JPH09224552A - 菓子類用組成物 - Google Patents

菓子類用組成物

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JPH09224552A
JPH09224552A JP8060245A JP6024596A JPH09224552A JP H09224552 A JPH09224552 A JP H09224552A JP 8060245 A JP8060245 A JP 8060245A JP 6024596 A JP6024596 A JP 6024596A JP H09224552 A JPH09224552 A JP H09224552A
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JP
Japan
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confectionery
weight
egg white
wheat flour
added
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Application number
JP8060245A
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English (en)
Inventor
Shigeru Endo
繁 遠藤
Hideko Daihara
英子 臺原
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Nisshin Seifun Group Inc
Original Assignee
Nisshin Seifun Group Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 菓子類を製造する際の生地の機械耐性及び作
業性に優れ、体積が大きく、沈み等の変形がなく、ソフ
トで、外観、内相、食感に優れる菓子類を得ることので
きる改質された菓子類用小麦粉組成物及び菓子類の製造
法の提供。 【解決手段】 小麦粉から主としてなる穀粉類に、卵白
粉末と共に、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミ
ン、アスパラギン、グリシン、アラニン、バリン、ロイ
シン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイ
ン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン及
びチロシンから選ばれるアミノ酸の1種又は2種以上を
添加して得られる菓子用小麦粉組成物、或いは前記の菓
子用小麦粉組成物に更に糊化澱粉を添加して得られる菓
子用小麦粉組成物を用いることにより、また菓子類の製
造時に小麦粉から主としてなる穀粉類に卵白粉末と共に
前記したアミノ酸の1種または2種以上及び場合により
糊化澱粉を同時又は逐次に添加する菓子類の製造法によ
って、上記の目的が達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は菓子類用組成物、菓
子類の製造方法、および前記の菓子類用組成物を用い
て、または前記の製造方法により得られる菓子類に関す
る。より詳細には、本発明は、菓子類を製造する際の機
械耐性および作業性に優れていて、体積が大きく、沈み
などの変形がなく、しかもソフトで、外観、内相、食感
に優れる菓子類を得ることのできる改質された菓子類用
組成物、前記した優れた特性を有する菓子類の製造方
法、および前記の菓子類用組成物を用いるかまたは前記
の方法により得られる菓子類に関する。
【0002】
【従来の技術】スポンジケーキなどのケーキ類では、焼
成後にケーキの中央部が窪んだり収縮する、いわゆる
“沈み”が発生して、外観の不良や食感の低下が生じ易
い。そのような沈みの防止には、小麦粉の塩素処理が有
効であることが知られていて古くから採用されてきた
が、塩素処理は近年の安全志向および自然志向からみて
望ましい方法ではなく、今日では世界的にも殆ど採用さ
れていない。
【0003】そこで、我が国では、スポンジケーキなど
の沈み防止のために、塩素処理に代わる方法として、焼
成直後にスポンジケーキ等に衝撃等を与える処理を行
う、いわゆるショック法が広く採用されている(特公昭
51−15103号公報)。このショック法は簡便であ
り、経済的でもあるが、生産ラインに組み込むには繁雑
であり、またロールケーキなどの層の薄いケーキ類の場
合にはその沈み防止効果などが充分に発揮されないとい
う欠点がある。
【0004】更には、菓子類用小麦粉を数カ月間の単位
で長期間保存するとその熟成が進み、そのような熟成処
理を施した小麦粉を使用した場合には沈みのないケーキ
類が得られることが知られている。しかしながら、その
ような長期保存は、保管場所の問題や、カビや細菌類が
繁殖したり虫害が生じないようにしながら長期に亙って
品質管理を行う必要があるため、コストが極めて高くつ
くという欠点がある。
【0005】そこで、上記した問題の改善を目的とし
て、菓子用小麦粉を熱処理して熟成する方法が試みられ
ている(特公昭57−14828号公報)。そして、熱
処理を施した菓子用小麦粉は、吸水性が増加することに
より種生地に小麦粉を合わせる段階で卵の気泡を潰して
焼成後の沈みを防止できるが、一方で得られるケーキの
体積が小さくなり、ふっくらとしたケーキが得られない
という欠点がある。
【0006】また、スポンジケーキなどにおける沈みを
防止するために、上記した以外に、ショ糖脂肪酸エステ
ル等の乳化剤の添加(特公平6−61213号公報)、
小麦粉のコーティング処理(特公平7−89825号公
報)、馬鈴薯澱粉抽出物の添加(特公平1−8985号
公報)、グルコノデルタラクトンと澱粉類の併用(特公
昭57−27692号公報)、トランスグルタミナーゼ
の添加(特開平2−286031号公報)、小麦粉に酢
酸、プロピオン酸またはエタノールを加えて加熱処理す
る方法(特公昭56−26371号公報)が提案されて
いる。しかしながら、いずれも効果が低かったり、また
は効果が多少あってもコストが大幅に上昇するなどの問
題があり、充分に満足のゆくものではない。
【0007】さらに、熱処理小麦粉、卵白粉末、澱粉お
よび膨張剤等を含有するマイクロ波調理用のケーキプレ
ミックス(特開昭63−258529号公報)、卵白粉
末、変性食品澱粉、小麦粉および膨張剤を含むスフレミ
ックス(特開平5−292873号公報)なども知られ
ている。しかし、いずれの場合も、体積が大きく、沈み
などの変形がなく、ソフトで、外観、内相、食感に優れ
る高品質の菓子類を得るという目的の達成には充分に満
足のゆくものではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、特別
の装置などを使用しなくても、また小麦粉の長期保存に
よる熟成などを行わなくても、さらには高価な添加剤な
どを用いなくても、効率よく、低コストで、機械耐性お
よび作業性に優れる生地を得ることができ、しかも体積
が大きく、焼成後の沈みがなく、外観が良好で、内相、
食感、風味などにも優れる高品質の菓子類を得ることの
できる改質された菓子類用組成物を提供することであ
る。さらに、本発明の目的は、体積が大きく、焼成後の
沈みがなく、外観が良好で、内相、食感、風味などにも
優れる高品質の菓子類を良好な作業性で円滑に製造する
ことのできる方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが検討を重ねた結果、小麦粉から主としてな
る穀粉類に対して卵白粉末および特定のアミノ酸を添加
すると、それにより得られる菓子類用組成物からは、機
械耐性が良好で且つ作業性に優れた生地が形成され、し
かも体積が大きく、焼成後の沈みがなく、その上、外
観、内相、食感、風味などにも優れる、高品質の菓子類
が得られることを見出した。さらに、本発明者らは、小
麦粉から主としてなる穀粉類に、卵白粉末およびアミノ
酸を添加して得られる上記の菓子類用組成物に、糊化澱
粉を更に添加すると、体積が一層大きく、しかも焼成後
の沈みがなく、その上、外観、内相、食感、風味などに
一層優れる極めて高品質の菓子類が得られることを見出
した。また、本発明者らは、上記した菓子類用組成物を
前以て製造しておく代わりに、小麦粉から主としてなる
穀粉類に対して、卵白粉末、特定のアミノ酸および場合
により糊化澱粉を、同時にまたは逐次に添加して、常法
にしたがってそのまま直接菓子類を製造した場合にも体
積が大きく、焼成後の沈みがなく、その上、外観、内
相、食感、風味などにも優れる高品質の菓子類を良好な
作業性で円滑に製造できることを見出し、それらの知見
に基づいて本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、小麦粉から主として
なる穀粉類に、卵白粉末と共に、グルタミン酸、アスパ
ラギン酸、グルタミン、アスパラギン、グリシン、アラ
ニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレ
オニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、
トリプトファンおよびチロシンから選ばれるアミノ酸の
1種または2種以上を添加して得られる菓子類用組成物
である。そして、本発明は、上記の菓子類用組成物に更
に糊化澱粉を添加して得られる菓子類用組成物である。
【0011】さらに、本発明は、小麦粉から主としてな
る穀粉類に、卵白粉末と共に、グルタミン酸、アスパラ
ギン酸、グルタミン、アスパラギン、グリシン、アラニ
ン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオ
ニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、ト
リプトファンおよびチロシンから選ばれるアミノ酸の1
種または2種以上を添加して菓子類を製造する方法であ
る。
【0012】そして、本発明は、小麦粉から主としてな
る穀粉類に、卵白粉末および糊化澱粉と共に、グルタミ
ン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、グ
リシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、
セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、フェニ
ルアラニン、トリプトファンおよびチロシンから選ばれ
るアミノ酸の1種または2種以上を添加して菓子類を製
造する方法である。
【0013】また、本発明は、上記の菓子類用組成物を
用いるか、または上記の方法により得られる菓子類であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下で本発明について詳細に説明
する。本発明で用いる“小麦粉から主としてなる穀粉
類”(以下これを「小麦粉等穀粉類」という)は、小麦
粉単独であっても、または小麦粉と共に少量の他の穀粉
類を併用したものであってもよい。
【0015】小麦粉等穀粉類で用いる小麦粉としては、
通常菓子類の用いられている小麦粉であればいずれでも
よく、特に制限されず、例えば、アメリカ産ホワイトホ
イート、ソフトレッドウンターホイート、カナダ産ソフ
トホワイトスプリングホイート、国内産小麦などの小麦
から得られる小麦粉や、それらの混合小麦粉を挙げるこ
とができる。
【0016】また、小麦粉と共に少量の他の穀粉類を併
用する場合は、他の穀粉類として、大麦粉、ライ麦粉、
コーンフラワー、ポテトフラワー、未糊化澱粉類などを
挙げることができ、これらの他の穀粉類は1種類のみを
用いても、または2種以上を用いてもよい。他の穀粉類
を用いる場合は、小麦粉等穀粉類の全重量に基づいて、
30重量%以下であるのが好ましく、15重量%以下で
あるのがより好ましい。
【0017】また、本発明で用いる卵白粉末としては、
鳥類の卵から得られる卵白を粉末化したものであればい
ずれでもよく、例えば凍結乾燥、噴霧乾燥、熱風乾燥な
どによる卵白粉末を挙げることができる。そのうちで
も、鶏の卵から得られる卵白の粉末がコスト面などから
好ましい。また、卵白粉末は熱変性の少ない凍結乾燥ま
たは噴霧乾燥によって得られたものであることが好まし
い。卵白粉末の純度は特に制限されないが卵白含有率が
80重量%以上であるものを用いるのが上記した目的の
達成のために好ましい。卵白粉末における卵黄の混入量
が少ければ少ない程好ましく、多量の卵黄を含む粉末、
例えば全卵粉末を用いると、体積が大きく、焼成後の沈
みがなく、外観、内相、食感、風味などに優れる菓子類
を得るのが困難になる。
【0018】そして、本発明の菓子類用組成物では、上
記した卵白粉末と共に、グルタミン酸、アスパラギン
酸、グルタミン、アスパラギン、グリシン、アラニン、
バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニ
ン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリ
プトファンおよびチロシンから選ばれるアミノ酸の1種
または2種以上を添加することが必要である。これらの
アミノ酸のうちでも、グリシン、アラニンが焼成後の沈
み防止効果や風味の点から好ましい。アミノ酸の純度な
どは特に制限されず、高純度のものでもまたは低純度の
ものでも使用可能であるが、高純度のもの(通常純度が
約90%以上のもの)を用いるのが、本発明の目的の達
成するのにより有効である。
【0019】また、本発明の菓子類用組成物は、必須成
分ではないが、糊化澱粉を添加してあるのが、体積が一
層大きく、焼成後の沈みがなく、しかも外観、内相、食
感、風味などに一層優れる菓子類を得ることができる点
から好ましい。糊化澱粉を用いる場合は、その種類は特
に制限されず、糊化された(α化した)澱粉であればい
ずれでもよく、熱処理またはアルカリ性物質による化学
的処理などによって糊化したものが一般に好ましく用い
られる。糊化澱粉の糊化の程度は特に制限されないが、
その糊化度が20%以上であるものを用いるのが好まし
く、50%以上のものがより好ましい。糊化度が20%
以上の糊化澱粉を用いた場合には、体積が大きく、焼成
後の沈みがなく、しかも外観、内相、食感、風味などに
も優れる高品質の菓子類を一層円滑に得ることができ
る。なお、ここでいう澱粉の糊化度とは、下記の実施例
に記載する方法で測定したときの値をいう。
【0020】糊化澱粉の種類は特に制限されず、穀類、
芋類、豆類などから得られる澱粉を糊化したものであれ
ばいずれであってもよく、具体例としては、小麦澱粉、
馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、甘藷澱粉、タピオカ澱
粉、キャッサバ澱粉、サゴ澱粉、葛澱粉などを糊化した
ものを挙げることができ、これらの糊化澱粉は単独で使
用しても2種以上を併用してもよい。そのうちでも、小
麦澱粉やコーンスターチの糊化澱粉が焼成後の沈み防止
効果の点から好ましく用いられる。
【0021】本発明の菓子類用組成物は、小麦粉等穀粉
類100重量部に対して卵白粉末を0.1〜10重量部
の割合で添加してあるのが好ましく、1〜7重量部の割
合で添加してあるのがより好ましい。また、本発明の菓
子類用組成物は、小麦粉等穀粉類100重量部に対して
上記したアミノ酸の1種または2種以上を0.01〜
1.0重量部の割合(2種以上のアミノ酸を添加する場
合はその合計量)で添加してあるのが好ましく、0.0
5〜0.5重量部の割合で添加してあるのが一層好まし
い。なお、小麦粉中には、胚芽などに由来する少量のア
ミノ酸が含有されているが、上記のアミノ酸量は小麦粉
中に元々含まれているアミノ酸の量を含まず、外部から
新たに添加してなるアミノ酸の量をいう。そして、本発
明の菓子類用組成物に糊化澱粉を添加する場合は、小麦
粉等穀粉類100重量部に対して糊化澱粉を0.1〜1
0重量部の割合で添加するのが好ましく、0.5〜5重
量部の割合で添加するのがより好ましい。
【0022】卵白粉末の添加量が0.1重量部未満であ
ると体積、沈み防止、内相、食感等の点で効果が弱くな
り、一方10重量部を超えるとスポンジケーキなどの菓
子類においてその焼成後に沈みを生じ易い。また、上記
したアミノ酸の1種または2種以上を用いる場合であっ
ても、アミノ酸の添加量が0.01重量部未満であった
り、また1.0重量部を超えると、ケーキなどの菓子類
の体積の減少、中央の沈み、内相、食感の低下などを生
じ易くなる。
【0023】本発明の菓子類用組成物は、スポンジケー
キ、カステラ、クッキー類などのような、製造を目的と
する菓子類の種類に応じて、例えば、糖類、乳製品、油
脂類、香辛料、チョコレート粉末、コーヒー末、食塩、
粉砕ナッツ類、オレンジ、レモン、アーモンド、ラム酒
などの他の原料の1種または2種以上を必要に応じて添
加してもよい。
【0024】本発明の菓子類用組成物の製造法は特に制
限されず、上記した原料成分の変質を生じない任意の方
法で混合することによって製造することができ、例え
ば、ビーターを用いた縦型ミキサー、ナウターミキサ
ー、V型ミキサーなどを用いて混合して製造すればよ
い。
【0025】本発明の菓子類用組成物は菓子類用のミッ
クス粉として、貯蔵、流通、販売することができる。そ
して、本発明の菓子類用組成物を使用することによっ
て、工場、商店、各家庭などで、上記した高品質の菓子
類を簡単に製造することができる。本発明の菓子類用組
成物は、小麦粉を用いて製造される菓子類のいずれに対
しても使用可能であり、特にスポンジケーキ、カステ
ラ、クッキー類、ワッフル、ホットケーキ、バタケー
キ、シュークリームなどの菓子類の製造に適している。
そして、本発明の菓子類用組成物を用いて菓子類を製造
するに当たっては、それぞれの菓子類の種類に応じて、
従来から採用されている配合や方法を用いて菓子類を製
造することができる。
【0026】また、本発明では、上記した菓子類用組成
物(菓子類用のミックス粉)を前以て製造しておく代わ
りに、菓子類の製造時に、小麦粉等穀粉類に対して、卵
白粉末、上記したアミノ酸の1種または2種以上、およ
び場合により糊化澱粉を、同時にまたは逐次に添加し、
必要に応じて菓子類の製造に用いられている上記した他
の原料の1種または2種以上を更に添加して、常法にし
たがってそのまま直接菓子類を製造してもよく、したが
って本発明はそのような菓子類の製造方法を包含する。
そしてこのような本発明の製造法による場合にも、上記
した菓子類小麦粉組成物を用いた場合と同様に、生地の
機械耐性および作業性を良好に保ちながら、体積が大き
く、沈みなどの変形がなく、しかもソフトで、外観、内
相、食感に優れる菓子類を得ることができる。
【0027】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが本発明はそれにより限定されない。以下の例に
おいて、澱粉の糊化度は、次のようにして測定した。
【0028】[澱粉の糊化度の測定法(β−アミラーゼ
−プルラナーゼ法)] (i)試料の調製:粉末試料80mgをガラスホモジナ
イザーに採取し、蒸留水8mlを加えて20回上下に撹
拌して試料を蒸留水中に分散させて懸濁液を調製する。 (ii)試料の採取:25ml容のメスフラスコ2本に、
上記(i)で調製した試料(懸濁液)を各々2mlずつ
採取し、そのうちの一本を試料用サンプルとし、もう一
本を完全糊化試料用サンプルとする。 (iii)完全糊化試料用溶液の調製:上記(ii)で準備
した完全糊化試料用サンプルに10Nの水酸化ナトリウ
ム0.2mlを加え、50℃の温浴中に5分間保持して
完全に糊化させる。次に、2N酢酸1mlを加えて中和
する。その後、0.8M酢酸緩衝液(pH6.0)で2
5mlに定容して、完全糊化試料用溶液とする。 (iv)試料用溶液の調製:上記(ii)で準備した試料用
サンプルを0.8M酢酸緩衝液(pH6.0)で25m
lに定容し、試料用溶液とする。
【0029】(v)酵素液の調製:プルラナーゼ170
mg(340IU)(和光純薬株式会社製)とβ−アミ
ラーゼ17mg(80IU)(和光純薬株式会社製)を
0.8M酢酸緩衝液(pH6.0)100mlに溶解
し、不溶性成分を濾過して除去し、得られた濾液を酵素
液とする。 (vi)失活酵素液の調製:上記(v)で調製した酵素液
の30mlを10分間煮沸し、濾過して沈殿物を除去
し、得られた濾液を失活酵素液とする。 (vii)酵素反応:上記(iv)で調製した試料溶液およ
び上記(iii)で調製した完全糊化試料用溶液を各々4
mlずつ採取して混合し、これに上記(v)で調製した
酵素液1mlを加え、40℃で30分間震盪しながら酵
素反応を行わせる。反応終了後、沸騰浴中で5分間加熱
して酵素を失活させた後、5倍に希釈する。 (viii)希釈ブランク液の調製:上記(iv)で調製した
試料溶液4mlに上記(vi)で調製した失活酵素液1m
lを加えた後、5倍に希釈して希釈ブランク液とする。
【0030】(ix)還元力の測定:上記(viii)で調製
した希釈ブランク液、上記(iii)で調製した完全糊化
試料用溶液、および上記(iv)で調製した試料用溶液を
別々に1mlずつ採取し、その各々にソモギー液(和光
純薬株式会社製)0.5mlを加えて、15分間100
℃の沸騰水中で加熱する。その後、冷水中で室温(25
℃)まで冷却した後、ネルソン液(和光純薬株式会社
製)1.0mlを各々に加えて、15分後に分光光度計
[(株)日立製作所製;「スペクトロフォトメーター2
20A」]を使用して500nmの吸光度を蒸留水を対
照として測定する。 (x)全糖量の測定:上記(iii)で調製した完全糊化
試料用溶液および上記(iv)で調製した試料用溶液を別
々に0.5mlずつ採取し、その各々に5%フェノール
液(和光純薬株式会社製)0.5mlを加えて撹拌した
後、濃硫酸0.5mlを加えて更に撹拌する。15分後
に上記(ix)と同じ分光光度計を使用して490nmの
吸光度を蒸留水を対照として測定する。
【0031】(xi)還元力および全糖量の算出:濃度既
知のグルコース標準液(1〜50μg/ml)を0.5
mlずつ採取し、上記(ix)の還元力の測定の手順およ
び上記(x)の全糖量の測定の手順にしたがって分析
し、各グルコース標準液濃度に対する分光光度計の吸光
度を蒸留水を対照として測定する。これらの結果から、
各グルコース濃度に対する吸光度の回帰式を作成し、そ
れにしたがって各試料の還元力と全糖量を算出する。 (xii)糊化度の算出:上記(xi)の測定結果より、下
記の数式にしたがって糊化度を算出する。
【0032】
【数1】糊化度(%)={(A−a)/2B}/{(A’−
a)/2B’}×100 式中、A =上記(iv)で調製した試料溶液の還元力 A’=上記(iii)で調製した完全糊化試料溶液の還元
力 B =上記(iv)で調製した試料溶液の全糖量 B’=上記(iii)で調製した完全糊化試料溶液の全糖
量 a =上記(viii)で調製した希釈ブランク液の還元力
【0033】《実施例 1》 (1) 菓子用小麦粉(日清製粉株式会社製「バイオレ
ット」)に、卵白粉末(太陽化学株式会社製「サンキラ
ラ」)並びにグリシン、グルタミン酸およびアラニンか
ら選ばれるアミノ酸(前記のアミノ酸はいずれも和光純
薬株式会社製)を、下記の表2に示す割合で加えて菓子
類用組成物をそれぞれ調製した。 (2) 上白糖(日新製糖株式会社製造)を20メッシ
ュの篩で篩った後、この上白糖100gに全卵100g
を加えて、ホイッパーで充分に撹拌した後、5コートミ
キサー(三英製作所製)に入れて、ホイッパーを用いて
種比重が約0.28になるまで高速で充分に泡立てた。
次いで、水40mlを徐々に加えて、種比重が0.24
±0.01になるまで充分に泡立てた。 (3) 上記(2)で得られた種生地240gをボール
に計量し、これに20メッシュ篩で篩った上記(1)で
調製した菓子類用組成物100gを加え、杓文字で生地
比重が0.46±0.01となるように混ぜ合わせてス
ポンジケーキ生地を調製した。
【0034】(4) 上記(3)で得られたスポンジケ
ーキ生地を、底と内周部に型紙を敷いたケーキ型(内径
15.2cm、高さ5.5cm)に移し、190℃で3
0分間焼成した。焼成後、ケーキ型を窯から静かに取り
出して、円周部の型紙を持ち、スポンジケーキをケーキ
型から静かに取り出して室温に放置した。 (5) 1日後に、菜種種子置換法でスポンジケーキの
体積を測定した。次いで、そのスポンジケーキを、スラ
イサーを用いてケーキの円周部(側壁部)から内側に、
垂直方向に27mm厚で2回切り出した後、15mm厚
で1回切り出し、その15mm厚で切り出した部分につ
いて、その中央部の高さと両端部の高さを定規で測定し
た。次いで、その15mm厚で切り出した部分の品質
(内相および食感)を下記の表1に示す評価基準にした
がって5名のパネラーにより評価してもらい、その平均
値を採ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0035】
【表1】 スポンジケーキ品質の評価基準 内 相 5点:丸目、均一で膜が薄く、極めて良好 4点:丸目でほぼ均一で、膜が薄く、ほぼ良好 3点:丸目でやや不均一 2点:横目で不均一であり、底部にやや目詰まりがあり、不良 1点:横目で極めて不均一で、膜が厚く目詰まりがあり、極めて不良 食 感 5点:ソフトで弾力感があり、極めて良好 4点:ほぼソフトで弾力感があり、良好 3点:ややソフトで、やや弾力感がある 2点:重くて硬く、不良 1点:重く、粘着していて、団子状であり、極めて不良
【0036】
【表2】
【0037】上記の表2の結果から、卵白粉末およびア
ミノ酸(グリシン、グルタミン酸またはアラニン)を添
加した本発明の菓子類用組成物を用いている実験番号6
〜11では、体積が大きく、中央に窪みがなく、しかも
内相および食感にも優れるスポンジケーキが得られるこ
とがわかる。それに対して、卵白粉末およびアミノ酸の
一方または両方を添加していない実験番号1〜5の菓子
類用組成物を用いた場合は、体積が小さく、中央に窪み
があり、しかも内相および食感に極めて劣るスポンジケ
ーキしか得られないことがわかる。
【0038】《実施例 2》 (1) 菓子用小麦粉(日清製粉株式会社製「スーパー
バイオレット」)に、卵白粉末(キューピー株式会社
製)、全卵粉末(キューピー株式会社製)、卵黄粉末
(太陽化学株式会社製)およびグリシンを、下記の表3
に示す割合で加えて菓子類用組成物をそれぞれ調製し
た。 (2) 上記(1)で調製したそれぞれの菓子類用組成
物を用いて、実施例1の(2)〜(4)と同様にしてス
ポンジケーキをそれぞれ製造した。 (3) 上記(2)で得られたそれぞれのスポンジケー
キの体積の測定、および中央部の高さと両端部の高さの
測定を実施例1の(5)と同様にして行った。また、上
記(2)で得られたそれぞれのスポンジケーキの品質を
上記の表1に示す評価基準にしたがって5名のパネラー
により評価してもらい、その平均値を採ったところ、下
記の表3に示すとおりであった。
【0039】
【表3】
【0040】上記の表3の結果から、グリシンと共に卵
白粉末を添加した実験番号19〜26の本発明の菓子類
用組成物を用いた場合には、体積が大きく、中央に窪み
が生じず、しかも内相および食感にも優れるスポンジケ
ーキが得られるのに対して、同じ卵粉末であっても卵黄
粉末または全卵粉末を添加した実験番号14、15、1
7、18の菓子類用組成物、および卵粉末を全く添加し
てない実験番号16の菓子類用組成物を用いた場合に
は、体積が小さく、中央に窪みが生じており、しかも内
相および食感に極めて劣るスポンジケーキしか得られな
いことがわかる。また、卵白粉末およびグリシンの両方
を添加してない実験番号12の菓子類用組成物および卵
白粉末のみを添加しグリシンを添加してない実験番号1
3の菓子類用組成物の場合も、体積が小さく、中央に窪
みが生じており、しかも内相および食感に極めて劣るス
ポンジケーキしか得られないことがわかる。
【0041】《実施例 3》 (1) 菓子用小麦粉(日清製粉株式会社製「バイオレ
ット」)100gに、卵白粉末(キューピー株式会社
製)6g、および糊化澱粉(旭化成工業株式会社製「部
分α化澱粉」;糊化度=69.7%)2gを加え、さら
に、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロ
シン、リジン、アルギニンおよびヒスチジンから選ばれ
るアミノ酸(いずれのアミノ酸も和光純薬株式会社製)
を下記の表4に示す割合で加えて、菓子類用組成物をそ
れぞれ調製した。 (2) 上記(1)で調製したそれぞれの菓子類用組成
物を用いて、実施例1の(2)〜(4)と同様にしてス
ポンジケーキをそれぞれ製造した。 (3) 上記(2)で得られたそれぞれのスポンジケー
キの体積の測定、および中央部の高さと両端部の高さの
測定を実施例1の(5)と同様にして行った。また、上
記(2)で得られたそれぞれのスポンジケーキの品質を
上記の表1に示す評価基準にしたがって5名のパネラー
により評価してもらい、その平均値を採ったところ、下
記の表4に示すとおりであった。
【0042】
【表4】
【0043】上記の表4の結果から、卵白粉末と共に、
システイン、メチオニン、フェニルアラニンまたはチロ
シンを添加した実験番号39〜44の本発明菓子類用組
成物を用いた場合には、体積が大きく、中央に窪みが生
じず、しかも内相および食感にも優れるスポンジケーキ
が得られることがわかる。それに対して、卵白粉末およ
び上記のアミノ酸の一方または両方を添加していない実
験番号27〜35の菓子類用組成物並びに卵白粉末とア
ミノ酸の両方を添加してあっても、アミノ酸の種類が本
発明の範囲に包含されないリジン、アルギニンまたはヒ
スチジンを添加した実験番号36〜38の菓子類用組成
物を用いた場合には、体積が小さく、中央に窪みが生じ
ていて、しかも内相および食感の不良な、極めて低品質
のスポンジケーキしか得られないことがわかる。
【0044】《実施例 4》 (1) 菓子用小麦粉(日清製粉株式会社製「バイオレ
ット」)に、卵白粉末(太陽化学株式会社製)、糊化澱
粉(旭化成工業株式会社製「部分α化澱粉」;糊化度6
9.7%)、グリシン(和光純薬株式会社製)およびグ
ルタミン酸(和光純薬株式会社製)を、下記の表5に示
す割合で加えて菓子類用組成物をそれぞれ調製した。 (2) 上記(1)で調製したそれぞれの菓子類用組成
物を用いて、実施例1の(2)〜(4)と同様にしてス
ポンジケーキをそれぞれ製造した。 (3) 上記(2)で得られたそれぞれのスポンジケー
キの体積の測定、および中央部の高さと両端部の高さの
測定を実施例1の(5)と同様にして行った。また、上
記(2)で得られたそれぞれのスポンジケーキの品質を
上記の表1に示す評価基準にしたがって5名のパネラー
により評価してもらい、その平均値を採ったところ、下
記の表5に示すとおりであった。
【0045】
【表5】
【0046】上記の表5の結果から、卵白粉末および糊
化澱粉と共に、グリシンまたはグルタミン酸を添加した
実験番号53〜71の本発明菓子類用組成物を用いた場
合には、体積が大きく、中央に窪みが生じず、しかも内
相および食感にも優れるスポンジケーキが得られること
がわかる。それに対して、卵白粉末を添加していない
か、グリシンまたはグルタミン酸を添加していないか、
或いは卵白粉末および前記のアミノ酸の両方を添加して
いない実験番号45〜52の菓子類用組成物を用いた場
合には、体積が小さく、中央に窪みが生じていて、しか
も内相および食感の不良な、極めて低品質のスポンジケ
ーキしか得られないことがわかる。
【0047】《実施例 5》 (1) 菓子用小麦粉(日清製粉株式会社製「スーパー
バイオレット」)に、卵白粉末(キューピー株式会社
製)、全卵粉末(キューピー株式会社製)、卵黄粉末
(太陽化学株式会社製)、糊化澱粉(松谷化学株式会社
製「パインソフト」;糊化度73.0%)およびアラニ
ン(和光純薬株式会社製)を、下記の表6に示す割合で
加えて菓子類用組成物をそれぞれ調製した。 (2) 上記(1)で調製したそれぞれの菓子類用組成
物を用いて、実施例1の(2)〜(4)と同様にしてス
ポンジケーキをそれぞれ製造した。 (3) 上記(2)で得られたそれぞれのスポンジケー
キの体積の測定、および中央部の高さと両端部の高さの
測定を実施例1の(5)と同様にして行った。また、上
記(2)で得られたそれぞれのスポンジケーキの品質を
上記の表1に示す評価基準にしたがって5名のパネラー
により評価してもらい、その平均値を採ったところ、下
記の表6に示すとおりであった。
【0048】
【表6】
【0049】上記の表6の結果から、糊化澱粉およびア
ラニンと共に卵白粉末を添加した実験番号80〜88の
本発明の菓子類用組成物を用いた場合には、体積が大き
く、中央に窪みが生じず、しかも内相および食感の良好
な、極めて高品質のスポンジケーキが得られるのに対し
て、同じ卵粉末であっても卵黄粉末または全卵粉末を添
加した実験番号74〜75および78〜79の菓子類用
組成物、および卵粉末を全く添加していない実験番号7
2、76および77の菓子類用組成物を用いた場合に
は、体積が小さく、中央に窪みが生じ、しかも内相およ
び食感にも極めて劣る、低品質のスポンジケーキしか得
られないことがわかる。また、卵白粉末を添加しアラニ
ンを添加しない実験番号73の菓子類用組成物を用いた
場合にも、体積が小さく、中央に窪みが生じ、しかも内
相および食感にも極めて劣る、低品質のスポンジケーキ
しか得られないことがわかる。
【0050】《実施例 6》 (1) 菓子用小麦粉(日清製粉株式会社製「バイオレ
ット」)100gに、卵白粉末(キューピー株式会社
製)1gおよび糊化澱粉(旭化成工業株式会社製「部分
α化澱粉」;糊化度=69.7%)0.5gを加え、さ
らに、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チ
ロシン、リジン、アルギニンおよびヒスチジンから選ば
れるアミノ酸(いずれのアミノ酸も和光純薬株式会社
製)を下記の表7に示す割合で加えて菓子類用組成物を
それぞれ調製した。 (2) 上記(1)で調製したそれぞれの菓子類用組成
物を用いて、実施例1の(2)〜(4)と同様にしてス
ポンジケーキをそれぞれ製造した。 (3) 上記(2)で得られたそれぞれのスポンジケー
キの体積の測定、および中央部の高さと両端部の高さの
測定を実施例1の(5)と同様にして行った。また、上
記(2)で得られたそれぞれのスポンジケーキの品質を
上記の表1に示す評価基準にしたがって5名のパネラー
により評価してもらい、その平均値を採ったところ、下
記の表7に示すとおりであった。
【0051】
【表7】
【0052】上記の表7の結果から、卵白粉末および糊
化澱粉と共に、システイン、メチオニン、フェニルアラ
ニンまたはチロシンを添加した実験番号94〜97の本
発明菓子類用組成物を用いてた場合には、体積が大き
く、中央に窪みが生じず、しかも内相および食感にも優
れる、極めて高品質のスポンジケーキが得られることが
わかる。それに対して、卵白粉末および上記のアミノ酸
の一方または両方を添加していない実験番号89〜90
の菓子類用組成物並びに卵白粉末とアミノ酸の両方を添
加してあっても、アミノ酸の種類が本発明の範囲に包含
されないリジン、アルギニンまたはヒスチジンを添加し
た実験番号91〜93の菓子類用組成物を用いた場合に
は、体積が小さく、中央に窪みが生じていて、しかも内
相および食感の不良な、極めて低品質のスポンジケーキ
しか得られないことがわかる。
【0053】《実施例 7》 (1) コーンスターチ(日本コーンスターチ株式会社
製)50gに水450mlを加え、ビスコグラフ(ブラ
ベンダー社製)を使用して、最初の設定温度を25℃に
した後、1.5℃/分の昇温速度で温度を上げて、下記
の表8に示すように、40℃、60℃、80℃および9
2.5℃になるまでそれぞれの温度に加熱した。前記で
得られたそれぞれの熱処理澱粉をトレーに入れて、バー
チス社製の凍結乾燥機を用いて棚温度20℃、真空度1
50mmトールの条件下に24時間乾燥した。乾燥物を
コーヒーミルで粉砕して100メッシュの篩を通過する
澱粉粉末(未糊化澱粉粉末および糊化澱粉)を調製し
た。その結果得られたそれぞれの澱粉粉末の糊化度を上
記した方法で測定したところ、下記の表8に示すとおり
であった。 (2) 菓子用小麦粉(日清製粉株式会社製「バイオレ
ット」)に、卵白粉末(キューピー株式会社製)および
グリシンと共に、上記(1)で調製した澱粉粉末を、下
記の表9に示す割合で加えて菓子類用組成物をそれぞれ
調製した。 (3) 上記(1)で調製したそれぞれの菓子類用組成
物を用いて、実施例1の(2)〜(4)と同様にしてス
ポンジケーキをそれぞれ製造した。 (4) 上記(3)で得られたそれぞれのスポンジケー
キの体積の測定、および中央部の高さと両端部の高さの
測定を実施例1の(5)と同様にして行った。また、上
記(3)で得られたそれぞれのスポンジケーキの品質を
上記の表1に示す評価基準にしたがって5名のパネラー
により評価してもらい、その平均値を採ったところ、下
記の表9に示すとおりであった。
【0054】
【表8】 [糊化澱粉の調製条件と糊化度] 澱粉粉末番号 ビスコグラフ加熱温度 糊化度 (℃) (%) (未処理澱粉) − 2.4 (未糊化澱粉)1) 40 3.0 (糊化澱粉) 60 59.3 (糊化澱粉) 80 76.5 (糊化澱粉) 92.5 88.2 1) 加熱処理の程度が低く澱粉の糊化が実質的に生じていない
【0055】
【表9】
【0056】上記の表9の結果から、本発明の実施例で
ある実験番号99〜113はいずれもスポンジケーキの
品質が良好であり、特に卵白粉末およびグリシンと共に
糊化澱粉を添加した実験番号105〜113の菓子類用
組成物を用いた場合には、糊化していない澱粉を卵白粉
末およびグリシンと共に添加している実験番号99〜1
04の菓子類用組成物を用いた場合に比べて、一層体積
が大きく、しかも内相および食感にも優れる、極めて高
品質のスポンジケーキが得られることがわかる。
【0057】
【発明の効果】小麦粉等穀粉類に、卵白粉末と共に、グ
ルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギ
ン、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイ
シン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、
フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンから
選ばれるアミノ酸の1種または2種以上を添加して得ら
れる本発明の菓子類用組成物を用いて菓子類を製造する
と、体積が大きく、焼成後の沈みがなく、しかも外観、
内相、食感、風味などにも優れる高品質の菓子類を、良
好な作業性で、簡単に且つ円滑に得ることができる。そ
して、小麦粉等穀粉類に卵白粉末および上記したアミノ
酸と共にさらに糊化澱粉を添加して得られる本発明の菓
子類用組成物を用いた場合には、一層体積が大きく、焼
成後の沈みがなく、しかも外観、内相、食感、風味など
に一層優れる、極めて高品質の菓子類を得ることができ
る。
【0058】さらに、小麦粉等穀粉類に対して、卵白粉
末、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アス
パラギン、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イ
ソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオ
ニン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシ
ンから選ばれるアミノ酸の1種または2種以上、および
場合により糊化澱粉を、同時にまたは逐次に添加して菓
子類を製造する本発明の方法による場合にも、体積が大
きく、焼成後の沈みがなく、しかも外観、内相、食感、
風味などにも優れる高品質の菓子類を、良好な作業性
で、簡単に且つ円滑に得ることができる。そして、本発
明の菓子類用組成物、および本発明の菓子類の製造法
は、スポンジケーキ、カステラ、クッキー類、ワッフ
ル、ホットケーキ、バターケーキ、シュークリームなど
の菓子類の製造に特に適している。
【手続補正書】
【提出日】平成8年10月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】 小麦粉等穀粉類で用いる小麦粉として
は、通常菓子類の用いられている小麦粉であればいずれ
でもよく、特に制限されず、例えば、アメリカ産ホワイ
トホイート、ソフトレッドウインターホイート、カナダ
産ソフトホワイトスプリングホイート、国内産小麦など
の小麦から得られる小麦粉や、それらの混合小麦粉を挙
げることができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】 本発明の菓子類用組成物は、スポンジケ
ーキ、カステラ、クッキー類などのような、製造を目的
とする菓子類の種類に応じて、例えば、糖類、乳製品、
油脂類、香辛料、チョコレート粉末、コーヒー粉末、食
塩、粉砕ナッツ類、オレンジ、レモン、アーモンド、ラ
ム酒などの他の原料の1種または2種以上を必要に応じ
て添加してもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】(v)酵素液の調製:プルラナーゼ170
mg(340IU)(和光純薬株式会社製)とβ−アミ
ラーゼ17mg(80IU)(和光純薬株式会社製)を
0.8M酢酸緩衝液(pH6.0)100mlに溶解
し、不溶性成分を濾過して除去し、得られた濾液を酵素
液とする。 (vi)失活酵素液の調製:上記(v)で調製した酵素
液の30mlを10分間煮沸し、濾過して沈殿物を除去
し、得られた濾液を失活酵素液とする。 (vii)酵素反応:上記(iv)で調製した試料
液および上記(iii)で調製した完全糊化試料用溶液
を各々4mlずつ採取して、各々に上記(v)で調製し
た酵素液1mlを加え、40℃で30分間震盪しながら
酵素反応を行わせる。反応終了後、沸騰浴中で5分間加
熱して酵素を失活させた後、5倍に希釈して、希釈試料
用溶液および希釈完全糊化試料用溶液をそれぞれ調製す
。 (viii)希釈ブランク液の調製:上記(iv)で調
製した試料溶液4mlに上記(vi)で調製した失活酵
素液1mlを加えた後、5倍に希釈して希釈ブランク液
とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】(ix)還元力の測定:上記(viii)
で調製した希釈ブランク液、上記(vii)で調製した
希釈完全糊化試料用溶液、および上記(vii)で調製
した希釈試料用溶液を別々に1mlずつ採取し、その各
々にソモギー液(和光純薬株式会社製)0.5mlを加
えて、15分間 100℃の沸騰水中で加熱する。その
後、冷水中で室温(25℃)まで冷却した後、ネルソン
液(和光純薬株式会社製)1.0mlを各々に加えて、
15分後に分光光度計[(株)日立製作所製;「スペク
トロフォトメーター220A」]を使用して500nm
の吸光度を蒸留水を対照として測定する。 (x)全糖量の測定:上記(vii)で調製した希釈
全糊化試料用溶液および上記(vii)で調製した希釈
試料用溶液を別々に0.5mlずつ採取し、その各々に
5%フェノール液(和光純薬株式会社製)0.5mlを
加えて撹拌した後、濃硫酸0.5mlを加えて更に撹拌
する。15分後に上記(ix)と同じ分光光度計を使用
して490nmの吸光度を蒸留水を対照として測定す
る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】
【数1】糊化度(%)={(A−a)/2B}/
{(A’−a)/2B’}×100 式中、A =上記(ix)で測定した希釈試料用溶液
還元力 A’=上記(ix)で測定した希釈完全糊化試料用溶液
の還元力 B =上記(x)で測定した希釈試料用溶液の全糖量 B’=上記(x)で測定した希釈完全糊化試料用溶液
全糖量 a =上記(ix)で測定した希釈ブランク液の還元力

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小麦粉から主としてなる穀粉類に、卵白
    粉末と共に、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミ
    ン、アスパラギン、グリシン、アラニン、バリン、ロイ
    シン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイ
    ン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンお
    よびチロシンから選ばれるアミノ酸の1種または2種以
    上を添加して得られる菓子類用組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1の菓子類用組成物に更に糊化澱
    粉を添加して得られる菓子類用組成物。
  3. 【請求項3】 小麦粉から主としてなる穀粉類100重
    量部に対して、卵白粉末を0.1〜10重量部の割合で
    添加して得られる請求項1または2の菓子類用組成物。
  4. 【請求項4】 小麦粉から主としてなる穀粉類100重
    量部に対して、アミノ酸を0.01〜1.0重量部の割
    合で添加して得られる請求項1〜3のいずれか1項の菓
    子類用組成物。
  5. 【請求項5】 小麦粉から主としてなる穀粉類100重
    量部に対して、糊化澱粉を0.1〜10重量部の割合で
    添加して得られる請求項2〜4のいずれか1項の菓子類
    用組成物。
  6. 【請求項6】 小麦粉から主としてなる穀粉類に、卵白
    粉末と共に、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミ
    ン、アスパラギン、グリシン、アラニン、バリン、ロイ
    シン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイ
    ン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンお
    よびチロシンから選ばれるアミノ酸の1種または2種以
    上を添加して菓子類を製造する方法。
  7. 【請求項7】 小麦粉から主としてなる穀粉類に、卵白
    粉末および糊化澱粉と共に、グルタミン酸、アスパラギ
    ン酸、グルタミン、アスパラギン、グリシン、アラニ
    ン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオ
    ニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、ト
    リプトファンおよびチロシンから選ばれるアミノ酸の1
    種または2種以上を添加して菓子類を製造する方法。
  8. 【請求項8】 小麦粉から主としてなる穀粉類100重
    量部に対して、卵白粉末を0.1〜10重量部およびア
    ミノ酸を0.01〜1.0重量部の割合で添加する請求
    項6の方法。
  9. 【請求項9】 小麦粉から主としてなる穀粉類100重
    量部に対して、卵白粉末を0.1〜10重量部、アミノ
    酸を0.01〜1.0重量部および糊化澱粉を0.1〜
    10重量部の割合で添加する請求項7の方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5のいずれか1項の菓子類
    用組成物を用いるか、または請求項6〜9の方法により
    得られる菓子類。
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