JPH09246652A - 半導体レーザ装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ装置およびその製造方法

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JPH09246652A
JPH09246652A JP8090896A JP8090896A JPH09246652A JP H09246652 A JPH09246652 A JP H09246652A JP 8090896 A JP8090896 A JP 8090896A JP 8090896 A JP8090896 A JP 8090896A JP H09246652 A JPH09246652 A JP H09246652A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 素子抵抗を低減でき、かつ、発振閾電流の増
加を有効に防止することの可能な面発光型の半導体レー
ザ装置およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 この半導体レーザ装置は、n型GaAs
基板101上に、n型半導体多層膜反射鏡102,n型
AlGaAsクラッド層103,InGaAs歪量子井
戸活性層104,p型AlGaAsクラッド層105,
p型GaAsコンタクト層106,誘電体多層膜反射鏡
107が順次に形成され、また、誘電体多層膜反射鏡1
07で覆われていない領域のn型クラッド層103の直
下に、プロトンイオン注入により半絶縁領域108が形
成されており、さらに、誘電体多層膜反射鏡107で覆
われていないp型コンタクト層106表面から量子井戸
活性層104まで、p型不純物(例えばZn)が注入,拡
散され、p型不純物拡散領域109が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信,光情報処
理などに利用される半導体レーザ装置に関し、特に面発
光型の半導体レーザ装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、垂直共振器型の面発光半導体レー
ザは、端面出射型半導体レーザと異なり、動的単一波長
性に優れており、低閾電流動作および2次元集積化が可
能である等の特徴を有しており、近年研究開発が活発に
行なわれている。
【0003】図7,図8は特開平5−37074号に示
されている従来の垂直共振器型の面発光半導体レーザの
構造例を示す図である。なお、図7は半導体レーザの断
面図、図8は図7の半導体レーザの活性層の斜視図であ
る。
【0004】図7,図8を参照すると、この半導体レー
ザ装置は、n型GaAs基板1上に、n型に不純物ドー
ピングされたGaAsとAlAsの多層膜からなる反射
ミラー層2,n型AlGaAs閉じ込め層3,InGa
Asの活性細線9とInAlAsの閉じ込め細線10か
らなる量子細線周期構造をアンドープAlGaAsの閉
じ込め層11で挾んだ活性層4,p型AlGaAs閉じ
込め層5,p型に不純物ドーピングされたGaAsとA
lAsの多層膜からなる反射ミラー層6,AuZn金属
電極7を順次に形成し、これら全ての層を形成した後
に、n型多層膜反射ミラー層2までメサエッチングを行
ない、n型多層膜反射ミラー層2上にAuGeNi金属
電極8を形成したものとなっている。
【0005】ここで、反射ミラー層(多層膜ミラー層)
2,6は、1/4波長厚の層より構成されており、10
〜20層程度の層数で99%以上の反射率を得ることが
できる。これにより、p型反射ミラー層6とn型反射ミ
ラー層2とによって共振器構造が形成され、その共振波
長は約950nmであり、基板1側より発光(面発光)さ
せることができる。
【0006】図7,図8の面発光半導体レーザでは、半
導体多層膜の反射ミラー層2,6を通して電流を流す構
造になっている。しかしながら、半導体多層膜の反射ミ
ラー層2,6は、禁制帯幅の異なる2種類の半導体層を
10〜20層積層して形成しているため、各界面に禁制
帯幅差によるエネルギー障壁が生じてしまう。従って、
特に有効質量が大きく移動度の小さい正孔(ホール)を注
入するp型多層膜反射ミラー層6では、直列抵抗が大き
くなり、このため、素子の動作電圧が大きくなったり、
発熱による素子劣化が生じるという問題点があった。ま
た、p側電極7はメサの頂上部に形成されているため、
レーザの閾電流を低減する目的でメサ面積を小さくした
場合に、電極と半導体層の接触面積が小さくなり、接触
抵抗が大きくなるという問題もある。
【0007】これに対し、特開平6−196804号に
は、素子の接触抵抗を低減させた面発光半導体レーザ装
置が示されている。図9は特開平6−196804号に
開示の半導体レーザ装置の断面図であり、この半導体レ
ーザ装置は、n型GaAs基板9上に、n型AlGaA
sとn型AlAsを30周期積層したn型半導体多層膜
反射鏡10,n型AlGaAsクラッド層11,p型G
aAs活性層12,p型AlGaAsクラッド層13,
p型AlGaAsとAlAsからなるp型半導体多層膜
反射鏡14,p型AlGaAsコンタクト層15が順次
に形成されており、p型半導体多層膜反射鏡14には、
中央部と上部を除いてH+イオンが注入された電流ブロ
ック部16が形成されている。なお、符号17はコンタ
クト層上面にレーザ出射部を除いて形成したp側オーミ
ック電極であり、符号19は基板下面全域に形成したn
側オーミック電極である。
【0008】図9の面発光半導体レーザは、図7,図8
の面発光半導体レーザと異なり、メサ構造ではなくプレ
ーナ構造となっている。これにより、p側電極17を、
レーザ出射部を除いて全面に形成することができ、電極
と半導体との接触抵抗を低減できる。しかしながら、図
9の半導体レーザ装置も、p型半導体多層膜反射鏡14
を通して電流注入を行なっている点では、図7,図8の
半導体レーザ装置と同じであり、p型半導体多層膜反射
鏡を通して電流注入を行なうことから、直列抵抗は低減
されない。
【0009】また、図10は特開平6−29612号に
示されている面発光半導体レーザの断面図である。図1
0の半導体レーザ装置は、n型GaAs基板19上に、
GaAsとAlGaAsとを交互に積層させたn型単結
晶ブラッグ鏡20,第1のエピタキシャル層21,第2
のエピタキシャル層22,活性領域,第2のエピタキシ
ャル層22が形成されている。
【0010】ここで、活性領域は、複数の量子井戸23
からなり、中間層24によって互いに分離されている。
また、上部の第2のエピタキシャル層22上には、円形
または長方形の保護マスク25が形成されており、マス
クで覆われていないデバイス表面からp型不純物をドー
ピング,拡散させ、不純物が拡散された活性領域26
は、各層を構成する元素の相互拡散またはマイグレーシ
ョンによって組成が均質化されている。なお、符号27
はレーザ出射部を除いて形成された上部金属オーミック
接点であり、また、符号28は下部金属オーミック接点
であり、これらを形成した後、誘電体多層膜からなる半
透明反射鏡29を形成し、共振器内に光子を閉じ込め、
レーザ光線を外部に取り出すようになっている。
【0011】図10のレーザ構造では、電流は、p型半
導体多層膜を通さずに、半透明反射鏡29の周囲のp型
不純物拡散により均質化された領域26から注入され
る。従って、エネルギー障壁による直列抵抗の増加を生
じさせず、また、電極と半導体との接触面積も大きくで
きるため、接触抵抗を低減できる。また、不純物拡散に
より均質化した化合物の禁制帯幅は量子井戸層の禁制帯
幅よりも大きくなっているため、注入されたキャリアを
均質化されていない活性領域内に閉じ込めることができ
る。
【0012】また、図11は特開平5−235473号
に示されている面発光レーザの構成図である。図11の
面発光レーザは、n型GaAs基板30上に、n型半導
体多層膜からなる下部ミラー31と、活性層を含むキャ
ビティ領域32と、半導体多層膜からなる上部ミラー3
5とを有している。
【0013】ここで、上部ミラー35は凸部を有する形
状をなし、上部ミラー35の凸部とキャビティ領域32
との間には、上部ミラー最下層33と、p型電流注入層
34とが形成されている。また、この凸部の周辺部でそ
の層厚方向の活性層近傍には、半絶縁膜領域36が形成
され、また、上部ミラー35の凸部の周辺部には、電流
注入用の電極37が形成されている。
【0014】図11の半導体レーザにおいても、電流は
p型半導体多層膜を通さずに活性層に注入されるため、
エネルギー障壁による直列抵抗の増加が生じない。ま
た、電極と半導体との接触面積も大きくできるため、接
触抵抗を低減できる。そして、活性層近傍に形成した半
絶縁領域36によって、電流を上部ミラー35凸部の下
方に狭窄することができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図10の面
発光レーザでは、注入されたキャリアは、均質化されて
いる活性領域内に閉じ込められるが、下部の第2のエピ
タキシャル層22にp型不純物が拡散されているため、
p側電極27の下方にpn接合領域が拡がっている。そ
のため、特に注入キャリア密度の高い面発光レーザにお
いては、この界面を通って流れる漏れ電流により発振閾
電流が増大してしまうという問題があった。
【0016】一方、図11の面発光レーザでは、半絶縁
領域36によって電流狭窄構造を形成しているが、上部
ミラー35の凸部下方の活性層に注入されたキャリアが
隣接した半絶縁領域36の活性層に拡散すると、イオン
注入によって誘起された結晶欠陥を通じて非発光再結合
してしまう。また、発光再結合した成分も、キャビティ
領域の外にあるため、レーザ発振に寄与しない。従っ
て、余分なキャリアが注入されることになり、発振閾電
流を増加させてしまうという問題があった。
【0017】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたものであり、素子抵抗を低減でき、かつ、発振閾
電流の増加を有効に防止することの可能な面発光型の半
導体レーザ装置およびその製造方法を提供することを目
的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、n型半導体基板上に、n型
半導体多層膜反射鏡,n型クラッド層,量子井戸活性
層,p型クラッド層,p型コンタクト層が形成され、ま
た、p型コンタクト層上には、柱状の誘電体多層膜反射
鏡が形成されており、前記誘電体多層膜反射鏡で覆われ
ていない領域のn型クラッド層直下には、半絶縁領域が
設けられており、また、前記誘電体多層膜反射鏡で覆わ
れていないp型コンタクト層表面から量子井戸活性層ま
での領域は、p型不純物が拡散されて無秩序化されたp
型不純物拡散領域となっており、また、p型不純物が拡
散されたp型コンタクト層上と基板裏面とには、それぞ
れオーミック電極が形成され、基板に対して垂直方向に
レーザ発振するようになっていることを特徴としてい
る。
【0019】また、請求項2記載の発明は、n型半導体
基板上に、n型半導体多層膜反射鏡,n型クラッド層,
量子井戸活性層,p型クラッド層,p型コンタクト層が
形成され、また、p型コンタクト層上には、柱状のアン
ドープ半導体多層膜反射鏡が形成されており、前記アン
ドープ半導体多層膜反射鏡で覆われていない領域のn型
クラッド層直下には、半絶縁領域が設けられ、また、前
記アンドープ半導体多層膜反射鏡で覆われていないp型
コンタクト層表面から量子井戸活性層までの領域は、p
型不純物が拡散されて無秩序化されたp型不純物拡散領
域となっており、また、p型不純物が拡散されたp型コ
ンタクト層上と基板裏面とには、それぞれオーミック電
極が形成され、基板に対して垂直方向にレーザ発振する
ようになっていることを特徴としている。
【0020】また、請求項3記載の発明は、n型半導体
基板上に、n型半導体多層膜反射鏡,n型クラッド層,
禁制帯幅が基板よりも狭い量子井戸活性層,p型クラッ
ド層,p型コンタクト層が形成され、また、p型コンタ
クト層上には、柱状の多層膜反射鏡が形成されており、
前記多層膜反射鏡で覆われていない領域のn型クラッド
層直下には、半絶縁領域が設けられ、また、前記多層膜
反射鏡で覆われていないp型コンタクト層表面から量子
井戸活性層までの領域は、p型不純物が拡散されて無秩
序化されたp型不純物拡散領域となっており、基板表側
の全面には、p側オーミック電極が形成され、基板裏面
には、レーザ光出射部を除いてn側オーミック電極が形
成されて、基板に対して垂直方向にレーザ発振するよう
になっていることを特徴としている。
【0021】また、請求項4記載の発明は、n型半導体
基板上に、n型半導体多層膜反射鏡,n型クラッド層,
量子井戸活性層,p型クラッド層,p型コンタクト層,
多層膜反射鏡を順次に積層する工程と、多層膜反射鏡上
に所定形状のマスクを形成してp型コンタクト層上まで
多層膜反射鏡を柱状にエッチング形成する工程と、前記
エッチング工程のマスクを用いてn型クラッド層直下に
プロトンイオンを注入する工程と、前記エッチング工程
のマスクを用いてp型コンタクト層表面から量子井戸活
性層までp型不純物を注入,拡散する工程と、p型不純
物が拡散されたp型コンタクト層上と基板裏面とに、そ
れぞれオーミック電極を形成する工程とを有しているこ
とを特徴としている。
【0022】また、請求項5記載の発明は、n型半導体
基板上に、n型半導体多層膜反射鏡,n型クラッド層,
量子井戸活性層,p型クラッド層,p型コンタクト層,
多層膜反射鏡を順次に積層する工程と、p型コンタクト
層上まで多層膜反射鏡を柱状にエッチング形成する工程
と、前記エッチング工程のマスクを用いてn型クラッド
層直下にプロトンイオンを注入する工程と、前記エッチ
ング工程のマスクを用いてp型コンタクト層表面から量
子井戸活性層までp型不純物を注入,拡散する工程と、
自己整合的に多層膜反射鏡の頂上部を除いて基板表面に
p側オーミック電極を形成する工程と、基板裏面にn側
オーミック電極を形成する工程とを有していることを特
徴としている。
【0023】請求項1乃至請求項3記載の発明では、電
流は上部の多層膜反射鏡周辺のp型不純物を拡散したp
型コンタクト層から注入されるため、直列抵抗および接
触抵抗が増加しない。これにより、素子の動作電圧を低
減し発熱を抑制できるため、素子劣化を防ぐことができ
る。また、活性層下側にあるn型半導体多層膜反射鏡の
上部多層膜反射鏡に覆われていない領域が、半絶縁領域
となっていることにより、電流を、上部の多層膜反射鏡
の真下に集中させることができる。
【0024】さらに、上部の多層膜反射鏡で覆われてい
ないp型コンタクト層から活性層領域までp型不純物が
注入,拡散されていることにより、プロトンイオン注入
によってキャリア濃度が低下したp型コンタクト層のキ
ャリア濃度を回復し、p側オーミック電極との接触抵抗
が高くならないようにしている。また、p型不純物が拡
散された量子井戸活性層が無秩序化されていることによ
り、禁制帯幅が量子井戸活性層よりも大きくなってい
る。そのため、キャリアを上部の多層膜反射鏡の真下に
閉じ込めることができて、発光閾電流を低減することが
できる。
【0025】特に、請求項2記載の発明では、上部の多
層膜反射鏡が、誘電体多層膜ではなく半導体多層膜反射
鏡となっているため、上部の多層膜反射鏡を別に積層す
る工程が不要となり、1回の半導体結晶成長で上部の多
層膜反射鏡までを形成でき、素子作製工程を簡略化する
ことができる。また、この場合、上部の半導体多層膜反
射鏡は電流通路として用いる必要がないため、アンドー
プで形成でき、これにより、半導体多層膜反射鏡中にお
ける光の自由キャリア吸収を低減でき、半導体多層膜反
射鏡の反射率と透過率の低下を防ぐことができる。従っ
て、発光閾電流を低減し、外部微分量子効率を向上させ
ることができる。
【0026】また、請求項3記載の発明では、量子井戸
活性層の禁制帯幅が基板の禁制帯幅よりも小さくなって
いることにより、レーザ光が基板で吸収されないため、
レーザ光を基板裏面から取り出すことが可能となる。ま
た、これに伴い、p側オーミック電極はパターニングす
る必要がなく、表面全面に形成でき、p側オーミック電
極を反射鏡の1部として用いることができる。また、請
求項3の半導体レーザ装置では、これをジャンクション
ダウン方式で実装することができるため、放熱特性に優
れ、素子の信頼性を向上させることができる。
【0027】また、請求項4記載の発明では、p型コン
タクト層上まで多層膜反射鏡を柱状にエッチング形成す
るマスクを用いて、n型クラッド層直下にプロトンイオ
ンを注入する工程と、p型コンタクト層表面から量子井
戸活性層を無秩序化するp型不純物を注入,拡散する工
程を行なっているため、フォトリソグラフィー法による
マスク形成の回数を低減でき、製造が容易になる。ま
た、光の共振器構造と電流狭窄構造とキャリア閉じ込め
構造とを同一のマスクで形成するため、マスクパターニ
ングずれによる素子特性のばらつきを招くことがなく、
歩留りを向上させることができる。
【0028】また、請求項5記載の発明では、p側オー
ミック電極のパターン形成をセルフアラインプロセスで
多層膜反射鏡の頂上部を除いた基板表面に形成すること
ができ、従って、請求項1,請求項2記載の半導体レー
ザ装置を、1回の結晶成長と1回のフォトリソグラフィ
ー工程で形成することができて、素子製造をさらに容易
にすることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は本発明に係る半導体レーザ装
置(面発光型半導体レーザ)の構成例を示す図である。図
1を参照すると、この半導体レーザ装置は、n型GaA
s基板101上に、n型半導体多層膜反射鏡102,n
型AlGaAsクラッド層103,InGaAs歪量子
井戸活性層104,p型AlGaAsクラッド層10
5,p型GaAsコンタクト層106,誘電体多層膜反
射鏡107が順次に形成されている。
【0030】ここで、n型半導体多層膜反射鏡102
は、n型に不純物ドーピングされたAlAsとGaAs
をそれぞれ厚さλ/(4n)で交互に20周期程度積層し
たものとなっている(λ:発振波長,n:各層の屈折
率)。また、n型クラッド層103と量子井戸活性層1
04とp型クラッド層105の合計層厚は、λ/2の光
学的距離の自然数倍となるように設定されている。ま
た、p型コンタクト層106の厚さは、λ/(4n)に設
定されている。また、誘電体多層膜反射鏡107は、例
えば円柱状の形状をしており、SiO2とTiO2をλ/
(4n)の厚さで交互に積層したものとなっている。これ
により、共振器の定在波条件を損なわずに、活性層10
4を定在波の腹の位置に設定することができる。
【0031】また、図1の構成例では、誘電体多層膜反
射鏡107で覆われていない領域のn型クラッド層10
3の直下に、プロトンイオン注入により半絶縁領域10
8が形成されており、さらに、誘電体多層膜反射鏡10
7で覆われていないp型コンタクト層106表面から量
子井戸活性層104まで、p型不純物(例えばZn)が注
入,拡散され、p型不純物拡散領域109が形成されて
いる。p型不純物(例えばZn)が拡散された量子井戸活
性層,すなわちp型不純物拡散領域109は、構成元素
の相互拡散により無秩序化されており、このように無秩
序化された量子井戸活性層すなわち不純物拡散領域10
9の禁制帯幅は、量子井戸活性層104の禁制帯幅より
も大きくなっている。
【0032】また、p型不純物(Zn)が拡散されたp型
コンタクト層106上には、AuZn/Auからなるp
側オーミック電極110が形成され、基板101の裏面
には、AuGe/Ni/Auからなるn側オーミック電
極111が形成されている。
【0033】図2は図1の半導体レーザ装置(面発光半
導体レーザ)の製造工程例を示す図である。図2を参照
すると、最初に、n型GaAs基板101上に、n型半
導体多層膜反射鏡102,n型AlGaAsクラッド層
103,InGaAs歪量子井戸活性層104,p型A
lGaAsクラッド層105,p型GaAsコンタクト
層106を順次に結晶成長させる(図2(a))。なお、結
晶成長方法としては、MBE(molecular beam epitaxy)
法やMOCVD(metal organic chemical vapourdeposi
tion)法などが用いられる。
【0034】次に、p型GaAsコンタクト層106上
に誘電体多層反射鏡107を全面に積層して形成する
(図2(b))。誘電体多層反射鏡107は、例えば、膜厚
を光学的にモニターしながら電子ビーム蒸着法で作製す
ることができる。
【0035】このようにして誘電体多層膜反射鏡107
を形成した後、誘電体多層膜反射鏡107上に、フォト
リソグラフィー技術により直径数μmの円形のレジスト
201を形成する。そして、RIE(reactive ion etch
ing)法により、円形のレジスト201をマスクとして誘
電体多層膜107をp型コンタクト層106上面までエ
ッチングする(図2(c))。これにより、円柱状の誘電体
多層膜反射鏡107を形成できる。なお、マスクの形状
は、必ずしも円形である必要はなく長方形等でも良い。
長方形のマスクが用いられる場合には、誘電体多層膜反
射鏡107は、角柱形状に形成できる。
【0036】しかる後、レジスト201および誘電体多
層膜107をマスクとしてプロトンイオンを注入する。
このとき、打ち込む加速電圧を制御することにより、半
絶縁領域108をn型クラッド層103直下のn型半導
体多層膜反射鏡102中に形成する(図2(d))。
【0037】さらに、レジスト201および誘電体多層
膜107をマスクとして、p型不純物であるZnイオン
を活性層104近傍まで注入する。その後、ランプアニ
ールにより、p型不純物(Zn)を拡散させ、p型不純物
が拡散された量子井戸活性層104の領域,すなわちp
型不純物拡散領域109を無秩序化する(図2(e))。
【0038】最後に、レジストマスク201を除去し、
p型コンタクト層106上にp側電極110を形成し、
基板101の裏面にn側電極111を形成する(図2
(f))。なお、p側電極110は、レジストマスク20
1よりも1回り大きい円形マスクを用いたリフトオフ法
により、誘電体多層膜反射鏡107とその周りを除いて
形成される。
【0039】図1の面発光型半導体レーザでは、n型半
導体多層膜反射鏡102と誘電体多層膜反射鏡107と
によって、共振器が形成され、レーザ光は誘電体多層膜
反射鏡107側から取り出すようになっている。この
際、共振器内にあるp型GaAsコンタクト層106
は、層厚がλ/(4n)に設定され、多層膜反射鏡107
の一部となっており、このp型GaAsコンタクト層1
06の禁制帯幅は、InGaAs歪量子井戸活性層10
4の禁制帯幅よりも大きいため、共振器内のp型GaA
sコンタクト層106中での光の吸収損失はない。
【0040】また、図1の面発光型半導体レーザでは、
電流は、誘電体多層膜反射鏡107周辺のp型コンタク
ト層106から注入され、従って、キャリア(正孔(ホー
ル))は、半導体多層膜反射鏡を通らないため、直列抵抗
は増加しない。すなわち、直列抵抗を低減できる。ま
た、p側電極110とp型コンタクト層106との接触
面積を大きくとることが可能であるため、接触抵抗を低
減することもできる。
【0041】また、図1の面発光半導体レーザでは、誘
電体多層膜反射鏡107で覆われていないn型クラッド
層103直下のn型半導体多層膜反射鏡102の領域に
は、半絶縁領域108が形成されていることによって、
p型コンタクト層106から注入された電流を、誘電体
多層膜反射鏡107の真下に集中させることができる。
【0042】さらに、図1の面発光半導体レーザでは、
誘電体多層膜反射鏡107で覆われていないp型コンタ
クト層106から活性領域まで、p型不純物であるZn
が注入,拡散されているので、プロトンイオン注入によ
ってキャリア濃度が低下したp型コンタクト層106の
キャリア濃度を回復し、p側オーミック電極110との
接触抵抗が高くならないようにしている。また、p型不
純物(Zn)が拡散されて無秩序化された量子井戸活性層
の領域,すなわちp型不純物拡散領域109は、無秩序
化していない量子井戸活性層104よりも禁制帯幅が大
きくなるため、キャリアを、誘電体多層膜反射鏡107
の真下に閉じ込めることができる。従って、発振閾電流
の低減が図れる。
【0043】また、図2に示した製造工程例によれば、
誘電体多層膜反射鏡107を所定形状にエッチング形成
した後に、レジストマスク201とエッチングされた誘
電体多層膜をマスクにして、プロトンイオンとp型不純
物(Zn)イオンの注入を行なうので、フォトリソグラフ
ィ法によるマスク形成の回数を低減でき、製造が容易に
なる。さらに、光の共振器構造と電流狭窄構造とキャリ
ア閉じ込め構造を同一のマスクで形成しているため、マ
スクパターニングずれによる素子特性のばらつきを生じ
させずに済む。
【0044】図3は本発明に係る半導体レーザ装置(面
発光型半導体レーザ)の他の構成例を示す図である。図
3を参照すると、この半導体レーザ装置においても、図
1の半導体レーザ装置と同様に、n型GaAs基板10
1上に、n型半導体多層膜反射鏡102,n型AlGa
Asクラッド層103,InGaAs歪量子井戸活性層
104,p型AlGaAsクラッド層105,p型Ga
Asコンタクト層106が順次に形成されている。
【0045】ところで、図3の半導体レーザ装置では、
p型コンタクト層106上には、例えば円柱状に形成さ
れたAlGaInPエッチングストップ層301と、ア
ンドープ半導体多層膜反射鏡302とが順次に積層され
ている。ここで、AlGaInPエッチングストップ層
301の層厚は、λ/(4n)に設定され、また、アンド
ープ半導体多層膜反射鏡302は、AlAsとGaAs
をλ/(4n)の厚さで交互に積層して形成されている。
【0046】また、図3の半導体レーザ装置では、アン
ドープ半導体多層膜反射鏡302で覆われていないn型
クラッド層103直下の領域に、プロトンイオン注入に
より半絶縁領域108が形成されており、さらに、アン
ドープ半導体多層膜反射鏡302で覆われていないp型
コンタクト層106表面から量子井戸活性層104ま
で、p型不純物(例えばZn)が注入,拡散され、p型不
純物拡散領域109が形成されている。
【0047】また、基板表面には、レーザ光出射部であ
るアンドープ半導体多層膜反射鏡302の頂上部を除い
てp側オーミック電極110が形成されており、また、
基板101の裏面には、n側オーミック電極111が形
成されている。
【0048】図4,図5は図3の半導体レーザ装置(面
発光半導体レーザ)の製造工程例を示す図である。図
4,図5を参照すると、最初に、MBE法またはMOC
VD法により、n型GaAs基板101上に、n型半導
体多層膜反射鏡102,n型AlGaAsクラッド層1
03,InGaAs歪量子井戸活性層104,p型Al
GaAsクラッド層105,p型GaAsコンタクト層
106,AlGaInPエッチングストップ層301,
アンドープ半導体多層膜反射鏡302を1回の結晶成長
で順次に形成する(図4(a))。
【0049】次に、アンドープ半導体多層膜反射鏡30
2上に、Si34層401を形成する。そして、フォト
リソグラフィー技術により形成した直径数μmの円形の
レジスト201をマスクとして、Si34層401をR
IE法によりドライエッチングする。さらに、Si34
層401をマスクとしてアンドープ半導体多層膜反射鏡
302をAlGaInPエッチングストップ層301ま
でドライエッチングする(図4(b))。
【0050】この際、エッチング方法として、例えばE
CR−RIBE(electron cyclotron resonance - reac
tive ion beam etching)法を用いることにより、ほぼ垂
直なエッチング形状が得られ、円柱状の半導体多層膜反
射鏡302を形成できる。ここで、AlGaInP結晶
はAlAsまたはGaAsよりもドライエッチング速度
が遅いので、AlGaInP層301をエッチングスト
ップ層として用いた。
【0051】しかる後、露出したAlGaInPエッチ
ングストップ層301を硫酸エッチング液でケミカルエ
ッチングして除去し、p型GaAsコンタクト層106
を露出させる。硫酸は、AlGaAs結晶をほとんどエ
ッチングせず、AlGaInP結晶を選択的にエッチン
グする。そして、Si34層401をマスクとしてプロ
トンイオンを注入して、n型クラッド層103直下のn
型半導体多層膜反射鏡102中に半絶縁領域108を形
成する。さらに、Si34層401をマスクとして、p
型不純物であるZnイオンを活性層104近傍まで注入
し、ランプアニールでp型不純物(Zn)を拡散させてp
型不純物拡散領域109を形成する(図4(c))。このと
き、p型不純物(Zn)が拡散された量子井戸活性層10
4の領域,すなわちp型不純物拡散領域109は無秩序
化される。
【0052】次に、レジストマスク201を除去した後
に、基板表側全面にAuZn/Auからなるp側電極1
10を真空蒸着法により形成する(図4(d))。
【0053】そして、このp側電極110上にレジスト
402をスピンコートで塗布する。この際、比較的粘性
の低いレジスト402を使用すると、円柱の頂上部のレ
ジスト膜厚を他の部分よりも薄くなるように形成できる
(図5(e))。
【0054】次いで、レジスト402をハードベーキン
グした後に、レジスト402全面をO2プラズマでアッ
シングして、円柱頂上部のp側電極110を露出させる
(図5(f))。
【0055】そしてレジスト402をマスクとして、ス
パッタエッチング法により円柱頂上部のp側電極をエッ
チングして除去する(図5(g))。このとき、Si34
401はエッチングストップ層として働く。
【0056】最後に、レジスト402とSi34層40
1を除去した後に、基板裏面にAuGe/Ni/Auか
らなるn側電極111を形成する(図5(h))。
【0057】図3の面発光型半導体レーザでは、図1に
示した面発光型半導体レーザと同様に、n型半導体多層
膜反射鏡102とアンドープ半導体多層膜反射鏡302
とによって、共振器が形成され、レーザ光はアンドープ
半導体多層膜反射鏡302側から取り出すことができ
る。この際、共振器内にあるp型GaAsコンタクト層
106及びAlGaInPエッチングストップ層301
は、層厚がそれぞれλ/(4n)に設定され、多層膜反射
鏡302の一部となっており、このp型GaAsコンタ
クト層106とAlGaInPエッチングストップ層3
01の禁制帯幅は、InGaAs歪量子井戸活性層10
4の禁制帯幅よりも大きいため、共振器内で光の吸収損
失はない。
【0058】また、図3の半導体レーザ装置において
も、p側オーミック電極構造,電流狭窄構造,キャリア
閉じ込め構造については、図1の半導体レーザ装置と同
様のものとなっている。
【0059】図3の面発光型半導体レーザが図1の面発
光型半導体レーザと異なっている点は、上部反射鏡とし
て誘電体多層膜ではなくアンドープ半導体多層膜反射鏡
302を用いていることである。従って、図3の半導体
レーザ装置では、誘電体多層膜を半導体層とは別に積層
する必要がなく、1回の結晶成長で、n型半導体多層膜
反射鏡102,n型AlGaAsクラッド層103,I
nGaAs歪量子井戸活性層104,p型AlGaAs
クラッド層105,p型GaAsコンタクト層106の
みならず、上部反射鏡302をも形成することができる
ため、作製を簡略化できる。また、半導体多層膜反射鏡
302は、図1の半導体レーザ装置におけるSiO2
TiO2誘電体多層膜反射鏡107に比べて熱伝導率が
大きく、放熱特性に優れている。そして、半導体多層膜
反射鏡302は、これを電流通路として用いる必要がな
いため、アンドープで形成できる。従って、半導体多層
膜反射鏡302をアンドープで形成する場合には、半導
体多層膜反射鏡302中における光の自由キャリア吸収
を低減でき、これによって、反射率と透過率の低下を生
じさせずに済む。
【0060】また、図4,図5に示した製造工程例によ
れば、p側オーミック電極101のパターン形成をセル
フアラインプロセスで形成しており、従って、図3の面
発光レーザを、1回の結晶成長と1回のフォトリソグラ
フ工程で形成することができる。これによって、素子製
造がさらに容易になる。特に、閾電流を低減する目的で
円形マスクパターンを微細化した場合には、p側電極の
パターニングずれが生じないため有効である。
【0061】図6は、本発明に係る半導体レーザ装置
(面発光型半導体レーザ)の他の構成例を示す図である。
図6を参照すると、この半導体レーザ装置においても、
図1,図3の半導体レーザ装置と同様に、n型GaAs
基板101上に、n型半導体多層膜反射鏡102,n型
AlGaAsクラッド層103,InGaAs歪量子井
戸活性層104,p型AlGaAsクラッド層105,
p型GaAsコンタクト層106が順次に形成されてい
る。
【0062】ところで、図6の半導体レーザ装置では、
p型コンタクト層106上には、例えば円柱状に形成し
たAlGaInPエッチングストップ層301と、アン
ドープAlAsとGaAsからなる半導体多層膜反射鏡
302と、Si34層401とが順次に積層されてい
る。ここで、AlGaInPエッチングストップ層30
1とSi34層401の層厚は、それぞれ、λ/(4n)
に設定されている。また、アンドープ半導体多層膜反射
鏡302は、AlAsとGaAsをλ/(4n)の厚さで
交互に積層して形成されている。
【0063】また、図6の半導体レーザ装置では、アン
ドープ半導体多層膜反射鏡302で覆われていないn型
クラッド層103直下の領域に、プロトンイオン注入に
より半絶縁領域108が形成されており、さらに、アン
ドープ半導体多層膜反射鏡302で覆われていないp型
コンタクト層106表面から量子井戸活性層104ま
で、p型不純物(例えばZn)が注入,拡散され、p型不
純物拡散領域109が形成されている。
【0064】また、基板表側全面には、AuZn/Au
からなるp側オーミック電極110が形成されており、
また、基板裏面には、レーザ光出射部を除いてAuGe
/Ni/Auからなるn側オーミック電極111が形成
されている。
【0065】図6の面発光型半導体レーザでは、図1,
図3に示した面発光型半導体レーザと同様に、n型半導
体多層膜反射鏡102とアンドープ半導体多層膜反射鏡
302とによって、共振器が形成されており、また、図
6の半導体レーザ装置においても、p側オーミック電極
構造,電流狭窄構造,キャリア閉じ込め構造について
は、図1,図3の半導体レーザ装置と同様のものとなっ
ているが、図6の面発光型半導体レーザでは、レーザ光
は、図1,図3のレーザと異なり、n型半導体多層膜反
射鏡102側から基板101を通して取り出すようにな
っている。この際、InGaAs歪量子井戸活性層10
3の禁制帯幅は、GaAs基板101の禁制帯幅よりも
小さいため、レーザ光はGaAs基板101で吸収損失
を受けない。
【0066】また、図6の面発光型半導体レーザでは、
アンドープ半導体多層膜反射鏡302の上部には、Si
34層401を介してp側電極110が形成されてお
り、このSi34層401の層厚をλ/(4n)に設定す
ることにより、p側電極110に用いているAuを反射
鏡の一部として用いることができる。また、Si34
401を介してAuZnと半導体層が積層されているた
め、アニールにより反射率が低下することがない。
【0067】そして、図6の面発光型半導体レーザは、
ジャンクションダウン方式で実装することができるた
め、放熱特性に優れているという特徴を有している。従
って、素子の信頼性を向上させることができる。また、
p側電極110とアンドープ半導体多層膜反射鏡301
の間にあるSi34層401は比較的熱伝導率が高い材
料であるため、放熱特性を損なうことがない。
【0068】上述の各構成例においては、上部の多層膜
反射鏡を、最下層までエッチングして円柱形状に作製し
ているが、p型クラッド層105とp型コンタクト層1
06との間に層数の少ない半導体多層膜反射鏡が形成さ
れていてもよい。この場合、p型コンタクト層105か
らp型不純物(例えばZn)が拡散された半導体多層膜反
射鏡の領域は無秩序化するため、ヘテロ障壁が存在しな
くなる。従って、この部分を電流が通過しても直列抵抗
を低く抑えることができる。
【0069】また、上述の各構成例では、誘電体多層膜
反射鏡107,半導体多層膜反射鏡302を円柱状ある
いは角柱状のものに形成したが、これらは柱状のもので
あれば良く、従って、円柱状,角柱状に限らず任意の形
状に形成できる。
【0070】また上述の各構成例においては、AlGa
As系材料を例として説明したが、これに限らず、Al
GaAInP,InGaAsP系材料等においても、本
発明を同様に適用できる。
【0071】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1乃至請
求項3記載の発明によれば、n型半導体基板上に、n型
半導体多層膜反射鏡,n型クラッド層,量子井戸活性
層,p型クラッド層,p型コンタクト層が形成され、ま
た、p型コンタクト層上には、柱状の誘電体多層膜反射
鏡が形成されており、前記誘電体多層膜反射鏡で覆われ
ていない領域のn型クラッド層直下には、半絶縁領域が
設けられており、また、前記誘電体多層膜反射鏡で覆わ
れていないp型コンタクト層表面から量子井戸活性層ま
での領域はp型不純物が拡散されて無秩序化されたp型
不純物拡散領域となっており、また、p型不純物が拡散
されたp型コンタクト層上と基板裏面とには、それぞれ
オーミック電極が形成され、基板に対して垂直方向にレ
ーザ発振するようになっており、電流は上部の多層膜反
射鏡周辺のp型不純物を拡散したp型コンタクト層から
注入されるため、直列抵抗および接触抵抗が増加しな
い。これにより、素子の動作電圧を低減し発熱を抑制で
きるため、素子劣化を防ぐことができる。また、活性層
下側にあるn型半導体多層膜反射鏡の上部多層膜反射鏡
に覆われていない領域が、半絶縁領域となっていること
により、電流を、上部の多層膜反射鏡の真下に集中させ
ることができる。
【0072】さらに、上部の多層膜反射鏡で覆われてい
ないp型コンタクト層から活性層領域までp型不純物が
注入,拡散されていることにより、プロトンイオン注入
によってキャリア濃度が低下したp型コンタクト層のキ
ャリア濃度を回復し、p側オーミック電極との接触抵抗
が高くならないようにしている。また、p型不純物が拡
散された量子井戸活性層が無秩序化されていることによ
り、禁制帯幅が量子井戸活性層よりも大きくなってい
る。そのため、キャリアを上部の多層膜反射鏡の真下に
閉じ込めることができて、発光閾電流を低減することが
できる。
【0073】特に、請求項2記載の発明によれば、上部
の多層膜反射鏡が、誘電体多層膜ではなく半導体多層膜
反射鏡となっているため、上部の多層膜反射鏡を別に積
層する工程が不要となり、1回の半導体結晶成長で上部
の多層膜反射鏡までを形成でき、素子作製工程を簡略化
することができる。また、この場合、上部の半導体多層
膜反射鏡は電流通路として用いる必要がないため、アン
ドープで形成でき、これにより、半導体多層膜反射鏡中
における光の自由キャリア吸収を低減でき、半導体多層
膜反射鏡の反射率と透過率の低下を防ぐことができる。
従って、発光閾電流を低減し、外部微分量子効率を向上
させることができる。
【0074】また、請求項3記載の発明では、量子井戸
活性層の禁制帯幅が基板の禁制帯幅よりも小さくなって
いることにより、レーザ光が基板で吸収されないため、
レーザ光を基板裏面から取り出すことが可能となる。ま
た、これに伴い、p側オーミック電極はパターニングす
る必要がなく、表面全面に形成でき、p側オーミック電
極を反射鏡の1部として用いることができる。また、請
求項3の半導体レーザ装置では、これをジャンクション
ダウン方式で実装することができるため、放熱特性に優
れ、素子の信頼性を向上させることができる。
【0075】また、請求項4記載の発明によれば、p型
コンタクト層上まで多層膜反射鏡を柱状にエッチング形
成するマスクを用いて、n型クラッド層直下にプロトン
イオンを注入する工程と、p型コンタクト層表面から量
子井戸活性層を無秩序化するp型不純物を注入,拡散す
る工程を行なっているため、フォトリソグラフィー法に
よるマスク形成の回数を低減でき、製造が容易になる。
また、光の共振器構造と電流狭窄構造とキャリア閉じ込
め構造とを同一のマスクで形成するため、マスクパター
ニングずれによる素子特性のばらつきを招くことがな
く、歩留りを向上させることができる。
【0076】また、請求項5記載の発明によれば、p側
オーミック電極のパターン形成をセルフアラインプロセ
スで多層膜反射鏡の頂上部を除いた基板表面に形成する
ことができ、従って、請求項1,請求項2記載の半導体
レーザ装置を、1回の結晶成長と1回のフォトリソグラ
フィー工程で形成することができて、素子製造をさらに
容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体レーザ装置の構成例を示す
図である。
【図2】図1の半導体レーザ装置の製造工程例を示す図
である。
【図3】本発明に係る半導体レーザ装置の他の構成例を
示す図である。
【図4】図3の半導体レーザ装置の製造工程例を示す図
である。
【図5】図3の半導体レーザ装置の製造工程例を示す図
である。
【図6】本発明に係る半導体レーザ装置の他の構成例を
示す図である。
【図7】従来の垂直共振器型面発光半導体レーザの構成
例を示す図である。
【図8】図7の半導体レーザの活性層の斜視図である。
【図9】従来の垂直共振器型面発光半導体レーザの構成
例を示す図である。
【図10】従来の垂直共振器型面発光半導体レーザの構
成例を示す図である。
【図11】従来の垂直共振器型面発光半導体レーザの構
成例を示す図である。
【符号の説明】
101 n型GaAs基板 102 n型半導体多層膜反射鏡 103 n型AlGaAsクラッド層 104 量子井戸活性層 105 p型AlGaAsクラッド層 106 p型GaAsコンタクト層 107 誘電体多層膜反射鏡 108 半絶縁領域 109 p型不純物拡散領域 110 p側電極 111 n側電極 201 レジストマスク 301 AlGaInPエッチングストップ層 302 アンドープ半導体多層膜反射鏡 401 Si34層 402 レジスト

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n型半導体基板上に、n型半導体多層膜
    反射鏡,n型クラッド層,量子井戸活性層,p型クラッ
    ド層,p型コンタクト層が形成され、また、p型コンタ
    クト層上には、柱状の誘電体多層膜反射鏡が形成されて
    おり、前記誘電体多層膜反射鏡で覆われていない領域の
    n型クラッド層直下には、半絶縁領域が設けられてお
    り、また、前記誘電体多層膜反射鏡で覆われていないp
    型コンタクト層表面から量子井戸活性層までの領域は、
    p型不純物が拡散されて無秩序化されたp型不純物拡散
    領域となっており、また、p型不純物が拡散されたp型
    コンタクト層上と基板裏面とには、それぞれオーミック
    電極が形成され、基板に対して垂直方向にレーザ発振す
    るようになっていることを特徴とする半導体レーザ装
    置。
  2. 【請求項2】 n型半導体基板上に、n型半導体多層膜
    反射鏡,n型クラッド層,量子井戸活性層,p型クラッ
    ド層,p型コンタクト層が形成され、また、p型コンタ
    クト層上には、柱状のアンドープ半導体多層膜反射鏡が
    形成されており、前記アンドープ半導体多層膜反射鏡で
    覆われていない領域のn型クラッド層直下には、半絶縁
    領域が設けられ、また、前記アンドープ半導体多層膜反
    射鏡で覆われていないp型コンタクト層表面から量子井
    戸活性層までの領域は、p型不純物が拡散されて無秩序
    化されたp型不純物拡散領域となっており、また、p型
    不純物が拡散されたp型コンタクト層上と基板裏面とに
    は、それぞれオーミック電極が形成され、基板に対して
    垂直方向にレーザ発振するようになっていることを特徴
    とする半導体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 n型半導体基板上に、n型半導体多層膜
    反射鏡,n型クラッド層,禁制帯幅が基板よりも狭い量
    子井戸活性層,p型クラッド層,p型コンタクト層が形
    成され、また、p型コンタクト層上には、柱状の多層膜
    反射鏡が形成されており、前記多層膜反射鏡で覆われて
    いない領域のn型クラッド層直下には、半絶縁領域が設
    けられ、また、前記多層膜反射鏡で覆われていないp型
    コンタクト層表面から量子井戸活性層までの領域は、p
    型不純物が拡散されて無秩序化されたp型不純物拡散領
    域となっており、基板表側の全面には、p側オーミック
    電極が形成され、基板裏面には、レーザ光出射部を除い
    てn側オーミック電極が形成されて、基板に対して垂直
    方向にレーザ発振するようになっていることを特徴とす
    る半導体レーザ装置。
  4. 【請求項4】 n型半導体基板上に、n型半導体多層膜
    反射鏡,n型クラッド層,量子井戸活性層,p型クラッ
    ド層,p型コンタクト層,多層膜反射鏡を順次に積層す
    る工程と、多層膜反射鏡上に所定形状のマスクを形成し
    てp型コンタクト層上まで多層膜反射鏡を柱状にエッチ
    ング形成する工程と、前記エッチング工程のマスクを用
    いてn型クラッド層直下にプロトンイオンを注入する工
    程と、前記エッチング工程のマスクを用いてp型コンタ
    クト層表面から量子井戸活性層までp型不純物を注入,
    拡散する工程と、p型不純物が拡散されたp型コンタク
    ト層上と基板裏面とに、それぞれオーミック電極を形成
    する工程とを有していることを特徴とする半導体レーザ
    装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 n型半導体基板上に、n型半導体多層膜
    反射鏡,n型クラッド層,量子井戸活性層,p型クラッ
    ド層,p型コンタクト層,多層膜反射鏡を順次に積層す
    る工程と、p型コンタクト層上まで多層膜反射鏡を柱状
    にエッチング形成する工程と、前記エッチング工程のマ
    スクを用いてn型クラッド層直下にプロトンイオンを注
    入する工程と、前記エッチング工程のマスクを用いてp
    型コンタクト層表面から量子井戸活性層までp型不純物
    を注入,拡散する工程と、自己整合的に多層膜反射鏡の
    頂上部を除いて基板表面にp側オーミック電極を形成す
    る工程と、基板裏面にn側オーミック電極を形成する工
    程とを有していることを特徴とする半導体レーザ装置の
    製造方法。
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