JPH09222174A - 溶接形ボール弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】構造簡単にしてコンパクトでシール性の良い溶
接形ボール弁を提供する。 【構成】管との接続側一端部に溶接接合用開先を有する
顎部を有し、両側内面にリテーナ摺動面と中央部内面に
弁体装着部を有する弁箱と、弁箱の弁体装着部に回動自
在に上下を支持して装着した貫通孔を有するボール弁体
と、弁箱両側のリテーナ摺動面に装着した、端部側に弁
体に向かって付勢するスプリングと中央側に弁体をシー
ルするシートリングとを組込んだリテーナと、弁箱の端
部内面に螺合してリテーナを位置決めするインサート
と、インサートの端部側で弁箱の端部と溶接した、端部
に溶接接合用開先を有する弁箱端部蓋とからなる。また
顎部端部に絶縁スペーサを絶縁結合でき、またシートリ
ングは弁体の外周面に接する内周側と中間部に環状のゴ
ム層と外周側にグリス供給部を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、接続管と溶接接合
するボール弁に関し、特に弁箱の小型化を図った埋設用
の溶接形ボール弁に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば図４に示すボールバルブが
実開昭６３ー７８７６６号公報で開示されている。この
ものは、弁箱本体１内にボール弁体２とシートリング３
と皿ばね４を組込み、弁箱本体１に弁箱接続端５を螺合
結合したもので、弁箱両端部の接続管との接続部はねじ
込み式接続端部となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記従来のボールバル
ブは、弁箱本体１に弁箱接続端５を組付ける際、接続端
５を弁箱本体１に螺合接続して組付ける。このため弁箱
接続端５内の皿ばね４が弁箱接続端５と共回りしてシー
トリング３が捩られたり、あるいはシートリングが皿ば
ね４で擦れてシートリング３とボール弁体２とのシール
性が損なわれたりする問題があった。また弁箱接続端５
は端部に接続配管と螺合接続するため、弁箱本体１と強
固に螺合して一体に固定される。このためシートリング
３が一定位置に固定され、シートリング３の締付け力を
調節することができず、ボール弁体２の回動が重くなっ
たりあるいは弁体とのシール性を増そうとしても締付け
力を調節できない問題があった。

【０００４】またこのボール弁と接続管との間を絶縁し
て防食仕様にしようとすると、高価な絶縁継手を接続管
との間に組込まねばならず、施行の手間や配管スペース
が大きくなる等の問題があった。また弁箱本体１と弁箱
接続端５との固定部がねじ螺合結合のため厚肉にする必
要があり、この螺合固定部の厚肉部分のためにボール弁
全体が重く大きなものとなっていた。本発明は上記の問
題点を解消して、構造簡単にしてコンパクトでシール性
の良い溶接形ボール弁を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、管との
接続側一端部に溶接接合用開先を有する顎部を有し、両
側内面にリテーナ摺動面と中央部内面に弁体装着部を有
する弁箱と、該弁箱の弁体装着部に回動自在に上下を支
持して装着した貫通孔を有するボール弁体と、前記弁箱
両側のリテーナ摺動面に装着した、端部側にボール弁体
に向かって付勢するスプリングと中央側にボール弁体を
シールするシートリングとを組込んだリテーナと、前記
弁箱の端部内面に螺合して前記リテーナを位置決めする
インサートと、該インサートの端部側で弁箱の端部と溶
接した、端部に溶接接合用開先を有する弁箱端部蓋とか
らなることを特徴とする溶接形ボール弁である。また上
記において、前記弁箱の顎部端部に絶縁スペーサを介し
て溶接接合用開先を有するフランジを絶縁スペーサを介
して絶縁結合することにより絶縁仕様の溶接形ボール弁
が得られる。また上記において、前記シートリングは四
フッ化エチレン樹脂製からなり、ボール弁体の外周面に
接する内周側と中間部に環状のゴム層と、外周側にグリ
スが供給される環状のグリス供給部を設けることにより
シール性と回動性に優れた溶接形ボール弁が得られる。

【０００６】

【作用】本発明は上記の構成であるから、ボール弁体は
弁箱内面の弁体装着部に上下が支持されて装着されてお
り、ボール弁体が流体圧力の影響等で弁箱内で移動せ
ず、リテーナに装着したスプリングによって常に良好な
シール性と弁体回動力が得られる。また弁箱内にリテー
ナ、ボール弁体、インサート等の部品を弁箱の端部側か
ら挿入して弁箱端部蓋を溶接するため、弁箱本体をほぼ
円筒形状に形成でき、弁箱を形成する余分な部材が不要
で、全体を均一な肉厚形状にすることができる。またリ
テーナの一端を位置決めするインサートは弁箱内でリテ
ーナの締付け螺合量を調節できるので、リテーナに対し
て適度な付勢力を付与してボール弁体と良好なシールを
得ることができる。

【０００７】またリテーナの背面側にスプリングとボー
ル弁体側にシートリングを装着してあり、スプリングが
直接シートリングに接触しないので、インサートを弁箱
内面に螺合してもシートリングが捩れることがなく、良
好なシール性が得られる。また弁箱顎部端面に絶縁スペ
ーサを挟着して溶接接合用開先付のフランジをボルト等
で絶縁接合するだけで、簡単に絶縁形防食仕様の溶接形
ボール弁を得ることができる。また四フッ化エチレン樹
脂製シートリングのボール弁体外周面に接する内周側と
中間部に環状のゴム層と、外周側に環状のグリス供給部
を設けることにより、内周側のゴム層はボール弁体の貫
通流路から外表面に付着したゴミ等を取り除き、中間部
のゴム層は弁体外表面とのシール面圧を高め、また外周
側のグリス供給部からボール弁体外表面にグリスが供給
されるので潤滑と馴染性が働き、弁体とのシール性を増
すとともに、ボール弁体の回動を滑らかにする。このた
め全体としてコンパクトで軽くシール性に優れたボール
弁が得られる。

【０００８】

【発明の実施形態】以下本発明の実施例を図面を参照し
て説明する。図１は本発明の一実施例を示す溶接形のボ
ール弁である。図において弁箱１０は、一端部左側に溶
接接合用開先端部１７を有する顎部１１と中央部上下に
弁棒装着部１２と支持ピン装着ボス１３を有するほぼ均
一な肉厚の円筒状で、顎部の溶接接合用開先端部１７に
は短管５０を溶接接合してある。弁箱１０の両側内面は
円筒状のリテーナ摺動面１５、１５となっており、この
摺動面１５内にリテーナ２０、２０を左右に摺動可能に
装着してある。

【０００９】弁箱上部の弁棒装着部１２の内部には、弁
棒３０をカラー３１を介して密封装着してあり、弁棒３
０は下端にボール弁体４０をキー４１で固定して弁棒３
０の回転によってボール弁体４０を回動し弁を開閉する
ようにしてある。他方弁箱下部のピン装着ボス１３に
は、ボール弁体４０の下部を支える支持ピン１４をリン
グ１９を介して挿入して密封固定してあり、ボール弁体
４０の下部を回転自在に支持している。リング１９は例
えば四フッ化エチレン樹脂等の低摩擦部材で形成してあ
り、支持ピン１４とボール弁体４０との固着を防止し、
ボール弁体を滑らかにスムースに回転できるようにして
いる。

【００１０】弁箱１０の左右内面は円筒状のリテーナ摺
動面１５、１５となっており、この摺動面１５内にリテ
ーナ２０を左右に摺動可能に装着してある。リテーナ２
０は端部側に複数個のスプリング２１を、弁箱中央側に
シートリング６０を、外周面にＯリング２３を内装した
環状体で、図の弁箱左側に装着したリテーナ２０は弁箱
の顎部１１に係止し、弁箱右側に装着したリテーナ２０
はインサート２２に係止して、弁箱中央部のボール弁体
４０に向かってリテーナ２０のシートリング６０を付勢
させている。またリテーナ２０の内部には、複数箇所の
グリス孔２４を設け外面に環状溝２５を設けて、弁箱外
面に設けたグリス挿入管３２から内部のシートリング６
０にグリスが供給できるようにしてある。３３はチェッ
ク弁で３４は小型弁である。

【００１１】図２はシートリング６０の拡大断面を示
し、シートリング本体６１を四フッ化エチレン樹脂で形
成し、この内周側と中間部にニトリルゴム層６２と６３
を固着してあり、外周側にリテーナ２０のグリス孔２４
に通じるグリス孔６４を形成して弁体４０の外表面に開
口する環状のグリス供給溝６５を設けてある。そしてこ
れらシートリング本体６１とゴム層６２、６３およびグ
リス供給溝６５がボール弁体の表面に当接するよう設け
てあり、ボール弁体４０との良好なシール性と回動性が
得られるようにしてある。通常ボール弁体４０には貫通
流路側より流体中のゴミ等が付着するが、これを内周側
のゴム層６２が取り除く作用を行なう。また中間部のゴ
ム層６３は、グリス供給溝６５からのグリスの供給と相
挨ってボール弁体外表面と滑らかに摺動し、ボール弁体
４０との馴染をよくしてシール性を高め、ボール弁体４
０を滑らかに回動できて確実に弁体とシールする。

【００１２】インサート２２は弁箱の右側端部内面に螺
合してリテーナ２０を位置決めし、弁箱との螺合量によ
って、ボール弁体４０に対するシートリング６０のシー
ル面圧を調節する。このインサート２２の端部側の弁箱
端部には溶接接合用開先端部１７を有する弁箱端部蓋１
６を溶接してあり、開先端部１７には短管５０を溶接し
てある。左右の短管５０、５０には放散管５１、５１を
設けてあり、放散管５１の上端にボールバルブ５２、５
２を設け、必要に応じて配管内のエアーを放出できるよ
うにしてある。

【００１３】弁箱１０の弁棒装着部１２の上部には保護
管５３を立設し、この上端に減速機５５を固定してあ
る。減速機５５は保護管５３内の連結棒５４を介して弁
棒３０と連結しており、ハンドルボス５６を回転するこ
とにより、減速機５５、連結棒５４、弁棒３０を介して
ボール弁体４０を回動させる。減速機５５周りにもカバ
ー５７を設けてあり、その上端に蓋５８を被せ、埋設土
砂等が侵入しないようにしてある。更に図では省略して
あるが、弁箱両端の短管５０の端部を除く全面に合成樹
脂製の防食皮膜を設け、埋設配管した場合の防食処理を
行なっている。また配管系全体を防食するために、犠牲
陽極と接続するための防食用リード線５９を放散管５１
に接続してある。

【００１４】図３は本発明の溶接形ボール弁を絶縁仕様
にした場合の実施例を示すもので、前記実施例の弁箱顎
部１１の溶接用開先部１７を切断してフラットな端面と
し、この顎部７１に絶縁スペーサ７０を挟着して溶接接
合用開先部７３を有するフランジ７２で絶縁結合したも
のである。本実施例では、前記実施例の顎部１１の溶接
用開先部１７を取り除くだけで簡単に絶縁防食仕様の溶
接形ボール弁にすることができ、埋設配管中に生じるマ
クロセル腐蝕を防止することができる。

【００１５】

【発明の効果】以上説明のごとく本発明の溶接形ボール
弁は、弁箱全体をほぼ均一な円筒形状に形成でき、しか
も内部にボール弁体の上下を回転自在に支持してシール
圧を調節できるシートリング付のリテーナを装着してあ
り、構造簡単で、軽く取扱が容易で、しかも簡単に防食
のための絶縁仕様にでき、シール性と弁体の回動性に優
れた溶接形のボール弁である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例を示す溶接形ボール弁の縦
断面図である。

【図２】 シートリング６０の拡大断面を示す図であ
る。

【図３】 本発明の別の実施例を示す絶縁防食仕様の溶
接形ボール弁の縦断面図である。

【図４】 従来のボール弁を示す断面図である。

【符号の説明】

１０ 弁箱 １１、７１ 顎部 １２ 弁棒装着部 １３ 支持ピン装
着ボス １４ 支持ピン １５ リテーナ摺
動面 １６ 弁箱端部蓋 １７、７３ 溶接
接合用開先部 １９ 低摩擦部材リング ２０ リテーナ ２１ スプリング ２２ インサート ２３ Ｏリング ２４ リテーナの
グリス孔 ２５ 環状溝 ３０ 弁棒 ３１ カラー ３２ グリス挿入
管 ３３ チェック弁 ４０ ボール弁体 ４１ キー ５０ 短管 ５１ 放散管 ５２ ボールバル
ブ ５３ 保護管 ５４ 連結棒 ５５ 減速機 ５６ ハンドルボ
ス ５７ カバー ５８ 蓋 ５９ 防食用リード線 ６０ シートリン
グ ６１ シートリング本体 ６２、６３ ニト
リルゴム層 ６４ シートリングのグリス孔 ６５ グリス供給
溝 ７２ 絶縁スペーサ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 管との接続側一端部に溶接接合用開先を
   有する顎部を有し、両側内面にリテーナ摺動面と中央部
   内面に弁体装着部とを有する弁箱と、 該弁箱の弁体装着部に回動自在に上下を支持して装着し
   た貫通孔を有するボール弁体と、 前記弁箱両側のリテーナ摺動面に装着した、端部側にボ
   ール弁体に向かって付勢するスプリングと中央側にボー
   ル弁体をシールするシートリングとを組込んだリテーナ
   と、 前記弁箱の端部内面に螺合して前記リテーナを位置決め
   するインサートと、 該インサートの端部側で弁箱の端部と溶接した、端部に
   溶接接合用開先を有する弁箱端部蓋と、からなることを
   特徴とする溶接形ボール弁。
2. 【請求項２】 前記弁箱の顎部端部に、絶縁スペーサを
   介して溶接接合用開先を有するフランジを絶縁結合した
   ことを特徴とする請求項１記載の溶接形ボール弁。
3. 【請求項３】 前記シートリングは四フッ化エチレン樹
   脂製からなり、ボール弁体の外周面に接する内周側と中
   間部に環状のゴム層と、外周側にグリスが供給される環
   状のグリス供給部を有することを特徴とする請求項１な
   いし２記載の溶接形ボール弁。