JPH09241667A - 都市ごみおよび/または汚泥焼却プラント用防食添加剤とその使用方法 - Google Patents

都市ごみおよび/または汚泥焼却プラント用防食添加剤とその使用方法

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JPH09241667A
JPH09241667A JP5349096A JP5349096A JPH09241667A JP H09241667 A JPH09241667 A JP H09241667A JP 5349096 A JP5349096 A JP 5349096A JP 5349096 A JP5349096 A JP 5349096A JP H09241667 A JPH09241667 A JP H09241667A
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compound
incineration
additive
metal
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Yoshio Harada
良夫 原田
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TOA NETSUKEN KK
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TOA NEKKEN KK
TOA NETSUKEN KK
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    • Y02E50/30Fuel from waste, e.g. synthetic alcohol or diesel

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 都市ごみ焼却炉、廃熱回収ボイラおよびこれ
らのプラントに配設されている各種環境設備が抱えてい
る運転環境の腐食性と性能低下を改善するための添加剤
およびその使用方法を提供する。 【解決手段】 金属塩化物および/または塩化水素ガス
を発生させる都市ごみ焼却プラントに単体硫黄、無機硫
黄化合物および有機硫黄化合物から選ばれた1種以上を
主成分とする添加剤を加え、都市ごみの燃焼エネルギー
によって硫黄酸化物を発生させて、焼却残渣物中の金属
塩化物を金属硫酸塩化合物に変化させることによって、
焼却プラントの腐食性環境を改善することを特徴とす
る、前記の都市ごみ焼却プラント用防食添加剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼却処理によって
腐食性の金属塩化物や塩化水素ガスを発生させる都市ご
みおよび工業廃棄物の焼却プラントとその廃熱回収ボイ
ラの腐食防止用添加剤に関するもので、工業用水、下水
道処理プラントの汚泥の加熱、減容化処理プラントにも
適用できる。また、都市ごみおよび工業廃棄物の一次燃
焼残渣物のさらに加熱減容化させる処理にも適用でき
る。
【0002】
【従来の技術】毎日、排出される都市ごみの量は、生活
水準の向上とともに増加の一途をたどり、その大部分は
焼却により処理されている。都市ごみの焼却システムに
ついては、いくつかの方法が知られている。その代表的
な方法は、火格子燃焼および連続式機械炉による方式で
ある。すなわち、ごみバンカに貯留されたごみは、クレ
ーンで炉のホッパーに投入され、火格子上で燃焼され、
焼却灰は水で冷却した後、埋め立て処分場に搬送され
る。
【0003】一方、火格子の下から導入される空気によ
って燃焼する都市ごみの燃焼ガス温度は900℃〜11
00℃に達するので、これを廃熱ボイラに導入して熱回
収を行い、その後集じん機で除じん、脱硝、脱硫、脱塩
処理などを経て、有害成分を除去した後、煙突から大気
へ放出されている。
【0004】都市ごみの中には、一般家庭や料理店、飲
食店からの厨房残渣物が多く、その中には食塩(NaC
l)を含む調味料が多量に含まれている。また、包装紙
や容器類として使用されるプラスチックス(例えば塩化
ビニル、塩化ビニリデンなど)が多く、その多くは塩素
化されているため、これらを焼却すると、極めて腐食性
の激しい塩化水素ガス(HCl)となり、ときにはその
一部が酸化されて塩素ガス(Cl2)に変化し、焼却設
備および廃熱回収ボイラの伝熱管を甚だしく腐食損耗さ
せる。
【0005】他方、都市ごみ中には、アルミニウム缶、
亜鉛めっきや錫めっき製品をはじめ各種の使用済み乾電
池類などの金属製品も含まれているので、これらは燃焼
ガス中のHCl、Cl2などと反応して低融点で腐食性
の強い金属化合物(例えばAlCl3、ZnCl2、Sn
Cl2など)を生成し、焼却設備や廃熱回収ボイラの伝
熱管部に付着して、いわゆる溶融塩腐食反応を誘発させ
る原因となっている。例えば、ごみ焼却設備では、耐熱
鋳鋼(SCH13)製の火格子をはじめ、耐火レンガの
支持金具などが短期間で甚だしく腐食損耗してその機能
を喪失する。また廃熱ボイラにおいても、金属塩化物を
主成分とする燃焼残渣物が伝熱面に付着してこれを腐食
させるため、長時間にわたって安定した運転ができない
問題がある。腐食反応は高温になるほど顕著になり、現
在までの運転経験などから、廃熱ボイラは蒸気温度を3
30゜C〜350゜C程度に抑制して運転することを余
儀なくされており、折角の高温状態の都市ごみ燃焼排ガ
スを有効に利用できない状況にある。以上のような状況
に対応するため、次のような技術的対策が考えられ一部
で実施されている。
【0006】(1) 火格子材料やボイラ伝熱管材料を
改善して耐食性を向上させる。 (2) ボイラ伝熱管、特に温度の高い過熱器管には耐
食性を有するセラミックスを被覆する。 (3) ボイラ伝熱管面にNi-Cr合金材料を溶射被
覆する。 (4) 高温の都市ごみ燃焼ガス中に水を散布して、そ
の温度を低下させ、腐食性を緩和する。 (5) 都市ごみを一般焼却材とプラスチックまたは金
属などの不燃品などに分別して、なるべく腐食性の塩類
やガスを発生させないようにする。
【0007】しかし(1)の金属材料の耐食性向上策
は、高価なNi,Crなどの含有量の増加を招くため、
経済的でないばかりか、例えばボイラ伝熱管として各種
のステンレス鋼管やNi-Cr合金管を使用したとして
も、金属塩化物やHClガスに対して十分な耐食性を期
待することはできない。(2)のボイラ過熱器管などに
セラミツクスを被覆した場合には、ボイラの運転と停止
に伴う熱衝撃によって被覆に割れや局部的剥離が発生す
るため、十分な効果を発揮することができない。(3)
のボイラ伝熱管へのNi-Cr合金の溶射施工は、腐食
減少と伝熱管への対症療法としての価値を有するものの
廃熱ボイラ蒸気温度の高温化対策としては十分でない。
【0008】(4)の高温の都市ゴミ燃焼ガス中への水
の散布は、燃焼ガスの保有する熱エネルギーの損失を招
くとともに、ボイラ出口に設けられている集じん装置、
脱硫、脱硝、脱塩装置および煙突などに対する硫酸露点
腐食や塩酸露点腐食を助長させる原因となっている。
(5)の都市ごみの分別処理は、燃焼条件や燃焼ガス成
分の定常化には寄与するものの、その腐食性の軽減に対
しては、抜本的対策とはなっていない。
【0009】一方、石油系の燃料特に重油、アスファル
ト、石油コークス、石油精製の残渣油などの燃焼エネル
ギーを熱源とするボイラ・ガスタービン機関では、燃焼
ガス中に含まれている 硫黄、バナジウム、ナトリウム
化合物に起因する腐食を防止したり燃焼排ガスの公害対
策の一環として従来から多種、多様な燃料添加剤が提案
され、一部で実用化されている。例えば、石油系の燃料
灰中に含まれる硫黄およびバナジウム化合物に起因する
腐食作用を抑制するためFe,Al,Zn,Sn,C
o,Cu,Ca,Ba,Mgなどの金属化合物を燃料中
あるいは燃焼ガス中に投入するものとして、 特公昭2
9−8430号公報 特公昭43−9663号公報、
特公昭48−29283号などがある。また燃焼排ガス
対策として、NOx,SOxおよびばいじんなどの発生量
を抑制することを目的として燃料中に注入するFe,P
b,Co,Mn,Fe,Cu,Ba,Mgなどの金属あ
るいは金属化合物を主成分とする添加剤が次に示すよう
な公報に開示されている。
【0010】特公昭30−3080号公報,特公昭31
−6525号公報,特公昭36−4226号公報,特公
昭39−11486号公報,特公昭39−11487号
公報,特公昭43−9663号公報,特公昭52−36
883号公報,特公昭56−15756号公報,特公昭
56−15757号公報,特公昭56−52951号公
報,特公昭48−29283号公報,特開昭53−43
706号公報,特開昭59−145403号公報,特開
昭52−151304号公報,特公平3−62754号
公報,特公平5−79117号公報,特開昭56−64
204号公報。また、以上の各種の金属化合物は酸化
物、水酸化物、炭酸塩または有機化合物として用いられ
ており、後述するように本発明が特徴とする硫黄および
硫黄化合物を含む添加剤は全く開示されていない。
【0011】さらに、従来の各種添加剤は石油系の燃料
用として開発されたものであるため、石油系燃焼ガス中
では有用な作用を示すが、これらの添加剤を腐食性の強
い金属塩化物や塩化水素ガスを発生させる都市ごみの燃
焼ガス中に投入すると、却って焼却プラントを甚しく腐
食損耗させることとなる。例えば、石油系燃焼ガス中で
は、腐食性のバナジウム化合物と反応して、その融点を
高めて固体化させて腐食反応を緩和させるMg化合物で
も、都市ごみの燃焼ガス中では、その中に含まれている
塩化水素ガス(HCl)と反応してMgCl2を生成す
る。このMgCl2はJlSG0576ステンレス鋼の
42%塩化マグネシウム腐食試験方法において、ステン
レス鋼の応力腐食割れ試験液として使用されており、極
めて腐食性の強い塩化物に変化するものである。Mgと
同族のBa,Caはもとより他の金属化合物もすべて塩
化物となり、却って腐食性を助長させる原因となるの
で、これらの防食添加剤を金属塩化物やHClガスを発
生させる都市ごみ焼却プラントに直接用いても全く効果
はない。
【0012】同じような理由で、金属塩化物を含み、か
つ加熱処理によって塩化水素ガスを発生させる工業廃棄
物や工業用水、家庭用下水の最終処理時に発生する残渣
物や汚泥類の焼却、減容化処理プラントに対しても、前
掲の先行技術では全く効果は認められない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な都市ごみ焼却炉、廃熱回収ボイラおよびこれらのプラ
ントに配設されている各種環境設備が抱えている運転環
境の腐食性と性能低下を改善するための添加剤およびそ
の使用方法を提供するものである。すなわち、都市ごみ
焼却炉およびその廃熱回収ボイラの伝熱管に付着してい
る燃焼残渣物(灰)中の腐食成分および燃焼ガス中に含
まれている気相状態の腐食成分は、後述するように残渣
物中では金属塩化物、気相成分ではHClであり、これ
らの腐食成分が焼却炉および廃熱回収ボイラの腐食損傷
を促進させている最大の原因となっている。
【0014】一般に塩化物を主成分とする燃焼残渣物
は、低融点を示すため、焼却炉や廃熱回収ボイラの運転
環境下では、溶融状態となって金属面に付着し、保護機
能を有する金属の酸化膜を化学的に溶解除去する一方、
金属材料そのものに対しても強い腐食作用を示し、これ
を損耗させる。また気相状態のHClもボイラ伝熱面を
はじめ、各種環境設備の構成部材上に形成されている保
護性の酸化膜を化学的に破壊して、その保護機能と皮膜
再生機能を消失させるため、腐食速度を早める要因とな
っている。これらの化学反応を要約すると概略次の通り
である。 Fe34+6HCl→3FeCl2+3H2O+1/2O2 ここでFe34はボイラ伝熱管および各種環境設備部材
の表面に形成している保護性酸化膜である。
【0015】また、都市ごみ焼却炉およびその廃熱回収
ボイラは、ひとたび運転を開始して塩化物を主成分とす
る燃焼残渣物が金属面に付着すると運転を停止した場合
でも残渣物中の金属塩化物が雰囲気中の水分を吸収して
加水分解し、腐食性の強い塩化水素酸(通常塩酸と呼ば
れその化学式はHCl)を生成して金属を腐食すること
も無視できない状況にある。
【0016】本発明は、以上のような問題を抱えている
現在の都市ごみ焼却炉、廃熱回収ボイラ、生活廃水、工
場廃水中に含まれている汚泥焼却炉およびこれらのプラ
ントに配設されている脱硫、脱硝、脱塩、集じん装置な
どの環境設備類の腐食損傷と性能低下が燃焼残渣物中の
金属塩化物と燃焼ガス中のHClに原因することに注目
し、これを添加剤によって硫酸塩に転換させて、環境の
腐食性を緩和させるとともに、廃熱回収ボイラの蒸気温
度の高温、高圧化を可能とし、熱回収効率を高めて熱エ
ネルギーの有効利用をはかり、さらに前記プラント、装
置類の性能を長期間にわたって、高い状態に維持するこ
とにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、前項の問題点
を解決するため、次に示すような手段を採用した。金属
塩化物および/または塩化水素ガスを発生させる都市ご
み焼却プラントに、または金属化合物を含み、また焼却
環境において塩化水素ガスを発生させる焼却残渣物、汚
泥などの加熱減容化物に対し、防食添加剤を加え、都市
ごみの燃焼エネルギーによって硫黄酸化物を発生させ
て、焼却残渣物中の金属塩化物を金属硫酸塩化合物に変
化させることによって、焼却プラントの腐食性環境を改
善するものである。前記の添加剤としては、単体硫黄、
無機硫黄化合物および有機硫黄化合物から選ばれた1種
以上を主成分とするもの、もしくはこれにCa,Mg,
Al,FeおよびSiよりなる群から選ばれた少なくと
も1種の元素を含む化合物とからなる添加剤を加えたも
の、または加熱または燃焼によって硫黄酸化物の発生温
度の異なる単体硫黄、無機硫黄化合物および有機硫黄化
合物から選ばれた1種以上の化合物から構成されている
もの、またはアンモニウム化合物またはアンモニウム硫
酸塩化合物を主成分とするもの、さらにこれらの添加剤
を澱粉質ニカワ質もしくは高分子材料を粘結剤としてペ
レット化したもの、また前記の単体硫黄、硫黄化合物を
含む水溶液やスラリー状態としたものがある。
【0018】以上のように本発明の防食添加剤は都市ご
みとともに燃焼させることができるのでその取扱いは都
市ごみと全く同じ操作でよく、また有機化合物として加
硫処理された古タイヤなども一緒に燃焼することによっ
て、本発明の効果が得られるので、古タイヤの焼却処理
としても活用できるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】都市ごみの種類およびその内容
は、大都市と地方都市によって多少の相違はあるもの
の、これを燃焼することによって生成するガス中の主要
腐食成分はHClであり、また燃焼残渣物として残留す
る成分中の腐食成分の大部分は金属の塩化物である。第
1表は都市ごみの焼却ガス、第2表はその都市ごみの燃
焼ガス回収ボイラの伝熱面に付着していた燃焼残渣物の
化学分析結果およびX線回折結果を示したものである。
〔(社)日本鉄鋼協会、講演論文集「材料とプロセス」
第127回(春季)講演大会概要 Vol 7、No.3 70
2頁(1994)〕。
【0020】これらの表から明らかなように燃焼ガスに
SO2の存在は認められるものの、その含有量は非常に
少なく、HClが圧倒的に多い。また、ボイラ伝熱面に
付着している燃焼残渣物中の金属成分としては、Fe,
Al,Si,Cu,K,Na,Ca,Mg,Zn,Pb
などが含まれ、これらの金属は大部分が塩化物として存
在し、硫酸塩として含まれている割合は少ない。このた
めこれらの付着物の融点は317〜342℃と非常に低
く、ボイラの運転環境下では溶融状態にあることが推定
される。
【0021】そこで本発明では、都市ごみ燃焼残渣物中
に含まれている金属の塩化物を硫黄を含む添加剤によっ
て硫酸塩に変化させることにより、その腐食性を緩和さ
せようとするものである。すなわち、次に示す化学反応
式のように、塩化物を高温状態の硫黄を含む添加剤から
発生する硫黄酸化物(SO2,SO3)と反応させて、熱
力学的に安定な硫酸塩に変化させるものである。 2KCl+SO2+H2O+1/2O2→K2SO4+2HCl (1) ZnCl2+SO2+H2O+1/2O2→ZnSO4+2HCl (2) SnCl2+SO3+H2O→SnSO4+2HCl (3) PbCl2+SO3+H2O→PbSO4+2HCl (4) 以上の塩化物と硫酸塩の融点を比較すると下記表1に示
すように硫酸塩の方がはるかに高く、ボイラ伝熱管上で
は固体として存在するため、その腐食性は溶融状態にあ
る塩化物に比較して極端に低下することになる。
【0022】
【表1】
【0023】また、本発明は前記塩化物を硫黄を含む添
加剤から発生する硫黄酸化物(以下SOxという)によ
って硫酸塩に変化させる際に、添加剤中に硫黄単体、有
機硫黄化合物、無機硫黄化合物などとともに、必要に応
じてCa,Mg,Fe,AlおよびSiから成る群のう
ち、少なくとも1種の元素の化合物、例えば水酸化物、
酸化物または炭酸塩を添加することを特徴とする。これ
らの化合物(Ca,Mg,Fe,Al,Si)は単独で
都市ごみ中に添加すると、燃焼ガス中のHClと反応し
て塩化物を形成し、却って腐食環境を強くすることとな
る。しかし、燃焼ガス中に硫黄を含む添加剤に由来する
SO2,SO3が多量に含まれていると、HClが共存し
ていてもSO2,SO3との反応が優先して金属硫酸塩が
生成し、これがボイラ伝熱管表面に付着する一方、気相
状態のHClのボイラ伝熱管への直接接触を防ぎ、これ
を保護する役目を果すこととなる。これらの金属元素の
塩化物と硫酸塩の融点を下記表2に示すが、ここでも硫
酸塩の融点の方が塩化物より高いことがわかる。
【0024】
【表2】
【0025】なお、SiO2 はそれ自体腐食反応を示さ
ないうえ、常時固体として燃焼残渣物中に存在して腐食
成分の濃度上昇を物理的に抑制するとともに、腐食性の
溶融塩のボイラ伝熱管への付着を阻害して、腐食反応を
間接的に防止する作用がある。次に本発明の添加剤が有
効に作用する燃焼ガス中の気相状態のHClとの反応に
ついてその作用機構を説明する。
【0026】都市ごみ焼却炉から発生する燃焼ガス中に
は第1表に示したように多量のHClが含まれている
が、本発明の硫黄化合物を含む添加剤として例えば硫酸
アンモン(NH4)2SO4を添加すると、燃焼ガス中で3
57℃に達すると次に示すように分解してNH3を放出
して酸性硫酸アンモン(NH4HSO4)を生成する。 (NH4)2SO4 → NH4HSO4 +NH3 (5) ここで発生するNH3 は気相状態のHClと反応して塩
化アンモン(NH4Cl)となり、約340℃以下では
微粉状の固体となる。NH4Cl は水に溶けやすく、ま
た電気集じん装置などに補集され易くなるので、廃熱回
収ボイラの下流側に配設されている環境装置類によって
除去が容易となり、同時に腐食性のHClを中性に近い
NH4Clに変化させることによって腐食防止効果も期
待できる。 NH3 + HCl → NH4Cl (6)
【0027】(5)式で生成するNH4HSO4は、147
℃で溶融して金属材料に対して腐食性を示すことがある
が、このような場合にはCa,Mg,Al,Fe,Si
などの化合物の1種以上を同時に添加しておけば、その
腐食性を防止することが可能である。(6)式の反応のみ
を期待する場合には、炭酸アンモン(NH4)2SO3
酸性炭酸アンモンNH4HSO3、カルバミン酸アンモン
NH2COONH4なども使用できる。
【0028】本発明の防食添加剤中に含まれる硫黄化合
物として、単体硫黄、無機硫黄化合物、有機硫黄化合物
が適している。これらの硫黄化合物は高温状態に曝され
ると硫黄酸化物(SO2,SO3)に変化して塩化物を硫
酸塩に変化させる役割を果たす。無機硫黄化合物として
は、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム、
硫酸コバルト、硫酸鉄、硫酸ニッケル、硫酸水素アンモ
ニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン、硫酸銅などの
硫酸塩類、硫化アンモニウム、硫化水素、硫化水素アン
モニウム、硫化鉄、硫化銅、硫化ニッケル、硫化コバル
ト、硫化クロムなどの硫化物類が挙げられる。有機硫黄
化合物としては、メルカプタン類、有機硫化物、有機二
硫化物、チオフェンおよびその同族体、加硫ゴム中の有
機硫黄化合物、石炭中の硫黄化合物、石油中の硫黄化合
物などを用いることができる。
【0029】以上説明した通り、本発明の防食添加剤
は、硫黄化合物を含み、これが都市ごみの燃焼環境でS
x を発生させ、このSOx が都市ごみ燃焼残渣物中の
金属塩化物と反応して、腐食性の少ない金属硫酸塩化合
物に変化させるものである。しかし、硫黄化合物の種類
によっては、分解温度が高く、都市ごみの燃焼環境でも
相当高い温度でないと、分解してSOx を発生しない化
合物がある。例えばCaSO4 (分解温度約1200
℃)MgSO4 (同1185℃)などがその代表的な化
合物である。したがって硫黄化合物であっても、これら
の高分解温度化合物を都市ごみ燃焼中に添加しても、低
い燃焼温度環境下では、金属塩化物による腐食が発生し
ているにも拘らず、この作用を防止できない欠点があ
る。そこで本発明では都市ごみが燃焼を開始して、腐食
性の塩化水素ガスや金属塩化物の生成がはじまる250
℃〜350℃の温度において燃焼したり、あるいは熱分
解してSOx を発生させる化合物を添加する一方、中温
350℃〜700℃、高温700℃以上の温度で分解し
てSOx を発生する化合物を配合して都市ごみ焼却プラ
ントの全温度領域において腐食防止作用を発揮させるよ
うにした。
【0030】ここで250℃〜350℃の低温度環境で
SO2 を発生する化合物としては単体硫黄(この温度で
燃焼してSOxを発生)、硫酸(330℃で分解)、(N
4)2SO4(120℃で分解)、Ti(SO4)2 (15
0℃で分解)、K227(300℃で分解)、各種有
機硫黄化合物(メルカプタン類、有機硫化物、チオフェ
ンなど)がある。350℃〜700℃の中温度領域でS
x を発生させる化合物として、FeS(642℃)、
Na227(460℃)、CoSO4(700℃)、F
2(SO4)3(480℃)、各種有機化合物(石灰中お
よび石油中の硫黄化合物、加硫ゴム中の硫黄化合物)な
どがある。
【0031】また、700℃以上の高温で分解する化合
物としてはMgSO4(1185℃)CaSO4(120
0℃)、BaSO4(1149℃)などが実用的であ
る。またこれらの分解温度の異なる化合物の配合割合い
は都市ごみの質によって変わるが、通常 低温度環境で
SOx を発生する化合物 5〜60wt% 中温度環境でSOx を発生する化合物10〜50wt% 高温度環境でSOx を発生する化合物 5〜50wt% の範囲が好適である。
【0032】都市ごみや工業廃棄物の燃焼残渣物、各種
汚泥類を、さらに灼熱して減容化処理したり、塩化物を
含む汚泥を加熱減容化する設備では、中温や高温度環境
でSOX を発生する化合物の割合いを多くすることが望
ましい。なお、本発明の防食添加剤を実用するに当って
は、粉体状、水溶液またはスラリー状でも性能的には変
わらないがペレット状にした方が運搬、保管および使用
時に便利である。そのため粉末状の化合物を澱粉質、ニ
カワ質、酢酸ビニールなどの高分子材料を結合剤として
加えてもよく、また(NH4)2SO4自体が結合剤の役目
を果すので、これを用いてペレット化してもよい。
【0033】最近増加の一途を辿る都市ごみの燃焼エネ
ルギーを積極的に利用するため都市ごみを固形化してこ
れをボイラ用燃料として用いる方法が検討されている
が、本発明の防食添加剤を都市ごみと一緒に固形化して
燃焼すると金属塩化物の硫酸塩化合物への変化が一段と
促進されるので好都合である。同じような理由から都市
ごみの燃焼残渣物、汚泥などの燃焼・減容化に際しても
本発明の防食添加剤を混合してペレット化したり、さら
に大きく塊状に加工すれば搬送、貯蔵、焼却処理などの
取扱いが便利であり、より一層好適に使用することがで
きる。
【0034】
【実施例】
(実施例1)ボイラ伝熱管材料を試験片とし、これに都
市ごみ燃焼残渣物を模擬した合成灰および本発明の添加
剤を加えた模擬灰を塗布した後、電気中で腐食試験を行
って添加剤の防食効果を調査した。第1図は高温腐食試
験を行った電気炉の概要を示したものである。腐食媒体
(6)を塗布した試験片1を管状型電気炉2の中央を貫
通する石英管3の中央部に静置し、石英管3の一端から
都市ごみの焼却ガス組成を模擬したガスを導入しつつ、
所定の温度で一定時間腐食試験を行った。なお図中の4
は試験片の受皿、5は発熱体である。腐食量の評価は、
試験前後における試験片の重量変化から求めた。
【0035】(1) 供試試験片 ボイラ用低合金鋼管(STBA24)幅25×長さ50
×厚さ5mm (2) 腐食媒体(試験片面積1cm2当り20mg塗
布) PbCl2(30wt%)+FeCl2(30wt%)+NaCl(20wt%)+KCl(2
0wt%) PbCl2(65wt%)+KCl(25wt%)+PbSO4(8wt%)+K2SO4(2w
t%) (3) 本発明の添加剤 Fe2(SO4)3 FeS (NH4)2SO4 およびの腐食媒体中に本発明の添加剤を重量比で
1:1となるように添加した。 (4) 腐食雰囲気 HCl(1000ppm)+SO2(50ppm) 残り空気 SO2(1000ppm) 残り空気 (5) 試験温度および時間 550℃×20時間 以上の結果を下記表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】この結果から明らかなように比較例の都市
ごみ燃焼残渣物を模擬した腐食媒体はHCl 1000ppm
+SO2 50ppmの模擬ガス中では強い腐食性を示す。こ
れに対し本発明の硫黄化合物を含む添加剤を重量比で
1:1添加すると、模擬ガス中でも腐食量はいずれの添
加剤の場合でも軽減する。特に雰囲気ガスがSO2 に変
化するとその効果は一層顕著となる。この原因は硫黄化
合物を含む添加剤が試験温度において、SO2 を発生し
て腐食媒体中の塩化物を硫黄塩に変化させてその腐食性
を低下されたためである。
【0038】例えば、腐食媒体中の塩化物としてNaC
l,PbCl2,FeCl2をとり上げると、 2NaCl+SO2+1/2 O2+H2O →Na2SO4+2
HCl PbCl2+SO2+1/2 O2+H2O→PbSO4+2H
Cl FeCl2+SO2+1/2 O2+H2O→FeSO4+2H
Cl 試験雰囲気中のガスがSO2 1000ppm となると腐食量が
一層低下するのも、上記諸反応のSO2 として作用し、
塩化物を硫酸塩に変化させるからである。このことか
ら、本発明の添加剤はそれ自体がSO2 発生源となる
が、使用環境中にSO2 が多量に存在すると、さらにそ
の防食効果が上がるものである。
【0039】(実施例2)本実施例では、模擬燃焼残渣
物中に含硫黄添加剤を加えた際、同時にCaO,Mg
O,Al23,Fe23およびSiO2 を共存させた場
合の防食効果について調査した。腐食試験装置は実施例
1で用いたものと同様である。 (1) 供試試験片 実施例1で用いたものと同じ (2) 腐食媒体 (試験片面積1cm2 当り20
mg塗布) PbCl2(30wt%)+FeCl2(30wt%)+NaCl(20wt%)+KCl(2
0wt%) (3) 本発明の含硫黄化合物を含む添加剤 Fe2(SO4)3 S (単体硫黄) FeS CuS (NH4)2SO4 (4) 含硫黄化合物と同時に添加する添加剤 CaO MgO Al23 Fe23 SiO2 なお、上記腐食媒体および添加剤の混合割合と試験片に
対する塗布量は次の通りであり、腐食媒体量は比較例と
同量とした。 腐食媒体(20mg/試験片面積1cm2)+含硫黄化
合物添加剤(10mg/cm2)+非硫黄添加剤(5m
g/cm2) (5) 腐食雰囲気 HCl(1000ppm)+SO2(50ppm) 残り空気 SO2(1000ppm) 残り空気 (6) 試験温度および時間 550℃ × 20時間 以上の結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】この結果から明らかなように、比較例の腐
食媒体はHClを含む雰囲気中で強い腐食性を示すのは
実施例1と同様である。本発明の含硫黄化合物と非硫黄
化合物を同時に添加した場合(NO.2〜6)は、HCl
を含む雰囲気中で腐食媒体を腐食性を緩和させるととも
に、特にSO2を含む雰囲気中では優れた防食作用を発
揮することが判明した。この原因は、非硫黄添加剤のう
ちCaO,MgOはそれぞれ腐食性のないCaSO4
MgSO4を生成して腐食媒体中の硫黄ポテンシャルを
上げて塩化物の腐食作用を抑制し、Ai23,Fe23
は一部は硫酸塩を生成して、腐食作用を抑制する一方S
iO2などと同様酸化物として塩化物と共存し、腐食成
分量を物理的に希釈することによって、試験片の腐食を
防止しているものと考えられる。
【0042】(実施例3)本実施例では都市ごみ焼却プ
ラントに配置されている脱硫、脱硝、脱塩およびばいじ
ん類の集じん装置に対する本発明の添加剤の効果を調査
した。この実験に用いた都市ごみ焼却プラントで発生す
る燃焼ガスの組成および燃焼残渣物の主要成分は、下記
表5および表6に記載のBボイラのものである。
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】(1) 本発明の添加剤の種類 Fe2(SO4)3 (NH4)2SO4 (NH4)2SO4+Mg(OH)2 (重量比1:0.
3) (2) 添加剤の使用量 都市ごみの焼却量に対し1wt% となるように本添加剤を
添加した。なお比較例は添加剤を用いない現行の焼却プ
ラントの運転時のものである。
【0046】(3) 評価方法 本添加剤の評価は都市ごみ焼却プラントに接続して配設
されている廃熱回収ボイラ出口の排ガス、排ガス中に含
まれているダスト類のpH(水素イオン濃度)および集
じん装置に取り付けた試験片(SS400)の腐食減量
を測定することによって行った。以上の実験結果を下記
表7に要約した。
【0047】
【表7】
【0048】この結果から明らかなように、無添加の都
市ごみ燃焼ガスと(NO 1)のpHおよびその中に含まれ
ているダストのpHはともに低く、また、これらのガス
とダストを取扱う集じん装置に取付けた試験片の腐食量
は最も大きい。したがって集じん装置とともに公害防止
用として設置されている脱硫、脱硝、脱塩装置も強い腐
食作用を受けていることがうかがえる。さらに単にMg
(OH)2を添加したもの(NO.2)でも低pHと腐食性
の低下は殆んど認められない。この理由はたとえMg
(OH)2を添加しても、燃焼排ガス中に多量に含まれて
いるHClと反応してMgCl2を生成して強い腐食性
を発揮するためである。
【0049】これに対し、本発明の硫黄を含む添加剤
(NO.3,4)およびこれにMg(OH)2 を同時に添加
(NO.5)した場合には、ガスおよびダストのpH低下
は抑制するとともに腐食量比も55〜65に低下する効
果がある。特に(NH4)SO4が添加された場合はダス
ト中の金属塩化物が硫酸塩に変化するとともに、気相状
態のHClもNH3によって中和され、腐食性の弱いN
4Clに変化させる効果があるためと考えられる。
【0050】(実施例4)本実施例では、分解温度の異
なる含硫黄化合物を4種類混合した防食添加剤を調整
し、その効果を調査した。 (1) 供試試験片と寸法 実施例1と同じ鋼材、同寸法のものを使用 (2) 腐食媒体(試験片1cm2 当り 20mg塗
布) PbCl2(30wt%)+FeCl2(30wt%)+NaCl(20wt%)+KCl(20wt
%) (3) 本発明の添加剤 下記4種類の分解温度の異なる含硫黄化合物および単体
硫黄を混合したものを調整した。 硫黄粉末 1wt% (200℃以上でSO2発生) , (NH4)2SO4 30wt% (分解温度 120℃) Fe2(SO4)3 30wt% (分解温度 480℃) CoSO4 29wt% (分解温度 700℃) (4) 比較例の添加剤 比較例として分解温度の高いMgSO4 (分解温度 1
185℃) CaSO4 (分解温度1200℃)を用い
た。
【0051】以上の腐食媒体(20mg/cm2) に対
し、本発明の添加剤および比較例の高分解温度硫黄化合
物をそれぞれ(10mg/cm2)になるように添加し
て腐食試験を行った。 (5) 腐食雰囲気 HCl(1000ppm)+SO2(50ppm) 残り空気 (6) 試験温度および時間 550℃ × 20時間 650℃ × 20時間 以上の腐食試験結果を下記表8に示す。
【0052】
【表8】
【0053】この結果から明らかなように腐食媒体のみ
の場合には550℃で320mg、650℃で390m
gの腐食量が認められる。これに含硫黄化合物のMgS
4(NO.2)CaSO4(NO.3)を添加しても、分解し
てSO2を発生する温度が高い化合物では防食効果が殆
んど認められない。これに対し本発明の添加剤は、分解
温度の異なったり200℃でSO2 を発生する硫黄を加
えているため550℃,650℃の試験温度において優
れた防食作用を示すことが判明した。
【0054】(実施例5)本実施例では都市ごみ焼却炉
の燃焼残渣物をさらに1200℃以上の高温に加熱して
残渣物を減容するとともに残渣物中に含まれいる金属塩
化物を完全に分解して、無害化をはかる装置に本発明の
防食添加剤を適用した。 (1) 燃焼残渣物 都市ごみ焼却炉の炉底および燃焼排ガスのフィルターに
付着しているバイジン類を試料としたが、その化学成分
は、金属成分としてFe,Al,Si,Cu,K,N
a,Ca,Mg,Zn,Pbなどを含み、X線回折結果
によるとNaCl,KCl,CaCl2,CaSO4,F
23,FeAl4Si518が検出されるほか成分の確
認が不可能なピークが多数認められたものである。X線
回折結果から明らかなように化合物の大部分は金属塩化
物である。
【0055】(2) 本発明の添加剤と使用量 上記燃焼残渣物200gに対し、本発明の添加剤CaS
4 (分解温度700℃)20g+MgSO4 (分解温
度11850C)20gをよく混合したものを準備し
た。なお比較例として燃焼残渣物のみを1200℃以上
に加熱することとした。
【0056】(3) 腐食実験 水冷機構を有するNi基合金(Cr:22.0wt%−
Fe:18.5wt%−Mo:9.0wt%−Co:1.
5wt%−W:0.6wt%−Ni:残り%)製のルツ
ボに残渣物を入れ、水冷しつつ容器の上部からArプラ
ズマ炎(4000℃〜5000℃)を残渣物に直接吹き付け、12
00℃以上に10分間加熱した。この操作を新しい残渣物
に入れ替、計30回宛繰返した後のNi基合金製容器の
侵食状況を調査した。その結果、燃焼残渣物のみを加熱
した場合の容器の最大侵食深さは12μmであったが、
本発明の添加剤を混合したものは8μmにとどまってお
り、1200℃以上の高温環境においても優れた防食効
果のあることが認められた。なお、実施例4では防食作
用を示さなかったMgSO4 が、本実施例で効果を発揮
したのは本実験のように1200℃以上の環境ではMg
SO4が分解してSOxを発生し塩化物の防食作用を抑制
したものと考えられる。
【0057】
【発明の効果】以上の実施例で示したように本発明の硫
黄を含む添加剤を都市ごみ焼却プラントおよび汚泥焼却
炉の燃焼部に投入することによって、燃焼ガス中のSO
X 分圧を上げて、金属塩化物を硫酸塩化合物に変化させ
て焼却プラントおよびこれに付属している廃熱回収ボイ
ラ、各種環境公害防止装置の腐食性を緩和することがで
きる。この結果都市ごみおよび汚泥焼却プラントをはじ
めこれに関連する装置類の寿命を延長させ、性能の向
上、省エネルギーなどに大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】都市ごみ燃焼残渣物を模擬した腐食媒体、およ
びこれに本発明の防食添加剤を加えた腐食媒体を用いて
実施した、高温腐食試験装置の概略図である。
【符号の説明】
1 … 試験片、 2 … 管状型電気炉、 3 … 石英
管、4 … 試験片の受皿、 5 … 発熱体、 6 …
腐食媒体。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属塩化物および/または塩化水素ガス
    を発生させる都市ごみ焼却プラントに単体硫黄、無機硫
    黄化合物および有機硫黄化合物から選ばれた1種以上を
    主成分とする添加剤を加え、都市ごみの燃焼エネルギー
    によって硫黄酸化物を発生させて、焼却残渣物中の金属
    塩化物を金属硫酸塩化合物に変化させることによって、
    焼却プラントの腐食性環境を改善することを特徴とす
    る、前記の都市ごみ焼却プラント用防食添加剤。
  2. 【請求項2】 金属塩化物および/または塩化水素ガス
    を発生させる都市ごみ焼却プラントにおいて、焼却残渣
    物中の金属塩化物を金属硫酸塩化合物に変化させるため
    に用いる単体硫黄、無機硫黄化合物および有機硫黄化合
    物から選ばれた1種以上の含硫黄防食添加剤と、Ca,
    Mg,Al,FeおよびSiよりなる群から選ばれた少
    なくとも1種の元素を含む化合物とからなる添加剤を加
    えることによって、都市ごみ燃焼残渣物に起因する都市
    プラントの腐食障害を防止することを特徴とする、都市
    ごみ焼却プラント用防食添加剤。
  3. 【請求項3】 金属塩化物および/または塩化水素ガス
    を発生させる都市ごみ焼却プラントにおいて、燃焼残渣
    物中の金属塩化物を金属硫酸塩化合物に変化させるため
    に用いる含硫黄化合物が、加熱または燃焼によって硫黄
    酸化物の発生温度の異なる単体硫黄、無機硫黄化合物お
    よび有機硫黄化合物から選ばれた1種以上の化合物から
    構成されていることを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の都市ごみ焼却プラント用防食添加剤。
  4. 【請求項4】 金属塩化物および/または塩化水素ガス
    を発生させる都市ごみ焼却プラントに対しアンモニウム
    化合物またはアンモニウム硫酸塩化合物を主成分とする
    添加剤を添加し、燃焼残渣物中の金属塩化物を金属硫酸
    塩化合物に変化させるとともに、塩化水素ガスを塩化ア
    ンモンに変化させることによって、都市ごみ焼却プラン
    トに配設されている脱硫、脱硝、脱塩および集じん装置
    の腐食性の緩和とそれらの装置類の性能を向上すること
    を特徴とする、都市ごみ焼却プラント用防食添加剤。
  5. 【請求項5】 金属化合物を含み、また焼却環境におい
    て塩化水素ガスを発生させる焼却残渣物、汚泥などの加
    熱減容化物に対し、硫黄酸化物の発生温度の異なる単体
    硫黄、無機硫黄化合物および有機硫黄化合物から選ばれ
    た1種以上の化合物から構成された含硫黄化合物を添加
    して、金属塩化物を金属硫酸塩化合物に変化させて、そ
    の腐食性を緩和させることを特徴とする残渣物および/
    または汚泥の焼却・減容化用防食添加剤。
  6. 【請求項6】 金属塩化物および/または塩化水素ガス
    を発生させる都市ごみ焼却プラントあるいは、焼却残渣
    物、汚泥などの焼却・減容化処理プラントに対し、防食
    の目的で都市ごみ、燃焼残渣物、汚泥などに加えて燃焼
    させる添加剤が、単体硫黄、無機硫黄化合物および有機
    硫黄化合物から選ばれた1種以上の粉末から成り、かつ
    これを澱粉質ニカワ質もしくは高分子材料を粘結剤とし
    てペレット化したことを特徴とする請求項1〜3および
    請求項5のいずれかに記載の防食添加剤。
  7. 【請求項7】 金属塩化物および/または塩化水素ガス
    を発生させる都市ごみ焼却プラントあるいは、焼却残渣
    物、汚泥などの焼却・減容化処理プラントに対し、防食
    の目的で都市ごみ、燃焼残渣物、汚泥などに加えて燃焼
    させる添加剤が、単体硫黄、無機硫黄化合物および有機
    硫黄化合物から選ばれた1種以上のを含む水溶液または
    スラリー状態であることを特徴とする請求項1〜3およ
    び請求項5のいずれかに記載の防食添加剤。
  8. 【請求項8】 金属塩化物および/または塩化水素ガス
    を発生する都市ごみ焼却プラントあるいは燃焼残渣物、
    汚泥などの焼却、減容化処理プラントに対し、防食の目
    的で使用する単体硫黄、無機硫黄化合物および有機硫黄
    化合物から選ばれた1種以上の含硫黄物質を都市ごみ、
    燃焼残渣物、汚泥などと混合一体化させた後焼却処理す
    ることによって、焼却プラントの腐食性を緩和させるこ
    とを特徴とする請求項1〜3および請求項5〜7のいず
    れかに記載の防食添加剤の使用方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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WO2022054707A1 (ja) * 2020-09-08 2022-03-17 三菱重工業株式会社 燃焼設備及び燃焼設備の運転方法

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