JPH09253201A - ケモカインの吸着剤、吸着除去方法および吸着器 - Google Patents

ケモカインの吸着剤、吸着除去方法および吸着器

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JPH09253201A
JPH09253201A JP8072916A JP7291696A JPH09253201A JP H09253201 A JPH09253201 A JP H09253201A JP 8072916 A JP8072916 A JP 8072916A JP 7291696 A JP7291696 A JP 7291696A JP H09253201 A JPH09253201 A JP H09253201A
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JP
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adsorbent
chemokines
styrene
chemokine
mip
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Application number
JP8072916A
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Masaru Nakatani
勝 中谷
Shigeo Furuyoshi
重雄 古吉
Satoru Takada
覚 高田
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Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 体液中に存在する種々のケモカインを効率良
く吸着除去すること。 【解決手段】 スルホン酸基を有するスチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体から構成される上記ケモカインの吸
着剤、および、この吸着剤と体液とを接触させる工程を
包含するケモカインの吸着除去方法が提供される。この
吸着剤を流入口と流出口を有する容器に充填したケモカ
インの吸着器もまた提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、体液中のケモカイ
ンを吸着除去するための吸着剤、該吸着剤を用いた体液
中のケモカインの吸着除去方法、ならびに体液中のケモ
カインを吸着除去するためのケモカインの吸着器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】免疫担当細胞は、免疫応答を引き起こす
際に種々の活性物質を産生する。その一部はサイトカイ
ンと呼ばれるタンパク質性物質であり、種々の抗原特異
的免疫応答、および非特異的免疫応答に深く関わる生体
防御因子として非常に重要な役割を果たしている。本来
サイトカインは生体の恒常性の維持に必要不可欠なもの
であるが、炎症などの病態では過剰に産生され、炎症の
病態形成、遷延に関わっている。
【0003】サイトカインの中でも、特に走化性(chem
otaxis)を有するものはケモカイン(chemokine)と総
称されている。走化性とは、化学走性ともいい、化学物
質の濃度差が刺激となる走性のことをいう。ケモカイン
と呼ばれる物質は、その構造上の特徴から、1つのファ
ミリーを形成していることが知られている。
【0004】ケモカインの特徴としては、約6,000から1
0,000の分子量を有するタンパク質として主に存在する
ことが挙げられる。しかし、ケモカインの種類により、
溶液中で2量体または4量体を形成するもの、あるいは
O−グリコシル化によって上記の範囲よりも大きい分子
量を有するものもある。また、ケモカインは、その構造
上の特徴から、以下の2つのサブファミリーに分類され
ている。すなわち、M.Baggioliniら(Immunol. Today,
15, 127-133 (1994))が示しているように、ケモカイン
は分子内の非常に保存された位置に4つのシステイン残
基(以下、Cという)を有し、この4つのCをN末端か
ら順にそれぞれC1、C2、C3、およびC4とする
と、C1とC2との間に任意のアミノ酸(以下、Xとい
う)が1つ存在するCXCサブファミリーと、C1とC
2との間にアミノ酸が存在しないCCサブファミリーと
に分類されている。さらに、各サブファミリー内のケモ
カインは、C以外のアミノ酸の配列においても比較的高
い相同性を有することが示されている(例えば、茆原、
臨床免疫、27[Suppl.16]、162-171(1995)を参照のこ
と)。
【0005】CXCサブファミリーは、白血球の中で
も、主として好中球に作用し、そしてCCサブファミリ
ーは、主として単球、好酸球、好塩基球、およびリンパ
球に作用すると考えられていた。しかし、近年では、こ
れらの効果は多岐にわたることが示唆されている。例え
ば、インターロイキン−8(以下、IL−8という)
は、CXCサブファミリーに分類されるケモカインであ
るが、これは好中球のみならず、リンパ球、好塩基球、
好酸球、皮膚角化細胞、メラノーマ細胞、繊維芽細胞、
および血管内皮細胞に対しても生理活性を示すことが知
られている(松島、臨床免疫、27[Suppl.16]、147-154
(1995))。
【0006】例えば、ヒト単球上には、CCサブファミ
リーに分類されるケモカインである単球走化性誘起タン
パク質−1(monocyte chemoattractant protein-1;以
下、MCP−1という)およびマクロファージ炎症性タ
ンパク質−1(macrophage inflammatory protein;以
下、MIP−1という)のそれぞれに対して特異的な受
容体が存在し、また、MCP−1、MIP−1、および
RANTES(Regulated upon Activation in Normal
T cells Expressed and Secreted)というCCサブファ
ミリーに分類される3種類のケモカインに対する共通の
受容体が存在することも知られている(松島、前出)。
このことは、サブファミリー内で同一の受容体を介して
同一の生理活性を示すものが存在していることを示唆す
る。
【0007】生体が外部より侵襲を受けると、生体防御
反応としての炎症が惹起され、炎症局所への白血球浸潤
が生じる。このような炎症局所への白血球浸潤は、炎症
部位で生じた白血球走化性因子によって引き起こされ
る。この白血球浸潤を引き起こす因子としてケモカイン
がその役割を果たしていることが知られている。実際、
ウサギ急性炎症モデルにおいてケモカインの1つである
IL−8に対する抗体(抗IL−8抗体)を投与するこ
とによって、炎症部位での好中球浸潤をブロックし、急
性炎症に伴う臓器障害を阻止し得ることが証明されてい
る(Sekidoら、Nature、365、654-657(1993))。
【0008】さらに、近年、全身性炎症反応症候群(S
IRS)という概念で包括される病態においては、種々
のサイトカインが過剰に産生されることにより、サイト
カインネットワークが活性化され、それに伴いケモカイ
ンが産生されて好中球の誘導および活性化が引き起こさ
れることが報告されている(遠藤ら、集中治療、4、13
57-1365(1992))。これにより全身性の炎症反応が進行
し、ショック、組織障害、および多臓器不全が引き起こ
され、さらに死に至ることが示唆されている。
【0009】また、アレルギー性炎症の病変局所におい
ても、RANTES、血小板第4因子(以下、PF−4
という)、およびMIP−1αなどのケモカインを中心
とした作用により、リンパ球、好酸球などの種々の炎症
細胞が浸潤することが示唆されている。
【0010】また、例えば、透析療法などの血液体外循
環を行う際の人工材料との接触、透析中の菌体内毒素に
代表される刺激物質、血中または組織中に存在する種々
の刺激因子などによる免疫担当細胞への刺激によりケモ
カインが過剰に産生される可能性が指摘されており、例
えば、長期透析療法に伴う合併症である透析アミロイド
症または手根管症候群において、MCP−1またはMI
P−1αが過剰に産生され、病態形成に関わっている可
能性が示唆されている(Inoueら、NephrologyDialysis
Transplantation、10、2077-2082(1995))。
【0011】さらに、痛風性関節炎、乾癬、接触性皮膚
炎、突発性肺線維症、成人呼吸窮迫症候群、炎症性腸疾
患、免疫性血管炎、尿路感染症、心筋梗塞、喘息、気道
感染症、周産期感染、移植臓器拒絶症などの疾患におい
ては、ケモカインの1つであるIL−8が、炎症局所ま
たは全身血中から正常人に比して異常に高濃度で検出さ
れている(免疫薬理、12(1)、15-21(1994))。
【0012】また、慢性関節リウマチにおいては、IL
−8、RANTES、MCP−1、MIP−1α、およ
びMIP−1βが、半月体形成性腎炎においては、MC
P−1、MIP−1α、およびMIP−1βが、慢性糸
球体腎炎においては、IL−8およびMCP−1が、ル
ープス腎炎ではMCP−1が異常に発現し、その病態形
成に関与していることが示唆されている。
【0013】このような多様な機能を有する体液中のケ
モカインを除去する方法についての報告は今までにはな
い。表面に陽性官能基を有する多孔質担体からなる、エ
ンドトキシンおよび/または該エンドトキシンに起因す
るサイトカインの吸着材により血液を浄化する方法(平
成6年11月8日に公開された特許出願、特開平6-312017
を参照のこと)が開示されているのみである。しかし、
その実施例において、サイトカインの測定またはサイト
カインの吸着に関しては全く記載されていない。
【0014】また、ケモカインに対する抗体、あるいは
ケモカインがレセプターに結合することを阻害する物質
を投与することによって、ケモカインの作用を抑制す
る、抗サイトカイン療法の適用も考えられる。しかし、
上述の慢性関節リウマチのような慢性的な炎症を伴う病
態では、多種類のケモカインが異常に発現していること
が示唆されているため、抗体などの投与によりこれらの
作用を抑制するために、それぞれに対する抗体を作製し
て投与する必要がある。また、投与される抗体などは、
人体に悪影響を及ぼすものであってはならず、その開発
には長い時間および多大な費用を要すると考えられ、適
切な治療法とは言いがたい。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、体液中に存
在する種々のケモカインを効率よく吸着除去することが
可能な吸着剤、該吸着剤を用いた体液中のケモカインの
吸着除去方法、および該吸着剤を用いたケモカインの吸
着器を開発することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、体液中に
存在する種々のケモカインを効率よく吸着除去する方法
について研究し、種々のケモカインの等電点に着目し
た。文献調査の結果、多くのケモカインは、その等電点
が7以上、すなわち生理的条件下で陽性電荷を有する
が、ケモカインの中には等電点が7以下、すなわち生理
的条件下で陰性電荷を有するものがあることが判明し
た。本発明者らは、このように種々の等電点を有するケ
モカインを効率よく吸着することが可能な吸着剤につい
て鋭意検討した。その結果、驚くべきことに、スルホン
酸基が導入されたスチレン−ジビニルベンゼン共重合体
が等電点に関係なく体液中のケモカインを強く吸着する
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】本発明の体液中のケモカインの吸着剤は、
スルホン酸基を有するスチレン−ジビニルベンゼン共重
合体から構成される。
【0018】好適な実施態様によれば、上記スルホン酸
基を有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体のイオ
ン交換量は、0.01meq/mlから5meq/ml
である。
【0019】本発明のケモカインの吸着除去方法は、ス
ルホン酸基を有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合
体から構成される吸着剤と、体液とを接触させる工程を
包含する。
【0020】好適な実施態様によれば、上記スルホン酸
基を有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体のイオ
ン交換量は、0.01meq/mlから5meq/ml
である。
【0021】好適な実施態様によれば、上記吸着剤は、
体液の流入口と流出口とを有する容器内に含まれてい
る。
【0022】本発明のケモカインの吸着器は、体液の流
入口と流出口とを有する容器を有し、該容器には、スル
ホン酸基を有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体
から構成される、ケモカインの吸着剤が含まれ、そして
該吸着剤の容器外への流出防止手段が備えられている。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明における体液とは、血液、
血漿、血清、腹水、リンパ液、関節内液などの生体由来
の液性成分をいう。
【0024】本発明におけるケモカインとは、走化性を
有する物質で、かつその物質をコードする遺伝子が、C
XCサブファミリーに属するケモカインはヒト第4染色
体(q12〜21)に、またCCサブファミリーに属す
るケモカインはヒト第17染色体(q11〜12)に存
在していることを特徴とする物質を指す。また、その後
の研究により新たに発見され、この定義の範疇に入ると
認められた物質も含む。松島の報告(前出)および茆原
の報告(前出)を参考に、現在までに知られているヒト
ケモカインを列挙すると、CXCサブファミリーに分類
されるものとして、IL−8、GROα、GROβ、G
ROγ、NAP−2(好中球活性化タンパク質−2;neu
trophil activating protein-2)、NAP−4、ENA
−78(上皮細胞由来好中球活性化タンパク質−78;e
pithelial-cell derived neutrophil-activating prote
in-78)、PF−4、IP−10(インターフェロン誘導
性タンパク質−10;interferon-inducible protein-1
0)、GCP−2(顆粒球走化性タンパク質−2;granulo
cyte chomotactic protein-2)、βTG(β−トロンボグ
ロブリン;β-thromboglobulin)、およびPBSF(プレ
B細胞増殖刺激因子;pre-B cell growth stimulating
factor)がある。また、CCサブファミリーに分類され
るものとしては、MCP−1、HC14、MCP−3、
I−309、MIP−1α、MIP−1β、およびRA
NTESが挙げられる。しかし、ケモカインはその名称
が統一されていない場合があり、同一物質であっても異
なる名称で呼ばれる場合がある。例えば、GROβおよ
びGROγはそれぞれMIP−2αおよびMIP−2β
とも呼ばれ、MCP−1はMCAF(単球走化性活性化
因子;monocyte chemotactic and activating factor)
とも呼ばれ、またHC14はMCP−2とも呼ばれてい
ることが、京都府立医科大学微生物教室により編集され
た成書(サイトカインデータマニュアル、南江堂、199
5)に記載されている。このため、上記の種々のケモカ
インが他の名称で呼ばれる場合も、本発明のケモカイン
として含まれることは当然のことである。さらに、この
後新たに発見され、ケモカインの定義の範疇に入ること
が認められる物質も含まれる。
【0025】本発明のケモカインの吸着剤は、スルホン
酸基を有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体から
構成され、このスルホン酸基を有するスチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体は、一般には、強酸性の陽イオン交
換樹脂として用いられている。その形状としては、粒
状、板状、膜状、繊維状、中空糸状などが挙げられる
が、これらの形状に限定されない。
【0026】本発明の吸着剤をカラムに充填して使用す
る場合、体液に含まれる細胞が十分に通過し得る間隙を
作ることができるものでなければならない。
【0027】例えば、本発明の吸着剤が粒状である場
合、平均粒径は5〜1000μmであることが好まし
く、さらに好ましく25〜1000μm、最も好ましく
は50〜600μmである。その中でも、圧力損失の増
大を引き起こさないなどの理由から、粒径分布は狭い方
が好ましい。また、体液が血液である場合には、平均粒
径は200μm以上であることが好ましい。
【0028】また、本発明の吸着剤が繊維状でかつ中空
である場合、その内径は1μm以上であること好まし
い。さらに好ましくは内径が2μm〜500μm、最も
好ましくは5μm〜200μmである。内径が1μm未
満であると、体液に細胞が含まれる場合に十分に通過し
ない恐れがある。
【0029】さらに、本発明の吸着剤の表面は滑らかで
あることが好ましい。表面が粗であると、血球が含まれ
る体液を通過させる際に血球成分の非特異吸着が増加す
るので好ましくない。このため本発明の吸着剤は、例え
ばヒドロキシエチルメタクリレートの重合体などの適当
な高分子でコーティングされ得る。
【0030】本発明の吸着剤に用いられるスチレン−ジ
ビニルベンゼン共重合体を得るための共重合の方法は種
々あり、いかなる方法で共重合してもよい。代表的な方
法としては、スチレンに適当量のジビニルベンゼンを加
え、その混合物に重合触媒(例えば少量の過酸化ベンゾ
イルと水)を加え、ベントナイトやアルギン酸などの懸
濁剤を加えて激しく撹拌しながら重合させる方法が挙げ
られる。
【0031】本発明の吸着剤に用いられるスチレン−ジ
ビニルベンゼン共重合体にスルホン酸基を導入する方法
として、濃硫酸またはクロロスルホン酸で上記共重合体
を処理するなどの種々の方法があるが、この方法に限定
されるものではない。
【0032】スチレン−ジビニルベンゼン共重合体に導
入されたスルホン酸基の量は、イオン交換量として表す
ことができる。ケモカインを吸着するためには、適切な
密度でスルホン酸基が導入されていることが必要であ
る。本発明の吸着剤のイオン交換量は、好ましくは、
0.01〜5meq/mlであり、さらに好ましくは、
0.1〜2meq/mlである。0.01meq/ml
未満では、体液中の主要タンパク質(主としてアルブミ
ン)が非特異的に吸着されるので、好ましくない。ま
た、5meq/mlを超えると、ケモカインの吸着能力
を維持した状態で吸着剤を作製することが困難である。
【0033】本発明の吸着剤は、より多くのケモカイン
を吸着するためには、その表面にケモカインが十分内部
に侵入し得る細孔が開いていることが好ましい。細孔は
分布を有し、その分布は水銀圧入法または窒素吸着法に
より測定することができる。ケモカインを吸着するため
には、好ましくは、50〜2000オングストロームに
主な細孔分布を有し、さらに好ましくは、100〜10
00オングストロームに主な細孔分布を有する。
【0034】本発明の吸着剤は、より多くのケモカイン
を吸着するためには、単位吸着剤あたりの吸着に使用し
得る表面の面積(比表面積)が大きい方が好ましい。比
表面積は、好ましくは、10m2/g以上であり、さら
に好ましくは、50m2/g以上である。
【0035】本発明の吸着剤を用いて、例えば体液か
ら、ケモカインを吸着除去する方法には種々の方法があ
る。代表的な方法としては、体液を取り出してバッグな
どに貯留し、これに吸着剤を混合してケモカインを吸着
除去した後、吸着剤を濾別してケモカインが除去された
体液を得る方法;体液の流入口および流出口を有し、体
液は通過するが吸着剤は通過しないフィルターを流出口
に装着した容器へ吸着剤を充填し、これに体液を流す方
法などがある。いずれの方法を用いても良いが、後者の
方法は操作も簡単であり、また体外循環回路に組み込む
ことにより、患者の体液、特に血液から効率よくオンラ
インでケモカインを除去することが可能であり、本発明
の吸着剤はこの方法に適している。
【0036】ここでいう体外循環回路では、本発明の吸
着剤を単独で用いることもできるが、他の体外循環治療
システムとの併用も可能である。併用の例としては、人
工透析回路などが挙げられ、透析療法との組み合わせに
用いることもできる。
【0037】次に、上記ケモカイン吸着剤を用いた本発
明のケモカインの吸着器を、図1の概略断面図に基づき
説明するが、本発明の吸着器はこれに限定されない。
【0038】図1において、1は体液の流入口、2は体
液の流出口、3は本発明のケモカイン吸着剤、4および
5は体液および体液に含まれる成分は通過できるがケモ
カイン吸着剤は通過できないフィルター、6はカラム、
ならびに7はケモカイン吸着器である。しかし、ケモカ
イン吸着器は、このような具体例に限定されるものでは
なく、体液の流入口および流出口を有し、かつケモカイ
ン吸着剤の容器外への流出防止具を備えた容器内に上記
吸着剤を充填したものであれば、どのようなものでもよ
い。
【0039】上記流出防止具には、メッシュ、不織布、
綿栓などのフィルターが挙げられる。また、この容器の
形状および材質は特に限定されないが、好ましくは、例
えば、容量150〜400ml程度、直径4〜10cm
程度の筒状容器が用いられる。
【0040】以下の実施例により本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるも
のではない。また、以下の実施例では、吸着対象のケモ
カインとして、等電点が7以下であり、CCサブファミ
リーに分類されるMIP−1α(等電点4.7)、およ
び等電点が7以上であり、CXCサブファミリーに分類
されるIL−8(等電点8.6)を例として取り上げた
が、その他のケモカインについても同様に実施可能であ
ることを、当業者は容易に理解し得る。
【0041】
【実施例】
(実施例1)三菱化成(株)製の強酸性陽イオン交換樹脂
ダイヤイオンHPK−55H(スルホン酸基を有するス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体であり、イオン交換
量は約1meq/mlである)をNa型に変換させた
後、生理食塩液で平衡化した。このイオン交換樹脂0.
5mlを試験管にとり、余分な生理食塩液を除いた。こ
れに、ヒト血清にヒト遺伝子組換えMIP−1α(R&D
systems社製)を加えて調製した、ヒトMIP−1α加
ヒト血清(MIP−1α濃度:1.1ng/ml、アル
ブミン濃度:4.0g/dl)3mlを加え、37℃に
て2時間振盪した。この上清のMIP−1αの濃度を、
R&D systems社製ヒトMIP−1α測定キットを用いて
測定した。また、アルブミンの濃度をブロモクレゾール
・グリーン法(BCG法)により測定した。
【0042】(比較例1)生理食塩液0.5mlを試験
管にとり、これに、実施例1で用いたヒトMIP−1α
加ヒト血清(MIP−1α濃度:1.1ng/ml、ア
ルブミン濃度:4.0g/dl)3mlを加え、37℃
で2時間振盪した。上清のMIP−1αの濃度およびア
ルブミンの濃度を、実施例1と同様の方法で測定した。
【0043】 <結果> 上清MIP−1α濃度 上清アルブミン濃度 実施例1 0.02ng/ml 3.5g/dl 比較例1 0.9 ng/ml 3.4g/dl 比較例1に対して、実施例1のMIP−1α濃度が大き
く低下しており、上記の強酸性陽イオン交換樹脂を用い
ることにより、効率よく溶液中のMIP−1αを吸着除
去できることがわかる。
【0044】(比較例2)三菱化成(株)製ダイヤイオ
ンHP−20(スチレン−ジビニルベンゼン共重合体か
ら構成されるが、スルホン酸基を有していない)に生理
食塩液を加えることにより平衡化した後、その0.5m
lを試験管にとり、実施例1で用いたヒトMIP−1α
加ヒト血清(MIP−1α濃度:1.1ng/ml、ア
ルブミン濃度:4.0g/dl)3mlを加え、37℃
で2時間振盪した。上清のMIP−1αの濃度およびア
ルブミン濃度を実施例1と同様の方法で測定した。
【0045】 <結果> 上清MIP−1α濃度 上清アルブミン濃度 比較例2 0.02ng/ml 3.1g/dl 比較例2では、上清のアルブミン濃度がかなり低下して
おり、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体にスルホン
酸基を導入しない場合の方が、アルブミンの吸着が大き
いことがわかる。
【0046】(実施例2)ローム・アンド・ハース社製
の強酸性陽イオン交換樹脂であるアンバーライト200
C(スルホン酸基を有するスチレン−ジビニルベンゼン
共重合体であり、イオン交換量は1.75meq/ml
である)に生理食塩液を加えることにより平衡化した
後、その0.5mlを試験管にとり、実施例1で用いた
ヒトMIP−1α加ヒト血清(MIP−1α濃度:1.
1ng/ml、アルブミン濃度:4.0g/dl)3m
lを加え、37℃で2時間振盪した。上清のMIP−1
αの濃度およびアルブミン濃度を実施例1と同様の方法
で測定した。
【0047】 <結果> 上清MIP−1α濃度 上清アルブミン濃度 実施例2 0.03ng/ml 3.7g/dl 実施例1の場合と同様に、MIP−1α濃度が大きく低
下しており、上記の強酸性陽イオン交換樹脂を用いるこ
とにより、効率よく溶液中のMIP−1αを吸着除去で
きることがわかる。
【0048】(実施例3)実施例1と同様の方法で処理
したダイヤイオンHPK−55Hの0.5mlを試験管
にとり、余分な生理食塩液を除いた。これに、ヒト血清
にヒト遺伝子組換えIL−8(R&D systems社製)を加
えて調製した、ヒトIL−8加ヒト血清(IL−8濃
度:約7.4ng/ml)3mlを加え、37℃で2時
間振盪した。この上清のIL−8の濃度を、R&D system
s社製ヒトIL−8測定キットを用いて測定した。
【0049】(比較例3)生理食塩液0.5mlを試験
管にとり、これに、実施例3で用いたヒトIL−8加ヒ
ト血清(IL−8濃度:約7.4ng/ml)3mlを
加え、37℃で2時間振盪した。上清のIL−8の濃度
を、実施例3と同様の方法で測定した。
【0050】 比較例3に対して、実施例3のIL−8濃度が大きく低
下しており、上記の強酸性陽イオン交換樹脂を用いるこ
とにより、効率よく溶液中のIL−8を吸着除去できる
ことがわかる。
【0051】
【発明の効果】スルホン酸基を有するスチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体から構成される本発明の吸着剤を用
いることによって、効率よく体液中のケモカインを吸着
除去できる。本発明は、ケモカインを病因物質とする種
々の疾患において、ケモカインの作用を抑止する有効な
方法を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のケモカイン吸着器の一例の概略断面図
である。
【符号の説明】
1 :体液の流入口 2 :体液の流出口 3 :ケモカインの吸着剤 4、5:体液および体液に含まれる成分は通過できるが
上記ケモカインの吸着剤は通過できないフィルター 6 :カラム 7 :ケモカインの吸着器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルホン酸基を有するスチレン−ジビニ
    ルベンゼン共重合体から構成される、体液中のケモカイ
    ンの吸着剤。
  2. 【請求項2】 前記スルホン酸基を有するスチレン−ジ
    ビニルベンゼン共重合体のイオン交換量が、0.01m
    eq/mlから5meq/mlである、請求項1に記載
    の吸着剤。
  3. 【請求項3】 スルホン酸基を有するスチレン−ジビニ
    ルベンゼン共重合体から構成される吸着剤と、体液とを
    接触させる工程を包含する、ケモカインの吸着除去方
    法。
  4. 【請求項4】 前記スルホン酸基を有するスチレン−ジ
    ビニルベンゼン共重合体のイオン交換量が、0.01m
    eq/mlから5meq/mlである、請求項3に記載
    の吸着除去方法。
  5. 【請求項5】 前記吸着剤が、体液の流入口と流出口と
    を有する容器内に含まれている、請求項3に記載の除去
    方法。
  6. 【請求項6】 ケモカインの吸着器であって、該吸着器
    は体液の流入口と流出口とを有する容器を有し、該容器
    には、スルホン酸基を有するスチレン−ジビニルベンゼ
    ン共重合体から構成される、ケモカインの吸着剤が含ま
    れ、そして該吸着剤の容器外への流出防止手段が備えら
    れている、吸着器。
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EP97104537A EP0796865B1 (en) 1996-03-18 1997-03-17 Adsorbent and method for removing chemokines of the CC subtype from body fluids
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