JPH09249723A - 加硫性ゴム組成物および加硫ゴム成形体 - Google Patents

加硫性ゴム組成物および加硫ゴム成形体

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JPH09249723A
JPH09249723A JP6141196A JP6141196A JPH09249723A JP H09249723 A JPH09249723 A JP H09249723A JP 6141196 A JP6141196 A JP 6141196A JP 6141196 A JP6141196 A JP 6141196A JP H09249723 A JPH09249723 A JP H09249723A
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fluorine
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JP6141196A
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Shinya Sakurai
井 慎 也 櫻
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Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
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Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】[A]エチレン−プロピレン系共重合体エ
ラストマーと、過酸化物架橋可能な含フッ素エラストマ
ーのうちから選ばれる1種または2種の熱可塑性エラス
トマー、[B]エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩、
[C]有機過酸化物、[D](i) エチレン性不飽和含フ
ッ素化合物類、および/または、(ii)エチレン性不飽和
オルガノシロキサン類、からなることを特徴とする加硫
性ゴム組成物。 【効果】通常のカーボンブラック配合系あるいはメタク
リル酸金属塩配合系のゴム材料(加硫物)が本来有する
機械的強度を保持しつつ、長期的に安定したシール特性
を有し、低摩擦性、非粘着性などに優れた加硫ゴム成形
体が得られるような加硫性ゴム組成物が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、加硫性ゴム組成物および
加硫ゴム成形体に関し、さらに詳しくは、通常のカーボ
ンブラック配合系あるいはメタクリル酸金属塩配合系の
ゴム材料(加硫物)が本来有する機械的強度を保持しつ
つ、長期的に安定したシール特性を有し、低摩擦性、非
粘着性などに優れた加硫ゴム成形体が得られるような加
硫性ゴム組成物および加硫ゴム成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】未加硫ゴムにジメタアクリル酸亜
鉛または塩基性メタクリル酸亜鉛を混合し、有機過酸化
物で架橋することは古くから知られており、例えば、以
下のような技術が知られている。 (1) 米国特許第1091818号には、エチレン・プ
ロピレン系ゴムにジメタアクリル酸金属塩と有機過酸化
物とを混合して有機過酸化物で架橋することにより、強
度に優れた加硫ゴムが得られることが記載されている。 (2) 英国特許第159477号には、ポリブタジエン
ゴムに塩基性メタクリル酸亜鉛を混合してラジカル発生
剤で加硫したゴムをコア材とするゴルフボールが記載さ
れている。 (3) 特開昭59-149938号公報には、天然ゴム並
びに共役ジエン系ゴムに、表面積約3.7〜約5.4m
2/g以上のジメタクリル酸亜鉛と、カーボンブラック
またはクレーと有機過酸化物加硫剤とを配合してこの有
機過酸化物加硫剤で架橋してなる架橋ゴム組成物は、優
れた強度特性を有する旨記載されている。 (4) 特開平1-306440号公報等には、『(a)重合
体類中の共役ジエン単位の含有量が30重量%以下であ
るエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系高飽和共重
合ゴム100重量部:(b)メタクリル酸と亜鉛のモル比
が1/0.5〜1/3であるメタクリル酸の亜鉛塩で2
0μ以上の粗粒子を5%以下とした化合物10〜100
重量部:および(c)有機過酸化物0.2〜10重量部を
配合してなることを特徴とする加硫性ゴム組成物』が記
載され、このゴム組成物は、加硫後には500kgf/
cm2以上の引張強度を有することが記載されている。
【0003】上記(1)〜(4)に記載の公報に示すよ
うにメタクリル酸亜鉛などを配合してなる上記ゴム材料
は、強度に優れるが、低摩擦性、非粘着性に劣り、金型
離型性が非常に悪いという問題点がある。しかもこのよ
うなゴム材料は、摩擦係数が大きいため、シール部材な
どに使用すると優れた密着性、変形等に対する追従性を
示すが、このようなゴム材料が用いられた機器の消費電
力を増大させ、また、いわゆる“鳴き現象”やスティッ
ク-スリップ(付着滑り)を誘発し、激しく摩耗して、
機器装置の性能を低下させ、耐久性を損なわせるなどの
問題点がある。
【0004】ところで、ゴム材料を低摩擦化、非粘着化
する手法として、ゴム材料にPE、PTFE、POM、
ポリエステル等の樹脂粉末を混入する方法(固体潤滑剤
添加法)、ゴム材料にPEG、シリコーンオイル、フッ
素化オイル等のオイルを混入する方法(ブリード法)、
あるいは、ゴム成形体の表面を樹脂にて被覆する方法
(表面被覆法)などが知られている。
【0005】固体潤滑剤添加法では、成形体自身の機械
的強度が低下したり、ゴム弾性を低下させ、相手材への
追従性が劣るようになる傾向があり、さらに、圧縮永久
歪も大きくなる傾向がある。
【0006】ブリード法では、得られる成形体自身の機
械的強度が小さく、しかもオイルのブリード(滲出)速
度が大きく、成形体の寿命にバラツキがあったり、成形
体から滲出したオイルが相手材を汚染したりするという
問題点がある。
【0007】表面被覆法では、得られる樹脂被覆成形体
を構成しているゴム成形体と表面被覆層との密着性が低
下する虞があるため、シール部材として実際に機器に組
み込んで動的状態で使用するには不向きであり、また樹
脂被覆成形体表面のゴム弾性が低下して相手材への追随
性が劣るようになる傾向がある。
【0008】なお、高強度で摩擦係数の小さな材料とし
ては、シリコーンを配合してなる自己潤滑型熱可塑性あ
るいは熱硬化性ウレタン材料が知られている。しかしな
がら自己潤滑型熱可塑性あるいは熱硬化性ウレタン材料
には、耐熱性、耐加水分解性に劣るという問題点があ
る。
【0009】このように、長期的に安定したシール特
性、低摩擦性および非粘着性を有し、優れた強度を有
し、耐熱性および耐加水分解性に優れた加硫ゴムが得ら
れるような加硫性ゴム組成物は未だ見出されていない。
【0010】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、ゴム材料が本
来有するシール性、変形追随性等の特性を保持しつつ、
強度、耐熱性、耐加水分解性、非粘着性、低摩擦性に優
れた加硫ゴム成形体が得られるような加硫性ゴム組成物
を提供することを目的としている。
【0011】また、本発明は、ゴム材料が本来有するシ
ール性、変形追随性などの特性を保持しつつ、強度、耐
熱性、耐加水分解性、非粘着性、低摩擦性に優れた加硫
ゴム成形体を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】本発明に係る加硫性ゴム組成物は、 [A]エチレン−プロピレン系共重合体エラストマー
と、過酸化物架橋可能な含フッ素エラストマーのうちか
ら選ばれる1種または2種の熱可塑性エラストマー、 [B]エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩、 [C]有機過酸化物、 [D](i) エチレン性不飽和含フッ素化合物類、および
/または(ii)エチレン性不飽和オルガノシロキサン類、
からなることを特徴としている。
【0013】本発明の好ましい態様においては、上記成
分[A]100重量部に対して、成分[B]は0〜10
0重量部の量で、成分[C]は0.2〜15重量部の量
で、および成分[D]は2〜40重量部の量で含まれて
いることが好ましい。
【0014】本発明の上記加硫性ゴム組成物には、さら
にゴム補強剤[E]および/または架橋助剤[F]が含
まれていてもよい。このような加硫性ゴム組成物では、
上記成分[A]100重量部に対して、上記量の成分
[B]および成分[C]に加えて、ゴム補強剤[E]は
100重量部以下、好ましくは0〜70重量部の量で、
また架橋助剤[F]は30重量部以下、好ましくは0〜
15重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0015】また、成分[D]は、エチレン性不飽和含
フッ素化合物類(i)であることが好ましい。この加硫性
ゴム組成物を加硫してなる成形体は、ゴム材料が本来有
するシール性、変形追従性等の特性を保持しつつ、強
度、耐熱性、耐加水分解性、非粘着性、低摩擦性に優れ
ている。
【0016】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る加硫性ゴム組
成物および加硫ゴム成形体について具体的に説明する。[加硫性ゴム組成物] 本発明に係る加硫性ゴム組成物
は、 [A]エチレン−プロピレン系共重合体エラストマー
と、過酸化物架橋可能な含フッ素エラストマーのうち
から選ばれる1種または2種の熱可塑性エラストマー、 [B]エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩、 [C]有機過酸化物 [D](i) エチレン性不飽和含フッ素化合物類、および
/または、(ii)エチレン性不飽和オルガノシロキサン
類、からなっている。
【0017】上記熱可塑性エラストマー[A](過酸
化物架橋可能な含フッ素エラストマー)としては、その
平均分子量が、通常1万〜200万のものが用いられ
る。熱可塑性エラストマー[A]のうちで、エチ
レン−プロピレン系共重合エラストマーとしては、エチ
レンとプロピレンと非共役ジエンとからなる三元共重合
ゴムであって、エチレンとプロピレンとの重量比(エチ
レン/プロピレン)が通常、90/10〜20/80の
ものが挙げられる。
【0018】この非共役ジエンとしては、分岐を有して
いてもよい脂環式、鎖式非共役ジエンの何れであっても
よく、脂環式非共役ジエンとしては、具体的には、例え
ば、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデ
ン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンな
どが挙げられ、鎖式非共役ジエンとしては、具体的に
は、例えば、1,4−ヘキサジエン等が挙げられ、これ
らのうちでは脂環式のものが好ましく、特にエチリデン
ノルボルネンが最も好ましい。
【0019】[A]過酸化物架橋可能な含フッ素エラ
ストマーとしては、例えば、(a):フッ化ビニリデンと
他の含フッ素オレフィンとの共重合体(a-1)、あるいは
フッ化ビニリデンと、含フッ素エチレン性二重結合含有
エステル系またはエーテル系化合物との共重合体(a-
2)、(b):テトラフルオロエチレン−プロピレン二元共
重合体およびテトラフルオロエチレン−プロピレン−フ
ッ化ビニリデン三元共重合体、(c):上記(a)および(b)
の共重合体中にパーオキサイド架橋に有効な架橋サイト
モノマーを導入したもの、(d):含フッ素多元セグメン
ト化ポリマーなどが挙げられる。
【0020】フッ化ビニリデンと他の含フッ素オレフィ
ンとからなる上記共重合体(a-1)を製造する際に用いら
れる「他の含フッ素オレフィン」としては、炭素数2〜
8個程度の鎖状または環状オレフィンを構成している水
素原子の全部または1部がフッ素原子にて置換されてい
るか、該水素原子の1部がフッ素原子にて置換され、か
つ、残部水素原子の全てあるいは残部水素原子のうちの
1部がハロゲン原子(例:塩素、臭素等)にて置換され
ているものなどが挙げられ、このような「他の含フッ素
オレフィン」としては、具体的には、例えば、ヘキサフ
ルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、トリフルオ
ロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニル、
あるいはトリフルオロクロロエチレンなどが挙げられ
る。
【0021】上記フッ化ビニリデンと、含フッ素エチレ
ン性二重結合含有エステル系またはエーテル系化合物と
の共重合体(a-2)を製造する際に用いられる含フッ素エ
チレン性二重結合含有エステル系あるいはエーテル系化
合物としては、具体的には、例えば、エステル系化合物
のパーフルオロ(メタ)アクリル酸−アルキルエステ
ル、(メタ)アクリル酸−パーフルオロアルキルエステ
ル、パーフルオロ(アクリル酸アルキルエステル)など
のように、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを構成
している炭素数1〜10程度のアルキル基中の水素原子
の80%以上好ましくは全部および/または(メタ)ア
クリル酸残基中の水素原子の80%以上好ましくは全部
がフッ素置換されたもの、あるいはエーテル系化合物の
パーフルオロメチル−ビニルエーテル、パーフルオロプ
ロピル−ビニルエーテル、パーフルオロメチル−パーフ
ルオロビニルエーテル、パーフルオロプロピル−パーフ
ルオロビニルエーテルなどのように、アルキルビニルエ
ーテルを構成している炭素数1〜10程度のアルキル基
中の水素原子の80%以上好ましくは全部および/また
はビニル基中の水素原子の80%以上好ましくは全部が
フッ素置換されたものなどが挙げられる。
【0022】これらの含フッ素オレフィン、含フッ素エ
チレン性二重結合含有エステル系あるいはエーテル系化
合物は、1種または2種以上組み合わせて用いることが
できる。
【0023】本発明では、上記のような(a)フッ化ビニ
リデンと他の含フッ素オレフィンとの共重合体のうちで
は、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペン2元共
重合体およびフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレ
ン−ヘキサフルオロプロペン三元共重合体が好ましく用
いられる。
【0024】(c):上記(a)および(b)の共重合体中にパ
ーオキサイド架橋に有効な架橋サイトモノマーを導入し
てなるフルオロエラストマーとしては、さらに具体的に
は、例えば、(i)テトラフルオロエチレン(TFE)
と、(ii)パーフルオロメチルパーフルオロビニルエーテ
ル(PMVE)[パーフルオロ(メチルビニルエーテ
ル)]と、(iii)硬化部位(架橋サイト)を持つ単量体
との3元共重合体が挙げられる。
【0025】この(iii)硬化部位を持つ単量体として
は、具体的には、例えば、パーフルオロ(4−シアノブ
チルビニルエーテル)、パーフルオロ(4−カーボメト
キシブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(2−フェ
ノキシプロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(3−
フェノキシプロピルビニルエーテル)、パーフルオロ
(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オ
クテン)などが挙げられる。これらの硬化部位を持つ単
量体は、1種または2種以上組み合わせて用いることが
できる。
【0026】含フッ素多元セグメント化ポリマーとして
は、例えば、式[I]: Y−[(A)n−X]m・・・・[I] で表わされるものが挙げられる。
【0027】式[I]中、Yは、ヨウ素化物(アイオダ
イド化合物)、臭素化物等のハロゲン化物からハロゲン
原子を除いた残基を示す。Aは、ポリマー鎖セグメント
を示す。nは、ポリマー鎖セグメント数を示し2または
3である。
【0028】複数(n個)のポリマー鎖セグメントAの
うちの少なくとも1種は、該ポリマー鎖セグメント中の
水素原子の全部または1部がフッ素置換されており、こ
れら複数のポリマー鎖セグメントAは、それぞれ独立
に、エラストマー性ポリマー鎖セグメントまたは非エラ
ストマー性ポリマー鎖セグメントの何れかであり、n個
のポリマー鎖セグメントAには、両者のセグメントを含
む。
【0029】Xは、ヨウ素、臭素等のハロゲン原子を示
し、mは、上記ハロゲン化物から除かれたハロゲン原子
の数に対応する数を表す。このようなポリマー鎖セグメ
ントAを形成するエラストマー性ランダムポリマー鎖セ
グメントとしては、 ビニリデンフルオライド/(ヘキサフルオロプロピレ
ンまたはペンタフルオロプロピレン)/テトラフルオロ
エチレン(モル比45〜90/5〜50/0〜35)ポ
リマー、および パーフルオロ(炭素数1〜3のアルキルビニルエーテ
ル)/テトラフルオロエチレン/ビニリデンフルオライ
ド(モル比15〜75/0〜85/0〜25)ポリマー
から選択された、分子量30000(3万)〜1200
000(120万)のポリマー鎖セグメントが挙げられ
る。
【0030】そして、非エラストマー性ランダムポリマ
ー鎖セグメントとしては、 エチレン/テトラフルオロエチレン/[ヘキサフルオ
ロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、3,3,3-トリ
フルオロプロピレン-1、2-トリフルオロメチル-3,3,3-
トリフルオロプロピレン-1またはパーフルオロ(炭素数
1〜3のアルキルビニルエーテル)](モル比35〜6
0/60〜35/1〜30)ポリマー、 ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン
(モル比0〜100/0〜100)ポリマー、および エチレン/テトラフルオロエチレン(モル比40〜6
0/40〜60)ポリマーから選択された、分子量30
00〜400000(40万)のポリマー鎖セグメント
が挙げられる。(但し、上記モル比は、何れも合計で1
00モルとする。) 上記の両セグメントの重量比(エラストマー性ランダム
ポリマー鎖セグメント/非エラストマー性ランダムポリ
マー鎖セグメント)は、通常、40〜95/5〜60
(両セグメント合計100重量部)である。
【0031】この熱可塑性エラストマーのポリマー鎖セ
グメントAの連鎖として、エラストマー性ランダムポリ
マー鎖セグメントの両側に非エラストマー性ランダムポ
リマー鎖セグメントが結合した形態をとるときが、熱可
塑性エラストマーとして、最も有用な形態となる。
【0032】その他のエラストマー性ランダムポリマー
鎖セグメントとしては、トリフルオロニトロソメタン/
テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/プ
ロピレン、ヘキサフルオロプロピレン/エチレン、トリ
フルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン、ビニリ
デンフルオライド/ペンタフルオロプロピレン、ビニル
フルオライド/ヘキサフルオロプロピレン等のコポリマ
ーが挙げられる。
【0033】また、その他の非エラストマー性ランダム
ポリマー鎖セグメントとしては、ポリスチレン等が挙げ
られる。ハロゲン化物(アイオダイド化合物)として
は、モノヨウドパーフルオロメタン、モノヨウドパーフ
ルオロエタン、モノヨウドパーフルオロプロパン、モノ
ヨウドパーフルオロブタン(例:2ーヨウドパーフルオロ
ブタン、1-ヨウドパーフルオロ(1,1-ジメチルエタ
ン))、モノヨウドパーフルオロペンタン(例:1-ヨウ
ドパーフルオロ(4-メチルブタン))、1-ヨウドパーフ
ルオロ-n-ノナン、モノヨウドパーフルオロシクロブタ
ン、2-ヨウドパーフルオロ(1-シクロブチル)エタン、
モノヨウドパーフルオロシクロヘキサン、モノヨウドト
リフルオロシクロブタン、モノヨウドジフルオロメタ
ン、モノヨウドモノフルオロメタン、2-ヨウド-1-ハイ
ドロパーフルオロエタン、3-ヨウド-1-ハイドロパーフ
ルオロプロパン、モノヨウドモノクロロジフルオロメタ
ン、モノヨウドジクロロモノフルオロメタン、2-ヨウド
-1,2-ジクロロ-1,1,2-トリフルオロエタン、4-ヨウド-
1,2-ジクロロパーフルオロブタン、5-ヨウド-1,2-ジク
ロロパーフルオロヘキサン、4-ヨウド-1,2,4-トリクロ
ロパーフルオロブタン、1-ヨウド-2,2-ジハイドロパー
フルオロプロパン、1-ヨウド-2-ハイドロパーフルオロ
プロパン、モノヨウドトリフルオロエチレン、3-ヨウド
パーフルオロプロペン-1,4-ヨウドパーフルオロペンテ
ン-1、4-ヨウド-5-クロロパフルオロペンテン-1、2-ヨ
ウドパーフルオロ(1-シクロブテニル)エタン、1,3-ジ
ヨウドパーフルオロ-n-プロパン、1,4-ジヨウドパーフ
ルオロ-n-ブタン、1,3-ジヨウド-2-クロロパーフルオロ
-n-プロパン、1,5-ジヨウド-2,4-ジクロロパーフルオロ
-n-ペンタン、1,7-ジヨウドパーフルオロ-n-オクタン、
1-ヨウドパーフルオロデカン、1,12-ジヨウドパーフル
オロドデカン、1,16-ジヨウドパーフルオロヘキサデカ
ン、1,2-ジ(ヨウドジフルオロメチル)パーフルオロシ
クロブタン、2-ヨウド-1,1,1-トリフルオロエタン、1-
ヨウド-1-ハイドロパーフルオロ(2-メチルエタン)、2
-ヨウド-2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン、2-
ヨウド-2-クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン、2-ヨウド
パーフルオロエチルパーフルオロビニルエーテル、2-ヨ
ウドパーフルオロエチルパーフルオロイソプロピルエー
テル、3-ヨウド-2-クロロパーフルオロブチルパーフル
オロメチルチオエーテル、3-ヨウド-4-クロロパーフル
オロ酪酸などが例示される。
【0034】これらのうちでは、炭素数1〜16(好ま
しくは炭素数1〜8)のパーハロゲン化炭化水素であっ
て、そのハロゲン原子の少なくとも1個(好ましくは相
互に隣接する2個の炭素原子上において1個のみ)がヨ
ウ素原子であり、他のハロゲン原子がフッ素原子または
フッ素原子と塩素原子からなるもの(ただし、塩素原子
が存在する場合、その数はフッ素原子の数よりも多いこ
とはなく、かつ1個の炭素原子上には1個を越える塩素
原子が存在することはない。)である。ただし、該ハロ
ゲン化物(アイオダイド化合物)は、その何れか2個の
隣接する炭素原子間に酸素原子(−O−)を有していて
もよく、また、−CF2H、−CF3などの置換基を有し
ていてもよい。
【0035】ラジカル発生源としては、上記末端ハロゲ
ンX(例:ヨウ素)と上記Yとの結合の解裂によってラ
ジカルを生成させうるものが用いられる。このようなラ
ジカル発生源としては、赤外〜紫外領域の光、熱、放射
線、ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
【0036】ラジカル重合開始剤としては、無機または
有機の過酸化物(例:3,5,6−トリクロロパーフロ
ロヘキサノイルパーオキサイド、過硫酸アンモニウム、
過酸化水素等)、アゾ化合物(例:アゾビスイソブチロ
ニトリル)、有機金属化合物、金属(例:Li、K、N
a、Mg、Zn、Hg、Al等)等が挙げられる。
【0037】本発明では、上記式[I]で表わされる含
フッ素系多元セグメント化ポリマー[I]のポリマー鎖
末端の少なくとも一部を、下記のような不飽和結合を有
する化合物で変性したものを、上記過酸化物架橋可能
な含フッ素エラストマーとして用いることもできる。
【0038】このような変性剤としての不飽和結合を有
する化合物としては、具体的には、例えば、アリルアル
コール、α−メチルスチレン、ジアリルフタレート、テ
トラアリルピロメリテート等が挙げられる。
【0039】本発明では、上記エチレン−プロピレン
系共重合エラストマー、あるいは過酸化物架橋可能な
含フッ素エラストマーは、過酸化物架橋可能な限り、上
記例に限定されず、例えば、これらのエラストマーに
は、上記以外の「その他のモノマー」由来の構成単位が
含まれていてもよく、またこれらのエラストマーは、上
記以外の「その他のポリマー」にて変性されていてもよ
い。エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩[B] エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩[B](成分[B])
は、下記のようなエチレン性不飽和カルボン酸と金属と
の塩であって、エチレン性不飽和カルボン酸としては、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、3−ブテン酸等の不
飽和モノカルボン酸:マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸等の不飽和ジカルボン酸:マレイン酸モノメチル、マ
レイン酸モノエチル、イタコン酸モノエチルなどの不飽
和ジカルボン酸のモノエステル:前記以外の不飽和多価
カルボン酸および少なくとも1価のフリーのカルボキシ
ル基を残存・保有する不飽和多価カルボン酸のエステル
等が挙げられる。
【0040】金属としては、上記のカルボン酸と塩を形
成し得るものであれば、特に制限されないが、具体的に
は、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、C
r、Mo、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Z
n、Cd、Hg、Al、Sn、Pb、Sb等が挙げら
れ、これらの内では、Zn、Mg、Ca、Alが好まし
く用いられる。
【0041】このようなエチレン性不飽和カルボン酸の
金属塩[B]としては、メタクリル酸の亜鉛塩、メタク
リル酸のMg塩、メタクリル酸のCa塩、メタクリル酸
のAl塩、アクリル酸の亜鉛塩、アクリル酸のMg塩が
挙げられ、メタクリル酸の亜鉛塩、アクリル酸の亜鉛塩
が好ましく用いられる。このようなエチレン性不飽和カ
ルボン酸の金属塩は、1種または2種以上組み合わせて
用いることができる。
【0042】なお、エチレン性不飽和カルボン酸と金属
とのモル比[エチレン性不飽和カルボン酸/金属]は、
1/0.5〜1/3の範囲であることが望ましい。ま
た、エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩[B]の粒子
径は、特に限定されないが、20μm以下であることが
好ましく、このような粒子径のエチレン性不飽和カルボ
ン酸の金属塩[B]を使用すると、優れた特性の加硫性
ゴム組成物が得られる。
【0043】このような粒子径のエチレン性不飽和カル
ボン酸の金属塩[B]は、特開平1-306440号公
報に記載の方法により得られる。このようなエチレン性
不飽和カルボン酸の金属塩[B]は、上記成分[A]1
00重量部に対して0〜100重量部の量で、好ましく
は5〜50重量部の量で加硫性ゴム組成物中に含まれて
いる。
【0044】なお、本発明においては、この成分[B]
は、エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩として加硫性
ゴム組成物中に含まれているが、また、加硫性ゴム組成
物中でエチレン性不飽和カルボン酸と金属(あるいは金
属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩など)とからエチ
レン性不飽和カルボン酸金属塩を形成してもよい。この
ような金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩等には、20μ
m以上の粗粒子が含まれないことが好ましい。有機過酸化物[C] 有機過酸化物[C](成分[C])としては、一般的なゴ
ムの過酸化物架橋に使用される有機過酸化物が用いられ
る。
【0045】このような有機過酸化物[C]として、具
体的には、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパー
オキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-
ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-
2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-
ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロ
ピル)ベンゼン、t-ブチルパーオキシイソプロピルカー
ボネート等を挙げることができる。これらの内では、
α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピ
ル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイドが好ましく用い
られる。
【0046】これらの有機過酸化物は、1種または2種
以上組み合わされて用いることができる。本発明におい
ては、上記[A]成分100重量部に対して、有機過酸
化物[C]は、0.2〜15重量部、好ましくは1〜1
0重量部の量で用いられる。
【0047】エチレン性不飽和含フッ素化合物類および
エチレン性不飽和オルガノシロキサン類[D] 成分[D]としては、(i) エチレン性不飽和含フッ素化
合物類と、(ii)エチレン性不飽和オルガノシロキサン類
のうちの(i)または(ii)のいずれか一方、あるいは(i)と
(ii)の両方が用いられる。
【0048】このエチレン性不飽和含フッ素化合物類お
よびエチレン性不飽和オルガノシロキサン類[D]は、
低摩擦・非粘着性を加硫物に付与する部位と加硫物製造
時に化学反応性を示す部位とを有するモノマーあるいは
マクロモノマー(マクロモノマーとは、通常、その分子
量が数百〜数万程度であり、重合性官能基を有し、モノ
マーとみなし得る化合物をいう。)であって、このよう
な成分[D]が含まれた加硫性ゴム組成物からは、強
度、低摩擦性および非粘着性に優れた加硫ゴム成形体を
製造することができる。
【0049】エチレン性不飽和含フッ素化合物類(i)
は、低摩擦・非粘着性を加硫物に付与せしめる(ポリ)
フルオロアルキル、(ポリ)フルオロアルキレン、(ポ
リ)フルオロエーテル等から選ばれる少なくとも一種類
を分子骨格中に保有している。
【0050】エチレン性不飽和オルガノシロキサン類(i
i)は、低摩擦・非粘着性を加硫物に付与せしめるジメチ
ルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、トリメチル
フルオロプロピルシロキサン等のオルガノシロキサンの
単独重合体または共重合体から誘導される。この単独重
合体または共重合体から誘導される部位には、長鎖アル
キル基、フロロアルキル基、アルキレンオキシド基等が
付加して変性されていてもよい。また、上記オルガノシ
ロキサンの単独重合体または共重合体から誘導される部
位に、アルキレンオキシド、シルフェニレン、シルエチ
レン、スチレン等の重合性モノマーを共重合させ、ある
いはポリカボネート、ナイロン、ポリウレタン等のポリ
マーを結合させて、上記オルガノシロキサンの単独重合
体または共重合体から誘導される部位は変性されていて
もよい。
【0051】上記エチレン性不飽和含フッ素化合物類
(i)およびエチレン性不飽和オルガノシロキサン類(ii)
には、化学反応性を示すビニル基、ビニリデン基、メタ
クリロキシプロピル基等のエチレン結合(C=C)を有
する基が存在している。このエチレン結合を有する基
は、エチレン性不飽和含フッ素化合物類(i)およびエチ
レン性不飽和オルガノシロキサン類(ii)の片末端あるい
は両末端に存在していてもよく、また側鎖(ブランチ)
に存在していてもよい。また、エチレン性不飽和含フッ
素化合物類(i)およびエチレン性不飽和オルガノシロキ
サン類(ii)中に存在するエチレン結合の個数は、1個以
上であれば特に限定されない。
【0052】エチレン性不飽和含フッ素化合物類(i)と
しては、 (メタ)アクリル酸と炭素数が1〜20、好ましくは
2〜15、さらに好ましくは8〜15程度の含フッ素ア
ルコールとのエステル[但し、該含フッ素アルコールに
は、炭素数1〜5程度の低級アルキル基、-OH基など
からなる分岐を有していてもよく、該アルコール中の主
鎖炭素原子は、「−SO2N−」などで置換されていて
もよく、該「−SO2N−」中の窒素原子(N)は、炭
素数1〜10程度のアルキル基からなる分岐を有してい
てもよい。]、 エチレン性二重結合を1〜5個程度含有する含フッ素
不飽和炭化水素系化合物などが挙げられる。
【0053】このようなエチレン性不飽和含フッ素化合
物類(i)の分子量は、通常、100〜1万、好ましくは
150〜5000、さらに好ましくは200ないし10
00程度である。
【0054】このようなエチレン性不飽和含フッ素化合
物類(i)として、具体的には、例えば、下記表1〜2に
示すものが挙げられ、このうち化合物番号(ニ)、
(ト)はに包含され、それ以外はに包含される。こ
のような表1〜2に示すエチレン性不飽和含フッ素化合
物類(i)の中では、上記[(メタ)アクリル酸エステ
ルと含フッ素アルコールとのエステル]が好ましく、さ
らには、化合物番号(ロ)、(ハ)、(ホ )が好まし
く用いられる。これらの含フッ素化合物類は、1種また
は2種以上組合せて用いることができる。なお、以下の
表中Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】エチレン性不飽和オルガノシロキサン類(i
i)としては、具体的には、例えば、下記表3〜6に示す
ものが挙げられ、表3〜6の中では、化合物番号
(2)、(3)、(1)が好ましく用いられる。これら
のオルガノシロキサン類は、1種または2種以上組み合
わせて用いることができる。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】このような成分[D]は、成分[A]10
0重量部に対して2〜40重量部の量で、好ましくは5
〜25重量部の量で用いられる。この成分[D]が2重
量部未満では、低摩擦、非粘着性に優れた加硫ゴム成形
体を製造し得るような加硫性ゴム組成物が得られないこ
とがあり、また、40重量部を超えると加硫性ゴム組成
物の練り加工性が低下し、得られる加硫ゴム成形体の機
械的強度が低下することがある。また、成分[D](ii)
の分子量は、通常、300〜50000好ましくは50
0〜20000であることが望ましい。
【0063】このような加硫性ゴム組成物では、加硫成
形加工する際に、有機過酸化物[C]により、該組成物
中のエチレン性不飽和カルボン酸の金属塩[B]および
成分[D](エチレン性不飽和含フッ素化合物類(i)お
よび/またはエチレン性不飽和オルガノシロキサン類(i
i))が共重合されるか、あるいは、熱可塑性エラストマ
ー[A]に、その[B]および[D]成分が単独もしく
は共重合して結合されることにより、低摩擦、非粘着性
に優れた加硫ゴム成形体が得られる。
【0064】このような加硫ゴム成形体では、成分
[D]がゴムマトリックス中に強固に化学結合により固
定されているため、この加硫ゴム成形体がパッキン等の
シール部材あるいは摺動材として使用され、摺動時の剪
断力もしくは圧縮などの応力、または熱などの外界から
の刺激を受けても成分[D]はゴムマトリックスから脱
離しにくく、また、ゴムマトリックス内での移動は制限
される。このため、本発明に係る加硫性ゴム組成物を加
硫すると、成分[D]が添加されていない従来のゴム材
料が元来もっている優れた耐熱性、耐加水分解性、機械
的強度、耐摩耗性を有し、しかも低摩擦性、非粘着性に
も優れた加硫ゴム成形体が得られるのであろうと思われ
る。
【0065】このような加硫性ゴム組成物は、上記成分
[A]、[B]、[C]および[D]を、好ましくは成
分[A]100重量部に対して、成分[B]:0〜10
0重量部、成分[C]:0.2〜15重量部、成分
[D]:2〜40重量部の量で配合し、通常のゴム混合
機(例:ロール、バンバリー、ニーダー等)により混練
することにより製造される。また、このように成分
[D]が含まれた加硫性ゴム組成物からなる加硫ゴム成
形体は非粘着性となり、成型加工時の金型離型性に優れ
ている。
【0066】このようにして得られた加硫ゴム成形体で
は、通常、その引張強度が150kgf/cm2以上、
好ましくは200kgf/cm2以上、さらに好ましく
は290kgf/cm2以上であり、摩擦係数が通常
1.3以下、好ましくは1.2以下、さらに好ましくは
1.0以下であり、耐熱温度が通常280℃以上、好ま
しくは320℃以上である。この引張強度、摩擦係数、
耐熱温度の測定法については、後述する。
【0067】なお、本発明の加硫性ゴム組成物には、上
記成分[A]〜[D]の他に、ゴム補強剤[E]および
/または架橋助剤[F]が含まれていてもよい。ゴム補
強剤[E]としては、カーボンブラック、無機系補強剤
(例:シリカ、炭酸マグネシウム、けい酸マグネシウ
ム、ハードクレー等)、有機系補強剤(例:ハイスチレ
ン樹脂、環化ゴム、クマロン・インデン樹脂、フェノー
ル・ホルムアルデヒド樹脂、変性メラミン樹脂等のアミ
ノ樹脂、ビニルトルエン共重合樹脂、リグニン等)が挙
げられ、これらの内では、カーボンブラックが好ましく
用いられる。このようなゴム補強剤は、1種または2種
以上組み合わせて用いることができる。このようなゴム
補強剤[E]は、成分[A]100重量部に対して、通
常100重量部以下の量で、さらに好ましくは0〜70
重量部の量で用いられる。
【0068】架橋助剤[F]としては、エチレン性二重
結合(C=C)を2個以上有するものが用いられ、具体
的には、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリア
リルシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレ
ート、1,3-ブチレンジメタクリレート、1,6-ヘキ
サンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコー
ルジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリ
レート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が
挙げられ、トリアリルイソシアヌレートが好ましく用い
られる。このような架橋助剤は、1種または2種以上組
み合わせて用いることができる。
【0069】このような架橋助剤[F]は、成分[A]
100重量部に対して、通常30重量部以下の量で、さ
らに好ましくは0〜15重量部の量で用いられる。な
お、本発明の加硫性ゴム組成物には、上記成分[A]〜
[D]の他に、ポリエチレングリコールモノメタクリレ
ート等の他のモノマーが含まれていてもよい。 また、
本発明の加硫性ゴム組成物には、必要に応じて、ゴム工
業で通常使用される種々の薬剤例えば、可塑剤、安定
剤、加工助剤、固体潤滑剤(例:PTFEオリゴマー)
の他、顔料、充填剤等が含まれていてもよい。
【0070】充填剤としては、炭酸カルシウム、けい酸
アルミニウム、タルク、けい藻土、マイカ、アルミナホ
ワイト、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リトポン、
硫酸カルシウム、二硫化モリブリデン、グラファイト等
の無機系充填剤;再生ゴム、ゴム粉末、エボナイト粉
末、熱硬化性樹脂中空球、サラン中空球、セラミック、
木粉、コルク粉末、ポリビニルアルコール繊維、セルロ
ースパウダー、紙、布等の有機系充填剤;が挙げられ
る。
【0071】
【発明の効果】本発明に係る加硫ゴム成形体は、通常の
カーボンブラック配合系あるいはメタクリル酸金属塩配
合系のゴム材料(加硫物)が本来有する引張強さなどの
機械的強度、伸びなどの特性を保持しつつ、長期的に安
定したシール特性を有し、低摩擦性、非粘着性、耐熱
性、耐加水分解性などに優れている。
【0072】本発明に係る加硫性ゴム組成物によれば、
通常のカーボンブラック配合系あるいはメタクリル酸金
属塩配合系のゴム材料(加硫物)が本来有する機械的強
度を保持しつつ、長期的に安定したシール特性を有し、
低摩擦性、非粘着性、耐熱性、耐加水分解性に優れた加
硫ゴム成形体が得られる。
【0073】
【実施例】以下、本発明について、実施例に基づいてさ
らに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に
よりなんら制限されるものではない。なお、表中、各成
分単位の配合量は、「重量部」表示である。
【0074】
【実施例1〜2、比較例1〜4】表7〜8に示すような
組成の加硫性ゴム組成物を調製した。この加硫性ゴム組
成物を、表7〜8に示す条件下に加硫して、引張強度、
伸び、硬さ等の加硫物性、粘着性、摩擦係数、耐熱性
(耐熱強度)、耐加水分解性を測定した。
【0075】結果を表7〜8に示す。なお、表中で使用
した原料物性、測定条件等を以下に示す。 (1)エスプレン501A:住友化学工業(株)製,エ
チレン−プロピレン系3元共重合ゴム:エチレン/プロ
ピレン/非共役ジエン(エチリデンノルボルネン)共重
合物、比重0.86。 (2)ダイエルG1001:ダイキン工業(株)製,パ
ーオキサイド加硫可能な3元系フッ素ゴム[成分:(イ)
フッ化ビニリデン/(ロ)ヘキサフルオロプロピレン/(ハ)
テトラフルオロエチレン共重合物、比重1.99]。 (3)ノンフレックスRD:精工化学社製,2,2,4-トリ
メチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物。 (4)亜鉛華1号:堺化学工業社製,亜鉛華。 (5)ルナックS−20:花王石鹸社製,ステアリン
酸。 (6)シースト116:東海電極製造(株)製,カーボ
ンブラック(high abrasion furnace black)。 (7)ハイクロスM:精工化学社製,多官能性メタクリ
レートモノマー。 (8)Perkadox14/40:日本油脂(株)製
の有機過酸化物系加硫剤[α,α’-ビス(t-ブチルパ
ーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン,純度40%]。 (9)Zn(MAA)2:浅田化学(株)製,メタクリ
ル酸亜鉛。 (10)フロラードFx13:住友スリーエム(株)
製,パーフロロアルキルアクリレート[2-(Nエチル
パーフロロオクタスルホアミド)エチルアクリレー
ト]。 (11)タイク:日本化成(株)製,トリアリルイソシ
アヌレート。 (12)サーモブラックMT:キャンカーブ社製,カー
ボンブラック(medium thermal furnace black)。 (13)パーヘキサ25B:日本油脂社製,2,5-ジメチ
ル-2,5-ジ(第3ブチルペルオキシ)ヘキサン。 (14)カルナバワックス:加藤洋行社製。 (15)加硫物性:JIS K 6301に準拠して測
定。 (16)粘着力:レオロジー社製のタックテスターによ
り、相手材としてSUS41を荷重1.0kgf/cm
2、速度300mm/分で2秒間圧締した時の粘着力を
測定した。 (17)摩擦係数:スラスト式摩擦試験機を用いて、図
1に概念的に示すような方法で被測定物(加硫ゴム成形
体)の摩擦係数を測定した。すなわち、被測定物(各加
硫ゴム成形体)1の上部に付番3で示すリング状の金属
SS41をセットし、この加硫ゴム成形体1の下方から
上方のリング状金属3に向かって荷重2kgf/cm2
を加えた状態で、速度0.1m/秒の条件のもとにこの
加硫ゴム成形体1上の金属リング3を回転させることに
より、被測定物の摩擦係数を測定した。
【0076】摩擦係数測定条件、摩擦係数の算出法を以
下に示す。 [摩擦係数測定条件] 機種:スラスト式摩擦摩耗試験機 TT100C型(三
井造船(株)製) ゴムシート試料サイズ:縦横共に40mm×厚さ2mm 金属リングサイズ:φ25.6×φ20×8L(接触面
積:2.0×10-42、摺動半径:11.457m
m) 金属リング材質:SS41 Rmax2μm程度 面圧:0.196MPa 速度:0.1m/s 摺動距離:5km(時間:13.889hr) 雰囲気:温度23℃±2、相対湿度50%±10 金属リング前処理:摺動面を試験前にカーボンランダム
(GC1200KIRAIT KENMAZAI)を用
いて、定盤上の新聞紙上で仕上げる。 [摩擦係数の算出法]単位時間に得られる摩擦係数の値
は、摺動時間とともに経時変化するため、摩擦係数の平
均値として求める。
【0077】すなわち、摩擦試験を行うと、例えば、図
2に示すようなデータが得られる。この図2中、横軸は
摺動時間(hr)を示し、縦軸は摩擦係数(μ)を示
す。この図2に示すように、得られたデータ(図2)
は、摺動時間に伴う摩擦係数変動面積(図2中、符号A
で示す黒い帯状部分)となって現れる。
【0078】このため、摩擦係数の平均値の算出方法
は、得られたデータ(図2)の帯状部分(A)の1/2
幅(帯の上下の面積が同一)になるような位置に、摺動
時間軸(横軸)に平行な線(B)を引き、このときの摩
擦係数を摩擦係数平均値として読み取る。このように、
本発明では、摩擦係数の値は、摩擦係数の平均値で示
す。 (18)耐熱温度(耐熱性):レオロジー社製の「レオ
スペクトラーDVE−V14」を用いて温度依存性で周
波数11Hz、変位振幅4μm、昇温速度10℃/分の
条件下に動的粘弾性を測定した。ゴム状領域を維持し得
る最高温度領域を耐熱性(耐熱温度)の指標として用い
た。本発明の実施例において耐熱性を決定するための指
標として用いた動的粘弾性の測定データを図3に示す。
図3中、ゴム状領域を維持し得る最高温度領域は符号
「A」で示されている。 (19)耐加水分解性:耐熱水試験を80℃×5000
時間行った後に、引張強度を測定した。充分な強度を有
していたものを白丸(○)で示し、強度が不十分であっ
たものを(×)で示した。
【0079】なお、表中の各成分の量は、何れも重量部
表示である。
【0080】
【表7】
【0081】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例で用いられる摩擦摩耗
試験機(松原式摩擦摩耗試験機の原理説明図である。
【図2】図2は、摩擦摩耗試験機により測定された摩擦
試験データの例である。
【図3】図3は、本発明の実施例において耐熱性を決定
するための指標として用いた動的粘弾性の測定データを
示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・・被測定物(各加硫ゴム成形体) 3・・・・リング状の金属(SS41)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[A]エチレン−プロピレン系共重合体エ
    ラストマーと、過酸化物架橋可能な含フッ素エラストマ
    ーのうちから選ばれる1種または2種の熱可塑性エラス
    トマー、 [B]エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩、 [C]有機過酸化物、 [D](i) エチレン性不飽和含フッ素化合物類、および
    /または、(ii)エチレン性不飽和オルガノシロキサン
    類、からなることを特徴とする加硫性ゴム組成物。
  2. 【請求項2】ゴム補強剤[E]および/または架橋助剤
    [F]がさらに含まれていることを特徴とする請求項1
    に記載の加硫性ゴム組成物。
  3. 【請求項3】上記成分[A]100重量部に対して、成
    分[B]:0〜100重量部、成分[C]:0.2〜1
    5重量部、成分[D]:2〜40重量部からなることを
    特徴とする請求項1に記載の加硫性ゴム組成物。
  4. 【請求項4】上記成分[A]100重量部に対して、成
    分[B]:0〜100重量部、成分[C]:0.2〜1
    5重量部、成分[D]:2〜40重量部、ゴム補強剤
    [E]:100重量部以下、架橋助剤[F]:30重量
    部以下からなることを特徴とする請求項2に記載の加硫
    性ゴム組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4の何れかに記載の加硫性ゴム
    組成物を加硫してなる加硫ゴム成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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