JPH09253A - ノイラミニダーゼ205及びその製造方法 - Google Patents

ノイラミニダーゼ205及びその製造方法

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JPH09253A
JPH09253A JP15815795A JP15815795A JPH09253A JP H09253 A JPH09253 A JP H09253A JP 15815795 A JP15815795 A JP 15815795A JP 15815795 A JP15815795 A JP 15815795A JP H09253 A JPH09253 A JP H09253A
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neuraminidase
sialic acid
acid
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JP15815795A
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Koji Inagaki
浩二 稲垣
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Japan Tobacco Inc
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Japan Tobacco Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 下記の理化学的性質を有する新規なノイラミ
ニダーゼ205。 (1)作用および特異性:糖蛋白質、糖脂質、オリゴ糖
および多糖類の糖鎖の非還元末端に存在するシアル酸残
基を遊離する反応を触媒する。 (2)至適pH:5〜7 (3)至適温度:50℃ 【効果】 微生物由来の新規なノイラミニダーゼ205
を提供することができ、大量に且つ安価にしかも夾雑蛋
白質の少ないノイラミニダーゼ溶液を提供することが可
能である。また、コロミン酸とシアル酸含有物質が混在
した試料中に存在する各成分由来のシアル酸量をこのノ
イラミニダーゼ205を用いて測定する場合、まずpH
7.5以上でMg2+等の二価金属イオンを添加した条件
でシアル酸量を求め、さらに、Mg2+無添加で同様な測
定を行なうことにより、各成分由来のシアル酸量をそれ
ぞれ測定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なノイラミニダーゼ
205、その製造方法ならびにノイラミニダーゼ205
生産能を有する微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】ノイラミニダーゼは、糖蛋白質、糖脂
質、オリゴ糖及び多糖類の糖鎖の非還元末端に存在する
シアル酸残基を遊離させる反応を触媒する酵素である。
ノイラミニダーゼは、血清等の生体液中のシアル酸含有
物質の定量に用いられることはよく知られ、ノイラミニ
ダーゼの供給源としては工業的規模で製造可能であり、
しかも活性の一定したものが得られること等の長所のた
め、微生物由来のものが大半を占めている。
【0003】従来、微生物由来のノイラミニダーゼに関
しては、ビブリオ・コレラ(Vibriocholerae)、クロス
トリディウム・パーフリンゲン(Clostridium perfring
ens)、ストレプトコッカス・スピーシーズ(Streptoco
ccus sp.)、ストレプトマイセス・スピーシーズ(Stre
ptomyces sp.)等の微生物による培養液中への生産が知
られており、コリネバクテリウム・ディフテリア(Cory
nebacterium diphtheriae)、クレブシエラ・アエロゲ
ネス(Klebsiella aerogenes) 等では大部分が膜結合型
として存在することが知られている。ノイラミニダーゼ
は、シアル酸含有物質中のシアル酸を定量するときに用
いられたり、シアル酸を除去したアシアロ体の調製に広
く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、新規
なノイラミニダーゼ205、その製造方法及び該製造方
法に用いる新規な微生物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を鑑み鋭意ノイラミニダーゼ生産菌を探索した結果、ビ
ブリオ属に属する微生物が、新規ノイラミニダーゼ20
5を産生し、且つ高い酵素生産能を有することを見出
し、本発明を完成した
【0006】即ち、本発明は、下記の理化学的性質を有
する新規なノイラミニダーゼ205である。 (1)作用及び特異性:糖蛋白質、糖脂質、オリゴ糖及
び多糖類の糖鎖の非還元末端に存在するシアル酸残基を
遊離させる反応を触媒する。 (2)至適pH:5〜7 (3)至適温度:50℃ (4)分子量:約65,000
【0007】さらに、本発明は、ビブリオ属に属し、ノ
イラミニダーゼ205生産能を有する微生物を培地に培
養し、培養物からノイラミニダーゼ205を採取するこ
とを特徴とするノイラミニダーゼ205の製造方法であ
る。
【0008】さらにまた、本発明は、ノイラミニダーゼ
205生産能を有するビブリオ・スピーシーズJT02
05である。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
新規なノイラミニダーゼ205は、ビブリオ・スピーシ
ーズJT0205を培地に培養し、菌体外にノイラミニ
ダーゼ205を生産させ、これを採取することにより得
ることができる。
【0010】本発明のノイラミニダーゼ205の一例で
ある、後述の実施例1で得られるノイラミニダーゼ20
5の酵素的諸性質を以下に述べる。 (1)作用 糖鎖の非還元末端にα配位ケトシド結合したシアル酸を
加水分解的に遊離する。
【0011】(2)基質特異性 (試験方法)α2−3シアリルラクトース、α2−6シ
アリルラクトース、コロミン酸、糖脂質(ガングリオシ
ドGM3、GD3)、糖蛋白質(ムチン、フェツイン)
を基質として用い、これらに含まれるシアル酸量を10
0nmolに統一し、0.001〜0.005単位のノ
イラミニダーゼ205によって基質から遊離するシアル
酸量を測定することで各基質への作用の差を比較する。
具体的には、100nmolのシアル酸を含む基質溶液
25μlと0.003単位/5μlの酵素液を50mM
イミダゾール塩酸バッファー(pH7.5)+20m
M MgCl2中、37℃、10分間作用させた後、遊
離したシアル酸量をTBA法で定量し、各基質から遊離
されたシアル酸量を、α2−3シアリルラクトースを基
質とした場合を基準として比較する。
【0012】(結果)結果は表1の通りである。
【表1】 ─────────────────────────── 基質 相対反応速度(%) ─────────────────────────── α2−3シアリルラクトース 100 α2−6シアリルラクトース 37.9 コロミン酸 51.4 ガングリオシドGM3 74.5 ガングリオシドGD3 76.5 フェツイン 117 ムチン 45.5 ───────────────────────────
【0013】表1から、本発明のノイラミニダーゼ20
5は、α2−3,α2−6、α2−8結合したシアル酸
を含むシアリルラクトース、コロミン酸、糖脂質、糖蛋
白質によく作用し、これらのシアロ糖複合体の各種N−
アセチルノイラミン酸ケトシドを加水分解できる。
【0014】(3)作用最適pH 最適pHは、37℃、10分間の反応で、pH5〜7の
間にある。
【0015】(4)安定pH範囲 4℃、24時間では、pH5〜10においても活性の低
下はほとんど見られない。
【0016】(5)力価の測定方法 ノイラミニダーゼの酵素活性は、反応液中に遊離される
シアル酸量をチオバルビツール酸(TBA)法によって
求める。すなわち、50mM イミダゾール塩酸バッフ
ァー(pH7.5)中、1%濃度(w/v)にコロミン
酸を溶解した基質溶液25μlと5μlの酵素液を加え
て37℃、10〜20分間作用させる。この反応溶液に
25mMのメタ過ヨウ素酸ナトリウムを125μl加え
て37℃、30分間インキュベートした後、2%(w/
v)亜ヒ素酸ナトリウム溶液を100μlを添加、0.
1M チオバルビツール酸1mlを加え、沸騰水浴中、
7分30秒間加熱後、氷冷し、n−ブタノール:塩酸
(95:5)2mlを加え、遠心分離後の紫紅色の上清
の549nmにおける吸光度を測定する。上記測定条件
で、1分間に1μmolのシアル酸を遊離させる酵素量
を1単位とした。
【0017】(6)作用最適温度 pH5.0、10分間の反応で、50℃に至適温度があ
る(図1)。
【0018】(7)温度安定性 pH5.0、10分間の反応で50℃までは安定である
が50℃以上では部分的に失活する。
【0019】(8)分子量 SDS−PAGEによる測定で分子量は約65,00
0、セファクリルS−200HR(ファルマシア製)を
用いたゲル濾過法で測定したところ、約62,000で
ある。
【0020】(9)等電点 等電点をPhast System (ファルマシア製) でPhast-Gel
IEF 4.0-6.5 を用いて測定した結果、4.8であった。
【0021】(10)N末端アミノ酸配列 N末端アミノ酸配列はアプライドバイオシステムズ社の
自動アミノ酸配列分析装置(モデル470A)に供して
以下のように決定できる。 VAPNVRDVVVFQGGEGG
【0022】(11)二価金属イオンの存在下における
基質特異性 (試験方法)50mM イミダゾール塩酸(pH7.
5)中にコロミン酸、α2−3シアリルラクトース、ガ
ングリオシドGM3、フェツインをそれぞれシアル酸含
量として100nmol含む基質溶液25μlに0.0
03単位の酵素液5μl加えて37℃、10分間反応さ
せる。また、50mM イミダゾール塩酸バッファー
(pH7.5)+20mM MgCl2中で同様の反応
を行い、反応で生じたシアル酸量をTBA法で測定す
る。
【0023】(結果)結果は表2の通りである。
【表2】 ─────────────────────────── 基質 活性 (ΔOD549/10min.) ───────────── (-Mg2+) (20mM Mg2+) ─────────────────────────── α2−3シアリルラクトース 0.681 0.650 コロミン酸 0.002 0.334 ガングリオシドGM3 0.510 0.497 フェツイン 0.792 0.760 ───────────────────────────
【0024】表2により、本発明の新規なノイラミニダ
ーゼ205は、コロミン酸が基質である場合を除いて、
反応液中のMgCl2の存在に関わらず、ほぼ同程度の
シアル酸を遊離させた。一方、コロミン酸に本酵素を作
用させた場合、MgCl2を反応液中に添加しない場合
はシアル酸をほとんど遊離しなかったが、MgCl2
添加した場合はシアル酸を遊離する。よって、本発明の
ノイラミニダーゼ205は、コロミン酸に作用する場合
に限り、反応液に二価金属イオンを添加することによっ
てその活性が上昇する。しかし、pHが7.5以上の範
囲では二価金属イオンを反応液中に加えなければ本酵素
はコロミン酸に対してほとんど作用しない。一方、その
他の基質例えば、シアリルラクトースに対してはpH
7.5以上でも二価金属イオンの添加、無添加に関わら
ず本酵素は作用する。
【0025】従って、本発明のノイラミニダーゼ205
は上記の特有の性質を利用し、以下に述べるようなシア
ル酸含有物質の選択的検出方法に利用できる。即ち、p
H7.5以上の条件で、コロミン酸とシアリルラクトー
スをはじめとするシアル酸含有物質が混在する試料中の
シアル酸含量を測定する場合に、二価金属イオンを添加
せずに測定すればコロミン酸由来以外のシアル酸量(S
1)が求められ、二価金属イオンを添加して測定すれば
試料中の全シアル酸量(S2)が求められる。さらに、
両者の差(S2−S1)からはコロミン酸由来のシアル
酸量が算出される。今までの技術でこの様な測定行なう
にはコロミン酸に作用しないノイラミニダーゼと全ての
基質に対して作用するノイラミニダーゼの2種類の酵素
を準備する必要があった。しかし、本発明の新規なノイ
ラミニダーゼ205を用いれば一種類の酵素だけで上記
のようなコロミン酸由来のシアル酸含量の測定を行なう
ことができる。
【0026】上記のノイラミニダーゼ205の製造に用
いる微生物としては、例えばビブリオ・スピーシーズJ
T0205が挙げられる。このビブリオ・スピーシーズ
JT0205は海洋性細菌であり、本発明者らが相模湾
の海水から分離採取したものである。この微生物、JT
0205の天然界からのスクリーニング方法を以下に示
す。
【0027】海水、海砂、もしくは海泥を微生物源とし
て、直接、コロミン酸、バクト イースト ニトロゲン
ベース W/O アミノアシッド、および海水からなる
滅菌培地に接種する。本培地で増殖した微生物は常法に
したがってシングルコロニーアイソレーションした後、
得られた微生物の培養液を酵素源として、常法によりノ
イラミニダーゼ205活性を測定し、該酵素活性を示す
菌株より本菌株を得ることができる。
【0028】このようにして得られるJT0205の菌
学的性質を以下に示す。 菌学的性質: 1)形態 (1)細胞の形態は桿菌で、大きさは1 ×0.5 〜2 ×1 μm (2)運動性を示し、鞭毛を有する。 (3)グラム染色性は陰性 (4)胞子は形成しない。 2)生理的性質 (1)生育温度 4℃では生育せず 30℃では生育する 35℃では生育する 40℃では生育せず (2)集落の色調 特徴的集落色素を産生せず。 (3)O−Fテスト F (4)カタラーゼテスト 陽性 (5)オキシダーゼテスト 陽性 (6)グルコースからガスの生成 無し (7)V−P反応 陰性 (8)ゼラチン分解能 有り (9)デンプン分解能 有り (10)硝酸塩還元能 有り (11)発光性 無し (12)酸素に対する態度 通性嫌気性 (13)PHBの蓄積 β−ヒドロキシ酪酸を基質 有り グルコースを基質 無し (14)β−ヒドロキシ酪酸の利用能 有り (15)NaCl要求性 有り (16)リパーゼ活性 有り (17)マンニトールの資化性 有り (18)プテリジン誘導体に対する感受性 10μg 感受性 150μg 感受性 (19)キノン系 Q−8 (20)菌体内DNAのGC含量(モル%)* 46 (21)アルギニンジヒドラーゼ活性 有り (22)資化性 D−キシロース − L−アラビノース − D−マンノース + シュークロース + セロビオース + D−グルコン酸塩 + ヘプタン酸 + D−ソルビトール − エタノール − γ−アミノ酪酸 − L−プロリン + プトレスシン − 注)*:HPLC法によって行なった。
【0029】このJT0205菌株の上記の菌学的性質
について、バージーズ マニュアルオブ デタミネイテ
ィブ バクテリオロジー第9改正(1994)を用いて
検討した結果、JT0205菌株はビブリオ属に属する
微生物であると同定された。
【0030】次いでこのJT0205菌株の菌学的性質
をビブリオ属に属する類縁の公知種と比較検討したとこ
ろ、表3に示すとおり、JT0205の菌学的性質はそ
の全項目においてビブリオ・ツビアッシー(Vibrio tub
iashii)のそれらとほぼ一致していることが判った。し
かし、ビブリオ・ツビアッシーのType strain であるAT
CC 19109は、コロミン酸を資化することができず、ノイ
ラミニダーゼの酵素活性は認められなかった。したがっ
て、JT0205菌株は、ビブリオ属に属する公知種と
は明らかに区別され、新菌種であると認定し、ビブリオ
・スピーシーズJT0205と同定した。そして、この
ビブリオ・スピーシーズJT0205は、工業技術院生
命工学工業技術研究所に平成7年5月30日に寄託し、
その寄託番号はFERM BP−5117である。
【0031】
【表3】
【0032】本発明におけるビブリオ・スピーシーズJ
T0205を培養するには、通常のこの分野の微生物の
一般的な栄養培地を使用できるが、NaCl要求性の細
菌であるため、0.5%以上、好ましくは3%程度のN
aClを培地に加える必要があり、天然海水や人工海水
に栄養源として0.2〜2%程度のコロミン酸あるいは
N−アセチルマンノサミンと0.1〜1%程度の酵母エ
キスを添加した培地を使用することができる。
【0033】培養は、20〜30℃で20〜48時間好
気的に行なわれ、これにより培養液中にノイラミニダー
ゼ205が生成、蓄積される。培養液からのノイラミニ
ダーゼ205の採取時期は、ノイラミニダーゼ205の
産生量が菌の増殖とともに増加するので適宜、設定すれ
ば良い。
【0034】培養物中に産生されるノイラミニダーゼ2
05は、培養終了後の培養物をそのまま遠心分離して菌
体を除去し、得られる上清を粗酵素液として採取するこ
ともできる。この粗酵素液はさらに酵素の分野で通常用
いられている方法で精製することができる。この精製方
法としては、例えば、硫安分画法や限外濾過膜を用いて
酵素を濃縮した後、イオン交換カラムクロマトグラフィ
ー、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー等で行なえば良
い。
【0035】本発明のビブリオ・スピーシーズJT02
05よりノイラミニダーゼ205を生産する具体的方法
は、該微生物を天然海水中に1%N-アセチルマンノサ
ミン、0.67% バクト イースト ニトロゲン ベ
ース w/o アミノ アシッド(Difco社製)を
加えた培地中で培養温度15〜35℃、好ましくは20
〜30℃、pH6.8〜8.8、好ましくは7.2〜
8.2、培養時間、10〜48時間、好ましくは16〜
36時間培養することにより行われる。
【0036】目的とする酵素は主に菌体外に分泌される
ため、培養液を遠心分離して菌体を除去すれば、高いノ
イラミニダーゼ活性(約1単位/ml)を有する粗酵素
液が得られる。さらに、この時点での酵素の比活性は約
50単位/mg proteinであり、この値は現在
市販されているノイラミニダーゼの中でも高品質のもの
に相当する。さらに、研究や検査に使用する際に問題と
なるプロテアーゼや各種グリコシダーゼ活性をほとんど
含まないことが確認された。すなわち本発明のビブリオ
・スピーシーズJT0205を用いれば、培養液上清を
直接、酵素液として用いることができることから、ノイ
ラミニダーゼを安価でしかも簡便に製造することができ
るという優れた利点を有している。
【0037】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明
する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。 〔実施例1〕 本発明のノイラミニダーゼ205の製造 (1) 酵素の採取 天然海水350mlを121℃で15分間滅菌した後、
蒸留水で3gのコロミン酸と2gのバクト イースト
ニトロゲン ベース w/o アミノ アシッドを溶解
して、滅菌フィルターを用いて無菌的に添加した。これ
に、ビブリオ・スピーシーズJT0205の前培養液3
mlを接種し、好気的培養条件下で27℃で48時間培
養した。培養終了後、培地を8,000xgで15分間
遠心し、菌体を除去して上清液300mlを得た。この
上清を粗酵素液とした。この粗酵素液の活性と比活性は
それぞれ、0.96単位/ml、50単位/mg pr
oteinであった。
【0038】(2) 酵素の精製 上記(1) において得られた粗酵素液を以下の操作で精製
した。粗酵素液300mlを充分量の25mM イミダ
ゾール塩酸バッファー(pH7.5)に対して透析した
後、同じバッファーで平衡化した50mlのQAE−ト
ヨパールを加えて穏やかに撹拌しながら酵素を吸着させ
た。これを空カラムに移して担体と上澄みを分けた。担
体は100mlの25mM イミダゾール塩酸バッファ
ー(pH7.5)で洗浄後、25mM イミダゾール塩
酸バッファー+0.5M NaCl(pH7.5)で担
体に吸着している酵素を溶出させた。活性画分はまとめ
て透析後、25mM イミダゾール塩酸バッファー(p
H7.5)で平衡化したMono−Q(ファルマシア
製)に付加し、吸着させ、0〜0.5M NaClのリ
ニアーグラジエントで溶出した。溶出後の活性画分は、
さらにゲル濾過にかけることにより、電気泳動的に単一
バンドの精製ノイラミニダーゼ205 2.1mgを取
得した。この精製酵素の比活性は113単位/mgprot
ein であり、出発粗酵素液に比べ精製度が約2倍に上昇
し、その収率は56%であった。
【0039】〔試験例1〕 二価金属イオンのノイラミ
ニダーゼ205の酵素活性への影響 精製したノイラミニダーゼ205の酵素活性に対する二
価金属イオンの影響を詳細に検討するために、基質とし
てコロミン酸を用い、50mMイミダゾール塩酸バッフ
ァー(pH7.5)中、各種の二価金属イオン(M
2+,Co2+,Cu 2+,Zn2+,Ba2+,Ca2+,Sr
2+)をそれぞれ20mM濃度になるように添加してノイ
ラミニダーゼ205の活性を測定した。具体的には、1
%(w/v)濃度のコロミン酸溶液(50mMイミダゾ
ール塩酸(pH7.5)中)22μlと0.003単位
/5μlの酵素液と200mMの二価金属イオン溶液3
μlからなる反応溶液を37℃、10分間インキュベー
トした後、遊離したシアル酸量をTBA法で定量し、二
価金属イオンの替わりに50mMイミダゾール塩酸バッ
ファー(pH7.5)を3μl添加して活性を測定した
コントロール値を基準として比較した。結果を表4及び
図2に示す。
【0040】
【表4】 ──────────────────────── 二価金属イオン 活性 (ΔOD549/10min.) ──────────────────────── コントロール 0.18 Mg2+ 1.81 Co2+ 1.58 Cu2+ 1.38 Zn2+ 1.00 Ba2+ 1.10 Ca2+ 0.52 Sr2+ 0.61 ──────────────────────── この表4から、ノイラミニダーゼ205は二価金属イオ
ンによりその酵素活性が高められることが判る。
【0041】〔試験例2〕 本発明のノイラミニダーゼ
205のpHによる作用性 コロミン酸に作用しないpH範囲を明らかにするため、
各pH範囲でのMgCl2存在下、非存在下での活性を
以下のようにして調べた。すなわち、25μlの1%コ
ロミン酸溶液を5μlの0.003単位の酵素液と以下
のバッファー中で反応させた。別個に、各バッファーに
20mMのMgCl2を添加した溶液中での活性を測定
した。その結果を図3に示す。図3からMgCl2無添
加の場合にコロミン酸にほとんど作用しないpH範囲は
7.5以上であった。したがってpH7.5以上かつM
gCl2無添加の条件でコロミン酸に本酵素を作用させ
れば、コロミン酸に作用させずに他のシアル酸含有物質
由来のシアル酸量を測定できる。
【0042】
【発明の効果】本発明により、ビブリオ・スピーシーズ
JT0205を好気的条件下で培養することによってノ
イラミニダーゼ205を菌体外に大量に、且つ夾雑蛋白
の少ない状態で提供することができる。また、コロミン
酸とシアル酸含有物質が混在した試料中に存在する各成
分由来のシアル酸量をこのノイラミニダーゼ205を用
いて測定する場合、まずpH7.5以上でMg2+等の二
価金属イオンを添加した条件でシアル酸量を求め、さら
に、Mg2+無添加で同様な測定を行なうことにより、各
成分由来のシアル酸量をそれぞれ測定することができ
る。この測定方法は、従来このような場合2種類の酵素
を使用していた方法に比較してノイラミニダーゼ205
の単一の酵素により測定できるものであり、極めて優れ
た方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノイラミニダーゼ205の各温度による作用性
を示す図。
【図2】ノイラミニダーゼ205活性への二価金属イオ
ンの影響を示す図。
【図3】基質をコロミン酸とした場合における、ノイラ
ミニダーゼ205の各pH範囲での酵素活性(MgCl
2存在下、非存在下)を示す図。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有する新規なノイ
    ラミニダーゼ205。 (1)作用及び特異性:糖蛋白質、糖脂質、オリゴ糖及
    び多糖類の糖鎖の非還元末端に存在するシアル酸残基を
    遊離させる反応を触媒する。 (2)至適pH:5〜7 (3)至適温度:50℃ (4)分子量:約65,000(SDS−PAGEによ
    る測定)
  2. 【請求項2】 ビブリオ属に属し、ノイラミニダーゼ2
    05生産能を有する微生物を培地に培養し、培養物から
    請求項1記載のノイラミニダーゼ205を採取すること
    を特徴とするノイラミニダーゼ205の製造方法。
  3. 【請求項3】 ノイラミニダーゼ205生産能を有する
    ビブリオ・スピーシーズJT0205。
JP15815795A 1995-06-23 1995-06-23 ノイラミニダーゼ205及びその製造方法 Pending JPH09253A (ja)

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