JPH09221395A - 炭化珪素膜 - Google Patents

炭化珪素膜

Info

Publication number
JPH09221395A
JPH09221395A JP2396396A JP2396396A JPH09221395A JP H09221395 A JPH09221395 A JP H09221395A JP 2396396 A JP2396396 A JP 2396396A JP 2396396 A JP2396396 A JP 2396396A JP H09221395 A JPH09221395 A JP H09221395A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicon carbide
film
substrate
carbide film
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2396396A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Nagasawa
弘幸 長澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2396396A priority Critical patent/JPH09221395A/ja
Publication of JPH09221395A publication Critical patent/JPH09221395A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜質が均一な、特に内部応力が小さく制御さ
れた歪みの少ない炭化珪素膜を、厳密な成膜条件を必要
とせずに得ることを目的とする。 【解決手段】 基体上に形成される多結晶の炭化珪素膜
において、該炭化珪素膜は基体表面に被覆された多結晶
薄膜を介して形成されていることを特徴とする炭化珪素
膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体デバイスの
基体材料やセンサー、そしてX線マスクのX線透過膜等
に用いられる炭化珪素(SiC)膜に関するものであ
り、特に応力制御された炭化珪素膜に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイス等の技術分野で用いられ
る炭化珪素膜の膜質(応力、電気的特性、ヤング率な
ど)の均一化をはかるためには、一般的に炭化珪素膜は
単結晶化することが望ましい。しかしながら、通常、単
結晶薄膜を形成するための下地基板は単結晶からなるも
のに限られ、また、炭化珪素膜形成時の単結晶化条件も
厳密に制御されなければならない。単結晶薄膜の内部応
力は、下地基板と上層である単結晶薄膜との格子定数の
違いと熱膨張係数の違いによって決まるものである。従
って、単結晶からなる基板材料と単結晶薄膜の材料との
組み合わせにより、得られる単結晶薄膜の内部応力は一
義的に限定されてしまい、薄膜の内部応力を自由に変化
させることは極めて難しい。このような限定された応力
制御性は、基板上に形成される薄膜を多結晶からなるも
のにすることで向上させることができる。なぜならば、
多結晶薄膜では粒界における応力緩和現象が発現するた
めである。すなわち、結晶粒径や粒界での析出物によ
り、膜の内部応力を大幅に変化させることが可能となる
のである。また、多結晶薄膜を作製する場合であれば、
下地基板は必ずしも単結晶からなるものである必要はな
く、多結晶でも、非晶質でも用いることができるという
利点もある。
【0003】多結晶の炭化珪素薄膜を基体上に形成する
方法としては、スパッタリング法、気相堆積法(CVD
法)、分子線エピタキシー法(MBE法)および昇華法
が挙げられる。 スパッタリング法では、炭化珪素から
なるターゲット電極をプラズマ中のイオン衝撃でスパッ
タリングし、対向した電極側に保持された基体上に炭化
珪素を堆積させて炭化珪素膜を形成するか、または、珪
素からなるターゲット電極をプラズマ中のイオン衝撃で
スパッタリングし、同時にプラズマ中の炭素を含んだ分
子またはラジカルと反応させ、対向した電極側に保持さ
れた基体に炭化珪素を堆積させて炭化珪素膜を形成す
る。
【0004】CVD法では、珪素含有ガスと炭素含有ガ
スとを気相または基体表面で反応させるか、または珪素
と炭素を同時に含有したガスを気相または基体表面で反
応させて、基体上に炭化珪素膜を得る。この際、ガスを
分解し、炭化珪素を形成するエネルギーを、熱、光また
はプラズマで供給することが可能であり、それぞれ熱C
VD法、光CVD法およびプラズマCVD法と呼ばれ
る。
【0005】MBE法では、炭素を含んだ分子線とSi
を含んだ分子線とを、交互に基体表面に照射し、表面反
応により基体上に炭化珪素を析出させて炭化珪素膜を形
成する。
【0006】昇華法では、坩堝内に原料となる炭化珪素
の粉を入れ、2000℃以上で加熱し、炭化珪素を昇華
させる。そして、昇華された炭化珪素は坩堝よりわずか
に低温に保たれた基体上に再結晶化して析出させ、炭化
珪素膜を形成する。
【0007】上記いずれの炭化珪素膜の成膜方法におい
ても、炭化珪素膜の膜厚は、処理温度をはじめとする投
入エネルギーや成膜処理時間によって調整される。ま
た、膜組成や膜の内部応力は、珪素(Si)源と炭素
(C)源の組成比や基体の温度によって制御される。
【0008】膜質の優れた炭化珪素薄膜は、熱CVD法
またはMBE法によって得ることができる。しかしなが
ら、MBE法では、分子線を用いるため、超高真空中で
成膜を行わなければならず、基体の大面積化や量産性に
劣るという欠点がある。
【0009】熱CVD法は、基体の加熱方法によってコ
ールドウォール型とホットウォール型とに分けられる。
コールドウォール型CVD法は基体のみを加熱するた
め、所望の部分にのみ炭化珪素の成膜が可能となるが、
熱伝導の不均一性に伴う基体の温度分布により大面積で
均一な炭化珪素膜形成は困難である。ホットウォール型
CVD法は、基体を含めたCVD炉全体を加熱するた
め、大面積での炭化珪素膜形成が可能である。
【0010】しかしながら、ホットウォール型CVD法
では、成膜したい基体以外の部分でも炭化珪素が析出し
て膜を形成してしまうため、その成膜を所望しない部分
で原料ガスが余計に消費され、CVD炉体内で、原料ガ
スの濃度分布が不均一となる。原料ガス濃度は、特に炭
化珪素成膜初期の炭化珪素核形成密度に著しい影響を及
ぼす。すなわち、原料ガス濃度分布が不均一であると、
炭化珪素成膜初期の基体上に形成される炭化珪素核の密
度が不均一となり、その結果、最終的に得られる炭化珪
素膜の膜厚その他も不均一となってしまう。炭化珪素の
核密度は炭化珪素成膜時の膜質、特に膜の内部応力に強
い影響を及ぼす。従って、ホットウォール型CVD法で
は大面積での炭化珪素膜は得られるが、膜質分布が不均
一となるという欠点を有する。膜質分布が不均一となる
と、膜厚が不均一になるばかりでなく、膜の内部応力が
大きくなり、内部応力の大きい膜をX線マスクのX線透
過膜として用いた場合、この極めて薄い炭化珪素膜(X
線透過膜)の上に形成されるX線マスクパターンに歪み
が生じ、信頼性の高いX線マスクを製造できないという
欠点を有する。
【0011】また、CVD法で炭化珪素膜を成膜しよう
とする場合、ホットウォール型、コールドウォール型の
如何にかかわらず、基体が800℃以上の高温にさらさ
れるため、基体表面が熱的ダメージを受けてしまう。さ
らに、基体表面に成膜された炭化珪素膜内には基体より
不純物が拡散し、炭化珪素膜の膜質が損なわれるという
問題があった。
【0012】特公昭63−46039号公報は、珪素基
体を気相成長用の支持基体とし、該珪素基体表面に低温
の気相成長法(コールドウォール型CVD法)で、炭化
珪素の多結晶または非晶質からなる薄膜を形成し、前記
珪素基体表面を薄く一様に被覆した後、気相成長法によ
り、前記炭化珪素の多結晶または非晶質からなる薄膜の
上に、炭化珪素の単結晶層を連続的に成長形成する方法
を開示している。ここで、多結晶または非晶質からなる
炭化珪素の薄膜の役割は、Si基体とSiC単結晶層が
直接接触するのを防ぎ、格子定数の相違から生ずるSi
C単結晶層の結晶性の劣化を防止し、それによって大面
積で高品質のSiC基体を提供できると記載されてい
る。
【0013】しかしながら、特公昭63−46039号
公報記載の方法では、多結晶または非晶質炭化珪素の上
に単結晶の炭化珪素を積層するものであり、当業界にお
ける常識からすれば、多結晶の上に単結晶膜を成膜する
には、成膜条件を厳密に制御することが必要であり、極
めて困難であると考えられる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、炭
化珪素成膜時の初期に発生する核形成密度の均一性を向
上させ、膜の内部応力が制御された、均一な膜質を有す
る多結晶の炭化珪素膜を提供することを目的とし、ま
た、炭化珪素成膜時に基体表面にもたらされる熱的ダメ
ージと、基体から炭化珪素膜内への不純物拡散を抑制す
ることをも目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、鋭意研究を重ね、基体表面を予め多結晶薄
膜で被覆しておき、その上に多結晶の炭化珪素膜を形成
することにより、上記目的を達成できる炭化珪素膜が得
られることを見出し、本発明を完成させた。
【0016】すなわち、本発明は、基体上に形成される
多結晶の炭化珪素膜において、該炭化珪素膜は基体表面
に被覆された多結晶薄膜を介して形成されていることを
特徴とする炭化珪素膜を第一の要旨とするものである。
【0017】また、上記本発明の炭化珪素膜は、X線マ
スクを作製するためのX線透過膜として有用であり、本
発明は、基体と、該基体上に設けられた本発明の第一の
要旨である炭化珪素膜からなるX線透過膜とを含むこと
を特徴とするX線マスクメンブレンを第二の要旨とし、
基体と、該基体上に設けられた本発明の第一の要旨であ
る炭化珪素膜からなるX線透過膜と、該X線透過膜上に
X線吸収膜とを含むことを特徴とするX線マスクブラン
クを第三の要旨とし、さらに本発明の第三の要旨である
X線マスクブランクのX線吸収膜をパターン化して得ら
れたX線マスクを第四の要旨とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第一の要旨である炭化珪素膜は、基体表面に被
覆された多結晶薄膜を介して基体上に形成されるもので
ある。すなわち、本発明の炭化珪素膜の特徴は、炭化珪
素膜を成膜する前に、基体表面を多結晶薄膜で被覆して
おき、この多結晶薄膜上で、珪素含有気体分子と炭素含
有気体分子とを気相または基体表面で反応させるか、ま
たは珪素と炭素を含有した気体分子を気相または基体表
面で反応させることにより、基体上に形成される多結晶
炭化珪素からなることである。
【0019】本発明によれば、炭化珪素膜の成膜前に、
基体表面を多結晶薄膜で被覆すると、多結晶薄膜の結晶
粒が炭化珪素成長初期の核として炭化珪素膜の膜質を決
定するため、炭化珪素膜を成膜する際の気相中のガス濃
度分布によらず、均一性が高く、且つ内部応力が小さく
制御された多結晶の炭化珪素膜を、特に厳密な成膜条件
の制御を必要とせずに得ることが可能である。
【0020】さらに、炭化珪素膜に容易に拡散しやすい
不純物を含む基体(例えば、ガリウム砒素ウエハー中の
砒素など)上に炭化珪素膜を成膜する場合においても、
基体表面に被覆された多結晶膜が不純物の炭化珪素膜へ
の拡散を防ぐため、成膜された炭化珪素膜中への不純物
の混入が抑制され、炭化珪素膜の電気的特性の向上が達
成される。
【0021】本発明によれば、炭化珪素の成膜過程で、
基体が高温に曝されても、基体表面は多結晶薄膜によっ
て覆われているため、基体が傷(エッチピット)などの
熱的ダメージを受けることを抑制することができる。
【0022】ここで、基体と炭化珪素膜との間に介在し
て、両者を接合する多結晶薄膜は、基体を構成する物質
と炭化珪素とを接合し得る物質または元素からなるもの
であればよく、例えば、Si(珪素)、Al23(酸化
アルミニウム)、SiC(炭化珪素)、C(炭素)、B
N(窒化ホウ素)等が挙げられる。
【0023】基体を構成する物質としては、通常、半導
体デバイス等の分野で用いられるものが使用でき、例え
ば単結晶シリコンウエハー、単結晶GaAs(ガリウム
砒素)ウエハー、サファイア(Al23)、MgO、G
aP、InP、InSb、AlAs等が挙げられる。好
ましくは、単結晶シリコンウエハーおよび単結晶GaA
sウエハーである。
【0024】本発明においては、基体の材質とその表面
を被覆する多結晶薄膜の材質との組み合わせに特に制限
はなく、上述した基体と多結晶薄膜であれば、いずれの
組み合わせであっても、多結晶薄膜を介して基体上に本
発明の炭化珪素膜が成膜できる。
【0025】本発明において、基体上に成膜される多結
晶薄膜の結晶粒径は、通常10〜3000オングストロ
ーム(以下、単に「A」と記載する。)、好ましくは5
0〜2500A、より好ましくは100〜2000Aで
ある。多結晶薄膜の結晶粒径が10A未満であると、膜
は非晶質的な性質を示し、熱的な安定性が損なわれ、膜
質の経時変化が大きく、また、3000Aを超えると結
晶内での二次元核生成が発生し、その結果、所望の膜質
の炭化珪素膜を形成することができなくなることがあ
り、好ましくない。
【0026】多結晶薄膜の結晶粒径の標準偏差は、通常
100A以下、好ましくは50A以下である。多結晶薄
膜の結晶粒径の標準偏差が100Aを超えると、膜厚の
均一性等の膜質にバラツキが生じ、多結晶薄膜の上に成
膜される炭化珪素膜の膜質の均一性が損なわれたり、内
部応力が大きくなり、本発明の効果が得られにくくな
る。
【0027】多結晶薄膜の膜厚は、通常5A〜10μm
であり、好ましくは10A〜1μm、より好ましくは5
00〜7000Aである。多結晶薄膜の膜厚が5A未満
であると、多結晶薄膜の表面荒れの程度によっては、基
体表面が多結晶薄膜によって完全には覆われず、本発明
の効果が得られ難くなる。また、膜厚が10μmを超え
ると、多結晶薄膜の上に成膜された炭化珪素膜の特性
に、多結晶薄膜の特性(例えば、内部応力や熱膨張率)
が重畳してしまい、所望の膜質の炭化珪素膜を得ること
が実質的に困難となる。
【0028】次に、基体表面への多結晶薄膜の形成方法
を説明する。基体表面への多結晶薄膜の形成方法は、特
に限定されず、通常公知の方法でよく、例えば、(1)電
子線やレーザーなどを用いて基体表面を融解させ、さら
に再結晶化させて基体表面を多結晶薄膜にする方法、
(2)基体表面にイオン照射を行い、基体表面層の結晶構
造と組成を改質して、多結晶薄膜にする方法、(3)スパ
ッタリング法、(4)物理的蒸着法、(5)化学的蒸気堆積法
(CVD法)、(6)基体表面と気相雰囲気との反応を用
いて多結晶薄膜を得る方法等を用いることができる。
【0029】多結晶薄膜の素材(物質または元素)およ
び所望する膜質に応じて上記いずれかの方法を適宜選択
して用いればよい。多結晶薄膜の膜厚、結晶粒径等の特
性は、上記それぞれの方法において、種々の成膜条件を
変動させることにより、所望の値とすることができる。
【0030】基体を被覆する多結晶薄膜の上に、本発明
の炭化珪素膜を成膜する方法は、特に限定されず、従来
用いられてきた炭化珪素膜の成膜方法を適宜選択して用
いればよい。従来公知の炭化珪素膜の成膜方法として
は、珪素含有ガスと炭素含有ガスとを気相または基体表
面で反応させる方法、または珪素と炭素を同時に含有し
たガスを気相または基体表面で反応させる方法が挙げら
れる。より具体的には、例えば、分子線エピタキシー法
(MBE法)、化学気相成長法(CVD法)、スパッタ
リング法、昇華法等が挙げられる。好ましくは、ホット
ウォール型減圧CVD法である。
【0031】基体を被覆する多結晶薄膜の結晶粒が、炭
化珪素膜成長初期の核として、多結晶薄膜の上に成膜さ
れる炭化珪素膜の膜質(結晶粒径、内部応力、配向度
等)を決定するため、上記の炭化珪素膜のいずれの成膜
方法を用いても、均一な膜厚を有し、内部応力が小さく
制御された炭化珪素膜が得られる。
【0032】上記のようにして得られる本発明の炭化珪
素膜は、通常、膜厚が約500A〜10μm、結晶粒径
平均値が300〜2000A、結晶粒径平均値標準偏差
が約500A以下であり、結晶粒径がそろっており、厚
さも均一であり、無配向で、極めて均一な膜質を有して
いる。
【0033】さらに、本発明の炭化珪素膜の内部応力
(引っ張り応力)は、1×108〜5×109dyn/c
2、内部応力平均値標準偏差は、1×108dyn/c
2以下であり、内部応力が極めて小さく、従って歪み
が小さい。
【0034】次に、本発明の第二の要旨であるX線マス
クメンブレンについて説明する。本発明のX線マスクメ
ンブレンは、基体と、該基体上に設けられた発明の炭化
珪素膜からなるX線透過膜とを含むものである。本発明
においては、X線マスクメンブレンとは、少なくともX
線透過膜上に直接または間接に(後記する種々の保護膜
を介して)X吸収膜が設けられる前のものをいう。
【0035】X線透過膜は、上述の本発明の炭化珪素膜
からなるものであるので、ここでは、その詳しい説明は
省略する。
【0036】X線透過膜である炭化珪素膜は、基体の片
面のみに成膜されていても良いし、基体の両面に成膜さ
れていても良い。基体の両面に炭化珪素膜が成膜されて
いる場合には、X線吸収膜が設けられる反対側の炭化珪
素膜をドライエッチング等によりその中央部を除去し、
基体裏面に残った炭化珪素膜をマスクとして、基体の中
央部を除去し、支持枠を作製するのに利用することがで
きる。
【0037】次に、本発明の第三の要旨であるX線マス
クブランクについて説明する。本発明のX線マスクブラ
ンクは、基体と、該基体上に設けられた本発明の炭化珪
素膜からなるX線透過膜と、該X線透過膜上に設けられ
たX線吸収膜とを含むものである。X線マスクブランク
とは、少なくともX線吸収膜が微細パターン化される前
の一様な膜状態にあるものをいう。
【0038】本発明のX線マスクブランクの構成要素で
ある炭化珪素膜からなるX線透過膜とX線吸収膜とは、
直接に接合されていても良いし、これらの間に所望によ
り、種々の保護膜を介して接合されていても良い。
【0039】X線吸収膜の種類は、特に限定されず、従
来このような用途に用いられてきた公知の物質、例えば
タンタル、タングステン、硼化タンタル、金等を用いる
ことができる。X線吸収膜の形成方法も特に限定される
ものではなく、従来公知の方法を用いることができる。
【0040】本発明のX線マスクブランクは、X線透過
膜およびX線吸収膜以外に、帯電防止層、反射防止膜、
エッチング防止用の保護膜等を有していてもよい。
【0041】本発明のX線マスクブランクに含まれてい
てもよい上記要素についても、公知の材質および公知の
方法で形成すればよい。
【0042】次に、本発明の第四の要旨であるX線マス
クについて説明する。本発明のX線マスクは、上述した
本発明のX線マスクブランクのX線吸収膜をパターン化
して得られたものであり、例えば支持枠と、その上のX
線透過膜と、その上のX線吸収膜パターンとを有するも
のである。
【0043】本発明のX線マスクは、本発明の炭化珪素
膜をX線透過膜として用いたものであり、本発明の炭化
珪素膜は、内部応力が小さく制御されており、結晶粒
径、膜厚等も均質であるため、その上に形成されるX線
吸収膜パターンに歪みが生じることがなく、マスクのア
ライメント精度やマスク転写パターンの寸法精度が高い
信頼性の高いものである。
【0044】本発明のX線マスクは、X線透過膜、X線
吸収膜パターン、支持枠以外に、帯電防止層、反射防止
膜等を有していてもよい。これらの要素は、X線吸収膜
パターンを形成する前のX線マスクブランクの段階で形
成されていてもよいし、X線吸収膜パターンを形成した
後に、形成してもよい。
【0045】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
より詳細に説明する。
【0046】(実施例1)図1は、実施例1の炭化珪素
膜の成膜方法を説明する図である。炭化珪素膜が成膜さ
れるべき基体(11)として、直径76±0.5mm
(3インチ)、厚さ380±10μmの単結晶シリコン
ウエハー(面方位(100)、比抵抗:0.5〜5.0
Ω−cm、N−タイプ)を用い、表1の条件でのスパッ
タリング法により、基体(11)上に多結晶の立方晶炭
化珪素薄膜(12)を堆積させた。得られた多結晶の立
方晶炭化珪素薄膜の結晶特性を表9に示した。次いで、
表2の条件でのホットウォール型の減圧CVD法を用い
て炭化珪素膜(13)の成膜を行った。得られた炭化珪
素膜(13)の特性を表9に示した。
【0047】表9より明らかなように、実施例1におい
ては、炭化珪素膜の内部応力標準偏差が0.3×108
dyn/cm2と小さく、また結晶粒径標準偏差も12
Aと小さい。
【0048】従って、基板面内での電気的・光学的・機
械的特性が均一となり、デバイス作製時の面内バラツキ
による歩留まり低下が抑えられる。
【0049】また、X線マスクとして用いた際には、メ
ンブレン化後のパターン歪みが低く抑えられ、より高精
度のX線マスクが得られる。
【0050】また、一連の成膜操作を終えた後も、基体
(11)にはエッチピット等の欠陥は生じなかった。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】(実施例2)実施例2の炭化珪素膜の成膜
方法を、図2を参照しつつ操作手順に沿って説明する。
炭化珪素膜が成膜されるべき基体(21)として、実施
例1と同じ単結晶シリコンウエハーを用い、表3の条件
で電子ビーム(24)を図2(a)に示すように矢印方
向に照射した。この照射による融解−再結晶化により図
2(b)に示すように基体(21)の表面を多結晶のシ
リコンへ改質し、多結晶シリコン薄膜(22)を形成し
た。得られた多結晶シリコン薄膜(22)の結晶特性を
表9に示した。次いで、実施例1と同一の条件(表2の
条件)でのホットウォール型の減圧CVD法により、図
2(c)に示すように炭化珪素膜(23)の成膜を行っ
た。得られた炭化珪素膜(23)の特性を表9に示し
た。
【0054】表9より明らかなように、実施例2におい
ては、炭化珪素膜の内部応力標準偏差が0.2×108
dyn/cm2と小さく、また結晶粒径標準偏差も9.
4Aと小さい。
【0055】従って、基板面内での電気的・光学的・機
械的特性が均一となり、デバイス作製時の面内バラツキ
による歩留まり低下が抑えられる。
【0056】また、X線マスクとして用いた際には、メ
ンブレン化後のパターン歪みが低く抑えられ、より高精
度のX線マスクが得られる。
【0057】一連の成膜操作を終えた後も、基体(2
1)にはエッチピット等の欠陥は生じなかった。
【0058】
【表3】
【0059】(実施例3)実施例3の炭化珪素膜の成膜
方法を、図3を参照しつつ操作手順に沿って説明する。
炭化珪素膜が成膜されるべき基体(31)として、実施
例1と同じ単結晶シリコンウエハーを用い、図3(a)
に示すように、表4の条件でイオン照射(34)を行
い、基体(31)の表面を多結晶のシリコンへと改質し
て、多結晶シリコン薄膜(32)を形成した。得られた
多結晶シリコン薄膜(32)の結晶特性を表9に示し
た。次いで、図3(c)に示すように、実施例1と同一
の条件(表2の条件)でホットウォール型の減圧CVD
法により炭化珪素膜(33)の成膜を行った。得られた
炭化珪素膜(33)の特性を表9に示した。
【0060】表9より明らかなように、実施例3におい
ては、炭化珪素膜の内部応力標準偏差が0.18×10
8dyn/cm2と小さく、また結晶粒径標準偏差も7.
6Aと小さい。
【0061】従って、基板面内での電気的・光学的・機
械的特性が均一となり、デバイス作製時の面内バラツキ
による歩留まり低下が抑えられる。
【0062】また、X線マスクとして用いた際には、メ
ンブレン化後のパターン歪みが低く抑えられ、より高精
度のX線マスクが得られる。
【0063】また、一連の成膜操作を終えた後も、基体
(31)にはエッチピット等の欠陥は生じなかった。
【0064】
【表4】
【0065】(実施例4)実施例4の炭化珪素膜の成膜
方法を、図4を参照しつつ操作手順に沿って説明する。
図4(a)に示すように、炭化珪素膜が成膜されるべき
基体(41)として、実施例1と同じ単結晶シリコンウ
エハーを用いた。この基体(41)を真空中で800℃
まで加熱した後、12mTorrのC22雰囲気に曝す
ことにより、図4(b)に示すように、基体(41)の
表面を多結晶の炭化珪素へと改質して多結晶炭化珪素薄
膜(42)を形成した。形成された多結晶炭化珪素薄膜
(42)の結晶特性を表9に示した。次いで、実施例1
と同一の条件(表2の条件)でのホットウォール型の減
圧CVD法により、図4(c)に示すように、炭化珪素
膜(43)の成膜を行った。得られた炭化珪素膜(4
3)の特性を表9に示した。
【0066】表9より明らかなように、実施例4におい
ては、炭化珪素膜の内部応力標準偏差が0.1×108
dyn/cm2と小さく、また結晶粒径標準偏差も8.
2Aと小さい。
【0067】従って、基板面内での電気的・光学的・機
械的特性が均一となり、デバイス作製時の面内バラツキ
による歩留まり低下が抑えられる。
【0068】また、X線マスクとして用いた際には、メ
ンブレン化後のパターン歪みが低く抑えられ、より高精
度のX線マスクが得られる。
【0069】一連の成膜操作を終えた後も、基体(4
1)にはエッチピット等の欠陥は生じなかった。
【0070】(比較例1)図5は、比較例1の炭化珪素
膜の成膜方法を説明する図である。炭化珪素膜が成膜さ
れるべき基体(51)として、実施例1と同じ単結晶シ
リコンウエハーを用い、基体(51)を多結晶薄膜で被
覆することなく、直接基体(51)上に実施例1と同一
の条件(表2の条件)でホットウォール型の減圧CVD
法により炭化珪素膜(53)の成膜を行った。得られた
炭化珪素膜(53)の特性を表9に示した。
【0071】表9より明かんなように、比較例1では炭
化珪素の内部応力値標準偏差が7.2×108dyn/
cm2と大きく、また、結晶粒径標準偏差も570Aと
大きい。従って、炭化珪素膜の膜質が不均一となってお
り、歪みが生じていることがわかる。
【0072】従って、比較例1で得られた炭化珪素膜
(53)の膜質の不均一性は、面内に作り込まれるデバ
イス間での特性のバラツキをもたらし、デバイスの歩留
まりが低下する結果となる。
【0073】また、X線マスクとして用いた場合には、
面内での応力分布がパターン歪みをもたらし、マスクア
ライメント精度を悪化させる。
【0074】なお、基体(51)のシリコンウエハー
は、熱的ダメージにより、100cm-2以上のエッチピ
ットが発生していた。
【0075】(実施例5)炭化珪素膜が成膜されるべき
基体として、直径76±0.5mm(3インチ)、厚さ
380±10μmの単結晶GaAsウエハー(面方位
(100)、比抵抗:110Ω−cm、N−タイプ)を
用い、実施例1と同一の条件(表1の条件)でのスパッ
タリング法により、基体上に多結晶の立方晶炭化珪素薄
膜を堆積させた。多結晶の立方晶炭化珪素からなる多結
晶炭化珪素薄膜の結晶特性を表9に示した。次いで、実
施例1と同一の条件(表2の条件)でのホットウォール
型の減圧CVD法を用いて炭化珪素膜の成膜を行った。
得られた炭化珪素膜の特性を表9に示した。
【0076】表9より明らかなように、実施例5におい
ては、炭化珪素膜の内部応力標準偏差が0.3×108
dyn/cm2と小さく、また結晶粒径標準偏差も12
Aと小さい。
【0077】従って、基板面内での電気的・光学的・機
械的特性が均一となり、デバイス作製時の面内バラツキ
による歩留まり低下が抑えられる。
【0078】また、X線マスクとして用いた際には、メ
ンブレン化後のパターン歪みが低く抑えられ、より高精
度のX線マスクが得られる。
【0079】成膜後の炭化珪素膜内部のAs濃度は、
2.1×1014/cm3以下であり、GaAsからなる
基体から炭化珪素膜内部への不純物拡散は、極めて少な
いことがわかる。従って、不純物による価電子制御性が
向上し、デバイスとしての特性が向上し、また、均一化
される。
【0080】一連の成膜操作を終えた後も、基体にはエ
ッチピット等の欠陥は生じなかった。
【0081】(比較例2)炭化珪素膜が成膜されるべき
基体として、実施例5と同じ単結晶GaAsウエハーを
用い、基体を多結晶薄膜で被覆することなく、実施例1
と同一の条件(表2の条件)によるホットウォール型の
減圧CVD法を用いて、基体上に直接、炭化珪素膜の成
膜を行った。得られた炭化珪素膜の特性を表9に示し
た。
【0082】表9の結果から明らかなように、比較例2
においては、炭化珪素膜の内部応力値標準偏差が8.3
×108dyn/cm2と大きく、また、結晶粒径標準偏
差も620Aと大きい。従って、炭化珪素膜の膜質が不
均一となっており、歪みが生じていることがわかる。
【0083】従って、比較例2で得られた炭化珪素膜の
膜質の不均一性は、面内に作り込まれるデバイス間での
特性のバラツキをもたらし、デバイスの歩留まりが低下
する結果となる。
【0084】また、X線マスクとして用いた場合には、
面内での応力分布がパターン歪みをもたらし、マスクア
ライメント精度を悪化させる。
【0085】基体は、熱的ダメージにより、800cm
-2以上の密度でエッチピットが発生していた。
【0086】成膜後の炭化珪素膜内部のAs濃度は、1
×1018/cm3以上であり、GaAsからなる基体か
ら炭化珪素膜内部への不純物拡散量は、上記実施例5に
比べ約5000倍高いことがわかる。従って、比較例2
で得られた炭化珪素膜は、実施例5の炭化珪素膜に比べ
て、電気的特性が極めて劣るものであることがわかる。
【0087】基体として単結晶GaAsウエハーを用い
た実施例5および比較例2の結果から、基体表面を被覆
している多結晶薄膜が、基体中のAsの炭化珪素膜への
拡散を抑制していることがわかる。
【0088】(実施例6)炭化珪素膜が成膜されるべき
基体として、実施例1と同じ単結晶シリコンウエハーを
用い、表5の条件でのスパッタリング法により、基体上
に多結晶Al23薄膜を堆積させた。得られた多結晶A
23薄膜の結晶特性を表9に示した。次いで、実施例
1と同一の条件(表2の条件)でのホットウォール型の
減圧CVD法を用いて炭化珪素膜の成膜を行った。得ら
れた炭化珪素膜の特性を表9に示した。
【0089】表9より明らかなように、実施例6におい
ては、炭化珪素膜の内部応力標準偏差が0.27×10
8dyn/cm2と小さく、また結晶粒径標準偏差も32
0Aと比較的小さい。
【0090】従って、基板面内での電気的・光学的・機
械的特性が均一となり、デバイス作製時の面内バラツキ
による歩留まり低下が抑えられる。
【0091】また、X線マスクとして用いた際には、メ
ンブレン化後のパターン歪みが低く抑えられ、より高精
度のX線マスクが得られる。
【0092】一連の成膜操作を終えた後も、基体にはエ
ッチピット等の欠陥は生じなかった。
【0093】
【表5】
【0094】(実施例7)炭化珪素膜が成膜されるべき
基体として、実施例1と同じ単結晶シリコンウエハーを
用い、表6の条件での電子ビーム蒸着法により、基体上
に多結晶のC薄膜を堆積させた。得られた多結晶のC
(炭素)薄膜の結晶特性を表9に示した。次いで、実施
例1と同一の条件(表2の条件)によるホットウォール
型の減圧CVD法を用いて炭化珪素膜の成膜を行った。
得られた炭化珪素膜の特性を表9に示した。
【0095】表9より明らかなように、実施例7におい
ては、炭化珪素膜の内部応力標準偏差が0.13×10
8dyn/cm2と小さく、また結晶粒径標準偏差も12
Aと比較的小さい。
【0096】従って、基板面内での電気的・光学的・機
械的特性が均一となり、デバイス作製時の面内バラツキ
による歩留まり低下が抑えられる。
【0097】また、X線マスクとして用いた際には、メ
ンブレン化後のパターン歪みが低く抑えられ、より高精
度のX線マスクが得られる。
【0098】一連の成膜操作を終えた後も、基体にはエ
ッチピット等の欠陥は生じなかった。
【0099】
【表6】
【0100】(実施例8)炭化珪素膜が成膜されるべき
基体として、実施例1と同じ単結晶シリコンウエハーを
用い、表7の条件でのスパッタリング法により、基体上
に多結晶のBN(窒化硼素)薄膜を堆積させた。得られ
た多結晶のBN薄膜の結晶特性を表9に示した。次い
で、実施例1と同一の条件(表2の条件)によるホット
ウォール型の減圧CVD法を用いて炭化珪素膜の成膜を
行った。得られた炭化珪素膜の特性を表9に示した。
【0101】表9より明らかなように、実施例8におい
ては、炭化珪素膜の内部応力標準偏差が0.11×10
8dyn/cm2と小さく、また結晶粒径標準偏差も24
Aと比較的小さい。
【0102】従って、基板面内での電気的・光学的・機
械的特性が均一となり、デバイス作製時の面内バラツキ
による歩留まり低下が抑えられる。
【0103】また、X線マスクとして用いた際には、メ
ンブレン化後のパターン歪みが低く抑えられ、より高精
度のX線マスクが得られる。
【0104】一連の成膜操作を終えた後も、基体にはエ
ッチピット等の欠陥は生じなかった。
【0105】
【表7】
【0106】(実施例9)炭化珪素膜が成膜されるべき
基体として、実施例1と同じ単結晶シリコンウエハーを
用い、表8の条件でのホットウォール型の減圧CVD法
により、基体上に多結晶の立方晶炭化珪素薄膜を堆積さ
せた。得られた多結晶の立方晶炭化珪素薄膜の結晶特性
を表9に示した。次いで、実施例1と同一の条件(表2
の条件)によるホットウォール型の減圧CVD法を用い
て炭化珪素膜の成膜を行った。得られた炭化珪素膜の特
性を表9に示した。
【0107】表9より明らかなように、実施例9におい
ては、炭化珪素膜の内部応力標準偏差が0.4×108
dyn/cm2と小さく、また結晶粒径標準偏差も10
Aと小さい。
【0108】従って、基板面内での電気的・光学的・機
械的特性が均一となり、デバイス作製時の面内バラツキ
による歩留まり低下が抑えられる。
【0109】また、X線マスクとして用いた際には、メ
ンブレン化後のパターン歪みが低く抑えられ、より高精
度のX線マスクが得られる。
【0110】一連の成膜操作を終えた後も、基体にはエ
ッチピット等の欠陥は生じなかった。
【0111】
【表8】
【0112】
【表9】
【0113】表9中における、(表2)〜(表8)は、
それぞれ表2〜表8の条件に従って操作を行ったことを
示す。
【0114】(実施例10)−X線マスクブランクおよ
びX線マスクの製造例 図6に、本発明の炭化珪素膜をX線透過膜として用いた
X線マスクブランクの製造工程、さらにそれから作製さ
れるX線マスクの製造工程を示した。X線マスク材料と
して、実施例1と同じ材料を用い、実施例1と同じ方法
で、基体6の両面にそれぞれ多結晶の立方晶炭化珪素薄
膜を介して成膜された炭化珪素膜7aおよび7b(すな
わちX線透過膜)を有するものを用いた(図6(a)参
照)。
【0115】次に、X線透過膜7aの上にX線吸収膜8
を構成するTa膜をRFマグネトロンスパッタ法によ
り、0.8μmの厚さに形成して、X線マスクブランク
を得た。(図6(b))。
【0116】次に、X線吸収膜8の上に電子線レジスト
を塗布して電子線によりレジストパターンを形成し、こ
のレジストパターンをマスクにして反応性イオンビーム
エッチングを施し、X線吸収膜パターン8aを形成した
(図6(c))。
【0117】次に、基体6のもう一方の側(裏側)に形
成されているX線透過膜7bを、ドライエッチングによ
りその中央部を除去し、さらに、裏面に残ったX線透過
膜7bをマスクとして、HF+HNO3混合液によりシ
リコン基体6の中央部を除去し、支持枠6aを得た(図
6(d))。
【0118】X線マスクメンブレン面内の応力分布は
0.3×108dyn/cm2以下に抑えられているた
め、X線吸収膜パターンの歪みは抑えられ、フィールド
内で3σ=0.03μm以下の高いアライメント精度が
得られる。これに対し、比較例1で得られた炭化珪素膜
を用いた場合には、アライメント精度は3σ=0.15
μm以上であった。
【0119】
【発明の効果】本発明によれば、厳密な成膜条件の制御
を必要とせずに、均一な膜質、特に内部応力が小さく抑
制され、歪みのない炭化珪素膜が提供された。
【0120】また、炭化珪素成膜時に基体にもたらされ
る熱的ダメージおよび基体から炭化珪素膜内への不純物
拡散が抑制された炭化珪素膜が提供された。
【0121】さらに、本発明によれば、本発明の炭化珪
素膜をX線透過膜とするX線マスクブランクおよびそれ
から製造されるX線マスクが提供された。本発明の炭化
珪素膜は、内部応力が小さく、膜自体の歪みが小さいた
め、その上に形成されるX線吸収膜パターンも歪みも小
さく、信頼性の高いX線マスクが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の炭化珪素膜の成膜方法を説
明する図である。
【図2】図2は、実施例2の炭化珪素膜の成膜過程を示
す図である。
【図3】図3は、実施例3の炭化珪素膜の成膜過程を示
す図である。
【図4】図4は、実施例4の炭化珪素膜の成膜過程を示
す図である。
【図5】図5は、比較例1の炭化珪素膜の成膜方法を説
明する図である。
【図6】図6は、本発明のX線マスクブランクからX線
マスクを製造する工程を示す図である。
【符号の説明】
11:単結晶シリコンウエハー(基体)、12:立方晶
の多結晶炭化珪素薄膜、13:炭化珪素膜;21:単結
晶シリコンウエハー(基体)、22:溶融−再結晶によ
り形成された多結晶シリコン薄膜、23:炭化珪素膜、
24:電子ビーム;31:単結晶シリコンウエハー(基
体)、32:イオン照射により形成された多結晶シリコ
ン薄膜、33:炭化珪素膜、34:イオン照射;41:
単結晶シリコンウエハー(基体)、42:基体表面の反
応により形成された多結晶シリコン薄膜、43:炭化珪
素膜;51:単結晶シリコンウエハー(基体)、52:
炭化珪素膜;6:単結晶シリコンウエハー(基体)、6
a:支持枠、7aおよび7b:炭化珪素膜(X線透過
膜)、8:X線吸収膜、8a:X線吸収膜パターン

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に形成される多結晶の炭化珪素膜
    において、 該炭化珪素膜は基体表面に被覆された多結晶薄膜を介し
    て形成されていることを特徴とする炭化珪素膜。
  2. 【請求項2】 炭化珪素膜が熱CVD法によって形成さ
    れたことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素膜。
  3. 【請求項3】 炭化珪素膜がホットウォール型CVD法
    によって形成されたことを特徴とする請求項2に記載の
    炭化珪素膜。
  4. 【請求項4】 多結晶薄膜が、Si(珪素)、Al23
    (酸化アルミニウム)、SiC(炭化珪素)、C(炭
    素)およびBN(窒化ホウ素)からなる群から選ばれる
    物質または元素のうちの1種から構成されることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素
    膜。
  5. 【請求項5】 多結晶薄膜の結晶粒径が、10〜300
    0オングストロームであることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の炭化珪素膜。
  6. 【請求項6】 多結晶薄膜の結晶粒径の標準偏差が、1
    00オングストローム以下であることを特徴とする請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の炭化珪素膜。
  7. 【請求項7】 多結晶薄膜の膜厚が、5オングストロー
    ム〜10μmであることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の炭化珪素膜。
  8. 【請求項8】 多結晶薄膜が、基体表面を融解させさら
    に再結晶化させることにより形成されたもの、基体表面
    にイオン照射することにより形成されたもの、スパッタ
    リング法により基体表面に形成されたもの、蒸着法によ
    り基体表面に形成されたもの、化学的蒸気堆積法により
    基体表面に形成されたものおよび気相雰囲気と基体表面
    との反応により該基体表面に形成されたものからなる群
    から選ばれることを特徴とする請求項1記載の炭化珪素
    膜。
  9. 【請求項9】 基体と、該基体上に設けられた請求項1
    〜8に記載の炭化珪素膜からなるX線透過膜とを含むこ
    とを特徴とするX線マスクメンブレン。
  10. 【請求項10】 基体と、該基体上に設けられた請求項
    1〜8記載の炭化珪素膜からなるX線透過膜と、該X線
    透過膜上にX線吸収膜とを含むことを特徴とするX線マ
    スクブランク。
  11. 【請求項11】 請求項10記載のX線マスクブランク
    のX線吸収膜をパターン化して得られたX線マスク。
JP2396396A 1996-02-09 1996-02-09 炭化珪素膜 Pending JPH09221395A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2396396A JPH09221395A (ja) 1996-02-09 1996-02-09 炭化珪素膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2396396A JPH09221395A (ja) 1996-02-09 1996-02-09 炭化珪素膜

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09221395A true JPH09221395A (ja) 1997-08-26

Family

ID=12125212

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2396396A Pending JPH09221395A (ja) 1996-02-09 1996-02-09 炭化珪素膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09221395A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018159754A1 (ja) 2017-03-02 2018-09-07 信越化学工業株式会社 炭化珪素基板の製造方法及び炭化珪素基板

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018159754A1 (ja) 2017-03-02 2018-09-07 信越化学工業株式会社 炭化珪素基板の製造方法及び炭化珪素基板
CN110366611A (zh) * 2017-03-02 2019-10-22 信越化学工业株式会社 碳化硅基板的制造方法及碳化硅基板
KR20190121366A (ko) 2017-03-02 2019-10-25 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 탄화규소 기판의 제조 방법 및 탄화규소 기판
CN110366611B (zh) * 2017-03-02 2021-07-27 信越化学工业株式会社 碳化硅基板的制造方法及碳化硅基板
US11346018B2 (en) 2017-03-02 2022-05-31 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Silicon carbide substrate production method and silicon carbide substrate

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS6392012A (ja) 積層物品およびその製造方法
EP0937790A2 (en) Method of making GaN single crystal and apparatus for making GaN single crystal
JPH0556851B2 (ja)
US5541023A (en) X-ray mask, method of manufacturing the x-ray mask and exposure method using the x-ray mask
JPH09221395A (ja) 炭化珪素膜
CN108085742B (zh) 形成过渡金属二硫属化物(tmdc)材料层的方法
JPH04298020A (ja) シリコン薄膜結晶の製造方法
JPS60213058A (ja) シリサイド膜を有する構造体およびその製造方法
JPS603148A (ja) 単結晶シリコン半導体装置用基板およびその製造方法
JPS58212123A (ja) 単結晶薄膜の製造方法
JPS63297293A (ja) 結晶成長法
JPH0635360B2 (ja) 単結晶窒化アルミニウム膜の作製方法
JP3005253B2 (ja) 多結晶半導体の形成方法
JP2532252B2 (ja) Soi基板の製造方法
JP2695462B2 (ja) 結晶性半導体膜及びその形成方法
JP2580143B2 (ja) ヘテロエピタキシャル構造を有する物品の製造方法
JP2737152B2 (ja) Soi形成方法
JP3210410B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
JPH0374838A (ja) エピタキシャル成長法
JPS6126598A (ja) ゲルマニウム薄膜結晶の製造方法
JP3008455B2 (ja) 結晶シリコン膜の製造方法
JPS60235795A (ja) 単結晶膜の製造方法
JPH04267324A (ja) 半導体薄膜基板の製造方法
JPS5860697A (ja) シリコン単結晶膜形成法
JP2000150384A (ja) 半導体微粒子集合体の製造方法およびそれを適用した半導体微粒子集合体

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20050224

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20050228

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050623