JPH09253576A - 塗装仕上方法 - Google Patents

塗装仕上方法

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JPH09253576A
JPH09253576A JP9031796A JP9031796A JPH09253576A JP H09253576 A JPH09253576 A JP H09253576A JP 9031796 A JP9031796 A JP 9031796A JP 9031796 A JP9031796 A JP 9031796A JP H09253576 A JPH09253576 A JP H09253576A
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晋 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】環境汚染防止に対応した水性系の材料でありな
がら、被塗物または被塗物表面の既存塗膜、仕上塗材の
種類を選ばず、溶剤系の仕上塗材においても、リフティ
ングを発生することなく、弾性の仕上塗材や既存塗膜に
おいても優れた密着性を示すサーフェーサーにより、下
地調整材とシーラーの2工程を1工程に簡略化した塗装
仕上方法を得る。 【解決手段】(A)官能基モノマーを含有しない特定の
水性合成樹脂エマルションに、(B)官能基モノマーを
含有しない特定の塩化ビニリデン系水性ラテックスと、
(C)無機質粉体を特定比率で混合し、かつ、全体の樹
脂固形分に占める塩素量が、2.5〜15.0重量%と
なるように調整したサーフェーサーを塗付後に仕上塗材
を塗付する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物、土木構築
物や、それらに用いられる建築土木資材等の各種被塗物
への塗装仕上、及び、被塗物表面の既存塗膜への改装、
改修塗装仕上に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、一般的な建築物、土木構築物被塗物
への塗装仕上は、改修の場合には、劣化した旧塗膜を除
去した後、新築の場合には直接、下地調整材にて下地の
平滑処理を行った後、下塗材(シーラー或いはプライマ
ー)を塗付した上で、仕上塗材を塗付する方法が採られ
ていた。一方、近年では塗膜の耐候性がある程度向上し
たため、既存塗膜を除去しなくても塗り替えを行う場合
が増えてきている。しかしながら、これらの既存塗膜を
残した塗り替え工事においても、既存塗膜のテクスチャ
ーパターンを消す為に、下地調整を行った後に下塗材を
塗付した上で、仕上塗材を塗付したり、既存塗膜のテク
スチャーパターンを残す塗り替えでも、下塗材を塗付し
た上で仕上塗材を塗付している。これは、美装性、被塗
物の保護を目的とする仕上塗材が、その外観の色調、
艶、模様や、物理的、化学的耐久性に重点がおかれてい
るのに対して、塗装が施される被塗物は、その種類や表
面状態が多岐に亘り、それらすべての被塗物に密着し、
美装性、被塗物の保護性を良好に維持するのは困難だか
らである。そこで被塗物への塗装仕上げに先駆け、被塗
物との密着性や被塗物の表面平滑化に優れた下地調整材
を塗付したり、さらにその表面に下塗材を塗付してお
き、そのような下塗材の表面に塗装を施す手法が行われ
るようになったのである。このような方法では、被塗物
の種類や表面状態に影響されることなく、塗装仕上を行
えるというメリットがある反面、このような下地調整材
や下塗材を塗付する工程が増えるというデメリットもあ
る。したがって、最近では一つの材料で既存塗膜に付着
し、かつ、下地調整材の役割と下塗材の役割を持つサー
フェーサーという材料が上市されてきている。
【0003】このようなサーフェーサーとしては、水性
のアクリルエマルションを主体とするアクリルエマルシ
ョン系、溶剤形の二液反応硬化形のエポキシ樹脂を主体
とするエポキシ系、水性のエマルションとセメントとい
う混和液、粉体の2パックからなるポリマーセメント系
等のものがあり、特にこれらのサーフェーサーは、被塗
物のひび割れや、膨張収縮に追従するため微弾性化され
ているのが特徴である。
【0004】一方、近年地球環境の保護を目的として、
大気汚染や悪臭の基になる有機溶剤を削減する努力がな
されている。塗料・塗装業界においてもこのような流れ
は例外ではなく、前述のようなサーフェーサーも水性へ
の転換を行っているのが実状である。このような水性化
の基本技術となるのが、水性合成樹脂エマルションであ
る。
【0005】このような水性合成樹脂エマルションは、
水溶媒中において乳化重合等によって高分子量の合成樹
脂粒子を分散させたものであり、溶媒である水が蒸発す
ることにより、合成樹脂粒子間が接近し、最終的には接
触、融着して膜を形成するものである。さらに、このエ
マルションの合成樹脂粒子のモノマーとして、グリシジ
ル基とカルボキシル基、ヒドラジド基とカルボニル基、
エポキシ基とアミノ基等の、架橋反応を生じる官能基を
有するモノマー(以下、官能基モノマーという。)を含
有させておくことにより、融着時の合成樹脂粒子の結合
をより強固にし、形成される膜の耐久性を向上させるこ
とも行われている。
【0006】このような水性合成樹脂エマルションを使
用したサーフェーサーに対して、仕上塗材の種類は、完
全な水系化には未だ至っておらず、耐候性の優秀さや寒
冷地での塗装を考慮した場合、依然として溶剤形の使用
比率が高いのが現状である。前述のように、水性系のサ
ーフェーサー、特に官能基モノマーを含有する架橋型エ
マルションは、合成樹脂粒子の融着、架橋によって被膜
を形成するため、形成された被膜は、このような溶剤形
の仕上塗材によっては容易に溶解されないため、建築物
等の新設下地においては、サーフェーサーが水性系で、
仕上塗材が溶剤形という組み合わせにより塗装される場
合も考えられた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の水
性系サーフェーサーは下記のような問題点を有してい
た。すなわち、従来の架橋タイプのアクリルエマルショ
ン系サーフェーサーは、溶剤に不溶であるために、被塗
物表面に、溶剤によって溶解されるような既存塗膜が存
在する場合の再塗装、つまり改装時には、仕上塗材とし
て溶剤形のものを用いた場合、その仕上塗材の溶剤によ
って、サーフェーサー塗膜は溶解されることはないが、
既存塗膜にまで浸透した溶剤が既存塗膜を溶解させるた
め、サーフェーサー塗膜がちぢみ、浮き上がる現象(以
下、リフティングという。)が発生していた。例えば、
図1に示すように、既存塗膜が一液溶剤形アクリル樹脂
塗膜の場合、その表面に、架橋タイプのアクリルエマル
ション系サーフェーサーを塗付した後に、溶剤形仕上塗
材を塗装した際に、その溶剤によって一液溶剤形アクリ
ル樹脂塗膜が再溶解されるのに対して、架橋タイプのア
クリルエマルション系サーフェーサーが、溶剤に容易に
は溶解しないため、その界面でちぢみとなって現れるも
のである。このため、既存塗膜の種類により、溶剤形の
仕上塗材を使用できなかった。
【0008】また、従来の非架橋タイプのアクリルエマ
ルション系サーフェーサーの場合には、特に溶剤形二液
反応硬化形の仕上塗材を用いた場合に、サーフェーサー
自身の表面が再溶解されるため、仕上塗材の1回の塗付
は特に問題を生じないが、仕上塗材の硬化後の再塗装
(以下、リコートという。)の場合には、サーフェーサ
ー自身が前述の既存塗膜と同じ状態になり、1回目の仕
上塗材塗膜がリフティング現象を起こしていた。例え
ば、図2に示すように、既存塗膜が一液溶剤形アクリル
樹脂塗膜の場合、その表面に非架橋タイプのアクリルエ
マルション系サーフェーサーを塗装した後に、溶剤形二
液反応硬化形ウレタン樹脂塗料を塗装しても、一液溶剤
形アクリル樹脂塗膜および非架橋タイプのアクリルエマ
ルション系サーフェーサーがそれぞれ溶剤で再溶解する
のみで、特に問題は生じないが、溶剤形二液反応硬化形
ウレタン樹脂塗料が完全硬化後に、さらに溶剤形二液反
応硬化形ウレタン樹脂塗料をリコートした場合には、非
架橋タイプのアクリルエマルション系サーフェーサーが
再溶解されるのに対して、溶剤形二液反応硬化形ウレタ
ン樹脂塗膜が溶剤に溶解しにくいため、その界面でちぢ
みとなって現れるものである。
【0009】さらに、既存塗膜や仕上塗材が弾性を有す
る塗膜の際には、サーフェーサーとの密着性が不十分で
あり層間剥離を生じる場合がある。したがって、前述の
アクリルエマルション系、エポキシ系、ポリマーセメン
ト系の何れのサーフェーサーにおいても、通常は弾性仕
上塗材用の専用下塗材を使用しなければならなかった。
また、エポキシ系およびポリマーセメント系サーフェー
サーは二液混合形であり、調合の手間や低温時の反応硬
化性に問題があり、施工管理が難しく汎用的に使用する
には問題があった。
【0010】したがって、本願発明が解決しようとする
課題は、昨今の環境保護の流れに沿った水性系でありな
がら、被塗物、被塗物表面の既存塗膜、仕上塗材の種類
を選ばず、溶剤形の仕上塗材においてもリフティング発
生することなく、弾性の仕上塗材や既存塗膜においても
優れた密着性を示す下地調整材と下塗材の役割を持つサ
ーフェーサーを用いて、塗装工程の短縮を図り、また、
被塗物のひび割れや、膨張収縮によっても表面仕上塗材
が影響されない、優れた塗装仕上方法を確立することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明者らは特定のモノマー組成の水性合成
樹脂エマルションと、塩素を含有する特定の水性ラテッ
クスを含有するサーフェーサーを使用することに想到し
本願発明を完成した。すなわち本願発明は、 1.被塗物表面、または被塗物表面の既存塗膜面に、
(A)アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタク
リレートを含有し、その他の官能基モノマーを含有せ
ず、そのガラス転移温度(以下、Tgという。)が、−
20℃〜10℃であることを特徴とする水性合成樹脂エ
マルション、(B)塩化ビニル、塩化ビニリデン、アル
キルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートを
含有し、その他の官能基モノマーを含有せず、重量平均
分子量が30000〜200000の塩化ビニリデン系
水性ラテックス、(C)無機質粉体を、(A)の固形分
100重量部に対して、(B)の固形分が5〜40重量
部、かつ、全体の樹脂固形分重量に対して、塩素量が
2.5〜15.0重量%となるように(A)と(B)を
混合し、顔料容積濃度(以下、PVCという。)が15
〜60%となるように、さらに(C)を混合したサーフ
ェーサーを塗付した後に、仕上塗材を塗付することを特
徴とする塗装仕上方法。 2.(A)および(B)の官能基モノマーとして、ヒド
ロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー
の何れか、または両者のみ、5重量%以下含有している
ことを特徴とする1.記載の塗装仕上方法。 3.ヒドロキシル基含有モノマーが、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートであることを特徴とする2.に記載
の塗装仕上方法。 4.(B)の塩化ビニルと塩化ビニリデンの比率が、1
00:20〜100:180であることを特徴とする
1.から3.の何れかに記載の塗装仕上方法。 5.仕上塗材が、シクロアルキルアクリレート及び/又
はシクロアルキルメタクリレート含有の、シリコン変性
アクリル系水性塗料であることを特徴とする1.から
4.の何れかに記載の超耐候性水性塗装仕上方法。 6.仕上塗材が、アルキルシリケートを含有する非汚染
塗料であることを特徴とする1.から4.の何れかに記
載の非汚染塗装仕上方法。 7.既存塗膜が伸び率50〜500%の弾性塗材である
ことを特徴とする1.から6.の何れかに記載の改修仕
上塗装方法。 8.既存塗膜が非架橋型一液形合成樹脂からなるもので
あり、仕上塗材が溶剤形であることを特徴とする1.か
ら4.の何れかに記載の改修仕上方法。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における(A)の水性合成
樹脂エマルション(以下、(A)成分という。)は、ア
ルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレート
を構成モノマーとして含有する。ここでアルキルアクリ
レートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレ
ート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレ
ート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレ
ート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレ
ート、2−メチルペンチルアクリレート、n−オクチル
アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−
デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−
オクタデシルアクリレート等から選択される1種以上
を、アルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリ
レート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタク
リレート、n−ペンチルメタクリレート、イソアミルメ
タクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−メチ
ルペンチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−デシルメ
タクリレート、n−ドデシルメタクリレート、n−オク
タデシルメタクリレート等から選択される1種以上を用
いることができる。この他にスチレン等の公知のモノマ
ーを、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜用いること
もできる。
【0013】本発明では、被塗物自身やその表面に弾性
の既存塗膜が存在する場合においても、下塗材としての
充分な機能発揮をさせるために、そのTgは、−20℃
〜10℃であることが必要で、特にそのような目的の為
に、2−エチルヘキシルアクリレートを含有することが
望ましい。このときTgが−20℃より低いと仕上塗材
として、硬質のものを使用した場合に、仕上塗材にクラ
ックを生じることになり、10℃より高くなると、弾性
を有する被塗物に対して、本願発明のサーフェーサーを
用いた場合、塗膜自体にクラックを生じることになる。
【0014】次に本発明における(A)成分は、官能基
モノマーを含有しないことが特徴であるが、このような
官能基モノマーは従来水性合成樹脂エマルションから形
成される被膜の物性向上のために、積極的に用いられて
きたものである。本発明ではこのような官能基モノマー
を含有する水性合成樹脂エマルションがかえって下塗材
としての適性を狭めていることを見いだしたものであ
る。このような官能性モノマーは、前述のような、グリ
シジル基とカルボキシル基、ヒドラジド基とカルボニル
基、エポキシ基とアミノ基の他に、ヒドロキシル基とカ
ルボキシル基、自己縮合する3級アミン−エピクロルヒ
ドリンアダクト、弱反応性イソシアネートとアミノ基、
カルボキシル基とアジリジン基、自己縮合するアルコキ
シシリル基、カルボキシル基とカルボジイミド基、アセ
トアセテート基とケチミン基、α位にヘテロ原子を有す
るエステル基とアミノ基等、また水性合成樹脂エマルジ
ョンの安定性向上のために用いられるアクリルアミド等
もあげられる。
【0015】但し、カルボキシル基とヒドロキシル基と
の反応性はそれほど高くないため、官能基モノマーとし
て、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有
モノマーの何れか、または両者のみを5重量%以下含有
することは許容される。また、これらのモノマーを含有
させることにより、溶剤のシール性が向上する。このよ
うなヒドロキシル基含有モノマーとしては、2−ヒドロ
キシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキ
シプロピルメタクリレート等が、カルボキシル基含有モ
ノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸等があげら
れる。このなかでも特に2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートは、耐水性を比較的低下させずに、これを使用し
た水性合成樹脂エマルションから形成される被膜表面を
親水性にできるため、溶剤のシール性がより向上すると
いう効果がある。
【0016】このような(A)成分の製造法は、一般的
なエマルションの製造方法である乳化重合等によって行
うことが可能であり、特に限定されることはない。また
製造された水性合成樹脂エマルションの分子量も特に限
定されることはないが、そのような水性合成樹脂エマル
ションから形成される被膜が、トルエン等の溶剤に容易
に溶解されない程度となるような高分子量であることが
必要である。したがって、目安としては重量平均分子量
で300000以上であることが望ましい。なお、本発
明における重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフ)によって測定し、ポリスチレン
換算した値である。
【0017】次に、(B)の塩化ビニリデン系水性ラテ
ックス(以下、(B)成分という。)は、塩化ビニル、
塩化ビニリデンを共重合モノマーとして使用する以外
は、前述した(A)成分と同様の共重合モノマーを使用
し、また、同様の官能基モノマーの使用が許容される。
【0018】また、このような(B)成分の製造法も、
前述同様に乳化重合等の方法で可能であるが、ラテック
スの安定性を考慮すれば、塩化ビニル、塩化ビニリデン
を除く共重合モノマーのみを、最初に種ポリマーとして
重合するシード重合によることが望ましい。
【0019】(B)成分の分子量は、重量平均分子量
で、30000〜200000の範囲である必要があ
る。30000より小さい場合には、耐溶剤性が不十分
なため、特に二液反応硬化形の仕上塗材を用いた場合
に、サーフェーサー自身の表面が再溶解されるため、仕
上塗材の1回の塗付は特に問題を生じないが、仕上塗材
の硬化後のリコートの場合には、1回目の仕上塗材塗膜
がリフティング現象を起こすことになる。200000
より大きい場合には、一般的な重合方法によっては、安
定して(B)成分を製造することが困難である。
【0020】本願発明では、以上のような(A)、
(B)成分および後述する(C)成分を混合するもので
あるが、まず(A)、(B)成分の混合比率は、(A)
成分の固形分100重量部に対して、(B)成分の固形
分が5〜40重量部である。また、この際に全体の樹脂
固形分重量に対して、塩素量が2.5〜15.0重量%
であることが必要である。このような塩素量にすること
によって、弾性を有する被塗物や、被塗物表面の既存塗
膜が弾性系塗膜、仕上塗材が弾性系の場合も含めて優れ
た密着性を示すものである。(B)成分の固形分が5重
量部より少ないときは、このような塩素量の範囲に満た
ないため、密着性の効果が不十分であり、(B)成分の
固形分が40重量部より多いときは、塩素量が上限を越
え、塩素による変色が生じたり、塩素量は規定範囲内で
あっても、(A)成分に比較した場合に、より分子量の
低い(B)成分の相対比率の上昇を招くことになり、そ
の結果溶剤のシール性が低下することになる。
【0021】ここで、(B)成分において、塩化ビニル
と塩化ビニリデンの比率は、100:20〜100:1
80であることが望ましい。これは、100:180よ
り塩化ビニルが少なくなると、塩化ビニリデンが相対的
に多くなり、その結果、(B)成分のTgが高くなり、
弾性を有する被塗物に対して、本願発明のサーフェーサ
ーを用いた場合に、塗膜自体にクラックを生じることに
なるからである。また、100:20より塩化ビニルが
多くなると、塩化ビニリデンが相対的に少なくなり、
(B)成分においては、同一重量当たりの塩素量が相対
的に少なくなるため、前述のように、密着性向上の為
に、サーフェーサー中の樹脂固形分にしめる塩素量を
2.5〜15.0重量%にするには、(B)成分の配合
量が増加することになる。これは、(A)成分に比較し
た場合に、より分子量の低い(B)成分の相対比率の上
昇を招くことになり、その結果溶剤のシール性が低下す
ることになる。
【0022】次に(C)の無機質粉体は、重質炭酸カル
シウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、け
い藻土、ホワイトカーボン、タルク、バライト、沈降性
硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪砂、石英粉、ウオラス
トナイト等があげられる。また、公知の着色顔料を用い
ることもできる。本発明ではこのような(A)、
(B)、(C)成分を混合したサーフェーサーを製造す
るにあたって、(C)の混合比率はPVCで15〜60
%となるように調整する。
【0023】本発明サーフェーサーには、上記以外に、
通常塗料に配合することが可能な各種添加剤を本発明の
効果に影響しない程度に配合することが可能である。こ
のような添加剤としては、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防
藻剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、沈降防止剤、た
れ防止剤、造膜助剤、増粘剤、流動調整剤、乾燥調整剤
等があげられる。
【0024】本発明において使用される仕上塗材は特に
限定されないが、例えばJIS A6021(1995) 屋根用塗膜防
水材、JIS A6909(1995) 建築用仕上塗材、JIS K5654(19
92)アクリル樹脂エナメル、JIS K5656(1992) 建築用ポ
リウレタン樹脂塗料、JIS K5658(1992) 建築用ふっ素樹
脂塗料、JIS K5660(1995) つや有合成樹脂エマルション
ペイント、JIS K5663(1995) 合成樹脂エマルションペイ
ント、JIS K5667(1995) 多彩模様塗料、JIS K5668(199
5) 合成樹脂エマルション模様塗料に規定されるもの等
が挙げられる。
【0025】特に、JIS K5658(1992) 建築用ふっ素樹脂
塗料に規定される物性を有する仕上塗材や、加水分解性
シリル基を含有するシリコン変性アクリル樹脂塗料(通
称:アクリルシリコン塗料)を用いた場合には、これら
の超耐候性仕上塗材の効果と相まって、サーフェーサー
と超耐候性仕上材による工程短縮型の超耐候性塗装方法
となる。
【0026】また、JIS A6909(1995) 建築用仕上塗材
の、複層仕上塗材の耐候形1種に規定される物性を有す
る水性仕上塗材を用いた場合には、サーフェーサーと超
耐候性水性仕上材による工程短縮型の完全水性塗装方法
となる。このような超耐候性塗料の一例をあげると、下
記ののようになる。
【0027】超耐候性塗料 主成分として、 (D)シクロアルキルアクリレート及び/又はシクロア
ルキルメタクリレートを有する重合性単量体 (E)アルコキシシラン化合物 (F)鎖式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アル
キルエステル単量体 (G)その他の重合性単量体 とを乳化重合してなる水性樹脂分散体を含有する超耐候
性水性仕上塗料である。
【0028】以下に各構成要素について示す。 (D)シクロアルキルアクリレート及び/又はシクロア
ルキルメタクリレートを有する重合性単量体 (D)のシクロアルキルアクリレート及び/又はシクロ
アルキルメタクリレートを有する重合性単量体(以下、
(D)成分という。)は、得られる超耐候性水性仕上塗
料に、優れた耐候性、耐変色性、耐クラック性、耐水
性、光沢および光沢保持性を与えるために必須の成分で
あり、例えば、シクロペンチルアクリレート、シクロペ
ンチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、
シクロヘキシルメタクリレート、メチルシクロヘキシル
アクリレート、メチルシクロヘキシルメタクリレート、
t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、t−ブチルシ
クロヘキシルメタクリレート、シクロオクチルアクリレ
ート、シクロオクチルメタクリレート、シクロドデシル
アクリレート、シクロドデシルメタクリレートなどを挙
げることができ、これらの1種または2種以上を使用す
ることができる。
【0029】(E)アルコキシシラン化合物 (E)アルコキシシラン化合物(以下、(E)成分とい
う。)は、得られる水性樹脂分散体に、優れた耐候性、
光沢保持性、耐水性、および、無機質基材に対する優れ
た密着性を与えるために必須の成分であり、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルト
リス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジ
メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β
−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、などを挙げることができ、これらの1種または2
種以上を使用することができる。
【0030】(F)鎖式アルキル基を有する(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル単量体 (F)鎖式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アル
キルエステル単量体(以下(F)成分という。)として
は例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メ
タ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル
(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレー
トなどを挙げることができ、これらの1種または2種以
上を使用することができる。
【0031】(G)その他の重合性単量体 (G)その他の重合性単量体(以下、(G)成分とい
う。)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコ
ン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸などのエチレ
ン系不飽和カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物、(メ
タ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドな
どのエチレン系不飽和カルボン酸アルキルアミド、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエ
ステル、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエ
チルアクリレート、ブチルアミノエチルアクリレートな
どのエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルエステ
ル、アミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチ
ルメタクリルアミド、メチルアミノプロピルメタクリル
アミドなどのエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキ
ルアミド、(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアク
リロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体、グリシジ
ル(メタ)アクリレートなどの不飽和脂肪族グリシジル
エステルなどを挙げることができ、これらの1種または
2種以上を使用することができる。
【0032】一方、最近、アルキルシリケートを含有す
る、合成樹脂塗料から形成される塗膜が、表面親水性と
なるため、大気中の親油性汚染物質が付着した場合で
も、降雨により水滴が汚染物質と塗膜との間隙に浸入
し、その汚染物質を浮き上がらせると共に洗い流すこと
が知られるようになってきた。このようなアルキルシリ
ケート含有の塗料を仕上塗材として用いると、工程短縮
型の非汚染塗装仕上方法となる。このような非汚染塗料
の一例をあげると、下記のからのようになる。
【0033】非汚染塗料組成物 (H)ポリオール (I)アルキレンオキサイド鎖を含有するアルコキシシ
ラン化合物 (J)アルキルシリケートおよび/またはこれらの縮合
物 (K)ポリイソシアネート から構成されるもの。
【0034】非汚染塗料組成物 (L)含フッ素共重合体 (I)アルキレンオキサイド鎖を含有するアルコキシシ
ラン化合物 (J)アルキルシリケートおよび/またはこれらの縮合
物 (K)ポリイソシアネート から構成されるもの。
【0035】非汚染塗料組成物 (M)加水分解性アルコキシシリル基含有アクリル共重
合体 (I)アルキレンオキサイド鎖を含有するアルコキシシ
ラン化合物 (J)アルキルシリケートおよび/またはこれらの縮合
物から構成されるもの。
【0036】以下に各構成要素について示す。 (H)ポリオール (H)のポリオール(以下、(H)成分という。)は、
ポリウレタン技術分野において一般的に使用されるオリ
ゴマーポリオールを意味し、硬化剤であるポリイソシア
ネートと混合・反応することにより、仕上材の塗膜形成
主要素となるものである。このポリオールは、ポリエー
テルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポ
リオール等がある。
【0037】(I)アルキレンオキサイド鎖含有アルコ
キシシラン化合物 (I)アルキレンオキサイド鎖を含有するアルコキシシ
ラン化合物(以下、(I)成分という。)は、アルキレ
ンオキサイド基の繰り返し単位と、少なくとも1個以上
のアルコキシシリル基を有する化合物である。(I)成
分は、その両末端がアルコキシシリル基であってもよ
く、一端がアルコキシシリル基であって、他端がその他
の官能基であってもよい。このような片末端に有するこ
とのできる官能基としては、例えば、ビニル基、ヒドロ
キシル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、
メルカプト基等が挙げられる。また、該官能基は、アル
コキシシリル基との間にウレタン結合、尿素結合、シロ
キサン結合、アミド結合等を介して結合されたものであ
っても良い。このような(I)成分は、例えば、ポリア
ルキレンオキサイド鎖含有化合物と、アルコキシシリル
基含有化合物(以下、カップリング剤という。)を反応
させて合成したものが使用できる。
【0038】ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物と
しては、ポリエチレングリコール、ポリエチレン−プロ
ピレングリコール、ポリエチレン−テトラメチレングリ
コール、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリオキシエチレンジグリコール酸、ポリエチレングリ
コールビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニ
ルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、
ポリエチレングリコールジアリルエーテルなどが挙げら
れる。また、該ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物
は、1種もしくは2種以上の組み合わせから選択するこ
とができる。
【0039】一方、カップリング剤は、例えば、一分子
中に、少なくとも1個以上のアルコキシシリル基とその
ほかの置換基を有する化合物である。カップリング剤と
しては具体的には、例えば、β−(3、4エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−
β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、イソシアネー
ト官能性シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−メタクリロキシプロオピルメチルジエ
トキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキ
シシランなどが挙げられる。
【0040】(J)アルキルシリケート (J)アルキルシリケートおよび/またはこれらの縮合
物(以下、(J)成分という。)は、例えば、テトラメ
チルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラ−n
−プロピルシリケート、テトラ−i−プロピルシリケー
トから選択される1種以上が、縮合物としては、上記テ
トラアルキルシリケートを加水分解条件下にて縮合させ
て得られるものから選択される1種以上があげられる。
特にテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート
の少なくとも1種またはこれらの縮合物の使用が形成さ
れた塗膜の可撓性と緻密性のバランスの点から好まし
い。
【0041】(K)イソシアネート (K)イソシアネート(以下、(K)成分という。)
は、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジ
フェニルメタンジイソシアネート(pure−MD
I)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネー
ト(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HM
DI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水
添XDI、水添MDI等のイソシアネートモノマーをア
ロハネート、ビウレット、2量化(ウレチジオン)、3
量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミ
ド反応の他、ポリエステルポリオールやカプロラクタム
との反応等により、誘導体化したもの、および、それら
の混合物が使用可能である。
【0042】(L)含フッ素共重合体 (L)含フッ素共重合体(以下、(L)成分という。)
は、一般に常温硬化型のフッ素樹脂塗料に使用される水
酸基を持つフッ素樹脂を全て包括する。含フッ素共重合
体は、フッ素モノマーと共重合モノマーを共重合して得
られるが、フッ素モノマーとしては、テトラフルオロエ
チレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロ
プロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフ
ルオロエチレンなどが挙げられる。共重合モノマーとし
ては、ビニルモノマーが使用される。
【0043】(M)アルコキシシリル基含有アクリル共
重合体 (M)アルコキシシリル基含有アクリル共重合体(以
下、(M)成分という。)は、加水分解性アルコキシシ
リル基を1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以
上有する重合体である。このアルコキシシリル基は、
(M)成分の主鎖の末端または、側鎖に含まれていても
よく、双方に含まれていても良い。(M)成分は、例え
ばアクリル酸、メタクリル酸、それらの誘導体などのア
クリル系モノマーと、アルコキシシリル基含有モノマー
との共重合体により得ることができる。
【0044】本発明に用いる非汚染塗料組成物、及
びには、通常塗料に配合することが可能な顔料や各種
添加剤を本発明の効果に影響しない程度に配合するとが
可能である。このような添加剤としては、可塑剤、防腐
剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散
剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤
等があげられる。
【0045】その他、非汚染塗料組成物には、さらに
(N)アルコキシシリル基の加水分解・縮合用触媒(以
下、(N)成分という。)を加えることが可能である。
(N)成分の具体例としては、ジブチルスズジラウレー
ト、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレ
ート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズなど
の有機スズ化合物、リン酸、モノメチルホスフェート、
モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モ
ノオクチルホスフェート、モノデシルホスフェート、ジ
メチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチル
ホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホス
フェートなどのリン酸エステル、プロピレンオキサイ
ド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、
グリシジルメタクリレート、グリシドール、アクリルグ
リシジルエーテル、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、エポキシ化合物とリン酸および/またはモノ酸性リ
ン酸エステルとの付加反応物、マレイン酸、アジピン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、イタコン酸、クエン
酸、コハク酸、フタル酸、トリメット酸、ピロメット
酸、これらの酸無水物、p−トルエンスルホン酸などの
酸性化合物が挙げられる。また、これらの酸性触媒とア
ミンとの混合物または反応物も含まれる。例えば、ヘキ
シルアミン、N.N−ジメチルドデシルアミン、ドデシ
ルアミンなどのアミン類が挙げられる。
【0046】本発明の塗装方法の手順は、新築の場合は
被塗物に直接、改装、改修の場合には被塗物表面の既存
塗膜に(A)、(B)、(C)を含有するサーフェーサ
ーをスプレーによる吹き付けや、ローラーにより塗装
し、その後に仕上塗材を塗装する。この場合、サーフェ
ーサーの塗付量は300〜2000g/m2 程度の範囲
で行うことが望ましい。このときサーフェーサーの塗付
量の調整によって、既存塗膜の凹凸パターンを残した塗
装仕上げが可能である。さらにサーフェーサーは、それ
自身で凹凸模様のテクスチャーを形成させ、その上に仕
上塗材を塗付する方法も可能である。このような方法で
は、吹き付けによる場合は平滑に塗装した後に、玉状に
塗装する方法で行い、ローラーの場合にはパターンロー
ラー等により塗装を行う。
【0047】一方、仕上塗材の塗付量や塗装仕様は、各
仕上塗材の標準仕様に従えばよいが、上述した超耐候性
仕上塗材や非汚染塗料を用いた場合には、特に、それら
仕上塗材の有する優れた物性が、水性のサーフェーサー
の表面においても十分に発揮されることになる。
【0048】本発明の塗装方法は、被塗物表面に既存塗
膜が存在するような改修塗装においても施工が可能であ
る。このような改装、改修塗装の場合には、既存塗膜は
各種の場合が想定されるが、本発明塗装方法ではそれら
の種別に関わらず塗装が可能である。特に、従来の水性
サーフェーサーの問題点であった伸び率が50〜500
%というような弾性の既存塗膜がある場合でも、本発明
では良く密着する。これは仕上塗材に、JIS A6021(199
5) 屋根用塗膜防水材、JIS A6909(1995) 建築用仕上塗
材の防水形薄塗材E、JIS A6909(1995) 建築用仕上塗材
の防水形複層塗材E等の弾性系塗材を塗付した場合でも
同様であり、このような仕上材を用いた場合には総合弾
性防水塗膜を形成することになる。
【0049】また、既存塗膜が非架橋型一液形合成樹脂
からなる場合の、従来の水性サーフェーサーの問題点で
あった、溶剤形の仕上塗材によるリフティング現象は発
生しないため、既存塗膜の種類に関わらず、溶剤形の仕
上塗材を自由に選択して塗装することができる。したが
って、環境条件や耐候性に対する要望から、溶剤形の仕
上塗材を使用しなければならない場合にも下地調整と下
塗材については一つの材料で、かつ水性系にて施工でき
るというメリットがある。
【0050】
【作用】本発明の塗装仕上方法では、官能基モノマーを
含有しない、または、含有しても5重量%以下のヒドロ
キシル基またはカルボシキル基の何れかである、高分子
量のアクリル系水性合成樹脂エマルションに、官能基モ
ノマーを含有しない、または、含有しても5重量%以下
のヒドロキシル基またはカルボシキル基の何れかであ
る、塩化ビニリデン系水性ラテックスを混合したサーフ
ェーサーを使用しているため、塩素による極性で各種の
被塗物表面に密着するとともに、剥がれを発生しやすい
水性弾性系の仕上塗材との密着にも優れ、かつ、水性合
成樹脂エマルションと塩化ビニリデン系水性ラテックス
の粒子が適度な分布状態になっているため、溶剤形の仕
上塗材によって自身溶解され難く、既存塗膜や被塗物表
面が溶解されても、それらへの追従性を有する塗膜を形
成するものと思われる。
【0051】
【実施例】
(実施例1)表1に示した原料を使用して、表2に示し
た基本配合の様に、分散剤、造膜助剤、増粘剤、消泡剤
等の添加剤を添加し、通常の塗料と同様の製造方法にて
サーフェーサーを製造した。このサーフェーサーを用い
て、表3に示した仕上塗材を表4のような組み合わせに
て積層塗付し、以下の試験を行ったところ、仕上塗材が
溶剤形二液反応硬化形ウレタン樹脂エナメルにもかかわ
らず、全くリフティングを発生せず良好な塗膜外観を示
した。また、初期密着性に優れ、温冷繰り返し作用に対
する抵抗性試験においても、何ら異常が認められなかっ
た。
【0052】(試験体作製方法)300×300×6m
mのフレキシブルボードに、表3に示した既存塗膜を表
4の組み合わせのように下記の要領にて塗装した。
【0053】(イ)既存塗膜の塗付 一液溶剤形アクリル樹脂エナメル「SKアクリルカラ
ー」(エスケー化研株式会社製)の場合 塗付量200g/m2 で刷毛塗りし、その後、常温で2
時間乾燥養生し、さらに塗付量200g/m2 で再度刷
毛塗りし、常温で7日間乾燥養生した。
【0054】防水形外装合成樹脂エマルション系薄付
け仕上塗材(一般名:単層弾性塗材)「弾性トップレス
ソフト」(エスケー化研株式会社製)の場合 一液溶剤形塩化ゴム系シーラー「EXシーラー」(エス
ケー化研株式会社製)を塗付量200g/m2 で刷毛塗
りし、2時間常温で乾燥後、「弾性トップレスソフト」
を塗付量800g/m2 、工程内間隔時間4時間で、ウ
ールローラーを用いて2回塗りし、その後、常温で7日
間乾燥養生した。
【0055】(ロ)サーフェーサーの塗付 このようにして作製した塗装板の塗装面に、表2の配合
例1から配合例9の各サーフェーサーを表4の組み合わ
せのように、塗付量1kg/m2 で吹付塗装した後、常
温で24時間乾燥養生した。
【0056】(ハ)仕上塗材の塗付 更に、作製した塗装板に、表3に示した仕上塗材を表4
の組み合わせのように下記の要領にて塗装した。
【0057】溶剤形二液反応硬化形ウレタン樹脂エナ
メル「ウレタンカラー」(エスケー化研株式会社製)の
場合 塗付量150g/m2 にて刷毛塗りし、常温で2時間乾
燥養生し、さらに塗付量150g/m2 で刷毛塗りし、
常温にて24時間養生した。
【0058】防水形外装合成樹脂エマルション系薄付
け仕上塗材(一般名:単層弾性塗材)「ニュートップレ
スクリーン」(エスケー化研株式会社製)の場合 下塗材を用いず「ニュートップレスクリーン」を直接、
塗付量800g/m2、工程内間隔時間4時間で、ウー
ルローラーを用いて2回塗りし、常温で7日間乾燥養生
した。 一液溶剤形アクリル樹脂エナメル「SKアクリルカラ
ー」(エスケー化研株式会社製)の場合 塗付量200g/m2 で刷毛塗りし、その後、常温で2
時間乾燥養生し、さらに塗付量200g/m2 で再度刷
毛塗りし、常温で7日間乾燥養生した。
【0059】(評価方法) (1)リフティング(初期) 仕上塗材を塗付後24時間常温で乾燥し、リフティング
の発生の有無を目視で観察した。(○:リフティングな
し、×:リフティングあり) (2)初期密着性 仕上塗材を塗付後48時間常温で乾燥し、50℃の温水
に24時間浸漬し、引き上げて常温で乾燥し、テーピン
グ試験(JIS K 5400 8.5.2 碁盤目テープ法)により仕
上塗材が剥がれるかどうかを確認した。(○:剥がれな
し、×:剥がれあり) (3)リコート性(実施例5,6,7、比較例6のみ実
施) 仕上塗材を塗付後、1週間常温乾燥した試験体に、同じ
仕上塗材である「ウレタンカラー」(エスケー化研株式
会社製)を、塗付量150g/m2 で」刷毛塗りし、常
温で2時間養生し、さらに塗付量150g/m2 で刷毛
塗りし、常温で24時間乾燥し、リフティングの発生の
有無を目視で観察した。(○:リフティングなし、×:
リフティングあり) (4)温冷繰り返し作用に対する抵抗性(JIS A 6909(199
5)6.11に準拠) 仕上塗材を塗付後7日間常温で乾燥した後に、試験体を
20±2℃の水中に18時間浸漬した後、直ちに−20
±3℃の恒温器中で3時間冷却し、次いで50±3℃の
別の恒温器中で3時間加温し、この24時間を1サイク
ルとする操作を10回繰り返した後、試験室に2時間静
置し、塗膜の剥がれ、ひび割れ及び膨れの有無を目視に
よって調べる。(○:剥がれ,ひび割れ,膨れなし、
×:剥がれ,ひび割れ,膨れの何れかがあり)
【0060】(実施例2、3)表1に示した原料を使用
して、表2に示した配合にてサーフェーサーを製造し
た。このサーフェーサーを用いて、表3に示した仕上塗
材を表4のような組み合わせにて塗付し、実施例1と同
様に評価を行った。この結果、表5のように、実施例1
と同様に仕上塗材が溶剤形二液反応硬化形ウレタン樹脂
エナメルにもかかわらず、全くリフティングを発生せず
良好な塗膜外観を示した。また、初期密着性に優れ、温
冷繰り返し作用に対する抵抗性試験においても、何ら異
常が認められなかった。
【0061】(実施例4)表1に示した原料を使用し
て、表2に示した配合にてサーフェーサーを製造した。
このサーフェーサーを用いて、表3に示した非汚染塗料
を表4のような組み合わせにて塗付し、実施例1と同様
に評価を行った。この結果、表5のように、水性の単層
弾性塗材を仕上塗材に用いたにもかかわらず、温冷繰り
返し作用に対する抵抗性試験において何ら異常が認めら
れず、密着性に優れていることがわかった。
【0062】(実施例5、6、7)表1に示した原料を
使用して、表2に示した配合にてサーフェーサーを製造
した。このサーフェーサーを用いて、表3に示した仕上
塗材を表4のような組み合わせにて塗付し、リフティン
グの有無を確認した後、さらにリコート試験用の仕上塗
材2の「ウレタンカラー」(エスケー化研株式会社製)
を塗付し、リコートによるリフティングを確認した後、
初期密着性、温冷繰り返し作用に対する抵抗性試験を行
った。この結果、表5のように、何れの試験体も、初期
密着性及びリコートによるリフティングが認められず、
かつ、初期密着性、温冷繰り返し作用に対する抵抗性試
験の異常が認められなかった。
【0063】(実施例8)表1に示した原料を使用し
て、表2に示した配合にてサーフェーサーを製造した。
このサーフェーサーを用いて、下記の超耐候性塗料と表
3に示した塗料を用い、表4のような組み合わせにて積
層塗付し、実施例1と同様に試験を行った。この結果、
表5のように、既存塗膜が、水性の単層弾性(伸び37
3%)にも関わらず、膨れ、剥がれを発生せず、充分な
密着性を示し、仕上塗材が水性の超耐候性のため、オー
ル水性でありながら優れた耐候性の積層塗膜を形成し
た。なお、超耐候性塗料は下記のような方法によって製
造した。
【0064】* 超耐候性塗料製造方法 * シクロヘキシルメタクリレート65部、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン10部、2−エチルヘ
キシルアクリレート23部、アクリル酸2部、エレミノ
ールJS−2[三洋化成(株)製、反応性乳化剤]10
部、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエー
ト)0.5部、水54部、メタノール6部を加え、攪拌
して乳化後、さらに超音波を用いて粒径0.5μmの単
量体を含む分散体を作製した。次に、攪拌器、還流冷却
器、滴下ロート、窒素導入口、温度計を備えた反応容器
に、水63部、メタノール7部を仕込み、攪拌しながら
80℃に昇温した。単量体を含む分散体を、上記反応容
器に4時間にわたって滴下し、反応を行った。滴下中
は、窒素を導入しながら80℃で反応を行い、25%エ
チルアミン水溶液を適時添加しpHを6〜8に保った。
滴下終了後、熟成を2時間行い、室温に冷却し、水性樹
脂分散液を得た。次に、得られた水性樹脂分散体をバイ
ンダーとする超耐候性塗料を、下記配合にて作製した。 水性分散体 67.0部 酸化チタンペースト(70%) 29.3部 テキサノール 2.7部 増粘剤(ポリアクリル酸系) 0.5部 消泡剤(シリコーン系) 0.5部 ──────────────────────── 合計 100.0部 また、この積層した超耐候性塗膜を、JIS A 6909(1995)
耐候性B法によって試験したところ、耐候形1種の性
能を有していることがわかった。
【0065】(実施例9)表1に示した原料を使用し
て、表2に示した配合にてサーフェーサーを製造した。
このサーフェーサーを用いて、下記の非汚染塗料と表3
に示した塗料を用い、表4のような組み合わせにて積層
塗付し、実施例1と同様に試験を行った。この結果、表
5のように、仕上塗材が溶剤形の硬質塗膜を形成するに
もかかわらず、リフティングおよびひび割れの発生が無
く、非汚染塗料の効果によって、既存塗膜の一液溶剤形
アクリル樹脂エナメルでは得られない非汚染性に優れた
表面を形成した。なお、非汚染塗料は下記のような方法
によって製造した。
【0066】* 非汚染塗料製造方法 * (ポリアルキレンオキサイド鎖含有カップリング剤合
成)加熱装置、攪拌器、環流装置、脱水装置、温度計を
備えた反応槽に、ポリエチレングリコール200(重量
平均分子量200:和光純薬株式会社製)20重量部
と、イソシアネート含有シランであるY−9030(日
本ユニカー株式会社製)54.3重量部と、ジブチルス
ズラウリレート0.05重量部とを仕込み、50℃にて
8時間反応させ、淡黄色のポリエチレンオキサイド鎖含
有カップリング剤を得た。このポリエチレンオキサイド
鎖含有カップリング剤の重量平均分子量は、ゲル浸透ク
ロマトグラフィー(以下GPCという)のポリスチレン
換算により測定した結果800であった。
【0067】(配合)重量平均分子量30000、水酸
基価40KOHmg/g、モノマー組成が、メチルメタクリレ
ート/n−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロ
キシエチルメタクリレートである固形分比率50%アク
リルポリオールの固形分100重量部に対して、合成例
に示すポリエチレンオキサイド鎖含有カップリング剤を
6重量部、重量平均分子量500のメチルシリケート2
0重量部、酸化チタン84重量部を均一に混練し、白色
塗料の主剤を作成した。この主剤に対してOH/NCO
比率が0.9となるように、NCO比率が23.1%の
ヘキサメチレンジイソシアネートを固形分換算で15.
0重量部添加して非汚染塗料を得た。
【0068】また、この積層した非汚染塗膜は、表面硬
度2H(JIS K 5400(1990) 8.4 鉛筆引っかき値)であ
り、かつ、大阪府茨木市で南面向き45度傾斜にて屋外
暴露を実施した場合の、初期と6ヶ月後の明度差(ΔL
値)を、東京電色(株)社製TC−1800型色差計を
用いて測色した時、−1.0から−2.0の値を示し、
耐汚染性に優れていた。
【0069】(比較例1)表1に示した原料を使用し
て、表2に示した配合にてサーフェーサーを製造した。
このサーフェーサーを用いて、表3に示した仕上塗材を
表4のような組み合わせにて積層塗付し、実施例1と同
様に試験を行ったところ、表5のように、既存塗膜が、
一液溶剤形アクリル樹脂エナメルであり、サーフェーサ
ーの水性合成樹脂エマルション3が官能基モノマー(ア
クリルアミド)を含有するため、仕上塗材の溶剤形二液
反応硬化形ウレタン樹脂エナメルの溶剤によって、サー
フェーサーがリフティングを起こした。
【0070】(比較例2)表1に示した原料を使用し
て、表2に示した配合にてサーフェーサーを製造した。
このサーフェーサーを用いて、表3に示した仕上塗材を
表4のような組み合わせにて積層塗付し、実施例1と同
様に試験を行ったところ、表5のように、既存塗膜が、
一液溶剤形アクリル樹脂エナメルであり、サーフェーサ
ーの塩化ビニリデン系ラテックス3が官能基モノマー
(アクリルアミド)を含有するため、仕上塗材の溶剤形
二液反応硬化形ウレタン樹脂エナメルの溶剤によって、
サーフェーサーがリフティングを起こした。
【0071】(比較例3)表1に示した原料を使用し
て、表2に示した配合にてサーフェーサーを製造した。
このサーフェーサーを用いて、表3に示した仕上塗材を
表4のような組み合わせにて積層塗付し、実施例1と同
様に試験を行ったところ、表5のように、仕上塗材が、
水性単層弾性(伸び392%)のため、50℃の温水に
24時間浸漬の後、テーピング試験で仕上塗材膜が剥が
れてしまった。
【0072】(比較例4)表1に示した原料を使用し
て、表2に示した配合にてサーフェーサーを製造した。
このサーフェーサーを用いて、表3に示した仕上塗材を
表4のような組み合わせにて積層塗付し、実施例1と同
様に試験を行ったところ、表5のようにリフティング性
には問題がなかったが、サーフェーサーのPVCが高
く、塗膜が固くなりすぎ、既存塗膜が水性単層弾性(伸
び373%)のため、サーフェーサーと仕上塗材膜の双
方に割れを生じた。
【0073】(比較例5)表1に示した原料を使用し
て、表2に示した配合にてサーフェーサーを製造した。
このサーフェーサーを用いて、表3に示した仕上塗材を
表4のような組み合わせにて積層塗付した。このとき最
初の仕上塗材を塗装して、実施例1と同様に試験を行っ
たところ、全くリフティングを発生しなかった。その
後、その試験体を1週間乾燥養生の後に仕上塗材2の溶
剤形二液反応硬化形ウレタン樹脂エナメル「ウレタンカ
ラー」(エスケー化研株式会社製)を塗付量150g/
m2 にて刷毛塗りし、常温で2時間乾燥養生し、さらに
塗付量150g/m2 で刷毛塗りし、常温にて24時間
養生した後、実施例1と同様に試験を行ったところ、表
5のように、サーフェーサーの塩化ビニリデン系ラテッ
クス4の分子量が低いため、サーフェーサーが再溶解さ
れ、最初の仕上塗材膜がリフティングを発生した。すな
わちリコート性に劣ることがわかった。
【0074】(比較例6)表1に示した原料を使用し
て、表2に示した配合にてサーフェーサーを製造した。
このサーフェーサーを用いて、300×300×6mm
のフレキシブルボードに、表3に示した仕上塗材を表4
のような組み合わせにて積層塗付した。このとき最初の
仕上塗材を塗装して、実施例1と同様に試験を行ったと
ころ、全くリフティングを発生しなかった。その後、そ
の試験体を1週間乾燥養生の後に仕上塗材2の溶剤形二
液反応硬化形ウレタン樹脂エナメル「ウレタンカラー」
(エスケー化研株式会社製)を塗付量150g/m2 に
て刷毛塗りし、常温で2時間乾燥養生し、さらに塗付量
150g/m2 で刷毛塗りし、常温にて24時間養生し
た後、実施例1と同様に試験を行ったところ、表5のよ
うに、サーフェーサーの塩化ビニリデン系ラテックス4
の分子量が低いため、サーフェーサーが再溶解され、最
初の仕上塗材膜がリフティングを発生した。すなわちリ
コート性に劣ることがわかった。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【発明の効果】本発明の効果は、本発明で使用するサー
フェーサーが、従来の溶剤形、水性系サーフェーサーと
同様に、下地調整材とシーラーの両方の効果を有しなが
ら、従来の溶剤形、水性系サーフェーサーが有する問題
点を解決していることに起因して生じるものである。す
なわち、本発明のサーフェーサーは、被塗物表面に溶剤
によって溶解されるような既存塗膜が存在する場合の再
塗装において、仕上塗材として溶剤形のものを用いた場
合にも、リフティング現象を発生せず、特に溶剤形二液
反応硬化型の仕上塗材を用いた場合におけるリコートに
おいてもリフティング現象を起こさない。さらに、既存
塗膜や仕上塗材が弾性を有する塗膜の場合にも、密着性
が十分であり層間剥離を生じない。したがって、被塗
物、被塗物表面の既存塗膜、仕上塗材の種類を選ばない
ため、非汚染効果や耐候性に優れた溶剤形仕上塗材を用
いた総合塗膜、多機能型の水性単層弾性仕上塗材や超耐
候性の水性仕上塗材を用いた完全水性総合塗膜を、被塗
物や被塗物表面の既存塗膜に対して形成することが可能
である。また、その塗膜形成の際に、サーフェーサーの
塗付量によって、既存塗膜の凹凸パターンを残した仕上
としたり、サーフェーサー自身に凹凸パターンを付与し
たりする仕上方法も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一液溶剤形アクリル樹脂塗膜上での、架橋タイ
プのアクリルエマルション系サーフェーサーの、溶剤形
仕上塗材によるリフティング現象を示す断面図
【図2】一液溶剤形アクリル樹脂塗膜上での、非架橋タ
イプのアクリルエマルション系サーフェーサーの、溶剤
形二液反応硬化形ウレタン樹脂塗料によるリコート時の
リフティング現象を示す断面図
【符号の説明】
a 基材 b 一液溶剤形アクリル樹脂塗膜(既存塗膜) c 架橋タイプのアクリルエマルション系サーフェーサ
ー d 溶剤形仕上塗材塗膜 e リフティング(ちぢみ)現象 f 溶剤による再溶解部 g 非架橋タイプのアクリルエマルション系サーフェー
サー h 溶剤形二液反応硬化形ウレタン樹脂塗料塗膜
【表4】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 127/04 PFN C09D 127/04 PFN 133/06 PGF 133/06 PGF

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被塗物表面、または被塗物表面の既存塗膜
    面に、(A)アルキルアクリレート及び/又はアルキル
    メタクリレートを含有し、その他の、架橋反応を生じる
    官能基を有するモノマー(以下、官能基モノマーとい
    う。)を含有せず、そのガラス転移温度(以下、Tgと
    いう。)が、−20℃〜10℃であることを特徴とする
    水性合成樹脂エマルション、(B)塩化ビニル、塩化ビ
    ニリデン、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメ
    タクリレートを含有し、その他の官能基モノマーを含有
    せず、重量平均分子量が30000〜200000の塩
    化ビニリデン系水性ラテックス、(C)無機質粉体を、
    (A)の固形分100重量部に対して、(B)の固形分
    が5〜40重量部、かつ、全体の樹脂固形分重量に対し
    て、塩素量が2.5〜15.0重量%となるように
    (A)と(B)を混合し、顔料容積濃度(以下、PVC
    という。)が15〜60%となるように、さらに(C)
    を混合したサーフェーサーを塗付した後に、仕上塗材を
    塗付することを特徴とする塗装仕上方法。
  2. 【請求項2】(A)および(B)の官能基モノマーとし
    て、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有
    モノマーの何れか、または両者のみ、5重量%以下含有
    していることを特徴とする請求項1記載の塗装仕上方
    法。
  3. 【請求項3】ヒドロキシル基含有モノマーが、2−ヒド
    ロキシエチルメタクリレートであることを特徴とする請
    求項2に記載の塗装仕上方法。
  4. 【請求項4】(B)の塩化ビニルと塩化ビニリデンの比
    率が、100:20〜100:180であることを特徴
    とする請求項1から請求項3の何れかに記載の塗装仕上
    方法。
  5. 【請求項5】仕上塗材が、シクロアルキルアクリレート
    及び/又はシクロアルキルメタクリレート含有の、シリ
    コン変性アクリル系水性塗料であることを特徴とする請
    求項1から請求項4の何れかに記載の超耐候性水性塗装
    仕上方法。
  6. 【請求項6】仕上塗材が、アルキルシリケートを含有す
    る非汚染塗料であることを特徴とする請求項1から請求
    項4の何れかに記載の非汚染塗装仕上方法。
  7. 【請求項7】既存塗膜が伸び率50〜500%の弾性塗
    膜であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れ
    かに記載の改修仕上塗装方法。
  8. 【請求項8】既存塗膜が非架橋型一液形合成樹脂からな
    るものであり、仕上塗材が溶剤形であることを特徴とす
    る請求項1から請求項4の何れかに記載の改修仕上方
    法。
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