JPH09252141A - 液晶表示素子及びその製造方法並びにスパッタリング装置 - Google Patents

液晶表示素子及びその製造方法並びにスパッタリング装置

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JPH09252141A
JPH09252141A JP392597A JP392597A JPH09252141A JP H09252141 A JPH09252141 A JP H09252141A JP 392597 A JP392597 A JP 392597A JP 392597 A JP392597 A JP 392597A JP H09252141 A JPH09252141 A JP H09252141A
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JP
Japan
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glass substrate
film
liquid crystal
crystal display
electrode
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JP392597A
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Inventor
Shigeru Kinoshita
繁 木下
Hiroshi Nishimura
博司 西村
Masahito Sawada
雅人 澤田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い光吸収性と高い絶縁性とを併せ持つ遮光膜
を有する液晶表示素子を提供することを目的とする。 【解決手段】半導体物質、SiCおよび非晶質炭素から
選ばれた少なくとも1種の材料と無機絶縁性化合物とか
らなる遮光膜を具備した液晶表示素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子及び
その製造方法並びにこの製造方法のために用いられるス
パッタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜トランジスタを有する液晶表示素子
は、ガラス基板とこのガラス基板上に形成された逆スタ
ガ型の薄膜トランジスタと前記ガラス基板上に配置され
前記薄膜トランジスタのドレイン電極と接続される画素
電極とを有するアレイ基板と、前記ガラス基板に対して
所望する距離だけ隔てて対向配置された対向基板と、前
記アレイ基板と前記対向基板の間に封入された液晶材と
を備えているものがある。
【0003】前述した液晶表示素子のアレイ基板におい
ては、前記薄膜トランジスタのパッシベーション膜を含
み、前記画素電極を除く領域に遮光膜が被覆されている
場合が多い。
【0004】このような遮光膜は、前記対向基板上のカ
ラーフィルターと相まって表示画素のコントラストを向
上させるとともに、前記対向基板から前記薄膜トランジ
スタの活性層へ光が入射するのを阻止して、前記活性層
で電子および正孔が入射光により発生され、前記薄膜ト
ランジスタのON/OFF制御が誤動作されるのを防い
でいる。
【0005】従来、遮光膜には、感光性樹脂(フォトレ
ジスト)に顔料を混ぜ合わせた有機系の遮光膜やCr等
の金属製の遮光膜が用いられていた。
【0006】しかし、有機系の遮光膜では光吸収性が低
いため、十分な遮光を行うために膜厚を大きくする必要
があり、前記薄膜トランジスタの部分と前記表示画素の
間に大きな段差が生じていた。その結果、前記パッシベ
ーション膜上に配置された液晶配向膜の段差被覆性が劣
化して前記液晶材の配向不良を引き起こす、2枚の基板
間のギャップ制御を困難にする、2枚の基板間のギャッ
プが拡大されて表示ムラや液晶応答速度を低下させる、
という問題が生じていた。
【0007】また、金属製の遮光膜では絶縁性が低いた
め、前記薄膜トランジスタにおいてデータ信号が入力さ
れ続ける結果、絶縁体である前記パッシベーション膜を
介して、ソース電極および前記ドレイン電極と前記遮光
膜との間に電荷が蓄積されてしまう。即ち、電荷の蓄積
された前記パッシベーション膜を前記遮光膜と前記ソー
ス電極および前記ドレイン電極との間に挟み込んだコン
デンサが形成されてしまう。
【0008】この結果、前記画素電極に流れるべき電流
の一部(リーク電流)が、前記パッシベーション膜中に
電荷として蓄積されてしまい、前記画素電極に対する印
加電圧が低下することによって、前記画素電極周辺の前
記液晶材を構成している液晶分子の配向が乱れることに
なる。
【0009】以上述べたように、これまで薄膜トランジ
スタに使用されてきた遮光膜においては、高い光吸収性
および高い絶縁性を併せ持つ性能が実現されておらず、
液晶表示素子の特性を劣化させていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
有機系や金属製の遮光膜を有する液晶表示素子では、高
い光吸収性および高い絶縁性を併せ持つ性能は実現され
ていなかった。
【0011】本発明の目的は、高い光吸収性と高い絶縁
性とを併せ持つ遮光膜を有する液晶表示素子およびこの
液晶表示素子を再現性良く製造できる液晶表示素子製造
方法ならびに前記液晶表示素子製造方法を実施するため
のスパッタリング装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る液晶表示素
子、液晶表示素子製造方法およびスパッタリング装置
は、以下のごとく構成されている。
【0013】(1)本発明の液晶表示素子は、第1のガ
ラス基板;前記第1のガラス基板上に形成されたゲート
電極と、このゲート電極上に順次形成されたゲート絶縁
膜および半導体活性層と、この半導体活性層上に互いに
電気的に分離して設けられたソース電極およびドレイン
電極と、これらソース電極およびドレイン電極を含む前
記第1のガラス基板上に設けられたパッシベーション膜
とを有する逆スタガ型の薄膜トランジスタ;前記第1の
ガラス基板上に配置され前記ドレイン電極と接続された
画素電極;前記画素電極以外の部分に被覆された半導体
物質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくとも
1種の材料と無機絶縁性化合物とからなる遮光膜;第2
のガラス基板;前記第2のガラス基板上に形成された共
通電極;前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板
との間に保持された液晶材;の各構成を具備したことを
特徴とする液晶表示素子。
【0014】(2)本発明の液晶表示素子は、第1のガ
ラス基板;前記第1のガラス基板上に形成されたゲート
電極と、このゲート電極上に順次形成されたゲート絶縁
膜および半導体活性層と、この半導体活性層上に互いに
電気的に分離して設けられたソース電極およびドレイン
電極と、これらソース電極およびドレイン電極を含む前
記第1のガラス基板上に設けられたパッシベーション膜
とを有する逆スタガ型の薄膜トランジスタ;前記第1の
ガラス基板上に配置され前記ドレイン電極と接続された
画素電極;前記画素電極以外の部分に被覆された、組成
比率(Si/O)が1.0以上5.0以下であるSiと
Oからなる遮光膜;第2のガラス基板;前記第2のガラ
ス基板上に形成された共通電極;前記第1のガラス基板
と前記第2のガラス基板との間に保持された液晶材;の
各構成を具備したことを特徴とする液晶表示素子。
【0015】(3)本発明の液晶表示素子の製造方法
は、第1のガラス基板;前記第1のガラス基板上に形成
されたゲート電極と、このゲート電極上に順次形成され
たゲート絶縁膜および半導体活性層と、この半導体活性
層上に互いに電気的に分離して設けられたソース電極お
よびドレイン電極と、これらソース電極およびドレイン
電極を含む前記第1のガラス基板上に設けられたパッシ
ベーション膜とを有する逆スタガ型の薄膜トランジス
タ;前記第1のガラス基板上に配置され前記ドレイン電
極と接続された画素電極;前記画素電極以外の部分に被
覆された遮光膜;第2のガラス基板;前記第2のガラス
基板上に形成された共通電極;前記第1のガラス基板と
前記第2のガラス基板との間に保持された液晶材;の各
構成を具備した液晶表示素子の製造方法において、前記
遮光膜は、処理容器内に、半導体物質、SiCおよび非
晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の材料からなる第
1スパッタターゲットと、無機絶縁性化合物からなる第
2スパッタターゲットと、前記薄膜トランジスタおよび
前記画素電極が形成された前記第1のガラス基板とをそ
れぞれ配置する工程;前記処理容器内にスパッタガスを
導入した後、前記第1スパッタターゲットに直流電力を
供給し、前記第2スパッタターゲットに高周波電力を供
給して、前記各スパッタターゲットをそれぞれスパッタ
リングすることで、前記第1のガラス基板表面の前記薄
膜トランジスタおよび前記画素電極が形成された側に、
前記半導体物質、前記SiCおよび前記非晶質炭素から
選ばれた少なくとも1種の材料と無機絶縁性化合物とか
らなる被膜を形成する工程;形成された前記被膜の前記
画素電極に対応する被膜をエッチング除去する工程;の
各工程によって形成されることを特徴とする液晶表示素
子の製造方法。
【0016】(4)本発明の液晶表示素子の製造方法
は、第1のガラス基板;前記第1のガラス基板上に形成
されたゲート電極と、このゲート電極上に順次形成され
たゲート絶縁膜および半導体活性層と、この半導体活性
層上に互いに電気的に分離して設けられたソース電極お
よびドレイン電極と、これらソース電極およびドレイン
電極を含む前記第1のガラス基板上に設けられたパッシ
ベーション膜とを有する逆スタガ型の薄膜トランジス
タ;前記第1のガラス基板上に配置され前記ドレイン電
極と接続された画素電極;前記画素電極以外の部分に被
覆された遮光膜;第2のガラス基板;前記第2のガラス
基板上に形成された共通電極;前記第1のガラス基板と
前記第2のガラス基板との間に保持された液晶材;の各
構成を具備した液晶表示素子の製造方法において、前記
遮光膜は、処理容器内に、半導体物質、SiCおよび非
晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の材料からなる第
1領域と無機絶縁性化合物からなる第2領域とが互いに
電気的に分離して形成されたスパッタターゲットと、前
記薄膜トランジスタおよび前記画素電極が形成された前
記第1のガラス基板とをそれぞれ配置する工程;前記処
理容器内にスパッタガスを導入した後、前記第1領域に
直流電力もしくは高周波電力を供給するとともに、前記
第2領域に高周波電力を供給して、前記各領域をそれぞ
れスパッタリングすることで、前記第1のガラス基板表
面の前記薄膜トランジスタおよび前記画素電極が形成さ
れた側に、前記半導体物質、前記SiCおよび前記非晶
質炭素から選ばれた少なくとも1種の材料と無機絶縁性
化合物とからなる被膜を形成する工程;形成された前記
被膜の前記画素電極に対応する被膜をエッチング除去す
る工程;の各工程によって形成されることを特徴とする
液晶表示素子の製造方法。
【0017】(5)本発明の液晶表示素子の製造方法
は、第1のガラス基板;前記第1のガラス基板上に形成
されたゲート電極と、このゲート電極上に順次形成され
たゲート絶縁膜および半導体活性層と、この半導体活性
層上に互いに電気的に分離して設けられたソース電極お
よびドレイン電極と、これらソース電極およびドレイン
電極を含む前記第1のガラス基板上に設けられたパッシ
ベーション膜とを有する逆スタガ型の薄膜トランジス
タ;前記第1のガラス基板上に配置され前記ドレイン電
極と接続された画素電極;前記画素電極以外の部分に被
覆された遮光膜;第2のガラス基板;前記第2のガラス
基板上に形成された共通電極;前記第1のガラス基板と
前記第2のガラス基板との間に保持された液晶材;の各
構成を具備した液晶表示素子の製造方法において、前記
遮光膜は、処理容器内に、前記Siからなるスパッタタ
ーゲットと、前記薄膜トランジスタおよび前記画素電極
が形成された前記第1のガラス基板とをそれぞれ配置す
る工程;前記処理容器内にO2 およびArのスパッタガ
スをそれぞれ略同一の所定温度のもとでのガス流量比
(O2 /Ar)を1.66乃至33.3%なる条件で導
入した後、前記スパッタターゲットに直流電力を400
乃至1000Wなる条件で供給してスパッタリングする
とともに前記O2 のスパッタガスとスパッタリングされ
た前記Siとを反応させることで、前記第1のガラス基
板表面の前記薄膜トランジスタおよび前記画素電極が形
成された側に、組成比率(Si/O)が1.0以上5.
0以下であるSiとOとからなる被膜を形成する工程;
形成された前記被膜の前記画素電極に対応する被膜をエ
ッチング除去する工程;の各工程によって形成されるこ
とを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
【0018】(6)本発明のスパッタリング装置は、処
理容器と、前記処理容器内にスパッタガスを導入するガ
ス導入手段と、前記処理容器内に配置され、被処理基板
を装着した基板ホルダーと、前記処理容器内に配置さ
れ、半導体物質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた
少なくとも1種の材料からなる第1スパッタターゲット
と、前記処理容器内に配置され、無機絶縁性化合物から
なる第2スパッタターゲットと、前記第1スパッタター
ゲットに直流電力を供給する直流電力供給手段と、前記
第2スパッタターゲットに高周波電力を供給する高周波
電力供給手段と、を具備したことを特徴とするスパッタ
リング装置。
【0019】(7)本発明のスパッタリング装置は、処
理容器と、前記処理容器内にスパッタガスを導入するガ
ス導入手段と、前記処理容器内に配置され、被処理基板
を装着した基板ホルダーと、前記処理容器内に配置さ
れ、半導体物質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた
少なくとも1種の材料からなる第1領域と無機絶縁性化
合物からなる第2領域とを有するスパッタターゲット
と、前記第1領域に直流電力を供給する直流電力供給手
段と、前記第2領域に高周波電力を供給する高周波電力
供給手段と、を具備したことを特徴とするスパッタリン
グ装置。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】図1は、本発明に係る液晶表示素子の製造
に用いることのできるスパッタリング装置の一例を示す
概略図である。
【0022】処理容器としての真空チャンバ1の天井部
には接地された基板ホルダー2が設けられ、床部と対向
している。前記基板ホルダー2は前記真空チャンバ1の
外側に配置された回転機構(図示せず)により回転され
る。前記真空チャンバ1の床部には、第1スパッタカソ
ード3および第2スパッタカソード4が設けられ、前記
基板ホルダー2と対向している。前記第1スパッタカソ
ード3の内部または裏側には、磁石が配置されている。
また、前記第1スパッタカソード3には、第1冷却用配
水管5が設けられ、他端に冷却装置(図示せず)が連結
されている。さらに、前記第1スパッタカソード3は、
前記真空チャンバ1の外側に配置されたマッチング回路
6とRF電源7に接続されている。そして、前記第1ス
パッタカソード3には、無機絶縁性化合物からなる第1
スパッタターゲット8が装着されている。無機絶縁性化
合物からなるスパッタターゲット材としては、Si3
4、SiO2 、Bi2 3 が使用される。一方、前記第
2スパッタカソード4の内部または裏側にも、磁石が配
置されている。また、前記第2スパッタカソード4に
は、第2冷却用配水管9が設けられ、他端に冷却装置
(図示せず)が連結されている。さらに、前記第2スパ
ッタカソード4は、前記真空チャンバ1の外側に配置さ
れた制御回路10と直流電源11に接続されている。そ
して、前記第2スパッタカソード4には、半導体物質、
SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の
材料からなる第2スパッタターゲット12が装着されて
いる。半導体物質からなるスパッタターゲット材として
は、B、Ge、Si、Te、Seが使用される。前記真
空チャンバ1の側壁の一つには、スパッタガス供給管1
3が連結され、他端にAr、酸素および窒素などのスパ
ッタガス供給ボンベ(図示せず)が連結されている。前
記真空チャンバ1の側壁の別の一つには、排気管14が
接続され、他端に真空ポンプ(図示せず)が連結されて
いる。
【0023】図2は、本発明に係るスパッタリング装置
の他の例を示す概略図である。図1のスパッタリング装
置と共通する部分については、同符号を付して、説明を
省略する。
【0024】真空チャンバ1の床部には、スパッタカソ
ード15のみが設けられ、基板ホルダー2と対向してい
る。前記スパッタカソード15の内部または裏側には、
磁石が配置されている。図3は、前記スパッタカソード
15を示す斜視図である。前記スパッタカソード15
は、中心を通る絶縁壁16によって2以上の部分に分割
され、各部分は互いに絶縁されている。互いに隣り合わ
ない部分間は、前記真空チャンバ1の内または外で配線
がなされ、電気的に接続されている。このようにして、
前記スパッタカソード15は、互いに絶縁された第1の
領域17と第2の領域18に分割されている。前記第1
の領域17は、前記真空チャンバ1の外側に配置された
マッチング回路6とRF電源7に接続され、高周波電力
が供給される。前記第2の領域18は、前記真空チャン
バ1の外側に配置された制御回路10と直流電源11に
接続され、直流電圧が印加される。図4は、前記スパッ
タカソード15に装着するスパッタターゲット19を示
す斜視図である。前記スパッタターゲット19は、前記
スパッタカソード15と同じ分割をされた第1の領域2
0と第2の領域21とからなる。前記第1の領域20は
無機絶縁性化合物からなり、前記第2の領域21は半導
体物質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくと
も1種の材料からなる。ここで、スパッタターゲット材
としては、図1のスパッタリング装置で使用されるもの
と同じものを使用する。前記スパッタカソード15に、
前記スパッタターゲット19が装着される際、前記スパ
ッタカソード15の前記第1の領域17には、前記スパ
ッタターゲット19の無機絶縁性化合物からなる前記第
1の領域20が装着される。そして、前記スパッタカソ
ード15の前記第2の領域18には、前記スパッタター
ゲット19の前記第2の領域21が装着される。
【0025】図5は、本発明に係るスパッタリング装置
の他の例を示す概略図である。図1のスパッタリング装
置と共通する部分については、同符号を付して、説明を
省略する。
【0026】真空チャンバ1の床部には、スパッタカソ
ード22のみが設けられ、基板ホルダー2と対向してい
る。前記スパッタカソード22の内部または裏側には、
磁石が配置されている。前記スパッタカソード22は、
前記真空チャンバ1の外側に配置されたマッチング回路
6とRF電源7に接続されている。
【0027】前記スパッタカソード22には、半導体物
質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくとも1
種の材料からなるスパッタターゲット12が装着されて
いる。
【0028】または、半導体物質、SiCおよび非晶質
炭素から選ばれた少なくとも1種の材料からなるペレッ
ト23が載置された無機絶縁性化合物からなるスパッタ
ターゲット8を前記スパッタカソード22に装着しても
よい。図6は、上述のように前記ペレット23が載置さ
れた前記スパッタターゲット8を示す斜視図である。
【0029】更には、前記第1の領域20と前記第2の
領域21とからなるスパッタターゲット19を前記スパ
ッタターゲット22に装着しても良い。これらの例でも
スパッタターゲット材としては、図1のスパッタリング
装置で使用されるものと同じものを使用する。
【0030】図7は、本発明に係るスパッタリング装置
の他の例を示す概略図である。図5のスパッタリング装
置と共通する部分については、同符号を付して説明を省
略する。スパッタカソード24は、真空チャンバ1の外
側に配置された制御回路10と直流電源11に接続され
ている。前記スパッタカソード24には、半導体物質、
SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の
材料からなるスパッタターゲット12が装着されてい
る。このスパッタターゲット12からスパッタされた元
素と導入されたスパッタガスの酸素や窒素などとが反応
して、前記スパッタターゲット12を構成する元素だけ
でなく、無機絶縁性化合物もが前記基板36上に堆積さ
れるのである。この例でもスパッタターゲット材として
は、図1のスパッタリング装置で使用されるものと同じ
物を使用する。
【0031】次に、本発明に係る液晶表示素子の製造方
法を、図8を参照して説明する。
【0032】(a)ガラス基板(第1のガラス基板)2
5上に、ゲート電極用金属膜をスパッタリング装置を用
いて成膜する。その後、パターニングして、図8の
(a)に示すように、ゲート電極26を形成する。
【0033】(b)ゲート絶縁膜用の絶縁膜27、活性
層用の半導体膜28、チャネル保護膜用の絶縁膜を、プ
ラズマCVD装置を用いて連続して成膜する。その後、
パターニングして、図8の(b)に示すように、前記半
導体膜28上にチャネル保護膜29を形成する。
【0034】(c)高濃度活性層用の半導体膜をプラズ
マCVD装置を用いて成膜する。その後、図示しないマ
スクを用いてこの半導体膜を選択的にエッチングするこ
とにより、図8の(c)に示すように、高濃度活性層3
0を形成し、さらに図示しないマスクを用いて前記半導
体膜28を選択的にエッチングすることにより,活性層
31を形成する。
【0035】(d)画素電極用の透明導電膜をスパッタ
リング装置を用いて成膜する。その後、パターニングし
て、図8の(d)に示すように、画素電極32を形成す
る。
【0036】(e)ソース電極およびドレイン電極用の
金属膜をスパッタリング装置を用いて成膜する。その
後、パターニングして、図8の(e)に示すように、前
記高濃度活性層30上に互いに電気的に分離されたソー
ス電極33、ドレイン電極34を形成する。
【0037】(f)パッシベーション膜用の絶縁膜をプ
ラズマCVDを用いて成膜する。その後、パターニング
して、図8の(f)に示すように、パッシベーション膜
35を形成し、被処理基板としての基板36を形成す
る。
【0038】(g)遮光膜用の被膜を、前記基板36上
に、前述の図1から図7の液晶表示素子用スパッタリン
グ装置のいずれかを用いて成膜する。
【0039】まず、図1のスパッタリング装置を用い
て、被膜を成膜する方法を説明する。前記基板36を基
板ホルダー2に装着する。冷却装置(図示せず)を作動
させて、第1スパッタカソード3に第1冷却用配水管5
を通して冷却水を流し、第2スパッタカソード4に第2
冷却用配水管9を通して冷却水を流して、両スパッタカ
ソードを冷却する。真空ポンプ(図示せず)を作動させ
て真空チャンバ1内のガスを排気管14を通して排気し
て、真空チャンバ1内を1×10-3Pa以下の圧力に保
持する。前記基板ホルダー2を前記真空チャンバ1の外
側に配置された回転機構(図示せず)により回転させ
る。スパッタガス供給ボンベ(図示せず)から、酸素、
窒素などの反応性ガスおよびArガスを、スパッタガス
供給管13を通して真空チャンバ1内に導入する。つづ
いて、無機絶縁性化合物からなる第1スパッタターゲッ
ト8に、マッチング回路6を介してRF電源7により高
周波電力を供給し、第1スパッタターゲット8をRFス
パッタリングする。同時に、半導体物質、SiCおよび
非晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の材料からなる
第2スパッタターゲット12には、制御回路10を介し
て直流電源11から直流電圧を印加し、第2スパッタタ
ーゲット12をDCスパッタリングする。このようにし
て、基板36上に、無機絶縁性化合物と、半導体物質、
SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の
材料とからなる被膜を成膜する。第1スパッタカソード
3および第2スパッタカソード4の内部または裏側に配
置された磁石から発生した、スパッタターゲット表面に
直交した電場と磁場により、電子にらせん運動を行わせ
る。このような電子のらせん運動により、スパッタター
ゲット表面近傍に高密度プラズマを発生させ、スパッタ
リング速度を向上させる。成膜中の直流電圧は、制御回
路10により周期的にON/OFFさせて、DCスパッ
タリングを断続的に発生させることが望ましい。DCス
パッタリングの周期を変えることで、被膜中の半導体物
質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくとも1
種の材料の組成を、個々の材料毎に制御することができ
る。また、スパッタガス圧および高周波電力を変えるこ
とでも、被膜の組成や光吸収性、抵抗率を制御すること
ができる。
【0040】次に、図2のスパッタリング装置を用い
て、被膜を形成する方法について説明する。図1のスパ
ッタリング装置を用いた方法と共通する部分について
は、説明を省略する。
【0041】スパッタターゲット19の第1の領域20
にはRF電源7より高周波電力を供給し、無機絶縁性化
合物からなる前記第1の領域20をRFスパッタリング
する。同時に、スパッタターゲット19の第2の領域2
1には直流電源11より直流電圧を印加し、半導体物
質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくとも1
種の材料からなる前記第2の領域21をDCスパッタリ
ングする。このようにして、基板36上に、半導体物
質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくとも1
種の材料と無機絶縁性化合物からなる被膜を成膜する。
スパッタターゲット19の第1の領域20と第2の領域
21の比率を変えて成膜することで、被膜の組成を制御
することができる。その際、スパッタカソード15の第
1の領域17と第2の領域18の比率も同様に変えて、
スパッタターゲットの第1の領域にのみ高周波電力が供
給され、第2の領域にのみ直流電圧が印加されるように
する。
【0042】次に、図5のスパッタリング装置におい
て、半導体物質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた
少なくとも1種の材料からなるスパッタターゲット12
を装着したものを用いて、遮光性被膜を形成する方法に
ついて説明する。図1のスパッタリング装置を用いた方
法と共通する部分については、説明を省略する。
【0043】スパッタターゲット12をRFスパッタリ
ングして、基板36上に、半導体物質、SiCおよび非
晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の材料と、それら
の材料が反応性ガスの酸素、窒素などと反応して生成さ
れた無機絶縁性化合物からなる被膜を成膜する。
【0044】次に、図5のスパッタリング装置におい
て、無機絶縁性化合物からなるスパッタターゲット8の
上に、半導体物質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれ
た少なくとも1種の材料からなるペレット23を配置し
たものを用いて、遮光性被膜を形成する方法について説
明する。図1のスパッタリング装置を用いた方法と共通
する部分については、説明を省略する。
【0045】無機絶縁性化合物からなるターゲット8お
よび半導体物質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた
少なくとも1種の材料からなるペレット23を、同時に
RFスパッタリングする。そして、基板36上に、半導
体物質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくと
も1種の材料と無機絶縁性化合物からなる被膜を成膜す
る。スパッタターゲット8上に配置されたペレット23
の個数を変えることで、被膜中の半導体物質、SiCお
よび非晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の材料の組
成を、個々の材料毎に制御することができる。
【0046】次に、図5のスパッタリング装置におい
て、無機絶縁性化合物の第1の領域20と、半導体物
質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくとも1
種の材料の第2の領域21とからなるスパッタターゲッ
ト19を装着したものを用いて、被膜を形成する方法に
ついて説明する。図1のスパッタリング装置を用いた方
法と共通する部分については、説明を省略する。
【0047】無機絶縁性化合物の第1の領域20と、半
導体物質、SiCおよび非晶質炭素から選ばれた少なく
とも1種の材料の第2の領域21とからなるスパッタタ
ーゲット19を、RFスパッタリングする。そして、基
板36上に半導体物質、SiCおよび非晶質炭素から選
ばれた少なくとも1種の材料と無機絶縁性化合物からな
る被膜を成膜する。スパッタターゲット19での、無機
絶縁性化合物からなる第1の領域20と半導体物質、S
iCおよび非晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の材
料からなる第2の領域21の割合を変えることで、被膜
の組成を制御することができる。
【0048】次に、図7のスパッタリング装置を用い
て、被膜を形成する方法について説明する。図1のスパ
ッタリング装置を用いた方法と共通する部分について
は、説明を省略する。
【0049】スパッタターゲット23には直流電源11
より直流電圧を印加し、半導体物質、SiCおよび非晶
質炭素から選ばれた少なくとも1種の材料からなるター
ゲット12を、DCスパッタリングする。このようにし
て、基板36上に、半導体物質、SiCおよび非晶質炭
素から選ばれた少なくとも1種の材料と、それらの材料
が酸素、窒素などと反応して生成された無機絶縁性化合
物からなる被膜を成膜する。特に、Siからなるターゲ
ット12を、酸素ガスと反応させてDCスパッタリング
した場合には、SiとSiOx の混合膜からなる被膜を
成膜する。
【0050】スパッタガス圧および印加直流電力を変え
ることで、被膜の組成、光吸収性、抵抗率またはSiの
結晶状態を制御することができる。
【0051】以上、詳述したように、図1から図7のス
パッタリング装置のいずれかを用いて、遮光膜用の被膜
を成膜された前記基板36は、その後、加熱処理されて
被膜中の水分等の不純物を除去するのが望ましい。加熱
処理は、例えば1×10-2Pa以下の減圧下または窒素
雰囲気下で200℃〜600℃にて30分以上の熱処理
を行うものであり、図1から図7のスパッタリング装置
の真空チャンバ中で、被膜を形成後に引き続いて行って
も良いし、または、前記真空チャンバから取り出した
後、別の真空チャンバ中で行っても良い。
【0052】加熱処理後、PEP(Photo Eng
raving Process)工程にてパターニング
して、図8の(g)に示すように、液晶表示素子上の画
素電極32を除いた部分に遮光膜37を形成する。
【0053】(h)遮光膜37まで形成されたガラス基
板25と、別に形成された共通電極(ITO膜)を有す
る対向基板(第2のガラス基板)を、スペーサ(図示せ
ず)の高さほどのわずかな隙間を残してシール材で張り
合わせた後、その隙間に液晶材を封入して、液晶表示素
子を製造する。
【0054】図9は、上述のようにして製造された本発
明に係る液晶表示素子の平面図、図10は断面図であ
る。
【0055】液晶表示素子は、薄膜トランジスタが形成
されたガラス基板25と対向基板38との間に液晶材3
9が封入された構造をなす。
【0056】対向基板38は、ガラス基板上に前記画素
電極32に対応したカラーフィルター40が形成され、
その上にITO膜41が形成された構造をなす。
【0057】ガラス基板25上には、薄膜トランジスタ
42と、各薄膜トランジスタ42に隣接した画素電極3
2が形成されている。前記薄膜トランジスタ42は、前
記ガラス基板25上にゲート電極26が設置され、さら
にその上にゲート絶縁膜27、活性層31、高濃度活性
層30、チャネル保護膜29、ソース電極33、ドレイ
ン電極34、パッシベーション膜35が順次積層された
逆スタガ型の構造をなす。前記画素電極32は、前記ガ
ラス基板25上に設けられ、前記ドレイン電極34と接
続する構造をなす。そして、図9に示すように、前記パ
ッシベーション膜35を含み、前記画素電極32を除く
部分に、遮光膜37が形成される。
【0058】前記遮光膜37は半導体物質、SiCおよ
び非晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の材料と無機
絶縁性化合物から形成されているか、または、SiとS
iOX の混合膜から形成されている。前記遮光膜37の
求められる特性としては、例えば、抵抗率が1.0×1
5 Ω・cm以上で、かつ減衰係数が0.088以上で
ある。
【0059】ここで、半導体物質としては、例えばB、
Ge、Si、Te、Seを挙げることができる。また、
半導体物質は、低融点半導体物質の方がより望ましい。
このような低融点半導体物質としては、上述の半導体物
質のうち、Te(融点449.8℃)およびSe(融点
220.2℃)が挙げられる。Seの方がTeよりも融
点が200℃以上低いので、Seの方がTeよりもより
望ましい半導体物質である。
【0060】また、無機絶縁性化合物としては、例え
ば、Si3 4 、SiO2 、Bi2 3 を挙げることが
できる。
【0061】また、SiとSiOX の混合膜は、組成比
率(Si/O)が1.0以上5.0以下となるようにS
iとOから形成されたものである。また、前記Siは非
単結晶Siであることが望ましい。ここで、非単結晶S
iとは、多結晶Siもしくは非晶質Siまたはこれらの
混在物を示す。非単結晶SiとSiOX の混合膜におい
ては、前記混合膜全体の組成比率(Si/O)は、3.
0以上5.0以下であることが望ましい。
【0062】以上の材料を用いて形成された前記遮光膜
37は、高い光吸収性と高い絶縁性を併せ持つ。
【0063】半導体物質およびSiCは可視光域での光
吸収性を持ち、絶縁性も高い。
【0064】前記半導体物質のうち、特にSe、Teの
ような低融点の半導体物質は、無機絶縁性化合物と混合
することで高い光吸収性と絶縁性とを併せ持つ。それ
は、低融点半導体物質は原子間の結合が弱いため、クラ
スター状でスパッタリングされやすく、さらに、原子間
結合が強い無機絶縁性化合物の中では凝集しやすい結
果、無機絶縁性化合物中では微粒子状に分散した構造と
なるためであると考えられる。
【0065】また、非晶質炭素は、可視光域での光吸収
性を持ち、非晶質構造のため絶縁性も高い。
【0066】一方、無機絶縁性化合物は、絶縁性が非常
に高い材料である。
【0067】SiとSiOX の混合膜は、SiOX 膜が
Si−Siのネットワークを分断するため、Siの高い
光吸収性を有しながらより高い絶縁性を併せ持つ。
【0068】また、非単結晶SiとSiOX 膜の混合膜
は、非単結晶Siが単結晶Siよりも長い波長域で光吸
収性を持つため、高い絶縁性を有しながらより高い光吸
収性を持つ。
【0069】金属と無機絶縁性化合物からでは、金属の
絶縁性が低いため、高い光吸収性と高い絶縁性を併せ持
つ遮光膜を形成するのは困難である。
【0070】また、上述の半導体物質、SiC、非晶質
炭素、SiまたはSiOX 等の単独の物質からでは、高
い光吸収性と高い絶縁性を併せ持つ遮光膜を形成するこ
とはできない。本発明のように、2種以上の物質から遮
光膜を形成することで、はじめて実現する。それは、単
独の物質の電子状態では、高い光吸収性と高い絶縁性と
は相反する性質だからである。
【0071】一般に、光の吸収は結晶内の電子がエネル
ギー的に遷移することで行われる。結晶内の価電子は、
あるエネルギーの幅を持ったエネルギーバンドの中に配
置されている。
【0072】金属の場合は、一部しか電子が占めていな
いようなエネルギーバンドが存在し、バンド内の電子の
エネルギーの状態は連続的に変化することができる。そ
のため、さまざまな波長の光に対して強い吸収性をもつ
が、電気的に絶縁性が低い。
【0073】半導体物質は、電子でほとんど満たされた
バンドと、電子が少なくほとんど空のバンドとが存在
し、その間のバンドギャップが小さい。そのため、可視
領域の光に対して吸収性を持つ上、金属に比べて絶縁性
も高いが、高い光吸収性と高い絶縁性を併せ持つまでに
はいたらない。。
【0074】一方、無機絶縁性化合物のような絶縁物の
場合は、電子で完全に満たされたバンドと、電子が空の
バンドとが存在し、その間のエネルギー差(バンドギャ
ップ)が大きい。そのため、電気的に絶縁性は高いが、
可視領域の光に対して吸収性を持たない。
【0075】以上のように、単独の物質からでは高い光
吸収性と高い絶縁性を併せ持つ遮光膜を形成することは
できず、2種以上の物質から遮光膜を形成することでは
じめて実現する。
【0076】以上、詳述したように、高い光吸収性と高
い絶縁性を併せ持つ遮光膜37を有する液晶表示素子が
製造される結果、以下のように、液晶表示素子の特性が
劣化することなく高い遮光効果が実現される。まず、小
さい膜厚の遮光膜37で十分な遮光ができるため、前記
薄膜トランジスタ42と前記画素電極32の間の段差が
小さくて済む。その結果、液晶配向膜の段差被覆性の劣
化による液晶配向の不良や、2枚の基板間のギャップ制
御の困難化や、基板間のギャップの拡大による表示ムラ
の発生および液晶応答速度の低下を防止することができ
る。さらに、前記薄膜トランジスタ42の動作中に前記
遮光膜37が帯電するのを防ぐことができる。その結
果、前記遮光膜37の近くに位置する前記画素電極32
周辺での電界が乱れ、前記画素電極32周辺の液晶分子
の配向が乱れるのを防止することができる。
【0077】
【実施例】以下、本発明の実施例を前述の図面を参照し
て具体的に説明する。
【0078】(実施例1)図5のスパッタリング装置に
おいて、無機絶縁性化合物のSi3 4 からなるスパッ
タターゲット8の上に、半導体のTeからなるペレット
23を配置したものを用いた。そして、図8に示した形
成方法に基づき、本発明の液晶表示素子を形成した。
【0079】(a)ガラス基板25上に、ゲート電極用
Mo−Ta合金膜をスパッタリング装置を用いて成膜し
た。その後、リソグラフィでMo−Ta合金膜をパター
ニングして、図8の(a)に示すように、ゲート電極2
6を形成した。
【0080】(b)ゲート絶縁膜用のSiNx 膜27、
活性層用のアモルファスシリコン膜28、チャネル保護
膜用のSiNx 膜をプラズマCVD装置を用いて連続し
て成膜した。その後、リソグラフィでチャネル保護膜用
のSiNx 膜をパターニングして、図8の(b)に示す
ように、チャネル保護膜29を形成した。
【0081】(c)高濃度活性層用のn+ アモルファス
シリコン膜を、プラズマCVD装置を用いて成膜した。
その後、図示しないマスクを用いて、n+ アモルファス
シリコン膜を選択的にエッチングすることにより、図8
の(c)に示すように、n+ アモルファスシリコン層3
0を形成し、さらに前記マスクを用いて前記アモルファ
スシリコン膜28を選択的にエッチングすることによ
り、アモルファスシリコン層31を形成した。
【0082】(d)画素電極用のITO膜を、スパッタ
リング装置を用いて成膜した。その後、リソグラフィで
ITO膜をパターニングして、図8の(d)に示すよう
に、画素電極32を形成した。
【0083】(e)ソース、ドレイン電極用のMoをス
パッタリング装置を用いて成膜した。その後、リソグラ
フィでMoをパターニングして、図8の(e)に示すよ
うに、前記n+ アモルファスシリコン層30上に、互い
に電気的に分離されたソース電極33、ドレイン電極3
4を形成した。
【0084】(f)パッシベーション膜用のSiNx
プラズマCVD装置を用いて成膜した。その後、リソグ
ラフィでSiNx をパターニングして、図8の(f)に
示すように、パッシベーション膜35を形成し、基板3
6を形成した。
【0085】(g)遮光膜37用のTe/SiNx から
なる被膜を、前記基板36上に、図5のスパッタリング
装置を用いて、以下のように成膜した。
【0086】基板ホルダー2に、基板36を装着した。
スパッタカソード22には、Si34 からなるターゲ
ット8を装着し、その上にTeからなるペレット23を
装着した。冷却装置(図示せず)を作動させて、スパッ
タカソード22に冷却用配水管5を通して冷却水を流し
て、スパッタカソード22を冷却した。真空ポンプ(図
示せず)を作動させて真空チャンバ1内のガスを排気管
14を通して排気して、真空チャンバ1内を1×10-3
Pa以下の圧力に保持した。基板ホルダー2を、前記真
空チャンバ1の外側に配置した回転機構(図示せず)に
より回転させた。スパッタガス供給ボンベ(図示せず)
から、Arのスパッタガスを、スパッタガス供給管13
を通して真空チャンバ1内に導入した。この時、Ar流
量は10〜20sccm、スパッタ圧力は0.25〜
0.50Paとした。つづいて、スパッタターゲット8
にはRF電源7により高周波電力を供給し、Si3 4
ターゲット8およびTeペレット23を同時にスパッタ
リングした。RF供給電力は200Wとし、スパッタリ
ング中のガラス基板の温度は室温に保った。
【0087】このようにして成膜したTe/SiNx
膜について、以下の測定を行った。Si3 4 ターゲッ
ト上のTeペレット数、およびAr流量を変化させた時
の、Te/SiNx 被膜の膜厚、透過率、減衰係数、抵
抗率を測定した。下記表1に、測定結果をまとめる。T
eペレット数が6個、9個の場合について、測定した。
ここで、Teペレット数6個は、Si3 4 ターゲット
全体に対して約5%の面積に相当する。Teペレット9
個は、Si3 4 ターゲット全体に対して約7.7%の
面積に相当する。また、透過率は波長550nmの可視
光に対して測定した値であり、減衰係数は前記透過率お
よび前記膜厚より式(1)を用いて算出した。
【0088】 −log(T/100)=(4πk/λ)d ………(1) ただし、T:透過率[%] k:減衰係数 λ:波長[nm] d:膜厚[nm] 式(1)より算出された減衰係数は、被膜の膜厚に依ら
ない、被膜特有の光吸収性を示す。減衰係数が大きいほ
ど、より光吸収性が高い。
【0089】
【表1】
【0090】前記表1の測定結果から得られた、被膜の
減衰係数と抵抗率の関係を図11に示す。なお、図11
には後述する比較例で得られたFe/SiNx 被膜の結
果を併記する。
【0091】前記表1および図11から明らかなよう
に、Te/SiNx の被膜は、減衰係数が約0.2〜約
0.35の高い光吸収性を持ち、抵抗率が1×107
2×107 Ω・cmの高い絶縁性を持つ性能を示す。
【0092】以上のようにして、Te/SiNx の被膜
を成膜後、PEP(Photo Engraving
Process)工程にてパターニングして、図8の
(g)に示したように、液晶表示素子上の画素電極32
を除いた部分に遮光膜37を形成した。
【0093】(h)遮光膜37が形成された前記ガラス
基板36と、別に形成された対向基板38を、わずかな
隙間を残して張り合わせた後、その隙間に液晶材39を
封入して、前述した図9、図10に示す構造を有する液
晶表示素子を製造した。
【0094】(比較例)前記(g)の工程を以下のよう
に変え、他の工程は実施例1と同じ条件として、図8に
示した形成方法に基づき、液晶表示素子を形成した。
【0095】図5のスパッタリング装置において、無機
絶縁性化合物のSi3 4 からなるスパッタターゲット
8の上に、金属のFeからなるペレット23を配置した
ものを用いた。そして、図8に示した形成方法に基づ
き、本発明の液晶表示素子を形成した。スパッタガスと
してArを10sccmの流量、O2 を0〜0.75s
ccmの流量導入し、スパッタ圧を0.2〜0.5Pa
とした。また、RF供給電力は200Wであるとした。
それ以外は、実施例1と同じ条件にて、Fe/SiNx
被膜を成膜し、以下の測定を行った。
【0096】Si3 4 ターゲット上のFeペレット
数、およびO2 流量を変化させた時の、Fe/SiNx
被膜の膜厚、透過率、減衰係数、抵抗率を測定した。下
記表2に、測定結果をまとめる。Feペレット数は6
個、9個、12個の場合について測定した。ここで、F
eペレット6個は、Si3 4 ターゲット全体に対して
約5%の面積に相当する。Feペレット9個は、Si3
4 ターゲット全体に対して約7.7%の面積に相当す
る。Feペレット12個は、Si3 4 ターゲット全体
に対して約10%の面積に相当する。また、透過率は波
長550nmの可視光に対して測定した値であり、減衰
係数は前記式(1)を用いて,膜厚および透過率より算
出したものである。
【0097】
【表2】
【0098】前記表2の測定結果より得られた、被膜の
減衰と抵抗率の関係を図24に示す。図24から明らか
なように、比較例で形成された被膜は、光吸収性および
絶縁性のいずれについても、実施例1で形成された被膜
よりも劣ることがわかる。
【0099】以上のようにして、Fe/SiNx 被膜を
成膜後、PEP工程にてパターニングして、図8の
(g)に示したように、液晶表示素子上の画素電極32
を除いた部分に遮光膜37を形成した。
【0100】(実施例2)前記(g)の工程を以下のよ
うに変え、他の工程は実施例1と同じ条件として、図8
に示した形成方法に基づき、本発明の液晶表示素子を形
成した。
【0101】図5のスパッタリング装置において、無機
絶縁性化合物のSi3 4 からなるターゲット8の上
に、半導体材料のBからなるペレット23を配置したも
のを用いた。半導体Bペレットの個数は20個とした。
Bペレット20個は、Si3 4 ターゲット全体に対し
て約17%の面積に相当する。スパッタガスとしてAr
のみを10sccmの流量(スパッタ圧:0.25Pa
〜0.50Pa)で導入し、RF供給電力は400〜8
00Wであるとした。それ以外は、実施例1と同じ条件
にて、B/SiNx 被膜を成膜し、以下の測定を行っ
た。
【0102】Si3 4 ターゲットに印加するRF供給
電力を変化させた時の、被膜の膜厚、透過率、減衰係
数、抵抗率を測定した。下記表3に、測定結果をまとめ
る。また、透過率は波長550nmの可視光に対して測
定した値であり、減衰係数は前記式(1)を用いて,膜
厚および透過率より算出したものである。
【0103】
【表3】
【0104】前記表3の測定結果より得られた、被膜の
減衰係数と抵抗率の関係を図12に示す。なお、図12
には前述した比較例で得られたFe/SiNx 被膜の結
果を併記する。
【0105】前記表3および図12から明らかなよう
に、B/SiNx の被膜は、減衰係数が約0.1の高い
光吸収性を持ち、かつ抵抗率が約3.0×106 Ω・c
mの高い絶縁性を持つ性能を示す。
【0106】以上のようにして、B/SiNx の被膜を
成膜後、PEP工程にてパターニングして、図8の
(g)に示したように、液晶表示素子上の画素電極32
を除いた部分に遮光膜37を形成した。
【0107】(実施例3)前記(g)の工程を以下のよ
うに変え、他の工程は実施例1と同じ条件として、図8
に示した形成方法に基づき、本発明の液晶表示素子を形
成した。
【0108】図5のスパッタリング装置において、無機
絶縁性化合物のSi3 4 からなるスパッタターゲット
8の上に、半導体のGeからなるペレット23を配置し
たものを用いた。半導体Geペレットの個数は10個と
した。Geペレット10個は、Si3 4 ターゲット全
体に対して約8%の面積に相当する。スパッタガスとし
てArのみを10sccmの流量(スパッタ圧:0.2
5Pa〜0.50Pa)で導入し、RF供給電力は40
0Wとした。それ以外は、実施例1と同じ条件にて、G
e/SiNx 被膜を成膜し、以下の測定を行った。
【0109】形成された被膜を熱処理しなかった場合
と、1×10-2Pa以下の減圧下または窒素雰囲気下で
200℃〜600℃にて30分以上の熱処理をした場合
の、被膜の膜厚、透過率、減衰係数、抵抗率を測定し
た。下記表4に、測定結果をまとめる。また、透過率は
波長550nmの可視光に対して測定した値であり、減
衰係数は前記式(1)を用いて,膜厚および透過率より
算出したものである。
【0110】
【表4】
【0111】前記表4の測定結果より得られた、被膜の
抵抗率と減衰係数の関係を図13に示す。なお、図13
には前述した比較例で得られたFe/SiNx 被膜の結
果を併記する。
【0112】前記表4および図13から明らかなよう
に、Ge/SiNx の被膜は、熱処理を施していない場
合でも、減衰係数が約0.16の高い光吸収性を持ち、
かつ抵抗率が約1×106 Ω・cmの高い絶縁性を持つ
性能を示す。また、Ge/SiNx の被膜に熱処理を施
すと、抵抗率が約1.3×108 Ω・cmと100倍以
上に高くなり、より高い絶縁性を持つ膜が得られた。こ
れは、熱処理により、被膜中の水分等の不純物が除去さ
れるとともに、熱処理によりエネルギーが与えられダン
グリングボンドが正常な結合となり、SiNx が完全な
絶縁性化合物であるSi3 4 に近づくためであると考
えられる。
【0113】以上のようにして、Ge/SiNx の被膜
を成膜後、PEP工程にてパターニングして、図8の
(g)に示したように、液晶表示素子上の画素電極32
を除いた部分に遮光膜37を形成した。
【0114】(実施例4)前記(g)の工程を以下のよ
うに変え、他の工程は実施例1と同じ条件として、図8
に示した形成方法に基づき、本発明の液晶表示素子を形
成した。
【0115】図5のスパッタリング装置において、無機
絶縁性化合物のSi3 4 からなるターゲット8の上
に、半導体材料のSiからなるペレット23を配置した
ものを用いた。半導体Siペレットの個数は40個とし
た。Siペレット40個は、Si3 4 ターゲット全体
に対して約33%の面積に相当する。スパッタガスとし
てArのみを10sccmの流量(スパッタ圧:0.2
5Pa〜0.50Pa)で導入し、RF供給電力は40
0Wであるとした。それ以外は、実施例1と同じ条件に
て、Si/SiNx 被膜を成膜し、以下の測定を行っ
た。
【0116】形成された被膜を熱処理しなかった場合
と、1×10-2Pa以下の減圧下または窒素雰囲気下で
200℃〜600℃にて30分以上の熱処理をした場合
の、被膜の膜厚、透過率、減衰係数、抵抗率を測定し
た。下記表5に、測定結果をまとめる。透過率は波長5
50nmの可視光に対して測定した値であり、減衰係数
は前記式(1)を用いて,膜厚および透過率より算出し
たものである。
【0117】
【表5】
【0118】前記表5の測定結果より得られた、被膜の
抵抗率と減衰係数の関係を図13に示す。
【0119】前記表5および図13から明らかなよう
に、Si/SiNx の被膜は、熱処理を施していない場
合でも、減衰係数が約0.17の高い光吸収性を持ち、
かつ抵抗率が約2.5×105 Ω・cmの高い絶縁性を
持つ性能を示す。また、Si/SiNx の被膜に熱処理
を施すと、抵抗率が約1.3×108 Ω・cmと500
倍以上に高くなり、より高い絶縁性を持つ膜が得られ
た。これは、熱処理により、被膜中の水分等の不純物が
除去されるとともに、熱処理によりエネルギーが与えら
れダングリングボンドが正常な結合となり、SiNx
完全な絶縁性化合物であるSi3 4 に近づくためであ
ると考えられる。
【0120】以上のようにして、Si/SiNx 被膜を
成膜後、PEP工程にてパターニングして、図8の
(g)に示したように、液晶表示素子上の画素電極32
を除いた部分に遮光膜37を形成した。
【0121】(実施例5)前記(g)の工程を以下のよ
うに変え、他の工程は実施例1と同じ条件として、図8
に示した形成方法に基づき、本発明の液晶表示素子を形
成した。
【0122】図2のスパッタリング装置において、無機
絶縁性化合物のSiO2 からなる第1の領域20と半導
体のSiCからなる第2の領域21を面積比1:1にて
有するターゲット19を用いた。スパッタガスとしてA
rを20sccmの流量、O2 を0〜2.0sccmの
流量導入し、スパッタ圧を0.67Paとした。また、
RF供給電力は、400Wとした。それ以外は、実施例
1と同じ条件にて、SiC/SiOx 被膜を成膜し、以
下の測定を行った。
【0123】スパッタリング中のO2 流量を変化させた
時の、被膜の膜厚、抵抗率、透過率、減衰係数を測定し
た。下記表6に、測定結果をまとめる。ここで、透過率
は波長550nmの可視光に対して測定した値であり、
減衰係数は前記式(1)を用いて,膜厚および透過率よ
り算出したものである。
【0124】
【表6】
【0125】前記表6の測定結果より得られた、O2
量に対する被膜の抵抗率と減衰係数の変化を図14に示
す。図14より明らかなように、O2 流量を調節するこ
とで、減衰係数および抵抗率を制御できる。これは、O
2 流量を変えることでSiC/SiOx 被膜中のSiO
x の割合が変化し、被膜の性質がSiC膜とSiO2
の間で変化するためである。
【0126】図14の結果から、形成された被膜の減衰
係数と抵抗率の関係を図15に示す。なお、図15には
前述した比較例で得られたFe/SiNx 被膜の結果を
併記する。
【0127】図14および図15から明らかなように、
SiC/SiOx 被膜は、減衰係数が約0.04〜約
0.20の高い光吸収性を持ち、抵抗率が約3×104
〜約6X 109 Ω・cmの高い絶縁性を持つ性能を示
す。
【0128】以上のようにして、SiC/SiOx 被膜
を成膜後、PEP工程にてパターニングして、図8の
(g)に示したように、液晶表示素子上の画素電極32
を除いた部分に遮光膜37を形成した。
【0129】(実施例6)前記(g)の工程を以下のよ
うに変え、他の工程は実施例1と同じ条件として、図8
に示した形成方法に基づき、本発明の液晶表示素子を形
成した。
【0130】図2のスパッタリング装置において、無機
絶縁性化合物のSi3 4 からなる第1の領域20と半
導体のSiCからなる第2の領域21を面積比1:1に
て有するターゲット19を用いた。スパッタガスとして
Arを20ccmの流量、N2 を1.0sccmの流量
導入し、スパッタ圧を0.67Paとした。また、RF
供給電力は、400Wとした。それ以外は、実施例1と
同じ条件にて、SiC/SiNx 被膜を成膜し、以下の
測定を行った。
【0131】被膜の膜厚、抵抗率、透過率、減衰係数を
測定した結果を、下記表7にまとめる。ここで、透過率
は波長550nmの可視光に対して測定した値であり、
減衰係数は前記式(1)を用いて,膜厚および透過率よ
り算出したものである。
【0132】
【表7】
【0133】前記表7の被膜の減衰係数と抵抗率の結果
を図15に示す。
【0134】図15から明らかなように、SiC/Si
x 被膜は、減衰係数が0.06の高い光吸収性を持
ち、抵抗率が2.41×105 Ω・cmの高い絶縁性を
持つ性能を示す。
【0135】以上のようにして、SiC/SiNx 被膜
を成膜後、PEP工程にてパターニングして、図8の
(g)に示したように、液晶表示素子上の画素電極32
を除いた部分に遮光膜37を形成した。
【0136】(実施例7)前記(g)の工程を以下のよ
うに変え、他の工程は実施例1と同じ条件として、図8
に示した形成方法に基づき、本発明の液晶表示素子を形
成した。
【0137】図7のスパッタリング装置において、半導
体のSiからなるターゲット12を装着したものを用い
た。スパッタガスとしてArおよびO2 を導入し、Ar
流量は27〜29sccm、O2 流量は1.0〜3.0
sccmとして、総流量が30sccm、スパッタ圧力
が0.3Paとなるようにした。また、直流印加電力
は、400Wとした。さらに、形成された被膜の一部
は、1×10-2Pa以下の減圧下または窒素雰囲気下で
200℃〜600℃にて30分以上の熱処理をした。そ
れ以外は、実施例1と同じ条件にて、Si/SiOx
混合膜を成膜し、以下の観察および測定を行った。
【0138】まず、形成された混合膜の構造をTEM
(透過型電子顕微鏡)法により観察したところ、この混
合膜は非単結晶SiとSiOx との混合物からなること
が確認された。
【0139】また、前記混合膜全体の元素組成をXPS
(X線電子分光)法により測定したところ、組成比率
(Si/O)は1.0以上5.0以下であった。
【0140】次に、スパッタリング中のAr流量とO2
流量、および形成された被膜を熱処理した場合としなか
った場合について、被膜の膜厚、減衰係数、抵抗率を測
定した。下記表8に、測定結果をまとめる。ここで、透
過率は波長550nmの可視光に対して測定した値であ
り、減衰係数は前記式(1)を用いて,膜厚および透過
率より算出したものである。
【0141】
【表8】
【0142】前記表8の結果より得られた、O2 流量に
対する被膜の減衰係数と抵抗率の変化を図16に示す。
図16より明らかなように、O2 流量を調節すること
で、減衰係数および抵抗率を制御できる。これは、O2
流量を変えることで被膜中のSiOx の割合が変化する
ためである。
【0143】図16の結果から、形成された被膜の抵抗
率と減衰係数の関係を図17に示す。なお、図17には
前述した比較例で得られたFe/SiNx 被膜の結果を
併記する。
【0144】図16および図17より明らかなように、
Si/SiOx の混合膜からなる被膜は、減衰係数が約
0.04〜約0.16の高い光吸収性を持ち、抵抗率が
約5×104 〜約5×106 Ω・cmの高い絶縁性を持
つ性能を示す。
【0145】熱処理をした場合に、抵抗率が約9×10
6 〜約5×108 Ω・cmと約100倍近い高い絶縁性
を持った膜が得られた。これは、熱処理により、被膜中
の水分等の不純物が除去されるとともに、熱処理により
エネルギーが与えられダングリングボンドが正常な結合
となり、SiOx が完全な絶縁性化合物であるSiO2
に近づくためであると考えられる。
【0146】以上のようにして、Si/SiOx の混合
膜を成膜後、PEP工程にてパターニングして、図8の
(g)に示したように、液晶表示素子上の画素電極32
を除いた部分に遮光膜37を形成した。
【0147】(実施例8)前記(g)の工程を以下のよ
うに変え、他の工程は実施例1と同じ条件として、図8
に示した形成方法に基づき、本発明の液晶表示素子を形
成した。
【0148】図1のスパッタリング装置において、第1
スパッタカソード3には、焼結体のBi2 3 からなる
第1スパッタターゲット8を装着した。第2スパッタカ
ソード4には、焼結体の炭素からなる第2スパッタター
ゲット12を装着した。冷却装置(図示せず)を作動さ
せて、第1スパッタカソード3には第1冷却用配水管5
を通して冷却水を流し、そして、第2スパッタカソード
4には第2冷却用配水管9を通して冷却水を流して、両
スパッタカソードを冷却した。真空ポンプ(図示せず)
を作動させて真空チャンバ1内のガスを排気管14を通
して排気して、真空チャンバ1内を1×10-3Pa以下
の圧力に保持した。基板ホルダー2を、前記真空チャン
バ1の外側に配置された回転機構(図示せず)により回
転させた。スパッタガス供給ボンベ(図示せず)から、
Arおよび酸素のスパッタガスを、スパッタガス供給管
13を通して真空チャンバ1内に導入した。この時、A
r流量は20sccm、O2 流量は8sccmとして、
スパッタ圧力は0.67Pa、O2 分圧を0〜約0.0
3Paとした。つづいて、第1スパッタカソード3には
RF電源7により200〜800Wの高周波電力を供給
し、焼結体のBi23 からなる第1ターゲット8をR
Fスパッタリングした。同時に、第2スパッタカソード
4には、直流電源11を通して300Wの直流電圧を印
加し、焼結体の炭素からなる第2ターゲット12をDC
スパッタリングすることにより非晶質炭素/BiOx
膜を成膜した。スパッタリング成膜時間は10分間と
し、スパッタリング中の基板の温度は室温に保った。
【0149】前記非晶質炭素/BiOx 被膜の成膜に際
し、焼結体炭素の第2ターゲット12をDCスパッタリ
ングしながら、焼結体Bi2 3 の第1ターゲット8に
加えるRF供給電力を変化させ、その時の被膜の減衰係
数および抵抗率の変化を測定した。その結果を図18に
示す。ただし、酸素の分圧は7.3×10-3Paとし
た。図18の結果より得られた被膜の減衰係数と抵抗率
の関係を図19に示す。なお、図19には前述した比較
例で得られたFe/SiNx 被膜の結果を併記する。
【0150】図18および図19から明らかなようにR
F供給電力が450〜800Wの条件において、減衰係
数が約0.05〜約0.1の高い光吸収性を持ち、抵抗
率が約1010〜約1012Ω・cmの高い絶縁性を持つ非
晶質炭素/BiOx 被膜が得られた。
【0151】また、酸素スパッタガスの分圧を変化させ
た時の被膜の減衰係数および抵抗率の変化を測定した。
その結果を図20に示す。ただし、RF供給電力は50
0Wとした。図20の結果より得られた被膜の減衰係数
と抵抗率の関係を図21に示す。なお、図21には前述
した比較例で得られたFe/SiNx 被膜の結果を併記
する。
【0152】図20および図21から明らかなように酸
素分圧が0.005〜0.015Paの条件において、
減衰係数が約0.1〜約0.35の高い光吸収性を持
ち、抵抗率が約101 〜約107 Ω・cmの高い絶縁性
を持つ非晶質炭素/BiOx 被膜が得られた。
【0153】さらに、焼結体炭素の第2ターゲット12
に印加する直流電圧を制御回路10によってパルス状に
変化させてDCスパッタリングをパルス状に発生させ、
このDCパルス放電時間を変化させた時の被膜の減衰係
数および抵抗率の変化を測定した。パルス放電時間とし
ては、0〜30secとした。その結果を図22に示
す。ただし、RF供給電力は500W、酸素の分圧は
7.3×10-3Paとした。また、図22の結果より得
られた被膜の減衰係数と抵抗率の関係を図23に示す。
なお、図23には前述した比較例で得られたFe/Si
x 被膜の結果を併記する。
【0154】図22および図23より明らかなように、
焼結炭素ターゲットを断続的にDCスパッタリングする
パルス放電時間が20secの条件において、減衰係数
が約0.13〜約0.15の高い光吸収性を持ち、かつ
抵抗率が約109 〜約1010Ω・cmの高い絶縁性を持
つ非晶質炭素/BiOx 被膜が得られた。
【0155】以上のようにして、非晶質炭素/BiOx
被膜を成膜後、PEP工程にてパターニングして、図8
の(g)に示したように、液晶表示素子上の画素電極3
2を除いた部分に遮光膜37を形成した。
【0156】前述した実施例1から8によって形成され
た液晶表示素子においては、薄い膜厚の遮光膜37で十
分な遮光が行えたため、前記薄膜トランジスタ42と前
記画素電極32の間に大きな段差が生じなかった。その
結果、液晶配向膜の段差被覆性の劣化による液晶配向の
不良が発生せず、液晶ディスプレイを構成する2枚の基
板間のギャップ制御が困難化せず、また、基板間のギャ
ップの拡大による表示ムラの発生および液晶応答速度の
低下が起きなかった。また、前記薄膜トランジスタ42
の動作中に前記遮光膜37は帯電しなかったため、前記
画素電極32周辺での液晶材の配向の乱れが生じなかっ
た。
【0157】比較例によって形成された液晶表示素子に
おいては、十分な遮光を行うために遮光膜37の膜厚を
大きくする必要があったため、前記薄膜トランジスタ4
2と前記画素電極32の間に大きな段差が生じた。その
結果、液晶配向膜の段差被覆性が劣化して液晶配向の不
良が発生し、液晶ディスプレイを構成する2枚の基板間
のギャップ制御が困難となり、また、基板間のギャップ
の拡大により表示ムラが発生し、液晶応答速度が低下し
た。また、前記薄膜トランジスタ42の動作中に前記遮
光膜37が帯電したため、画素電極32周辺での液晶材
の配向の乱れが生じた。
【0158】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
高い光吸収性と高い絶縁性とを併せ持つ遮光膜を有する
液晶表示素子を提供できる。その結果、小さい膜厚の遮
光膜で十分な遮光ができるため、薄膜トランジスタと画
素電極の間の段差が小さくて済む。そのため、液晶配光
膜の段差被覆性の劣化による液晶配向の不良や、液晶表
示素子を構成する2枚の基板間のギャップ制御の困難化
や、基板間のギャップの拡大による表示ムラの発生およ
び液晶応答速度の低下を防止できる液晶表示素子を実現
できる。さらに、薄膜トランジスタの動作中に遮光膜が
帯電するのを防ぐことができるため、画素電極周辺での
液晶材の配向の乱れを防止できる液晶表示素子を実現で
きる等の効果を奏する。
【0159】また、本発明によれば、前記液晶表示素子
を再現性良く製造できる液晶表示素子製造方法ならびに
前記液晶表示素子製造方法を実施するためのスパッタリ
ング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスパッタリング装置の一例を示す
概略図。
【図2】本発明に係るスパッタリング装置の他の例を示
す概略図。
【図3】本発明に係るスパッタカソードを示す斜視図。
【図4】本発明に係るスパッタターゲットを示す斜視
図。
【図5】本発明に係るスパッタリング装置の他の例を示
す概略図。
【図6】本発明に係るペレットおよびスパッタターゲッ
トを示す斜視図。
【図7】本発明に係るスパッタリング装置の他の例を示
す概略図。
【図8】本発明に係る液晶表示素子製造方法。
【図9】本発明に係る液晶表示素子を示す平面図。
【図10】本発明に係る液晶表示素子を示す断面図。
【図11】本発明の実施例1および比較例において製造
された液晶表示素子の遮光膜特性を測定した結果を示す
図。
【図12】本発明の実施例2および比較例において製造
された液晶表示素子の遮光膜特性を測定した結果を示す
図。
【図13】本発明の実施例3および4および比較例にお
いて製造された液晶表示素子の遮光膜特性を測定した結
果を示す図。
【図14】本発明の実施例5において製造された液晶表
示素子の遮光膜特性を測定した結果を示す図。
【図15】本発明の実施例5および6および比較例にお
いて製造された液晶表示素子の遮光膜特性を測定した結
果を示す図。
【図16】本発明の実施例7において製造された液晶表
示素子の遮光膜特性を測定した結果を示す図。
【図17】本発明の実施例7および比較例において製造
された液晶表示素子の遮光膜特性を測定した結果を示す
図。
【図18】本発明の実施例8において製造された液晶表
示素子の遮光膜特性を測定した結果を示す図。
【図19】本発明の実施例8および比較例において製造
された液晶表示素子の遮光膜特性を測定した結果を示す
図。
【図20】本発明の実施例8において製造された液晶表
示素子の遮光膜特性を測定した結果を示す図。
【図21】本発明の実施例8および比較例において製造
された液晶表示素子の遮光膜特性を測定した結果を示す
図。
【図22】本発明の実施例8において製造された液晶表
示素子の遮光膜特性を測定した結果を示す図。
【図23】本発明の実施例8および比較例において製造
された液晶表示素子の遮光膜特性を測定した結果を示す
図。
【図24】本発明の比較例において製造された液晶表示
素子の遮光膜特性を測定した結果を示す図。
【符号の説明】
1…真空チャンバ、 2…基板ホルダー、 3、4、15、22、24…スパッタカソード、 6…マッチング回路、 7…RF電源、 8、12、19…スパッタターゲット、 10…制御回路、 11…直流電源、 25…ガラス基板、 26…ゲート電極、 30…高濃度活性層、 31…活性層、 32…画素電極、 33…ソース電極、 34…ドレイン電極、 35…パッシベーション膜、 37…遮光膜、 42…薄膜トランジスタ。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のガラス基板;前記第1のガラス基
    板上に形成されたゲート電極と、このゲート電極上に順
    次形成されたゲート絶縁膜および半導体活性層と、この
    半導体活性層上に互いに電気的に分離して設けられたソ
    ース電極およびドレイン電極と、これらソース電極およ
    びドレイン電極を含む前記第1のガラス基板上に設けら
    れたパッシベーション膜とを有する逆スタガ型の薄膜ト
    ランジスタ;前記第1のガラス基板上に配置され前記ド
    レイン電極と接続された画素電極;前記画素電極以外の
    部分に被覆された半導体物質、SiCおよび非晶質炭素
    から選ばれた少なくとも1種の材料と無機絶縁性化合物
    とからなる遮光膜;第2のガラス基板;前記第2のガラ
    ス基板上に形成された共通電極;前記第1のガラス基板
    と前記第2のガラス基板との間に保持された液晶材;の
    各構成を具備したことを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記半導体物質はB、Ge、Si、Te
    またはSeであることを特徴とする請求項1記載の液晶
    表示素子。
  3. 【請求項3】 第1のガラス基板;前記第1のガラス基
    板上に形成されたゲート電極と、このゲート電極上に順
    次形成されたゲート絶縁膜および半導体活性層と、この
    半導体活性層上に互いに電気的に分離して設けられたソ
    ース電極およびドレイン電極と、これらソース電極およ
    びドレイン電極を含む前記第1のガラス基板上に設けら
    れたパッシベーション膜とを有する逆スタガ型の薄膜ト
    ランジスタ;前記第1のガラス基板上に配置され前記ド
    レイン電極と接続された画素電極;前記画素電極以外の
    部分に被覆された、組成比率(Si/O)が1.0以上
    5.0以下であるSiとOからなる遮光膜;第2のガラ
    ス基板;前記第2のガラス基板上に形成された共通電
    極;前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との
    間に保持された液晶材;の各構成を具備したことを特徴
    とする液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記Siは非単結晶Siであることを特
    徴とする請求項3記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 第1のガラス基板;前記第1のガラス基
    板上に形成されたゲート電極と、このゲート電極上に順
    次形成されたゲート絶縁膜および半導体活性層と、この
    半導体活性層上に互いに電気的に分離して設けられたソ
    ース電極およびドレイン電極と、これらソース電極およ
    びドレイン電極を含む前記第1のガラス基板上に設けら
    れたパッシベーション膜とを有する逆スタガ型の薄膜ト
    ランジスタ;前記第1のガラス基板上に配置され前記ド
    レイン電極と接続された画素電極;前記画素電極以外の
    部分に被覆された遮光膜;第2のガラス基板;前記第2
    のガラス基板上に形成された共通電極;前記第1のガラ
    ス基板と前記第2のガラス基板との間に保持された液晶
    材;の各構成を具備した液晶表示素子の製造方法におい
    て、 前記遮光膜は、 処理容器内に、半導体物質、SiCおよび非晶質炭素か
    ら選ばれた少なくとも1種の材料からなる第1スパッタ
    ターゲットと、無機絶縁性化合物からなる第2スパッタ
    ターゲットと、前記薄膜トランジスタおよび前記画素電
    極が形成された前記第1のガラス基板とをそれぞれ配置
    する工程;前記処理容器内にスパッタガスを導入した
    後、前記第1スパッタターゲットに直流電力を供給し、
    前記第2スパッタターゲットに高周波電力を供給して、
    前記各スパッタターゲットをそれぞれスパッタリングす
    ることで、前記第1のガラス基板表面の前記薄膜トラン
    ジスタおよび前記画素電極が形成された側に、前記半導
    体物質、前記SiCおよび前記非晶質炭素から選ばれた
    少なくとも1種の材料と無機絶縁性化合物とからなる被
    膜を形成する工程;形成された前記被膜の前記画素電極
    に対応する被膜をエッチング除去する工程;の各工程に
    よって形成されることを特徴とする液晶表示素子の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記被膜を形成する工程は、前記第1ス
    パッタターゲットへ断続的に直流電力を供給することに
    よって前記第1スパッタターゲットを断続的にスパッタ
    リングすることを特徴とする請求項5記載の液晶表示素
    子の製造方法。
  7. 【請求項7】 第1のガラス基板;前記第1のガラス基
    板上に形成されたゲート電極と、このゲート電極上に順
    次形成されたゲート絶縁膜および半導体活性層と、この
    半導体活性層上に互いに電気的に分離して設けられたソ
    ース電極およびドレイン電極と、これらソース電極およ
    びドレイン電極を含む前記第1のガラス基板上に設けら
    れたパッシベーション膜とを有する逆スタガ型の薄膜ト
    ランジスタ;前記第1のガラス基板上に配置され前記ド
    レイン電極と接続された画素電極;前記画素電極以外の
    部分に被覆された遮光膜;第2のガラス基板;前記第2
    のガラス基板上に形成された共通電極;前記第1のガラ
    ス基板と前記第2のガラス基板との間に保持された液晶
    材;の各構成を具備した液晶表示素子の製造方法におい
    て、 前記遮光膜は、 処理容器内に、半導体物質、SiCおよび非晶質炭素か
    ら選ばれた少なくとも1種の材料からなる第1領域と無
    機絶縁性化合物からなる第2領域とが互いに電気的に分
    離して形成されたスパッタターゲットと、前記薄膜トラ
    ンジスタおよび前記画素電極が形成された前記第1のガ
    ラス基板とをそれぞれ配置する工程;前記処理容器内に
    スパッタガスを導入した後、前記第1領域に直流電力も
    しくは高周波電力を供給するとともに、前記第2領域に
    高周波電力を供給して、前記各領域をそれぞれスパッタ
    リングすることで、前記第1のガラス基板表面の前記薄
    膜トランジスタおよび前記画素電極が形成された側に、
    前記半導体物質、前記SiCおよび前記非晶質炭素から
    選ばれた少なくとも1種の材料と無機絶縁性化合物とか
    らなる被膜を形成する工程;形成された前記被膜の前記
    画素電極に対応する被膜をエッチング除去する工程;の
    各工程によって形成されることを特徴とする液晶表示素
    子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記被膜を形成する工程は、前記第1領
    域へ断続的に直流電力を供給することによって前記第1
    領域を断続的にスパッタリングすることを特徴とする請
    求項7記載の液晶表示素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記半導体物質はB、Ge、Si、Te
    またはSeであることを特徴とする請求項5乃至請求項
    8のうちのいずれか1項記載の液晶表示素子の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 第1のガラス基板;前記第1のガラス
    基板上に形成されたゲート電極と、このゲート電極上に
    順次形成されたゲート絶縁膜および半導体活性層と、こ
    の半導体活性層上に互いに電気的に分離して設けられた
    ソース電極およびドレイン電極と、これらソース電極お
    よびドレイン電極を含む前記第1のガラス基板上に設け
    られたパッシベーション膜とを有する逆スタガ型の薄膜
    トランジスタ;前記第1のガラス基板上に配置され前記
    ドレイン電極と接続された画素電極;前記画素電極以外
    の部分に被覆された遮光膜;第2のガラス基板;前記第
    2のガラス基板上に形成された共通電極;前記第1のガ
    ラス基板と前記第2のガラス基板との間に保持された液
    晶材;の各構成を具備した液晶表示素子の製造方法にお
    いて、 前記遮光膜は、 処理容器内に、前記Siからなるスパッタターゲット
    と、前記薄膜トランジスタおよび前記画素電極が形成さ
    れた前記第1のガラス基板とをそれぞれ配置する工程;
    前記処理容器内にO2 およびArのスパッタガスをそれ
    ぞれ略同一の所定温度のもとでのガス流量比(O2 /A
    r)を1.66乃至33.3%なる条件で導入した後、
    前記スパッタターゲットに直流電力を400乃至100
    0Wなる条件で供給してスパッタリングするとともに前
    記O2 のスパッタガスとスパッタリングされた前記Si
    とを反応させることで、前記第1のガラス基板表面の前
    記薄膜トランジスタおよび前記画素電極が形成された側
    に、組成比率(Si/O)が1.0以上5.0以下であ
    るSiとOとからなる被膜を形成する工程;形成された
    前記被膜の前記画素電極に対応する被膜をエッチング除
    去する工程;の各工程によって形成されることを特徴と
    する液晶表示素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記Siは非単結晶Siであることを
    特徴とする請求項10記載の液晶表示素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記被膜は形成された後、加熱処理さ
    れることを特徴とする請求項5から請求項11いずれか
    1項記載の液晶表示素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 処理容器と、 前記処理容器内にスパッタガスを導入するガス導入手段
    と、 前記処理容器内に配置され、被処理基板を装着した基板
    ホルダーと、 前記処理容器内に配置され、半導体物質、SiCおよび
    非晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の材料からなる
    第1スパッタターゲットと、 前記処理容器内に配置され、無機絶縁性化合物からなる
    第2スパッタターゲットと、 前記第1スパッタターゲットに直流電力を供給する直流
    電力供給手段と、 前記第2スパッタターゲットに高周波電力を供給する高
    周波電力供給手段と、を具備したことを特徴とするスパ
    ッタリング装置。
  14. 【請求項14】 前記第1スパッタターゲットに断続的
    に直流電力を供給することによって前記第1スパッタタ
    ーゲットを断続的にスパッタリングすることを特徴とす
    る請求項13記載のスパッタリング装置。
  15. 【請求項15】 処理容器と、 前記処理容器内にスパッタガスを導入するガス導入手段
    と、 前記処理容器内に配置され、被処理基板を装着した基板
    ホルダーと、 前記処理容器内に配置され、半導体物質、SiCおよび
    非晶質炭素から選ばれた少なくとも1種の材料からなる
    第1領域と無機絶縁性化合物からなる第2領域とを有す
    るスパッタターゲットと、 前記第1領域に直流電力を供給する直流電力供給手段
    と、 前記第2領域に高周波電力を供給する高周波電力供給手
    段と、を具備したことを特徴とするスパッタリング装
    置。
  16. 【請求項16】 前記第1領域に断続的に直流電力を供
    給することによって前記第1領域を断続的にスパッタリ
    ングすることを特徴とする請求項15記載のスパッタリ
    ング装置。
  17. 【請求項17】 前記半導体物質はB、Ge、Si、T
    eまたはSeであることを特徴とする請求項13乃至請
    求項16のうちのいずれか1項記載のスパッタリング装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103579356A (zh) * 2012-08-10 2014-02-12 北京京东方光电科技有限公司 一种氧化物tft及其制备方法、显示面板和显示装置
WO2018000947A1 (zh) * 2016-06-28 2018-01-04 京东方科技集团股份有限公司 薄膜晶体管及其制作方法、阵列基板和显示面板

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