材料
及び製造工程は具体例1と同様であった。
【0130】比較例2 この比較例2においては、上記した具体例2におけるベ
ース1及び振動板3に対して、有機チタン化合物による
表面処理をしないで、直接ドライフィルムレジスト2と
接着させてプリンタヘッドを作製した。それ以外の材料
及び製造工程は具体例2と同様であった。
【0131】比較例3 この比較例3においては、上記した具体例3におけるベ
ース1及び振動板3に対して、有機チタン化合物による
表面処理をしないで、直接ドライフィルムレジスト2と
接着させてプリンタヘッドを作製した。それ以外の材料
及び製造工程は具体例3と同様であった。
【0132】比較例4 この比較例4においては、上記した具体例5におけるベ
ース1及び振動板3に対して、有機チタン化合物による
表面処理をしないで、直接ドライフィルムレジスト2と
接着させてプリンタヘッドを作製した。それ以外の材料
及び製造工程は具体例5と同様であった。
【0133】上記した具体例1〜5及び比較例1〜4に
より作製した各インクジェットプリンタヘッドに、次の
ような割合で組成したインク及び希釈液を用いてインク
ジェットの耐久性をテストした。
【0134】 希釈液: 水 74.9重量部 イソプロピルアルコール 5重量部 ジエチレングリコール 20重量部 非イオン性界面活性剤(エマルゲン985、花王社製) 0.1重量部
【0135】 インク:染料(ダイレクトイエロー87) 5重量部 水 69.9重量部 イソプロピルアルコール 5重量部 ジエチレングリコール 20重量部 非イオン性界面活性剤(エマルゲン985、花王社製) 0.1重量部
【0136】 インク:アイリス SMART JET用インク(Magenta インク)
【0137】試験に際しては、被試験用のインクジェッ
トプリンタヘッドについて、事前にドライフィルムレジ
ストの接着性や吐出性等を確認し、正常に動作すること
を確認した上で、そのヘッドに上記の希釈液及び各イン
クを注入し、60℃で加熱、1週間放置して、劣化の促進
試験を行った。
【0138】また、上記とは別に、上記した具体例1〜
5及び比較例1〜4により作製したインクジェットプリ
ンタヘッドをインクに浸漬し、インクに対する耐久性テ
ストを次のように行った。
【0139】ヘッドを浸漬するインク組成は次の通りで
あった。 インク:水 70% イソプロピルアルコール 5% エチレングリコール 25%
【0140】 インク:アイリス SMART JET用インク(Magenta インク)
【0141】試験に際しては、被試験用のインクジェッ
トプリンタヘッドについて、事前にドライフィルムレジ
ストの接着性や吐出性等を確認し、正常に動作すること
を確認した上で、そのヘッドを上記の各インクに完全に
浸漬し、60℃で加熱、1週間放置して、劣化の促進試験
を行った。
【0142】上記の試験結果を下記の表1に示す。な
お、評価については、次の通りとした。
【0143】ドライフィルムレジストの剥離: ○:ベース及び振動板のいずれからも剥離していない。 △:ベース及び振動板のいずれかが剥離している。 ×:ベース及び振動板のいずれからも剥離し、キャリア
ジェット方式の場合はインクと希釈液とが混じってい
る。
【0144】吐出性: ○:テスト前と同様に吐出する。 △:吐出するものの方向性等がテスト前とは全く違う。 ×:吐出しなくなる。
【0145】
【0146】この結果から、本発明に基づく具体例1〜
5によれば、ベース1及び振動板3が有機チタン膜4、
5を介してドライフィルムレジスト2を加熱圧着されて
いるので、これらの間の接着性がよく、剥離しない。従
って、インクジェットプリンタヘッド内において、イン
ク領域と希釈剤領域、或いは隣接するインク領域が完全
に分離され、プリンタ内部で混じることがない。有機チ
タン膜で処理しない比較例1〜4はいずれも、結果が不
良である。
【0147】これにより、インク貯溜部6及び希釈液貯
溜部7等は共に、ピエゾ素子8又は9による加圧時に圧
力の洩れがなく、正常な吐出性が保持される。更に、ド
ライフィルムレジスト膜2にインク貯溜部6及び希釈液
貯溜部7等の微細加工を紫外線硬化法によって行うの
で、加工性、精度、量産性がよい。
【0148】更に、上記した具体例により作製した被試
験用のインクジェットプリンタヘッドについて、有機チ
タン膜として図9又は図10のポリマーを用いて上記具体
例と同じ製法で作製した具体例6〜具体例10を用意し、
有機チタン膜4、5の成膜性、膜強度、ベース1及び振
動板3との接着性を試験し、評価した。
【0149】その結果は下記の表2に示す。なお、評価
については次の通りとした。
【0150】 ◎:非常に優れている。 ○:優れている。 △:やや不良である。 ×:不良である。
【0151】
【0152】この結果から、有機チタン化合物はモノマ
ー、ポリマーを問わず、ベース及び振動板等に使用して
いる無機物であるステンレスやガラスとの接着性に優
れ、また、有機物であるドライフィルムレジストとの接
着性も優れていると共に、成膜性及び膜強度についても
(特にポリマーでは)十分である。
【0153】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の各実施例は本発明の技術的思想に基づいて各種の変形
が可能である。
【0154】例えば、上述した実施例では、ベース1及
び振動板3のいずれも、同じ有機チタン化合物によって
表面処理したが、ベース1と振動板3とは別々の材料か
らなる有機チタン化合物によって表面処理してもよい。
【0155】この表面処理の領域は少なくともドライフ
ィルムレジスト2との接着域であればよいが、全面にす
るのが望ましい。また、有機チタン膜の厚みも変化させ
てよいし、その成膜方法も種々変更してよい。また、有
機チタン化合物による処理は、ドライフィルムレジスト
2の面に対して行うこともできる。
【0156】また、ベース1及び振動板3とドライフィ
ルムレジスト2との双方の接着面のうち、いずれか一方
(特にベース1側)を上記の有機チタンによって処理
し、他方を上述したアルミニウムキレート化合物によっ
て処理してよい。有機アルミニウムキレート化合物によ
る処理は、上記した有機チタンによる処理と同様に行う
ことができる。このように、有機アルミニウムキレート
化合物を併用する場合、図16及び図17に示した作製プロ
セスから理解されるように、ベース1側は加熱を受ける
回数が振動板3側よりも多いため、ベース1側は耐熱性
が高い有機チタン化合物によって処理しておく方が望ま
しい。
【0157】また、ベース1及び振動板3とドライフィ
ルムレジスト2との接着面の少なくとも一方を上記の有
機チタン化合物とアルミニウムキレート化合物との混合
溶液で表面処理し、これら両化合物の混合物からなる処
理膜を成膜することもできる。
【0158】また、上述した実施例の製造工程において
は、ドライフィルムレジスト2を有機チタン化合物によ
るベース処理面に接着後、マスクを用いて露光し、イン
ク貯溜部及び希釈液貯溜部等を形成したが、これらを予
め形成したドライフィルムレジストをベースに接着する
こともできる。
【0159】貯溜部等を形成するための不要部分の除去
方法として、ドライフィルムレジスト1に対してマスク
を用いてパターン露光したが、これに代えて露光光をパ
ターン状にオン・オフして走査する走査露光によって露
光を行うこともできる。
【0160】ドライフィルムレジストの種類は様々であ
ってよい。ドライフィルムレジスト以外の感光性樹脂、
例えば塗布によるフォトレジスト膜等を形成してもよ
い。
【0161】また、上述した実施例に示したノズルの平
面形状や断面形状は変形可能であり、直線状、曲線状の
平面形状や、方形以外の多角形又は円形の断面にしても
よい。
【0162】ヘッドの構造や形状は、前記以外の適宜の
構造、形状としてよく、ヘッドを構成する各部分の材料
には、他の適宜の材料を使用してよい。記録液の液滴化
には、圧電変換素子の機械的変形を利用する等の機械的
手段以外にも、発熱体のエネルギーを用いる加熱方式も
用いることができる。
【0163】上述の実施例においては、インクを定量し
て希釈液を吐出する、いわゆるキャリアジェットの構成
を採用したが、これに代えて、希釈液を定量してインク
を吐出することもできる。この場合、シャドウ部に関し
ては、十分なインク濃度を得ることができる点では有利
である。また、黒色のインクは希釈液と混合させず、単
独で吐出させてもよい。
【0164】また、上述のインクや希釈剤はそれぞれ、
種々のもの或いは2種以上の併用が可能である。また、
マゼンタ、イエロー、シアンの3色として(更には、黒
を加えた)フルカラーの記録を行うほか、2色印刷、1
色印刷のモノカラー又は白黒の記録を行うことができ
る。
【0165】
【発明の作用効果】本発明は、上述の如く、吐出液の吐
出口と、この吐出口に通じる吐出液通路とに対応した形
状に加工された中間層と、この中間層を支持する基体
と、前記中間層上の振動体との一体化によってそれぞれ
形成され、前記基体及び前記振動体と前記中間層との間
の少なくとも一方が有機チタンを主体とする化合物によ
って処理されているので、前記基体及び前記振動体と前
記中間層との接着性が高められて剥離が防止され、耐久
性が良くなる。
【0166】従って、吐出液の吐出口、この吐出口に通
じる吐出液通路が正常な形状に保持されて液洩れが生じ
ることはないため、吐出液が正常に吐出され、信頼性の
高い記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるインクジェットプリンタ
ヘッドの要部を示す断面図(図3のI−I線断面図)で
ある。
【図2】同ヘッドにおけるピエゾ素子の作動状況を示す
概略断面図であり、(a)はインク側の作動状況、
(b)は希釈液側の作動状況を示す。
【図3】同ヘッドの要部を示し、(a)はその概略平面
図、(b)は(a)の一部の拡大図である。
【図4】同ヘッドにおけるインク貯溜部と希釈液貯溜部
との組を示し、(a)はインクの吐出状況、(b)は希
釈液の吐出とインクとの混合及び飛翔状況を模式的に示
した図である。
【図5】同ヘッドの作製に用いた有機チタン化合物の一
例の構造式である。
【図6】同ヘッドの作製に用いた他の有機チタン化合物
の一例の構造式である。
【図7】同ヘッドの作製に用いた他の有機チタン化合物
の一例の構造式である。
【図8】同ヘッドの作製に用いた他の有機チタン化合物
の一例の構造式である。
【図9】同ヘッドの作製に用いた他の有機チタン化合物
の一例の構造式である。
【図10】同ヘッドの作製に用いた更に他の有機チタン化
合物の一例の構造式である。
【図11】アルミニウムキレート化合物の一般式である。
【図12】同他のアルミニウムキレート化合物の一例の構
造式である。
【図13】同他のアルミニウムキレート化合物の一例の構
造式である。
【図14】同他のアルミニウムキレート化合物の一例の構
造式である。
【図15】同更に他のアルミニウムキレート化合物の一例
の構造式である。
【図16】同ヘッドの製造方法を工程順に示す各断面図で
ある。
【図17】同ヘッドの製造方法を工程順に示す各断面図で
ある。
【図18】同ヘッドを組み込んだシリアル型プリンタの概
略斜視図である。
【図19】同ヘッドを組み込んだライン型プリンタの概略
斜視図である。
【図20】同プリンタを駆動させるための制御系を示すブ
ロック図である。
【図21】同プリンタのヘッドに対するインク吐出用定量
パルスと希釈液吐出パルスとを示す波形図である。
【図22】同ヘッドによるドットの濃度階調を示す図であ
る。
【図23】本発明の他の実施例によるインクジェットプリ
ンタヘッドの要部の概略平面図である。
【図24】本発明の更に他の実施例によるインクジェット
プリンタヘッドの要部の概略平面図である。
【図25】従来例による熱転写方式のプリンタの要部の概
略正面図である。
【符号の説明】
1…ベース、2…ドライフィルムレジスト、2A…未露
光部分、3…振動板、4、5…有機チタン膜、6、41…
インク貯溜部、6a、7a、41a、42a、55a…液通
路、7、42…希釈液貯溜部、8、9、45、46、57…圧電
素子(ピエゾ素子)、10…プリンタヘッド、11…定量パ
ルス、12…吐出パルス、13…インク、14…希釈液、15、
43…インクノズル、16、44…希釈液ノズル、17…混合
液、18…ドット、20…プリント紙、21…紙圧着ローラ、
23…送りねじ、25、27…プーリ、26…ベルト、28…モー
タ、29…駆動制御部、30…制御部、40…マスク、56…混
合液ノズル

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出液の吐出口と、この吐出口に通じる
    吐出液通路とを有し、前記吐出口から前記吐出液を吐出
    させて被記録体へ飛翔させるように構成され、前記吐出
    口及び前記吐出液通路が、これに対応した形状に加工さ
    れた中間層と、この中間層を支持する基体と、前記中間
    層上の振動体との一体化によってそれぞれ形成され、前
    記基体及び前記振動体と前記中間層との間の少なくとも
    一方が有機チタンを主体とする化合物によって処理され
    ている記録装置。
  2. 【請求項2】 中間層に対する基体の対向面、及び前記
    中間層に対する振動体の対向面が有機チタン化合物によ
    ってそれぞれ処理されている、請求項1に記載した記録
    装置。
  3. 【請求項3】 中間層が感光性樹脂から形成されたもの
    である、請求項1に記載した記録装置。
  4. 【請求項4】 感光性樹脂がドライフィルムレジストで
    ある、請求項3に記載した記録装置。
  5. 【請求項5】 振動体上に、この振動体を変位させて吐
    出液を吐出させるための吐出エネルギー発生素子が設け
    られている、請求項1に記載した記録装置。
  6. 【請求項6】 吐出エネルギー発生素子が圧電素子であ
    る、請求項5に記載した記録装置。
  7. 【請求項7】 記録材及び/又は記録材希釈液からなる
    吐出液を吐出させる、請求項1に記載した記録装置。
  8. 【請求項8】 記録材と記録材希釈液とのそれぞれの吐
    出口、通路及び貯溜部を有し、吐出された前記記録材と
    前記記録材希釈液とを前記吐出口又はその近傍で混合し
    て飛翔させる、請求項7に記載した記録装置。
  9. 【請求項9】 吐出液の吐出口と、この吐出口に通じる
    吐出液通路とを有し、前記吐出口から前記吐出液を吐出
    させて被記録体へ飛翔させるように構成され、前記吐出
    口及び前記吐出液通路が、これに対応した形状に加工さ
    れた中間層と、この中間層を支持する基体と、前記中間
    層上の振動体との一体化によってそれぞれ形成され、前
    記基体及び前記振動体と前記中間層との間の少なくとも
    一方が有機チタンを主体とする化合物によってそれぞれ
    処理されている記録装置を製造するに際し、 前記基体及び前記中間層の間と、前記振動体及び前記中
    間層の間との少なくとも一方を前記有機チタンを主体と
    する化合物によって処理する工程と、 前記基体と前記中間層とを接着する工程と、 この中間層に前記吐出口及び前記吐出液通路を形成する
    工程と、 前記振動体と前記中間層とを接着する工程とを有する、
    記録装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 中間層に対する基体の対向面、及び前記
    中間層に対する振動体の対向面が有機チタン化合物によ
    って処理されている、請求項9に記載した記録装置を製
    造するに際し、 前記基体の面を前記有機チタンを主体とする化合物によ
    って処理する工程と、 この基体処理面上に前記中間層を接着する工程と、 この中間層に前記吐出口及び前記吐出液通路を形成する
    工程と、 前記振動体の面を前記有機チタン化合物によって処理す
    る工程と、 この振動体処理面を前記中間層上に接着する工程とを有
    する、請求項9に記載した方法。
  11. 【請求項11】 基体及び振動体の面を有機チタンを主体
    とする化合物によって処理するに際し、溶媒に溶かした
    前記有機チタンを主体とする化合物溶液を基体及び前記
    振動体の面に塗布し、この塗布液を加熱処理して有機チ
    タン化合物膜を形成する、請求項9に記載した方法。
  12. 【請求項12】 中間層に吐出口及び吐出液通路を形成す
    るに際し、前記中間層となる感光性樹脂層を有機チタン
    化合物膜を介して加熱圧着した後、前記感光性樹脂層を
    所定パターンに露光し、現像処理する、請求項11に記載
    した方法。
  13. 【請求項13】 振動体を有機チタン化合物によって処理
    した後、この処理面を有機チタン化合物膜を介して中間
    層上に加熱圧着する、請求項11に記載した方法。
  14. 【請求項14】 感光性樹脂としてドライフィルムレジス
    トを用いる、請求項12に記載した方法。
  15. 【請求項15】 振動体上に、この振動体を変位させて吐
    出液を吐出させるための吐出エネルギー発生素子を設け
    る、請求項9に記載した方法。
  16. 【請求項16】 吐出エネルギー発生素子として圧電素子
    を用いる、請求項15に記載した方法。
  17. 【請求項17】 吐出口及び吐出液通路を記録材及び/又
    は記録材希釈液からなる吐出液の吐出のために形成す
    る、請求項9に記載した方法。
  18. 【請求項18】 吐出口から吐出された記録材と記録材希
    釈液とを前記吐出口又はその近傍で混合して飛翔するよ
    うに形成する、請求項17に記載した方法。
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