JPH09237606A - 低圧水銀蒸気放電ランプおよび照明装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィラメント電極を囲み水銀放出用の金属リ
ングを配設したランプであって、金属リングからの水銀
放出を寿命中を通じ徐々に行うことができ、諸特性の向
上がはかれた低圧水銀蒸気放電ランプおよびこの放電ラ
ンプを備えた照明装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 易放電ガスが封入された透光性気密容器
７と、この透光性気密容器７内に設けられた直状のフィ
ラメント電極３と、このフィラメント電極３を囲むよう
配設された金属リング４と、この金属リング４のフィラ
メント電極３端部近傍に対向する部分にのみ設けられた
水銀放出部５３とを備えた低圧水銀蒸気放電ランプＬお
よびこの放電ランプＬを備えた照明装置Ｄである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はガラスバルブなどで
構成された透光性気密容器内のフィラメント電極の回り
に水銀放出用の金属リングを配設した低圧水銀蒸気放電
ランプおよびこの放電ランプを装着した照明装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】低圧水銀蒸気放電ランプたとえば蛍光ラ
ンプは、管形ガラスバルブなどで構成される透光性気密
容器内に放電媒体として水銀およびアルゴンなどの易放
電ガスを封入して、放電による水銀原子の転移スペクト
ルの内、主に２５４ｎｍ、１８５ｎｍなどの紫外線を蛍
光体の励起源として利用して発光の主役をなさしめてい
る光源であって、一部希ガスのみを封入したランプもあ
るが、高効率を得るランプでは水銀封入は必須のもので
ある。

【０００３】この水銀封入をした蛍光ランプの発光効率
は、気密容器を構成するバルブ内の水銀蒸気圧に依存す
るため、点灯時には内部水銀蒸気圧を所定範囲内に維持
する必要があることが知られている。したがって、ラン
プの設計にあたっては水銀蒸気圧を支配するランプ最冷
部の温度を最適水銀蒸気圧となるように設定することが
重要であり、熱遮蔽板や冷却用の突起を形成することで
対処してきた。

【０００４】そして、この蛍光ランプの製造に際しバル
ブ内に水銀を封入する方法としては、液状の水銀をバル
ブ端部に接続した排気管を通じ送り込むのが一般的であ
るが、液状のため水銀が封入装置や排気管などの封入経
路壁に付着したり、高温で排気中にあるバルブ内から蒸
発するなどして封入量が不足したりばらつきが大きくな
ったりして定量の封入が困難であった。このため、損失
を見込んで過剰の水銀を供給するようにしていたが、水
銀使用量は環境保全のために必要最小限にすることが好
ましく、その対策として所定量秤量された水銀の表面を
化学的に安定な粉末で被覆した後、封入するなどしてい
たが問題解決には至っていない。

【０００５】そこで、水銀をアマルガム化や水銀カプセ
ルあるいは多孔性セラミックに水銀を含侵させたペレッ
トなどの形態で封入することが行われている。これらは
固体の状態で封入できるので高精度の水銀秤量が可能で
あり、水銀を容易に定量封入できるという利点がある。

【０００６】しかし、このような固体化した水銀をバル
ブ内に粒の形態で封入すると、バルブ内で水銀が自由に
移動して位置が定まらないため、点灯時に水銀の温度が
ばらつき、したがって、蒸気圧が変動して特性変化が大
きくなることがあり、また、バルブ内で水銀粒が自由に
動くと蛍光体膜を剥がしたり、振動音を発したり、水銀
の影が映るなどの不具合もあった。

【０００７】そこで、従来の場合これら固形水銀を、バ
ルブから突出形成されている排気管や細管内に収容した
りステムに固定するなどの手段が採られているが、この
ような手段は支持部の構造が複雑で加工が面倒であると
いう問題があった。

【０００８】このようなことから、電極の回りに水銀放
出用の金属リングを配設することが考えられ、また、実
施されている。このことは、たとえば特開平６−９６７
２８号公報、特開平６−１１１７７４号公報や特開平６
−７６７９６号公報などに記載されている。

【０００９】すなわち、これら公報に記載されているも
のは、蛍光ランプのステムに植設した一対のリード線に
フィラメント電極が架設され、このフィラメント電極を
囲んで水銀放出用の金属リングが設けられている。この
水銀放出用の金属リングは水銀放出機能を持たないたと
えばニッケルメッキを施した鉄板やステンレス板などか
らなる帯状の金属板に、水銀とチタニウムの合金粉末か
らなる水銀合金を付着したり、水銀放出構体（たとえば
ＧＥＭＥＤＩＳ（商品名））を保持させて、これを環状
としたり、この水銀を保持した金属板と上記金属板とを
周方向に継ぎ合せて全体として環状としたものである。

【００１０】このような水銀放出用の金属リングは、リ
ング部がフィラメント電極を囲むよう配設されてステム
に植設した支持ワイヤに溶接などの手段によって支持さ
れている。そして、金属リングの内面または外面に水銀
合金や水銀放出構体が設けられているとともにその反対
面にはゲッターが設けられている。（上記後者の公報に
はゲッターの記載はない。） また、上記水銀放出用の金属リングからの水銀放出はラ
ンプ製造工程の排気封止後において、バルブの外部から
金属リングを高周波誘導加熱によって自己発熱させ、金
属リング全体を加熱して水銀を放出させている。

【００１１】そして、このランプは製造工程での上記水
銀放出によって、バルブ内に所定の水銀量が得られ所定
の発光特性を示す。そして、ランプの点灯によってバル
ブ内の水銀は蛍光体膜内などに拡散していき徐々に減少
していくが、通電により昇温したフィラメント電極の熱
によって、このフィラメント電極の回りを囲んでいる金
属リングも温度が高まる結果、金属リングに設けられて
いる水銀合金や水銀放出構体の温度も上がるので、先に
一回目の水銀放出をした水銀合金や水銀放出構体から残
っている水銀が放出される。この新たな水銀の補充によ
って発光特性は低下することなく点灯される。

【００１２】そして、このランプは点灯を継続するうち
に残存している水銀やフィラメント電極に付着されてい
るエミッターが消耗することによって所定の寿命とな
り、新しいランプとの交換が進められる。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】上述したように、ラン
プは点灯が継続されることによって、水銀合金や水銀放
出構体に残っている水銀が徐々に放出され、所定の発光
特性や寿命特性が得られるが、本発明者はさらにの発光
特性や寿命特性が向上できることを見出だした。これら
従来のランプにおいては、フィラメント電極を囲んでい
る金属リングを構成する水銀合金や水銀放出構体の配置
については考慮されていなかった。

【００１４】すなわち、上記公報に記載されているもの
などにおいては、水銀合金や水銀放出構体の構成部が発
熱源となるフィラメントに近接して沿って配設されてい
る。このため、特にフィラメント軸と平行している部分
においては、飛散したエミッターが水銀放出構体に付着
し水銀の放出を低下させるとともにエミッターと水銀と
が化合しアマルガムとなり水銀放出作用が低下する。特
にフィラメントの熱によりアマルガム化が加速される。

【００１５】本発明は、透光性気密容器（バルブ）内の
電極の回りに水銀放出用の金属リングを配設したランプ
であって、金属リングからの水銀放出を寿命中を通じ徐
々に行うことができ、諸特性の向上がはかれた低圧水銀
蒸気放電ランプおよびこの放電ランプを備えた照明装置
を提供することを目的とする。

【００１６】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に記載
の低圧水銀蒸気放電ランプは、透光性気密容器と、この
透光性気密容器内に設けられた線状のフィラメント電極
と、このフィラメント電極を囲むよう配設された金属リ
ングと、この金属リングのフィラメント電極端部近傍に
対向する部分にのみ設けられた水銀放出部とを具備して
いることを特徴としている。

【００１７】ランプの始動時や点灯時には、フィラメン
ト電極に塗布された酸化バリウムなどのエミッターが飛
散し金属リングに付着するが、水銀合金はフィラメント
電極と略平行している部分には設けられておらず電極の
端部に対向する部位に設けられているので、水銀合金部
分にはエミッターの付着が少い。したがって、表面にエ
ミッターの付着の少ない水銀合金は電子の衝突により容
易に水銀の放出が可能となり、水銀補給ができる。

【００１８】本発明の請求項２に記載の低圧水銀蒸気放
電ランプは、金属リングが、水銀放出作用を有する金属
片と、水銀放出作用をもたない金属片とが周方向に連結
して環状に形成されていることを特徴としている。

【００１９】両金属片がそれぞれ長尺な予め水銀合金が
付着してある帯板素材および水銀合金を付着していない
帯板素材から所定長さ切り出したりプレス抜きして形成
されるので、水銀放出部を容易に製作することができ
る。

【００２０】本発明の請求項３に記載の低圧水銀蒸気放
電ランプは、金属リングの水銀放出部が、金属片の表面
に水銀合金が付着して構成されていることを特徴として
いる。 金属片の表面に水銀とチタニウムなどとの合金
粉末を付着させることによって水銀合金を形成でき、水
銀放出部を容易に製作することができる。

【００２１】本発明の請求項４に記載の低圧水銀蒸気放
電ランプは、金属リングが、水銀放出部およびゲッター
が形成されていることを特徴としている。

【００２２】金属リングが加熱されることによって、水
銀合金に残存している新たな水銀を徐々にバルブ７内に
放出して蛍光体膜などに吸収された損耗分を補給するこ
とができるとともに、ゲッターも昇温してバルブ内の不
純ガスを吸着して放電維持特性の悪化を防止できる。

【００２３】本発明の請求項５に記載の低圧水銀蒸気放
電ランプは、金属リングが、水銀放出部およびゲッター
を除く部分において、ステムに固定した支持ワイヤと接
合されていることを特徴としている。

【００２４】水銀放出作用をもたない金属片側を支持ワ
イヤに接合するため接合強度が向上し、金属リング保持
の信頼性も向上する。

【００２５】本発明の請求項６に記載の低圧水銀蒸気放
電ランプは、気密容器が、内面に蛍光体膜が形成されて
いることを特徴としている。

【００２６】蛍光ランプに適用して上記請求項１ないし
請求項５に記載と同様の作用を奏する。

【００２７】本発明の請求項７に記載の照明装置は、照
明装置本体と、この装置本体に装着された請求項１ない
し請求項６のいずれか一記載の低圧水銀蒸気放電ランプ
と、この低圧水銀蒸気放電ランプの点灯回路装置とを具
備していることを特徴としてる。

【００２８】上記請求項１ないし請求項６のいずれか一
記載の低圧水銀蒸気放電ランプが装着されたことによ
り、上記請求項１ないし請求項６に記載の作用を奏する
照明装置を提供できる利点を有する。

【００２９】上記請求項１ないし請求項６に記載の作用
を奏する放電ランプが装着されたことにより、発光特性
の向上した照明装置が得られる。

【００３０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
ないし図３を参照して説明する。図１は低圧放電ランプ
のマウントの斜視図、図２は上記図１のマウントをバル
ブに封着した状態を示す低圧水銀蒸気放電ランプたとえ
ば直管形蛍光ランプＬの端部の縦断面図、図３は水銀放
出用の金属リングを製造する過程を示す説明図である。

【００３１】図において、１はマウントで、このマウン
ト１はガラス管に一対のリード線２１，２１、支持ワイ
ヤ２２および排気管２３を封着したステム２と、上記リ
ード線２１，２１間に架設されたタングステン線を巻回
して形成した線状のフィラメント電極３と、上記支持ワ
イヤ２２に接合するとともにフィラメント電極３を囲む
ようリング形に成形された水銀放出用の金属リング４と
からなる。なお、２４は排気孔で、コイル状のフィラメ
ント電極３には酸化バリウムなどのエミッター（図示し
ない。）が塗布形成されている。

【００３２】上記水銀放出用の金属リング４は、フィラ
メント電極３のコイル軸方向に沿って長く形成されたフ
ィラメント電極３を包囲する長円形をなしている。この
金属リング４は、複数枚の金属片、たとえば２枚の金属
片５、６を周方向に連結して構成されている。そして、
一方の金属片５は水銀放出部をもつもので、他方の金属
片６は水銀放出作用をもたないものである。

【００３３】この水銀放出部をもつ金属片５は、鉄にニ
ッケルメッキを施した帯板状を略Ｕ字形状に湾曲した基
板５１（５２）に、水銀とチタニウムとの合金粉末から
なる水銀合金５３を付着させたものであり、フィラメン
ト電極３の一端部を囲むよう形成してある。また、この
水銀合金５３は帯板状の基板５１の一側面（リング４の
内面側）に一定の幅をなして帯状に圧着結合されてい
る。また、この金属片５への水銀合金５３の付着に代
え、水銀放出構体（たとえばＧＥＭＥＤＩＳ（商品
名））を保持させるようにしてもよい。また、この基板
５１の他側面（リング４の外面側）には、アルミニウム
とジルコニウムとの合金からなるゲッター５４が帯状に
塗布されている。

【００３４】また、水銀放出作用をもたない金属片６
は、鉄や鉄にニッケルメッキを施した帯板あるいは鉄に
Ｆｅ₃ Ｏ₄ などの酸化被膜を施した帯板など酸化しにく
い材料を縦長な略Ｕ字形状に湾曲した湾曲部６２を有し
たものからなり、略直線状をなす縦長な直線部分６１、
６１はフィラメント電極３のコイル軸方向にほぼ沿うよ
う形成されている。そして、この金属片６側の直線部分
６１のほぼ中央部において上記支持ワイヤ２２に溶接な
どの手段で接合している。

【００３５】そして、上記のような構成のマウント１
は、ソーダライムガラスまたは鉛ガラスからなる直管状
のバルブ７のそれぞれの両端部にステム２部分が封着さ
れることによって透光性気密容器を形成している。（両
端部とも同一であるので、図２では一端側のみを示
す。）なお、図２において７１は封着部、７５は蛍光体
膜を示す。

【００３６】このような構造のランプＬは、バルブ７内
を排気孔２４を介し排気管２３から排気し、電極３の活
性化を行い、アルゴンなどの易放電ガスを封入した後排
気管２３を封止する。そして、バルブ７の外部から高周
波誘導加熱コイル（図示しない。）により金属リング４
部分を誘導加熱すると、金属片５に付着した水銀合金５
３が加熱されて水銀を蒸発放出し、バルブ７内に所定量
の水銀を持ち込むことができる。なお、このとき水銀合
金５３から放出される水銀量は、水銀合金５３が含有し
ている約７０〜８５重量％に当たる。ランプＬは、この
後、封着部７１に口金（図示しない。）が取着けられリ
ード線と端子との接続がなされ完成する。 そして、こ
のランプＬは、照明器具（図示しない。）などの照明装
置のソケットに装着され、点灯回路装置を介したフィラ
メント電極３、３への通電により点灯される。このラン
プＬのバルブ７内においては、蒸発した水銀から２５４
ｎｍや１８５ｎｍなどの紫外線が発生し、蛍光体を励起
して所定の発光特性を示す。 このランプＬ点灯時に
は、通電により高温となったフィラメント電極３の熱に
よって、フィラメント電極３を囲み配設された上記水銀
放出金属リング４も昇温し、水銀合金５３が加熱されて
水銀合金５３に残存している新たな水銀を徐々にバルブ
７内に放出し、蛍光体膜７５などに吸収される損耗分を
新たに補給することができる。また、ランプＬの点灯時
にゲッター５４も昇温してバルブ７内の不純ガスを吸着
し、バルブ７壁面の黒化を低減できる。

【００３７】このランプＬの点灯が続くことによって、
バルブ７内の水銀は徐々に損耗していくが、本発明では
水銀放出用の金属リング４に電子が衝突し湾曲部分５２
に設けられている水銀合金５３からの水銀補給があり、
その補給も大量に短時間でなく、適量を長時間にするこ
とができるので、蛍光ランプＬの発光特性を長期間高い
値で維持できるとともに上記ゲッター５４の作用と協同
して長寿命化できる。この実施の形態の場合の水銀放出
用の金属リング４の形成は、図３（ａ）〜（ｃ）に示す
製造方法および結合構造により接合されている。すなわ
ち、上記の金属片５、６は、それぞれ長尺な予め水銀合
金５３が付着してある帯板素材５Ａおよび水銀合金を付
着していない帯板素材６Ａから所定長さ切り出したりプ
レス抜きして構成されている。（図３（ａ）） そして、この水銀放出作用をもつ金属片５の端部の先端
縁には係止舌片５５，５５が形成され、他方の水銀放出
作用をもたない金属片６の両端部近傍には切欠部６３，
６３が設けられている。そして、この両金属片５、６
は、Ｕ字形状に折り曲げられ、（図３（ｂ））それぞれ
の係止舌片５５，５５を相手側の切欠部６３，６３と対
向して進入させ、これら係止舌片５５，５５を折り曲げ
てかしめることにより相手側と係合連結させている。こ
のような係合連結により、分割されている２枚の金属片
５、６が相互に結合されて全体として長円形のリングと
なすことができる。（図３（ｃ）） そして、このような構成の水銀放出部を有する金属リン
グ４においては、封入する水銀量をランプＬの品種、出
力や大きさに応じて容易に調整することができる。すな
わち、封入水銀量を多くしたい場合には、水銀合金５３
が付着してある金属片５を長くしたり、金属リング４の
長円形をなす両側のＵ字形湾曲部に金属片５を配設（こ
の場合は金属リング４形成部材が４枚になる。）するこ
となどで対処できる。このようにすれば、バルブ７内に
封入する水銀量を細かく選択することができ、品種毎に
要求される水銀封入量を高精度に規制することができ
る。また、上記水銀放出用の金属リング４は２枚の金属
片５、６をかしめる機械的な結合としてあるので結合強
度が高く、熱的影響を受け分解するなどのことがない。
また、この金属リング４の支持は、金属リング４と支持
ワイヤ２２との接合部が、大きな熱容量となって温度が
他の部位と変わるが、本発明では水銀放出作用をもたな
い金属片６側を支持ワイヤ２２に接合しているので、接
合部位と離れている水銀放出作用をもつ金属片５はほぼ
一様の温度となり、水銀合金５３から適切な水銀放出が
行なえる。また、水銀合金５３が付着された金属片５に
支持ワイヤ２２が溶接されていると、この溶接時に水銀
合金５３が加熱されて蒸発し、このため作業環境が汚染
されたり、水銀量が減少して封入水銀量にばらつきを生
じるなどのことがあるが、このような不具合を防ぐこと
ができる。

【００３８】また、フィラメント電極３を囲む金属リン
グ４は、電極３からの飛来物を捕捉してバルブ７へ向か
うのを阻止するとともに点灯時に最も高温度となる電極
３を遮蔽して外観がよくなるという作用効果を奏する。

【００３９】また、本発明の水銀放出部を有する金属リ
ング４は上記の構造に限らず、図４に示すように水銀放
出構体（たとえばＧＥＭＥＤＩＳ（商品名））を水銀放
出作用をもつ金属片５として直接に水銀放出作用をもた
ない金属片６と連結して構成してもよい。

【００４０】また、水銀放出用の金属リング４は、水銀
放出作用をもつ金属片５と水銀放出作用をもたない金属
片６との連結手段は、図５および図６に示すように両金
属片５、６の端部を相互に重ね合わせ、これらをポンチ
などの治具で突き破り、この突き破りにより一方の金属
片６に形成された出っ張り部のばり６４が他方の金属片
５の孔６５を貫通して係止し、これにより金属片５、６
相互を機械的に結合してある。

【００４１】また、金属リング４を構成する金属片５、
６相互の連結手段は、上述したと異なる機械的結合の他
か、溶接などによる連結であってもよい。また、たとえ
ば鉄にニッケルメッキした一本の帯板で長円形の金属リ
ングを形成し、このリングの湾曲部に水銀合金を付着形
成させてもよい。

【００４２】また、金属リング４の形状は、長円形に限
らず楕円形や円形などの円形あるいは図７に示すような
長四角形であってもよく、これらの場合でも水銀合金５
３や水銀放出構体は直状のフィラメント電極３の中央部
を避けた端部に対向する位置にのみ設けてあればよい。

【００４３】そして、上記本発明の蛍光ランプＬは、照
明装置たとえば図８に示す照明器具Ｄに装着されて使用
される。図中、８１は照明器具本体で、この本体８１に
は建物等への取付具８２、電源接続機構や安定器どの点
灯回路装置８３が収納された筐体８４が設けられてい
る。また、この本体８１内には反射板８５とソケット装
置８６，８６，…が設けられ、このソケット装置８６，
８６，…には蛍光ランプＬ，Ｌが装着されている。そし
て、この蛍光ランプＬ，Ｌは電源接続機構、安定器など
点灯回路装置８３を通じて給電され安定した点灯ができ
る。

【００４４】なお、本発明は上記実施の形態に限るもの
ではなく、たとえば低圧水銀蒸気放電ランプとしては蛍
光ランプに限らず、蛍光体膜を形成していない紫外線放
射ランプなどガラスバルブ内に水銀を封入する他のラン
プにも適用できるものであり、その用途も、照明用や紫
外線放射用としてはもちろん、ＯＡ機器用などに用いる
ことができる。

【００４５】また、上記実施の形態では透光性気密容器
を形成するバルブとして直管状のガラス管を用いたもの
について述べたが、バルブ形状はこれに限らず、Ｕ字
形、Ｗ字形等曲成したものや複数本の直管形バルブを接
続したものであってもよい。

【００４６】また、上記実施の形態ではマウントとして
フレアステムを備えたもので説明したが、バルブの開口
端部にボタンステムなどを封着して気密容器を形成した
放電ランプであってももちろん適用できる。

【００４７】さらに、水銀合金の材料としては、水銀は
もちろん必要であるが、チタニウムやジルコニウムなど
を組合わせたものでもよく、その材料は適用するランプ
の品種、要求特性、点灯時温度や使用条件などに応じて
成分比や形成量を適宜決めればよい。

【００４８】さらにまた、ゲッターは水銀放出部を備え
た側の金属片に形成したものに限らず、水銀放出作用を
もたない側の金属片に形成してもよく、さらにまた、ゲ
ッターは必須のものではなく、形成してなくても差支え
ない。

【００４９】

【実施例】直管形４０Ｗの蛍光ランプＬにおいて、約２
２ｍｍの水銀放出部を有する２枚のＵ字形の金属板５，
５と約２０．５ｍｍの水銀放出作用をもたない２枚のほ
ぼ直線状の金属板６，６とで全周が約４２．５ｍｍの金
属リング４を構成した。なお、上記金属板５に付着した
水銀合金５３の単位長さ当たりの水銀保有量は約０．４
５ｍｇ／ｍｍで、このランプＬの全体の水銀保有量は、
約２０ｍｇである。

【００５０】そして、ランプＬの製造工程中における高
周波誘導加熱によって、上記金属リング４のＵ字形の金
属板５部を約８５０℃の温度で約３０秒間加熱し、バル
ブ７内に約８．０ｍｇの水銀を放出させた。この水銀量
は４０Ｗの蛍光ランプＬとして必要な最低封入量に近い
量である。

【００５１】そして、この蛍光ランプＬは、従来ランプ
に比べ光束維持特性、寿命特性とも向上できたことを確
認した。

【００５２】

【発明の効果】請求項１ないし請求項３に記載の発明で
は、放電ランプの寿命中、適正な水銀の補給が行え、ラ
ンプの発光特性を長期間高い値で維持できるとともに長
寿命化がはかれる。また、水銀封入が容易で、その封入
量を高精度に規制することができる。

【００５３】また、請求項４に記載の発明では、上記請
求項１ないし請求項３に記載のほか、水銀放出部および
ゲッター部が協同して、バルブ内の不純ガスを吸着して
バルブ壁面の黒化を低減でき光束維持特性の向上がはか
れる。

【００５４】また、請求項５に記載の発明では、水銀放
出部をもつ金属片がほぼ一様な温度となり、適正な水銀
放出が行なえ、ランプの発光特性を長期間高い値で維持
できる。

【００５５】また、請求項６に記載の発明では、蛍光ラ
ンプに適用して上記請求項１ないし請求項５に記載と同
様の効果を奏する。

【００５６】さらに、請求項６に記載の発明では、上記
請求項１ないし請求項６のいずれか一記載の低圧水銀蒸
気放電ランプが装着されたことにより、上記請求項１な
いし請求項６に記載の効果を有していて、発光特性およ
び寿命特性に優れた照明装置を提供できる利点を有す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の低圧水銀蒸気放電ランプのマウントの
実施の形態を示す斜視図である。

【図２】図１のマウントをバルブに封着した低圧水銀蒸
気放電ランプを示す端部近傍の縦断面図である。

【図３】本発明に係わる水銀放出用の金属リングを製造
する過程を示す説明図である。

【図４】本発明に係わる他の水銀放出用の金属リングを
示す斜視図である。

【図５】本発明に係わる他の水銀放出用の金属リングを
示す斜視図である。

【図６】図５における要部を示す拡大横断面図である。

【図７】本発明に係わる他の水銀放出用の金属リングを
示す斜視図である。

【図８】本発明に係わる照明装置を示す斜視図である。

【符号の説明】

Ｌ：低圧水銀蒸気放電ランプ（蛍光ランプ） １：マウント ２：ステム ２１：リード線 ２２：支持ワイヤ ３：フィラメント電極 ４：金属リング ５：水銀放出部を有する金属片 ５３：水銀合金 ６：水銀放出作用をもたない金属片 ７：透光性気密容器（バルブ） ７５：蛍光体膜 Ｄ：照明装置（照明器具） ８１：照明器具本体 ８３：点灯回路装置

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透光性気密容器と；この透光性気密容器
   内に設けられた線状のフィラメント電極と；このフィラ
   メント電極を囲むよう配設された金属リングと；この金
   属リングのフィラメント電極端部近傍に対向する部分に
   のみ設けられた水銀放出部と；を具備していることを特
   徴とする低圧水銀蒸気放電ランプ。
2. 【請求項２】 金属リングは、水銀放出作用を有する金
   属片と、水銀放出作用をもたない金属片とが周方向に連
   結して環状に形成されていることを特徴とする請求項１
   記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
3. 【請求項３】 金属リングの水銀放出部は、金属片の表
   面に水銀合金が付着して構成されていることを特徴とす
   る請求項１記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
4. 【請求項４】 金属リングは、水銀放出部およびゲッタ
   ーが形成されていることを特徴とする請求項１ないし請
   求項３のいずれか一記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
5. 【請求項５】 金属リングは，水銀放出部およびゲッタ
   ー部を除く部分において、ステムに固定した支持ワイヤ
   と接合されていることを特徴とする請求項１ないし請求
   項４のいずれか一記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
6. 【請求項６】 気密容器は、内面に蛍光体膜が形成され
   ていることを特徴とする請求項１ないし請求項５のいず
   れか一記載の低圧水銀蒸気放電ランプ。
7. 【請求項７】 照明装置本体と；この装置本体に装着さ
   れた請求項１ないし請求項６のいずれか一記載の低圧水
   銀蒸気放電ランプと；この低圧水銀蒸気放電ランプの点
   灯回路装置と；を具備していることを特徴とする照明装
   置。