JPH0922510A - 磁気抵抗効果素子及びその製造方法及び磁気記録装置及びその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子及びその製造方法及び磁気記録装置及びその製造方法

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JPH0922510A
JPH0922510A JP16950095A JP16950095A JPH0922510A JP H0922510 A JPH0922510 A JP H0922510A JP 16950095 A JP16950095 A JP 16950095A JP 16950095 A JP16950095 A JP 16950095A JP H0922510 A JPH0922510 A JP H0922510A
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JP
Japan
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layer
soft magnetic
magnetic layer
film
soft
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JP16950095A
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English (en)
Inventor
Kenichi Aoshima
賢一 青島
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】スピンバルブ磁気抵抗効果を利用して、磁界の
変化を抵抗の変化に変換する磁気抵抗効果素子に関し、
反強磁性層に接する軟磁性層からの静磁場を抑制し、回
転磁化を生じる軟磁性層において信号磁界零のときの磁
化方向が一定の方向からずれないようにし、しかも高温
の加熱処理により生じるスピンバルブ効果の低下を防止
する。 【構成】少なくとも反強磁性層12と第1の軟磁性層1
3と非磁性金属層14と第2の軟磁性層15とが順に積
層されてなる磁気抵抗効果素子において、第1の軟磁性
層13は、反強磁性層12との交換相互作用により付与
された磁化の方向の幅が同じ方向の第2の軟磁性層15
の幅よりも広く形成されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気抵抗効果素子及び
その製造方法及び磁気記録装置及びその製造方法に関
し、より詳しくは、スピンバルブ磁気抵抗効果を利用し
て、磁界の変化を抵抗の変化に変換する磁気抵抗効果素
子及びその製造方法及び磁気記録装置及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来例のスピンバルブ磁気抵抗効果を利
用した磁気抵抗効果素子(MR素子)の構成を図9
(a),(b)に示す。図9(a)及び(b)は斜視図
である。図9(a),(b)に示すように、不図示のN
iFeシールド上にアルミナ膜1が形成され、更に長方
形形状のMR素子6が形成されている。MR素子6は下
から反強磁性層2,第1の軟磁性層3,非磁性金属層4
及び第2の軟磁性層5とが順に積層されてなる。また、
第2の軟磁性層5の両端部には電極端子ES1,ES2
が接続され、電極端子ES1,ES2に挟まれた領域が
電圧変化を検出するセンス領域SAとなる。
【0003】反強磁性層2にはX軸方向に交換結合磁界
Huaが発生しており、第1の軟磁性層3は反強磁性層2
と交換結合している。これにより、第1の軟磁性層3の
磁化はX軸方向に固定され、X軸方向の信号磁界に対し
て回転しないようになっている。一方、第2の軟磁性層
5の磁化は、信号磁界が零のときに、第1の軟磁性層3
の磁化方向に対して直交するよう(磁化容易軸方向であ
るY軸方向)に設定されている。第1の軟磁性層3の磁
化方向と第2の軟磁性層5の磁化方向を直交させている
のは、磁界に対して線形に磁気抵抗を変化させるためで
ある。
【0004】第2の軟磁性層5の磁化は信号磁界に応じ
て回転し、第1の軟磁性層3と第2の軟磁性層5の磁化
方向のなす角度θの余弦(cosθ)に比例して積層膜
全体の抵抗が変化する。このとき、電極端子ES1,E
S2を通してMR素子6にセンス電流を流しておくこと
により、その抵抗変化を電極端子ES1,ES2間の電
圧変化として検出する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、公開特
許公報〔特開平4−358310〕に記載されているよ
うに、上記スピンバルブ型MR素子では、第1の軟磁性
層3からの静磁場、センス電流による磁場、非磁性金属
層4を通しての交換相互作用による磁場が発生し、第2
の軟磁性層5の磁化方向に大きく影響する。この中でも
第1の軟磁性層3からの静磁場の影響が最も大きい。
【0006】このため、図9(c)に示すように、この
静磁場が第2の軟磁性層5に作用し、本来MR素子の長
手方向である磁化容易軸方向、即ち第1の軟磁性層3の
磁化方向に直交する方向に向くべき磁化方向がその方向
から少しずれてしまう。従って、図11に示すように、
バイアス点がシフトし、図10に示すような磁気記録媒
体からの信号磁界を検出する際、信号磁界の変化に対す
る抵抗変化の線形性が悪化し、非対称となってしまうこ
とがある。
【0007】この問題を解決するため、第1の軟磁性層
3の膜厚を薄くし、MR素子6に流すセンス電流により
生ずる磁場によって反磁場を抑制することができるが、
その反磁場を丁度打ち消すようにするには、大電流を流
し、かつ電流調整する必要があるなどの困難さがある。
また、反強磁性層2として耐腐食性の高いNiMn膜を
用いた場合、NiMn膜に反強磁性を付与するために高
温で加熱処理する必要がある。更に、読取りヘッドの形
成後書込みヘッド形成時に平坦化のためのレジスト膜を
硬化させるため、高温加熱処理が必要である。しかし、
高温で加熱処理することによりスピンバルブ効果が低下
するという問題がある。
【0008】本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて
創作されたものであり、反強磁性層に接する軟磁性層か
らの静磁場を抑制し、回転磁化を生じる軟磁性層におい
て信号磁界零のときの磁化方向が所望の方向からずれな
いようにし、しかも高温の加熱処理により生じるスピン
バルブ効果の低下を防止することができる磁気抵抗効果
素子及び磁気記録装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は、第1に、少
なくとも反強磁性層と第1の軟磁性層と非磁性金属層と
第2の軟磁性層とが順に積層されてなる磁気抵抗効果素
子において、前記第1の軟磁性層は、前記第2の軟磁性
層よりも大きく形成されてなることを特徴とする磁気抵
抗効果素子によって達成され、第2に、基板上に反強磁
性層と第1の軟磁性層とを形成する工程と、磁気記録媒
体との対面領域に隣接する領域の前記第1の軟磁性層上
に開口を有するレジストマスクを形成する工程と、前記
レジストマスクに従って非磁性金属層と第2の軟磁性層
を順に積層した後、前記レジストマスクを除去し、前記
開口の底部の第1の軟磁性層上に前記非磁性金属層と前
記第2の軟磁性層を残す工程と、前記第1の軟磁性層を
被覆して絶縁膜を形成した後、前記第2の軟磁性層の両
端部とそれぞれ接続し、前記絶縁膜上に延在する対の電
極端子を形成する工程とを有することを特徴とする磁気
抵抗効果素子の製造方法によって達成され、第3に、第
1の発明に記載の磁気抵抗効果素子を用いた磁気記録装
置によって達成され、第4に、基板をエッチングし、凹
部を形成する工程と、前記凹部に第1のライトヘッド用
磁極を形成した後、絶縁物を介してコイルを形成し、そ
の後前記第1のライトヘッド用磁極の先端部を除き、該
コイルを被覆して絶縁物を前記凹部に充填する工程と、
前記絶縁物上に第1の絶縁膜を形成した後、該第1の絶
縁膜に開口を形成し、前記第1のライトヘッド用磁極の
端子部分及び前記コイルの端子部分を露出する工程と、
前記第1の絶縁膜上に第2のライトヘッド用磁極を形成
し、前記開口を通して前記第1のライトヘッド用磁極の
端子及び前記コイルの端子と接続する工程と、第2の絶
縁膜を形成した後、該第2の絶縁膜上に磁気抵抗効果素
子を形成する工程とを有する磁気記録装置の製造方法に
よって達成され、第5に、前記凹部に充填する絶縁物は
流動性を有するレジストであり、前記凹部に充填した
後、加熱により硬化することを特徴とする第4の発明に
記載の磁気記録装置の製造方法によって達成される。
【0010】
【作用】本発明の磁気抵抗効果素子によれば、反強磁性
層と接する第1の軟磁性層は、第2の軟磁性層よりも広
く形成されている。ところで、反強磁性層と接し、交換
相互作用により磁化方向が固定された第1の軟磁性層で
は、磁化方向の両端部に異なる磁荷が発生するため、異
なる磁荷同士を結ぶ静磁場が第1の軟磁性層の磁化方向
に生じる。従って、本発明のように第1の軟磁性層の幅
を広くすることにより、両端の磁荷同士がより離れてく
るため、その静磁場の強度を弱めることができる。
【0011】これにより、その静磁場が第2の軟磁性層
に与える影響を抑制することができ、このため信号磁界
零のときの第2の軟磁性層の磁化方向が一定の方向から
ずれるのを防止することができる。これにより、信号磁
場の広い範囲にわたって抵抗変化の線形性を保つことが
できる。本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法によれ
ば、レジストマスクを用いたリフトオフ法により、容易
に第1の軟磁性層上の一部領域にのみ第2の軟磁性層を
残すことができる。これにより、反強磁性層との交換相
互作用により付与された磁化の方向の第1の軟磁性層の
幅が同じ方向の第2の軟磁性層の幅よりも広くなる。
【0012】本発明の磁気記録装置によれば、上記の磁
気抵抗効果素子を用いているので、信号磁場の広い範囲
にわたって線形性に優れた磁気記録装置を提供すること
ができる。本発明の磁気記録装置の製造方法によれば、
磁気抵抗効果素子の形成前に、ライトヘッドを形成して
いる。従って、コイルを絶縁する絶縁物としてレジスト
を用いた場合、レジストの硬化のため加熱処理を行って
も、軟磁性層に挟まれた非磁性金属層の構成元素が温度
上昇によりそれらの軟磁性層に拡散し、混入するのを防
止することができる。これにより、磁気抵抗効果素子が
劣化するのを防止することができる。
【0013】
【実施例】
(1)第1の実施例 本発明の第1の実施例に係る磁気抵抗効果素子(MR素
子)について図1(a)〜(c)及び図2を参照しなが
ら説明する。図1(a)はMR素子の斜視図であり、図
1(b)は各軟磁性層の磁化方向を示す斜視図であり、
図1(c)は図1(a)の部分斜視図である。また、図
2は上記MR素子を用いて磁気記録媒体からの信号磁界
を検出する動作を示す斜視図である。
【0014】図1(a),(b)に示すように、アルチ
ック基板(Al2O3TiC基板) 11a上に、膜厚20〜30
nmのNiMn膜からなる反強磁性層12と、5〜10
nmのNiFe膜或いはCo膜或いはCo系合金膜から
なる第1の軟磁性層13と、膜厚2〜3nmのCu膜か
らなる非磁性金属層14と、膜厚5〜10nmのNiF
e膜からなる第2の軟磁性層15とが順に積層されてい
る。なお、アルチック基板11aと反強磁性層12の間
に膜厚5〜10nmのTa膜その他を介在させてもよ
い。
【0015】上記の各層で、反強磁性層12,第1の軟
磁性層13,非磁性金属層14及び第2の軟磁性層15
の横方向(Y軸方向)の長さはともに20μmと等しく
なっているが、磁気記録媒体と対向する面からの縦方向
(X軸方向)の幅(高さ)が、反強磁性層12及び第1
の軟磁性層13で4μm、非磁性金属層14と第2の軟
磁性層15で1.5μmとなっており、第1の軟磁性層
13の幅が第2の軟磁性層15の幅よりも広くなってい
る。
【0016】また、第2の軟磁性層15表面の両端部に
はそれぞれ膜厚1000Åのタングステン膜(W膜)からな
る電極端子ES1,ES2が接続されている。電極端子
ES1,ES2に挟まれた領域が、信号磁界を受けて変
化する抵抗を検出するセンス領域SAとなる。反強磁性
層12にはX軸方向に交換結合磁界Huaが発生してお
り、第1の軟磁性層13は反強磁性層12と交換結合し
ている。これにより、第1の軟磁性層13の磁化はX軸
方向に固定され、X軸方向の信号磁界に対して回転しな
いようになっている。
【0017】一方、第2の軟磁性層15の磁化方向は、
信号磁界が零のときに、第1の軟磁性層13の磁化方向
に対して直交するよう(磁化容易軸方向であるY軸方
向)に設定されている。ところで、反強磁性層12と接
し、交換相互作用により磁化方向が固定される第1の軟
磁性層13では、図1(c)に示すように、磁化方向の
両端部に異なる磁荷が発生するため、異なる磁荷を結ぶ
方向(X軸方向)に静磁場が生じる。
【0018】この静磁場Hdを弱めるためには、式、 Hd≒4πMt/h 但し、M:第1の軟磁性層13の磁化の強さ t:第1の軟磁性層13の膜厚 h:第1の軟磁性層13の磁化方向の幅(高さ) により、第1の軟磁性層13の膜厚tを薄くするか、磁
化方向の幅(高さ)hを広くすればよいことが分かる。
膜厚tを薄くすることにはスピンバルブ効果の特性上の
限界があるが、幅hを広くすることは微細化する上で限
界はあるもののその限界はMR素子の構成上の工夫によ
り克服できる。
【0019】実施例では、第1の軟磁性層13の磁化方
向の幅を広くしている。このため、その両端に生じる異
なる磁荷同士がより離れてくるので、その静磁場の強さ
を弱めることができる。上記の場合、幅がともに1.5
μmであるときに比べて静磁場の強度がその37%に減
少した。このように、静磁場の影響を抑制することがで
きるため、信号磁界が零のとき第2の軟磁性層15の磁
化方向が一定の方向からずれるのを防止することができ
る。
【0020】このMR素子に、図2に示すように、磁気
記録媒体17から信号磁界が印加されることにより、第
2の軟磁性層15の磁化方向は信号磁界の強度に応じて
回転し、これと第1の軟磁性層13の磁化方向とのなす
角度θの余弦(cosθ)に比例して積層膜全体の抵抗
が変化する。電極端子ES1,ES2を通して電流を流
しておくことにより、その抵抗変化を電極端子ES1,
ES2間の電圧変化として検出する。このとき、第2の
軟磁性層15の磁化方向は上記した形状効果により常に
X軸方向に固定されているので、信号磁場の広い範囲に
わたって抵抗変化の線形性を保つことができる。なお、
TR1〜TR3は磁気記録媒体17の隣接する3つのト
ラックを示す。
【0021】なお、上記の実施例では、第1の軟磁性層
13の磁化方向の幅を4μmとし、第2の軟磁性層15
の幅を1.5μmとしているが、これに限られるもので
はなく、用途により、或いは第1の軟磁性層13の膜厚
tにより適宜適正な寸法とすることができる。次に、上
記のMR素子の製造方法について図3(a)〜(c)及
び図4(a),(b)を参照しながら説明する。
【0022】まず、図3(a)に示すように、磁気シー
ルドとなるNiFe膜10上に膜厚100nmのアルミ
ナ膜11を形成し、さらにその上にスパッタ法により膜
厚10nmのTa膜からなる下地層18を形成する。こ
のとき、アルミナ膜11上にNiMn膜12を直接形成
したのでは、FCT(Face Centered Tetragonal)結晶構
造を有する結晶性の良いNiMn膜12が得られにくい
が、下地層18を介在させることにより、NiMn膜1
2の結晶性を改善することができる。FCT結晶構造と
は、FCC(Face Centered Cubic) 構造の立方体が直方
体に変形したものを示す。
【0023】次いで、下地層18上に、膜厚25nmの
NiMn膜(反強磁性層)12と、膜厚3nmのFeN
i膜(第1の軟磁性層)13と、膜厚2.2nmのCu
膜(非磁性金属層)14と、膜厚12nmのFeNi膜
(第2の軟磁性層)15とをスパッタ法により順に形成
する。次に、強さ2500Oeの一定方向の磁場を印加しな
がら、温度280℃で1時間加熱する。これにより、印
加磁場方向にNiMn膜12が磁化され、反強磁性が付
与される。このとき、NiMn膜12下地のTa膜18
によりNiMn膜12はFCT結晶構造となり、良好な
反強磁性層となる。このため、交換結合磁界Huaが十分
に強く、NiMn膜12の上に積層される第1の軟磁性
層13の磁化方向は交換結合磁界Huaの方向に十分に固
定される。信号磁界の強さ程度の磁界では動かなくな
る。
【0024】次いで、図3(b)に示すように、下地層
18と、NiMn膜12と、FeNi膜13と、Cu膜
14と、FeNi膜15とをレジストマスク19に従っ
てパターニングし、印加磁場方向における磁気記録媒体
との対向面からの幅(高さ)4μm、それと直交する方
向の長さ20μmの長方形形状にする。次に、図3
(c)に示すように、Cu膜14と、FeNi膜15と
を新たなレジストマスク20に従ってイオンミリングに
よりエッチングし、除去する。このとき、オージェ電子
分光等により表面観察することでエッチングの終わりを
正確に知ることができる。Cu膜14とFeNi膜15
はともに、印加磁場方向における磁気記録媒体との対向
面からの幅(高さ)1.5μm、それと直交する方向の
長さ20μmの長方形形状となる。これにより、第2の
軟磁性層15と、反強磁性層12により付与された磁化
の方向の幅が同じ方向の第2の軟磁性層15の幅よりも
広い第1の軟磁性層13が形成される。
【0025】次いで、NiMn膜12及びFeNi膜1
3の形成時の印加磁界に直交する方向に強さ2.5k Oe
エルステッド(Oe)の磁場を印加し、温度280℃に
加熱する。これにより、第2の軟磁性層15には交換結
合磁界Huaの方向に直交する方向に磁化が付与される。
この場合、その磁化の強さは反強磁性層12により第1
の軟磁性層13に付与された磁化の強さよりも弱いた
め、第1の軟磁性層13の磁化方向は交換結合により磁
界Huaの方向に磁化が固定され、交換結合磁界Huaの影
響が及ばない第2の軟磁性層15の磁化は交換結合磁界
Huaの方向に直交する方向に向く。
【0026】次に、図4(a)に示すように、アルミナ
からなる絶縁膜21を形成した後、化学機械研磨により
絶縁膜21を研磨して、第1の軟磁性層13を被覆する
とともに、第2の軟磁性層15の表面を露出する。続い
て、第2の軟磁性層15上にW膜22を形成した後、パ
ターニングして第2の軟磁性層15の両端部と接触し、
絶縁膜21上に延在する電極端子ES1,ES2を形成
する。
【0027】次いで、図4(b)に示すように、MR素
子及び電極端子ES1,ES2を被覆してアルミナ膜2
3を形成し、更にアルミナ膜23上に他の磁気シールド
としてNiFe膜24を形成する。上記のように、2段
階のパターニングにより、幅の広い第1の軟磁性層13
上に幅の狭い第2の軟磁性層15を有するMR素子を作
成することができる。
【0028】これにより、第1の軟磁性層13からの静
磁場の影響が抑制され、このため第2の軟磁性層15の
磁化方向が一定の方向からずれるのを防止することがで
き、従って、信号磁場の広い範囲にわたって抵抗変化の
線形性を保つことができる。なお、上記図3(a)の工
程で、第2の軟磁性層15を成膜後に磁場を印加しなが
ら加熱しているが、反強磁性層12と第1の軟磁性層1
3を成膜後に磁場を印加しながら加熱処理を行ってもよ
い。この場合、その上にCu膜14を成膜する前にイオ
ンミリングにより第1の軟磁性層13の表層を5〜7n
m程度エッチングするとよい。
【0029】(2)第2の実施例 本発明の第2の実施例に係る磁気抵抗効果素子について
図5(a)〜(c)を参照しながら説明する。図5
(a)〜(c)はMR素子の製造工程の一部を示す断面
図である。第1の実施例と異なる工程を以下に示す。反
強磁性層に、第1の軟磁性層13a、第2の軟磁性層1
5aに磁化を付与するための加熱処理工程は省略してい
る。
【0030】図5(a)に示すように、NiFe膜から
なる第1の軟磁性層13を形成した後、磁気記録媒体と
の対向面に隣接する領域の第1の軟磁性層13上に開口
を有するレジストマスク25を形成する。次いで、イオ
ンミリングによりレジストマスク25に従って第1の軟
磁性層13を5〜7nm程度エッチングし、表層を除去
する。
【0031】次に、図5(b)に示すように、レジスト
マスク25をそのまま残し、膜厚2.2nmのCu膜か
らなる非磁性金属層14aと膜厚12nmのFeNi膜
からなる第2の軟磁性層15aを順に積層する。続い
て、レジストマスク25を除去し、開口の底部の第1の
軟磁性層13a上に非磁性金属層14aと第2の軟磁性
層15aを残す。
【0032】次いで、第1の軟磁性層13aを被覆して
アルミナからなる絶縁膜21を形成した後、第2の軟磁
性層15aの両端部とそれぞれ接続し、絶縁膜21上に
延在する対の電極端子(ES1)22を形成する。更
に、MR素子及び電極端子ES1,ES2を被覆してア
ルミナ膜23を形成し、更にアルミナ膜23上に磁気シ
ールドとしてNiFe膜24を形成する。
【0033】本発明の第2の実施例に係るMR素子の製
造方法によれば、レジストマスク25を用いたリフトオ
フ法により、容易に第1の軟磁性層13a上の一部領域
にのみ第2の軟磁性層15aを残すことができる。これ
により、反強磁性層12により付与された磁化の方向の
幅が同じ方向の第2の軟磁性層15aの幅よりも広い第
1の軟磁性層13aを有するMR素子を作成することが
できる。
【0034】これにより、第1の軟磁性層13からの静
磁場の影響が抑制され、このため第2の軟磁性層15の
磁化方向が一定の方向からずれるのを防止することがで
き、従って、信号磁場の広い範囲にわたって抵抗変化の
線形性を保つことができる。 (3)第3の実施例 次に、上記の第1,第2の実施例に係る磁気記録媒体を
用いた第3の実施例に係る磁気記録装置について図6
(a)〜(c)を参照しながら説明する。図6(a)〜
(c)は、磁気記録装置の磁気記録媒体及び磁気ヘッド
の部分を示す断面図である。
【0035】図6(a)は、複合型MRヘッドを示す。
A部が再生用ヘッド、B部が記録用ヘッドを示し、再生
用ヘッドの磁気シールドと記録用ヘッドの磁極は軟磁性
層102が共用されている。図6(a)に示すように、
再生用ヘッドの部分では、磁気シールドとしての軟磁性
層101,102が間隔をおいて対向し、磁気記録媒体
106と対面する部分105のギャップ内に上記のMR
素子が挟まれている。磁気記録媒体106からの漏洩磁
界は直接MR素子に検出される。
【0036】また、記録用ヘッドの部分では、磁極とし
ての軟磁性層102,104が間隔をおいて対向し、軟
磁性層102,104間のギャップ内に軟磁性層10
2,104を通流する磁束を発生するコイル103が形
成されている。この磁束により対面部分105のギャッ
プから漏洩磁界を発生させて磁気記録媒体106に記録
を行う。
【0037】この磁気記録装置によれば、上記実施例に
係る磁気記録媒体を用いているので、耐腐食性が高く、
線形な磁気抵抗変化が得られ、かつ出力が大きい。図6
(b)はフラックスガイドを有するインギャップ型MR
ヘッドを示す。同図に示すように、磁極としての軟磁性
層111,114が間隔をおいて対向し、磁気記録媒体
116と対面する部分115のギャップ内に上記のMR
素子が挟まれ、軟磁性層111,114間のギャップ内
に軟磁性層111,114を通流する磁束を発生するコ
イル113が形成されている。
【0038】MR素子は、腐食を避けるため、或いは磁
気記録媒体との電気的なショートを避けるため、磁気記
録媒体116との対面部分115に露出せずに、磁気ヘ
ッドの内側に引っ込んでいる。対面部分115には、M
R素子と電気的に絶縁され、磁気的に結合されているフ
ラックスガイド112aが露出している。磁気記録媒体11
6からの漏洩磁界はフラックスガイド112aに入り、MR
素子に検出される。なお、MR素子の他端には、MR素
子と電気的に絶縁され、かつ磁気的に結合された別のフ
ラックスガイド112bが形成されており、MR素子を通っ
た磁束を軟磁性層111,114に導く。
【0039】この磁気記録装置によれば、上記実施例に
係る磁気記録媒体を用いているので、耐腐食性が高く、
線形な磁気抵抗変化が得られ、かつ出力が大きい。図6
(c)はヨークタイプMRヘッドを示す。同図に示すよ
うに、磁極としての軟磁性層121と123a及び123bが間
隔をおいて対向し、軟磁性層121と軟磁性層123a及び
123bの間のギャップ内に軟磁性層121と軟磁性層123a
及び123bを通流する磁束を発生するコイル122が形成
されている。MR素子は、一方の軟磁性層123a及び123b
が途切れた箇所に軟磁性層123a及び123bと電気的に絶縁
され、かつ磁気的に結合されて配置されている。コイル
122で発生し、軟磁性層121と123a及び123bを通流
する磁束により対面部分124のギャップから漏洩磁界
を発生させて磁気記録媒体125に記録を行う。
【0040】この磁気記録装置では、上記実施例に係る
磁気記録媒体を用いているので、耐腐食性が高く、線形
な磁気抵抗変化が得られ、かつ出力が大きい。なお、図
6(a)〜(c)に示す磁気記録装置では、ともに磁気
ヘッドが形成される基板や軟磁性層間の絶縁膜等は省略
してある。また、本発明の実施例に係る磁気記録媒体
は、上記の磁気記録装置に限らず、書込部と読出部を有
する種々の磁気記録装置に用いることができる。
【0041】更に、上記の磁気記録媒体を再生専用の磁
気記録装置に用いることも可能である。 (4)第4の実施例 次に、第4の実施例に係る磁気記録装置の製造方法につ
いて図7(a),(b)及び図8(a),(b)を参照
しながら説明する。図7(b),図8(b)は平面図で
あり、図7(a),図8(a)は図7(b),図8
(b)のC−C線断面図である。
【0042】まず、図7(a),(b)に示すように、
熱燐酸によるウエットエッチングにより或いはArイオ
ンによるドライエッチングにより、アルチック基板上に
形成された膜厚10μmのアルミナ膜31をエッチング
し、磁気記録媒体との対向領域及びアルミナ膜31中央
部の端子接続領域を除いて凹部32を形成する。続い
て、対向領域とこれに隣接する凹部32と端子接続領域
にわたって連続する膜厚1.5μmのNiFe膜からな
る書込みヘッド用磁極33を形成した後、膜厚100n
mのアルミナ膜(絶縁物)34を介して高さ4μmのコ
イル35を形成する。
【0043】次に、レジストを塗布して、書込みヘッド
用磁極33の先端部(対向領域)及び端子接続領域を除
き、コイル35を被覆して凹部にレジスト(絶縁物)3
6を充填する。続いて、温度280℃で加熱処理し、レ
ジスト36を硬化させる。次いで、レジスト36上に膜
厚1μmのアルミナ膜を形成した後、研磨し、アルミナ
膜31中央部の端子接続領域に書込みヘッド用磁極33
の端子部分及びコイル35の端子部分を露出する。
【0044】次に、膜厚350nmのアルミナ膜からな
る第1の絶縁膜37を形成した後、第1の絶縁膜37に
開口38,39を形成する。第1の絶縁膜37の膜厚は
ライトギャップとなる。次いで、図8(a),(b)に
示すように、第1の絶縁膜37上に膜厚1.5μmのN
iFe膜からなる書込み及び読取りを兼ねた兼用磁極4
0を形成し、開口38,39を通して書込みヘッド用磁
極33の端子及びコイル35の端子と接続する。続い
て、膜厚100nmのアルミナ膜からなる第2の絶縁膜
41を形成した後、第2の絶縁膜41上に第1の実施例
に示すような構成のMR素子42を形成する。第2の絶
縁膜41の膜厚はリードギャップとなる。
【0045】次いで、絶縁膜を形成した後、パターニン
グし、MR素子42を被覆して膜厚100nmのアルミ
ナ膜からなる絶縁膜43を形成する。この絶縁膜43の
膜厚はリードギャップとなる。次に、膜厚1.5μmの
NiFe膜を形成した後、パターニングし、絶縁膜43
を介してMR素子42を被覆する読取りヘッド用磁極4
4を形成する。読取りヘッド用磁極44は磁気シールド
を兼ねている。その後、全体にアルミナ膜からなる保護
絶縁膜45を形成する。
【0046】上記、本発明の第4の実施例に係る磁気記
録装置の製造方法によれば、MR素子42の形成前に、
書込みヘッドを形成している。従って、コイル35を絶
縁する絶縁物36としてレジストを用いた場合、レジス
トの硬化のため加熱処理を行っても、軟磁性層に挟まれ
た非磁性金属層の構成元素が加熱によりそれらの軟磁性
層に混入するのを防止することができる。これにより、
MR素子42が劣化するのを防止することができる。
【0047】なお、上記の実施例では、反強磁性層とし
てNiMn膜を、非磁性金属層としてCu膜を、第1及
び第2の軟磁性層としてFeNi膜を用いているが、そ
れぞれ他の材料からなる膜を用いてもよい。また、凹部
32を充填する絶縁物36としてレジストを用いている
が、これに限られるものではなく、SOG(スピンオン
グラス)等を用いてもよい。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明の磁気抵抗効果素
子によれば、反強磁性層と接する第1の軟磁性層は、反
強磁性層との交換相互作用により付与された磁化の方向
の幅が同じ方向の第2の軟磁性層の幅よりも広く形成さ
れている。従って、両端の異なる磁荷同士がより離れて
くるため、その静磁場の強度を弱めることができる。こ
れにより、その静磁場の影響を抑制することができ、こ
のため第2の軟磁性層の磁化方向が一定の方向からずれ
るのを防止することができ、信号磁場の広い範囲にわた
って抵抗変化の線形性を保つことができる。
【0049】本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法によ
れば、レジストマスクを用いたリフトオフ法により、容
易に第1の軟磁性層上の一部領域にのみ第2の軟磁性層
を残して、反強磁性層により付与された磁化の方向の第
1の軟磁性層の幅を同じ方向の第2の軟磁性層の幅より
も広くすることができる。本発明の磁気記録装置によれ
ば、上記の磁気抵抗効果素子を用いているので、信号磁
場の広い範囲にわたって線形性に優れた磁気記録装置を
提供することができる。
【0050】本発明の磁気記録装置の製造方法によれ
ば、磁気抵抗効果素子の形成前に、ライトヘッドを形成
しているので、コイルを絶縁する絶縁物としてレジスト
を用いた場合、レジストの硬化のため加熱処理を行って
も、軟磁性層に挟まれた非磁性金属層の構成元素が加熱
によりそれらの軟磁性層に混入するのを防止し、これに
より、磁気抵抗効果素子が劣化するのを防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(c)は、本発明の第1の実施例
に係る磁気抵抗効果素子について示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施例に係る磁気抵抗
効果素子を備えた磁気記録装置を用いて信号磁界を検出
する動作について示す斜視図である。
【図3】図3(a)〜(c)は本発明の第2の実施例に
係る磁気抵抗効果素子の作成方法について示す断面図
(その1)である。
【図4】図4(a),(b)は本発明の第2の実施例に
係る磁気抵抗効果素子の作成方法について示す断面図
(その2)である。
【図5】図5(a)〜(c)は本発明の第3の実施例に
係る磁気抵抗効果素子の作成方法について示す断面図で
ある。
【図6】図6(a)は本発明の第3の実施例に係るイン
ギャップタイプの磁気記録装置を示す断面図であり、図
6(b)は本発明の第3の実施例に係る共用タイプの磁
気記録装置を示す断面図であり、図6(c)は本発明の
第3の実施例に係るヨークタイプの磁気記録装置を示す
断面図である。
【図7】図7(a),(b)は本発明の第4の実施例に
係る磁気抵抗効果素子を用いた磁気記録装置の作成方法
について示す断面図(その1)である。
【図8】図8(a),(b)は本発明の第4の実施例に
係る磁気抵抗効果素子を用いた磁気記録装置の作成方法
について示す断面図(その2)である。
【図9】図9(a)〜(c)は、従来例に係る磁気抵抗
効果素子について示す斜視図である。
【図10】図10は、従来例に係る磁気抵抗効果素子を
備えた磁気記録装置を用いて信号磁界を検出する動作に
ついて示す斜視図である。
【図11】図11は、従来例に係る磁気抵抗効果素子を
備えた磁気記録装置による信号磁界の検出を示す特性図
である。
【符号の説明】
10,24 磁気シールド(FeNi膜)、 11,21,23,31,34,43 アルミナ膜(絶
縁膜)、 11a アルチック基板、 12 反強磁性層(NiMn膜)、 13,13a 第1の軟磁性層(FeNi膜)、 14,14a 非磁性金属層(Cu膜)、 15,15a 第2の軟磁性層(FeNi膜)、 16,42 MR素子、 17 磁気記録媒体、 18 下地層(Ta膜)、 19,20,25 レジストマスク、 22 電極端子(ES1)、 32 凹部、 33 書込みヘッド用磁極、 35 コイル、 36 絶縁物(レジスト)、 37 第1の絶縁膜、 38,39 開口、 40 兼用磁極、 41 第2の絶縁膜、 44 読取りヘッド用磁極、 45 保護絶縁膜、 101,102,104,111,114,121,1
23a,123b 軟磁性層、 103,113,122 コイル、 105,115,124 磁気記録媒体と対面する部
分、 106,116,125 磁気記録媒体、 112a,112b フラックスガイド。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも反強磁性層と第1の軟磁性層
    と非磁性金属層と第2の軟磁性層とが順に積層されてな
    る磁気抵抗効果素子において、 前記第1の軟磁性層は、前記第2の軟磁性層よりも大き
    く形成されてなることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 基板上に反強磁性層と第1の軟磁性層と
    を形成する工程と、 磁気記録媒体との対面領域に隣接する領域の前記第1の
    軟磁性層上に開口を有するレジストマスクを形成する工
    程と、 前記レジストマスクに従って非磁性金属層と第2の軟磁
    性層を順に積層した後、前記レジストマスクを除去し、
    前記開口の底部の第1の軟磁性層上に前記非磁性金属層
    と前記第2の軟磁性層を残す工程と、 前記第1の軟磁性層を被覆して絶縁膜を形成した後、前
    記第2の軟磁性層の両端部とそれぞれ接続し、前記絶縁
    膜上に延在する対の電極端子を形成する工程とを有する
    ことを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の磁気抵抗効果素子を用
    いた磁気記録装置。
  4. 【請求項4】 基板をエッチングし、凹部を形成する工
    程と、 前記凹部に第1のライトヘッド用磁極を形成した後、絶
    縁物を介してコイルを形成し、その後前記第1のライト
    ヘッド用磁極の先端部を除き、該コイルを被覆して、絶
    縁物を前記凹部に充填する工程と、 前記絶縁物上に第1の絶縁膜を形成した後、該第1の絶
    縁膜に開口を形成し、前記第1のライトヘッド用磁極の
    端子部分及び前記コイルの端子部分を露出する工程と、 前記第1の絶縁膜上に第2のライトヘッド用磁極を形成
    し、前記開口を通して前記第1のライトヘッド用磁極の
    端子及び前記コイルの端子と接続する工程と、 第2の絶縁膜を形成した後、該第2の絶縁膜上に磁気抵
    抗効果素子を形成する工程とを有する磁気記録装置の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記凹部に充填する絶縁物は流動性を有
    するレジストであり、前記凹部に充填した後、加熱によ
    り硬化することを特徴とする請求項4記載の磁気記録装
    置の製造方法。
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