JP3410849B2 - インターロイキン類の吸着剤および吸着除去方法 - Google Patents
インターロイキン類の吸着剤および吸着除去方法Info
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Description
キン−1(以下、IL−1という)、インターロイキン
−2(以下、IL−2という)、インターロイキン−6
(以下、IL−6という)およびインターロイキン−8
(以下、IL−8という)からなるインターロイキン
(以下、ILという)類の少なくとも1種のILを吸着
するための吸着剤、これを用いた前記IL(類)の除去
方法ならびに前記IL(類)の吸着器に関する。
に種々の活性物質を産生する。その一部はサイトカイン
と呼ばれる蛋白性物質であり、種々の抗原特異的、非特
異的免疫炎症反応に深く関わる生体防御因子として非常
に重要な役割を果たしている。本来サイトカインは生体
の恒常性の維持に必要不可欠なものであるが、炎症など
の病態では過剰に産生され、炎症の病態形成、遷延に関
わっている。
伝子がクローニングされ、主に単球/マクロファージ系
細胞から産出される分子量約17kDの蛋白性因子であ
る。IL−1には異なる遺伝子に由来するIL−1αと
IL−1βが存在し、活性化したマクロファージはおよ
そ1:9の割合で産生している。
泌、生体恒常性などのありとあらゆる生体反応において
重要な役割を演じていることが明らかにされている。一
方、IL−1の産生異常は種々の疾患の原因であること
が示唆されている。たとえば、自己免疫疾患であり、慢
性的な全身の炎症を病態とする膠原病、とくに慢性関節
リウマチ(RA)の病態形成にIL−1が関与している
ことが示唆されている。IL−1には滑膜細胞、軟骨細
胞からのプロスタグランジン、コラゲナーゼ産生亢進に
よる軟骨破壊作用や、破骨細胞活性化による骨吸収促進
作用があり、RAの関節症状にIL−1が関与している
可能性が強く示唆されている。また実験動物の関節腔内
にIL−1を注入すると、一過性の関節炎が再現できる
ことも報告されており、RAの病態にIL−1が中心的
な役割を果たしていることが示唆されている。さらに近
年、全身性炎症反応症候群(systemic inf
lammatory response syndro
m)(以下、SIRSという)という概念で包括される
病態においては、IL−1などの炎症性サイトカインが
過剰に産生され、これらの作用が中心となって全身性の
炎症反応が進行し、組織障害および多臓器不全が出現
し、ひいては死にいたることが報告されている。さらに
全身性エリテマトーデス、ライム病、骨粗鬆症、川崎
病、痛風性関節炎、子宮内膜炎、早産において炎症局所
あるいは全身血中から正常人に比して高濃度のIL−1
が検出されており、これらの疾患の病態形成と深く関わ
っていることが示唆されている。さらには透析患者にお
いても種々の要因によりIL−1が産生され、透析アミ
ロイド症をはじめとする透析合併症の発症に深い関係が
あることが示唆されている。またIL−1は、前記作用
に加えて他のサイトカインの産生を促進するという作用
を有しており、炎症の場における悪循環の主な原因物質
であることが確認されている。このようにIL−1は各
種疾患の病態に深く関与しているにも関わらず、これら
の疾患においてIL−1の作用を抑止する有効な方法、
もしくは体液中からIL−1を除去する方法は確立され
ていないのが現状である。
(Morgan)らにより活性化末梢血リンパ球上清が
T細胞の長期維持を可能にする因子(T細胞成長因子
(T cell growth factor)(TC
GF))として見いだされた。この活性物質は後の研究
で胸腺細胞の分裂促進、細胞障害性T細胞の活性化、B
細胞分化誘導、NK(natural killer)
細胞活性化、LAK(Lymphokine acti
vated killer)活性の誘導などの活性をも
つことが次第に明らかになり、1979年にIL−2と
いう統一名が与えられた。引き続き1983年に、タニ
グチ(Taniguchi)らによりIL−2の遺伝子
がクローニングされ、その一次構造が明らかにされてい
る。
T細胞、B細胞、NK細胞、単球、マクロファージ、グ
リオーマ細胞など、細胞表面にIL−2受容体(IL−
2R)を有する細胞に作用し、その増殖、分化、活性化
を引き起こすなど、さまざまな作用を有している。しか
しながら、IL−2の産生異常は生体に対し悪影響を及
ぼすことが示唆されている。たとえば、敗血症において
は血液中のサイトカインが異常高値を示すことが知られ
ているが、敗血症が重症化するといわゆる「敗血症性シ
ョック」が生じる。この敗血症性ショックには二つのタ
イプがあり、その一つにIL−2が異常高値を示し、そ
の病態形成に関与すると報告されている(エス・エンド
ー(S.Endo)ら、サーキュラトリー・ショック
(Circulatory Shock)38巻、26
4〜274頁(1992年)参照)。また「敗血症性シ
ョック」のうち、IL−2が関与するタイプの方が予後
が不良であると報告されている。このようにIL−2は
敗血症性ショックの病態形成に深く関与しているにもか
かわらず、IL−2の作用を抑制する有効な方法、もし
くは体液中からIL−2を除去する方法は確立していな
いのが現状である。
ト(Kishimoto)らによって、活性化B細胞の
増殖促進を引き起こさず、抗体産生のみを誘導する因子
として単離精製され、ヒラノ(Hirano)らが19
86年にcDNAを単離し、全塩基配列を決定したサイ
トカインである。
蛋白産生の誘導を引き起こすなど幅広い生物活性を有す
る。
とする種々の炎症性物質の刺激が加わることにより単
球、線維芽細胞、血管内皮細胞、皮膚ケラチノサイトな
どの幅広い種類の細胞が産生し、炎症反応を増強する方
向に作用するため、IL−6の過剰産生により慢性的な
炎症反応が生じることとなる。たとえば、キャッスルマ
ン氏病では腫脹したリンパ節の胚中心にあるBリンパ芽
球よりIL−6が産生されており、病変リンパ節の外科
的除去により臨床症状の改善と血清IL−6の低下が認
められると報告されている。さらに近年では、先に記載
したSIRSという概念で包括される病態においては、
IL−6などの炎症性サイトカインの血中濃度が高く、
IL−1と同様に、これらの作用が中心となって全身性
の炎症反応が進行し、組織障害および多臓器不全が出現
し、ひいては死に至ることが報告されている。そのほか
にも慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの
自己免疫疾患、メサンギウム細胞増殖性腎炎、乾癬など
の慢性増殖性疾患、さらには透析合併症である透析アミ
ロイド症においては、炎症局所あるいは全身血中から正
常人に比して異常に高濃度のIL−6が検出されてお
り、これら疾患の病態形成に深く関与していると考えら
れている。しかしながら従来の方法では体液中のIL−
6の作用を抑制する有効な方法、もしくは体液中からI
L−6を除去する方法は確立されていないのが現状であ
る。
来の好中球走化性因子(MDNCF)として精製、遺伝
子クローニングしたサイトカインであり、種々の細胞が
産生する好中球活性化遊走制御因子である。in vi
voにおいても、IL−8の皮内/皮下、関節内投与に
より好中球・リンパ球の浸潤を再現できる。
常に有害であり、肺胞では成人呼吸窮迫症候群様の組織
破壊、関節では大量のリンパ球浸潤を伴う破壊を生じ
る。実験的にもリポ多糖類誘導性皮膚炎、虚血後再潅流
時の好中球浸潤にIL−8が本質的に関与しており、I
L−8に対する中和抗体でほぼ完全に組織破壊が抑止で
きることが証明されている。さらには、慢性関節リウマ
チ、痛風性関節炎、乾癬、接触性皮膚炎、突発性肺線維
症、成人呼吸窮迫症候群、炎症性腸疾患、免疫性血管
炎、糸球体性腎炎、尿路感染症、心筋梗塞、喘息、気道
感染症、周産期感染、移植臓器拒絶症などの疾患におい
ては、炎症局所あるいは全身血中から正常人に比して異
常に高濃度のIL−8が検出されている(免疫薬理、1
2巻、1号、15〜21頁、1994年参照)。さらに
近年では、先に記載したSIRSという概念で包括され
る病態においては、IL−8などの炎症性サイトカイン
の血中濃度が高く、IL−1、IL−6と同様に、これ
らの作用が中心となって全身性の炎症反応が進行し、組
織障害および多臓器不全が出現し、ひいては死に至るこ
とが報告されている。また、たとえば透析療法などの血
液体外循環を行う際の人工材料や透析液中の菌体内毒
素、または種々の刺激因子などによる免疫担当細胞への
刺激によりIL−8は過剰に産生され、長期透析療法に
伴う合併症である透析アミロイド症や手根管症候群の病
態形成に深く関わっていると報告されている。しかしな
がら、従来の方法では体液中のIL−8の作用を抑制す
る有効な方法、もしくは体液中のIL−8を除去する方
法は確立されていないのが現状である。
L−1、IL−2、IL−6およびIL−8からなるI
L類の少なくとも1種のインターロイキンを効率よく吸
着除去することが可能な吸着剤、該吸着剤を用いた体液
中の前記IL(類)の除去方法ならびに前記IL(類)
の吸着器を提供することを目的とするものである。
存在するIL−1、IL−2、IL−6およびIL−8
からなるIL類の少なくとも1種のインターロイキンを
効率よく吸着除去できる吸着剤について鋭意検討した。
その結果、水不溶性多孔質担体にlogP値が2.50以
上の化合物を固定化した物質が体液中に存在する前記I
L(類)を効率よく吸着除去できることを発見し、本発
明を完成した。
にlogP(Pはオクタノール−水系での分配係数)値が
2.50以上の化合物を固定してなる前記IL(類)の
吸着剤、該吸着剤に前記IL(類)を含む体液を接触
させることを特徴とする、体液中の前記IL(類)の除
去方法、ならびに液の入口および出口を有しかつ、吸
着剤の容器外への流出防止手段を備えた容器内に、該吸
着剤を充填してなる前記IL(類)の吸着器に関する。
多孔質担体の球状蛋白質の排除限界分子量は、5千以上
60万以下である。
が5で159個のアミノ酸からなる分子量が約17,5
00のIL−1αと、等電点が7〜8で153個のアミ
ノ酸からなる分子量約17,000のIL−1βの2つ
に分けられる。両者の構造の相同性は約25%と低い
が、α型とβ型は同一のレセプターに結合し、一部の活
性を除いてはほぼ同じ活性を示すことが明らかにされて
いる。
子量が約15,000で、133個のアミノ酸からなる
ポリペプチド、ならびにそのN末端より3番目のThr
(スレオニン)部位でのO−グリコシル化による糖鎖を
有する糖蛋白質である。
分子量約26,000で、184個のアミノ酸からなる
糖蛋白質であり、分子内に2つのジスルフィド結合を有
している。IL−6はその一次構造から分子内にαヘリ
ックス構造を有すると考えられている。
分子量が約8,000の72個のアミノ酸からなる蛋白
質であり、塩基性が強くヘパリン親和性を有している。
また、NMRとX線結晶解析によって二次および三次構
造が解明されており、分子内に2つのジスルフィド結合
を有し、三重のβシート構造を骨格としており、さらに
C末端側の12アミノ酸残基はαヘリックス構造を形成
していることが明らかとなっている。
漿、血清、腹水、リンパ液、関節内液およびこれらから
えられた画分成分、ならびにその他の生体由来の液性成
分をいう。
上の化合物を水不溶性多孔質担体に固定化してなる。lo
gP値は化合物の疎水性のパラメーターとなり、代表的
なオクタノール−水系での分配係数Pの求め方はつぎの
とおりである。まず、化合物をオクタノール(もしくは
水)に溶解し、これに等量の水(もしくはオクタノー
ル)を加え、グリッフィン・フラスク・シェイカー(G
riffin flask shaker)(グリッフ
ィン・アンド・ジョージ・リミテッド(Griffin
& George Ltd.)製)で30分間振とう
する。そののち2,000rpmで1〜2時間遠心分離
し、オクタノール層および水層中の化合物濃度の測定を
分光学的またはGLCなどの種々の方法により測定する
ことにより次式で求められる。
値が実測されているが、それらの実測値はシー・ハンシ
ュ(C.Hansch)らによって整理されている
(「パーティション・コーエフィシエンツ・アンド・ゼ
ア・ユージズ;ケミカル・レビューズ(PARTITI
ON COEFFICIENTS ANDTHEIR
USES;Chemical Reviews)、71
巻、525頁、1971年」参照)。
てはアール・エフ・レッカー(R.F.Rekker)
がその著書(「ザ・ハイドロフォビック・フラグメンタ
ル・コンスタント(THE HYDROPHOBIC
FRAGMENTAL CONSTANT)」、エルセ
ビア・サイエンティフィック・パブリッシング・カンパ
ニー、アムステルダム(Elsevier Sci.P
ub.Com., Amsterdam)(1977
年))中に示している疎水性フラグメント定数fを用い
て計算した値(Σf)が参考となる。疎水性フラグメン
ト定数は数多くのlogP実測値をもとに、統計学的処理
を行ない決定された種々のフラグメントの疎水性を示す
値であり、化合物を構成するおのおののフラグメントの
f値の和はlogP値とほぼ一致する。
−8からなるIL類の吸着に有効な化合物の探索にあた
り種々のlogP値を有する化合物を固定し検討した結
果、logP値2.50以上、好ましくは2.80以上、
さらに好ましくは3.00以上の化合物が前記IL
(類)の吸着に有効であり、logP値2.50未満の化
合物は殆ど前記IL(類)の吸着能を示さないことがわ
かった。たとえばアルキルアミンを固定化したばあい、
アルキルアミンをn−ヘキシルアミン(logP=2.0
6)からn−オクチルアミン(logP=2.90)に変
えると、この間で前記IL(類)の吸着能は飛躍的に上
昇することがわかった。これらの結果より、本発明の吸
着体への前記IL(類)の吸着は、logP値2.50以
上の化合物の固定により担体上に導入された原子団と前
記IL(類)との間の疎水性相互作用によるものと考え
られ、logP値2.50未満の化合物では疎水性が小さ
すぎるために前記IL(類)の吸着能を示さないと考え
られる。
定される化合物としては、logP値が2.50以上の化
合物であれば特別な制限なしに用いることができる。た
だし、担体上に化合物を化学結合法によって結合するば
あいには、化合物の一部が脱離することが多いが、この
脱離基が化合物の疎水性に大きく寄与しているばあい、
すなわち脱離により担体上に固定される原子団の疎水性
がΣf=2.50より小さくなるようなばあいには本発
明の主旨から考えて、本発明に用いる化合物としては不
適当である。その代表例を一つあげると、安息香酸イソ
ペンチルエステル(Σf=4.15)をエステル交換に
より水酸基を有する担体上に固定するばあいがあげられ
る。このばあい、実際に担体上に固定される原子団はC
6H5CO−であり、この原子団のΣfは1以下である。
このような化合物が本発明で用いる化合物として適当か
どうかは、脱離基の部分を水素に置き換えた化合物のlo
gP値が2.50以上かどうかにより判断すれば良い。
不飽和炭化水素、アルコール、アミン、チオール、カル
ボン酸およびその誘導体、ハロゲン化物、アルデヒド、
ヒドラジド、イソシアナート、グリシジルエーテルなど
のオキシラン環含有化合物、ハロゲン化シランなどのよ
うに担体への結合に利用できる官能基を有する化合物が
好ましい。このような化合物の代表例としてはn−ヘプ
チルアミン、n−オクチルアミン、デシルアミン、ドデ
シルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミ
ン、2−アミノオクテン、ナフチルアミン、フェニル−
n−プロピルアミン、ジフェニルメチルアミンなどのア
ミン類、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコ
ール、ドデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、
1−オクテン−3−オール、ナフトール、ジフェニルメ
タノール、4−フェニル−2−ブタノールなどのアルコ
ール類ならびにこれらのアルコールのグリシジルエーテ
ル類、n−オクタン酸、ノナン酸、2−ノネン酸、デカ
ン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、オレ
イン酸、ジフェニル酢酸、フェニルプロピオン酸などの
カルボン酸類ならびにこれらの酸ハロゲン化物、エステ
ル、アミドなどのカルボン酸誘導体、塩化オクチル、臭
化オクチル、塩化デシル、塩化ドデシルなどのハロゲン
化物、オクタンチオール、ドデカンチオールなどのチオ
ール類、n−オクチルトリクロロシラン、オクタデシル
トリクロロシランなどのハロゲン化シラン類、n−オク
チルアルデヒド、n−カプリンアルデヒド、ドデシルア
ルデヒドなどのアルデヒド類などがあげられる。
化水素部分の水素原子がハロゲン、窒素、酸素、イオウ
などのヘテロ原子を含有する置換基、他のアルキル基な
どで置換された化合物のうち、logP値が2.50以上
の化合物、前述のシー・ハンシュ(C.Hansch)
らの総説「パーティション・コーフィシエンツ・アンド
・ゼア・ユージズ;ケミカル・レビューズ(PARTI
TION COEFFICIENTS AND THE
IR USES;Chemical Review
s)、71巻、525頁、1971年」中の555頁か
ら613頁の表に示されているlogP値が2.50以上
の化合物などを用いることができるが、本発明において
はこれらのみに限定されるものではない。
いてもよいし、任意の2種類以上を組み合わせてもよ
く、さらにはlogP値が2.50未満の化合物との組み
合わせで用いてもよい。
は、常温常圧で固体であり水不溶性であることを意味す
る。また、本発明における水不溶性担体は粒状、板状、
繊維状、中空糸状などがあるが形状は問わず、その大き
さもとくに限定されない。
ラスビーズ、シリカゲルなどの無機担体、架橋ポリビニ
ルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリ
ルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子や結晶性
セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デ
キストリンなどの多糖類からなる有機担体、さらにはこ
れらの組み合わせによってえられる有機−有機、有機−
無機などの複合担体などが代表例としてあげられる。
較的少なくIL(類)の吸着選択性が良好であるため好
ましい。ここでいう親水性担体とは担体を構成する化合
物を平板状にしたときの水との接触角が60度以下の担
体を指す。このような担体としてはセルロース、ポリビ
ニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化
物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタク
リル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸グラ
フト化ポリエチレン、ポリアクリルアミドグラフト化ポ
リエチレン、ガラスなどからなる担体が代表例としてあ
げられるが、多孔質セルロースゲルは、(1)機械的強
度が比較的高く、強靭であるため撹拌などの操作により
破壊されたり微粉を生じたりすることが少なく、カラム
に充填したばあい体液を高速で流しても圧密化しないの
で高流速で流すことが可能となり、また細孔構造が高圧
蒸気滅菌などによって変化を受けにくい、(2)ゲルが
セルロースで構成されているため親水性であり、リガン
ドの結合に利用しうる水酸基が多数存在し、非特異的吸
着も少ない、(3)空孔容積を大きくしても比較的強度
が高いため軟質ゲルにおとらない吸着容量がえられる、
(4)安全性が合成高分子ゲルなどに比べて高いなどの
すぐれた点を有しており、本発明に用いる最も適した担
体の1つである。しかしながら本発明においてはこれら
のみに限定されるものではない。なお、前述の担体はそ
れぞれ単独で用いてもよいし、任意の2種類以上を混合
して用いてもよい。
性質は、適当な大きさの細孔を多数有する、すなわち多
孔質であることである。本発明の吸着体の吸着対象であ
るIL−1は分子量が約17,000の蛋白質であり、
IL−2は分子量が約15,000の糖蛋白質であり、
IL−6は分子量が約26,000の糖蛋白質であり、
またIL−8は分子量が約8,000の蛋白質である。
これらの蛋白質を効率よく吸着するためには前記IL
(類)はある程度大きな確立で細孔内に侵入できるが、
他の蛋白質の侵入はできる限りおこらないことが好まし
い。細孔径に侵入可能な物質の分子量の目安として排除
限界分子量が一般に用いられている。排除限界分子量と
は成書(たとえば、波多野博行、花井俊彦著、実験高速
液体クロマトグラフ、化学同人)などに述べられている
ごとく、ゲル浸透クロマトグラフィーにおいて細孔内に
侵入できない(排除される)分子の内最も小さい分子量
をもつものの分子量をいう。排除限界分子量は一般に球
状蛋白質、デキストラン、ポリエチレングリコールなど
についてよく調べられているが、本発明に用いる担体の
ばあい、球状蛋白質を用いてえられた値を用いるのが適
当である。
した結果、前記IL(類)の吸着に適当な細孔径の範囲
は、排除限界分子量が5千以上60万以下であることが
明らかとなった。すなわち5千未満の排除限界分子量を
持つ担体を用いたばあいには、前記IL(類)の吸着量
は小さくその実用性が低下し、また60万をこえるもの
では、前記IL(類)以外の蛋白質(主としてアルブミ
ン)の吸着が大きくなり、選択性の点でその実用性が低
下する。したがって本発明に用いる担体の好ましい排除
限界分子量は5千以上60万以下、さらに好ましくは8
千以上40万以下、とくに好ましくは1万以上30万以
下である。
の単位体積あたりの吸着能から考えて、表面多孔性より
も全多孔性が好ましく、空孔容積が20%以上であり、
比表面積が3m2/g以上であることが好ましい。
用いうる官能基を有していることが好ましい。これらの
官能基の代表例としては水酸基、アミノ基、アルデヒド
基、カルボキシル基、チオール基、シラノール基、アミ
ド基、エポキシ基、ハロゲン基、スクシニルイミド基、
酸無水物基などがあげられるが、これらに限定されるわ
けではない。
質担体のいずれも用いることができるが、体外循環用の
吸着剤として使用するばあいには、カラムに充填し、通
液する際などに目詰まりを生じないことが重要であり、
そのためには充分な機械的強度が要求される。したがっ
て本発明に用いる担体は硬質担体であることがより好ま
しい。ここでいう硬質担体とは、たとえば粒状ゲルのば
あい、後記参考例に示すごとく、ゲルを円筒状カラムに
均一に充填し、水性流体を流した際の圧力損失ΔPと流
量の関係が0.3kg/cm2までの直線関係にあるも
のをいう。
上の化合物を水不溶性多孔質担体に固定してえられる
が、その固定化方法としては公知の種々の方法を特別な
制限なしに用いることができる。しかしながら、本発明
の吸着剤を体外循環治療に供するばあいには、滅菌時あ
るいは治療時においてのリガンドの脱離溶出を極力抑え
ることが安全上重要であり、そのためには共有結合法に
より固定化することが好ましい。
記IL(類)を吸着除去する方法には種々の方法があ
る。最も簡便な方法としては体液を取り出してバッグな
どに貯留し、これに吸着剤を混合して前記IL(類)を
吸着除去したのち、吸着剤を濾別して前記IL(類)が
除去された体液をうる方法がある。つぎの方法は体液の
入口と出口を有し、出口には体液は通過するが吸着剤は
通過しないフィルターを装着した容器に吸着剤を充填
し、これに体液を流す方法がある。いずれの方法も用い
ることができるが、後者の方法は操作も簡便であり、ま
た体外循環回路に組み込むことにより患者の体液、とく
に血液から効率よくオンラインで前記IL(類)を除去
することが可能であり、本発明の吸着剤はこの方法に適
している。
体を単独で用いることもできるが、他の体外循環治療シ
ステムとの併用も可能である。併用の例としては、人工
透析回路などがあげられ、透析療法との組み合わせに用
いることもできる。
剤を用いた本発明のIL−1吸着器を、概略断面図であ
る図1にもとづき説明する。もちろんIL−2、IL−
6およびIL−8吸着剤ならびにIL類吸着剤のばあい
も同様である。
出口、3は本発明のIL−1吸着剤、4および5は体液
および体液に含まれる成分は通過できるが前記IL−1
吸着剤は通過できないフィルター、6はカラム、7はI
L−1吸着器である。しかしながら、IL−1吸着器は
このような具体例に限定されるものではなく、液の入口
および出口を有し、かつIL−1吸着剤の容器外への流
出防止具を備えた容器内に、前記吸着剤を充填したもの
であれば、どのようなものでもよい。
綿栓などのフィルターがあげられる。また、容器の形
状、材質、大きさにはとくに限定はないが、好ましい具
体例としては、たとえば容量150〜400ml程度、
直径4〜10cm程度の透明または半透明の筒状容器な
どがあげられる。とくに好ましくは耐滅菌性を有する素
材であるが、具体的にはシリコンコートされたガラス、
ポリプロピレン、塩化ビニール、ポリカーボネート、ポ
リサルフォン、ポリメチルペンテンなどがあげられる。
に述べるが、本発明は以下の実施例のみに限定されるも
のではない。
筒カラム(内径9mm、カラム長150mm)にアガロ
ースゲル(バイオラッド(Bio−rad)社製のバイ
オゲル(Biogel)A−5m、粒径50〜100メ
ッシュ)、ビニル系ポリマーゲル(東ソー(株)製のト
ヨパールHW−65、粒径50〜100μm)およびセ
ルロースゲル(チッソ(株)製のセルロファインGC−
700m、粒径45〜105μm)をそれぞれ均一に充
填し、ペリスタティックポンプにより水を流し、流量と
圧力損失ΔPとの関係を求めた。その結果を図2に示
す。
およびセルロファインGC−700mが圧力の増加にほ
ぼ比例して流量が増加するのに対し、バイオゲル(Bi
ogel)A−5mは圧密化を引き起こし、圧力を増加
させても流量が増加しないことがわかる。本発明におい
ては前者のごとく、圧力損失ΔPと流量の関係が0.3
kg/cm2までの直線関係にあるものを硬質ゲルとい
う。
00m(チッソ(株)製、球状タンパク質の排除限界分
子量400,000)170mlに水を加え全量を34
0mlとしたのち、2M水酸化ナトリウム水溶液90m
lを加え40℃とした。これにエピクロルヒドリン31
mlを加え、40℃で撹拌下2時間反応させた。反応終
了後、充分に水洗し、エポキシ化ゲルをえた。
ルアミン(logP=2.90)200mgを加え、50
(v/v)%エタノール水溶液中、45℃で静置下、6
日間反応させた。反応終了後、50(v/v)%エタノ
ール水溶液、エタノール、50(v/v)%エタノール
水溶液、水の順に充分に洗浄し、n−オクチルアミン固
定化ゲルをえた。
ァインGC−700mそれぞれ0.5mlに対し、健常
人血清(大日本製薬(株)製)にヒト遺伝子組換えIL
−1α(アール・アンド・ディー・システムズ(R&D
systems)社製)を加えて調製したIL−1α
加健常人血清(IL−1α濃度3ng/ml)3mlを
加え、37℃で2時間インキュベートした。インキュベ
ーション前後の上澄み溶液のIL−1αの濃度をカイマ
ン・ケミカル(CAYMAN CHEMICAL)社製
ヒトIL−1α測定キットを用いて、IL−1α濃度を
測定し、吸着率を算出した。またIL−1β(アール・
アンド・ディー・システムズ社製)についてもIL−1
β加健常人血清(IL−1β濃度1.3ng/ml)を
調製したのちIL−1αと同様に吸着実験を行ない、ア
ール・アンド・ディー・システムズ社製ヒトIL−1β
測定キットを用いて測定を行なって、吸着率を算出し
た。
に、固定化反応の溶媒をエタノールに変えたほかは実施
例1と同様にしてセチルアミン固定化ゲルをえた。この
吸着剤を用いて実施例1と同様にして吸着実験を行な
い、IL−1α、IL−1βの濃度を測定し、吸着率を
算出した。
200m(チッソ(株)製、球状タンパク質の排除限界
分子量140,000)に変えたほかは実施例1と同様
にしてn−オクチルアミン固定化ゲルをえた。この吸着
体を用いて実施例1と同様にして吸着実験を行ない、I
L−1α、IL−1βの濃度を測定し、吸着率を算出し
た。
200mに、n−オクチルアミンをセチルアミンに変え
たほかは実施例1と同様にしてセチルアミン固定化ゲル
をえた。この吸着剤を用いて実施例1と同様にして吸着
実験を行ない、IL−1の濃度を測定し、吸着率を算出
した。
97)に変えたほかは実施例1と同様にしてn−ブチル
アミン固定化ゲルをえた。この吸着剤を用いて実施例1
と同様にして吸着実験を行ない、IL−1α、IL−1
βの濃度を測定し、吸着率を算出した。
2.06)に変えたほかは、実施例1と同様にしてn−
ヘキシルアミン固定化ゲルをえた。この吸着体を用いて
実施例1と同様にして吸着実験を行ない、IL−1α、
IL−1βの濃度を測定し、吸着率を算出した。
化ゲルおよびセルロファインGC−700mそれぞれ
0.5mlに対し、健常人血清(大日本製薬(株)製)
にヒト遺伝子組換えIL−6(ゲンジム(GENZYM
E)社製、チャイニーズ・ハムスター・オバリー(Ch
inese Hamster Ovary)細胞由来)
を加えて調製したIL−6加健常人血清(IL−6濃度
0.42ng/ml)3mlを加え、37℃で2時間イ
ンキュベートした。インキュベーション前後の上澄み溶
液のIL−6の濃度をバイオソース・インターナショナ
ル(BIOSOURCE INTERNATIONA
L)社製ヒトIL−6測定キットを用いて、IL−6濃
度を測定し、吸着率を算出した。
に、固定化反応の溶媒をエタノールに変えたほかは実施
例1と同様にしてセチルアミン固定化ゲルをえた。この
吸着剤を用いて実施例5と同様にして吸着実験を行な
い、IL−6の濃度を測定し、吸着率を算出した。
200m(チッソ(株)製、球状タンパク質の排除限界
分子量140,000)に変えたほかは実施例1と同様
にしてn−オクチルアミン固定化ゲルをえた。この吸着
体を用いて実施例5と同様にして吸着実験を行ない、I
L−6の濃度を測定し、吸着率を算出した。
200mに、n−オクチルアミンをセチルアミンに変え
たほかは実施例1と同様にしてセチルアミン固定化ゲル
をえた。この吸着体を用いて実施例5と同様にして吸着
実験を行ない、IL−6の濃度を測定し、吸着率を算出
した。
た。この吸着体を用いて実施例5と同様にして吸着実験
を行ない、IL−6の濃度を測定し、吸着率を算出し
た。
た。この吸着体を用いて実施例5と同様にして吸着実験
を行ない、IL−6の濃度を測定し、吸着率を算出し
た。
着体)およびセルロファインGC−700mそれぞれ
0.5mlに対し、ヒト遺伝子組換えIL−2(ベクト
ン・ディッキンソン(BECTON DICKINSO
N)社製)に健常人血清(大日本製薬(株)製)80m
lを加えて調製したIL−2加健常人血清(IL−2濃
度0.81ng/ml)3mlを加え、37℃で2時間
インキュベートした。インキュベーション前後の上澄み
溶液のIL−2の濃度をアール・アンド・ディー・シス
テムズ(R&D systems)社製ヒトIL−2測
定キットを用いて、IL−2濃度を測定し、吸着率を算
出した。
に、固定化反応の溶剤をエタノールに変えたほかは実施
例9と同様にしてセチルアミン固定化ゲルをえた。この
吸着剤を用いて実施例9と同様にして吸着実験を行な
い、IL−2の濃度を測定し、吸着率を算出した。
200m(チッソ(株)製、球状タンパク質の排除限界
分子量140,000)に変えたほかは実施例9と同様
にしてn−オクチルアミン固定化ゲルをえた。この吸着
剤を用いて実施例9と同様にして吸着実験を行ない、I
L−2の濃度を測定し、吸着率を算出した。
200mに、n−オクチルアミンをセチルアミンに変え
たほかは実施例9と同様にしてセチルアミン固定化ゲル
をえた。この吸着剤を用いて実施例9と同様にして吸着
実験を行ない、IL−2の濃度を測定し、吸着率を算出
した。
97)に変えたほかは実施例9と同様にしてn−ブチル
アミン固定化ゲルをえた。この吸着剤を用いて実施例9
と同様にして吸着実験を行ない、IL−2の濃度を測定
し、吸着率を算出した。
2.06)に変えたほかは実施例9と同様にしてn−ヘ
キシルアミン固定化ゲルをえた。この吸着剤を用いて実
施例9と同様にして吸着実験を行ない、IL−2の濃度
を測定し、吸着率を算出した。
着剤)およびセルロファインGC−700mそれぞれ
0.5mlに対し、健常人血清(大日本製薬(株)製)
にヒト遺伝子組換えIL−8(アール・アンド・ディー
・システムズ社製)を加えて調製したIL−8加健常人
血清(IL−8濃度7.4ng/ml)3mlを加え、
37℃で2時間インキュベートした。インキュベーショ
ン前後の上澄み溶液のIL−8の濃度をアール・アンド
・ディー・システムズ社製ヒトIL−8測定キットを用
いて、IL−8濃度を測定し、吸着率を算出した。
7.22)に、固定化反応の溶媒をエタノールに変えた
ほかは実施例13と同様にしてセチルアミン固定化ゲル
をえた。この吸着剤を用いて実施例13と同様にして吸
着実験を行ない、IL−8の濃度を測定し、吸着率を算
出した。
200m(チッソ(株)製、球状タンパク質の排除限界
分子量140,000)に変えたほかは実施例13と同
様にしてn−オクチルアミン固定化ゲルをえた。この吸
着剤を用いて実施例13と同様にして吸着実験を行な
い、IL−8の濃度を測定し、吸着率を算出した。
200mに、n−オクチルアミンをセチルアミンに変え
たほかは実施例13と同様にしてセチルアミン固定化ゲ
ルをえた。この吸着剤を用いて実施例13と同様にして
吸着実験を行ない、IL−8の濃度を測定し、吸着率を
算出した。
97)に変えたほかは実施例13と同様にしてn−ブチ
ルアミン固定化ゲルをえた。この吸着剤を用いて実施例
13と同様にして吸着実験を行ない、IL−8の濃度を
測定し、吸着率を算出した。
2.06)に変えたほかは、実施例13と同様にしてn
−ヘキシルアミン固定化ゲルをえた。この吸着剤を用い
て実施例13と同様にして吸着実験を行ない、IL−8
の濃度を測定し、吸着率を算出した。
にlogP値2.50以上の化合物を固定化した吸着剤を
用いることで体液中のIL(類)を効率よく吸着除去す
ることができる。
図である。
を調べた結果を示すグラフである。
前記IL−1吸着剤は通過できないフィルター 6 カラム 7 IL−1吸着器
Claims (4)
- 【請求項1】 水不溶性多孔質担体にlogP(Pはオク
タノール−水系での分配係数)値が2.50以上の化合
物を固定してなるインターロイキン−1、インターロイ
キン2、インターロイキン6およびインターロイキン−
8からなるインターロイキン類の少なくとも1種のイン
ターロイキンの吸着剤。 - 【請求項2】 水不溶性多孔質担体の球状蛋白質の排除
限界分子量が5千以上60万以下である請求項1記載の
吸着剤。 - 【請求項3】 水不溶性多孔質担体にlogP(Pはオク
タノール−水系での分配係数)値が2.50以上の化合
物を固定してなるインターロイキン−1、インターロイ
キン2、インターロイキン6およびインターロイキン−
8からなるインターロイキン類の少なくとも1種のイン
ターロイキンの吸着剤に体液を接触させることを特徴と
する、体液中のインターロイキン−1、インターロイキ
ン2、インターロイキン6およびインターロイキン−8
からなるインターロイキン類の少なくとも1種のインタ
ーロイキンの除去方法。 - 【請求項4】 液の入口および出口を有しかつ、吸着剤
の容器外への流出防止手段を備えた容器内に、水不溶性
多孔質担体にlogP(Pはオクタノール−水系での分配
係数)値が2.50以上の化合物を固定してなるインタ
ーロイキン−1、インターロイキン2、インターロイキ
ン6およびインターロイキン−8からなるインターロイ
キン類の少なくとも1種のインターロイキンの吸着剤を
充填してなる前記の少なくとも1種のインターロイキン
の吸着器。
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EP96101098A EP0723794A1 (en) | 1995-01-27 | 1996-01-26 | Adsorbent for removing interleukins and tumor necrosis factor, and process for removing the same |
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1995
- 1995-03-24 JP JP06656595A patent/JP3410849B2/ja not_active Expired - Fee Related
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