JPH09252739A - 豆腐様食品の製造方法及び豆腐様冷凍食品 - Google Patents

豆腐様食品の製造方法及び豆腐様冷凍食品

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JPH09252739A
JPH09252739A JP8092961A JP9296196A JPH09252739A JP H09252739 A JPH09252739 A JP H09252739A JP 8092961 A JP8092961 A JP 8092961A JP 9296196 A JP9296196 A JP 9296196A JP H09252739 A JPH09252739 A JP H09252739A
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tofu
frozen
soybean
food
soybean protein
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JP8092961A
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Jinko Shimazu
仁子 志満津
Hirofumi Akano
裕文 赤野
Kichiya Kawamura
吉也 川村
Kenji Watanabe
乾二 渡邊
Makoto Shimoyamada
真 下山田
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Nakano Vinegar Co Ltd
Original Assignee
Nakano Vinegar Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 凍結後、解凍しても、豆腐本来の滑らかな食
感を均一に有し、かつ保存性に優れた美味な豆腐様食品
を再現性よく製造する方法を提供することを目的とす
る。加えて、作業性に優れており、また食感にも優れた
豆腐様食品を提供することを目的とする。 【解決手段】 豆乳又は大豆蛋白乳化液を過冷却状態
を経た後に凍結処理することを特徴とする豆腐様食品の
製造方法、豆乳又は大豆蛋白乳化液を過冷却状態と
し、その品温が均一になった後に凍結処理することを特
徴とする豆腐様食品の製造方法、豆乳に大豆蛋白質及
び/又は油脂を配合することを特徴とする前記又は
記載の方法、前記〜のいずれかに記載の方法によ
り製造された豆腐様冷凍食品、並びに前記記載の豆
腐様冷凍食品を解凍してなる豆腐様食品を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍保存可能であ
り、かつ美味な豆腐様食品の製造方法と、この方法によ
り得られる豆腐様冷凍食品に関する。
【0002】
【従来の技術】豆腐は、伝統食品として広く食されてき
た蛋白食品であり、優れた栄養食品でもあるが、水分含
量が90%前後と非常に高いため腐敗しやすく、保存性
は極めて悪い。
【0003】そこで、豆腐の保存性を向上させるために
種々の対策が採られており、その一つとして凍結という
手段も用いられている。しかし、豆腐を凍結した場合に
は豆腐の含有水分による氷結晶化が進むため、豆腐の主
成分である大豆蛋白が凍結変性を受ける。即ち、冷凍保
存によって氷結晶が成長し、凍結濃縮により接近した蛋
白質分子間にS−S結合を主とした会合がおこる。その
結果、蛋白質が層状に組織化をきたし、解凍しても凍結
前の豆腐本来の滑らかな食感を得ることができない。
【0004】そこで、豆腐中の蛋白質の凍結変性を防止
し、豆腐に冷凍耐性を付与する方法として、澱粉、糖、
大豆蛋白質、油脂、乳化剤などを添加することが行われ
ている。このような冷凍耐性物質を添加することによ
り、豆腐の凍結変性は抑制されるものの、逆に添加物に
より食感がモタつくなどの問題があり、豆腐本来の滑ら
かな食感の保持という点ではまだ不充分である。
【0005】一方、豆腐の凍結変性を逆に利用したもの
として凍り豆腐が知られている。豆腐を一定期間凍結保
存し、この熟成期間中に蛋白質の凍結変性が進み、凍り
豆腐特有の海綿状組織が形成される。凍り豆腐製造工程
においては、豆腐解凍後の保水力は著しく低下し、容易
に脱水されるので、凍結前の滑らかな豆腐特有の食感が
維持されない。よって、これを乾燥させて出来た凍り豆
腐は、水戻ししても、本来の豆腐とは異なった食感を有
したものである。
【0006】また、豆乳中の大豆蛋白質は、凍結変性に
より一部ゲル化することが知られており、豆乳を急速凍
結した凍結豆乳を急速加熱解凍することにより豆腐製品
を製造する方法が提案されている(特開平4−1907
54号公報)。しかし、豆乳を凍結させた場合にできる
蛋白変性によるゲルは、通常の方法で凍結させると、ゲ
ルが不均一になり、離水量が多かったり、組織が層状に
なり食感が悪いなどの問題があった。また、再現性が悪
いため、常に豆腐様の滑らかな食感を有するゲルをつく
るのは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
従来の欠点を解消し、凍結後、解凍しても、豆腐本来の
滑らかな食感を均一に有し、かつ保存性に優れた美味な
豆腐様食品を再現性よく製造する方法を提供することを
目的とするものである。加えて本発明は、凝固剤による
凝固工程が省けるため、作業性に優れており、また食感
にも優れた豆腐様食品を提供することを目的とするもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の欠点を解消するため鋭意検討を行った。その結果、豆
乳中の大豆蛋白質は凍結により変性を受け、S−S結合
を主とする分子間架橋を生じるため、冷凍豆腐において
は品質低下の要因となるが、豆乳を過冷却状態を経た後
に凍結処理することにより、豆乳は均一にゲル化し、豆
腐様食感を呈することを知見した。
【0009】本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたものである。これは、従来、冷凍豆腐の製造におい
て検討されてきた蛋白質の凍結変性の抑制を目的とする
のではなく、逆に蛋白質の凍結変性をゲル化に利用した
ものである。しかしながら、豆腐凝固工程や凍結条件な
どの製造条件が、凍り豆腐とは異なるため、解凍後もそ
の組織はスポンジ化しない。また、豆乳を過冷却状態を
経た後に凍結処理することにより、再現性よく、均一で
滑らかな食感を有する豆腐様食品を製造することが可能
となった。
【0010】すなわち、請求項1記載の本発明は、豆乳
又は大豆蛋白乳化液を過冷却状態を経た後に凍結処理す
ることを特徴とする豆腐様食品の製造方法を提供するも
のである。
【0011】次に、請求項2記載の本発明は、豆乳又は
大豆蛋白乳化液を過冷却状態とし、その品温が均一にな
った後に凍結処理することを特徴とする豆腐様食品の製
造方法を提供するものである。
【0012】また、請求項3記載の本発明は、豆乳に、
大豆蛋白質及び/又は油脂を配合することを特徴とする
請求項1又は2記載の豆腐様食品の製造方法を提供する
ものである。
【0013】さらに、請求項4記載の本発明は、請求項
1〜3のいずれかに記載の方法により製造された豆腐様
冷凍食品を提供するものである。
【0014】さらにまた、請求項5記載の本発明は、請
求項4記載の豆腐様冷凍食品を解凍してなる豆腐様食品
を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。請求項1記載の本発明では、出発原料として、豆
乳又は大豆蛋白乳化液を用いる。
【0016】出発原料として用い得る豆乳又は大豆蛋白
乳化液としては、特に限定はなく、丸大豆、豆乳粉末の
如き豆腐製造に用いられる公知の原料より常法にて製造
したものが使用できる。
【0017】即ち、豆乳としては、丸大豆を水浸漬し、
充分に吸水させた後、加水、磨砕した「呉」を加熱蒸煮
した後、圧搾濾過し、オカラを分離除去することにより
得られるものを用いることができる。また、水浸漬させ
た丸大豆に加水し、磨砕した後、そのまま圧搾濾過する
ことによりオカラを分離除去した(生絞り)豆乳を加熱
処理して用いてもよい。また、オカラを除去せずに作製
した豆乳を用いてもよい。さらには、豆乳粉末に加水
し、混合攪拌、加熱処理して得られる豆乳液を用いるこ
ともできる。
【0018】なお、丸大豆や豆乳粉末を用いて豆乳を調
製した場合には、請求項3に記載したように、この豆乳
に、必要により大豆蛋白質及び/又は油脂を加え攪拌
し、豆乳組成を調整したものを用いてもよい。ここで使
用する大豆蛋白質としては、脱脂大豆より糖類その他の
可溶性成分を除いた濃縮大豆蛋白質、或いは脱脂大豆か
ら抽出した水可溶成分に酸を加えてpH調整し、タンパ
クを等電点沈殿させ、これを中和溶解したのち噴霧乾燥
した分離大豆蛋白質などが用いられるが、ゲル化性及び
乳化性に優れた分離大豆蛋白質を用いるのが好ましい。
一方、油脂としては、植物性油脂及び動物性油脂が用い
られ、大豆油、パーム油、コーン油、なたね油、やし
油、紅花油、胡麻油などの食用油脂を使用することがで
きる。
【0019】一方、上記豆乳の他に出発原料として用い
得る大豆蛋白乳化液としては、大豆蛋白質に水、油脂等
を加え、ミキサー等を用いて混合攪拌し、加熱乳化する
ことにより得られるものを挙げることができる。ここで
用いられる大豆蛋白質や油脂は、上記豆乳の説明中に記
載したものと同様のものが挙げられ、それらと同一もの
を用いてもよいし、或いは異なるものを用いてもよい。
【0020】また、請求項1記載の本発明の方法により
得られる豆腐様食品の味、食感、栄養価改善のために、
糖類やビタミン、ミネラルを、豆乳又は大豆蛋白乳化液
に添加してもよい。
【0021】なお、請求項1記載の本発明で使用する豆
乳又は大豆蛋白乳化液(以下、単に豆乳ということがあ
る。)としては、蛋白質濃度が3〜20%のものが好ま
しく、4〜10%のものが特に好ましい。これは、豆乳
に凍結処理を施す工程を含むことにより製造した豆腐様
食品の物性は、豆乳中の蛋白質濃度に影響を受けるため
である。ここで用いる豆乳の蛋白質濃度が3%未満の場
合には、凍結変性による蛋白質の組織化のみでは豆乳が
均一にゲル化するには満たないおそれがある。また、用
いる豆乳の蛋白質濃度が20%を超える場合には、食感
がざらつき、豆腐本来の滑らかな食感とは異なるものと
なってしまうおそれがある。
【0022】請求項1記載の本発明においては、このよ
うに調製した豆乳又は大豆蛋白乳化液を成型容器に充填
し、過冷却状態を経た後に凍結処理する。ここで、豆乳
又は大豆蛋白乳化液を過冷却状態を経た後に凍結処理す
るのでない場合には、凍結時に豆乳又は大豆蛋白乳化液
の凍結変性が不均一に進行するため、解凍後に豆腐様の
固体としての形態を保持せず、離水が著しく、ゲルがも
ろく崩れたり、かき玉状となってしまうため好ましくな
い。
【0023】なお、請求項1記載の本発明において、
「過冷却状態」とは、豆乳又は大豆蛋白乳化液の品温
が、凝固点以下で、かつ未凍結状態にある状態を指す。
但し、豆乳の凝固点は、豆乳又は大豆蛋白乳化液の濃度
等により異なる。
【0024】さらには、請求項2に記載するように、本
発明においては、豆乳又は大豆蛋白乳化液を過冷却状態
とし、その品温が均一になった後に凍結処理することが
好ましい。すなわち、豆乳又は大豆蛋白乳化液の品温
が、凝固点以下で、かつ未凍結状態になる品温まで、
「均一に」品温が達した後に凍結処理することが好まし
い。この場合、豆乳又は大豆蛋白乳化液は、凍結処理前
には過冷却状態にあるので、その品温が凝固点以下であ
っても、凍結はしていない。
【0025】請求項2記載の本発明において、「均一」
とは、中心部と周辺部の温度差が少なく、ほとんど均一
になっていることを指し、豆乳又は大豆蛋白乳化液を冷
却し、品温が凝固点以下で、かつ未凍結状態になる品温
まで、均一に品温が達するまで冷却した後に凍結処理す
ればよく、上記温度に均一に達せしめる手段は特に制限
はない。具体的手段としては、例えば、中心部が一番温
度低下が遅く、均一性を妨げる可能性があることから、
豆乳を充填する成型容器として、できるだけ薄い成型容
器を用いたり、或いは冷却時に攪拌したりすることなど
が挙げられる。
【0026】次に、請求項1,2記載の本発明におい
て、豆乳又は大豆蛋白乳化液について、過冷却状態を経
た後に行なう凍結処理は、常法により行えばよい。ここ
で凍結処理は、通常、−60℃〜−10℃の温度範囲で
行われるが、−40℃〜−20℃の温度範囲で行うこと
がより好ましい。なお、この凍結処理自体は、急速瞬間
凍結であってもよいし、緩慢凍結であってもよい。
【0027】このような温度で豆乳又は大豆蛋白乳化液
中の大豆蛋白質を均一に凍結変性させることにより、豆
腐の形態を保つまでに均一にゲル化させることが可能で
ある。このように凍結された豆乳又は大豆蛋白乳化液
は、凍結変性により大豆蛋白質が組織化しているにもか
かわらず、その構造は均一で密な分子間架橋より形成さ
れているため、解凍後も滑らかな豆腐様食感を呈するも
のとなる。また、常法にて豆腐を製造する場合とは異な
り、凝固剤による凝固工程が省けるため、作業性がよ
く、また食感にも優れた美味なものとなる。
【0028】なお、豆乳に大豆蛋白質などを添加して混
合攪拌し得られた調製液は、必要により凍結前に気泡が
なくなる程度まで脱気処理すると良い。
【0029】このようにして請求項4記載の本発明の豆
腐様冷凍食品が得られる。また、このようにして得られ
る請求項4記載の本発明の豆腐様冷凍食品を常法により
解凍することにより、請求項5記載の本発明の豆腐様食
品が得られる。請求項4記載の本発明の豆腐様冷凍食品
は、冷蔵解凍も可能なことから、冷蔵解凍し、そのまま
冷や奴として食したり、また加熱調理を要するみそ汁の
具やあんかけ豆腐など、通常の豆腐料理に使用すること
ができる。また、請求項5記載の本発明の豆腐様食品
は、豆乳そのものをゲル化させたものであり、甘味が強
いので、豆腐デザートとして食するにも適している。
【0030】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれによって何ら限定されるもので
はない。
【0031】実施例1 丸大豆1kgを水に10時間浸漬後、2kgの水を加え
ながらグラインダーで磨砕し、呉を得た。これにさらに
3kgの水を加えて100℃で5分間加熱した後、圧搾
濾過し、オカラを分離することにより、豆乳を得た(固
形分濃度:14%、蛋白質濃度:5.5%)。この豆乳
の凝固点をDSC( Differential Scanning Calorimet
er ; 示差走査熱量計)により測定したところ、凝固点
は−1.0℃であった。DSCは、真空理工(株)製の
BSC−2を用い、セルに豆乳サンプルを2mg入れ凍
結し、昇温速度1℃/min.にて昇温させた場合の融
点を凝固点として求めた。
【0032】このようにして得た豆乳を、プラスチック
容器に100gずつ充填した後、半量は、−5℃の冷凍
機中で一定時間保持し、過冷却状態とした後、−20℃
で凍結させた(本発明豆腐様食品)。また、残りの半量
の豆乳は、冷蔵庫にて5℃前後まで冷却した後、−20
℃で凍結させた(対照豆腐様食品)。
【0033】このようにして凍結した2種類の豆乳を、
−20℃で1週間保存した後、自然解凍して官能評価を
行った。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】離水率は、凍結豆乳を自然解凍後、室温に
10分間放置した後に、離水量を測定することにより求
めた。豆乳を過冷却状態を経た後に−20℃で凍結させ
たもの(本発明豆腐様食品)は、僅かに離水するもの
の、豆乳中の大豆蛋白質が均一にゲル化し、豆腐の形態
を有しており、またその食感も非常に滑らかであり、絹
ごし豆腐様の食感、風味を有するものであった。一方、
豆乳を冷蔵庫にて5℃前後まで冷却し、そのまま−20
℃で凍結させたもの(対照豆腐様食品)は、離水が著し
く、ゆるいかき玉状といった感じであり、固体としての
形態を保持していなかった。
【0036】この結果より、豆乳を過冷却状態を経た後
に凍結処理を施すことによって、豆乳中の大豆蛋白質が
均一に凍結変性し、ゲル化することにより、豆腐様の滑
らかな食感を呈する食感の優れた豆腐様食品を得ること
ができることが分かった。
【0037】実施例2 丸大豆を原料として常法により得られた豆乳(固形分濃
度:14%、蛋白質濃度:5.5%)1kgに、大豆蛋
白質「サンラバー50」(フジピュリナプロテイン
(株)製)30gを加え、高速攪拌し、成分を均一に混
和させた後、脱気した。また、同じく固形分濃度14%
の豆乳1kgに、大豆油「豊年精製大豆油」((株)ホ
ーネンコーポレーション製)10gを加え、高速攪拌
し、成分を均一に混和させた後、脱気した。このように
して調製した2種類の豆乳をプラスチック容器に100
gずつ充填し、−7℃の冷凍機中に一定時間保持し、過
冷却状態とした後、−30℃で凍結させた。
【0038】前記の2種類の凍結した豆乳を、−30℃
で1週間保存した後、自然解凍し、表1と同様にして官
能評価を行った。その結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】豆乳に大豆蛋白質を添加して凍結させた今
回(実施例2)のものと、前記実施例1の豆乳のみを凍
結させたゲルとを比較すると、実施例1の豆乳のみを凍
結させたゲルの方が、より食感は滑らかであるが、大豆
蛋白質を添加して凍結させた今回(実施例2)のもの
も、ソフト豆腐様の滑らかな食感を有し、風味にも優れ
ており、なおかつ、離水も殆どせず、保水性に優れてい
ることが分かった。
【0041】また、豆乳に大豆油を添加して凍結させた
今回(実施例2)のゲルは、実施例1の豆乳のみを凍結
させたゲルと比較し、保水性に殆ど差はなかったもの
の、食感はより滑らかとなり、甘味も増し、豆腐として
の風味に優れていることが分かった。
【0042】実施例3 実施例1と同様、丸大豆を原料として常法により得られ
た豆乳(固形分濃度:14%、蛋白質濃度:5.5%)
をプラスチック容器に100g充填し、これを−5℃の
冷凍機内に一定時間保持することにより、品温が均一に
−5℃になるまで冷却した後、−20℃で凍結させた
(本発明豆腐様食品)。一方、丸大豆を原料として常法
により得られた豆乳(固形分濃度:12%、蛋白質濃
度:4.7%)に、凝固剤としてグルコノデルタラクト
ン0.3%を添加して常法にて充填豆腐を作製し、これ
を−5℃の冷凍機内に一定時間保持することにより、品
温が均一に−5℃になるまで冷却した後、−20℃で凍
結させた(対照豆腐食品)。
【0043】前記の凍結した豆乳と凍結した豆腐を、そ
れぞれ−20℃で1週間保存した後、自然解凍し、表1
と同様にして官能評価を行った。その結果を表3に示
す。
【0044】
【表3】
【0045】表3の結果より、豆乳を凍結させたゲル
(本発明豆腐様食品)と比較して、豆乳に凝固剤を加え
豆腐を作製した後に凍結させたもの(対照豆腐食品)
は、内部に「す」が入っており、離水も著しかった。ま
た、食感もボソボソとしており、豆腐の滑らかな食感と
は異なるものであった。
【0046】実施例4 実施例1及び実施例2で調製した豆腐様食品の物性測定
をレオロメーターにて行った。物性測定には、(株)ア
イテクノ製のレオロメータ・マックスRX−1700を
用いた。
【0047】また、豆腐様食品の物性を通常のチルド豆
腐の物性と比較するため、常法にて、木綿豆腐、絹ごし
豆腐及び充填豆腐を作製した。チルド豆腐の作製にあた
っては、木綿豆腐には豆乳固形分10%の豆乳を用い、
凝固剤として硫酸カルシウムを0.3%添加して豆腐を
作製した。また、絹ごし豆腐と充填豆腐には豆乳固形分
12%の豆乳を用い、凝固剤として、絹ごし豆腐にはグ
ルコノデルタラクトン及び硫酸カルシウムを合わせて
0.3%添加し、充填豆腐には、グルコノデルタラクト
ンを0.3%添加して、それぞれ豆腐を作製した。
【0048】測定サンプルは、直径30mm×高さ10
mmに切断し、測定に供した。物性測定は、正弦運動に
より行い、12mmのプランジャーを用いた。また、レ
オロメーター測定条件としては、運動のスピード6 cyc
le/min. 、運動の回数2回、クリアランス2mmにて行
った。
【0049】その結果を表4及び図1に示す。なお、物
性測定項目のうち付着性については、測定値が0kg/
cm2 であるものが含まれていたので、比較グラフ(図
1)からは省いた。すなわち、図1は、本実施例4にお
ける各種豆腐様食品の物性測定の結果の比較グラフであ
って、表4の結果(付着性を除く)をグラフ化したもの
である。また、図2及び図3は、絹ごし豆腐及び実施例
2の大豆蛋白質を添加した本発明の豆腐様食品のレオロ
メーターによる物性測定グラフである。すなわち、図2
は、本実施例4における絹ごし豆腐のレオロメーターに
よる物性測定グラフであり、図3は、本実施例4におけ
る大豆蛋白質添加豆腐様食品(実施例2のもの)のレオ
ロメーターによる物性測定グラフである。
【0050】
【表4】
【0051】表4及び図1の物性比較グラフから明らか
なように、実施例1の本発明の豆腐様食品は、物性的に
みると、充填豆腐に近いものであることが明らかとなっ
た。また、実施例2の豆乳に大豆蛋白質を添加した豆腐
様食品の物性は、豆乳のみのもの(実施例1)と比較す
ると、硬さや弾力性、咀嚼性などが増しており、蛋白質
を添加することにより、凍結変性による蛋白架橋構造が
強固となることが物性的にも明らかとなった。
【0052】実施例5 実施例1と同様にして、丸大豆に対し5倍加水で、濃度
16%の豆乳を調製した。この豆乳をプラスチック容器
に100gずつ充填し、品温が均一に−5℃になるよう
に冷却した後、−40℃で凍結させた。このようにして
凍結した豆乳を−20℃で1週間保存した後、自然解
凍、冷蔵解凍、加熱解凍、電子レンジ解凍の4者による
解凍を行って官能評価を行った。冷蔵解凍は、5℃の冷
蔵庫中にて、自然解凍は20℃室温にて約8時間かけて
行い、加熱解凍については、沸騰水中に容器ごと入れ、
5分間加熱することにより解凍した。また、電子レンジ
解凍は、500Wの電子レンジを用いて、生解凍3分間
にて行った。
【0053】その結果は表5に示した通りであり、冷蔵
解凍及び自然(室温)解凍の解凍方法によらず、解凍後
のゲルは非常に滑らかな食感及び風味を有していた。ま
た、加熱解凍した場合も、ゲルが崩れることなく、短時
間に解凍することが可能であり、なおかつ食感について
も冷蔵解凍及び自然解凍したときと同様の絹ごし豆腐様
の滑らかさを有していた。また、電子レンジ解凍も可能
であり、その場合には、寄せ豆腐様の柔らかい舌触りを
有していた。
【0054】
【表5】
【0055】実施例6 大豆蛋白質「ニューフジプロJ」(フジピュリナプロテ
ィン(株)製)100gに、水900mlと大豆油30
gを加え、高速攪拌し、成分を均一に混和して蛋白乳化
液を得た。得られた蛋白乳化液をプラスチック容器に1
00gずつ充填し、品温が均一に−7℃に達するまで冷
却した後、−20℃で凍結させた。この凍結豆乳を−2
0℃にて30日間凍結保存した後、自然解凍し、官能検
査を行ったところ、解凍後のゲルは、「す」や離水もな
く、食感、風味に優れた良好な豆腐様組織を有するもの
であった。
【0056】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、豆乳或
いは大豆蛋白乳化液を過冷却状態を経た後に凍結処理す
ることにより、凍結後、解凍しても、豆腐本来の滑らか
な食感を均一に有し、かつ保存性に優れた豆腐様食品を
再現性よく製造することができる。請求項1記載の本発
明においては、常法にて豆腐を製造する場合とは異な
り、凝固剤による凝固工程が省けるため、作業性に優れ
ており、また食感にも優れた美味な豆腐様食品が得られ
る。
【0057】次に、請求項2記載の本発明によれば、豆
乳或いは大豆蛋白乳化液を過冷却状態とし、その品温が
均一になった後に凍結処理しているため、豆腐の形態を
保つまでに均一にゲル化させることができ、そのため、
凍結後、解凍しても、豆腐本来の滑らかな食感を有して
いる。
【0058】また、請求項1〜3記載の方法により製造
された、請求項4記載の本発明の豆腐様冷凍食品は、凍
結変性により大豆蛋白質が組織化しているにもかかわら
ず、その構造は均一で密な分子間架橋より形成されてい
るため、解凍後も、豆腐本来の滑らかな食感を均一に有
し、かつ保存性に優れたものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例4における各種豆腐様食品の物
性測定の結果の比較グラフである。
【図2】図2は、実施例4における絹ごし豆腐のレオロ
メーターによる物性測定グラフである。
【図3】図3は、実施例4における大豆蛋白質添加豆腐
様食品(実施例2のもの)のレオロメーターによる物性
測定グラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 豆乳又は大豆蛋白乳化液を過冷却状態を
    経た後に凍結処理することを特徴とする豆腐様食品の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 豆乳又は大豆蛋白乳化液を過冷却状態と
    し、その品温が均一になった後に凍結処理することを特
    徴とする豆腐様食品の製造方法。
  3. 【請求項3】 豆乳に、大豆蛋白質及び/又は油脂を配
    合することを特徴とする請求項1又は2記載の豆腐様食
    品の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の方法に
    より製造された豆腐様冷凍食品。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の豆腐様冷凍食品を解凍し
    てなる豆腐様食品。
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