JPH09241405A - 高反応性活性種の放出方法と固体表面の改質方法 - Google Patents

高反応性活性種の放出方法と固体表面の改質方法

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JPH09241405A
JPH09241405A JP5155696A JP5155696A JPH09241405A JP H09241405 A JPH09241405 A JP H09241405A JP 5155696 A JP5155696 A JP 5155696A JP 5155696 A JP5155696 A JP 5155696A JP H09241405 A JPH09241405 A JP H09241405A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高反応性の活性種を、紫外レーザーを用い、
高純度かつ高効率に放出させる方法およびその活性種を
用いて固体表面の構造特性や機能性を向上させる方法を
提供する。 【解決手段】 基板上に形成したマトリックス物質と光
反応性物質との混合物からなる固体層に、波長400n
m以下の紫外レーザーを照射することを特徴とする高反
応性の活性種の放出方法。この高反応性の活性種を固体
表面に接触させることを特徴とする固体表面の改質方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外レーザーによ
る高反応性活性種放出方法及び固体表面の改質方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】紫外域の高強度パルス光を発振するエキ
シマレーザーを用いた高分子材料に代表される有機材料
表面のプロセッシングは、有機材料の精密な表面処理・
表面加工法として、基礎および応用の両面から活発に検
討が進められている。一方、三宅らは、金属や半導体原
料の低温凍結ターゲットにレーザーアブレーションを行
いを用い、プラズマ化した原料を固体基板上に堆積させ
て、半導体、金属、誘電体の高純度薄膜を作成する方法
を報告している(特開昭63−177414)。この方
法では、原料ガス単体を低温の固体基板上に堆積させる
ことでターゲットを得ているが、他に媒体を含まない原
料だけの固体膜であるので、高強度のレーザー照射によ
って原料が原子オーダーまでに細かく分解されてプラズ
マ化している特徴がある。本発明者らはこれまでに、ヒ
ドラジン類存在下において紫外レーザー照射によりフッ
素系高分子成型品表面を親水化させる方法、および、親
水化表面に金属膜を堆積させる方法を見いだしてきた
(特公平7−5773および特公平7−5776)。親
水化表面は、レーザーによって気相中で光分解したヒド
ラジン分子が成形品表面と反応し、表面のF原子が引き
抜かれ、さらに、光分解物のH原子やNH2基が置換す
ることで得られる。しかし、光分解反応は気相中の拡散
雰囲気で起こるので、光分解物の組成や状態を精密に制
御することはできなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高反応性の
活性種を、紫外レーザーを用い、高純度かつ高効率に放
出させる方法およびその活性種を用いて固体表面の構造
特性や機能性を向上させる方法を提供することを課題と
する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、基板上に形成したマ
トリックス物質と光反応性物質との混合物からなる固体
層に、波長400nm以下の紫外レーザーを照射するこ
とを特徴とする高反応性の活性種の放出方法が提供され
る。また、本発明によれば、この高反応性の活性種を固
体表面に接触させることを特徴とする固体表面の改質方
法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いる光反応性物質とし
ては、紫外領域に吸収がある化合物であれば任意のもの
が用いられるが、紫外光照射によって容易に分解する物
質が望ましい。例えば、アジド化合物、アゾ化合物、カ
ルボニル化合物、酸無水物、ヒドラジン類、有機ハロゲ
ン化合物などが挙げられる。これらの物質は固体状、液
状、気体状であることができる。また、マトリックス物
質としては、紫外領域に吸収がない固体状、気体状又は
液体状物質で、容易には紫外光照射によって分解しない
物質が望ましい。例えば、希ガス、窒素ガス、二酸化炭
素などの不活性ガス、フッ素化アルカン化合物、アルカ
ン化合物、エーテル類、アルコール類などが挙げられ
る。
【0006】基板としては、熱伝導性が高く、マトリッ
クス物質と反応しない物質であればいずれでもよく、例
えば、銀などの金属基板、サファイヤ基板、ヨウ化セシ
ウム基板などが好適である。また、基板温度はマトリッ
クス物質が固化している温度であればよいので、アルカ
ン類などを用いる場合には200K以下に(好適には液
体窒素温度程度)、希ガスを用いる場合にはこの希ガス
のデバイ温度以下(典型的には20K以下)に設定すれ
ばよい。
【0007】本発明におけるレーザーとしては、出発原
料の吸収帯に一致する紫外光を発振する紫外レーザーが
適しており、特に、ArF(波長:193nm)、Kr
F(248nm)、XeCl(308nm)、または、
XeF(351nm)エキシマーレーザーが適してい
る。また、Nd+:YAGレーザー、色素レーザー、K
rイオンレーザー、Arイオンレーザーあるいは銅蒸気
レーザーの基本波長光を非線形光学素子などにより、4
00nm以下の紫外光領域の高調波に変換したものも有
効である。レーザーのフルエンスとしては、高分子やヒ
ドラジンの種類により異なるが、パルス幅がナノ秒程度
として約1mJ/パルス以上の高強度レーザーが望まし
い。
【0008】本発明においては、基板上にマトリックス
物質と光反応性物質との混合物からなる固体層(膜)を
形成させる。この固体層において、光反応性物質の割合
は、マトリックス物質に対して、50モル%以下であれ
ばよく、好ましくは1〜0.01モル%の範囲である。
【0009】基板上にマトリックス物質と光反応性物質
との混合物からなる固体層を形成するには、マトリック
ス物質が固化する低温度に保持されている基板上に、マ
トリックス物質と光反応性物質との混合物を接触させれ
ばよい。例えば、マトリックス物質が常温で液状物質で
ある場合、この液状マトリックス物質に光反応性物質を
混合又は溶解させ、この混合液又は溶液を、その低温基
板上に塗布すればよい。この場合の塗布方法としては、
スプレー法やキャスティング法等を採用することができ
る。低温基板上に光反応性物質を混入した液状マトリッ
クス物質を塗布すると、マトリックス物質は冷却固化さ
れ、基板上にはマトリックス物質と光反応性物質との混
合物からなる固体層(膜)が形成される。一方、マトリ
ックス物質が常温で気体状である場合には、そのマトリ
ックス物質が固体化する低温度、例えば、希ガスの場合
にはそのデバイ温度以下(20K以下)に冷却された基
板表面に、気体状マトリックス物質中にミスト状又は気
体状の光反応性物質を混入分散させた混合物をその低温
基板表面に吹付ければよい。低温基板上に吹付けられた
気体状混合物は、冷却固化され、基板上にはその混合物
からなる固体層が形成される。
【0010】本発明では、前記のようにして、基板上に
形成されたマトリックス物質と光反応性物質との混合物
からなる固体層に、紫外レーザーを照射する。固体層に
紫外レーザーを照射すると、その固体層中の光反応性物
質が紫外レーザーを吸収し、アブレーションにより高反
応性の活性種に変換されるとともに、この活性種は、気
体状物質としてその固体層からその上方に向けて放出さ
れる。この固体層から放出される活性種は、光反応性物
質が光分解したもので、ラジカル種やイオン種からなる
高反応性のものである。
【0011】本発明の固体表面の改質方法は、前記のよ
うにして固体層から放出された高反応性の活性種を固体
表面に接触させる方法である。固体表面に高反応性の活
性種が接触すると、その固体表面上の分子と活性種とが
反応し、その固体表面はその活性種の性状に応じて改質
される。例えば、その活性種が酸素原子や窒素原子を含
むものである場合には、その固体表面にはこのような原
子が結合されて、親水性に富む表面となる。逆に、その
活性種がフッ素原子を含む場合には、その固体表面には
フッ素原子が結合して撥水性に富む表面となる。
【0012】固体表面には有機固体表面、セラミックス
固体表面、金属固体表面等の各種の固体表面が包含され
る。有機固体表面としては、高分子成型品表面、例え
ば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂から形成された成形品
の固体表面等が挙げられる。これらの高分子成形品表面
は、その活性種に応じた種々の性状の改質表面に変換さ
せることができる。
【0013】次に、前記固体層における光反応について
さらに詳述する。紫外レーザーを低温の固体層に照射す
ると、光反応性物質がラジカル、カルベンやナイトレン
等の反応性中間体(活性種)に光分解する。反応場に不
活性なマトリックス環境を用いているために、光分解物
の副反応や連鎖反応が抑制されるので、これらの活性種
の寿命は飛躍的に長くなり、高純度で活性種をマトリッ
クス内に保持することができる。このとき、マトリック
ス環境を用いないと、生成した活性種の距離が近いため
に、活性種同士が反応することになり、副反応によって
純度の低い活性種しか得られない欠点がある。したがっ
て、マトリックス物質を用いることが本発明の重要な点
である。
【0014】さらに、紫外レーザーは高強度で基質に照
射できるので、パルスレーザーによって上記の光分解反
応を爆発的に進行させ、発生した反応熱で固体層を瞬間
的に気化・蒸発させること(アブレーション)が可能で
ある。このようなマトリックス場でのアブレーションに
よってパルス状に発生した気化物質は、飛散する方向に
指向性を生じ、また、気化物質は高純度の光分解物とマ
トリックス物質から構成されている。マトリックス物質
自体には反応性がないので、気化物質のビームを高分子
成形品などの有機材料表面に照射すると、光分解物だけ
がその表面と反応することになる。出発原料の化学構造
を精密に設計し、レーザー照射を最適化することで、高
機能表面を作成するに適した種々の反応性中間体(活性
種)を高純度・高濃度のパルスビーム状に得ることがで
きる。
【0015】本発明方法において、紫外レーザーの光強
度は、アブレーションが起こるしきい値強度よりも高い
強度で行なうことが必要である(約5mJ/cm2/パ
ルス以上)。しかし、マトリックス内で活性種を発生さ
せる過程では、水銀ランプのような低強度の定常光光源
を用いることもできる。また、低温基板上のマトリック
ス物質層は単一成分の光反応性物質を含む単層でもよい
が、複数の光反応性物質をマトリックス内に希薄に分散
させることや多層状に積層することも可能である。複数
の活性種を基材表面で混合・反応させることで、より反
応性の高い活性種を生成させることができる。複数の光
反応性物質を用いる場合には、それぞれの物質に適した
波長での照射が望ましいので、光照射を多波長で行うこ
とも効果的である。
【0016】真空容器内の温度85Kのサファイヤ基板
上に、マトリックス物質としてパーフルオロヘキサン
(1)と光反応性物質としてペンタフルオロフェニルア
ジド(2)を約100:1の混合モル比で固体層として
堆積させ、最適波長であるKrFエキシマレーザー(波
長248nm)を25mJ/cm2/パルスで照射した
したところ、アブレーションが観測された。固体層から
放出される気化物質の発光スペクトルを測定したとこ
ろ、パーフルオロフェニルナイトレン(3)からの発光
が検出され、その存在が確認された(図1)。ちなみ
に、(1)を用いずに(2)のみの固体層にアブレーシ
ョンを行ったところ、(3)からの発光は検出されなか
ったことから、マトリックス物質を用いることによっ
て、(3)が大量に発生していることがわかった。ま
た、レーザーの強度を2mJ/cm2/パルスに低下さ
せて、マトリックス物質内での光分解のみを行ったとこ
ろ、(3)の生成が紫外・可視吸収スペクトルから確認
されるとともに、マトリックス物質内で安定に存在して
いることが判明した。したがって、マトリックス物質内
に分散させた光反応性物質をレーザーで光分解すること
で、高効率に活性種を生成させることできる。
【0017】上記の方法で、発生させた活性種のビーム
をポリエチレンテレフタレート(PET)に照射したと
ころ、目視観察では表面に変化は認められなかったが、
X線光電子分光測定によって表面の元素分析を行ったと
ころ、処理前は炭素と酸素のピークのみが観測された
が、処理後は炭素、窒素、酸素、フッ素のピークが検出
された(図2および図3)。これは、(3)がPET表
面に化学結合を介して固定化されていることを示してお
り、化学反応性の高い(3)がPET表面と反応したこ
とが判明した。
【0018】これらの活性種の照射によって表面改質さ
れた高分子成形品などの有機材料は、バルクの諸特性が
保持されたままその表面層だけが高機能化されているた
めに、素材の長所を生かした上で、撥水・撥油性や親水
・親油性の向上、表面接着性、色素の吸着、非線形光学
特性、光反射・屈折特性、光導波路特性、医療材料、な
らびに、細胞の増殖基板などに応用範囲を広げることが
可能である。また、このような活性種による処理を多段
階で行うことによって、高機能性多層薄膜を作成するこ
とができる。
【0019】また、本発明は、高分子フィルムの改質し
たい部位に相当するマスク(金属板製パターンなど)を
通過させた活性種ビームを照射することで、希望する照
射部分のみに、表面処理を行なうことが可能である。一
方、エキシマレーザーのビームは、ヘリウム−ネオンレ
ーザー、アルゴン及びクリプトンイオンレーザーやNd
+:YAGレーザー等の他のレーザーのビームと比較し
て、ビーム形状は大きく、大量に活性種を発生させるこ
とができるので、大面積処理にも容易に対応できる。特
に、本発明では、紫外レーザーによる非熱的な光化学反
応により、活性種を発生できるので、極めて効果的に表
面処理を行なうことができる。
【0020】前記高分子成形品には、フィルム、シー
ト、繊維、繊維強化樹脂、樹脂成形品等の各種の材料が
包含され、必ずしも最終的な製品としての成形品である
必要はなく、その形状に限定はない。なお、対象となる
樹脂は、非晶性、結晶性、芳香族系、非芳香族系のいず
れにおいてもよく、炭化水素樹脂やフッ素樹脂のいずれ
か、これらの共縮重合物か、または、これらの混合物か
らなる合成樹脂であることができる。また、フッ素樹脂
と炭化水素モノマーとの共重合物においても同様に表面
を機能化することが可能である。
【0021】
【実施例】次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説
明する。 実施例1 真空容器内の温度85Kのサファイヤ基板上に、マトリ
ックス物質としてパーフルオロヘキサン(1)と光反応
性物質としてペンタフルオロフェニルアジド(2)を約
100:1の混合比(モル比)で固体層として堆積さ
せ、KrFエキシマレーザーを25mJ/cm2/パル
スで照射したしたところ、アブレーションが観測され
た。固体層から放出される気化物質の発光スペクトルを
測定したところ、パーフルオロフェニルナイトレン
(3)からの発光が検出され、(3)の存在が確認され
た(図1)。さらに、発生させた活性種のビームをポリ
エチレンテレフタレート(PET)に照射したところ、
目視観察では変化は認められなかったが、X線光電子分
光測定によって表面の元素分析を行ったところ、処理前
は炭素と酸素のピークのみが観測されたが、処理後は炭
素、窒素、酸素、フッ素のピークが検出された(図2お
よび図3)。以上の結果から、(3)がレーザー照射に
よって高効率に(2)から生成し、PET表面と反応す
ることで、化学結合を介して固定化されていることがわ
かった。また、PET表面の水に対する接触角は、その
活性種照射処理によって70度から110度に変化し、
撥水化していることが確認された。
【0022】実施例2 真空容器内の温度85Kのサファイヤ基板上にマトリッ
クス物質としてパーフルオロヘキサン(1)と光反応性
物質としてペンタフルオロフェニルアジド(2)を約1
00:1の混合比で固体層として堆積させ、KrFエキ
シマレーザーを25mJ/cm2/パルスで照射したし
たところ、アブレーションが観測された。さらに、発生
させた活性種のビームを金基板上のヘキサデシルチオー
ル単分子膜に照射したところ、目視観察では表面に変化
は認められなかったが、X線光電子分光測定によって表
面の元素分析を行ったところ、処理前は炭素と硫黄のピ
ークのみが観測されたが、処理後は新たに窒素とフッ素
のピークが検出された。また、反射赤外吸収測定から処
理膜には芳香環のピーク(1525cm-1)が検出さ
れ、パーフルオロフェニルナイトレンが芳香環構造を保
ったまま表面に固定化されていることが判明した。ま
た、ヘキサデシルチオール単分子膜表面の水に対する接
触角は、その活性種照射処理によって90度から130
度に変化し、撥水化していることが確認された。
【0023】実施例3 真空容器内の温度85Kのサファイヤ基板上にマトリッ
クス物質としてパーフルオロヘキサン(1)と光反応性
物質としてパーフルオロ無水酢酸(4)を約100:1
の混合比で固体層として堆積させ、KrFエキシマレー
ザーを25mJ/cm2/パルスで照射したしたとこ
ろ、アブレーションが観測された。さらに、発生させた
活性種のビームを金基板上のヘキサデシルチオール単分
子膜に照射したところ、目視観察では変化は認められな
かったが、X線光電子分光測定によって表面の元素分析
を行ったところ、処理前は炭素と硫黄のピークのみが観
測されたが、処理後は新たに酸素とフッ素のピークが検
出された。したがって、トリフルオロメチル基やトリフ
ルオロアセチル基が表面に固定化されていることが判明
した。また、その表面の水に対する接触角は、活性種の
照射処理によって70度から120度に変化し、撥水化
していることが確認された。
【0024】実施例4 真空容器内の温度85Kのサファイヤ基板上にマトリッ
クス物質としてパーフルオロヘキサンと光反応性物質と
してヒドラジンを約100:1の混合比で固体層として
堆積させ、ArFエキシマレーザーを25mJ/cm2
/パルスで照射したしたところ、アブレーションが観測
された。さらに、発生させた活性種のビームをポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)に照射したところ、目
視観察では変化は認められなかったが、X線光電子分光
測定によって表面の元素分析を行ったところ、処理前は
炭素とフッ素のピークのみが観測されたが、処理後は新
たに窒素のピークが検出されるとともに、フッ素の強度
が低下した。また、表面が親水化していることから、P
TFE表面ではF原子が取り除かれ、代わりに窒素原子
を含む親水基が置換したことが判明した。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、固体層に紫外レーザー
を照射させることにより、反応性の高い活性種を高純度
かつ高効率に発生させることができる。また、この活性
種のビームにより固体表面を改質させることにより、極
めて効果的に精密で均一な高機能化表面を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、混合固体層から放出された
気化物質の発光スペクトルである。
【図2】実施例1において、気化物質を照射する前のP
ETフィルムのXPSスペクトルである。
【図3】実施例1において、気化物質を照射する後のP
ETフィルムのXPSスペクトルである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成したマトリックス物質と光
    反応性物質との混合物からなる固体層に、波長400n
    m以下の紫外レーザーを照射することを特徴とする高反
    応性の活性種の放出方法。
  2. 【請求項2】 紫外レーザーとして、アルゴンフッ素エ
    キシマレーザー、クリプトンフッ素エキシマレーザー、
    キセノン塩素エキシマレーザー又はキセノンフッ素エキ
    シマレーザーを用いることを特徴とする請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 光反応性物質として、アジド化合物、ア
    ゾ化合物、カルボニル化合物、酸無水物、ヒドラジン類
    又は有機ハロゲン化合物を用いることを特徴とする請求
    項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 マトリックス物質として、希ガス、窒素
    ガス、二酸化炭素、フッ素化アルカン化合物、アルカン
    化合物、エーテル類又はアルコールを用いることを特徴
    とする請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの方法において
    放出された高反応性活性種を固体表面に接触させること
    を特徴とする固体表面の改質方法。
  6. 【請求項6】 固体表面が高分子表面である請求項5の
    方法。
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