JPH09241199A - 3−フルオロフェノールの製造方法 - Google Patents

3−フルオロフェノールの製造方法

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JPH09241199A
JPH09241199A JP8080767A JP8076796A JPH09241199A JP H09241199 A JPH09241199 A JP H09241199A JP 8080767 A JP8080767 A JP 8080767A JP 8076796 A JP8076796 A JP 8076796A JP H09241199 A JPH09241199 A JP H09241199A
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acid
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一登 梅津
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文哉 田渕
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フッ化水素酸HFによるフッ素原子の危険な
導入法を採用しない点で安全であり、工業的に入手が容
易な原料から簡便にしかも高収率で3−フルオロフェノ
ールを製造することのできる方法を提供する。 【解決手段】 4−フルオロサリチル酸を塩基の存在下
に脱炭酸反応させることを特徴とする3−フルオロフェ
ノールの製造方法である。尚、4−フルオロサリチル酸
は、特定の溶媒中で、2,4−ジフルオロ安息香酸とア
ルカリ金属水酸化物とを反応させることにより製造して
もよい。 【効果】 従来のような特殊な装置や反応条件を必要と
せず、危険なフッ化水素酸を用いるバルツ−シーマン反
応に拠らないためにフッソ原子の導入に危険がなく、工
業的に安全且つ容易に3−フルオロフェノールが製造可
能になった。従って、本発明は工業的に価値の高い方法
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医農薬中間体や機
能性材料中間体として有用な3−フルオロフェノールの
工業的な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、3−フルオロフェノールは、
(A)3−フルオロアニリンをジアゾ化し、水の存在下
でジアゾニウム塩を加水分解する方法〔J.Am.Ch
em.Soc.,vol.81,94(1959)〕、
(B)3−アミノフェノールとフッ化水素酸HFとの、
光分解を利用したバルツ−シーマン反応(Chem.L
ett.,1994,1011)による方法、(C)3
−ブロモフルオロベンゼンの銅触媒存在下での水酸化バ
リウムによる加水分解反応(ドイツ特許第343055
4号)、(D)3−クロロフルオロベンゼンの銅触媒存
在下での加水分解反応(特開平3−2134号公報)、
(E)4−フルオロ安息香酸を銅触媒存在下で酸素及び
水と反応させる方法(特開昭61−176543号公
報)、(F)フルオロベンゼンをゼオライト触媒存在下
で亜酸化窒素と反応させる方法(特開平2−85223
号公報)等によって製造されていた。
【0003】しかしながら、前記の各製造方法は次に述
べるような欠点を有していた。即ち、(A)の方法は、
硫酸等の酸を大量に必要とし、その上、収率が低く、原
料の3−フルオロアニリンの入手も困難であり、又、
(B)の方法は、工業的な使用には危険なフッ化水素酸
HFを使用し、しかも、光分解を利用したバルツ−シー
マン反応であるため、特殊な反応装置や反応条件が必要
であるという欠点があった。
【0004】又、(C)の方法も高圧反応であるため、
特殊な反応装置が必要であるばかりか、原料の3−ブロ
モフルオロベンゼンの入手も困難であり、(D)の方法
は、脱クロル化反応が起きるために収率が低く、やはり
原料の3−クロロフルオロベンゼンの入手が困難という
難点があった。
【0005】そして、(E)の方法は、特殊な反応条件
を必要とし、収率も低く、(F)の方法は、400℃近
い高温での反応が必要であり、しかも2位、3位、4位
にフッ素が置換したフルオロフェノールの混合物が生成
し、3−フルオロフェノールの分離が困難であるという
難点が指摘されていた。
【0006】以上のように、従来法はいずれも、工業的
規模でしかも安全に3−フルオロフェノールを製造する
方法としては不適当であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、フッ
化水素酸HFによるフッ素原子の危険な導入法を採用し
ない点で安全であり、工業的に入手が容易な原料から簡
便にしかも高収率で3−フルオロフェノールを製造する
ことのできる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、(1)4−フルオロサリチル酸を塩基の
存在下で脱炭酸反応させることを特徴とする3−フルオ
ロフェノールの製造方法、及び、(2)一般式(1)
【化3】 〔式中、Aは基−CH2−又は基−NR’−(式中、
R’は低級アルキル基を示す。)を示し、Rは低級アル
キル基を示し、Wは低級アルキル基を示し、XはAが基
−CH2−の時は水素原子又は低級アルキル基を、Aが
基−NR’−の時は低級アルキル基を示す(但し、W及
びXは互いに結合して低級アルキレン基を形成し、−N
−C−A−と共に5〜7員環となっても良い。)。〕で
表される化合物、及び、一般式(2)
【化4】 〔式中、Qは基−SO−又は基−SO2−を示し、Y及
びZはそれぞれ独立に低級アルキル基を示す(但し、Y
及びZは互いに結合して低級アルキレン基を形成し、基
−SO−又は基−SO2−と共に4〜6員環となっても
良い。)。〕で表される化合物の中から選ばれた少なく
とも1種を溶媒として、2,4−ジフルオロ安息香酸と
アルカリ金属水酸化物とを反応させることにより、4−
フルオロサリチル酸を製造し、この4−フルオロサリチ
ル酸を塩基の存在下で脱炭酸反応させることを特徴とす
る3−フルオロフェノールの製造方法を提供する。
【0009】即ち、本発明者らは、従来法の問題点を解
決するために鋭意研究を重ねた結果、意外にも、4−フ
ルオロサリチル酸を塩基の存在下に脱炭酸反応にするこ
とにより、高収率で3−フルオロフェノールが得られる
こと、及び、前記4−フルオロサリチル酸は、特定の非
プロトン性極性溶媒中で、2,4−ジフルオロ安息香酸
とアルカリ金属水酸化物とを反応させ、2位のフッ素原
子を選択的にヒドロキシル化することにより製造し得る
ことを見出し、本発明を完成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明方法について詳細に
説明する。
【0011】本発明の第一の方法は、4−フルオロサリ
チル酸を無溶媒又は溶媒の存在下、塩基の存在下で加熱
することにより、3−フルオロフェノールを生成させる
ものである。
【0012】上記塩基としては、有機塩基又は無機塩基
を用いることができ、有機塩基としては、例えば第三級
アミン([N]−Hを有しない含窒素有機塩基であり、
広義の第三級アミンを意味する。)、具体的にはピリジ
ン類〔例えばピリジン、4−(N,N−ジメチルアミ
ノ)ピリジン(DMAP)等〕、キノリン類(例えばキ
ノリン等)、トリアルキルアミン類(例えばトリエチル
アミン、トリオクチルアミン)、N,N−ジアルキルア
ニリン類(例えばN,N−ジメチルアニリン)等を挙げ
ることができる。
【0013】尚、有機塩基の使用量としては、4−フル
オロサリチル酸1モルを基準として、0.01〜50モ
ル、好ましくは0.1〜20モルである。
【0014】又、無機塩基としては、アルカリ金属及び
アルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩が使用可能であ
り、具体的には、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の
水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウム等を、又アルカリ金属、アルカリ
土類金属の炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸バリウム等をそれぞれ例示することがで
きる。
【0015】尚、無機塩基の使用量としては、4−フル
オロサリチル酸1モルを基準として、0.01〜5モ
ル、好ましくは0.1〜2モルである。
【0016】塩基としては有機塩基の使用が好ましく、
中でもキノリン、トリオクチルアミン或いは4−(N,
N−ジメチルアミノ)ピリジンの使用が好ましい結果を
与える。
【0017】又、本発明の第一の方法は、無溶媒でも差
し支えなく進行するが、溶媒を使用する場合は、4−フ
ルオロサリチル酸と副反応を起こさない等、本反応に不
活性なものであればよく、例えば非プロトン性極性溶
媒、具体的には、1−メチル−2−ピロリドン(NM
P)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DM
I)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、テ
トラメチレンスルホン等を使用できる溶媒として例示す
ることができる。
【0018】又、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭
化水素、具体的には、トルエン、キシレン、クロロベン
ゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等も使用
できる溶媒として例示することができる。
【0019】更に、本発明の第一の方法にあっては、前
述の有機塩基を、上記反応における塩基と溶媒とを兼ね
るものとして用いても差し支えない。
【0020】尚、溶媒の使用量としては、4−フルオロ
サリチル酸1モルに対し、0.3〜31、好ましくは
0.5〜21という範囲を例示することができる。
【0021】又、反応温度は、例えば150〜230℃
の範囲で、反応時間は、通常1〜20時間、好ましくは
2〜15時間である。
【0022】上記のような反応で生成した3−フルオロ
フェノールは、反応に用いた溶媒に応じて、例えば反応
液を酸洗浄した後、分離した有機層を濃縮或いは精留す
る方法や、反応液を酸析した後、溶媒抽出して得た有機
層を濃縮或いは精留する方法等によって取り出すことが
できる。
【0023】尚、本発明の第一の方法による4−フルオ
ロサリチル酸の脱炭酸は、常圧、加圧、減圧の何れの条
件下で実施しても差し支え無い。
【0024】本発明方法で用いる4−フルオロサリチル
酸は、4−フルオロ−2−ヒドロキシトルエンの酸化
(Chem.Abst.,vol.60,1638)等
の種々の方法によっても製造できるが、前記一般式
(1)で表される化合物及び前記一般式(2)で表され
る化合物の中から選ばれた少なくとも1種を溶媒とし
て、2,4−ジフルオロ安息香酸とアルカリ金属水酸化
物を反応させて製造することが好ましい。
【0025】2,4−ジフルオロ安息香酸とアルカリ金
属水酸化物との反応に溶媒として使用し得る化合物とし
ては、まず、一般式(1)
【化5】 〔式中、Aは基−CH2−又は基−NR’−(式中、
R’は低級アルキル基を示す。)を示し、Rは低級アル
キル基を示し、Wは低級アルキル基を示し、XはAが基
−CH2−の時は水素原子又は低級アルキル基を、Aが
基−NR’−の時は低級アルキル基を示す(但し、W及
びXは互いに結合して低級アルキレン基を形成し、−N
−C−A−と共に5〜7員環となっても良い。)。〕で
表されるものを挙げることができる。
【0026】ここで、上記一般式(1)において、置換
基R、R’、W、及びXで示される低級アルキル基と
は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、具体
的には例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等である。
【0027】又、置換基W及びXが互いに結合して形成
される低級アルキレン基とは、炭素数2〜4のアルキレ
ン基、具体的には例えばエチレン基、トリメチレン基、
テトラメチレン基等である。
【0028】2,4−ジフルオロ安息香酸とアルカリ金
属水酸化物との反応に溶媒として使用し得る化合物とし
ては、次に、一般式(2)
【化6】 〔式中、Qは基−SO−又は基−SO2−を示し、Y及
びZはそれぞれ独立に低級アルキル基を示す(但し、Y
及びZは互いに結合して低級アルキレン基を形成し、基
−SO−又は基−SO2−と共に4〜6員環となっても
良い。)。〕で表されるものを挙げることができる。
【0029】ここで、一般式(2)において、置換基Y
及びZで示される低級アルキル基とは、それぞれ独立
に、炭素数1〜4のアルキル基、具体的には例えばメチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基等である。
【0030】又、置換基Y及びZが互いに結合して形成
される低級アルキレン基とは、炭素数3〜5のアルキレ
ン基、具体的には例えばトリメチレン基、テトラメチレ
ン基、ペンタメチレン基等である。
【0031】上記一般式(1)で表される化合物又は一
般式(2)で表される化合物の中でも、2,4−ジフル
オロ安息香酸とアルカリ金属水酸化物との反応の溶媒と
して好ましい化合物としては、例えば1,3−ジメチル
−2−イミダゾリジノン、1−メチル−2−ピロリド
ン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ
−2(1H)−ピリミジノン、ジメチルスルホキシド、
N,N−ジエチルアセトアミド、1,1,3,3,−テ
トラメチルウレア、テトラメチレンスルホンやジメチル
スルホン等を挙げることができ、これらの化合物は、単
独で或いは適宜に混合して使用することができる。
【0032】溶媒としての上記化合物の使用量は、反応
時の攪拌が可能な量以上あれば差し支えないが、通常は
2,4−ジフルオロ安息香酸1モルに対し、0.1〜6
1、好ましくは0.3〜31という範囲を例示すること
ができる。
【0033】上記方法による4−フルオロサリチル酸の
製造において用いるアルカリ金属水酸化物としては、水
酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を
例示することができるが、中でも水酸化ナトリウム、水
酸化リチウムが好ましい。
【0034】尚、アルカリ金属水酸化物の使用量は、
2,4−ジフルオロ安息香酸1モルに対し2〜6モル、
好ましくは3〜5モルの範囲であれば良い。
【0035】上記反応の反応温度としては、溶媒の沸点
以下の温度範囲で任意に選択できるが、好ましくは80
〜200℃、更に好ましくは100〜150℃という範
囲を例示することができる。
【0036】上記反応の反応時間は、通常2〜12時間
程度であり、又、反応時の圧力は、常圧、加圧、減圧の
いずれでも差し支えないが、通常は常圧で行う。
【0037】4−フルオロサリチル酸は、反応終了後の
反応液から一般的な取り出し方法、例えば反応終了後の
反応液を酸析した後、濾過することによって、或いは、
溶媒抽出した後に抽出溶媒を濃縮することによって取り
出すことができ、又、反応終了時、生成している目的物
のアルカリ金属塩を濾過して溶媒と分離した後、これを
酸析することによって取り出すこともできる。
【0038】得られた4−フルオロサリチル酸は、精製
することなく、或いは、アルコール−水混合溶媒などで
再結晶することによって精製してから、本発明の第一の
方法に従って、3−フルオロフェノールの製造原料とす
ることが可能であり、本発明の第二の方法は、このよう
に、特定の溶媒中で、2,4−ジフルオロ安息香酸とア
ルカリ金属水酸化物とを反応させることにより、4−フ
ルオロサリチル酸を得て、得られた、4−フルオロサリ
チル酸を塩基の存在下に脱炭酸反応させるものである。
【0039】尚、4−フルオロサリチル酸の製造原料と
して用いる2,4−ジフルオロ安息香酸は、例えば入手
容易な2,4−ジクロロ安息香酸クロリドとフッ化カリ
ウムとを反応させることにより得られる2,4−ジフル
オロ安息香酸フロリドを加水分解する方法等により、容
易且つ収率よく製造することができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
具体的に説明する。
【0041】(4−フルオロサリチル酸の製造) 製造例1 温度計、攪拌機、還流冷却器を備えた1lの四径フラス
コに、2,4−ジフルオロ安息香酸31.6g(0.2
モル)、粉状の99%水酸化ナトリウム32.3g
(0.8モル)、及び、1,3−ジメチル−2−イミダ
ゾリジノン400mlを仕込み、130℃で4時間攪拌
し、反応させた。反応終了後、減圧下で1,3−ジメチ
ル−2−イミダゾリジノンを300mlを回収した後、
残りの反応液を、3%塩酸2.5lに室温で滴下した。
得られた結晶をろ過、水洗、乾燥し、4−フルオロサリ
チル酸29.7gを得た。単離収率は95.2%(2,
4−ジフルオロ安息香酸基準)であった。
【0042】製造例2 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン400mlの
代わりに1−メチル−2−ピロリドン400mlを用い
た以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、
4−フルオロサリチル酸29.4gを得た。単離収率は
94.2%(2,4−ジフルオロ安息香酸基準)であっ
た。
【0043】製造例3 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン400mlの
代わりに1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒ
ドロ−2(1H)−ピリミジノン400mlを用いた以
外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、4−
フルオロサリチル酸26.9gを得た。単離収率は8
6.2%(2,4−ジフルオロ安息香酸基準)であっ
た。
【0044】製造例4 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン400mlの
代わりにジメチルスルホキシド400mlを用いた以外
は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、4−フ
ルオロサリチル酸29.5gを得た。単離収率は94.
5%(2,4−ジフルオロ安息香酸基準)であった。
【0045】製造例5 粉状の99%水酸化ナトリウム32.3g(0.8モ
ル)の代わりに、粒状の95%水酸化ナトリウム33.
7g(0.8モル)を用いた以外は、実施例1と同様の
操作を行った。その結果、4−フルオロサリチル酸2
8.5gを得た。単離は収率91.3%(2,4−ジフ
ルオロ安息香酸基準)であった。
【0046】製造例6 粉状の99%水酸化ナトリウム32.3g(0.8モ
ル)の代わりに、48%水酸化ナトリウム水溶液66.
7g(0.8モル)を用いた以外は、実施例1と同様の
操作を行った。その結果、4−フルオロサリチル酸2
6.5gを得た。単離収率は84.9%(2,4−ジフ
ルオロ安息香酸基準)であった。
【0047】製造例7 粉状の99%水酸化ナトリウム32.3g(0.8モ
ル)の代わりに、水酸化リチウム19.2g(0.8モ
ル)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行った。
その結果、4−フルオロサリチル酸23.9gを得た。
単離は収率76.7%(2,4−ジフルオロ安息香酸基
準)であった。
【0048】製造例8 粉状の99%水酸化ナトリウム32.3g(0.8モ
ル)の代わりに、水酸化リチウム一水和物33.6g
(0.8モル)を用い、反応温度を145℃にした以外
は、実施例1と同機の操作を行った。その結果、4−フ
ルオロサリチル酸24.2gを得た。単離収率は77.
5%(2,4−ジフルオロ安息香酸基準)であった。
【0049】製造例9〜12 溶媒の種類、反応温度、反応時間を変え、実施例1と同
様の操作を行って4−フルオロサリチル酸を製造した。
反応終了後の反応液を分析した結果を〔表1〕に示す。
【0050】
【表1】
【0051】製造例13 温度計、攪拌機、還流冷却器を備えた100mlの四径
フラスコに2,4−ジフルオロ安息香酸3.16g
(0.02モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液6.
67g(0.08モル)、水40mlを仕込み、加熱還
流下で10時間反応させたが、以下に示す反応終了後の
反応液の高速液体クロマトグラフィーによる分析結果
(全面積%値)に明らかなように、4−フルオロサリチ
ル酸の生成は少なかった。 2,4−ジフルオロ安息香酸 82.1% 2−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸 12.6% 4−フルオロサリチル酸 3.2%
【0052】(3−フルオロフェノールの製造) 実施例1 温度計、攪拌機、還流冷却器を備えた50mlの四径フ
ラスコに4−フルオロサリチル酸3.12g(0.02
モル)、トリクロロベンゼン40ml、キノリン5.1
7g(0.04モル)を仕込み、210℃で4時間反応
させた。反応終了後、高速液体クロマトグラフィーによ
る絶対検量線法分析を行ったところ、3−フルオロフェ
ノールが95.0%生成していた。(4−フルオロサリ
チル酸基準)。
【0053】実施例2〜4 4−フルオロサリチル酸を各々3.12g(0.02モ
ル)用い、塩基の種類及び塩基の4−フルオロサリチル
酸に対するモル比、溶媒の種類(使用量40ml;4−
フルオロサリチル酸1モルに対し2lとなる割合)、反
応温度、反応時間を以下の表2に示すように変えた以外
は、実施例1と同様にして4−フルオロサリチル酸の脱
炭酸反応を行ない、3−フルオロフェノールを製造し
た。反応終了後の反応液の高速液体クロマトグラフィー
分析結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】実施例5 製造例1で得られた4−フルオロサリチル酸29.7g
(0.19モル)を、塩基と溶媒を兼ねるキノリン20
0g(1.55モル)と共に、温度計、攪拌機、還流冷
却器を備えた500mlの四径フラスコに仕込み、20
0℃で4時間反応させた。反応終了後、高速液体クロマ
トグラフィーによる絶対検量線法分析を行ったところ、
3−フルオロフェノールが97.1%生成していた。更
に、反応液を氷浴中で冷却し、10%塩酸水溶液1lを
加え酸性にした後、酢酸エチル500mlで抽出した。
尚、水層は再度200mlの酢酸エチルで抽出し、先の
酢酸エチル抽出液と合わせた。合わせた酢酸エチル層を
10%塩酸水溶液100mlで2回洗浄し、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥した。最後に精留することにより、精製
3−フルオロフェノールを19.1g得た。単離収率
は、85.2%であった(2,4−ジフルオロ安息香酸
基準)。
【0056】比較例1 4−フルオロサリチル酸3.12g(0.02モル)に
75%硫酸20.0g(0.15モル)を加え、環流下
で14時間反応させたところ、反応系はタール化した。
【0057】
【発明の効果】本発明方法によれば、従来のような特殊
な装置や反応条件を必要とせず、危険なフッ化水素酸を
用いるバルツ−シーマン反応に拠らないためにフッ素原
子の導入に危険がなく、工業的に安全且つ容易に3−フ
ルオロフェノールが製造可能になった。
【0058】又、4−フルオロサリチル酸は、工業的に
入手容易な2,4−ジフルオロ安息香酸の2位のフッ素
原子の選択的なヒドロキシル化により、高収率で工業的
にも安全で、工程数も短く容易に製造でき、従って、本
発明方法は3−フルオロフェノールの製法として工業的
に価値の高い方法である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4−フルオロサリチル酸を塩基の存在下
    で脱炭酸反応させることを特徴とする3−フルオロフェ
    ノールの製造方法。
  2. 【請求項2】 塩基は、キノリン、トリオクチルアミン
    及び4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンを含む有
    機塩基である請求項1に記載の3−フルオロフェノール
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(1) 【化1】 〔式中、Aは基−CH2−又は基−NR’−(式中、
    R’は低級アルキル基を示す。)を示し、Rは低級アル
    キル基を示し、Wは低級アルキル基を示し、XはAが基
    −CH2−の時は水素原子又は低級アルキル基を、Aが
    基−NR’−の時は低級アルキル基を示す(但し、W及
    びXは互いに結合して低級アルキレン基を形成し、−N
    −C−A−と共に5〜7員環となっても良い。)。〕で
    表される化合物、及び、一般式(2) 【化2】 〔式中、Qは基−SO−又は基−SO2−を示し、Y及
    びZはそれぞれ独立に低級アルキル基を示す(但し、Y
    及びZは互いに結合して低級アルキレン基を形成し、基
    −SO−又は基−SO2−と共に4〜6員環となっても
    良い。)。〕で表される化合物の中から選ばれた少なく
    とも1種を溶媒として、2,4−ジフルオロ安息香酸と
    アルカリ金属水酸化物とを反応させることにより、4−
    フルオロサリチル酸を製造し、この4−フルオロサリチ
    ル酸を塩基の存在下で脱炭酸反応させることを特徴とす
    る3−フルオロフェノールの製造方法。
  4. 【請求項4】 塩基は、キノリン、トリオクチルアミン
    及び4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンを含む有
    機塩基である請求項3に記載の3−フルオロフェノール
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリ
    ウム又は水酸化リチウムである請求項3に記載の3−フ
    ルオロフェノールの製造方法。
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