JP2719690B2 - ドーピング装置 - Google Patents

ドーピング装置

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育弘 鵜飼
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【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 アクティブ・マトリックス液晶表示素子などではスイ
ッチング素子として薄膜トランジスタ(TFTと言う)が
アレイ状に形成され、それら各TFTにおいて、半導体薄
膜とドレイン電極及びソース電極とのオーミックコンタ
クトを良好にするために、ドレイン電極及びソース電極
と対向すべき半導体薄膜の表面層(その上にドレイン電
極、ソース電極があとから形成される第5図Bに示すボ
トムゲート型TFTの場合)または半導体薄膜と対向すべ
きドレイン電極及びソース電極の表面層(その上に半導
体薄膜があとから形成される第5図Aのトップゲート型
TFTの場合)にそれぞれ不純物として例えば燐をドーピ
ング(拡散)することが行われている。この発明のドー
ピング装置はTFTの製造工程において上記の燐ドーピン
グに使用するものである。
「従来の技術」 この種のドーピング装置の従来例として、IEEE ELECT
RON DEVICE LETTER,VOL 9,No.2,1988年2月号、90〜93
頁に掲載された題名「Forma−tion of Source and Drai
n Regions for a−Si:H Thin−Film Transistors by Lo
w−Energy Ion Doping Technique」及び月刊Semiconduc
tor World 1989年3月号、111〜118頁に掲載された題名
「大面積イオンドーピング技術及びそのデバイス作製へ
の応用」の中で紹介されているイオンシャワードーピン
グ装置につき述べよう。上記文献では、上記装置を用い
てボトムゲーム型TFTアレイ(第5図B)の半導体薄膜
の表面層に燐をドーピングさせている。この方式ではド
ーピング時の表面保護膜の形成が必要である。
プラズマ化学的気相成表法(Plasma Chemical Vapor
Deposition;PCVDと略記する)ではRFグロー放電を用い
る方法が一般に用いられ、大面積の処理が行われてい
る。第6図の従来例ではRFグロー放電に磁場を加えるこ
とによって、更に高励起で一様なプラズマを生成してい
る。このプラズマの電位を、メッシュ電極7及び円板電
極10に高圧を印加して一様に上げることにより、プラズ
マ中のイオンを一括してサンプルステージ3方向に押し
出すと共にサンプルステージ3に対する上記両電極の電
位差Viによりイオンの走行を加速させている。
第6図を参照してより詳細に従来のイオンドーピング
装置を説明しよう。絶縁基台1上に円筒状のサンプルチ
ャンバ2がマウントされる。サンプルチャンバ2の上下
の外周縁にそれぞれフランジ2a,2bが形成されている。
サンプルチャンバ2の周面に排気口2cが設けられ、図示
していない真空ポンプに接続される。外部で接地された
サンプルステージ3(直径32cm)が絶縁基台1上に設け
られる。サンプルステージ3にヒータ4が取付けられ、
ステージ3上の試料5が一定の温度に加熱される。
フランジ2bの上に絶縁材より成るリング板6が同軸心
に取付けられ、リング板6上にメッシュ電極7が取付け
られる。メッシュ電極7は円筒部7aとその一端に直交し
て一体に連結されるフランジ部7bとフランジ部7bの中心
孔を覆うように取付けられたメッシュ部7cとにより構成
される。
石英より成る円筒状のプラズマチャンバ8がリング板
7上に同軸心にマウントされ、その開放端は上面部8a
より閉塞される。上面部8aの軸心にガス導入管9が内外
に突出して取付けられ、そのプラズマチャンバ8内の先
端の外周縁に、中心に小孔を有する円板電極10がプラズ
マチャンバ8の中心軸と直角に取付けられる。チャンバ
8の外部に突出したガス導入管9は図示していないドー
ピングガス供給部に接続される。プラズマチャンバ8の
外周面に高周波電極11と接地電極12とが対向して取付け
られる。高周波電極11は高周波電源13に接続され、接地
電極12は接地される。電極11,12の外側に磁気コイル14
がプラズマチャンバ8と同軸心に設けられる。メッシュ
電極7及び円板電極10は高圧電源15にそれぞれ接続され
る。
この装置のドーピング条件は、 (a) ドーピングガス:水素で希釈した濃度2%のフ
ォスフィン(PH3) (b) 試料温度:約300℃ (c) 加速電圧(メッシュ電極及び円板電極の電
圧):3.5KVまたは5.5KV (d) プラズマ照射時間:5分 (e) 真空度:5.0×10-4Torr (f) RF電力:13.56MHz,100W (g) 磁 場:約50ガウス とされている。この装置によるサンプルステージ上の実
効的なイオン照射領域は直径約250mmの範囲である。
「発明が解決しようとする課題」 従来のイオンシャワードーピング装置は、有効なイオ
ン照射領域がサンプルステージ上の直径約25cmの円内に
限られるものであり、大形基板をドーピングすることは
できなかった。またイオン照射時間も5分程度と大き
く、生産性が悪かった。またメッシュ電極7及び円板電
極10に印加するための高圧電源15を必要とするばかりで
なく、プラズマチャンバ8内に磁場を形成するための大
型な磁気コイル14及びその励磁電源が必要であり、装置
が高価となる難点があった。この発明の目的は、上記従
来の難点を解決して、従来より大形な基板も短時間で処
理できると共に安価な構成のドーピング装置を提供する
ことにある。
「課題を解決するための手段」 この発明のドーピング装置は、真空チャンバと、その
真空チャンバ内に設けられたじょうろ状の高周波電極
と、その高周波電極と対向して上記チャンバ内に設けら
れ、試料を取付ける接地電極と、上記真空チャンバ内を
排気する真空排気系と、上記試料を加熱するヒータと、
上記高周波電極にドーピングガスを供給するガス供給部
と、上記高周波電極に電力を供給して、上記接地電極と
の間にグロー放電を起こさせる高周波電源とにより構成
される。
「実施例」 この発明のドーピング装置を第1図を参照して説明す
る。真空チャンバ21内に高周波電極22と接地電極23とが
対向して設けられる。高周波電極22はじょうろ(如雨
露)に似た形状で、内部にドーピングガスが注入され、
接地電極23と対向する面にガスを噴射するための小孔が
多数設けられている。接地電極23は外部で接地され、高
周波電極22と対向する面に試料24を保持した試料ホルダ
25が取付けられる。試料24は接地電極23の近傍に設けた
ヒータ26により所定温度に加熱される。真空チャンバ21
内はドーピングガスを供給する前に真空排気系(真空ポ
ンプ等)27によって充分に排気される。高周波電極22内
にガス供給部28よりドーピングガスが供給される。ガス
供給部28にはフォスフィン(PH3)、アルゴン等を収容
したボンベ29及び各ボンベからの流量を調節する流量調
整器30が設けられている。高周波電極22には高周波電源
31より電力が供給され、接地電極23との間でRFグロー放
電が発生され、これによりドーピングガスのプラズマが
生成される。ドーピングの有効処理サイズは800mm(垂
直方向)×900mm(水平方向)で、極めて大形である。
上述のドーピング装置を用いてトップゲート型TFTア
レイのドレイン電極、ソース電極等(酸化インジュウム
及び酸化錫より成るITOと呼ばれる合金である)の表面
層に燐をドーピングする場合の処理条件を例示すると、 (a) ドーピングガス:アルゴン希釈0.5%PH3(フォ
スフィン)流量は1500sccm (b) 試料温度:約250℃ (c) プラズマ照射時間:1分 (d) RF電力:13.56MHz、100W (e) 圧 力:40Pa (f) 試料のITOの膜厚:60nm(=600Å) 第2図に示すように、プラズマ照射時間をゼロより12
分まで大きくすると、ITOのP/In強度比γはゼロから0.2
程度に増加し、一方ITOの光透過率ηは約90%より80%
に減少する。前者の特性はXMA(X−ray Microprobe An
alysis)により測定したものである。一方、SiO2より成
る透明基板上では光透過率の変化はない。ESCA(Electr
on Spectroscopy for Chemical Analysis)により分析
すると燐の表面濃度は照射時間を1分とすると、ITOで
は18%に対し、SiO2では1%以下であり、P原子はITO
に選択的に取り込まれ、SiO2とはほとんど結合しないこ
とが分かる。従ってSiO2上にパターン形式されたITOに
燐のドーピングを行うと、ITOにのみ選択的に燐が取り
込まれる。ITOにおける燐の分布の深さをSIMS(Seconda
ry Ion Mas Spectrometry;2次イオン質量分析)により
調べると、約60Å程度以下であり、燐の分布はごく表面
に近い層に限られることが分かる。
上述のドーピング装置を用いるトップゲート形TFTア
レイの製造工程を第3図を参照して順に説明する。
(a) SiO2より成る透明基板41上にITOをスパッタリ
ングしてソース電極及びソースバスとなるべき電極42及
びドレイン電極及び画素電極となるべき電極43のパター
ンを形成する(第3図A)。
(b) 第1図のドーピング装置を使用して、電極42及
び電極43の形成された透明基板41上にドーピングガスの
プラズマを照射して、両電極の表面にP拡散層42a,43a
を形成する。(電極の形成されていない透明基板41上に
は燐はほとんど拡散されない。) (c) P拡散層42a,43aのできた両電極及び透明基板4
1上にアモルファスシリコン(a−Si)より成る半導体
薄膜44を周知の高周波PCVD法により形成する。その際、
P拡散層42a,43aに含有された燐が半導体薄膜44側に更
に拡散して、非常に薄いnプラスのアモルファスシリコ
ン(n+a−Si)層44aが同時に、両電極を覆うように形成
される。この工程でアモルファスシリコンが基板上に形
成されるが、ITOの表面は燐をドーピングされているの
で耐プラズマ性に優れた特性を持ち、このためプラズマ
照射によりITOの表面が荒らされる(変質される)こと
はない。
(d) 半導体薄膜44をドライエッチングにより島状に
パターン化する(符号44′で示す)。電極42の半導体薄
膜44′と重なる部分がソース電極51とされ、重ならない
部分がソースバス52とされる。また、電極43の半導体薄
膜44′と重なる部分がドレイン電極53とされ、重ならな
い部分が画素電極54とされる。nプラスのアモルファス
シリコン層44aの形成により、半導体薄膜44′とソース
電極51及びドレイン電極53との間で良好なオーミックコ
ンタクトが得られる。ソースバス52及び画素電極54上に
形成されていたnプラスのアモルファスシリコン層44a
は島状の半導体薄膜44′をドライエッチングによりパタ
ーン化する際に除去され、光透過率が回復する。
(e) 基板上に一様に窒化シリコン(SiNx)より成る
ゲート絶縁膜55を形成させる(第3図E)。
(f) ゲート絶縁膜55上にアルミより成るゲート電極
56をソース電極51及びドレイン電極53と一部重なるよう
にパターニングする(第3図F)。
上述において、電極42,43の表面に燐をドーピングす
る工程(b)を行った後、真空を破らず連続して半導体
薄膜44をこれら電極上に形成させる工程(c)を行うこ
とが望ましい。なんとなれば、一度真空を破ると電極の
表面が酸化したり、不純物により汚染される恐れがあ
り、連続して行うと、電極と半導体薄膜44との間に良好
なオーミックコンタクトが得られるからである。第4図
に示すインライン式連続処理装置はこれら二つの工程を
真空を破らず連続して行うことのできるものであり、ゲ
ートバルブ51を介して加熱室52,燐ドーピング室53,a−S
i形成室54,冷却室55が連続して設けられている。
これまでの説明ではドーピングする元素として燐を用
いたが、代わりにひ素、ビスマス、アンチモンなどの5
族元素や、アルミニウム、ガリウムなどの3族元素を用
い、同様にn+またはP+のアモルファスシリコン膜を形成
し、同様な効果をもたせることができる。
「発明の効果」 基板の有効処理サイズが従来は直径250mmの円内に限
られていたが、この発明によれば、例えば800×900mmの
大面積の基板も処理可能である。またプラズマ照射時間
も従来5分必要としたものが1分でよく、それだけ生産
性を向上できる。
この発明の装置では従来の高圧電源15,磁気コイル14
及びその励磁電源が不要となるのでそれだけ安価な装置
を提供できる。
この発明のドーピング装置はTFTに限らず、a−Si
用いる太陽電池、その他に広範囲に適用可能である。
【図面の簡単な説明】 第1図はこの発明の実施例を示す原理的な構成図、第2
図は第1図の装置を用いて得られた試料のP/Inピーク比
γ及び光透過率ηのプラズマ照射時間に対する変化特性
を示す図、第3図は第1図の装置を用いて製造するTFT
アレイの各工程における原理的な断面図、第4図は電極
に燐をドーピングする工程とその上にa−Siを形成する
工程とを連続して行うためのインライン式連続処理装置
の原理的な構成図、第5図A及びBはそれぞれトップゲ
ート型TFT及びボトムゲート型TFTの原理的な断面図、第
6図は従来のイオンシャワードーピング装置の原理的な
断面図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空チャンバと、 その真空チャンバ内に設けられたじょうろ状の高周波電
    極と、 その高周波電極と対向して上記チャンバ内に設けられ、
    試料を取付ける接地電極と、 上記真空チャンバ内を排気する真空排気系と、 上記試料を加熱するヒータと、 上記高周波電極にドーピングガスを供給するガス供給部
    と、 上記高周波電極に電力を供給して、上記接地電極との間
    にグロー放電を起こさせる高周波電源とより成るドーピ
    ング装置。
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