JPH09242381A - 構造物の免震構造 - Google Patents

構造物の免震構造

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JPH09242381A
JPH09242381A JP4888596A JP4888596A JPH09242381A JP H09242381 A JPH09242381 A JP H09242381A JP 4888596 A JP4888596 A JP 4888596A JP 4888596 A JP4888596 A JP 4888596A JP H09242381 A JPH09242381 A JP H09242381A
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JP
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seismic isolation
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building
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elastic body
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JP4888596A
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Inventor
Motoharu Yatsuhashi
元治 八橋
Masahiro Kawano
昌洋 川野
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Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造物の免震構造において、二種類の装置
(免震支持体・紐状弾性体)を組み合わせただけの簡単
かつ安価な構成により地震等による構造物の振動を良好
に抑制し、しかも優れた耐風機能をも免震構造に具備さ
せる。 【解決手段】 基礎2と建築物4との間に介在し、か
つ、ボール6cにより建築物4を水平方向に移動自在に
支持する複数の免震支持体6を備えた建築物の免震構造
において、基礎2と建築物4との間でかつ免震支持体6
の周囲に、減衰性を有する複数本の紐状弾性体8を周方
向略等間隔に配設し、各紐状弾性体8の上端を建築物4
の土台4a側に固着すると共に下端を基礎2側に固着し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物の免震構造
に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物や機械類などに対する地震の振動
の伝播を防止する免震支持体として、ゴム等からなる弾
性層と鋼板等からなる剛性板層とを交互に多数層に積層
した免震支持体が知られている。この種の免震支持体
は、一般に免震積層ゴムと称されるもので、弾性層の水
平方向の弾性変形によって構造物への振動の伝播を防止
し、それと同時に免震支持体および構造物からなる振動
系の固有周期(以下「免震周期」という)を、地震の水
平振動の周期より長くすることによって、地震による構
造物の振動を抑制する。一般に免震周期Tfは、次式
(1)で表される。 Tf=2π(W/(g・Kf))1/2 ・・・(1) 但し、 W;構造物の重量 g;重力加速度 Kf;免震積層ゴムの水平バネ定数 ここで、Kfは、次式(2)で表される。 Kf=A・G/h ・・・(2) 但し、 A;弾性層の断面積 G;弾性層のせん断弾性係数 h;弾性層の高さ
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前式(1)からわかる
ように、免震周期Tfは構造物の重量Wの平方根に比例
し、水平バネ定数Kfの平方根に反比例するため、木造
住宅のように重量Wが小さい軽量構造物において免震周
期Tfを長くするには、前式(2)からわかるように、
弾性層のせん断弾性係数Gを小さくするか、弾性層の直
径を小さくするかまたは高さhを大きくして、水平バネ
定数Kfを小さくする必要がある。通常は弾性層の高さ
hを大きくせざるを得ず、免震積層ゴムが丈高い(細長
い)形状となるため、地震時に構造物に対して基礎が水
平方向に大きく変位すると、免震積層ゴムが座屈して構
造物を充分に支えきれなくなる恐れがある。この座屈を
防止するためには、弾性層の弾性力を増大させるか免震
積層ゴムを太くすればよいが、そのようにした場合は前
述のように免震周期Tfが短くなってしまい、免震特性
が低下するといった不都合が生ずる。
【0004】そこで、前記座屈を防止する手段として、
転がりまたは滑りによる支承と免震積層ゴムとを組み合
わせた複合支承を採用した技術も知られている(特開昭
64−17945号、特開平3−87476号公報参
照)が、免震構造全体が比較的高価なものとなってしま
う。また、この種の複合支承においては、転がりまたは
滑りによる支承のみに構造物の全荷重を支持させるよう
にしているため、まず滑り支承の個数および配置が制約
され、次いで免震積層ゴムの配置にも影響が及び、よっ
て免震構造を自由にレイアウトできないという不都合も
生ずる。
【0005】免震積層ゴムに代えて座屈の心配のないバ
ネ・ダンパを設置し、これに転がり支承あるいは滑り支
承を組み合わせた免震構造も知られているが、この場合
は三種類の装置(転がりまたは滑り支承・バネ・ダン
パ)が必要となるため、免震構造全体が複雑になるとい
う問題点がある。
【0006】また、構造物における免震機能と耐風機能
とは相反するものであり、そのため、両者を同時に構造
物に具備させることは非常に困難であるという問題が従
来より提起されており、よって、優れた耐風機能をも備
えた免震構造が強く要望されている。
【0007】本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであって、二種類の装置を組み合わせただけの
簡単かつ安価な構成により地震等による構造物の振動を
良好に抑制し、しかも優れた耐風機能をも具備した構造
物の免震構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するため、次のような構成を有する。請求項1の発明
は、基礎と構造物との間に介在し、かつ、転がり支承ま
たは滑り支承により前記構造物を水平方向に移動自在に
支持する複数の免震支持体を備えた構造物の免震構造に
おいて、基礎と構造物との間でかつ各免震支持体の周囲
に、減衰性を有する複数本の紐状弾性体を周方向略等間
隔に配設し、該各紐状弾性体の一端を構造物の底面側に
固着すると共に他端を基礎側に固着したことを特徴とす
る構造物の免震構造である。
【0009】請求項2の発明は、前記紐状弾性体が、高
減衰ゴムからなるものであって、横断面略円形または横
断面略多角形の紐状体、横断面略円形または横断面略多
角形の紐状体を撚り合わせたものもしくは編組したも
の、あるいは、これらの組み合わせからなるものである
ことを特徴とする請求項1記載の構造物の免震構造であ
る。
【0010】請求項3の発明は、前記紐状弾性体を予張
して配設したことを特徴とする請求項1または2記載の
構造物の免震構造である。
【0011】請求項4の発明は、基礎と構造物との間
に、構造物が水平方向に所定量変位したときに緊張して
構造物の変位を規制する変位限定手段を配設したことを
特徴とする請求項1、2または3記載の構造物の免震構
造である。
【0012】請求項5は、前記免震支持体が、前記構造
物と前記基礎との間に転動自在に介在された転動体を備
えたものであり、構造物の底面および基礎の上面のうち
の少なくとも一方に、前記転動体の中心部に対向する位
置から離れるに従って次第に他方の面に接近する略摺鉢
状の斜面を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうち
いずれか一つに記載の構造物用免震構造である。
【0013】請求項6は、前記免震支持体が、前記構造
物の底面または前記基礎の上面のうちの一方の面に設け
られた滑り体と、構造物の底面および基礎の上面のうち
の他方の面に設けられて前記滑り体を受ける支持板とを
備えたものであり、前記支持板に、滑り体の中心部に対
向する位置から離れるに従って次第に前記一方の面に接
近する略摺鉢状の斜面を設けたことを特徴とする請求項
1〜4のうちいずれか一つに記載の構造物の免震構造で
ある。
【0014】請求項1および請求項2の発明によれば、
地震時などに基礎と構造物とが前記免震支持体を介して
水平方向に相対的に変位すると、個々の免震支持体の周
囲において、減衰性を有する前記紐状弾性体が伸縮しな
がら振動エネルギーを吸収し、構造物の振動が減衰され
るようになる。したがって、転がり支承または滑り支承
による免震支持体と紐状弾性体とからなる二種類の装置
を組み合わせただけの簡単かつ安価な構成により、地震
等による構造物の振動を良好に抑制することができる。
【0015】請求項3の発明によれば、前記紐状弾性体
を予張して配設したので、転がり支承または滑り支承に
よる前記免震支持体が、地震終了時などにおいて容易に
通常の状態に復帰するようになる。これに対して、紐状
弾性体が予張されていない場合(紐状弾性体を自然長の
状態で設置する場合)は、前記免震支持体における摩擦
力が作用して免震支持体が元の状態に完全に復帰しなく
なる恐れがある。なお、本発明において「予張」とは、
紐状弾性体をその自然長からやや伸ばした状態に緊張さ
せておくことをいう。
【0016】請求項4の発明によれば、構造物が水平方
向に所定量変位したときに、前記変位限定手段が緊張し
て構造物の変位を規制するので、例えば構造物に地震力
よりも大きな風力が作用した場合でも、構造物の水平方
向の変位が前記所定量以下に限定されると共に、前記紐
状弾性体がその許容範囲を越えて伸びることもない。ま
た、風力により生ずる構造物の浮き上がりなども、前記
変位限定手段の緊張によって防止される。なお、本発明
において「所定量」とは、地震を想定した場合の構造物
の最大設計変位である。
【0017】また、請求項5,6の発明によれば、構造
物と基礎とが水平方向に相対的に変位すると、転動体ま
たは滑り体が前記略摺鉢状の斜面ををさかのぼるので、
運動エネルギーが位置エネルギーに変換される。このよ
うに変換された位置エネルギーは、転動体または滑り体
の通常の位置への復元力となる。その結果、振動そのも
のが抑制される。また、地震終了時において前記復元力
によって前記免震支持体を迅速かつ正確に通常の元の位
置に復帰させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。本実施形態は、図1および図2に示
すように、基礎2と建築物(構造物の一例)4との間に
介在し、かつ、転がり支承により建築物4を水平方向に
移動自在に支持する複数の免震支持体6を備えた建築物
の免震構造において、基礎2と建築物4との間でかつ各
免震支持体6の周囲に、減衰性を有する四本の紐状弾性
体8を周方向略等間隔に配設し、各紐状弾性体8の一端
を建築物4の底面側に固着すると共に他端を基礎2側に
固着したものである。また、基礎2と建築物4との間に
は、建築物4が水平方向に所定量D変位したときに緊張
して建築物4の変位を規制するチェン10(変位限定手
段の一例)が紐状弾性体8に沿って配設されている。以
下、各部材の構成を詳細に説明する。
【0019】建築物4は、図2に示すように、その底部
に土台4aを備えている。この土台4aは、複数の木製
の角材12を建築物4の底部における各辺上および対向
する辺を結ぶ線上に適宜配置し、これら複数の角材12
を接合した剛性の低いものである。
【0020】免震支持体6は、図1に示すように、建築
物4の土台4aにおける四隅、各辺部の中央位置、およ
び、底面における中央位置それぞれに配置されている。
各免震支持体6は、図3に示すように、転がり支承によ
るものであって、土台4a側に固定された上側支持板6
aと、基礎2側に固定された下側支持板6bと、上側支
持板6aと下側支持板6bとの間に転動自在に介在され
たボール(転動体の一例)6cとから主に構成される。
下側支持板6bの上面には、ボール6cの中心部に対向
する位置から離れるに従って次第に上側支持板6aの下
面に接近する略摺鉢状の斜面6b1が形成されている。
【0021】なお、この斜面6b1の勾配角度は、ここ
では1度に設定されており、ボール6cの変位を約20
0mmと考えて、上側支持板6aおよび下側支持板6b
の外径が400mm以上とされている。また、ボール6
cは、一例として直径100〜200mm程度の鋼球が
使用されている。また、本実施形態では、下側支持板6
bのみに前記斜面6b1を形成したが、上側支持板6a
のみ、あるいは上側支持板6aおよび下側支持板6bの
両方に斜面を形成してもよい。もちろん上側支持板6a
および下側支持板6bの両方ともフラットに形成するこ
ともできる。
【0022】紐状弾性体8は、図6に示すように、高減
衰ゴムや、減衰性および弾性を具備した合成樹脂などか
らなる横断面略円形(楕円形を含む)のものである。ま
た、紐状弾性体8は、図6に示す横断面略円形のものに
限定されず、横断面略多角形(三角形・矩形を含む)の
紐状体(図7参照)、横断面略円形または横断面略多角
形の紐状体を撚り合わせたもの(図8参照)もしくは編
組したもの(図9参照)、あるいは、これらを適宜組み
合わせたものなどでもよい。
【0023】四本の紐状弾性体8は、図1および図3に
示すように、それぞれの上端が土台4a側の上側支持板
6aの縁に固着されると共に、それぞれ真っすぐ下方に
延びてそれぞれの下端が前記下側支持板6bの縁に固着
される。また、紐状弾性体8は、予張された状態で設置
されており、通常の状態でも弾性的に基礎2と建築物4
とを連結している。すなわち、図3に示すようにボール
6cが下側支持板6bの中心に位置し建築物4が通常の
位置にあるとき、建物全体は、前記弾性力により最も安
定した状態となる。なお、四本の紐状弾性体8は、上側
支持板6aおよび下側支持板6bに固定する必要はな
く、免震支持体6の周辺であれば、建築物4の土台4a
と基礎2とを紐状弾性体8で直接または別部品を用いて
連結するようにしてもよい。また、本実施形態において
「予張」とは、紐状弾性体8をその自然長からやや伸ば
した状態に緊張させておくことをいう。
【0024】チェン10は、図13(a)に示すよう
に、金属製あるいはプラスチック製等の複数のリング1
0aで構成されたものであり、各紐状弾性体8それぞれ
に付設される。チェン10は、図3に示すごとく、紐状
弾性体8に沿って配設されており、紐状弾性体8と同様
に上端が上側支持板6aに固着され、下端が下側支持板
6cに固着される。また、チェン10は、図3に示すよ
うに風力や地震力が作用しない通常の状態では十分に弛
んでおり、図5に示すように建築物4が水平方向に所定
量D変位したときには、張り切ってそれ以上の建築物4
の変位を規制する。なお、本実施形態において「所定
量」とは、地震を想定した場合の建築物4の最大設計変
位である。
【0025】以上のような構成を有する本実施形態によ
れば、次のような作用・効果が得られる。例えば、図3
の紙面に対して左右方向に地震が起きた場合、図3に示
す通常の状態から、図4に示すようにボール6cの転が
りにより基礎2と建築物4とが水平方向に相対的に変位
すると、全ての紐状弾性体8が引っ張られて伸びながら
振動エネルギーを吸収し、建築物4の振動を減衰させ
る。このとき、各チェン10は、多少伸びるものの弛ん
だ状態にあり免震機能(紐状弾性体8の伸縮)には影響
を与えない。そして、四本の紐状弾性体8が同時に伸縮
することにより、良好に地震エネルギーが紐状弾性体8
に吸収されるようになる。
【0026】したがって、免震支持体6と紐状弾性体8
とからなる二種類の装置を組み合わせただけの簡単かつ
安価な構成により、地震等による建築物4の振動を良好
に抑制することができる。
【0027】また、本実施形態によれば、四本の紐状弾
性体8それぞれを予張して配設したので、免震支持体6
が地震終了時などにおいて容易に通常の状態に復帰する
ようになる。すなわち、地震力が弱まってボール6cが
通常の状態に停止しようとする段階において、予張され
た四本の紐状弾性体8のその張力によってボール6cが
最も安定した状態つまり下側支持板6bの中心位置に確
実かつ速やかに復帰するようになる。
【0028】これに対して、紐状弾性体8が予張されて
いない場合(紐状弾性体8を自然長の状態で設置する場
合など)、前記免震支持体6に作用する摩擦力によって
は完全に免震支持体6が元の状態に復帰しなくなる恐れ
がある。
【0029】さらに、本実施形態によれば、建築物4と
基礎2とが相対的に変位すると(図4参照)、ボール6
cが前記略摺鉢状の斜面6b1をさかのぼるため、運動
エネルギーが位置エネルギーに変換される。このように
変換された位置エネルギーは、ボール6cの通常の位置
への復元力となり、その結果、振動そのものが抑制され
る。また、地震終了時において前記復元力と前記紐状弾
性体8の予張とが相俟って免震支持体6をより一層迅速
かつ正確に通常の元の位置に復帰させることができる。
【0030】また、本実施形態によれば、建築物4が水
平方向に所定量D変位したときに、チェン10が緊張し
て建築物4のそれ以上の変位を規制するので、例えば建
築物4に地震力よりも大きな風力が作用した場合でも、
図5に示すように、建築物4の水平方向の変位が所定量
D以下に限定されると共に、紐状弾性体8がその許容範
囲を越えて伸びることもない。また、風力により生ずる
建築物4の浮き上がりなども、チェン10の緊張によっ
て防止される。
【0031】以上の作用・効果が得られる本実施形態を
一例とした本発明は、本実施形態のごとく、剛性の低い
土台を有する構造物に対して特に有効なものである。す
なわち、土台が木造であり剛性が低い場合は、地震時に
おいて土台全体として一つの固有振動を示さずに各柱の
下などで固有の振動特性を示すため、複数の振動体が存
在すると考えられ、そのため、この複数の振動体それぞ
れに対応すべく、減衰装置も柱の下毎に配置することが
必要であるからである。したがって、本実施形態では、
建築物4の各柱の下に免震支持体6をそれぞれ設置する
と共に、各免震支持体6の周辺に前記複数の紐状弾性体
8を配設するようにしている。これに対して、H形鋼な
どで構成された剛性の高い土台の場合は、一体化した土
台全体で一つの振動特性を示すと考えられるため、減衰
装置も構造物全体に対して一つで足りる。
【0032】なお、前記実施形態は本発明の好適な実施
の態様であり、本発明の技術的範囲は本実施形態に限定
されない。本発明に係る免震支持体は、前記ボール6c
によるものに限定されず、ボール6d1を有するフリー
ベアリング6dによる免震支持体6(図10参照)、車
輪6e1を有するキャスタ6eによる免震支持体6(図
11参照)、その他、直交ローラとレールとを組み合わ
せた等の転がり支承でもよい。
【0033】また、図12に示すような滑り体14cを
備えた滑り支承による免震支持体14でもよい。この免
震支持体14は、土台4aの底面に固定された小径の上
側支持板14aと、基礎2側に固定された前記下側支持
板6bと略同一形状の下側支持板14bとを備えてお
り、下側支持板14bの上面で滑り体14cの下端を摺
動させるものである。なお、下側支持板14bの上面に
は、滑り体14cの中心部に対向する位置から離れるに
従って次第に土台4aに接近する略摺鉢状の斜面14b
1が形成されている。
【0034】この場合は、図12に示すように、各紐状
弾性体8が基礎2の上面や土台4aの底面に対して傾斜
しており、そのため、地震時等においては、四本の紐状
弾性体8のうち、基礎2に対する建築物4の変位方向側
の紐状弾性体8と、それとは反対側の紐状弾性体8とが
交互に伸縮することになる。また、この場合、前記紐状
弾性体8の予張力Fが鉛直方向に対して角度θ’だけ傾
斜しているため、この基礎2と建築物4との間には水平
方向にFsinθ’の大きさの張力が働くようになり、
これにより、免震支持体14をより一層迅速かつ正確に
復帰させることができる。もちろん、紐状弾性体8を傾
斜させる当該技術事項は、滑り支承による免震支持体に
のみ適用されるものではなく、あらゆる転がり支承によ
る免震支持体にも広く適用可能である。なお、基礎2側
に滑り体14cを設けてもよく、その場合には、図12
に示す上側支持板14aを基礎2側に固着し、下側支持
板14bを土台4a側に固着すればよい。
【0035】また、本発明に係る変位限定手段は、チェ
ン10に限定されず、金属製またはプラスチック製等の
棒状体16aを節16bを介して折れ曲がり可能に結合
したリンク体16(図13(b)参照)、金属製または
プラスチック製等からなる素線を撚り合わせた紐状体1
8(図13(c)参照)、素線を編組した柔軟な紐状体
20(図13(d)参照)でもよい。さらに、変位限定
手段は、前記チェン10やリンク体16、前記紐状体1
8,20を適宜組み合わせたもの、その他一定限度以上
伸びないまたは伸びにくい柔軟性のある紐状体、あるい
は、図13(e)に示すような、耐腐食や保護のための
ゴムやプラスチックなどからなる被覆材(熱収縮チュー
ブ等)22を前記チェン10等(図13(e)では一例
としてリンク体16を示す)に被覆したものでもよい。
また、変位限定手段の材料としては、金属では炭素鋼
等、プラスチックではアラミド繊維等、その他ではカー
ボン繊維,ガラス繊維等の高張力の材料が適用可能であ
る。
【0036】また、変位限定手段の配置および本数は、
前記実施形態に限定されるものではなく、構造物の種類
等に応じて適宜設定可能である。例えば、免震支持体か
ら離れた位置にて基礎と構造物とを変位限定手段で連結
してもよい。また、本発明に係る紐状弾性体の本数およ
び長さは、免震構造の設計条件に応じて適宜選定可能で
ある。
【0037】
【発明の効果】以上の説明の通り、本発明によれば、二
種類の装置(免震支持体・紐状弾性体)を組み合わせた
だけの簡単かつ安価な構成により地震等による構造物の
振動を良好に抑制することができる。また、優れた耐風
機能をも免震構造に具備させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の免震構造の平面図である。
【図2】本実施形態の免震構造の側面図である。
【図3】本実施形態に係る免震支持体の側面図である。
【図4】本実施形態に係る免震支持体の側面図であっ
て、基礎と建築物とが相対的に変位したときの状態を示
す図である。
【図5】本実施形態に係る免震支持体の側面図であっ
て、基礎と建築物とが相対的に所定量変位したときの状
態を示す図である。
【図6】本実施形態に係る横断面略円形の紐状弾性体の
斜視図である。
【図7】本実施形態に係る横断面矩形の紐状弾性体の斜
視図である。
【図8】本実施形態に係る撚り合わせた紐状弾性体の斜
視図である。
【図9】本実施形態に係る編組した紐状弾性体の斜視図
である。
【図10】本実施形態の免震構造の変形例の側面図であ
る。
【図11】本実施形態の免震構造の他の変形例の側面図
である。
【図12】本実施形態の免震構造のさらに他の変形例の
側面図である。
【図13】(a)は本実施形態に係るチェンを示す図、
(b)〜(e)は変位限定手段の他の例を示す図であっ
て、(b)はリンク体、(c)は素線を撚った紐状体、
(d)は素線を編組した紐状体、(e)は被覆材を有す
る変位限定手段を示す図である。
【符号の説明】
2 基礎 4 建築物(構造物の一例) 6 免震支持体 6a 上側支持板 6b 下側支持板 6b1 斜面 6c ボール(転動体の一例) 6d フリーベアリング 6d1 ボール(転動体の一例) 6e キャスタ 6e1 車輪(転動体の一例) 8 紐状弾性体 10 チェン(変位限定手段の一例) 14 免震支持体 14a 上側支持板 14b 下側支持板 (支持板に相当) 14b1 斜面 14c 滑り体 16 リンク体(変位限定手段の一例) 18 紐状体(変位限定手段の一例) 20 紐状体(変位限定手段の一例) D 所定量

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基礎と構造物との間に介在し、かつ、転
    がり支承または滑り支承により前記構造物を水平方向に
    移動自在に支持する複数の免震支持体を備えた構造物の
    免震構造において、 基礎と構造物との間でかつ各免震支持体の周囲に、減衰
    性を有する複数本の紐状弾性体を周方向略等間隔に配設
    し、該各紐状弾性体の一端を構造物の底面側に固着する
    と共に他端を基礎側に固着したことを特徴とする構造物
    の免震構造。
  2. 【請求項2】 前記紐状弾性体は、高減衰ゴムからなる
    ものであって、横断面略円形または横断面略多角形の紐
    状体、横断面略円形または横断面略多角形の紐状体を撚
    り合わせたものもしくは編組したもの、あるいは、これ
    らの組み合わせからなるものであることを特徴とする請
    求項1記載の構造物の免震構造。
  3. 【請求項3】 前記紐状弾性体を予張して配設したこと
    を特徴とする請求項1または2記載の構造物の免震構
    造。
  4. 【請求項4】 基礎と構造物との間に、構造物が水平方
    向に所定量変位したときに緊張して構造物の変位を規制
    する変位限定手段を配設したことを特徴とする請求項
    1、2または3記載の構造物の免震構造。
  5. 【請求項5】 前記免震支持体は、前記構造物と前記基
    礎との間に転動自在に介在された転動体を備えたもので
    あり、構造物の底面および基礎の上面のうちの少なくと
    も一方に、前記転動体の中心部に対向する位置から離れ
    るに従って次第に他方の面に接近する略摺鉢状の斜面を
    設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一
    つに記載の構造物用免震構造。
  6. 【請求項6】 前記免震支持体は、前記構造物の底面ま
    たは前記基礎の上面のうちの一方の面に設けられた滑り
    体と、構造物の底面および基礎の上面のうちの他方の面
    に設けられて前記滑り体を受ける支持板とを備えたもの
    であり、前記支持板に、滑り体の中心部に対向する位置
    から離れるに従って次第に前記一方の面に接近する略摺
    鉢状の斜面を設けたことを特徴とする請求項1〜4のう
    ちいずれか一つに記載の構造物の免震構造。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10219845A (ja) * 1997-01-31 1998-08-18 Fujikura Ltd 構造物の免震構造
JPH11125310A (ja) * 1997-10-23 1999-05-11 Showa Electric Wire & Cable Co Ltd 免震装置
JP2015507106A (ja) * 2011-11-30 2015-03-05 スー ハオ, 地震及びその他類似の災害から構造物を保護する支承の部類

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