JPH0922689A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JPH0922689A
JPH0922689A JP7202685A JP20268595A JPH0922689A JP H0922689 A JPH0922689 A JP H0922689A JP 7202685 A JP7202685 A JP 7202685A JP 20268595 A JP20268595 A JP 20268595A JP H0922689 A JPH0922689 A JP H0922689A
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positive electrode
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Toru Nagaura
亨 永浦
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HAIBARU KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、非水電解液二次電池のサイクル
特性の改善に関するものである。 【構成】 層構造のリチウムコバルト酸化物を主たる正
極活物質とし、主たる負極活物質には層間距離(d00
2)が3.38Å以下の黒鉛質炭素を使用し、電池組み
立て時点(初回の充電前)または電池が放電状熊にある
時は正極活物質層の電解液保持能力(a)と負極活物質
層の電解液保持能力(b)の間に、0.9≦a/b≦
1.3の関係を満足させる。これによって正極中と負極
中に電解液が適切に分布保持されるため、高温下での充
放電の繰り返しでも大きな容量劣化を招くことなくこと
がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、非水電解液二次電池
のサイクル特性の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高エネルギー密度の二次電池を目指し
て、リチウム金属を負極とする非水電解液二次電池の研
究が長い間なされてきた。しかし、リチウム金属を負極
とする二次電池は充放電の繰り返しにより、だんだん金
属リチウムがパウダー化して負極としての機能を無くし
ていくため、十分なサイクル寿命が得られなかった。し
かし、リチウム金属に代えて炭素材料を負極活物質とす
れば、サイクル寿命の大幅な改善がなされることが解
り、炭素中へのリチウムイオンのインターカレーション
を利用する炭素電極を負極とする非水電解液二次電池が
開発され、非水電解液二次電池もようやく実用の段階に
入った。この電池は本発明者らが世界で初めて開発に成
功し、「リチウムイオン二次電池」と名付けて1990
年に世の中に紹介したもので(雑誌Progress
In Batteries &Solar Cell
s,Vol.9,1990,p209参照)、現在では
「次世代のリチウムイオン二次電池」と呼ばれるほどに
認知され、携帯電話機、ビデオカメラ、ノート型パソコ
ン等の電源として急速に使われ初めている。本発明者ら
が最初に完成したリチウムイオン二次電池は、負極活物
質には擬黒鉛炭素であるコークスを使用し、正極活物質
には層構造のLiCoO2を使用したものであった。こ
の電池の欠点としては、高温(40℃〜50℃)下の充
放電サイクルでは常温下に比べて放電容量の劣化が大き
いこと、および電池の放電電圧が負極の擬黒鉛炭素材料
の放電特性を反映するため、放電電圧が放電とともにだ
らだらと低下することがあげられる。電池を使用する立
場からは、サイクル特性が良好で、放電電圧は平坦で高
い電圧を維持できるものが当然好まれる。また現実的な
実用性からは、特に高温(40〜50℃)使用における
良好なサイクル特性が重要である。二次電池の使用は多
くの場合携帯機器の中に組み込まれるため、機器内の温
度は電池はもとより種々の電子部品からの発熱がこもり
室温以上の温度となるからである。最初はリチウムイオ
ン二次電池のカーボン負極に適した炭素材料は、ある程
度の乱層構造を有した擬黒鉛材料であると考えられ、高
結晶性の黒鉛材料は黒鉛表面で電解液が分解して、リチ
ウムイオンの炭素中へのインターカレーション反応が進
みにくいと考えられていた。しかし適切な電解液を選べ
ば高結晶性の黒鉛炭素質材料が負極活物質として使用で
きることが解ってきた。そして2400℃以上で熱処理
された、層間距離(d002)が3.38Å以下に黒鉛
化の進んだ炭素材料、もしくは天然黒鉛を負極活物質と
する方が、むしろ放電カーブは平坦で、放電電圧も高
く、より高性能なリチウムイオン二次電池となることが
解った。実際のリチウムイオン二次電池の作成において
は、負極作成も正極作成も全く同じように、活物質材料
に必要に応じてアセチレンブラック等の導電材を混合
し、バインダーと溶剤を加えてペースト状の合剤とし、
金属箔に塗布して乾燥する。その後出来るだけ高密度の
活物質層を得るために、ローラープレス機で加圧成型す
る。負極は黒鉛質炭素材料を活物質とし、銅箔の集電体
上に空孔率30%前後、密度1.3g/cm前後で活
物質層が形成される。正極はLiCoO2を活物質と
し、アルミニウム箔の集電体上に空孔率25%前後、密
度3.1g/cm前後で活物質層が形成される。一
方、種々の電池性能の改善のためには、正極活物質につ
いてもLiCoO2のCo一部を他の元素で置き換えた
一般式LiCo1−xAxO2(AはNi、Fe、M
n、Al等)で示される層構造のリチウム含有コバルト
酸化物が提案されている。さらには、LiNiO2やL
iMnO2等の副活物質を主活物質とするリチウム含有
コバルト酸化物に混合して正極活物質とする方法なども
提案されている。しかし、リチウムイオン二次電池の高
温(40〜50℃)使用では充放電サイクルにともなう
容量劣化が大きく、これまでのところ、この欠点の改善
に関しては実質的な有効手段は見当たらず、まだ未解決
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は黒鉛質炭素材
料を主たる負極活物質とし、層構造のリチウム含有コバ
ルト酸化物を主たる正極活物質とするリチウムイオン二
次電池において、高温(40〜50℃)での充放電サイ
クルにともなう容量劣化を十分に少ないものにしようと
するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】層構造のコバルト酸化物
を主たる正極活物質とし、主たる負極活物質には層間距
離(d002)が3.38Å以下の黒鉛質炭素を使用
し、電池組み立て時点(初回の充電前)または電池が放
電状態にある時に正極活物質層の電解液保持能力(a)
と負極活物質層の電解液保持能力(b)の間に、0.9
≦a/b≦1.3の関係を満足させる。
【0005】
【作用】層構造のリチウコバルト酸化物を主たる正極活
物質とし、負極活物質に層間距離(d002)が3.3
8Å以下の黒鉛質炭素を使用するリチウムイオン二次電
池は、放電状態にある電極で電池が組み立てられる。し
たがって電池組み立て時点では電池は放電状態にあり、
電池組み立て後の充電によって初めて放電可能な電池と
なる。電池組み立て後の充電では、正極活物質中のリチ
ウムイオンが引き抜かれ、負極活物質中へリチウムイオ
ンが侵入することによって充電される。従って電池の充
電可能な容量は電池内に充填された活物質量で決まるわ
けで、そのため電極活物質層は出来るだけ高密度に加圧
成型して、出来るだけ電池内に多くの活物質を詰め込む
努力がなされている。一方活物質が効率良く反応するた
めには、電池内に十分な電解液を充填しておくこともま
た重要であり、活物質量と電解液量が程よくバランスし
て電池内に充填されていることが重要である。具体的に
は充電容量1Ahの活物質に対して5〜6gの電解液が
これまでの経験から適当と判断されている。ところが電
解液の役割から考えても、電解液がただ電池内に充填さ
えされていれば良いわけではなく、必要なところに適切
に分布して電池内に存在していることが重要である。つ
まり充電では正極活物質中のリチウムイオンが負極活物
質中へ移動する形になるが、このとき正負活物質間のリ
チウムイオンの移動経路を形成するのが電解液であり、
リチウムイオンの移動経路が断たれている活物質は充電
されないことになる。したがって理想的には正極中およ
び負極中の全ての活物質粒子にリチウムイオンの移動経
路が電解液によって確保されていることが望ましいわけ
である。
【0006】 図6には図5で示した電池断面図の電極
積層部分(Y)を拡大して示した。電池のなかでは正極
集電体(22)の上に形成された正極活物質層(12)
と負極集電体(21)の上に形成された負極活物質層
(11)が多孔質のセパレーター(3)を挟んで対向し
ている。正極活物質と負極活物質の間にリチウムイオン
の移動経路が確保されるためには正極と負極の間に配置
された多孔質セパレーター(3)の細孔中に十分な電解
液が保持されていなければならないことは当然である
が、正極活物質層(12)および負極活物質層(11)
の細孔空隙にも電解液が有効に存在することが重要であ
る。
【0007】 これまでの電池作成においては、負極作
成も正極作成も全く同じように、活物質材料に必要に応
じてアセチレンブラック等の導電材を混合し、バインダ
ーと溶剤を加えてペースト状の合剤とし、金属箔に塗布
して乾燥し、その後出来るだけ高密度の活物質層を得る
ために、ローラープレス機で加圧成型して電極作成がな
されていた。従来の方法では正極の活物質層は比較的容
易に加圧成型されるため空孔率20〜25%で仕上が
り、負極の活物質層は加圧後再び戻る傾向にあり、空孔
率は30%前後の仕上がりであった。従って、従来の電
池では、正極中に含浸されている電解液量は負極中に含
浸されている電解液量の6〜8割程度と相対的に少ない
状態で電池が作成されていた。
【0008】 本発明者は活物質層に保持される電解液
のうち、正極活物質層に保持させる電解液量と負極活物
質層に保持させる電解液量との比率について種々検討し
た結果、負極活物質層に保持させる電解液量と正極活物
質層に保持させる電解液量を出来るだけ近似させるか、
もしくは正極活物質層に保持させる電解液量をむしろ多
少多くすることが、高温(40℃)下での充放電サイク
ル特性の改善に有効な手段であることを見出だし、本発
明を完成するに至った。本発明による電池は、正極活物
質層の電解液保持能力(a)と負極活物質層の電解液保
持能力(b)の間に0.9≦a/b≦1.3の関係を満
足した電極で電池素子を構成し、この電池素子を電池容
器に電解液を含浸させて密閉してなる電池であり、十分
な放電容量も確保され、且つ高温(40℃)下での充放
電サイクルにおいても容量劣化の少ない電池となる。
【0009】 図7は本発明を実施するために有効なロ
ーラープレス機の正面図、図4はそのローラー部の断面
図である。また図8には従来のローラープレス機の正面
図を示した。本発明では負極活物質層の加圧成型におい
ては、図7に示す如きローラー径の小さいプレス用ロー
ラー(23)を有する加圧ローラープレス機で加圧成型
することにより、負極活物質層の空孔率を従来より下げ
ることに成功し、本発明の電池では前記0.9≦a/b
≦1.3の関係を満足させたものである。直径rのプレ
ス用ローラー(23)と直径Rの補強ローラー(24)
で図4の如く構成すれば(r<R)、直径Rの補強用ロ
ーラーの採用によりプレス用ローラーの直径(r)を十
分小さくすることが可能となる。直径の小さいローラー
での負極活物質層の加圧は、加圧後の戻りが少なく、負
極活物質層の空孔率を小さい値まで自由に変化させるこ
とが出来る。
【0010】 本発明による高温下でのサイクル特性の
改善理由は定かではないが、本発明の電池においては、
使用する電極の電解液保持能力の関係で0.9≦a/b
≦1.3を満足させているので、正極と負極の両活物質
層に適切に分布して電解液が保持されている。これが改
善へ寄与していることは明白である。
【0011】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳しく説明
する。
【0012】実施例1 図5を参照しながら本発明の具体的な電池について説明
する。まず負極活物質として2800℃で熱処理を施し
たメソカーボンマイクロビーズ(d002=3.36
Å)の88重量部に2重量部のアセチレンブラックを混
ぜ、さらに結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVD
F)の10重量部を溶かした溶剤(N−メチル−2−ピ
ロリン)と湿式混合してスラリー(ペースト状)にし
た。このスラリーを負極集電体(21)とする厚さ0.
01mm、幅100mm、長さ800mmの銅箔の両面
に均一に塗布し、乾燥温度110℃で溶剤(N−メチル
−2−ピロリドン)が完全に除かれるまで乾燥し、銅箔
の両面に負極活物質層が形成された塗工体を得た。乾燥
後、塗工体から一定の面積を切り取り、重量測定を行っ
て活物質層の塗工量を測定した。塗工量は24.9mg
/cmであった。乾燥後、塗工体は図4および図7に
示すローラープレス機で加圧して厚さ0.167mmの
加圧成型体とした。成型体からはさらに一定の面積を切
り取り、本実施例で使用する電解液を真空含浸法で含浸
して重量測定を行い、その重量増分を負極活物質層の電
解液保持能力(b)として記録した。加圧成型体は幅を
39mm、塗工部分の長さを395mmに調整して帯状
の負極(1)として用意した。
【0013】 なおここで使用したローラープレス機は
図7に示すように、プレス用ローラー(23)の直径は
約100mmで、図8に示す従来のローラープレス機の
プレス用ローラー(23b)の直径に比べて小さいのが
特徴である。従来のプレス機では図9(b)に示すよう
に、負極活物質層(11)が大きい径のプレスローラー
(23b)で加圧されたとき、加圧を受ける面積(S
2)が大きいため、加圧部の空気の排出経路が長くな
り、特に黒鉛質炭素材料を負極活物質とする場合は加圧
部の空気が排出されにくい。空気が閉じ込められた状態
で加圧されるため、加圧後再び活物質層に閉じ込められ
た空気が膨張して活物質層は膨らむため、従来のプレス
機では負極活物質層を30%以下の気孔率へ加圧成型す
ることは難しかった。しかし本実施例で使用したプレス
機では図9(a)に示すように、負極活物質層(11)
が小径のプレスローラー(23)で加圧されたとき、加
圧を受ける面積(S1)が小さいため加圧部の空気の排
出経路が短くて、黒鉛質炭素材料を負極活物質とする場
合でも加圧部の空気が比較的排出されやすく、加圧後の
活物質層はさほど膨らまない。従って負極活物質層の気
孔率を十分小さいところまでも加圧成型することが可能
となる。
【0014】 次に市販の炭酸コバルト〔CoCO3〕
と炭酸リチウム〔Li2CO3〕をLi/Coのモル比
を1.03で混合し、空気中900℃で12時間焼成し
て、正極活物質とする層構造のリチウムコバルト酸化物
(LiCoO2)を合成した。焼成後のリチウムコバル
ト酸化物(LiCoO2)は粉砕機で平均粒径0.02
mmの粉末とし、この89重量部にアセチレンブラック
を3重量部とグラファイト4重量部を混合し、結着材と
してポリフッ化ビニリデン4重量部を溶かした溶剤(N
−メチル−2−ピロリドン)と湿式混合してスラリー
(ペースト状)にした。次にこのスラリーを正極集電体
(22)とする厚さ0.02mm、幅100mm、長さ
800mmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、乾
燥温度110℃で溶剤(N−メチル−2−ピロリドン)
が完全に除かれるまで乾燥し、アルミニウム箔の両面に
正極活物質層が形成された塗工体を得た。乾燥後、塗工
体から一定の面積を切り取り、重量測定を行って活物質
層の塗工量を測定した。塗工量は51.8mg/cm
であった。乾燥後、塗工体は前述のローラープレス機で
加圧し、厚さ0.190mmの仕上がりとした。ここで
も成型体から一定の面積を切り取り、本実施例で使用す
る電解液を真空含浸法で含浸して重量測定を行い、その
重量増分を正極活物質層の電解液保持能力(a)として
記録した。加圧成型体は幅を38mm、塗工部分の長さ
を355mmに調整して帯状の正極(2)として用意し
た。
【0015】 以上のようにして用意した負極(1)と
正極(2)は間に多孔質のポリプロピレン製セパレータ
ー(3)を挟んでロール状に巻上げて巻回体として、平
均外径15.7mmの電極素子を作成した。次に図5に
示すように、ニッケル鍍金を施した鉄製の電池缶(4)
の底部に絶縁板(5)を設置し、先に作成した電池素子
を電池缶(4)の中に納め、電池素子より取り出した負
極リード(6)は電池缶の底に溶接し、電池素子の上部
には不織布の絶縁板(5)を設置し、ガスケット(7)
をはめる。電池素子より取り出した正極リード(9)は
防爆弁(8)に溶接する。次に電解液としてプロピレン
カーボネート(PC)とエチレンカーボネート(EC)
とジエチルカーボネート(DEC)の体積比2:3:5
の混合溶媒に1モル/リットルのLiPF6を溶解した
ものを注入する。その後防爆弁(8)を図5に示すよう
に電池内部に設置し、防爆弁の上には正極外部端子とな
る閉塞蓋体(10)を重ね、電池缶の縁をかしめて、図
5に示す電池構造で外径16.5mm、高さ50mmの
電池(A)を作成した。作成した電池(A)は組み立て
時点では放電状態にあり、放電状態の電池(A)は固有
のa/b値を有する。a/b値とは先に測定しておいた
電極の電解液保持能力から計算されるものであり、電池
(A)に使用した正極の活物質層の電解液保持能力
(a)と使用した負極の活物質層の電解液保持能力
(b)の比である。本実施例における電池(A)のa/
b値は1.13であった。
【0016】従来例 実施例1と全く同じように、調合したスラリーを負極集
電体(21)に塗布し、乾燥し、銅箔の両面に塗工量2
2.9mg/cmで負極活物質層が形成された塗工体
を得た。乾燥後、塗工体は図8に示す従来タイプのロー
ラープレス機で加圧して厚さ0.183mmの加圧成型
体とした。実施例1と同様に、成型体からは一定の面積
を切り取り、電解液を真空含浸法で含浸して重量測定を
行い、その重量増分を負極活物質層の電解液保持能力
(b)として記録した。加圧成型体は幅を39mm、塗
工部分の長さを395mmに調整して帯状の負極(1)
として用意した。
【0017】 ここで使用した従来タイプのローラープ
レス機は図8に示すように、2つの径の大きいプレス用
ローラー(23b)で構成されたものであり、プレス用
ローラー(23b)の直径は約200mmで、実施例1
で使用したもののほぼ倍である。前述の理由から従来の
ローラープレス機では厚さ0.183mm以下への加圧
成型は難しい状況であった。
【0018】 正極の作成もまず実施例1と同様な方法
でアルミニウム箔の両面に塗工量47.6mg/cm
で正極活物質層が形成された塗工体を得た。乾燥後、塗
工体は従来タイプのローラープレス機で加圧して厚さ
0.174mmの加圧成型体とした。ここでも実施例1
と同様にして正極活物質層の電解液保持能力(a)を測
定記録した。加圧成型体は幅を38mm、塗工部分の長
さを355mmに調整して帯状の正極(2)として用意
した。
【0019】 あとは全く実施例1と同じようにして、
図5に示す電池構造で外径16.5mm、高さ50mm
の電池(B)を作成した。本従来例における電池(B)
のa/b値は0.599であった。
【0020】比較例1 実施例1と同じ方法で一組の負極(1)と正極(2)を
作成した。活物質層の塗工量は負極が25.0mg/c
で正極は52.2mg/cm、電極厚さは負極が
0.160mmの仕上がりで、実施例1よりもさらに薄
い電極に加圧成型したものであり、正極厚さは0.19
7mmの仕上がりで、実施例1よりも厚い電極とした。
こうして用意した負極(1)と正極(2)を用いて全く
実施例1と同じようにして、図5に示す電池構造で外径
16.5mm、高さ50mmの3個の電池(C)を作成
した。電池(C)のa/b値は1.62であった。
【0021】テスト結果1 こうして実施例1、従来例および比較例1で作成した電
池(A)〜(C)は、いずれも電池内部の安定化を目的
に常温で12時間のエージング期間を経過させた後、充
電上限電圧を4.1Vに設定して4時間の充電を行い、
放電は600mAの定電流放電にて終止電圧3.0Vま
で行う方法で、第一回目の充放電は常温で行い、2回目
以降は40℃の恒温槽中で充放電サイクルを繰り返して
テストを行った。その結果を図1に示す。図1に示すよ
うに実施例1の電池(A)は従来例の電池(B)に比べ
て充放電サイクルに伴う容量の減少が少ないことが解
る。
【0022】 この改善理由は、a/b値の変更による
ものと考えられる。電池(A)のa/b値は1.13で
あり、電池(A)では放電状態において、正極活物質層
と負極活物質層にはほぼ均等に電解液が保持されている
ことになる。一方電池(B)のa/b値は0.599で
あり、電池(A)に比べてかなり小さい。つまり従来例
の電池(B)では放電状態において、負極活物質層には
十分な電解液を保持しているが、正極活物質層に保持す
る電解液が少ない。このため電池(B)では充放電の繰
り返しとともに次第に正極活物質の充電が出来にくくな
り、容量が劣化するものと考えられる。
【0023】 一方、同じく図3に示すように比較例1
の電池(C)も実施例1の電池(A)に比べて充放電サ
イクルに伴う容量の減少が大きい。電池(C)のa/b
値は1.62であり、電池(A)の1.13よりはるか
に大きくしたものであり、従来例の電池(B)とは逆に
正極活物質層には十分な電解液を保持しているが、負極
活物質層に保持する電解液が少ない。このため電池
(C)では充放電の繰り返しとともに次第に負極活物質
へのリチウムイオンのインターカレーション(充電)が
出来にくくなり、容量が劣化するものと考えられる。
【0024】 以上の結果から良好な充放電サイクル特
性を示す電池とするためには電池内に存在する電解液
は、単に電池内に存在すればよいものではなく、正極活
物質層および負極活物質層に適切に分布保持されている
ことが重要であることが解る。正極活物質層および負極
活物質層への電解液の配分は正極活物質層および負極活
物質層の電解液保持能力(a)および(b)の比率(a
/b値)によって決まるため、電池設計に当たっては適
切なa/b値の選択が重要である。
【0025】 従来の電極作成では高密度の活物質層を
得るため、高い成型圧にも耐えうるローラー直径の大き
いローラープレス機が使用されていた。ローラー直径の
大きいローラープレス機では、正極の活物質層は比較的
容易に加圧成型されるため空孔率20〜25%の仕上が
りとし、負極の活物質層は加圧後再び戻る傾向にあり、
空孔率は30%前後の仕上がりとしていた。従って、従
来例で示した電池(B)のように、従来の電池ではa/
b値は0.8以下となっていた。つまり正極中に含浸さ
れている電解液量は負極中に含浸されている電解液量の
6〜8割程度と相対的に少ない状態で電池が作成されて
いた。
【0026】 本発明の実施例1のように、負極活物質
層の加圧成型において、従来の加圧ローラープレス機に
比べ、ローラー径の小さいプレス用ローラーを有する加
圧ローラープレス機を用いて加圧成型すれば、負極活物
質層の加圧後の戻りが少なく、負極活物質層の空孔率を
自由に変化させることが出来、電池設計における適切な
a/b値の選択が可能である。
【0027】実施例2 実施例1と同様にして8枚の負極活物質の塗工体を得
た。実施例1の場合と同様に乾燥後の各塗工体から一定
の面積を切り取り、重量測定を行って各塗工体の塗工量
を測定した。各塗工体の塗工量は24.3mg/cm
から25.1mg/cmの範囲であった。各塗工体は
図4および図7に示したローラープレス機で加圧し、8
枚の加圧成型体は厚さ0.162mmから0.179m
mの範囲で厚さを変えた仕上がりとした。各成型体から
は一定の面積を切り取り、実施例1で使用したものと同
組成の電解液を真空含浸法で含浸して重量測定を行い、
負極活物質層の電解液保持能力(b)を測定した。各加
圧成型体は幅を39mm、塗工部分の長さを395mm
に調整して8枚の帯状の負極(1)として用意した。
【0028】 次に実施例1と同様にして8枚の正極活
物質の塗工体を得た。各塗工体の塗工量は50.6mg
/cmから52.3mg/cmの範囲であった。各
塗工体はローラープレス機で加圧し、8枚の加圧成型体
は厚さ0.178mmから0.195mmの範囲で厚さ
を変えた仕上がりとした。各成型体からは一定の面積を
切り取り、実施例1で使用したものと同じ組成の電解液
を真空含浸法で含浸して重量測定を行い、正極活物質層
の電解液保持能力(a)を測定した。各加圧成型体は幅
を38mm、塗工部分の長さを355mmに調整して8
枚の帯状の正極(2)として用意した。
【0029】 以上のようにして用意した8枚の負極
(1)からは一番薄い電極を除き、次に薄いものから順
に4枚をを選び、また8枚の正極(2)からは一番厚い
電極を除き、次に厚いものから順に4枚を選び、これら
4枚づつの負極と正極はその中でn番目に薄い負極とn
番目に厚い正極(ここではn=1〜4)を組み合わせ、
あとは全く実施例1と同じようにして、図5に示す電池
構造で外径16.5mm、高さ50mmの電池(I)か
ら電池(IV)の4個の電池を作成した。作成した電池
は何れも電池組み立て時点では放電状態にあり、4個の
電池はそれぞれ固有のa/b値を有する。各電池のa/
b値はそれぞれ電池(I)は1.29、電池(II)は
1.20、電池(III)は1.05、電(IV)は
0.92で、いずれも1.3以下で0.9以上であっ
た。a/b値は実施例1で行ったと同様な計算値、つま
り、先に測定しておいたその電池に使用した正極(2)
の活物質層の電解液保持能力(a)と負極(1)の負極
活物質層の電解液保持能力(b)の比である。
【0030】比較例2 実施例2で用意した残り4枚づつの負極(1)と正極
(2)は、その中でn番目に薄い負極とn番目に厚い正
極(ここではn=1〜4)を組み合わせ、あとは全く実
施例1と同じようにして、図5に示す電池構造で外径1
6.5mm、高さ50mmの電池(V)から電池(VI
II)の4個の電池を作成した。作成した電池は何れも
電池組み立て時点では放電状態にあり、各電池のa/b
値はそれぞれ電池(V)は0.66、電池(VI)は
0.71、電池(VII)は0.75、電池(VII
I)は1.46であった。
【0031】テスト結果2 こうして実施例2および比較例2で作成した電池(I)
から電池(VIII)の8個の電池は、いずれも電池内
部の安定化を目的に常温で12時間のエージング期間を
経過させた後、実施例1の電池で行った充放電条件と同
じ条件で、まず常温で1サイクルの充放電を行ったあ
と、引き続き40℃の恒温槽中で充放電サイクルテスト
を行った。100サイクルの充放電が終了した時点で、
先の電池(A)〜(C)も含めて各電池について容量保
持率を計算し、各電池のa/b値と容量保持率の関係を
図2に示した。なお容量保持率は10サイクル目の放電
容量を100%とし、100サイクル目の放電容量を%
で算出した。
【0032】 図2に示すように容量保持率はa/b値
の0.85および1.35を境に大きく変わり、100
サイクルの充放電後も85%以上の容量を維持するため
には、a/b値は0.9以上で且つ1.3以下でなけれ
ばならないことが解る。放電状態で正極中の電解液保持
量が負極中の電解液保持量より10%以上少ない場合
(a/b<0.9)では、特に高温(40℃)下での充
放電の繰り返しにおいては次第に正極活物質の充電が出
来にくくなり、容量が劣化するものと考えられる。また
放電状態で負極中の電解液保持量が正極中の電解液保持
量より23%以上少ない場合(a/b>1.3)では、
高温(40℃)下での充放電の繰り返しにおいては次第
に負極活物質の充電が出来にくくなり、容量が劣化する
ものと考えられる。
【0033】 以上示したテスト結果1、およびテスト
結果2から、層構造のリチウムコバルト酸化物を主たる
正極活物質とし、負極活物質に層間距離(d002)が
3.38Å以下の黒鉛質炭素を使用する非水電解液二次
電池においては、a/b値が0.9以上で且つ1.3以
下で作成されることが好ましいと判断される。
【0034】実施例3 実施例1と同様にして2枚の負極活物質の塗工体を得
た。塗工量はそれぞれ23.6mg/cmと24.0
mg/cmであった。さらにローラープレス機で加圧
成型した後の厚さはそれぞれ0.173mmと0.16
4mmの仕上がりとした。実施例1と同様に負極活物質
層の電解液保持能力(b)も測定した。ここでも加圧成
型体は幅を39mm、塗工部分の長さを395mmに調
整して帯状の負極(1)として用意した。
【0035】 次に市販の二酸化マンガン〔MnO2〕
を400℃で19時間焼成したものと炭酸リチウム〔L
i2CO3〕を1.94モル:0.53モルの比で混合
し、空気中860℃で12時間焼成して正極活物質とす
るスピネル結晶のリチウムマンガン酸化物(LiMn2
O4)を合成した。焼成後のリチウムマンガン酸化物は
粉砕機で平均粒径0.02mmの粉末とし、このLiM
n2O4の粉末20重量部と実施例1で合成したリチウ
ムコバルト酸化物(LiCoO2)の粉末69重量部を
よく混合し、本実施例の正極活物質として用意した。
【0036】 用意したLiCoO2とLiMn2O4
の混合物89重量部にさらにアセチレンブラックを3重
量部とグラファイト4重量部を加え、ポリフッ化ビニリ
デン4重量部を溶かした溶剤(N−メチル−2−ピロリ
ドン)とともに湿式混合してスラリー(ペースト状)に
した。このスラリーを実施例1と同様にしてアルミニウ
ム箔の両面に塗布し、2枚の正極活物質の塗工体を得
た。2枚の塗工体の塗工量はそれぞれ50.7mg/c
と51.6mg/cmであった。さらにローラー
プレス機で加圧成型してそれぞれ厚さ0.184mmと
0.193mmの仕上がりとした。実施例1と同様に正
極活物質層の電解液保持能力(a)も測定した。ここで
も加圧成型体は輻を38mm、塗工部分の長さを355
mmに調整して帯状の正極(2)として用意した。
【0037】 以上のようにして用意した2枚の負極
(1)と2枚の正極(2)から、薄い方の負極と厚い方
の正極を選んで組み合わせ、あとは全く実施例1と同じ
ようにして、図5に示す電池構造で外径16.5mm、
高さ50mmの電池(E)を作成した。組上がった時点
で電池(E)は放電状態にあり、先に測定しておいた電
池(E)に使用した電極の正極活物質層の電解液保持能
力(a)と負極活物質層の電解液保持能力(b)から計
算すると、放電状態における電池(E)のa/b値は
1.12であった。
【0038】比較例3 実施例3で用意した負極(1)と正極(2)の残りの電
極、つまり厚い方の負極と薄い方の正極を組み合わせ、
あとは全く実施例1と同じようにして、図5に示す電池
構造で外径16.5mm、高さ50mmの電池(F)を
作成した。先に測定しておいた電池(F)に使用した電
極の正極活物質層の電解液保持能力(a)と負極活物質
層の電解液保持能力(b)から計算すると、放電状態に
おける電池(F)のa/b値は0.75であった。
【0039】テスト結果3 実施例3および比較例3で作成した電池(E)および電
池(F)は40℃の恒温槽中で充電電圧4.2Vで4時
開の充電を行い、放電は600mAの定電流で終止電圧
3.0Vまで行う方法で充放電サイクルテストを行っ
た。その結果を図3に示す。図3に示すように、a/b
値が1.12で作成した実施例3の電池(E)は良好な
サイクル特性を示すのに対し、a/b値が0.75で比
較例3で作成した電池(F)はサイクルに伴う容量劣化
が大きい結果であった。
【0040】実施例4 実施例1と同様にして2枚の負極活物質の塗工体を得
た。塗工量はそれぞれ25.2mg/cmと25.7
mg/cmであった。さらにローラープレス機で加圧
成型して厚さをそれぞれ0.184mmと0.175m
mの仕上がりとした。実施例1と同様に負極活物質層の
電解液保持能力(b)も測定した。ここでも加圧成型体
は幅を39mm、塗工部分の長さを395mmに調整し
て帯状の負極(1)として用意した。
【0041】 次に市販の水酸化リチウム〔LiOH・
H2O〕と水酸化ニッケル〔Ni(OH)2〕を等モル
比で混合し、ペレット状に加圧成型し、酸素気流下、7
50℃で24時間焼成して層構造のLiNiO2を合成
した。LiNiO2は粉砕機で平均粒径約0.02mm
の粉末とし、このLiNiO2の粉末20重量部と実施
例1で合成したリチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)の粉末69重量部をよく混合し、本実施例の正極活
物質として用意した。
【0042】 こうして用意したLiCoO2とLiN
iO2の混合物89重量部にアセチレンブラックを3重
量部とグラファイト4重量部を加え、ポリフッ化ビニリ
デン4重量部を溶かした溶剤(N−メチル−2−ピロリ
ドン)とともに湿式混合してスラリー(ペースト状)に
した。このスラリーを実施例1と同様にしてアルミニウ
ム箔の両面に塗布し、2枚の正極活物質の塗工体を得
た。2枚の塗工体の塗工量はそれぞれ48.5mg/c
と49.6mg/cmであった。さらにローラー
プレス機で加圧成型して厚さをそれぞれ0.173mm
と0.182mmの仕上がりとした。ここでも正極活物
質層の電解液保持能力(a)を測定記録した。加圧成型
体は輻を38mm、塗工部分の長さを355mmに調整
して帯状の正極(2)として用意した。
【0043】 こうして用意した2枚の負極(1)と2
枚の正極(2)から、薄い方の負極と厚い方の正極を選
んで組み合わせ、あとは全く実施例1と同じようにし
て、図5に示す電池構造で外径16.5mm、高さ50
mmの電池(G)を作成した。組上がった時点で電池
(G)は放電状態にあり、先に測定しておいた電池
(G)に使用した電極の正極活物質層の電解液保持能力
(a)と負極活物質層の電解液保持能力(b)から計算
すると、放電状態における電池(G)のa/b値は0.
96であった。
【0044】比較例4 実施例4で用意した負極(1)と正極(2)の残りの電
極、つまり厚い方の負極と薄い方の正極を組み合わせ、
あとは全く実施例1と同じようにして、図5に示す電池
構造で外径16.5mm、高さ50mmの電池(H)を
作成した。これまでと同様に計算される、放電状態にお
ける電池(F)のa/b値は0.65であった。
【0045】テスト結果4 実施例3および比較例3で作成した電池(G)および電
池(H)は40℃の恒温槽中で充電電圧4.2Vで4時
間の充電を行い、放電は600mAの定電流で終止電圧
3.0Vまで行う方法で充放電サイクルテストを行っ
た。その結果も図3に示した。図3に示したように、a
/b値が0.96で作成した実施例4の電池(G)は良
好なサイクル特性を示すのに対し、a/b値が0.65
で作成した比較例4の電池(F)はサイクルに伴う容量
劣化が大きい結果であった。
【0046】テスト結果3およびテスト結果4で明らか
なように、LiMn2O4やLiNiO2等を副活物質
として主たる正極活物質であるLiCoO2と混合して
正極活物質とする場合においても、o.9≦a/b≦
1.3で電池を作成すれば、充放電サイクル特性の良好
なリチウムイオン二次電池となることが解る。
【0047】 実施例1および実施例2では正極活物質
としてLiCoO2を用いて本発明の適用例を示した
が、LiCoO2のCoの一部を他の元素で置き換えた
一般式LiCo1−xAxO2(AはNi、Fe、M
n、Al等、0≦X≦0.5)で示される層構造を持つ
リチウム含有コバルト酸化物を正極活物質とするリチウ
ムイオン二次電池にも本発明の適用が当然考えられる。
【0048】 また実施例3および実施例4ではLiC
oO2を主たる正極活質とし、LiMn2O4やLiN
iO2を副活物質として用いた場合に本発明を適用した
が、この他LiMn2O4のMnの一部を他の元素で置
き換えたスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物や
LiNiO2のNiの一部を他の元素で置き換えた層構
造リチウム含有ニッケル酸化物、さらにはLiMnO2
等を副活物質として主活物質のリチウム含有コバルト酸
化物に混合して正極活物質とするリチウムイオン二次電
池にも本発明の適用は考えられる。
【0049】 また正極および負極の電解液保持能力の
測定では、実施例で使用した電解液を真空含浸法で含浸
して重量測定を行い、その重量増から正極活物質層およ
び負極活物質層の電解液保持能力(a)および(b)を
求めた。本発明では電解液保持能力の絶対値ではなく、
出来上がった電池のa/b値が重要であり、正極と負極
の相対的な電解液保持能力が求められておれば、a/b
値は計算できる。従って正極および負極の電解液保持能
力の測定に使用する含浸体は、電極活物質層に含浸可能
な液体であれば、電解液に限られるものではない。
【0050】
【発明の効果】層構造のリチウムコバルト酸化物を主た
る正極活物質とし、負極活物質に層間距離(d002)
が3.38Å以下の黒鉛質炭素を使用する非水電解液二
次電池は高い放電電圧と平坦な放電カーブを示す高容量
の非水電解液二次電池として大きな魅力を持つが、高温
でのサイクル特性が悪いことが大きな欠点であった。本
発明では正極活物質層の電解液保持能力(a)と負極活
物質層の電解液保持能力(b)の間に0.9≦a/b≦
1.3の関係を満足させることによって、正極中と負極
中の電解液量を良くバランスしているため、高温下での
充放電の繰り返しでも大きな容量劣化を招くことがな
い。その結果、高性能なリチウムイオン二次電池が広い
温度範囲で使用可能となり、その工業的価値は大であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】サイクル特性図
【図2】容量保持率vsa/b値
【図3】サイクル特性図
【図4】ローラープレス機ローラー部断面図
【図5】試作電池の模式的断面図
【図6】電極積層部分の拡大図
【図7】小径ローラーのプレス機正面図
【図8】従来ローラープレス機の正面図
【図9】加圧ローラー径と加圧面積の関係図
【符号の説明】
1は負極、2は正極、3はセパレーター、4は電池缶、
5は絶縁板、6は負極リード、7はガスケット、8は防
爆弁、9は正極リード、10は閉塞蓋体、11は負極活
物質層、12は正極活物質層、21は負極集電体、22
は正極集電体、23は加圧ローラー、24は補強ローラ
ーである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】層構造のリチウムコバルト酸化物を主たる
    正極活物質とし、主たる負極活物質には層間距離(d0
    02)が3.38Å以下の黒鉛質炭素を使用する非水電
    解液二次電池において、初回の充電前または放電状態に
    ある時に正極活物質層の電解液保持能力(a)と負極活
    物質層の電解液保持能力(b)の間には0.9≦a/b
    ≦1.3の関係が満足されることを特徴とする非水電解
    液二次電池。
  2. 【請求項2】金属集電体上に形成した活物質層を加圧成
    型して高密度化するための加圧ローラープレス機が、図
    4の如く、直径rのプレス用ローラー(23)が直径R
    のローラー(24)で補強され、r<Rであることを特
    徴とする。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1131533A (ja) * 1997-07-09 1999-02-02 Mitsubishi Chem Corp リチウム二次電池
WO2004114443A1 (ja) * 2003-06-24 2004-12-29 Electric Power Development Co., Ltd. 負極材料、負極、その負極及び正極からなる非水系2次電池
WO2004114438A1 (ja) * 2003-06-24 2004-12-29 Electric Power Development Co., Ltd. 非水系2次電池
JP2006318672A (ja) * 2005-05-10 2006-11-24 Sony Corp 電極の製造方法および電池の製造方法、並びに電極の製造装置
WO2015150901A1 (en) * 2014-04-02 2015-10-08 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Nonaqueous electrolyte secondary battery
CN114287077A (zh) * 2020-05-29 2022-04-05 旭化成株式会社 非水系电解液、电池包和电池包的制造方法

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