JPH09222117A - すべり軸受構造 - Google Patents

すべり軸受構造

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JPH09222117A
JPH09222117A JP3107196A JP3107196A JPH09222117A JP H09222117 A JPH09222117 A JP H09222117A JP 3107196 A JP3107196 A JP 3107196A JP 3107196 A JP3107196 A JP 3107196A JP H09222117 A JPH09222117 A JP H09222117A
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JP
Japan
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bearing
back metal
connecting rod
large end
peripheral surface
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JP3107196A
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English (en)
Inventor
Tetsushi Nagira
徹志 柳樂
Shuji Nagano
修治 長野
Toshihiro Yamaguchi
俊弘 山口
Toshiro Shimamoto
敏郎 島本
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Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両用内燃機関のコネクティングロッド大端
部に装備されるとともに、裏金の内側に軸受け用金属層
を形成されたすべり軸受に関し、特殊な材料を用いるこ
となく、すべり軸受の裏金外周面の硬度を向上させるこ
とにより、フレッチング磨耗等を抑制し、クラックの発
生を防止することができるようにする。 【解決手段】 車両用内燃機関のコネクティングロッド
1の大端部2に装備され裏金6の内側に軸受け用金属層
を形成されたすべり軸受構造において、裏金6の外周面
にショットピーニング又はロールバニッシュが施される
ように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用内燃機関の
コネクティングロッドの大端部に装備されるとともに、
裏金の内側に軸受け用金属層を形成されたすべり軸受に
関し、特に、裏金の内側に軸受け用金属材を焼結させる
ことで軸受け用金属層を形成したケルメット系ベアリン
グに用いて好適の、すべり軸受け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンのピストン(図示せず)とクラ
ンクシャフト(図示せず)とを連結するコネクティング
ロッド(以下、コンロッドという)1は、図3に示すよ
うに構成される。このコンロッド1は、クランクシャフ
トに連結するための大口径の端部(以下、大端部とい
う)2とピストンに連結するための小口径の端部(小端
部)3とを有し、この大端部2は、一般にコンロッド本
体1Aに形成された部分(ロッド側部)2Aとコンロッ
ド本体1Aにボルト8及びナット9で結合されたキャッ
プの部分(キャップ側部)2Bとの2つの部分から構成
される。
【0003】この大端部2の内周面2Cには、図4に示
すようなすべり軸受(ベアリング)4が嵌合されてい
る。なお、すべり軸受4は大端部2の口径より大きい口
径に形成されており、しまりばめにより嵌合されてい
る。また、このすべり軸受4も、コンロッド1の大端部
2と同様に、ロッド側部4Aとキャップ側部4Bとの2
つの部分から構成されている。
【0004】このようなすべり軸受4は、図5に示すよ
うに、SPCC等の圧延鋼板からなる裏金(バックメタ
ル)6の内側に軸受合金による層(軸受け用金属層)5
とを形成された構造になっている。軸受け用金属層5を
形成する軸受合金は、耐摩耗性にすぐれており、裏金6
はすべり軸受4の剛性要素になっている。そして、軸受
合金5の厚さは材質等によるが、例えば0.3mm程
度、裏金6の厚さは例えば1.2mm程度になってお
り、この場合すべり軸受4の全体の厚さは1.5mm程
度になる。
【0005】また、このようなすべり軸受は、主に、ア
ルミ系ベアリングとケルメット系ベアリングとに分けら
れ、これらのベアリングは軸受合金5と裏金6との接合
方法に違いがある。つまり、アルミ系ベアリングは、別
々に製造された軸受合金5と裏金6とをロール加圧にて
圧着することにより形成させるのに対し、ケルメット系
ベアリングは、裏金6の内表面上に銅・鉛系,銅・青銅
系等の合金粉末をのせ、焼結炉にて、焼結することによ
り合金層(ケルメット層)を生成させるようにしてい
る。
【0006】このアルミ系ベアリングとケルメット系ベ
アリングとでは、ケルメット系ベアリングの方がエンジ
ンが高速回転することによって生ずる焼付けに対して有
利であるため、高速回転型のエンジンでは、一般にケル
メット系ベアリングが多く使用されている。なお、この
ケルメット系ベアリングは、スチールからなる裏金,ケ
ルメット層による軸受け金属層を有するが、一般的に
は、このケルメット層の内側にメッキ処理を行なうこと
によりオーバレイ層を形成した構造になっている。この
オーバレイ層は、鉛,すず,インジウムなどからなり、
ケルメット層を保護する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、エンジンの
高回転時にはピストンの上下運動による慣性力が増大す
るので、コンロッド1が引張と圧縮の荷重変動を受け
る。これによりコンロッド1が変形するため、コンロッ
ド大端部2の内周面2Cとすべり軸受4における裏金6
の外周面との間にフレッチング摩耗が発生するという課
題がある。
【0008】すなわち、荷重変動等に伴ってコンロッド
大端部2の内周面2Cとすべり軸受4における裏金6の
外周面との接触部で微小な滑りの繰り返しが生じるよう
になり、フレッティング摩耗と称される表面損傷が発生
することが考えられる。このフレッティング摩耗は、接
合面の微小な滑りのサイクルの繰り返しにより、接合面
に酸化金属の粉末を発生させ、この進行により接合面が
損傷し、摩耗状況を呈するようになるものと考えられ
る。
【0009】また、このフレッチング摩耗が進行する場
合には、すべり軸受4及びコンロッド大端部2の双方に
クラックの発生を招いてしまう。これに対処するには、
すべり軸受4における裏金6の硬度を向上させることが
望ましいが、通常、多く用いられているケルメット系ベ
アリングではアルミ系ベアリングのようにロール加圧に
よる圧着を行なわないため、圧着による裏金6の加工硬
化がなく、アルミ系ベアリングに比較して、裏金6の硬
度が低くなってしまい、フレッチング摩耗を招き易い。
【0010】また、裏金6の硬度を高めるべくハイカー
ボン材を使い、焼入れ等を行なうことも考えられるが、
ケルメット系ベアリングは銅・鉛系の合金粉末から形成
されるケルメットとスチールからなる裏金6とのバイメ
タルとなっているため、焼入れ時に鉛が溶け出してしま
うことになり焼入れ等ができない。そこで、予め焼入れ
した材料を裏金に使うことも考えられるが、ケルメット
系ベアリングでは、上述のようにケルメット層を焼結に
より生成するため、温度が高い状態でケルメット層を生
成することになり、しかも、上述のように、ケルメット
層生成後に急激に温度低下させること(即ち、焼入れ)
は行なえないので、結果として焼なましが行なわれたよ
うになって、裏金6の硬度が下がってしまうことにな
る。
【0011】さらに、ケルメットからなる軸受合金5と
スチールからなる裏金6とのバイメタル構造となってい
ることから、熱処理や浸炭、タフトライドといった温度
上昇を伴った処理により、すべり軸受4における裏金6
の強度、即ち、すべり軸受4の強度の向上を図ることは
難しい。ところで、裏金6の外周面又はコンロッド大端
部2の内周面2Cの強度を向上させる技術としては以下
のようなものが提案されている。
【0012】例えば、特開平7−71464号公報,特
開平7−110025号公報及び特開平7−11973
1号公報には、樹脂をコートする技術が開示されてい
る。即ち、特開平7−71464号公報には、軸受の裏
金あるいはコンロッドに樹脂をコートし、軸受の荷重分
布に応じて樹脂の組成を変更する技術が開示されてい
る。また、特開平7−110025号公報には、ロッド
及びキャップのハウジング合わせ面の両方にコートする
樹脂の粗さの方向を直交させる技術、及び、合わせ面の
両方にコートする樹脂のすべり特性を異なるものとする
技術が開示されている。さらに、特開平7−11973
1号公報には、コンロッドあるいは軸受の裏金のいずれ
かに樹脂をコートし、金属面の表面粗さの方向を直交さ
せる技術、及び、樹脂部に異物混入を防ぐ、つば状のシ
ールを設ける技術が開示されている。
【0013】また、特開平6−1782号公報及び特開
平3−292415号公報には、メッキを施した技術が
開示されている。即ち、特開平6−1782号公報に
は、軸受の裏金に銀あるいは銀合金をメッキし、メッキ
厚さを1〜30μmにする技術、及び、軸受の裏金とメ
ッキとの間に、銅,ニッケル,金などの中間層を設ける
技術が開示されている。また、特開平3−292415
号公報には、軸受の裏金に0.1〜5μmのすずあるい
は鉛の合金フラッシュメッキ層を設ける技術が開示され
ている。
【0014】また、特開平6−74238号公報には、
摺動部材と裏金との間にアルミニウムあるいはアルミニ
ウム合金あるいはニッケルあるいはニッケル合金の中間
層を設けた技術が開示されている。また、特開平6−9
4036号公報には、裏金に0.1〜15μmのリン酸
塩被膜層(例えば、りん酸亜鉛,リン酸カルシウム,リ
ン酸マンガン,リン酸鉄等のリン酸塩)を設ける技術が
開示されている。
【0015】また、特開昭61−88020号公報に
は、裏金あるいはコンロッドの嵌合部のいずれか一方の
面にビッカース硬度15〜80の金属層を設ける技術が
開示されている。しかしながら、上述のように、裏金6
の外周面又はコンロッド大端部2の内周面2Cに樹脂を
コートしたり、合金等のメッキを施したり、被膜層を形
成したりする技術は、裏金6の外周面とコンロッド大端
部2の内周面2Cとの相対すべりをよくすることによ
り、フレッチング摩耗を低減させようとするものと考え
られるが、このように、樹脂をコートしたり、合金等の
メッキを施したり、被膜層を形成したりする場合は、特
殊な別の材料が必要となり、加工が容易でなく、経済的
でない。また、樹脂コートの場合、耐久性が心配され
る。
【0016】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、特殊な材料を用いることなく、すべり軸受の
裏金外周面の硬度を向上させることにより、コンロッド
大端部の内周面とすべり軸受における裏金の外周面との
接触部分のフレッチング摩耗等を低減し、クラックの発
生を防止することができるようにした、すべり軸受構造
を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明のすべり軸受構造は、車両用内燃機関のコネク
ティングロッド大端部に装備され裏金の内側に軸受け用
金属層を形成されたすべり軸受構造において、該裏金の
外周面にショットピーニングが施されていることを特徴
としている。
【0018】請求項2記載の本発明のすべり軸受構造
は、車両用内燃機関のコネクティングロッド大端部に装
備され裏金の内側に軸受用金属層を形成されたすべり軸
受構造において、該裏金の外周面にロールバニッシュが
施されていることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施形態】以下、図面により、本発明の一実施
形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態と
してのすべり軸受構造を示すもので、(a)はすべり軸
受の断面図であり、(b)はすべり軸受の側面図であ
る。図1を参照する前に、この実施形態にかかるすべり
軸受の全体構造を図3を参照して説明すると、本すべり
軸受は、エンジンのピストンとクランクシャフトとを連
結するコネクティングロッド(以下、コンロッドとい
う)1の大口径の端部(以下、大端部という)2に嵌合
されるすべり軸受(ベアリング)4として用いられるも
のである。
【0020】つまり、エンジンのピストンとクランクシ
ャフトとを連結するコンロッド1は、図3に示すように
構成される。このコンロッド1は、クランクシャフト
(図示せず)に連結するための大端部2とピストン(図
示せず)に連結するための小口径の端部(小端部)3と
を有し、この大端部2は、一般にコンロッド本体1Aに
形成された部分(ロッド側部)2Aとコンロッド本体1
Aにボルト8及びナット9で結合されたキャップの部分
(キャップ側部)2Bとの2つの部分から構成される。
【0021】この実施形態では、ケルメット系ベアリン
グを説明する。この大端部2の内周面2Cには、図4に
示すようなすべり軸受4が嵌合されている。なお、すべ
り軸受4は大端部2の口径より大きい口径に形成されて
おり、しまりばめにより嵌合されている。また、このす
べり軸受4も、コンロッド1の大端部2と同様に、ロッ
ド側部4Aとキャップ側部4Bとの2つの部分から構成
されている。
【0022】このすべり軸受4は、図5に示すように、
SPCC等の圧延鋼板からなる裏金(バックメタル)6
の内表面上に銅・鉛系又は銅・青銅系等の合金粉末をの
せて焼結炉にて焼結することにより、軸受け用金属層と
してのケルメット層を形成されたケルメット系ベアリン
グとして構成される。また、従来技術でも説明したが、
軸受合金5の厚さは例えば0.3mm程度、裏金6の厚
さは例えば1.2mm程度になっており、この場合すべ
り軸受4の全体の厚さは1.5mm程度になる。
【0023】このような本すべり軸受構造では、図1に
符号7で示すように、大端部2のロッド側部2Aに接す
る裏金6の外周面に、ショットピーニングが施されてい
る。なお、ショットピーニングが施されている箇所を分
かり易くするため、図1(a)中では、ショットピーニ
ングが施されている箇所を太線として示している。本実
施形態では、すべり軸受4のロッド側部4Aにおける裏
金6の外周面の全面に亘ってショットピーニングが施さ
れている。したがって、ショットピーニングにより加工
硬化が施されて、すべり軸受の強度を向上させるように
なっている。
【0024】なお、裏金6の外周面の中でもフレッティ
ング摩耗等による損傷を招きやすい箇所のみにショット
ピーニングを施すようにしてもよい。また、このような
ショットピーニングの具体的な施工条件としては、例え
ば投射材は直径100μm以下、硬さがビッカース硬度
240〜350程度のステンレスビーズ(BPS30
0)で、圧力は0.1MPaとし、アークハイト(即
ち、ショットピーニング力の程度)としては0.09〜
0.10mm程度、さらに、カバレージを500%以上と
して全面に全てのビーズを打ち当てるようにする。もち
ろん、このような条件設定は一例であり、裏金の材質や
大きさ等に応じて最適なショットピーニングの条件を設
定すべきである。特に、投射材としては粒度の細かいも
のであればよく、また、材料としてはステンレスビーズ
(BPS300)でなく、スチールビーズ(BPC)な
どであってもよい。
【0025】本発明の一実施形態としてのすべり軸受構
造は、上述のように構成されているので、すべり軸受ロ
ッド側部4Aにおける裏金6に残留圧縮応力を発生させ
ることになり、裏金6の強度を大きく向上させうる効果
がある。ケルメット系ベアリングとして形成されたすべ
り軸受4において裏金6に特殊な材料を用いることな
く、裏金6の硬度を向上させることにより、これにより
コンロッド大端部2の内周面2Cとすべり軸受ロッド側
部4Aにおける裏金6の外周面との間のフレッチング摩
耗を抑制することができ、また、クラックの発生も防ぐ
ことができるという利点がある。
【0026】また、すべり軸受ロッド側部4Aにおける
裏金6の外周面にショットピーニングの残留圧縮応力を
生じさせて、コンロッド大端部2の変形によりすべり軸
受ロッド側部4Aにおける裏金6に発生する応力による
すべり軸受4のクラックの発生を防止することができる
という利点もある。さらに、ショットピーニングにおけ
る投射材(ステンレスビーズ)として、粒度の細かいも
の(100μm以下のもの)を採用しているため、比較
的軟らかい材料からなるすべり軸受4の変形を防止で
き、また、すべり軸受4を形成する裏金6の表面粗度の
悪化を少なく抑えることができるという利点もある。
【0027】ここで、図2,表1を参照して、従来のす
べり軸受(ケルメット系ベアリング)4及び本実施形態
のすべり軸受(ケルメット系ベアリング)4の残留応
力,硬さ及び粗さの測定結果を比較して説明する。な
お、図2(a)は硬さ及び粗さの測定位置を示すもので
あり、図2(b)は残留応力の測定位置を示すものであ
る。また、表1はその測定結果を示すものである。ま
た、図2(a)中、×印は硬さの測定位置を、→印は粗
さの測定位置をそれぞれ示している。図2(b)中、△
印は残留応力の測定位置を示している。
【0028】さらに、図2(a),(b)中の符号,
,は下記の測定結果の表1中の符号,,に対
応している。例えば、表1中、の欄に記載されている
残留応力,硬さ及び粗さの測定結果は、図2中、△印の
,×印の及び→印のの位置における測定結果であ
る。なお、測定はそれぞれ2回ずつ行なっている。ま
た、粗さ測定の測定距離は1mmとしており、残留応力
の測定位置は、図2(b)に示すように、すべり軸受を
2分割したもの(半円形)において、は45°度位置
付近,は90°位置付近,は、135°位置付近に
している。
【0029】
【表1】
【0030】この表1によると、残留応力については、
ショットピーニングを行なわない従来のすべり軸受の場
合は平均値が−14.5kgf/mm2 であるのに対し
て、ショットピーニングを行なった本実施形態のすべり
軸受の場合は平均値が−24.5kgf/mm2 及び−
24.7kgf/mm2 と10.0kgf/mm2 程度
向上しており、すべり軸受4の強度が向上していること
がわかる。
【0031】硬さについては、従来のすべり軸受4の場
合は平均値がビッカース硬度175(SPCC材等の硬
度はビッカースで通常115以下であるが加工硬化によ
り硬度が高くなっている)であるのに対し、本実施形態
のすべり軸受4の場合は平均値がビッカース硬度192
及びビッカース硬度187とビッカース硬度15程度向
上しており、すべり軸受4の硬度が向上していることが
わかる。
【0032】粗さについては、本実施形態のすべり軸受
4の場合は従来のすべり軸受4の場合に比べて若干大き
くなっているが、軸受背面の表面粗度としては十分であ
り、影響のないものと考えられる。なお、フレッチング
摩耗により、まずすべり軸受4にクラックが発生し、こ
の損傷が原因でコンロッド大端部2にもクラックが発生
することになるため、すべり軸受4及びコンロッド大端
部2の双方にショットピーニングを施すという技術も考
えられるが、すべり軸受4の裏金6のみにショットピー
ニングを施せば、コンロッド大端部2のクラックの原因
となるすべり軸受4のクラックを防止することができ、
すべり軸受4及びコンロッド大端部2の双方のクラック
による損傷を防ぐことができると考えられる。
【0033】また、本実施形態では、すべり軸受ロッド
側部4Aにおける裏金6の外周面全体にショットピーニ
ングを施すようにしているが、フレッチング摩耗が生じ
易い部分にのみ施すようにしてもよい。次に、本実施形
態のすべり軸受構造における裏金6の表面処理の他の構
成例である、ローラバニッシュについて説明する。
【0034】ローラバニッシュでは、すべり軸受4をロ
ーラの軸が固定されている固定ローラの上に載せ、上下
方向にローラの軸が動く可動ローラを回転させながら加
圧させることによって、すべり軸受4における裏金6の
外面に塑性変形を生じさせて加工硬化させる。即ち、可
動ローラが回転しながら加圧するため、すべり軸受4,
固定ローラも回転し、均等な圧力がすべり軸受4におけ
る裏金6の外周面に加えられて均等な塑性変形を生じさ
せて加工硬化させることができる。
【0035】したがって、ローラバニッシュによる加工
硬化によってすべり軸受4の強度を向上させるようにな
り、フレッティング摩耗を低減することができ、また、
クラックの発生も防ぐことができるという利点がある。
また、本実施形態では、ケルメット系ベアリングとして
形成されたすべり軸受4に、ショットピーニングやロー
ラバニッシュを施すようにしているが、その他のベアリ
ングにこのような技術を適用することもできる。例え
ば、ロール加圧にて圧着することにより形成させ、裏金
6の加工硬化が期待できるアルミ系ベアリングとして形
成されたすべり軸受4についても、ショットピーニング
やローラバニッシュを施すようにして、すべり軸受4の
裏金6の外周表面のさらなる強化を図ることも考えられ
る。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明のすべり軸受構造によれば、車両用内燃機関のコネ
クティングロッド大端部に装備され裏金の内側に軸受け
用金属層を形成されたすべり軸受構造において、該裏金
にショットピーニングが施されるという構成により、す
べり軸受(例えば、ケルメット系ベアリング)において
裏金に特殊な材料を用いることなく、裏金の硬度を向上
させることによりすべり軸受の強度が向上させられるよ
うになり、これによりコンロッド大端部の内周面とすべ
り軸受における裏金の外周面との間のフレッチング摩耗
を抑制することができ、また、クラックの発生も防ぐこ
とができるという利点がある。
【0037】また、すべり軸受における裏金の外周面に
残留圧縮応力を生じさせて、コンロッド大端部の変形に
よりすべり軸受における裏金に発生する応力を緩和する
ことによりすべり軸受の強度が向上させられるようにな
り、これによりクラックの発生を防止することができる
という利点もある。請求項2記載の本発明のすべり軸受
構造によれば、車両用内燃機関のコネクティングロッド
大端部に装備され裏金の内側に軸受用金属層を形成され
たすべり軸受構造において、該裏金にロールバニッシュ
が施されるという構成により、すべり軸受(例えば、ケ
ルメット系ベアリング)において裏金に特殊な材料を用
いることなく、裏金の硬度を向上させることによりすべ
り軸受の強度が向上させられるようになり、これにより
コンロッド大端部の内周面とすべり軸受における裏金の
外周面との間のフレッチング摩耗を低減することがで
き、また、クラックの発生も防ぐことができるという利
点がある。
【0038】また、すべり軸受における裏金の外周面に
残留圧縮応力を生じさせて、コンロッド大端部の変形に
よりすべり軸受における裏金に発生する応力を緩和する
ことによりすべり軸受の強度が向上させられるようにな
り、これによりクラックの発生を防止することができる
という利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのすべり軸受構造を
示す図であって、(a)はその断面図〔図1(b)のI
a−Ia矢視断面図〕であり、(b)はその側面図であ
る。
【図2】本発明の効果を説明する図であって、(a)は
硬さ,粗さの測定位置を示す図であり、(b)は残留応
力の測定位置を示す図である。
【図3】従来のすべり軸受が嵌合されたコネクティング
ロッドを示す斜視図である。
【図4】従来のすべり軸受構造を示す図であって、
(a)はすべり軸受の縦断面図であり、(b)はすべり
軸受の横断面図である。
【図5】従来のすべり軸受構造を示す図であって、図4
のA部の拡大図である。
【符号の説明】
1 コネクティングロッド 1A コネクティングロッド本体 2 コネクティングロッドの大端部 2A コネクティングロッド大端部のロッド側部 2B コネクティングロッド大端部のキャップ側部 2C コネクティングロッド大端部の内面 3 コネクティングロッドの小端部 4 すべり軸受(ベアリング) 4A すべり軸受のロッド側部 4B すべり軸受のキャップ側部 5 軸受合金(すべり軸受の内周面) 6 裏金(すべり軸受の外周面) 7 ショットピーニング施行範囲 8 ボルト 9 ナット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島本 敏郎 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両用内燃機関のコネクティングロッド
    大端部に装備され裏金の内側に軸受け用金属層を形成さ
    れたすべり軸受構造において、該裏金の外周面にショッ
    トピーニングが施されていることを特徴とする、すべり
    軸受構造。
  2. 【請求項2】 車両用内燃機関のコネクティングロッド
    大端部に装備され裏金の内側に軸受用金属層を形成され
    たすべり軸受構造において、該裏金の外周面にロールバ
    ニッシュが施されていることを特徴とする、すべり軸受
    構造。
JP3107196A 1996-02-19 1996-02-19 すべり軸受構造 Pending JPH09222117A (ja)

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JP (1) JPH09222117A (ja)

Cited By (2)

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