JPH09227835A - コーティング組成物 - Google Patents

コーティング組成物

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JPH09227835A
JPH09227835A JP3462596A JP3462596A JPH09227835A JP H09227835 A JPH09227835 A JP H09227835A JP 3462596 A JP3462596 A JP 3462596A JP 3462596 A JP3462596 A JP 3462596A JP H09227835 A JPH09227835 A JP H09227835A
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隆一 青木
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貞一 外村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性に優れ、かつ耐熱性、耐凍害性な
どに優れた塗膜を形成させることができるコーティング
組成物を提供する。 【解決手段】 (a)一般式(1)R1 n Si(O
2 4-n 〔式中R1 は炭素数1〜8の有機基、R2
炭素数1〜5のアルキル基、nは1又は2である〕で示
されるオルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合
物100重量部と、(b)一般式(2)R1 3SiOR2
〔式中R1 ,R2 は上記と同じ〕で示されるオルガノシ
ラン0.3〜20重量部と、(c)加水分解性シリル基
又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基をも
つシリル基含有ビニル系樹脂2〜200重量部とを反応
させて得られる生成物を結合剤とするコーティング組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貯蔵安定性に優
れ、また厚膜での耐熱水性、耐クラック性、耐候性、耐
汚染性等に優れた塗膜を形成するコーティング組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐候
性などに優れた塗膜を形成するオルガノポリシロキサン
を結合剤とするコーティング組成物が広く使用されるよ
うになってきた。このようなコーティング組成物として
は、例えば特開昭60−51756号、特開平1−12
6号、特開平3−221577号、特開平4−1174
73号等の特許公報に開示されている。
【0003】しかしながらオルガノポリシロキサンを結
合剤とするコーティング組成物は、一般的にオルガノポ
リシロキサンが貯蔵中に縮合反応が進行し、増粘、ゲル
化しやすく、貯蔵安定性が充分でなく、また得られる塗
膜は、耐熱水性、耐クラック性等が悪いため厚膜化が難
しいという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の課題を背景になされたもので、貯蔵安定性に
優れ、かつ厚膜での耐熱水性、耐クラック性(耐凍害
性)等に優れた塗膜を形成させることができるコーティ
ング組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決する手段】すなわち第1の発明は、(a)
一般式(1)R1 nSi(OR2 4-n 〔式中R1 は炭素
数1〜8の有機基、R2 は炭素数1〜5のアルキル基、
nは1又は2である〕で示されるオルガノシラン及び/
又はその部分加水分解縮合物100重量部と(b)一般
式(2)R1 3SiOR2 〔式中R1 ,R2 は上記と同
じ〕で示されるオルガノシラン0.3〜20重量部と
(c)加水分解性シリル基又は水酸基と結合したケイ素
原子を有するシリル基をもつ、シリル基含有ビニル系樹
脂2〜200重量部とを反応させて得られる生成物を結
合剤とするコーティング組成物を提供するものである。
【0006】また第2の発明は、(a)一般式(1)R
1 nSi(OR2 4-n 〔式中R1 は炭素数1〜8の有機
基、R2 は炭素数1〜5のアルキル基、nは1又は2で
ある〕で示されるオルガノシラン及び/又はその部分加
水分解縮合物100重量部と(b)一般式(2)R1 3
iOR2 〔式中R1 ,R2 は上記と同じ〕で示されるオ
ルガノシラン0.3〜20重量部と(c)加水分解性シ
リル基又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル
基をもつ、シリル基含有ビニル系樹脂2〜200重量部
と(d)Zr,Ti又はAl系金属キレート化合物0.
01〜50重量部とを反応させて得られる生成物を結合
剤とするコーティング組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0008】まず、第1の発明の結合剤を製造するため
に使用する各成分について説明する。
【0009】(a)成分 (a)成分は、一般式(1)R1 nSi(OR2
4-n 〔式中R1 は炭素数1〜8の有機基、R2 は炭素数
1〜5のアルキル基、nは1又は2である〕で示される
オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物であ
る。
【0010】前記一般式中のR1 は炭素数1〜8の有機
基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基などのアルキル基、そのほかγ−ク
ロロプロピル基、ビニル基、3,3,3−トリフロロプ
ロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリ
ルオキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェ
ニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ
−アミノプロピル基などが挙げられる。
【0011】また、オルガノシラン中のR2 は、炭素数
1〜5のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
s−ブチル基、t−ブチル基、i−ブチル基などが挙げ
られる。
【0012】これらのオルガノシランの具体例として
は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシ
シラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピ
ルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラ
ン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメ
トキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシ
クロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポ
キシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエ
チルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ
フェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジメチルプロポ
キシシランなどが挙げられるが、好ましくは、メチルト
リメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシランである。
【0013】これらオルガノシランは、1種単独で使用
することも、2種以上混合して使用することもできる。
【0014】(a)成分は、以上説明したオルガノシラ
ンの部分加水分解縮合物であってもよい。該縮合物のポ
リスチレン換算重量平均分子量は、300〜5,00
0、好ましくは500〜3,000が適当であり、この
ような分子量の縮合物を使用することにより貯蔵安定性
を悪化させることなく、密着性のよい塗膜が得られる。
またオルガノシランの部分加水分解縮合物は、ケイ素原
子に結合した−OH基や−OR2 基を1個以上、好まし
くは3〜30個有するものが適当である。
【0015】このような縮合物の具体的としては、市販
品として東レ・ダウコーニング社製のSH6018,S
R2402,DC3037,DC3074;信越化学工
業社製のKR−211,KR−212,KR−213,
KR−214,KR−216,KR−218;東芝シリ
コーン社製のTSR−145,TSR−160,TSR
−165,YR−3187等が挙げられる。
【0016】本発明において(a)成分は、特に前述の
一般式(1)で示されるオルガノシランとその部分加水
分解縮合物との重量比が(5:95〜60:40)、好
ましくは(15:85〜55:45)の混合物が、密着
性、外観のよい塗膜が得られるので望ましい。
【0017】また(a)成分は前述の一般式のn値が1
のオルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物
(a−1)とn値が2のオルガノシラン及び/又はその
部分加水分解縮合物(a−2)との重量比が(50:5
0〜100:0)、好ましくは(55:45〜90:1
0)の混合物が、結合剤を製造する際安定に重合し、ま
た耐クラック性のよい塗膜が得られるので望ましい。
【0018】(b)成分 (b)成分は、一般式(2)R1 3SiOR2 〔式中
1 ,R2 は、(a)成分の一般式(1)と同じ〕で示
されるオルガノシランである。
【0019】該オルガノシランの具体例としては、メト
キシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エ
トキシジフェニルメチルシラン、メトキシジメチルビニ
ルシラン、1−メチルプロポキシトリメチルシラン、i
−ブトキシトリメチルシラン、n−ブトキシトリメチル
シラン、t−ブトキシトリメチルシラン、i−プロポキ
シトリメチルシランなどが挙げられ、これらオルガノシ
ランは1種単独で使用することも、2種以上混合して使
用することもできる。
【0020】(b)成分は、コーティング組成物の貯蔵
安定性を向上させ、また得られる塗膜の耐熱水性、耐ク
ラック性等を向上させるために使用する。
【0021】そのため(b)成分は、(a)成分100
重量部に対し、0.3〜20重量部、好ましくは1〜1
0重量部使用する必要がある。
【0022】(b)成分が前記範囲より少ないと前述の
向上効果が得られず、逆に多過ぎると得られる塗膜の硬
化性が悪くなり、また耐汚染性、耐候性、耐溶剤性や外
観が悪くなるので好ましくない。
【0023】(c)成分 (c)成分は、末端あるいは側鎖に加水分解性シリル基
又は水酸基と結合したケイ素原子を有するシリル基を樹
脂1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上有す
る分子量が約1,000〜50,000のビニル系樹脂
である。
【0024】前記シリル基は、一般式−SiX
P (R3 (3-P) 〔式中、Xはアルコキシ、アシロキ
シ、ハロゲン、ケトキシメート、アミノ、酸アミド、ア
ミドオキシ、メルカプト、アルケニルオキシ、フェノキ
シ等の加水分解性基又は水酸基;R3 は水素又は炭素数
1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基等の
1価の炭化水素基;Pは1〜3の整数である〕で示され
るものである。
【0025】シリル基含有ビニル系樹脂は、一般式
【0026】
【化1】 〔式中、X,R3 ,Pは上記と同じ〕で表わされるヒド
ロシラン化合物と炭素−炭素二重結合を有するビニル系
樹脂を反応させることにより製造される。
【0027】なお前記ヒドロシラン化合物としては、メ
チルジクロロシラン、メチルジエトキシシラン、メチル
ジアセトキシシラン、メチルジアミノキシシラン等が代
表的なものとして挙げられる。ヒドロシラン化合物量
は、ビニル系樹脂中に含まれる炭素−炭素二重結合に対
し0.5〜2倍モル量の使用が適当である。
【0028】前記ビニル系樹脂は、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、シ
クロヘキシル(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル
酸エステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル
酸等のカルボン酸および無水マレイン酸等の酸無水物;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ化合物;
アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどからなる群から選ば
れるビニル系モノマーの共重合体であるが、該共重合体
製造時に、(メタ)アクリル酸アリルやジアリルフタレ
ート等をラジカル共重合させることにより、ビニル系樹
脂中にヒドロシリル化反応の為の炭素−炭素二重結合の
導入が可能である。
【0029】また、その他製造方法として前述のビニル
系モノマーや2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシビニルエーテル等の水酸基含有モノマーと
γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシ
ラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシ
ラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシ
ラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチル
ジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピル
メチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシ
ブチルフェニルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリ
ロキシブチルフェニルジエトキシシラン、γ−(メタ)
アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−
(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン
等のシリル基含有ビニル化合物とをラジカル重合させる
方法もある。
【0030】これらシリル基含有ビニル系樹脂の具体例
としては市販品として鐘淵化学工業社製のカネカゼムラ
ック等が挙げられる。
【0031】(c)成分は得られる塗膜の外観、耐凍害
性、耐アルカリ性等を向上させるために使用する。その
ため(c)成分は、(a)成分100重量部に対し2〜
200重量部、好ましくは10〜150重量部使用する
必要がある。なお、(c)成分が前記範囲より少ないと
前述の向上効果が得られず、逆に多過ぎると得られる塗
膜の耐候性や組成物の貯蔵安定性等が悪くなるので好ま
しくない。
【0032】第1の発明で使用する結合剤は、以上説明
した(a)成分、(b)成分及び(c)成分を水及び触
媒の存在下で加水分解及び部分縮合反応させ製造する。
【0033】なお、水の量は、(a)成分、(b)成分
及び(c)成分中の加水分解性官能基1当量に対し0.
2〜1.0、好ましくは0.3〜0.7が適当である。
また触媒としては硝酸、塩酸などの無機酸;酢酸、ギ
酸、プロピオン酸などの有機酸等を挙げることができ
る。触媒の量は、コーティング組成物のpHが3〜6に
なるような量が適当である。
【0034】結合剤の製造方法は、水及び触媒存在下で
(a)成分と(b)成分を混合して40〜80℃、好ま
しくは45〜65℃で2〜15時間反応させ、次いで
(c)成分を加え、さらに同温で1〜10時間反応させ
る方法が好適であるがこの方法に限定されるものではな
い。
【0035】次に第2の発明の結合剤を製造するために
使用する各成分について説明する。(a)成分、(b)
成分及び(c)成分は、第1の発明と同様なものを使用
する。
【0036】(d)成分 (d)成分は、Zr,Ti又はAl系金属キレート化合
物である。
【0037】該金属キレート化合物の具体例としては、
トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウ
ム、ジ−n−ブトキシジ(エチルアセトアセテート)ジ
ルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテ
ート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセ
テート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセ
テート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合
物;ジイソプロポキシビス(アセチルアセテート)チタ
ニウム、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテー
ト)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイ
ソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジ
イソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イ
ソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニ
ウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウ
ム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムなど
のアルミニウム化合物などが挙げられる。
【0038】(d)成分は、(a)成分、(b)成分及
び(c)成分間の縮合反応を促進し、塗膜外観や耐候
性、耐汚染性等を向上させるために使用する。そのため
(d)成分は、(a)成分100重量部に対し、0.0
1〜50重量部、好ましくは0.1〜15重量部使用す
る。
【0039】(d)成分が前記範囲より少ないと縮合反
応が不十分となり、前述向上効果が得られず、逆に多過
ぎると重合反応安定性が悪くなるので好ましくない。
【0040】なお、第1の発明で説明した通り、(d)
成分がなくとも前述の触媒を使用することにより、
(a)成分、(b)成分及び(c)成分間の縮合反応を
促進出来るが、前述の触媒の代りに(d)成分を使用す
ることにより、もしくは両者を併用することにより第1
の発明の結合剤よりも貯蔵安定性がよく、また塗膜硬度
も高くなるので第2の発明の結合剤の方が望ましい。
【0041】第2の発明で使用する結合剤は、以上説明
した(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成
分を水の存在下で、さらに必要に応じて前述の触媒の存
在下で加水分解及び部分縮合反応させ製造する。
【0042】なお、水の量は、(a)成分、(b)成
分、(c)成分及び(d)成分中の加水分解性官能基1
当量に対し、0.2〜1.0、好ましくは0.3〜0.
7が適当である。
【0043】結合剤の製造方法は、水の存在下で(a)
成分と(b)成分を混合して40〜80℃、好ましくは
45〜65℃で2〜15時間反応させ、次いで(c)成
分と(d)成分を加え、さらに同温で1〜10時間反応
させる方法が好適であるが、この方法に限定されるもの
ではない。
【0044】本発明のコーティング組成物は、以上説明
した第1の発明の結合剤もしくは第2の発明の結合剤
に、さらに必要に応じて組成物の固形分を好ましくは5
〜50重量%程度に調整するため、またコーティング組
成物の貯蔵安定性や塗装作業性をよくするための有機溶
媒、充填剤、染料や硬化促進剤、増粘剤、顔料分散剤等
の各種添加剤などを配合したものから構成される。
【0045】前記有機溶媒としては、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール
類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテルなどのアルコールエーテ
ル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類等
の親水性有機溶媒の他、トルエン、キシレン、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等の各種塗料用有機溶媒が使用可能であ
る。
【0046】前記充填剤としては、タルク、炭酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、酸
化チタン、カーボンブラック、ベンガラ、リトポン等の
各種塗料用体質顔料や着色顔料が使用可能である。
【0047】前記硬化促進剤としては、オクチル酸ス
ズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレー
ト、トリブチルスズラウレートなどの有機スズ化合物や
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピペリジ
ン、フェニレンジアミン、トリエチルアミンなどのアミ
ン化合物等が代表的なものとして挙げられる。これら硬
化促進剤は、コーティング組成物を比較的低い温度でよ
り速く硬化させるために添加するのが望ましく、その量
は、結合剤100重量部に対し、0.01〜15重量部
が適当である。
【0048】本発明のコーティング組成物は、被塗物表
面に刷毛、スプレー、ロール、ディッピングなどの塗装
手段により塗装し、常温もしくは300℃以下の温度で
焼付けることにより硬化塗膜を形成することが可能であ
る。
【0049】なお、被塗物としては、無機窯業基材、ス
テンレス、アルミニウム等の各種金属基材、ガラス基
材、プラスチック基材、紙基材などの各種被塗物に適用
可能である。
【0050】
【発明の効果】本発明のコーティング組成物は、貯蔵安
定性に優れ、また耐熱水性、耐クラック性、耐候性、耐
汚染性等に優れた塗膜を形成させることができる。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。なお、実施例中「部」、「%」は、特に断わら
ない限り重量基準で示す。
【0052】〈シリル基含有ビニル系樹脂溶液(イ)の
調製〉還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、キシレン
45部、イソブタノール40部を加え混合した後攪拌し
ながら85℃に加温した。次に、イソブチルメタクリレ
ート50部、2−エチルヘキシルメタクリレート35
部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1
5部とアゾビスイソバレロニトリル1.5部の混合溶液
を、85℃で3時間かけて滴下し、その後90℃に昇温
し2時間維持し反応を終了させた。得られたシリル基含
有ビニル系樹脂溶液(イ)は、固形分濃度55%で数平
均分子量は14000であり、ポリマー1分子あたり平
均約7個のシリル基を有している。
【0053】実施例1 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、(a)メチルト
リメトキシシランの部分加水分解縮合物(東レ・ダウコ
ーニング(株)製のSR2402;固形分100%)を
40部、メチルトリメトキシシラン50部、ジメチルジ
メトキシシラン10部と、(b)トリメチルメトキシシ
ラン1部、(c)シリル基含有ビニル系樹脂容液(鐘淵
化学工業(株)製、カネカゼムラック;固形分50%)
25部、(d)ジイソプロポキシアルミニウムエチルア
セトアセテート1.5部とイソプロパノール20部を加
え混合した後、イオン交換水20部を加え、60℃で3
時間反応させたのちイソプロパノール60部を加え室温
まで冷却しコーティング組成物A(固形分34%)を得
た。
【0054】実施例2 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、(a)東レ・ダ
ウコーニング(株)製のSR2402を70部、イソプ
ロピルトリメトキシシラン20部、ジメチルジメトキシ
シラン10部と、(b)トリメチルメトキシシラン1
部、(c)鐘淵化学工業(株)製、カネカゼムラック2
5部、(d)ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセ
トアセテート1.5部とイソプロパノール20部を加え
混合した後、イオン交換水20部を加え、60℃で3時
間反応させたのちイソプロパノール70部を加え室温ま
で冷却しコーティング組成物B(固形分36%)を得
た。
【0055】実施例3 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、(a)東レ・ダ
ウコーニング(株)製のSR2402を50部、メチル
トリメトキシシラン50部と、(b)トリメチルメトキ
シシラン1部、(c)鐘淵化学工業(株)製、カネカゼ
ムラック25部、(d)ジイソプロポキシアルミニウム
エチルアセトアセテート1.5部とイソプロパノール2
0部を加え混合した後、イオン交換水20部を加え、6
0℃で3時間反応させたのちイソプロパノール60部を
加え室温まで冷却しコーティング組成物C(固形分34
%)を得た。
【0056】実施例4 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、(a)東レ・ダ
ウコーニング(株)製のSR2402を40部、メチル
トリメトキシシラン50部、ジメチルジメトキシシラン
10部と、(b)n−ブトキシトリメチルシラン3.0
部、(c)鐘淵化学工業(株)製、カネカゼムラック5
0部、(d)ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセ
トアセテート1.5部とイソプロパノール20部を加え
混合した後、イオン交換水20部を加え、60℃で4時
間反応させたのちイソプロパノール60部を加え室温ま
で冷却しコーティング組成物D(固形分36%)を得
た。
【0057】実施例5 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、(a)東レ・ダ
ウコーニング(株)製のSR2402を40部、メチル
トリメトキシシラン50部、ジメチルジメトキシシラン
10部と、(b)トリメチルメトキシシラン1部、
(c)鐘淵化学工業(株)製、カネカゼムラック50
部、(d)ジイソプロポキシチタニウムビス(アセチル
アセトナート)2部とイソプロパノール20部を加え混
合した後、イオン交換水20部を加え、60℃で4時間
反応させたのちイソプロパノール60部を加え室温まで
冷却しコーティング組成物E(固形分36%)を得た。
【0058】実施例6 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、(a)東レ・ダ
ウコーニング(株)製のSR2402を40部、メチル
トリメトキシシラン50部、ジメチルジメトキシシラン
10部と、(b)トリメチルメトキシシラン1部、
(c)前述のシリル基含有ビニル系樹脂溶液(イ)50
部、(d)ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセト
アセテート1部とイソプロパノール20部を加え混合し
た後、イオン交換水20部を加え、60℃で4時間反応
させたのちイソプロパノール60部を加え室温まで冷却
しコーティング組成物F(固形分36%)を得た。
【0059】実施例7 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、(a)東レ・ダ
ウコーニング(株)製のSR2402を40部、メチル
トリメトキシシラン50部、ジメチルジメトキシシラン
10部と、(b)トリメチルメトキシシラン1部、
(c)前述のシリル基含有ビニル系樹脂溶液(イ)50
部、イソプロパノール20部を加え混合した後、イオン
交換水20部を加え、さらに0.1規定の塩酸水溶液
0.5部を加え、60℃で4時間反応させた後イソプロ
パノール60部を加え室温まで冷却し、コーティング組
成物G(固形分36%)を得た。
【0060】比較例1 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、(a)東レ・ダ
ウコーニング(株)製のSR2402を40部、メチル
トリメトキシシラン50部、ジメチルジメトキシシラン
10部と、(c)鐘淵化学工業(株)製、カネカゼムラ
ック50部、(d)ジイソプロポキシアルミニウムエチ
ルアセトアセテート5部とイソプロパノール20部を加
え混合した後、イオン交換水20部を加え、60℃で3
時間反応させたのちイソプロパノール75部を加え室温
まで冷却しコーティング組成物H(固形分34%)を得
た。
【0061】比較例2 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、(a)東レ・ダ
ウコーニング(株)製のSR2402を40部、メチル
トリメトキシシラン50部、ジメチルジメトキシシラン
10部と、(b)トリメチルメトキシシラン50部、
(c)鐘淵化学工業(株)製、カネカゼムラック50
部、(d)ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセト
アセテート1.5部とイソプロパノール50部を加え混
合した後、イオン交換水25部を加え、60℃で3時間
反応させたのちイソプロパノール60部を加え室温まで
冷却しコーティング組成物I(固形分36%)を得た。
【0062】比較例3 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、(a)東レ・ダ
ウコーニング(株)製のSR2402を40部、メチル
トリメトキシシラン50部、ジメチルジメトキシシラン
10部と、(b)トリメチルメトキシシラン1部、
(d)ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセ
テート1.5部とイソプロパノール20部を加え混合し
た後、イオン交換水20部を加え、60℃で3時間反応
させたのちイソプロパノール60部を加え室温まで冷却
しコーティング組成物J(固形分33%)を得た。
【0063】比較例4 還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、(a)東レ・ダ
ウコーニング(株)製のSR2402を40部、メチル
トリメトキシシラン50部、ジメチルジメトキシシラン
10部と、(b)トリメチルメトキシシラン1部、
(c)鐘淵化学工業(株)製、カネカゼムラック500
部、(d)ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセト
アセテート10部とイソプロパノール150部を加え混
合した後、イオン交換水30部を加え、60℃で3時間
反応させたのちイソプロパノール150部を加え室温ま
で冷却しコーティング組成物K(固形分36%)を得
た。
【0064】〈性能評価試験〉 (i)コーティング組成物貯蔵安定性試験 実施例1〜7及び比較例1〜4で得られたコーティング
組成物A〜Kにつき、50℃恒温器に4週間放置し、外
観変化と粘度変化を調べた。コーティング組成物A〜
G,I,Jは変化はみられなかったが比較例1の(b)
成分を含有しないコーティング組成物Hは、増粘し、ま
た比較例4のシリル基含有ビニル系樹脂を過剰に配合し
たコーティング組成物Kはゲル化した。
【0065】(ii)コーティング組成物塗膜性能試験 測定試験 試験板の作成:素材として石膏スラグパーライト板(厚
さ12mm)を用い、その表面にポリイソシアネートプ
レポリマー溶液シーラー「Vセラン#100シーラー」
(大日本塗料株式会社製商品名)(酢酸ブチル:キシレ
ン=1:1の溶剤で100%希釈品)を塗着量が90〜
100g/m2 (wet重量)となるように吹付塗装し
た。これを100℃で5分間乾燥した。次いでベース塗
料としてアクリルシリコーン樹脂系塗料「Vセラン#5
00エナメル」(大日本塗料株式会社製商品名)(酢酸
ブチル:キシレン=1:1の溶剤で40%希釈品)を塗
着量が80〜90g/m2 (wet重量)となるように
吹付塗装した。これを120℃で15分間乾燥した。
【0066】次いで前述の各コーティング組成物に有機
溶媒、硬化促進剤等を添加した表1に示すトップコート
塗料(表中の数値は「部」を示す。)を塗着量が(13
0±10)g/m2 (wet重量)となるように吹付塗
装した。これを120℃で15分間乾燥した後、室温で
3日間乾燥し、得られた塗膜の硬度、耐熱水性、耐汚染
性、耐候性、耐凍害性の各試験をし、その結果を表1に
示した。
【0067】なお、試験方法、評価基準は次の通りであ
る。
【0068】硬度:JIS K 5400により測定し
た鉛筆硬度 耐熱水性:テストピースを60℃の水道水中に7日間浸
漬して塗膜外観の異常を目視で判定した。
【0069】 ○…変化なし △…光沢低下、白化等の軽微な変化あり ×…光沢低下、白化等の変化大 耐汚染性:赤、黒マジックインキの24時間後の除染性 ◎…完全除去 ○…極く軽微な汚染 △…汚染 ×…汚染著しい 耐候性:サンシャインウェザー−オーメーター3000
時間 ○…塗膜外観に変化はない、光沢保持率95%以上 △…塗膜外観変化が軽微にある、光沢保持率80〜94
% ×…塗膜変化が著しい、光沢保持率80%未満 耐凍害性:ASTM−C666A法によって測定 ○…クラックの発生なし △…軽微なクラック発生又は塗膜の部分剥離 ×…著しいクラック、塗膜剥離 表1より明らかな通り、本発明のコーティング組成物A
〜Gをトップコート塗料に使用した試験No.1〜7
は、優れた塗膜性能を有していた。
【0070】一方一般式(2)で示されるオルガノシラ
ンを含有しないコーティング組成物Hをトップコート塗
料に使用した試験No.8は耐熱水性、耐凍害性が劣っ
ていた。逆に一般式(2)で示されるオルガノシランを
過剰に含有するコーティング組成物Iをトップコート塗
料に使用した試験No.9は耐汚染性、耐候性が悪かっ
た。
【0071】またシリル基含有ビニル系樹脂を含有しな
いコーティング組成物Jをトップコート塗料に使用した
試験No.10は耐凍害性が劣っていた。逆にシリル基
含有ビニル系樹脂を過剰に含有するコーティング組成物
Kをトップコート塗料に使用した試験No.11は耐候
性が悪かった。
【0072】
【表1】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)一般式(1)R1 nSi(OR2
    4-n 〔式中R1 は炭素数1〜8の有機基、R2 は炭素数
    1〜5のアルキル基、nは1又は2である〕で示される
    オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物10
    0重量部と(b)一般式(2)R1 3SiOR2 〔式中R
    1 ,R2 は上記と同じ〕で示されるオルガノシラン0.
    3〜20重量部と(c)加水分解性シリル基又は水酸基
    と結合したケイ素原子を有するシリル基をもつ、シリル
    基含有ビニル系樹脂2〜200重量部とを反応させて得
    られる生成物を結合剤とするコーティング組成物。
  2. 【請求項2】 (a)一般式(1)R1 nSi(OR2
    4-n 〔式中R1 は炭素数1〜8の有機基、R2 は炭素数
    1〜5のアルキル基、nは1又は2である〕で示される
    オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物10
    0重量部と(b)一般式(2)R1 3SiOR2 〔式中R
    1 ,R2 は上記と同じ〕で示されるオルガノシラン0.
    3〜20重量部と(c)加水分解性シリル基又は水酸基
    と結合したケイ素原子を有するシリル基をもつ、シリル
    基含有ビニル系樹脂2〜200重量部と(d)Zr,T
    i又はAl系金属キレート化合物0.01〜50重量部
    とを反応させて得られる生成物を結合剤とするコーティ
    ング組成物。
  3. 【請求項3】 上記(a)成分は、一般式(1)のオル
    ガノシランとその部分加水分解縮合物との重量比が
    (5:95〜60:40)からなる請求項1又は2のコ
    ーティング組成物。
  4. 【請求項4】 上記(a)成分は、一般式R1 Si(O
    2 3 〔式中R1,R2 は上記と同じ〕で示されるオ
    ルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(a−
    1)と、一般式R1 2Si(OR2 2 〔式中R1 ,R2
    は上記と同じ〕で示されるオルガノシラン及び/又はそ
    の部分加水分解縮合物(a−2)との重量比が(50:
    50〜100:0)からなる請求項1,2又は3のコー
    ティング組成物。
  5. 【請求項5】 上記(a)成分は、一般式R1 Si(O
    2 3 〔式中R1,R2 は上記と同じ〕で示されるオ
    ルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(a−
    1)と、一般式R1 2Si(OR2 2 〔式中R1 ,R2
    は上記と同じ〕で示されるオルガノシラン及び/又はそ
    の部分加水分解縮合物(a−2)との重量比が(55:
    45〜90:10)からなる請求項1,2又は3のコー
    ティング組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1036515A (ja) * 1996-07-30 1998-02-10 Dainippon Ink & Chem Inc 水性樹脂、その製造法及びそれを含有する水性硬化性樹脂組成物
JP2001271031A (ja) * 2000-03-28 2001-10-02 Dainippon Toryo Co Ltd 塗料組成物

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